JPH0723304B2 - 薬剤成分固定化組成物 - Google Patents

薬剤成分固定化組成物

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JPH0723304B2
JPH0723304B2 JP63094511A JP9451188A JPH0723304B2 JP H0723304 B2 JPH0723304 B2 JP H0723304B2 JP 63094511 A JP63094511 A JP 63094511A JP 9451188 A JP9451188 A JP 9451188A JP H0723304 B2 JPH0723304 B2 JP H0723304B2
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crystal
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Description

【発明の詳細な説明】 (a) 発明の目的 (産業上の利用分野) 本発明は薬剤成分固定化組成物に関する。
本明細書に記載の「薬剤成分」とは、医薬及び栄養強化
剤から選ばれた薬剤成分をいう。
(従来の技術) 従来、薬剤成分は、液状、粉末状、細粒状、顆粒状又は
錠剤状等の種々の形態において使用されている。しか
し、液状のものは輸送や取扱いに不便であるし、粉末状
のものは流動性、計量性等の取扱い性が悪く、かつ包装
工程で多くの労力や費用を要する等の欠点があった。そ
のために薬剤成分は顆粒状や錠剤等に成形される場合が
多い。
また、たとえばL−リジン、ストレプトマイシン、果
糖、塩酸チアミン、塩酸ジフエドトラミン等の粉末状又
は顆粒状のものは、湿度の高い空気中に放置すると吸湿
してべとべと状のものとなったり、固結したりして使用
しにくいし、さらに吸湿等によって分解や着色が促進さ
れる等の欠点がある。また、薬剤成分の種類によって
は、たとえばキニネやテオフイリンなどのように苦みが
強いときには、増量ないしは甘味付与等の目的でしょ糖
や乳糖などを添加することがあるが、しょ糖や乳糖を添
加するとう蝕性や高カロリーのものになるなどのために
健康上好ましくなかったり、しょ糖の場合にはさらに吸
湿性や、酸、アルカリ若しくは熱による着色の問題等も
発生する。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、空気中に放置しても非吸湿性、非変質性であ
り、包装や取扱いや使用が容易な結晶様状態であり、し
かも服用等にもなんら支障のない状態のものに、種々の
薬剤成分を固定化した薬剤成分固定化組成物を提供しよ
うとするものである。
(b) 発明の構成 (問題点を解決するための手段) 本発明者は、前記の問題点を解決するために種種研究を
重ねた結果、薬剤成分をメソ−エリスリトールの結晶中
及び/又は聚晶間に含有せしめて固定化することによ
り、その目的を達成することができたのである。
すなわち、本発明の薬剤成分固定化組成物は、薬剤成分
をメソ−エリスリトールの結晶及び/又は聚晶間に含有
せしめてなるものである。
本発明におけるメソ−エリスリトールは、構造式 で表わされる四価の糖アルコールであり、分子量122、
融点119℃の白色結晶で、外観がしょ糖のグラニュー糖
に似ていて、水に溶け、非消化性(低カロリー性)、非
う蝕性である。メソ−エリスリトール(以下、単に「エ
リスリトール」と略称する)は、天然の藻類、キノコ類
などに含まれ、また日本酒、ワイン、醤油などにも少量
含まれている。その甘味の強さ及び甘味質は、パネルテ
スト結果によれば、甘味の強さがしょ糖よりやや弱く、
ぶどう糖よりやや強く、しょ糖の約75〜80%の甘味強さ
に相当し、口当りがしょ糖の甘味に近いが、後味がしょ
糖よりも甘味が残らない。また、エリスリトールは酸や
アルカリ等により褐色に変色しないなど化学的にも安定
である。
エリスリトールは、ぶどう糖を基質とする醗酵法、n−
パラフィンを基質とする醗酵法、酒石酸を還元する方
法、セルロースや澱粉を過ヨウ素酸で酸化したのち水素
添加及び加水分解する方法等の方法で製造することがで
きる。
本発明の固定化組成物は、かかるエリスリトールの結晶
中及び/又は聚晶間に薬剤成分を含有せしめて固定化し
たものであるが、その固定化組成物を製造する代表的な
方法は、薬剤成分を添加したエリスリトールの過飽和水
溶液からエリスリトールの結晶を析出させる方法であ
る。
すなわち、薬剤成分を添加したエリスリトールの過飽和
水溶液からエリスリトールの結晶を成長・析出させる
と、その生成結晶中及び/又は聚晶間にその添加成分が
含まれてきて、本発明の固定化組成物が容易に得られ
る。この場合に、エリスリトール水溶液が過飽和状態に
