JPH10298189A - クロム錯体 - Google Patents

クロム錯体

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JPH10298189A
JPH10298189A JP11268297A JP11268297A JPH10298189A JP H10298189 A JPH10298189 A JP H10298189A JP 11268297 A JP11268297 A JP 11268297A JP 11268297 A JP11268297 A JP 11268297A JP H10298189 A JPH10298189 A JP H10298189A
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JP
Japan
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group
lower alkyl
chromium complex
compound
quinazolinone
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JP11268297A
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English (en)
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Yasuhisa Kuroki
保久 黒木
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Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Factory Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 式(1)で表わされるクロム錯体。 【化1】 〔R1 、R2 及びR3 は同一又は異なって、水素原子、
低級アルキル基、ヒドロキシル基、ベンゾイル基、低級
アルコキシカルボニル基又はベンゼン環上にハロゲン原
子を有する3−低級アルキル−4(3H)−キナゾリノ
ン−2−イル基を示す。但し、R1 、R2 及びR3 が同
時に水素原子であるものを除く。〕 【効果】 血糖降下作用やインスリン低下作用に優れ、
血糖降下剤等の医薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血糖降下作用やイ
ンスリン低下作用に優れた新規なクロム錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、糖尿病の予防及び治療等に用いら
れる血糖降下剤としては種々の化合物が知られている。
例えばクロミウム(III) トリピコリネートは、Nakah
araらによって合成された〔Bull. Chem. Soc. Jpn., 3
5, 782(1962)〕公知の化合物であり、Stearns らによっ
てX線結晶構造解析がなされ〔Inorg.Chem.,31,5178(19
92)〕、Evans らにより、ラットの骨格筋培養細胞にお
けるインスリンの取り込み促進作用が見出されている
〔J. Inorg. Chem., 46(4), 243(1992)〕。
【0003】しかしながら、当該化合物は、N.A.Lee ら
の臨床試験〔Diabetes Care,17,1449(1994)〕において
は、十分な薬理活性が得られなかったことが報告されて
いる。これは、当該化合物が難吸収性であるためと考え
られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、血糖降下作用に優れた新規化合物を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、後記一般式(1)で
表わされるクロム錯体が、優れた血糖降下作用やインス
リン低下作用を有することを見出し、本発明を完成し
た。
【0006】すなわち、本発明は、一般式(1)
【0007】
【化2】
【0008】〔式中、R1 、R2 及びR3 は同一又は異
なって、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシル基、
ベンゾイル基、低級アルコキシカルボニル基又はベンゼ
ン環上にハロゲン原子を有する3−低級アルキル−4
(3H)−キナゾリノン−2−イル基を示す。但し、R
1 、R2 及びR3 が同時に水素原子であるものを除
く。〕で表わされるクロム錯体を提供するものである。
【0009】また、本発明は、当該クロム錯体(1)を
有効成分とする医薬を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のクロム錯体は、前記一般
式(1)で表わされるものである。式中、R 1 、R2
びR3 で示されるもののうち、低級アルキル基として
は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル基等の直鎖又は分岐鎖状低級アルキル基が挙げられ;
低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシ
カルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニ
ル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、
ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0011】また、ベンゼン環上にハロゲン原子を有す
る3−低級アルキル−4(3H)−キナゾリノン−2−
イル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ;ベンゼン環
上にハロゲン原子を有する3−低級アルキル−4(3
H)−キナゾリノン−2−イル基としては、例えば7−
クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−
イル、7−クロロ−3−エチル−4(3H)−キナゾリ
ノン−2−イル、7−クロロ−3−プロピル−4(3
H)−キナゾリノン−2−イル、7−クロロ−3−ブチ
ル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル、7−クロロ
−3−ペンチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イ
ル、7−クロロ−3−ヘキシル−4(3H)−キナゾリ
ノン−2−イル、7−フルオロ−3−メチル−4(3
H)−キナゾリノン−2−イル、7−ブロモ−3−メチ
ル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル、7−ヨード
−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル、
5−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリノン−
2−イル、6−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナ
ゾリノン−2−イル、8−クロロ−3−メチル−4(3
H)−キナゾリノン−2−イル基等が挙げられる。
【0012】本発明のクロム錯体としては、一般式
(1)において、R1 が水素原子、低級アルキル基、ヒ
ドロキシル基、ベンゾイル基又はベンゼン環上にハロゲ
ン原子を有する3−低級アルキル−4(3H)−キナゾ
リノン−2−イル基であり、R2が水素原子又はベンゼ
ン環上にハロゲン原子を有する3−低級アルキル−4
(3H)−キナゾリノン−2−イル基であり、R3 が水
素原子、低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基
又はベンゼン環上にハロゲン原子を有する3−低級アル
キル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル基であるも
のが好ましく、また、R1 、R2 及びR3 のうちの2つ
の置換基が水素原子であるものが好ましい。
【0013】さらに、一般式(1)において、R1 がヒ
ドロキシル基でR2 及びR3 が水素原子である化合物;
2 がベンゼン環上にハロゲン原子を有する3−低級ア
ルキル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル基でR1
及びR3 が水素原子である化合物;R3 が低級アルコキ
シカルボニル基又はベンゼン環上にハロゲン原子を有す
る3−低級アルキル−4(3H)−キナゾリノン−2−
イル基でR1 及びR2が水素原子である化合物が好まし
く、就中、クロミウム(III) トリス(5−エトキシ
カルボニルピコリネート)が好ましい。
【0014】本発明のクロム錯体(1)は、シス及びト
ランスの幾何異性体が存在し、本発明は当然両者を包含
する。また、本発明のクロム錯体(1)は、クロム原子
を不斉中心とする光学異性体が存在し、本発明は当然ラ
セミ体、光学活性体の両方を包含する。上記光学異性体
は、慣用の分割法、例えば光学分割カラムを使用する方
法等で分離することができる。さらに本発明のクロム錯
体(1)は、無水物及び水和物等の溶媒和物の両者を包
含する。
【0015】本発明のクロム錯体(1)は、例えば特開
平8−291190号公報に記載の方法に準じて製造す
ることができる。すなわち、3価のクロム化合物と、下
記化合物(2)
【0016】
【化3】
【0017】(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同じ
意味を有する)とを、水中で約40〜90℃の温度で処
理することにより、本発明のクロム錯体(1)を得るこ
とができる。ここで用いられるクロム化合物としては、
例えば塩化クロム(III)、フッ化クロム(III)、硫酸
クロム(III)、酢酸クロム(III)等が挙げられ、これ
らは無水塩であるか含水塩であるかを問わず、使用する
ことができる。また、化合物(2)の使用量は、3価の
クロム化合物に対して少なくとも3倍モル量、特に3〜
4倍とするのが好ましく、反応液のpHは4.2以下とす
るのが好適である。
【0018】反応は、通常10分〜20時間で完了し、
目的化合物は反応液中に沈殿するので、これを濾過、洗
浄、乾燥することにより単離することができる。更に、
得られたクロム錯体(1)は、通常の精製手段、例えば
吸着クロマトグラフィー、再結晶等により精製すること
ができる。
【0019】なお、上記原料化合物(2)のうち、
1 、R2 及びR3 のうちの1つがベンゼン環上にハロ
ゲン原子を有する3−低級アルキル−4(3H)−キナ
ゾリノン−2−イル基で残余が水素原子である化合物
(2a)は、例えば次の反応工程式に示した方法に従っ
て製造することができる。
【0020】
【化4】
【0021】〔式中、R4 及びR5 は低級アルキル基を
示し、Xはハロゲン原子を示す。〕
