JPH10273475A - 3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸及び3−アセトキシ−2−メチル安息香酸の製造方法 - Google Patents

3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸及び3−アセトキシ−2−メチル安息香酸の製造方法

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JPH10273475A
JPH10273475A JP10028788A JP2878898A JPH10273475A JP H10273475 A JPH10273475 A JP H10273475A JP 10028788 A JP10028788 A JP 10028788A JP 2878898 A JP2878898 A JP 2878898A JP H10273475 A JPH10273475 A JP H10273475A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸及び3-アセト
キシ- 2-メチル安息香酸を高い収率で製造する。 【解決手段】3-クロロ- 2-メチルフェノール(3) 【化1】 と塩化ベンジルとの反応により、2-ベンジルオキシ- 6-
クロロトルエン(4) 【化2】 を生成させ、次いでこれにマグネシウムによるグリニャ
ール反応を起こさせて(3-ベンジルオキシ- 2-メチルフ
ェニル)マグネシウム塩化物(5) 【化3】 を生成させ、これをCO2 と反応させて3-ベンジルオキシ
- 2-メチル安息香酸(6) 【化4】 を生成させ、これを又はそのアルカリ金属塩を水素添加
触媒の存在下に水素添加して3-ヒドロキシ- 2-メチル安
息香酸(2) を生成させ、そしてこれを任意にアセチル化
して3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸を生成させること
を特徴とする、3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸及び3-
アセトキシ- 2-メチル安息香酸を高い収率で製造する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3-ヒドロキシ- 2-
メチル安息香酸及び3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸(1)
は、米国特許第 5,484,926号明細書に開示されている H
IVプロテアーゼインヒビターの前駆体である。
【0003】
【化8】 3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸は、鉱酸の存在下に過
剰の無水酢酸を用いて3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸
(2) から製造される(米国特許第 5,484,926号明細書、
第 111欄、実施例81)。
【0004】
【化9】 化合物3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸自体が、多数の
他の HIVプロテアーゼインヒビターにとって重要な化合
物である。これら活性化合物のいくつかは、WO95/211
64、WO95/32185及びWO96/22287に開示されている。
3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸の多くの合成は以前に
報告されている。
【0005】しかしながら3-ヒドロキシ- 2-メチル安息
香酸の全ての従来の合成は、多くの経済的及び技術的欠
点を有する。DRP 91,201に従って、 260℃でオートクレ
ーブ中における超過量の50%濃度水酸化ナトリウム水溶
液を用いての1,3,5-ナフタレントリスルホン酸の溶融及
び続いての酸性化後処理によって、3-ヒドロキシ- 2-メ
チル安息香酸は製造される。また1,3,5-ナフタレントリ
スルホン酸の1個又は2個のスルホ基が、OH又はNH2
よって置換されているナフタレン誘導体もこの反応に使
用することができる。この方法では、極めて低い収量が
特に欠点となっている。例えば、2-ナフチルアミン- 4,
8-ジスルホン酸のジナトリウム塩から単離される3-ヒド
ロキシ- 2-メチル安息香酸の収率は、18〜27%でしかな
い [Fieser et al. J. Am. Chem. Soc.,58,749(193
6)]。この方法のその上の欠点としては、激しい反応条
件及び高い生成量の環境汚染塩含有廃水が挙げられる。
【0006】別の方法としては、3-クロロ- 2-メチルフ
ェノールから出発する方法がある [Cresp et al., J. C
