JPH0615484B2 - シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの製造方法 - Google Patents

シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの製造方法

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JPH0615484B2
JPH0615484B2 JP58071321A JP7132183A JPH0615484B2 JP H0615484 B2 JPH0615484 B2 JP H0615484B2 JP 58071321 A JP58071321 A JP 58071321A JP 7132183 A JP7132183 A JP 7132183A JP H0615484 B2 JPH0615484 B2 JP H0615484B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は形成されたシクロヘキシルヒドロペルオキシド
の分解を促進する物質を存在させずに分子状酸素含有ガ
スによってシクロヘキサンを酸化してシクロヘキシルヒ
ドロペルオキシドを含有する酸化混合物を形成し、そし
てアルカリ金属水酸化物の水溶液の存在下金属塩で上記
酸化混合物を処理してシクロヘキシルヒドロペルオキシ
ドを分解することからなるシクロヘキサノール及びシク
ロヘキサノンの製造方法に関する。
発明の背景 この種の方法はイギリス特許第1,382,849号明細書に記
載されている態様に従って実施できるが、この態様によ
れば、80〜170℃の温度例えば135か145℃で、そして25
℃で測定した反応混合物の水性相のpHが8〜13好ましく
は9〜11で上記ヒドロペルオキシドの分解を行う。
一方、この公知方法におけるアルカリ(lye)の消費量を
抑えることに関する米国特許第4,238,415号明細書によ
れば、80〜170℃の温度で上記ヒドロペルオキシドの分
解を行うのは同様であるが、分解後の水性相のOH-濃度
が好ましくは0.6〜1Nになるような量でアルカリ金属水
酸化物を存在させている。ところが、シクロヘキサノー
ル及びシクロヘキサノンの収率が高くなるような方法で
シクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解を実施できる
ことが判った。
発明の要約 すなわち、本発明は分子状酸素含有ガスによってヒクロ
ヘキサンを酸化してシクロヘキシルヒドロペルオキシド
を含有する酸化混合物を形成し、そしてアルカリ金属水
酸化物の水溶液の存在下金属塩で上記酸化混合物を処理
してシクロヘキシルヒドロペルオキシドを分解するさい
に、該酸化混合物の処理を70〜115℃の温度で実施する
ことを特徴とするシクロヘキサノール及びシクロヘキサ
ノンの製造方法を提供するものである。
発明の好適な実施態様 上記処理は例えばかく拌機付きタンク式反応器で実施で
きる。この処理は向流式カラム例えば回転ディスク型接
触装置で実施するのが好ましい。というのは、このよう
なカラムでは過酸化物の分解がより速く起る上に、アル
カリ金属水酸化物の使用量が少なくてすむからである。
かく拌機付きタンク式反応器を使用する場合、アルカリ
金属水酸化物の使用量、例えば分解後の生成水性相のOH
-濃度が0.5〜2N好ましくは1〜1.8Nになる量が異なっ
てくる。向流式カラムを使用する場合の好適なOH-濃度
は0.1N未満、特に有利には0.01N未満である。
本発明の方法を適用する場合、シクロヘキサンの酸化は
120〜200℃特に140〜180℃の温度で例えば空気、純粋な
酸素または酸素/不活性ガスの混合物を用いて液相でそ
れ自体公知な方法で実施する。本発明の方法では、例え
ば1〜12%のシクロヘキサンが転化する。この酸化方法
では圧力は臨界的ではないが、大半は1〜50バール例え
ば13バールであればよい。
シクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解を促進する物
質例えば遷移金属の化合物を存在させずにシクロヘキサ
ンを酸化するのが好ましい。これが本発明の方法におい
て不活性な内壁例えば不動態化鋼、アルミニウム、ガラ
ス、エナメルや同種の物質からなる内壁を有する反応器
を使用する理由である。酸化触媒を使用するのが望まし
い場合には、その使用量は極めて少量例えば1ppm(重
量)程度にするのが好適である。酸化触媒としては、例
えばコバルト、クロム、マンガン、鉄、ニッケルや銅な
どの化合物を使用できる。特に好適なのはナフテン酸コ
バルト(II)及びコバルト−2−エチル−ヘキサノエート
である。
酸化混合物中のシクロヘキシルヒドロペルオキシドの分
解は金属塩例えばコバルト、ニッケル、鉄、クロム、マ
