JPH08302080A - 持続性を有するオレフィン系防虫樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

持続性を有するオレフィン系防虫樹脂組成物およびその成形体

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JPH08302080A
JPH08302080A JP7106226A JP10622695A JPH08302080A JP H08302080 A JPH08302080 A JP H08302080A JP 7106226 A JP7106226 A JP 7106226A JP 10622695 A JP10622695 A JP 10622695A JP H08302080 A JPH08302080 A JP H08302080A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 害虫に対する防虫作用の持続性を制御するこ
とができ、長期間にわたって防虫作用の持続性を有し、
しかも耐候性に優れた防虫樹脂組成物およびその成形体
を提供する。 【構成】 (A)相対的に低移行性のオレフィン系重合
体100重量部と、(B)相対的に高移行性のエチレン
系重合体10乃至400重量部とを組み合わせ、この組
み合わせに(C)ピレスロイド系防虫剤0.3乃至15
重量部を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、持続性を有するオレフ
ィン系防虫樹脂組成物およびその成形体に関するもの
で、より詳細には、厨房器の箱や流し台、電子機器のハ
ウジング素材、自動販売機、床材、壁材、天井材等への
ゴキブリ、アリ、ムカデ、ユスリカ、シロアリ等の進入
を阻止したり、衣類の収納ケース、タンス等へのイガ、
カツオブシムシの進入を阻止するための、ピレスロイド
系を主成分とした持続性を有するオレフィン系防虫樹脂
組成物およびその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】現在、住宅様式の変化に
より、カビの発生が促進され、害虫の発生が増大してい
る。これらの被害の対策には、従来、殺虫剤を用いたエ
アゾール、燻蒸剤、毒餌や捕獲器などの利用が一般に行
われているが、効果の持続性が長くて1年程度と不十分
である。
【0003】防虫性の持続性をもたせるための処理方法
として、防虫剤をマイクロカプセル化させて持続性の向
上を図ったり、ポリエチレンやポリプロピレンに防虫剤
を含有させる方法がとられているが、衛生害虫、飛来害
虫、不快害虫、衣類害虫等で持続性により効果が発現す
る場合は、効果が不十分であったり、効果の持続性が短
いという欠点を有しており、さらにコスト高につくこと
も問題であった。
【0004】また、有機リン系殺虫剤は安全性に問題点
があり、シロアリに対しても問題視されている。
【0005】
【発明の課題】そこで、従来の技術が有している効果の
不十分性や持続性の短い欠点を解決するべく検討した結
果、複数種のオレフィン系重合体を組み合わせてピレス
ロイド系防虫剤を配合すると、害虫に対する防虫作用の
持続性を制御することができ、しかも長期間にわたって
防虫作用の持続性が得られることを見いだした。
【0006】即ち、本発明の目的は、害虫に対する防虫
作用の持続性を制御することができ、長期間にわたって
防虫作用の持続性を有し、しかも耐候性に優れた防虫樹
脂組成物およびその成形体を提供するにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
相対的に低移行性のオレフィン系重合体100重量部、
(B)相対的に高移行性のエチレン系重合体10乃至4
00重量部、及び(C)ピレスロイド系防虫剤0.3乃
至15重量部を含有することを特徴とする防虫作用の持
続性を有する防虫樹脂組成物並びにこの樹脂組成物から
成る成形体が提供される。
【0008】
【作用】本発明では、(A)相対的に低移行性のオレフ
ィン系重合体100重量部と、(B)相対的に高移行性
のエチレン系重合体10乃至400重量部とを組み合わ
せ、この組み合わせに(C)ピレスロイド系防虫剤0.