hem. Soc. Perkin Trans.1,2435(1974)]。これを沸騰熱
でピリジン中においてシアン化銅(I) と反応させ、3-ヒ
ドロキシ- 2-メチルベンゾニトリルを生成させる。第二
段階において、該ニトリルを、水、氷酢酸及び濃硫酸の
沸騰混合物中で18時間加水分解させて、3-ヒドロキシ-
2-メチル安息香酸(2)を生成させる。この方法の第一段
階は、有毒なシアン化水素ガスが反応混合物から放出す
る反応条件下で、極めて毒性の高いシアン化銅(I) を使
用するという著しい欠点を有する。有害なピリジンが溶
剤として使用される。この反応は、困難な後処理及び有
毒な塩を多量に生ずるという欠点がある。第二段階(ア
ミド加水分解)では極めて長い反応時間が必要である。
非常に高い反応温度で、酸性反応媒体は、化学プラント
に通常使用される材料に対して極めて腐食性が大きい。
【0007】Moreau et al., Bull. Soc. Chim. Fr., 3
427(1973) では、2-メチル- 3-ニトロ安息香酸から出発
して3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸を製造する方法が
開示されている。2-メチル- 3-ニトロ安息香酸は、パラ
ジウム/炭素上の接触還元によって3-アミノ- 2-メチル
安息香酸に還元される。このアミノ酸誘導体のジアゾ化
及びそのジアゾニウム塩の煮沸の後、3-ヒドロキシ- 2-
メチル安息香酸が得られる。
【0008】この合成ルートは、出発物質2-メチル- 3-
ニトロ安息香酸の有効性が乏しいという欠点がある。Ku
lic et al., J. Gen. Chem. USSR(Engl.), 60, 2118(19
90)では、2,3-ジメチルニトロベンゼンから2-メチル- 3
-ニトロ安息香酸への酸化を、75℃で相間移動触媒の存
在下に、水性過マンガン酸カリウムを用いて実施してい
る。この方法では2-メチル- 3-ニトロ安息香酸は純粋な
生成物として得られないで、3-ニトロフタル酸と少量の
3-メチル- 2-ニトロ安息香酸との混合物として得られ
る。該粗生成物から純粋な2-メチル- 3-ニトロ安息香酸
を得るためには、複雑な精製が必要となる。これでは収
量が低下してしまう。別の重大な欠点としては、酸化反
応の極度に乏しい空間収量が挙げられる。水 100ml当た
り、2,3-ジメチルニトロベンゼンが2.4gしか使用されな
い(p.2121参照)。更に、処分しなければならない二酸
化マンガンが、過マンガン酸塩による酸化の際に生ず
る。
【0009】他の酸化剤を用いる2,3-ジメチルニトロベ
ンゼンの酸化もまた満足には進行しない。例えば、水性
硝酸を用いる2,3-ジメチルニトロベンゼンの酸化は、所
望の2-メチル- 3-ニトロ安息香酸を46.6%の収量でしか
もたらさない(米国特許第 4,065,477号明細書、第4
欄)。2-メチル- 3-ニトロ安息香酸の別の製造方法は、
o-トルイル酸のニトロ化を特徴としている[Giacolone,
Gazz. Chem. Ital., 65, 840(1935)] 。しかしながらこ
のニトロ化では、異性体の2-メチル- 5-ニトロ安息香酸
が主生成物として得られる。2-メチル- 3-ニトロ安息香
酸 1部当たり、 2部の2-メチル- 5-ニトロ安息香酸が生
成する。2-メチル- 3-ニトロ安息香酸へのニトロ化の乏
しい選択性に基づいて、この合成は2-メチル- 3-ニトロ
安息香酸を費用の上で有用な方法として利用するには適
していない。
【0010】3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸(2) の別
の合成は、3-メトキシベンゾイル塩化物から出発する。
3-メトキシベンゾイル塩化物はアニリンと反応して3-メ
トキシ- N-フェニルベンズアミドを生ずる。3-メトキシ
- N-フェニルベンズアミドと2当量のn-ブチルリチウム
との反応及び続いてのヨウ化メチルによるアルキル化に
よって、3-メトキシ- 2-メチル- N-フェニルベンズアミ
ドが生じる。沸騰酢酸中での3-メトキシ- 2-メチル- N-
フェニルベンズアミドと水性塩酸及び水性臭化水素酸と
の反応は、アミド官能基の加水分解及びメトキシ基の脱
離及び3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸の生成をもたら
す。この反応順序の欠点は、第二段階において極めて低
い温度( -15℃〜-70 ℃)が必要となることである。該
温度は、工業的規模での反応を実施する場合やっと達成
できる。第三段階では、メトキシ基を脱離させるために
非常に活動的な反応条件が必要である。更に、発癌性の
疑いがあるガス状物質の塩化メチル及び臭化メチルが、
脱離の必然的な副生成物として生成する。加えて酸性反
応媒体は、化学プラントに通常使用される材料に対して
