JPH0713533U - ドアライニング用の衝撃緩衝部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 側突時の圧縮荷重による座屈方向を一定向き
にすることにより衝撃緩衝値を適確に定め、簡略な構造
の金型で形成できて脱型も容易に行えるドアライニング
用の衝撃緩衝部材として構成する。 【構成】 開放口１０をドアインナーパネル側に向けて
ドアライニングの内側に取り付けられる中空函形の構造
体１１を有し、その構造体１１の側壁部１２ａ，１２ｂ
…を開放口１０の拡開方向斜めに傾斜させて形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、側突時の衝撃を緩和するべくドアライニングの内側に取り付けられ るドアライニング用の衝撃緩衝部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の衝撃緩衝用部材としては図５で示すように７０〜２００ｍｍ程 度の立上り寸法を有する四辺形の側壁部１を垂直に形成すると共に、立壁部２を 側壁部１の内側中央に一体成形することにより開放口３を有する横断面略Ｅ字状 の中空函形のものが用いられている。その衝撃緩衝部材は、図６で示すように開 放口３をドアインナーパネル側に向けてドアライニングＲの内側に取り付けられ ている。

【０００３】 この衝撃緩衝部材は、側壁部１並びに中央の立壁部２が側突時の圧縮荷重を受 けて座屈し潰れることにより衝撃を緩衝するよう機能する。然し、その衝撃緩衝 部材では側壁部１並びに立壁部２が垂直に立上げ形成されているから、座屈方向 が内向きまたは外向きとバラ付くことにより圧縮荷重が異なる。

【０００４】 また、この衝撃緩衝部材では側壁部１並びに立壁部２が脱型の必要上から先端 より基部に向って厚みが厚くなるよう形成されている。そのため、側突時の圧縮 荷重によっては潰れにくい構造のものであり、この要因を含めて同一形状を有す るものでありながら圧縮荷重が異なるのを避けられない。

【０００５】 その衝撃緩衝部材では、図７で示すよう側壁部１並びに立壁部２が脱型方向と 平行に位置するから、コア型Ｃをブロック構造に形成した金型を用いなければな らない。このため、金型の加工が難しい構造のものになり、また、側壁部１並び に立壁部２の立上りが高いことから型抜きし難い構造のものになる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、側突時の圧縮荷重による座屈方向を構造上一定にできて衝撃緩和値 を確実に定められ、また、構造的に脱型を容易に行えて簡略な構造の金型で形成 できるドアライニング用の衝撃緩衝部材を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の請求項１に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材においては、開放口 をドアインナーパネル側に向けてドアライニングの内側に取り付けられる中空函 形の構造体を有し、その構造体の側壁部を開放口の拡開方向斜めに傾斜させて形 成することにより構成されている。

【０００８】 本考案の請求項２に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材においては、中空函 形の構造体として外枠部を形成すると共に、その外枠部の側壁部と夫々相対する 壁面部が逆方向に傾斜する中空函形の立上り部を外枠部の内側に一体成形するこ とにより構成されている。

【０００９】 本考案の請求項３に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材においては、開放口 の拡開方向斜めに傾斜する側壁部による中空函形の構造体を複数個縦，横列に並 べて一体成形することにより構成されている。

【００１０】

【作用】

本考案の請求項１に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材では、中空函形の構 造体の側壁部が開放口の拡開方向斜めに傾斜させて形成されているから、その側 壁部の座屈方向を一定向きに定型化することができる。このため、側壁部の座屈 による衝撃緩衝値を容易に定められると共に、側壁部の厚みを調整することによ り衝撃緩衝値を確実に設定することができる。また、その側壁部が斜めに傾斜す ることから脱型も容易に行えると共に、スライド型を用いないで側壁部の剛性を 低下する抜き穴を設けることができるから衝撃吸収効果をより一層高めるよう簡 単な成形型で形成することができる。

【００１１】 本考案の請求項２に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材では、立上り部を外 枠部の内側中央に設けることから、その両者の座屈で適度な衝撃緩衝作用を発揮 することができる。また、立上り部を外枠部の内側中央に一体成形する構造から コア型，キャビティ型を共に通常の倣い加工で形成可能なものにできる。

【００１２】 本考案の請求項３に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材では、開放口の拡開 方向斜めに傾斜する側壁部による中空函形の構造体を複数個一体成形することか ら、これらが個々同時に座屈することにより適確な衝撃緩衝作用を発揮すること ができる。

【００１３】

【実施例】

以下、図１〜４を参照して説明すれば、図示の衝撃緩衝部材はポリプロピレン 等の合成樹脂を用いて形成されている。その衝撃緩衝部材は、開放口１０をドア インナーパネル側に向けてドアライニングの内側に取付け固定することにより、 ドアインナーパネルとドアライニングとの間に位置するよう装備される。また、 この衝撃緩衝部材は側壁部１２ａ，１２ｂ…を開放口１０の拡開方向斜めに傾斜 させて中空函形の構造体１１に形成することにより圧縮荷重に対して一定向きに 座屈するよう構成されている。