3乃至15重量部を含有させたことが特徴である。
【0009】上記オレフィン系重合体の組み合わせを用
いることにより、オレフィン系重合体の単独を使用する
場合に比して、害虫に対する防虫作用の持続性を制御す
ることができ、長期間にわたって防虫作用を持続させる
ことができ、しかも耐候性を顕著に向上させることがで
きる。
【0010】後述する表1を参照されたい。オレフィン
系重合体単独にピレスロイド系防虫剤を配合した場合、
防虫作用の著しく劣るものもあり、また比較的短時間の
使用では十分な防虫作用(高いノックダウン率)を示す
ものもあるが、この後者のものでも耐候試験(60℃×
6カ月の促進試験)後には防虫作用は著しく低下する。
【0011】これに対して、(A)相対的に低移行性の
オレフィン系重合体と、(B)相対的に高移行性のエチ
レン系重合体との組み合わせを使用し、この組み合わせ
にピレスロイド系防虫剤を配合した組成物では、比較的
短時間の使用では勿論十分な防虫作用を示すと共に、耐
候試験後にも初期とほぼ同じ防虫作用を示すのであっ
て、この組成物は、防虫作用の持続性は勿論のこと、耐
候性にも顕著に優れていることが明らかである。
【0012】一般に、樹脂成形体中に配合した防虫剤に
より防虫作用が発現されるのは、移行(migration )、
即ち可塑化プラスチックに配合された配合剤が、配合物
内で高濃度の側から低濃度の方(表面)へ移動する現象
によるものである。この移行現象の生成する程度はプラ
スチックと配合剤との相溶性等の性質にも関連してい
る。
【0013】相対的に低移行性のオレフィン系重合体に
ピレスロイド系防虫剤を配合した場合、防虫剤の移行が
防虫作用を示すというには極めて少なく、一方相対的に
高移行性のエチレン系重合体にピレスロイド系防虫剤を
配合した場合、防虫作用の初期には優れた防虫作用を示
すが、防虫剤の移行があまり早すぎるため、防虫作用の
持続性に欠けるのに対して、本発明において、これらの
両樹脂の組み合わせにピレスロイド系防虫剤を配合する
と、上記何れの場合から予測されるよりも、耐候試験後
の防虫作用が飛躍的に向上するのであって、これは両樹
脂の分散構造がピレスロイド系防虫剤の移行を最適な範
囲に制御し、優れた防虫作用とその持続性とを付与して
いるものと思われる。
【0014】本発明において、(A)相対的に低移行性
のオレフィン系重合体と、(B)相対的に高移行性のエ
チレン系重合体とを、上記量比で用いることも重要であ
り、(B)相対的に高移行性のエチレン系重合体の含有
量が上記範囲よりも少ないと、防虫作用のレベルそのも
のが低くなり、一方上記範囲よりも多いと、防虫作用に
持続性や耐候性が低下する傾向がある。
【0015】本発明において、防虫剤としてピレスロイ
ド系防虫剤を使用するのは、このものが人畜に対する安
全性と防虫作用との組み合わせに優れていることとオレ
フィン系重合体に対する混練性と、適度な移行性とを有
することによるものであるが、上記量比で配合する場合
に、優れた防虫作用と持続性とが得られる。即ち、上記
範囲より少ないと防虫作用やその持続性が本発明に比し
てかなり低下する傾向があり、一方上記範囲よりも多い
と樹脂組成物の物性が低下したり、効果上も格別の利点
がなく、経済的に不利である。
【0016】
【発明の好適態様】本発明において、相対的に低移行性
のオレフィン系重合体(A)としては、高密度ポリエチ
レン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)ま
たはポリプロピレン系重合体が好適に使用され、ここ
で、ポリプロピレン系重合体としては、ホモポリマー、
ランダム・コモポリマー及びブロック・コモポリマー等
の結晶性ポリプロピレン系重合体が使用される。
【0017】一方、相対的に高移行性のエチレン系重合
体としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状
低密度ポリエチレン(LLDPE)またはエチレン系共
重合体が好適に使用され、ここで、エチレン系共重合体
としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸共重合体、アイオノマー(イオン架橋エチレ
ン共重合体)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレ
ン−ブテン共重合体等が使用される。
【0018】適度の相溶性を有し所謂海−島或いは層状
分布等の分散構造を取る樹脂の組み合わせが好ましく、
例えば、相対的に低移行性のオレフィン系重合体(A)
が高密度ポリエチレンであり且つ相対的に高移行性のエ
チレン系重合体(B)が低密度ポリエチレンである組み
合わせや、相対的に低移行性のオレフィン系重合体