極めて大きい腐食作用を有する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】故に、経済的にもまた
技術的にも簡単な方法で3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香
酸及び3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸を得る方法が大
いに要求されている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題は、3-ヒドロキ
シ- 2-メチル安息香酸及び3-アセトキシ- 2-メチル安息
香酸を製造する方法において、3-クロロ- 2-メチルフェ
ノール(3)
【0013】
【化10】 と塩化ベンジルとの反応により、2-ベンジルオキシ- 6-
クロロトルエン(4)
【0014】
【化11】 を生成させ、次いでこれにマグネシウムによるグリニャ
ール反応を起こさせて(3-ベンジルオキシ- 2-メチルフ
ェニル)マグネシウム塩化物(5)
【0015】
【化12】 を生成させ、これをCO2 と反応させて3-ベンジルオキシ
- 2-メチル安息香酸(6)
【0016】
【化13】 を生成させ、これを又はそのアルカリ金属塩を水素添加
触媒の存在下に水素添加して3-ヒドロキシ- 2-メチル安
息香酸(2) を生成させ、そしてこれを任意にアセチル化
して3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸を生成させること
を特徴とする上記製造方法によって達成される。
【0017】同様に本発明は、中間体の2-ベンジルオキ
シ- 6-クロロトルエン(4) 、(3-ベンジルオキシ- 2-メ
チルフェニル)マグネシウム塩化物(5) 及び3-ベンジル
オキシ- 2-メチル安息香酸(6) に関する。本発明による
方法は、費用上有効でありそして廃棄物の生成が比較的
低いという著しい利点を有している。3-クロロ- 2-メチ
ルフェノールは、安価な出発物質3-クロロ- 2-メチルア
ニリンから、ジアゾ化及び続いての煮沸によって高い収
量で製造することができる。この種の方法は、Noelting
et al., Chem. Berichte,37, 1015, (1904) に開示さ
れている。
【0018】2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエンへの
3-クロロ- 2-メチルフェノールのアルキル化は、多くの
溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジメチル
ホルムアミド中で行うことができる。メチルエチルケト
ンを使用するのが特に好ましいことが判った。3-クロロ
- 2-メチルフェノール 1モル当たり、 1.0〜5.0 モル、
好ましくは 1.1〜1.2 モルの塩化ベンジルを使用するの
が好ましい。アルキル化反応は、3-クロロ- 2-メチルフ
ェノール 1モル当たり、少なくとも 1モルの塩基、例え
ば水酸化ナトリウム又は炭酸カリウムの存在下に実施す
るのが有利である。炭酸カリウムを使用するのが好都合
である。3-クロロ- 2-メチルフェノール1モル当たり、
1.0〜5.0 モル、好ましくは 2.0〜2.5 モルの炭酸カリ
ウムが有利に使用される。生成物を含む有機溶液は、炭
酸カリウムから濾別しそして蒸留によって後処理する。
【0019】(3-ベンジルオキシ- 2-メチルフェニル)
マグネシウム塩化物を生成させる、2-ベンジルオキシ-
6-クロロトルエンとマグネシウムとのグリニャール反応
は、常法に従って実施する(Ullmann's Encyclopedia o
f Industrial Chemistry, 5th edition, Volume A15, p
ages 625-626参照)。このグリニャール反応は、反応媒
体としてのテトラヒドロフラン(THF) 中で実施するのが
適当であることが判った。
【0020】3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸を生
成させる、(3-ベンジルオキシ- 2-メチルフェニル)マ
グネシウム塩化物と二酸化炭素との反応は、過剰量の二
酸化炭素ガスを THFにおけるグリニャール試薬(5) の T
HF溶液中に通すことによって遂行することができる。別
の方法としては、二酸化炭素ガスを通す間及びグリニャ
ール溶液を添加している間に、最初に THFを導入する方
法がある。この場合、酸(6) の塩化マグネシウム塩の懸
濁物が最初に生じる。その塩は十分な量の水性鉱酸、好
ましくは水性塩酸で、遊離酸(6) が完全に遊離するよう
に加水分解される。
【0021】加水分解の後、生成物を含む THF相を塩含
有水性相から分離させる。溶液からの酸の単離は、種々
の方法で行うことができる。グリニャール試薬(5) のカ