【0022】すなわち、化合物(3)と酸ハロゲン化物
(4)を反応させて化合物(5)を得、これを環化反応
により化合物(6)となし、次いでこれを加水分解する
ことにより、化合物(2a)を得ることができる。
【0023】ここで、化合物(3)と酸ハロゲン化物
(4)との反応は、不活性溶媒中、脱酸剤の存在下に行
うことができる。不活性溶媒としては、ベンゼン、トル
エン、キシレン、石油エーテル等の芳香族炭化水素乃至
脂肪族炭化水素類や、ジエチルエーテル等のエーテル
類、アセトン、エチルメチルケトン、アセトフェノン等
のケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素
類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などを使
用することができる。また、脱酸剤としては、トリエチ
ルアミン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルモル
ホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等のア
ミン類を好適に利用できる。
【0024】また、酸ハロゲン化物(4)の使用量は、
化合物(3)に対して等モル量〜少過剰量であるのが好
ましく、脱酸剤の使用量は、化合物(3)に対して等モ
ル量〜過剰量とするのが好ましい。反応は、一般に0℃
〜室温付近の温度条件下に、0.5〜50時間程度を要
して行うことができる。
【0025】次に、化合物(5)の環化反応は、化合物
(5)に、不活性溶媒中、塩基の存在下、ハロゲン化ト
リアルキルシランを作用させることにより行うことがで
きる。ここで、不活性溶媒としては、例えばベンゼン、
トルエン、キシレン、石油エーテル等の芳香族炭化水素
乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル
類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,
2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を使用
することができる。塩基としては、例えばトリエチルア
ミン、N,N−ジエチルアリニン、N−メチルモルホリ
ン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の3級ア
ミン類を好ましく使用できる。また、ハロゲン化トリア
ルキルシランとしては、例えばクロロトリメチルシラ
ン、クロロトリエチルシラン、クロロエチルジメチルシ
ラン、クロロジメチルプロピルシラン、クロロブチルジ
メチルシラン、クロロトリプロピルシラン、トリブチル
クロロシラン、クロロエチルメチルプロピルシラン等の
クロロトリアルキルシランを好適に使用することができ
る。
【0026】上記ハロゲン化トリアルキルシラン及び塩
基の使用量は、特に限定されないが、一般に、化合物
(5)に対して1〜過剰当量、好ましくは3〜20当量
とするのが好ましく、反応は、通常0〜100℃で、
0.5〜20時間程度で完了する。
【0027】次いで、得られた化合物(6)の加水分解
は、例えば化合物(6)をメタノール、エタノール、ジ
オキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメ
タン等の不活性溶媒中、アルカリで加水分解すれば良
く、これにより、化合物(2a)を得ることができる。
ここで用いられるアルカリとしては、例えば水酸化ナト
リウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が好適に用いら
れ、反応は、0℃〜室温の温度条件で、10分〜5時間
を要して行うことができる。
【0028】このようにして得られる本発明のクロム錯
体(1)は、優れた血糖降下作用やインスリン低下作用
を有し、血糖降下剤、インスリン低下剤等の医薬とし
て、糖尿病の治療・予防に有用である。従って、本発明
化合物の有効量と薬学的に許容される担体とを含有する
ことを特徴とする医薬組成物、血糖降下剤組成物、イン
スリン低下剤組成物を提供することができる。
【0029】本発明化合物を医薬として用いる場合は、
適当な製剤用担体を用いて通常の方法に従い、製剤組成
物とすることができる。担体としては、通常の薬剤に汎
用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、
滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、界面活性剤等を使用
することができる。
【0030】本発明に係る医薬の投与単位形態は特に限
定されず、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には
注射剤、坐剤等の非経口剤、錠剤、被覆錠剤、散剤、顆
粒剤、カプセル剤、液剤、丸剤、懸濁剤、乳剤等の経口
剤が挙げられる。上記各種薬剤は、この分野で通常知ら
れた製剤方法により製剤化される。
【0031】錠剤、散剤、顆粒剤等の経口用固形製剤の
形態に成形するに際しては、担体として例えば乳糖、白
糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸
カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチ
ルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、ア
ラビアゴム糖の賦形剤、単シロップ、ブドウ糖液、デン