ある限りは、結晶の析出を続行させることができるか
ら、薬剤成分を添加した比較的高い濃度のエリスリトー
ル飽和溶液を冷却しながら析出させるのが望ましい。
そのエリスリトール結晶の析出は、静置結晶法、及び流
動結晶法のいずれの方法も用いることができるが、静置
結晶法の方が薬剤成分の含有量の多い結晶が得られる。
この場合に析出するエリスリトール結晶の大きさ、結晶
中及び/又は聚晶間に含有されてくる薬剤成分の量は、
エリスリトール水溶液の過飽和度、冷却速度、撹拌条件
などによって変化するから、これらの諸条件を制御する
ことによって、結晶の大きさや薬剤成分の含有量を或る
程度調節することができる。また、薬剤成分の含有量の
調節は、エリスリトール水溶液に対する薬剤成分の添加
割合の制御によっても行なうことができる。
流動結晶法における結晶槽は開放型及び真空型のいずれ
を用いてもよい。揮発性成分の多い薬剤成分を添加して
結晶析出させる場合には静置法が好ましい。エリスリト
ールの過飽和水溶液は、液温20〜70℃の広い範囲内にお
いて結晶の析出をさせることができるから、揮発しやす
い成分等を含有する薬剤成分を固定化する場合には、比
較的低温のエリスリトール水溶液に薬剤成分を添加して
結晶の析出を行わせるようにするのが望ましい。
静置法を用いて比較的低温の飽和水溶液から長時間を要
して析出させたエリスリトール結晶は、大きくて扁平
な、いわゆる「ロック氷糖」様の外観を有する結晶とな
るが、かかる大きな結晶は必要に応じて破砕して粒度を
そろえれば、しょ糖の結晶に酷似した美麗な結晶の固定
化組成物が得られる。
静置結晶法を用いて本発明の固定化組成物を製造する代
表的な態様例について述べると、薬剤成分は、通常、濃
度30重量%以上、好ましくは50重量%以上のエリスリト
ール水溶液に添加する。たとえば、ビタミンB2を固定化
した本発明の固定化組成物を製造する場合に例をとれ
ば、温度70℃、濃度50重量%のエリスリトール水溶液に
ビタミンB2粉末を0.02〜4重量%、好ましくは0.1〜2
重量%加えて溶解させ、室温で放置して冷却してエリス
リトールの結晶を析出させる。この場合に種晶としてエ
リスリトールの微結晶を少量添加して起晶させてもよい
が、その添加をしなくても容易に起晶させることができ
る(なお、流動結晶法の場合には、より起晶が容易であ
る。)。
エリスリトール水溶液の各種の温度における飽和濃度
は、下表に示すとおりであるから、上記の放冷により冷
却しながら結晶の析出をさせる場合には、出発エリスリ
トール水溶液中に含まれるエリスリトール量から最終放
冷温度における飽和濃度分に相当するエリスリトール量
を除いた量のエリスリトールは、結晶として析出してく
る。
エリスリトール水溶液の飽和濃度 温度 飽和濃度 80℃ 73.2重量% 60℃ 61.8 〃 40℃ 46.8 〃 20℃ 33.2 〃 なお、結晶の析出をさせるエリスリトール水溶液の過飽
和度が高すぎると、育晶中に微結晶が生成しやすく、結
晶粒径の不揃いな製品が得られやすい。このような場合
には、エリスリトール水溶液の冷却速度をコントロール
して、過飽和度が過度にならないようにする。
そして、前記の温度70℃、濃度50重量%のエリスリトー
ル水溶液に粉末ビタミンB2を1重量%添加して溶解した
ものを室温で放置したのち、冷蔵庫に入れて5℃に冷却
する静置結晶法で結晶析出させた場合には、約6時間で
結晶粒径が約1〜5mmのビタミンB2を固定化した組成物
が得られた。この場合の固形分収率(すなわち は37%であった。
また、特に吸湿性のある薬剤成分、たとえばL−リジ
ン、ストレプトマイシン、サルチル酸グリセリン、ビタ
ミンB1などを含む前記のような方法で得られる固定化組
成物は、さらにその固定化組成物を種晶として用いて、
エリスリトール過飽和水溶液(薬剤成分を添加していな
いもの)中で、上記の静置法を用いて結晶成長をさせる
と、薬剤成分を含む固定化組成物の外周にエリスリトー
ルの結晶のみからなる外層が形成された二層構造の結晶
が得られるから、かかる二層構造を有する固定化組成物
は、薬剤成分自体が吸湿性の高いものであっても、著し
く吸湿性の少ないものとなる。
また、水分含有量の著しく少なく、かつ空気中において
放置したときの吸湿性の少ない固定化組成物を得るもう
一つの方法は、前記のようにして得られた固定化組成物
を真空乾燥したものを、エリスリトール又はエリスリト
ールに比較的少量の糖若しくは糖アルコールを加えたも
のの加熱融解液に浸漬して該融解液によって固定化組成
物を被覆する方法である。この方法で得られた固定化組
成物の被覆物は、薬剤成分を含有せしめたエリスリトー
ル結晶(すなわち固定化組成物)の外周にエリスリトー
ル又はエリスリトールと糖若しくは糖アルコールとの混
合物からなる外層が形成された二層構造を有するものと
なるので、その吸湿性が著しく少なくなる。