ルボキシル化において、その他の多くの変法を採用する
ことができる。二酸化炭素は固体状でも使用することが
できる。この場合、グリニャール溶液中にドライアイス
を少しづつ導入するか、あるいは反応媒体中にドライア
イスを最初に導入しておいてグリニャール試薬の溶液を
添加することができる。二酸化炭素はまた液体状でも使
用することができる(例えば、BP 1,028,599参照)。
【0022】3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸及びトル
エンへの3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸の水添分
解は、水性媒体中で実施するのが好ましい。3-ベンジル
オキシ- 2-メチル安息香酸の水溶性を改善するために、
ここで3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸 1モル当た
り少なくとも 1.0モルの強塩基、例えば水酸化ナトリウ
ム又は水酸化カリウム(好ましくは水酸化ナトリウム)
を反応混合物に添加するのが有利であり、これによりカ
ルボン酸の水に溶解し易いアルカリ金属塩が生じる。塩
基は固体又は水溶液のどちらでも添加することができ
る。しかしながらこの反応は、中性条件下に有機媒体中
で実施することもできる。水添分解は、室温及び穏やか
な水素圧(1-10bar) でも進行する。水性塩基媒体中の手
順においては、水添分解が完了した後に触媒を濾過す
る。生成物を含む水性相をトルエン相から分離して酸性
にする。沈殿した3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸を濾
過によって単離する。
【0023】通常の水素添加触媒、例えば活性炭上のパ
ラジウム、活性炭上の白金又はラネーニッケルも水添分
解で使用することができる。活性炭上のパラジウムを使
用するのが好ましいことが判った。水性媒体中での水添
分解の実施は、中間でヒドロキシ酸(2) を単離させない
で、3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸への3-ベンジルオ
キシ- 2-メチル安息香酸の接触還元及び3-アセトキシ-
2-メチル安息香酸を生成させるアセチル化を実施するの
が有利である。
【0024】水添分解は、この場合、3-ベンジルオキシ
- 2-メチル安息香酸 1モル当たり、少なくとも 1.0モル
(好ましくは 2.0〜3.0 モル)の強塩基の存在下に実施
するのが有利である。水酸化ナトリウムを塩基として使
用するのが好ましい。触媒の濾過及び有機トルエン相の
分離の後、アセチル化するために生成物含有水性相を無
水酢酸で処理する。使用される3-ベンジルオキシ- 2-メ
チル安息香酸 1モル当たり、 1.0〜3.0 モル、好ましく
は 1.2〜1.6 モルの無水酢酸を使用するのが有利であ
る。水性処理は、極めて簡単な後処理及び生成物の単離
を可能にする。即ち、強鉱酸、例えば塩酸による反応混
合物の酸性化の後、3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸
は、濾過によって高い収量で単離される沈殿物として水
から析出される。しかしながら、無水酢酸との反応の直
ぐ後でもトルエン相の分離は可能である。
【0025】
【実施例】
2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエン 3-クロロ- 2-メチルフェノール143g(1.0 モル)、塩化
ベンジル139g(1.1 モル)、炭酸カリウム276g(2.0 モ
ル)及びメチルエチルケトン(MEK )680gの混合物を、
撹拌しながら還流下に加熱する。 8時間後、炭酸カリウ
ムをさらに25g(0.18モル)添加し、次いで混合物をさ
らに 8時間還流下に加熱する。このバッチを濾過しそし
て濾過ケーキをMEK で洗浄する。蒸留による後処理の
後、2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエン(沸点 161
℃、3 mbar)206gが、淡黄色の液体として99.6%純度
(GCによる表面積%)で得られる。これは理論値の88.3
%の収量に相当する。 1HNMR(CDCl3,60MH z ):δ(ppm):
6.6-7.4(m,8H);5.0(s,2H);2.3(s,3H) 。GC-MS:M + = 2
32。
【0026】3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸 2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエン(232.7g、 1.0モ
ル)に、THF 550ml 中でマグネシウム屑 26.7g( 1.1モ