プン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチ
ルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセ
ルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、水、エタ
ノール、リン酸カリウム等の結合剤、乾燥デンプン、ア
ルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸
水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の
崩壊剤、白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加
油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル
硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、デンプン
等の保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイ
ト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステア
リン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢
剤等を使用できる。さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮
を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被
錠、フィルムコーティング錠、二重錠、多層錠等とする
ことができる。
【0032】丸剤の形態に成形するに際しては、担体と
して例えばブドウ等、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化
植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、カラビアゴム
末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、
ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。
【0033】カプセル剤は上記で例示した各種の担体と
混合し、硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル等に充填
して調製される。
【0034】坐剤の形態に成形するに際しては、担体と
して例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、ラノリ
ン、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼ
ラチン、半合成グリセライド、ウィテップゾール(登録
商標ダイナマイトノーベル社)等に適当な吸収促進剤を
添加して使用できる。
【0035】注射剤の形態に形成するに際しては、担体
として例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、
プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアル
コール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等の希釈
剤、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナト
リウム等のpH調整剤及び緩衝剤、ピロ亜硫酸ナトリウ
ム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ
乳酸等の安定化剤等が使用できる。なお、この場合等張
性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖或いは
グリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通
常の溶解補助剤、無痛化剤、局所麻酔剤等を添加しても
よい。これらの担体を添加して、常法により皮下、筋肉
内、静脈内用注射剤を製造することができる。
【0036】液体製剤は水性又は油性の懸濁液、溶液、
シロップ、エリキシル剤であってもよく、これらは通常
の添加剤を用いて常法に従い、調製される。
【0037】上記製剤中に含有されるべき本発明化合物
の量は、剤型、投与経路、投与計画等により異なり一概
には言えず、広い範囲から適宜選択されるが、通常製剤
中に1〜70重量%程度とするのがよい。
【0038】上記製剤の投与方法は特に限定されず、製
剤の形態、患者の年齢、性別その他の条件、患者の症状
の程度等に応じて、経腸投与、経口投与、直腸投与、口
腔内投与、経皮投与等の投与方法が適宜決定される。例
えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプ
セル剤の場合には経口投与され、坐剤の場合には直腸内
投与される。注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、ア
ミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、さら
に必要に応じて単独で動脈内、筋肉内、皮内、皮下もし
くは腹腔内投与される。