(実施例) 以下に、実施例をあげてさらに詳述するが、本発明はこ
れらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1 濃度55重量%のエリスリトール水溶液100gに、液温が70
℃に冷却された時点でビタミンB2粉末を下表に示すよう
に0.5〜4gの種々の割合でそれぞれ添加し、よく混合し
たのち室温に放置して放冷しながら4時間結晶の成長を
させ、さらに冷蔵庫で5℃で2時間結晶の成長をさせた
のち、生成結晶と母液を分離した。分離された結晶の表
面に附着している糖液を5℃及び濃度70重量%のアルコ
ール水溶液で洗浄してから、70℃で3時間真空乾燥させ
た。得られた各結晶のビタミンB2含有量は、それぞれ下
表に示すとおりであった。
得られたビタミンB2含有エリスリトール結晶を粒径32メ
ッシュ篩下〜80メッシュ篩上に調整したものは、粉末B2
と較べて計量性及び流動性が著しく良好であった。
実施例2 ビタミンB2にかえて、グリセリン10gを用い、そのほか
は実施例1と同様にして固定化組成物を得た。
生成結晶量は35gであり、生成結晶中のグリセリン含量
は0.4重量%であった。
実施例3 濃度60重量%のエリスリトール水溶液100gに、液温が75
℃に冷却した時点でL−リジン塩酸塩粉末を5g添加し、
よく混合してから室温で放冷しながら5時間結晶の成長
をさせ、さらに5℃の冷蔵庫中で4時間結晶の成長させ
たのち、生成結晶を母液と分離した。分離結晶の表面に
附着した糖液を5℃及び濃度70重量%のアルコール水溶
液で洗浄したのち、70℃で3時間真空乾燥させた。
得られた結晶中のL−リジン塩酸塩含有量は0.20重量%
であった。次いで、この結晶を120℃のエリスリトール
融解液に浸漬し、結晶表面をエリスリトールで被覆し
た。得られた表面被覆結晶及びL−リジン塩酸塩粉末
を、30℃、RH79%の空気中でそれぞれ2週間放置したと
きの吸湿水分量は、エリスリトール被覆結晶が0.20重量
%であるのに対し、L−リジン塩酸塩粉末が18.20重量
%であった。また、L−リジン塩酸塩粉末が特異な弱い
臭気があるのに対し、エリスリトール被覆結晶は全くの
無臭であった。
(c) 発明の効果 本発明の固定化組成物は、取扱性に優れ、空気中におい
ても吸湿等の経時変化が少なく、外観が美しい結晶状で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬剤成分をメソ−エリスリトールの結晶及
    び/又は聚晶間に含有せしめてなる薬剤成分固定化組成
    物。
JP63094511A 1988-04-19 1988-04-19 薬剤成分固定化組成物 Expired - Lifetime JPH0723304B2 (ja)

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JP63094511A JPH0723304B2 (ja) 1988-04-19 1988-04-19 薬剤成分固定化組成物

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JPH01268627A JPH01268627A (ja) 1989-10-26
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EP1121103B1 (en) 1998-05-18 2006-12-20 Takeda Pharmaceutical Company Limited Orally disintegrable tablets comprising a benzimidazole
AR019935A1 (es) 1998-07-28 2002-03-27 Takeda Pharmaceutical Preparacion solida de desintegracion rapida, uso de una hidroxipropil celulosa poco sustituida en dicha preparacion y metodo para mejorar la capacidad dedesintegracion rapida de la misma
JP4678079B2 (ja) * 1999-04-06 2011-04-27 大正製薬株式会社 リボフラビン配合液剤組成物
JP5182331B2 (ja) * 1999-04-06 2013-04-17 大正製薬株式会社 リボフラビン配合液剤組成物
JP5255429B2 (ja) * 2006-02-20 2013-08-07 中外製薬株式会社 リン酸オセルタミビル含有医薬組成物

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