ル)によるグリニャール反応を受けさせる。これにより
生じたTHF 中の(3-ベンジルオキシ- 2-メチルフェニ
ル)マグネシウム塩化物の黒褐色溶液を、氷浴により冷
却するまで 0℃で撹拌する。撹拌されている反応混合物
に、その温度が10℃を越えないように CO2ガスをゆっく
り通す。これにより生じたTHF 中の固体懸濁物を、水50
ml及び塩酸(10%濃度)445g( 1.2モル)をゆっくり添
加することによって冷却しながら加水分解する。加水分
解した反応混合物をキシレン430gで希釈する。相が分離
しそしてその有機相を水100gで洗浄する。分離した生成
物含有有機相を、残液がTHF を含まなくなるまで蒸留す
る。次いで残液を 0℃で撹拌して冷却する。結晶化した
生成物を濾過してキシレン50mlで洗浄する。減圧乾燥し
た後、3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸152.3gが得
られる。これは理論値の62.9%の収量に相当する。融
点: 126〜127 ℃。1HNMR(DMSO-d6, 60MH z ):δ(ppm):
12.9(bs, 1H);7.6-7.1(m, 8H);5.1(s, 2H);2.4(s,3H)。
GC-MS:M + = 242。
【0027】3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸 水700gに溶解した3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸
(50g,0.21モル)及び水酸化ナトリウム(9g,0.225モ
ル)の溶液及び 5%Pd/C触媒(水分50%)2gを、2L容の
鋼製オートクレーブに通気撹拌しながら添加する。10 b
arの水素を50℃の温度及び 800 rpmの撹拌速度において
注入する。消費した水素は繰り返し注入することによっ
て補充する。20分後、水素の吸収量が低下する。触媒を
加圧濾過によって室温で濾過する。トルエン7.7gを分液
漏斗中で分離することにより、粗製溶液760.7gが得られ
る。合計 22.2gの塩酸(37%濃度)を粗製溶液に添加
し、次いで溶液を 0℃に冷却する。沈殿した固形物を吸
引濾過し、そして水 50gで 2回洗浄する。乾燥後、 147
℃の融点を有する3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸 18.
0gが得られる。母液を濃縮した後、その物質をさらに9.
6gを得ることができ、それにより全収量は 27.6g又は理
論値の88.1%となる。
【0028】3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸 3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸 60.9g(0.40モル)を
2N水酸化ナトリウム溶液(1.00モル) 500ml中に撹拌し
ながら導入し、これにより生じた溶液を 5℃に冷却す
る。その冷却した溶液に無水酢酸 61.3g(0.60モル)を
添加する。ここでその反応混合物を、温度が 8℃を越え
ないように冷却する。次いで反応混合物を37%塩酸88ml
で酸性化する。沈殿した生成物を濾過し、水50mlで 3回
洗浄しそして減圧乾燥する。3-アセトキシ- 2-メチル安
息香酸 69.9gが得られる。これは理論値の90.0%の収量
に相当する。融点: 147℃〜148 ℃。
【0029】3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸を中間で
単離することなく、3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香
酸の水添分解及び続いてのアセチル化による3-アセトキ
シ-2-メチル安息香酸の製造 水700gに溶解した3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸
(50g,0.21モル)及び水酸化ナトリウム(20g, 0.5モ
ル)の溶液及び 5%Pd/C触媒(水分50%)2gを、2L容の
鋼製オートクレーブに通気撹拌しながら添加する。10 b
arの水素を25℃の温度及び 800 rpmの撹拌速度で注入す
る。消費した水素原子は繰り返し注入することによって
補充する。15分後、水素原子の吸収量が低下する。触媒
を加圧濾過によって室温で濾過する。トルエン7.1gを分
液漏斗中で分離することにより、粗製溶液735.8gが得ら
れる。pH計を備えた1L容の 4首フラスコ中で粗製水溶液
を 0℃に冷却する。その水溶液のpHは14である。無水酢
酸 31.3g( 0.3モル)を 5分間にわたって滴下する。そ
のpHは 6.0に低下する。次いで溶液を、塩酸(37%濃
度) 49.3g( 0.5モル)でゆっくり処理する(pH 1.