【0039】本発明製剤の有効成分の投与量は、用法、
患者の年齢、性別、疾患の状態、投与される本発明に係
る化合物の種類、その他の条件等に応じて適宜選択され
るが、通常0.5〜20mg/kg/日程度、好ましくは1
〜10mg/kg/日程度の範囲となる量を目安とするのが
よい。これら本発明製剤は1日に1回又は2〜4回程度
に分けて投与することができる。
【0040】
【発明の効果】本発明のクロム錯体(1)は、血糖降下
作用やインスリン低下作用に優れ、血糖降下剤、インス
リン低下剤等の医薬として有用であり、糖尿病の予防及
び治療に好適に使用することができる。
【0041】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0042】参考例1 5−〔7−クロロ−3−メチル−4(3H)−キナゾリ
ノン−2−イル〕ピコリン酸の製造: 6−メトキシカルボニルニコチン酸18.1gを、10
0mlのジクロロメタンと20mlのN,N−ジメチルホル
ムアミド中に懸濁させ、塩化チオニル11.9gを加え
て1時間還流した。反応後、氷冷した。次に、2−(N
−メチルカルバモイル)−5−クロロアニリン18.5
gをピリジン200mlに溶かし、上記氷冷反応液を室温
でゆっくり滴下し、室温で攪拌した。30分後、ピリジ
ンを100ml追加し、さらに1.5時間攪拌した。反応
混合物を氷水中に注ぎ込み、析出した結晶を濾取し、水
洗後、減圧乾燥して、メチル 5−〔N−〔5−クロロ
−2−(N−メチルカルバモイル)フェニル〕カルバモ
イル〕ピコリネート28.8gを得た。
【0043】上記で得られた結晶27.82gをジクロ
ロメタン200ml及びトリエチルアミン97.14g中
に懸濁させ、クロロトリメチルシラン38.24gを室
温で滴下し、混合液を加熱還流した。30分後、ジクロ
ロメタン200mlを追加し、さらに3.5時間還流し
た。反応液を氷冷1N塩酸中に注ぎ込み、無水炭酸カリ
ウム34gを加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層
を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン−ジエチルエ
ーテルより再結晶して、メチル 5−〔7−クロロ−3
−メチル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕ピコ
リネートの無色結晶18.9gを得た。
【0044】続いて、上記で得られた結晶18.1gを
ジクロロメタン300ml及びエタノール150mlに溶か
し、2N水酸化ナトリウム水溶液28mlを加え、室温で
1時間攪拌した。反応混合物に3N塩酸19mlを加え、
ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄
した後、ジエチルエーテル300mlを加えた。析出した
結晶を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄して、目的化合
物の無色結晶13.3gを得た。
【0045】参考例2 参考例1と同様にして、4−〔7−クロロ−3−メチル
−4(3H)−キナゾリノン−2−イル〕ピコリン酸を
製造した。
【0046】実施例1 クロミウム(III) トリス(3−ヒドロキシピコリネ
ート)の製造:3−ヒドロキシピコロン酸4.17g及
び塩化クロム(III)・6水塩2.66gを水25ml中
に懸濁させ、80℃で5時間攪拌した。反応終了後、放
冷し、生じた結晶を濾取し、水洗いの後、減圧乾燥し
て、目的化合物の結晶1.67gを得た。得られた化合
物の構造、高速原子衝撃マススペクトル(FAB−M
S)、元素分析結果及び赤外吸収スペクトル(IR)
を、表1に示す。なお、得られた化合物は、X線結晶構
造解析の結果、トランス型であることが確認された。
【0047】実施例2〜7 実施例1と同様にして、表1に示す各化合物を製造し
た。得られた化合物の構造及び物性を表1に併記する。
【0048】
【表1】
【0049】試験例1 6週齢ウィスター系雄性ラットの1群5匹(試験群)
に、デキサメタゾン(デカドロンS注射液;萬有製薬社
製)0.5mg/kgを1日4回4日間腹腔内投与し、その
投与直後に供試化合物を5%アラビアゴム溶液に溶解し
て毎日経口投与した。4日目のデキサメタゾン投与の4
時間後に断頭採血し、遠心分離(3000rpm、4℃、
15分)した後、得られた血清中のグルコース量及びイ
ンスリン量を、それぞれグルコースcIIテストワコー
(和光純薬工業社製)及びインスリンテストワコー(和
光純薬工業社製)を用いて測定した。ラットは自由摂餌
させ、採血の24時間前より絶食させた。なお、対照群
として、供試化合物の代わりに5%アラビアゴム溶液を
投与した群と、通常群として自由摂餌のみを行わせた群
とを設け、同様に血清中のグルコース量及びインスリン
量を測定し、各群の値(平均値)より、血中グルコース
及びインスリンの低下率を下式により求めた。結果を表
2に示す。
【0050】
【数1】
【0051】
【表2】
【0052】表2の結果より、本発明化合物(1)は、
血中グルコース低下作用又は血中インスリンの低下作用
の少なくともいずれかを示すのに対し、公知化合物であ
るクロミウム(III)トリピコリネートは、どちらの作
用も示さなかった。
【0053】実施例8(錠剤の調製) 有効成分として実施例1で得た化合物を用い、1錠当り
その5mgを含有する経口投与のための錠剤(1000
錠)を、次の処方により調製した。
【0054】