(A)が結晶性ポリプロピレン系重合体であり且つ相対
的に高移行性のエチレン系重合体(B)が低密度ポリエ
チレンである組み合わせが好ましいものである。
【0019】ピレスロイド系防虫剤(C)としては、テ
ラレトリン、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、
フラメトリン、レスメトリン、ピレスメトリン、フェノ
トリン、ペルメトリン、ビフェントリン、シフェノトリ
ン、シフルトリン、デルタメトリン、トラロメトリン、
エンペントリン、フタルスリン、フェンバレレート、サ
イパーメトリン、サイフェノスリン、エトフェンプロッ
クス、フルフェンプロックス、フルプロキシフェン及び
シラフルオフェンから成る群より選択された少なくとも
1種のピレスロイド系化合物が単独或いは2種以上の組
み合わせで使用される。
【0020】(A)相対的に低移行性のオレフィン系重
合体100重量部に対して、(B)相対的に高移行性の
エチレン系重合体を、10乃至400重量部、特に30
乃至300重量部の量で用いるのがよく、(B)相対的
に高移行性のエチレン系重合体の配合重量部を変更する
ことにより、防虫作用の持続性を制御することができ
る。即ち、(B)成分の配合量を多くする(少なくす
る)ことにより、ピレスロイド系防虫剤の単位時間当た
りの移行量を多くする(少なくする)ことができる。
【0021】(C)ピレスロイド系防虫剤の量は、
(A)の100重量部に対して0.3乃至15重量部、
特に0.5乃至8重量部配合するのがよい。
【0022】ピレスロイド系防虫剤の配合の仕方には、
樹脂の混練時にピレスロイド系防虫剤が存在する限り、
特に制限はなく、例えば(A)及び(B)の両方の樹脂
に同時に配合しても、或いは一方の樹脂に予め配合して
もよい。勿論、ピレスロイド系防虫剤を高濃度で配合し
たマスターバッチを予め調製し、このマスターバッチを
未配合の樹脂と配合混練するようにすることもできる。
【0023】本発明の樹脂組成物には、必要に応じて他
の添加物、例えば、無機フィラー類、中和剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、顔料、分散
剤、過酸化物等を添加することができる。
【0024】また、本発明の樹脂組成物は、押出成形、
インフレション成形、射出成形、ブロー成形、プレス成
形等の成形が可能であり、厨房器の箱、流し台、電子機
器のハウジング素材、床材、壁材、天井材、衣類の収納
ケース、タンス等或いはその構成部品乃至部材として有
用である。
【0025】以下実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0026】実施例1 高密度ポリエチレン30重量部(ハイゼックス 330
0F 三井石油化学製)と低密度ポリエチレン70重量
部(ミラソン 12 三井石油化学製)とにピレスロイ
ド系防虫剤(エトフェンプロックス 三井東圧化学製)
1重量部を含む組成物を厚み0.13mmのフィルムを
インフレーション成形した。
【0027】実施例2 高密度ポリエチレン50重量部(ハイゼックス 330
0F 三井石油化学製)と低密度ポリエチレン50重量
部(ミラソン 12 三井石油化学製)とにピレスロイ
ド系防虫剤(エトフェンプロックス 三井東圧化学製)
1重量部を含む組成物を厚み0.13mmのフィルムを
インフレーション成形した。
【0028】実施例3 高密度ポリエチレン70重量部(ハイゼックス 330
0F 三井石油化学製)と低密度ポリエチレン30重量
部(ミラソン 12 三井石油化学製)とにピレスロイ
ド系防虫剤(エトフェンプロックス 三井東圧化学製)
1重量部を含む組成物を厚み0.13mmのフィルムを
インフレーション成形した。
【0029】実施例4 高密度ポリエチレン50重量部(ハイゼックス 500
0S 三井石油化学製)と低密度ポリエチレン50重量
部(ミラソン 50 三井石油化学製)とにピレスロイ
ド系防虫剤(アレスリン 住友化学製)1重量部を含む
組成物を厚み1.0mmのシートに押出成形した。
【0030】実施例5 結晶性のポリプロピレン50重量部(ハイポール F3
01 三井石油化学製)と低密度ポリエチレン50重量
部(ミラソン 50 三井石油化学製)とにピレスロイ
ド系防虫剤(アレスリン 住友化学製)1重量部を含む
組成物を厚み1.0mmのシートに押出成形した。
【0031】比較例1 結晶性のポリプロピレン100重量部(ハイポール F
301 三井石油化学製)とピレスロイド系防虫剤(エ
トフェンプロックス 三井東圧化学製)1重量部を含む
組成物を厚み0.13mmのフィルムをインフレーショ
ン成形した。
【0032】比較例2 低密度ポリエチレン100重量部(ミラソン 50 三
井石油化学製)とピレスロイド系防虫剤(エトフェンプ