1)。これにより白色沈殿物が堆積する。懸濁液をさら
に30分間撹拌し、次いで沈殿物を濾過して氷水 50gで2
回洗浄する。乾燥後、3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸
37.5g(理論値の93.7%)が得られる(融点: 147
℃)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸及び3-
    アセトキシ- 2-メチル安息香酸を製造する方法におい
    て、3-クロロ- 2-メチルフェノール(3) 【化1】 と塩化ベンジルとの反応により、2-ベンジルオキシ- 6-
    クロロトルエン(4) 【化2】 を生成させ、次いでこれにマグネシウムによるグリニャ
    ール反応を起こさせて(3-ベンジルオキシ- 2-メチルフ
    ェニル)マグネシウム塩化物(5) 【化3】 を生成させ、これをCO2 と反応させて3-ベンジルオキシ
    - 2-メチル安息香酸(6) 【化4】 を生成させ、これを又はそのアルカリ金属塩を水素添加
    触媒の存在下に水素添加して3-ヒドロキシ- 2-メチル安
    息香酸(2) を生成させ、そしてこれを任意にアセチル化
    して3-アセトキシ- 2-メチル安息香酸を生成させること
    を特徴とする上記方法。
  2. 【請求項2】 2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエン
    (4) への3-クロロ- 2-メチルフェノール(3) のベンジル
    化において、メチルエチルケトンを反応媒体として使用
    する請求項 1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエン
    (4) への3-クロロ- 2-メチルフェノール(3) のベンジル
    化において、3-クロロ- 2-メチルフェノール(3) 1モル
    当たり、 1.0〜5.0 モル、好ましくは 1.1〜1.2 モルの
    塩化ベンジル及び 1.0〜5.0 モル、好ましくは 2.0〜2.
    5 モルの炭酸カリウムを使用する請求項1又は 2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 (3-ベンジルオキシ- 2-メチルフェニ
    ル)マグネシウム塩化物(5) を生成させる2-ベンジルオ
    キシ- 6-クロロトルエン(4) とマグネシウムとの反応
    を、反応媒体としてのテトラヒドロフラン中で実施する
    請求項 1〜3 のいずれか 1つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 水素添加触媒が活性炭上のパラジウムで
    ある請求項 1〜4 のいずれか 1つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 3-ヒドロキシ- 2-メチル安息香酸(2) 及
    びトルエンへの3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸
    (6) のナトリウム塩の水素添加を、水性媒体中で実施す
    る請求項 1〜5 のいずれか 1つに記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項 1〜4 のいずれか 1つに記載の方
    法で得られる3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸(6)
    を、水素添加触媒の存在下に塩基性水性媒体中で3-ヒド
    ロキシ- 2-メチル安息香酸(2) 及びトルエンに加水分解
    し、触媒を濾過によって分離し、水性相をトルエン相か
    ら分離して無水酢酸と反応させ、そして反応混合物を酸
    性化する、請求項 1〜6 のいずれか 1つに記載の方法。
  8. 【請求項8】 2-ベンジルオキシ- 6-クロロトルエン
    (4) 【化5】
  9. 【請求項9】 (3-ベンジルオキシ- 2-メチルフェニ
    ル)マグネシウム塩化物(5) 【化6】
  10. 【請求項10】 3-ベンジルオキシ- 2-メチル安息香酸
    (6) 【化7】
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