ンガンや銅などの遷移金属の塩によって実施できる。金
属塩としてコバルト及び/又はクロムの塩例えば硫酸塩
か硝酸塩を用いてこの分解を行うのが好適である。金属
塩の使用量は例えば(水性相に対して金属換算で)0.1
〜1000ppm(重量)から選択すればよい。極めて好適な
金属塩量は1〜200ppm(重量)である。金属塩は水溶液
の形で場合によってはアルカリ金属水酸化物と一緒に酸
化混合物に添加できる。金属はまた有機溶剤例えばシク
ロヘキサンに溶解した有機酸の塩としても添加できる。
シクロヘキシルヒドロペルオキシドの分解における水性
相と有機相の比は0.005〜1.5/特に0.01〜0.5/
である。分解時、還流冷却の適用及び/又は供給有機
相の冷却によって70〜115℃の所望温度を維持するのが
好ましい。この場合蒸発生成物を再循環させる必要がな
い。この再循環は所望物質の収率にわずかな好影響しか
与えない。分解圧力は通常酸化圧力より低い。
酸化混合物中のヒドロペルオキシドを分解する前に、所
望ならば、酸化過程で形成した酸を中和する目的でアル
カリ金属水酸化物かアルカリ金属炭酸塩の水溶液で処理
して水性相のpHを8〜13にできる。このように中和を使
用する場合には、中和時に分解後反応混合物から分離で
きる水性相を適用すれば、米国特許第4,238,415号明細
書に記載されているようにアルカリの消費量を抑えるこ
とができる。向流式カラムで分解を行う場合には、該中
和はカラムの低部で実施できる。水性相を分離し、そし
て所望ならば水洗後有機相を蒸留して、戻すべきシクロ
ヘキサンそしてシクロヘキサノール及びシクロヘキサノ
ンを回収することによって該ヒドロペルオキシドの分解
によって生成した反応混合物をさらに処理できる。この
ようにして得られたシクロヘキサノール及びシクロヘキ
サノンは別に処理しなくても、そのままカプロラクタム
(ナイロン6のモノマー)に加工処理できるのに十分な
純度をもつ。これがイギリス特許第1,382,849号明細書
に記載されているようなpH8〜13、温度135〜145℃でシ
クロヘキシルヒドロペルオキシドを分解する方法からみ
た場合の本発明の大きな特徴のひとつである。
以下の実施例において、本発明をさらに詳細に説明す
る。
実施例1 容量が13の酸化反応器で、かく拌しながら170℃、1
3バールで空気によってシクロヘキサンを酸化した。反
応器には43kg/hのシクロヘキサン及び2000の空気を
供給した。シクロヘキサンの転化量は1.2kg/時間であ
った。
このようにして得られた酸化混合物(1kg当り29gのシ
クロヘキシルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノール
及びシクロヘキサノンを含み、かつ45mg当量の酸を含ん
でいた)をポンプにより容量が13の分解反応器に送
り、そして硫酸コバルト水溶液(II)〔20ppm(重量)〕
及び水酸化ナトリウム溶液(14重量%)を用いて還流
冷却しながら1.5バール、110℃で処理した。1時間あ
たり硫酸コバルト水溶液(II)4.5及び水酸化ナト
リウムの溶液4.5を分解反応器に供給した。分解反
応器から得られた反応混合物を有機相と水性相(OH-
度1.5g当量/)に分離した。有機相を蒸留によって
シクロヘキサン(酸化反応器に戻す)、シクロヘキサノ
ール及びシクロヘキサノンに分離した。分解反応器でシ
クロヘキシルヒドロペルオキシドを完全に転化して、12
42g/hのシクロヘキサノール及びシクロヘキサノンを
得た。
実施例II 水性相のOH-濃度が0.7g当量/になるような量のアル
カリを分解反応器で使用する以外は、実施例Iと同様に
してシクロヘキサノール及びシクロヘキサノンを製造し
た。1229g/hのシクロヘキサノール及びシクロヘキサ
ノンが得られた。
比較実施例 分解反応器内の温度を135℃または155℃にする以外は、
実施例Iと同様にしてシクロヘキサノール及びシクロヘ
キサノンを製造した。それぞれ1190g/hまたは1179g/
h程度のシクロヘキサノール及びシクロヘキサノンが得
られたに過ぎなかった。
実施例III 分解反応器の温度を85℃にする以外は実施例Iと同条件
にしてシクロヘキサノール及びシクロヘキサノンを製造
したところ、1260g/hのシクロヘキサノール及びシク
ロヘキサノンが得られた。85℃未満の分解温度でも同様
な収率が達成されたけれども、70℃未満の温度で分解を
完全に行うためにはより長い接触時間及び/又はより大
きな反応器容量が必要であった。
実施例IV 実施例Iと同様にしてシクロヘキサノール及びシクロヘ
キサノンを製造した。ただし、硫酸コバルト(II)水溶液
の代りに、硝酸クロム(II)水溶液〔150ppm(重量)〕を
使用する一方、分解反応器の温度を105℃に維持した
(圧力は約1.3バール)。1257g/hのシクロヘキサノー
