JPH0585548U - 圧延ロール研削用超砥粒ホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 研削能力を阻害することなく簡単な構造でビ
ビリマークが発生しない圧延ロール研削用超砥粒ホイー
ルを得る。 【構成】 円盤状の台金（２）の外周にダイヤモンドあ
るいはｃＢＮを砥粒とした分割された砥石片（１）を接
合した圧延ロール研削用超砥粒ホイールにおいて、砥石
片（１）の各々の接合面（３）を回転軸（Ａ−Ａ）に対
して５〜５０度傾斜させる。これにより、接触弧長内に
接合面が出入りする際の衝撃が分散される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ダイヤモンド砥粒あるいはｃＢＮ砥粒等の超砥粒からなる圧延ロー ル研削用超砥粒ホイールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より圧延ロールの研削加工用として、超砥粒を用いた研削ホイールが使用 されている。図２はこの圧延ロール研削用超砥粒ホイールの一例を示すものであ り、円盤状台金５の外周に、分割された砥石片６を有機質接着剤等で接合した構 成を有し、隣接する砥石片の接合継目７は回転軸と平行に形成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来の圧延ロール研削用超砥粒ホイールでは、研削時にいわゆるビ ビリマークが発生することがあり、このビビリマークによって被削材の商品価値 を著しく低下させてしまうという問題がある。

【０００４】 このようなビビリマークが発生した場合、従来は、砥石の送り速度を大幅に低 下させたり、また特に精密加工を要する圧延ロールの研削の場合には、研削のや り直し等によってこれに対処している。

【０００５】 本考案は、このような従来の問題点を解消するものであり、研削能力を阻害す ることなく簡単な構造でビビリマークが発生しない圧延ロール研削用超砥粒ホイ ールを得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

砥石に起因するビビリマークの発生原因としては、一般に、ふれ，アンバラン ス，フランジ軸と穴径の嵌め合わせ不良，各層間の浮きまたははがれ等が考えら れている。本考案者は上記原因以外に、ビビリマーク発生の原因として砥石片の 接合角度に問題があるという知見に基づき、砥石片の接合面の角度を種々変化さ せて実験を行い、その結果、ビビリマークの発生を抑えることができる最適な接 合角度を見出したものである。

【０００７】 すなわち、本考案の圧延ロール研削用超砥粒ホイールは、円盤状の台金（２） の外周にダイヤモンドあるいはｃＢＮを砥粒とした分割された砥石片（１）を接 合した圧延ロール研削用超砥粒ホイールにおいて、前記砥石片（１）の各々の接 合面（３）を回転軸（Ａ−Ａ）に対して５〜５０度傾斜させたことを特徴とする 。

【０００８】

【作用】

前記したように、ビビリマークの発生原因としては種々の要因が考えられるが 、砥石片と被削材との接触弧長内に砥石片の接合面が出入りする際の衝撃が考え られる。砥石片の接合面が平行な従来のホイールの場合、衝撃が接合面部分に急 激にかかりビビリマークが発生するのに対し、本考案では、砥石片の接合面をホ イールの回転軸に対して傾斜させているため、接触弧長内に接合面が出入りする 際の衝撃を分散させることができ、これによってビビリマークの発生を防止する ことができるものと推察される。

【０００９】 このための傾斜角度としては、ビビリマークの発生を有効に防止し、且つ傾斜 した砥石片の製造上の問題を考慮すると５〜５０度の範囲が適当である。

【００１０】

【実施例】

次いで本考案を、図に示す実例により具体的に説明する。

【００１１】 図１（ａ）は、本考案の圧延ロール研削用超砥粒ホイールの斜視図、（ｂ）は 正面図である。ここで、１は砥石片、２は台金、３は砥材片接合面をそれぞれ示 す。

【００１２】 砥石片１は、ＮｉコーティングのｃＢＮ（立方晶窒化ホウ素）を含みホットプ レスにより形成されたレジンボンド砥石片であり、円盤状の台金２の外周面に有 機質接着剤により接合されている。

【００１３】 この砥石片１は、隣接する砥石片の接合面が回転軸Ａ−Ａに対してθ＝１５度 傾斜するように形成されている。なお、この傾斜角θとしては１５度に限定され るものではなく５〜５０度の範囲で適宜選ぶことが可能である。