【００１４】 図１，２で示す衝撃緩衝部材は、外枠部１１ａを略四辺形の構造体１１として 形成されている。その外枠部１１の側壁部１２ａ，１２ｂ…は、開放口１０の拡 開方向斜めに傾斜させて形成されている。また、この外枠部１２の内側中央には 側壁部１２ａ，１２ｂ…と相対する各壁面部１３ａ，１３ｂ…が逆方向に傾斜す る横断面四辺形で中空函形の立上り部１３が一体成形されている。その立上り部 １３の傾斜角度と共に、側壁部１２ａ，１２ｂ…の傾斜角θは５°以上に設定さ れている。この立上り部１３と外枠部１１とは、側壁部１２ａ，１２ｂ…と壁面 部１３ａ，１３ｂ…との間に掛渡し成形するリブ１４で連結するようにできる。 また、側壁部１２ａ，１２ｂ…には側壁部１２ａ，１２ｂ…の剛性をより一層低 減する抜き穴１５を設けることもできる。

【００１５】 その衝撃緩衝用部材は、外枠部１１ａの底部１１ｂをドアライニングに対する 取付け面とし、開放口１０と共に立上り部１３の端面１３ｃをドアインナーパネ ル側に向けてドアライニングに装備される。この衝撃緩衝部材に対して側突によ る圧縮荷重が加わると、開放口１０の拡開方向斜めに傾斜する側壁部１２ａ，１ ２ｂ…並びに立上り部１３の側面部１３ａ，１３ｂ…が一定向きに向かって一様 に座屈変形しまたは潰れる。従って、この各部１２ａ，１２ｂ…、１３ａ，１３ ｂ…の厚みｔから衝撃緩和値を定めることができ、また、その厚みｔを調整する ことで圧縮荷重も一定に設定するようにできる。

【００１６】 この衝撃緩衝部材は、立上り部１３を含めた断面形状から通常の倣い加工で形 成したコア型，キャビティ型を用いることができる。そのため、型構造も簡単な ものにできしかも外枠部１１ａの側壁部１２ａ，１２ｂ…並びに立上り部１３の 側面部１３ａ，１３ｂ…が傾斜していることから立上り寸法に拘わらず脱型を容 易に行え、また、上述した抜き穴１５を設けるのも図３で示すコア型Ｃ₁ ，キャ ビティ型Ｃ₂ を用いて行えるから、その抜き穴１５を簡単な構造の成形型で形成 することができる。

【００１７】 図４で示す衝撃緩衝部材は、開放口１０の拡開方向に傾斜する側壁部１２ａ， １２ｂ…による中空函形の構造体１１，１１…を縦，横列２個ずつ並べて一体成 形することにより構成されている。この衝撃緩衝部材でも各構造体１１，１１… の側壁部１２ａ，１２ｂ…が一定向きに座屈することから、上述した実施例と同 様に圧縮荷重を一定にでき、また、各構造体１１，１１…が個々同時に座屈する ことにより十分な衝撃緩衝作用を発揮できる。

【００１８】

【考案の効果】

以上の如く、本考案に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材に依れば、中空函 形の構造体を開放口の拡開方向斜めに傾斜する側壁部で形成するから、その側突 部による座屈方向を一定にできて衝撃緩衝値を所定値に定められる。また、その 構造体の形状から簡略な型構造の金型で形成可能でしかも脱型も容易に行うよう にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るドアライニング用の衝撃
緩衝部材を示す断面図である。

【図２】同緩衝部材を示す外観斜視図である。

【図３】同緩衝部材の側壁部に抜き穴を設けるのに用い
られる成形型を示す部分断面図である。

【図４】本考案の別の実施例に係るドアライニング用の
衝撃緩衝部材を示す外観斜視図である。

【図５】従来例に係るドアライニング用の衝撃緩衝部材
を示す断面図である。

【図６】同緩衝部材の装備個所を示す説明図である。

【図７】同緩衝部材を金型と共に示す説明図である。

【符号の説明】

１０ 開放口 １１（１１，１１…） 中空函形の構造体 １２ａ，１２ｂ… 構造体の側壁部 １３ 立上り部 １３ａ，１３ｂ… 立上り部の壁面部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 開放口をドアインナーパネル側に向けて
   ドアライニングの内側に取り付けられる中空函形の構造
   体を有し、その構造体の側壁部を開放口の拡開方向斜め
   に傾斜させて形成したことを特徴とするドアライニング
   用の衝撃緩衝部材。
2. 【請求項２】 上記中空函形の構造体として外枠部を形
   成すると共に、その外枠部の側壁部と夫々相対する壁面
   部が逆方向に傾斜する中空函形の立上り部を外枠部の内
   側に一体成形したことを特徴とする請求項１の衝撃緩衝
   部材。
3. 【請求項３】 上記構造体を複数個縦，横列に並べて一
   体成形したことを特徴とする請求項１の衝撃緩衝部材。