【表3】(処方) 実施例1で得た化合物 5g 乳糖(日本薬局方品) 50g コーンスターチ(日本薬局方品) 25g 結晶セルロース(日本薬局方品) 25g メチルセルロース(日本薬局方品) 1.5g ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 1g
【0055】すなわち、上記処方に従い、実施例1で得
た化合物、乳糖、コーンスターチ及び結晶セルロースを
充分混合し、混合物をメチルセルロース5%水溶液を用
いて顆粒化し、200メッシュの篩を通して注意深く乾
燥後、乾燥した顆粒を200メッシュの篩に通し、ステ
アリン酸マグネシウムと混合し、錠剤にプレスして、目
的の錠剤を得た。
【0056】実施例9(カプセル剤の調製) 有効成分として実施例5で得た化合物を用い、1カプセ
ル当りその10mgを含有する経口投与のための2片硬質
ゼラチンカプセル(1000個)を、次の処方により調
製した。
【0057】
【表4】(処方) 実施例5で得た化合物 10g 乳糖(日本薬局方品) 80g 澱粉(日本薬局方品) 30g 滑石(日本薬局方品) 5g ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 1g
【0058】すなわち、上記処方に従い、各成分を細か
く粉末にし、均一な混合物となるように充分攪拌した
後、所望の寸法を有する経口投与用カプセルに充填し
て、目的のカプセル剤を得た。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なって、水素
    原子、低級アルキル基、ヒドロキシル基、ベンゾイル
    基、低級アルコキシカルボニル基又はベンゼン環上にハ
    ロゲン原子を有する3−低級アルキル−4(3H)−キ
    ナゾリノン−2−イル基を示す。但し、R1 、R2 及び
    3 が同時に水素原子であるものを除く。〕で表わされ
    るクロム錯体。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、R1 が水素原
    子、低級アルキル基、ヒドロキシル基、ベンゾイル基又
    はベンゼン環上にハロゲン原子を有する3−低級アルキ
    ル−4(3H)−キナゾリノン−2−イル基であり、R
    2 が水素原子又はベンゼン環上にハロゲン原子を有する
    3−低級アルキル−4(3H)−キナゾリノン−2−イ
    ル基であり、R3 が水素原子、低級アルキル基、低級ア
    ルコキシカルボニル基又はベンゼン環上にハロゲン原子
    を有する3−低級アルキル−4(3H)−キナゾリノン
    −2−イル基である請求項1記載のクロム錯体。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1 、R2 及び
    3 のうちの2つの置換基が水素原子である請求項1又
    は2記載のクロム錯体。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、R1 がヒドロキ
    シル基でR2 及びR 3 が水素原子である化合物、R2
    ベンゼン環上にハロゲン原子を有する3−低級アルキル
    −4(3H)−キナゾリノン−2−イル基でR1 及びR
    3 が水素原子である化合物並びにR3 が低級アルコキシ
    カルボニル基又はベンゼン環上にハロゲン原子を有する
    3−低級アルキル−4(3H)−キナゾリノン−2−イ
    ル基でR1 及びR2 が水素原子である化合物から選ばれ
    る請求項3記載のクロム錯体。
  5. 【請求項5】 クロミウム(III) トリス(5−エト
    キシカルボニルピコリネート)である請求項4記載のク
    ロム錯体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載のクロ
    ム錯体を有効成分とする医薬。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項記載のクロ
    ム錯体を有効成分とする血糖降下剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか1項記載のクロ
    ム錯体及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成
    物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか1項記載のクロ
    ム錯体及び薬学的に許容される担体を含有する血糖降下
    剤組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか1項記載のク
    ロム錯体及び薬学的に許容される担体を含有するインス
    リン低下剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003528070A (ja) * 2000-03-22 2003-09-24 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 殺虫性アントラニルアミド類
JP2014141522A (ja) * 2008-03-13 2014-08-07 Guangzhou Institute Of Biomedicine And Health Chinese Academy Of Sciences エストロゲン関連受容体モジュレータ化合物及びその使用

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