【００１４】 この砥石片１は、所定の設計曲率を有する菱形形状の金型によりホットプレス で成形することができ、また、所定の設計曲率を有する長方形の砥石片の２辺を 切断または研磨して斜めに削除することにより製作することもできる。

【００１５】 また、砥石片１の台金２との接合方法としては、メタルボンド砥石片ではろう 付け、またレジンボンド及びビトリファイドボンドでは、有機質接着剤による従 来の接合方法を用いることが可能である。特に、砥石片の台金からの脱落を防止 するため、台金との接合面に突起を設けたり、接合面の接着表面積を増大させる ためにショットブラストによる表面処理を行ったり、また、接合面の接着力を低 下させる油分や埃等を除去するために有機溶剤による超音波洗浄を行うことが好 ましい。

【００１６】 次に、実施例の研削用超砥粒ホイールと従来品との圧延ロールの研削結果を示 す。

【００１７】 〔実施例１〕 実施例１としては、粒度１４０／１７０のＮi コーティングｃＢＮ（立方晶窒 化ほう素）砥粒を１９．５容量％含有したレジンボンド砥石片を、外径７００ｍ ｍ, 厚さ１００ｍｍとし、全体を２４分割して接合面を回転軸に対して１５度傾 斜させた。比較のため接合継目を傾斜させない砥石も製造した。

【００１８】 研削条件としては、 機械：ロール研削盤( 砥石軸用電動機出力３５Ｋｗ） ロール材質：高速度鋼 ロール寸法：外径 ５８０ｍｍ，長さ１９５０ｍｍ 砥石回転数：８００ｒｐｍ ロール回転数：２８ｒｐｍ 砥石送り速度：３０ｍｍ（ロール１回転当たり） 砥石切込み量：０．０１３ｍｍ／パス 上記条件にて研削実験を行った結果、従来法による砥石では約３ｍｍピッチで ビビリマークが発生したが、本実施例の超砥粒レジンボンドホイールではビビリ マークは一切発生しなかった。また、研削時生じる振動も従来品に比較し減少し た。

【００１９】 〔実施例２〕 実施例２としては、粒度２３０／２７０のＮi コーティング立方晶窒化ほう 素(cＢＮ）砥粒を１９．５容量％含有したレジンボンド砥石を、外径７００ｍｍ , 厚さ１００ｍｍとし、全体を２４分割して砥石片の接合面を回転軸に対して２ ０度傾斜させた。比較のため接合継目を傾斜させない砥石も製造した。

【００２０】 研削条件としては、 機械：ロール研削盤( 砥石軸用電動機出力３５Ｋｗ） ロール材質：高速度鋼 ロール寸法：外径 ７５０ｍｍ，長さ１７５０ｍｍ 砥石回転数：５００ｒｐｍ ロール回転数：２７ｒｐｍ 砥石送り速度：１５ｍｍ，４０ｍｍ（ロール１回転当たり） 砥石切込み量：０．００５ｍｍ／パス 結果は、実施例１と同様に従来法による砥石では約５ｍｍピッチでビビリマー クが発生し、特に砥石送り速度を増大させるとより明瞭にビビリマークが観察さ れた。これに対して、本実施例のホイールではビビリマークの発生は全くみられ なかった。

【００２１】 また、上記実施例１及び２においては研削に要する時間が従来品より短時間で すむようになり研削効率の向上を図ることができた。

【００２２】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案の超砥粒レジンボンドホイールは、砥石片の接 合面を回転軸に対して５〜５０度傾斜させたため、ビビリマークの発生を防止す ることができる。

【００２３】 また、ビビリマークの発生を抑えながら、砥石送り速度を早めることが可能と なり圧延ロール研削作業の作業効率向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本実施例の超砥粒レジンボンドホイー
ルの斜視図、（ｂ）は正面図である。

【図２】従来の超砥粒レジンボンドホイールの斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 砥石片 ２ 台金 ３ 接合面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円盤状の台金（２）の外周にダイヤモン
   ドあるいはｃＢＮを砥粒とした分割された砥石片（１）
   を接合した圧延ロール研削用超砥粒ホイールにおいて、
   前記砥石片（１）の各々の接合面（３）を回転軸（Ａ−
   Ａ）に対して５〜５０度傾斜させたことを特徴とする圧
   延ロール研削用超砥粒ホイール。