ロックス 三井東圧化学製)1重量部を含む組成物を厚
み0.13mmのフィルムをインフレーション成形し
た。
【0033】比較例3 低密度ポリエチレン100重量部(ミラソン 50 三
井石油化学製)とピレスロイド系防虫剤(アレスリン
住友化学製)1重量部を含む組成物を厚み1.0mmの
シートに押出成形した。
【0034】比較例4 高密度ポリエチレン50重量部(ハイゼックス 330
0F 三井石油化学製)と低密度ポリエチレン50重量
部(ミラソン 12 三井石油化学製)を含む組成物を
厚み0.13mmのフィルムをインフレーション成形し
た。
【0035】※ ゴキブリに対する効力性 実施例1〜5および比較例1〜4で得られたシートおよ
びフィルムについて防虫効果の評価を行った。その方法
は、上記シートおよびフィルムに、チャバネゴキブリ雌
雄各5頭を直径9cmビーカー内に入れ、直接接触させ
た時のノックダウン率の経時変化を調べた。試験は、製
造直後と60℃下で6ケ月間の耐候処理した試験体につ
いて行った。その結果を表1に示す。
【0036】
【0037】比較例の結果より、結晶性のポリプロピレ
ンは、初期効果が低く、耐候処理後においても余り効果
は変わらず実用的な効果を有していないことが知れる。
さらに、低密度ポリエチレンの場合は、初期効果は高い
が持続性が短いことが知れる。一方、実施例において
は、初期効果が高く耐候処理後においても実用的な効果
を有しており、持続性が高いことが判明した。さらに、
オレフィン系重合体の比率を変えることにより、用途に
応じて持続性を制御できることがわかった。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、(A)相対的に低移行
性のオレフィン系重合体100重量部と、(B)相対的
に高移行性のエチレン系重合体10乃至400重量部と
を組み合わせ、この組み合わせに(C)ピレスロイド系
防虫剤0.3乃至15重量部を含有させたことにより、
オレフィン系重合体の単独を使用する場合に比して、害
虫に対する防虫作用の持続性を制御することができ、長
期間にわたって防虫作用を持続させることができ、しか
も耐候性を顕著に向上させることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)相対的に低移行性のオレフィン系
    重合体100重量部、(B)相対的に高移行性のエチレ
    ン系重合体10乃至400重量部、及び(C)ピレスロ
    イド系防虫剤0.3乃至15重量部を含有することを特
    徴とする防虫作用の持続性を有する防虫樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 相対的に低移行性のオレフィン系重合体
    (A)が高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンまた
    はポリプロピレン系重合体である請求項1記載の防虫樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン系重合体が、ホモポリマ
    ー、ランダム・コモポリマー及びブロック・コモポリマ
    ーから成る群より選択されたポリプロピレン系重合体で
    ある請求項2記載の防虫樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 相対的に高移行性のエチレン系重合体が
    低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは
    エチレン系共重合体である請求項1乃至3の何れかに記
    載の防虫樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 相対的に低移行性のオレフィン系重合体
    (A)が高密度ポリエチレンであり且つ相対的に高移行
    性のエチレン系重合体(B)が低密度ポリエチレンであ
    る請求項1記載の防虫樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 相対的に低移行性のオレフィン系重合体
    (A)が結晶性ポリプロピレン系重合体であり且つ相対
    的に高移行性のエチレン系重合体(B)が低密度ポリエ
    チレンである請求項1記載の防虫樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5の何れかに記載の組成物
    から成ることを特徴とする防虫作用の持続性を制御する
    ことができる防虫樹脂成形体。
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