ル及びシクロヘキサノンが得られた。
実施例V 実施例Iと同様にしてシクロヘキサノール及びシクロヘ
キサノンを製造した。ただし、硝酸クロム(II)〔20ppm
(重量)〕及び硫酸コバルト(II)〔10ppm(重量)〕を
含む水溶液を用いる一方、分解反応器の温度は85℃に維
持した。1274g/hのシクロヘキサノール及びシクロヘ
キサノンが得られた。
実施例VI 有効高さ3.5m、直径8cmの回転ディスク形接触装置(Am
erican Institute of Chem.Eng.journal vol.8,1962,25
2-261頁に記載されている)の底部に実施例Iと同組成
の酸化混合物150kg/時間供給した。
該接触装置の頂部に水酸化ナトリウム水溶液(14重量
%)1.5/時間及び硫酸コバルト(II)の水溶液〔20ppm
(重量)〕1.5/時間を供給した。回転軸のかく拌速
度を調節することによって、接触装置における水性相の
ホールド・アップを3〜5%に維持した。接触装置の温
度及び圧力はそれぞれ85℃及び1.5バールであった。接
触装置を出る水性相のpHは8−10に維持した(OH-濃度1
0-6〜10-4N)。実施例Iと同様にして、得られた有機
相を処理したところ、4390g/hのシクロヘキサノール
及びシクロヘキサノンが得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 27/12 330 8827−4H 35/08 8827−4H 49/403 7457−4H 409/06 8018−4H (72)発明者 シモン・ペトラス・ヨハネス・マリア・フ アン・ニスペン オランダ国6191エス・イエ−・ベ−ク・エ レンフリ−ドストラ−ト8 (72)発明者 オツトウ・ヘリツト・プランテマ オランダ国6034エル・ペ−・ネデルベ−ル ト・エインド・ブラ−クペ−ル1 (56)参考文献 特開 昭54−135748(JP,A)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形成されたシクロヘキシルヒドロペルオキ
    シドの分解を促進する物質を存在させずに分子状酸素含
    有ガスによってシクロヘキサンを酸化してシクロヘキシ
    ルヒドロペルオキシドを含有する酸化混合物を形成し、
    そしてアルカリ金属酸化物の水溶液の存在下金属塩で上
    記酸化混合物を処理してシクロヘキシルヒドロペルオキ
    シドを分解するさいに、該酸化混合物の処理を85〜1
    15℃の温度で実施することを特徴とするシクロヘキサ
    ノール及びシクロヘキサノンの製造方法。
  2. 【請求項2】該酸化混合物の処理を向流式カラムで行う
    特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】該酸化混合物の処理に用いるアルカリ金属
    水酸化物の量が、該分解後の生成水性相のOH−濃度が
    0.01N未満になるような量である特許請求の範囲第
    2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】かく拌機付きタンク式反応器において酸化
    混合物の処理に使用するアルカリ金属水酸化物の量が、
    該分解後の生成水性相のOH−濃度が1〜1.8Nにな
    るような量である特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】酸化混合物の処理に使用する金属塩がコバ
    ルト及び/又はクロムの塩である特許請求の範囲第1項
    から第4項までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】水性相に対する金属換算で1〜200ppm
    (重量)の金属塩を使用する特許請求の範囲第1項から
    第5項までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】酸化混合物の処理にさいして、還流冷却及
    び/又は被処理酸化混合物の冷却によって所望の温度を
    維持する特許請求の範囲第1項から第5項までのいずれ
    か1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】得られる有機相1に対して0.01〜
    0.5の水性相を使用して酸化混合物の処理を行う特
    許請求の範囲第1項から第7項までのいずれか1項に記
    載の方法。
JP58071321A 1982-04-23 1983-04-22 シクロヘキサノール及びシクロヘキサノンの製造方法 Expired - Lifetime JPH0615484B2 (ja)

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