JPH05202211A - 耐摩耗性プラスチック成形物及びその製造方法 - Google Patents
耐摩耗性プラスチック成形物及びその製造方法Info
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- JPH05202211A JPH05202211A JP4181628A JP18162892A JPH05202211A JP H05202211 A JPH05202211 A JP H05202211A JP 4181628 A JP4181628 A JP 4181628A JP 18162892 A JP18162892 A JP 18162892A JP H05202211 A JPH05202211 A JP H05202211A
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Abstract
ク成形物の提供。 【構成】 プラスチック成形品の表面に、中間層を介し
て又は介さないでSi化合物の非柱状構造からなる硬質
膜が形成されてなることを特徴とする耐摩耗性プラスチ
ック成形物であって、テーバー摩耗試験において500
0回の回転後にヘイズの変化が5%以下であり、かつ微
小硬度試験において、100kg/mm2以上の硬さを
有する耐摩耗性プラスチック成形物。
Description
な硬質膜を備えた耐摩耗性プラスチック成形物及びその
製造方法に関する。
いるが、省エネルギーや燃費の低減等の目的からその軽
量化が重大な課題となっている。その一環として、ガラ
スを透明プラスチックに置き換えることが検討されてお
り、その一例をあげれば、プラスチック成形品の表面
に、オルガノシリコンをコートし硬化させたり、あるい
はイオンプレーティング等のPVD(Physical
Vapour Deposition)法やプラズマ
CVD(Chemical Vapour Depos
ition)法によりSiO2 膜を形成させたりする方
法である。
ノシリコンをコートする方法(特開昭57−17702
8号公報、特開昭61−143445号公報)によって
形成された膜は有機物であるので、車両窓のような摩耗
の激しい用途では傷がつきやすく実用上問題であった。
また、PVD法(特開昭58−29835号公報、特開
昭63−114957号公報)では、広い面積に均一に
膜を形成させることがむずかしく、また成膜速度も小さ
いという欠点があった。
号公報、特開平2−66172号公報)では、オルガノ
シリコンのコート後にSiO2 膜を堆積させることによ
って、膜の硬度、密着性、耐候性を高めるが、それでも
十分とはいえず、しかもSiO2 膜を堆積させるのにオ
ルガノシリコンのコートを行うウェット工程とSiO2
を堆積させるドライ工程との2工程が必要となるので生
産性が悪いという問題があった。特開昭64−4343
号公報には、反応ガスをレイノズル数2.5の層流で供
給すればよいことを記載しているが、それによって得ら
れた膜構造については何の言及もない。また、この先行
技術によって得られた膜は、テーバー摩耗試験におい
て、1000回の摩耗回数ではヘイズの変化は1%台と
小さいが、パイレックス並の特性を得るには、膜厚を最
低でも5μ必要とし、更に5000回の摩耗回数では、
膜の耐久性が悪くなりヘイズは上昇する。
目的とし、プラズマCVD法の条件を種々変化させ、そ
れによって得られた膜構造と膜特性の関係について鋭意
検討した結果、特開昭64−4343号公報には開示さ
れていないある特定の条件で反応させて得られた膜は、
その断面構造が非柱状であり、しかも、その膜性状は硬
度が高く、かつ耐摩耗性に優れたものとなることを見い
出した。更に、膜の断面構造が柱状であるものは耐摩耗
性には乏しいが熱応力には十分に耐久性があり、硬質膜
と組み合わせて使用することにより更に耐熱応力性を付
与できることを見い出した。また、中間層としてZnO
を耐紫外線層として用いることにより、プラスチック成
形物の透明性を損うことなしに紫外線を効率よく吸収
し、長期間の紫外線照射環境下においてもプラスチック
成形物の劣化のないことを見い出し、本発明を完成させ
たものである。
ラスチック成形品の表面に、中間層を介して又は介さな
いでSi化合物の非柱状構造からなる硬質膜が形成され
てなることを特徴とする耐摩耗性プラスチック成形物で
あって、テーバー摩耗試験において5000回の回転後
にヘイズの変化が5%以下であり、かつ微小硬度試験に
おいて、100kg/mm2 以上の硬さを有する耐摩耗
性プラスチック成形物、プラスチック成形品の表面に、
中間層を介して又は介さないで以下の(1)〜(4)の
条件で、平行平板型CVDによりプラズマCVDを行
い、Si化合物の非柱状構造からなる硬質膜を形成させ
ることを特徴とする耐摩耗性プラスチック成形物の製造
方法、 (1)反応温度130℃以下、圧力1.0torr以下
であること。 (2)反応性ガスの速度勾配8000cm/sec・c
m以上、パワー密度0.3w/cm3 以下であること。 (3)反応性ガスには少なくともシランを含んでいるこ
と。 (4)反応室内のガスは層流で、10より大きいレイノ
ルズ数をもつこと。
の柱状構造からなる軟質膜を形成し、中間層を介して又
は介さないでSi化合物の非柱状構造からなる硬質膜が
形成されてなることを特徴とする耐摩耗性プラスチック
成形物及びプラスチック成形品の表面に、Si化合物の
柱状構造からなる軟質膜を形成し、中間層を介して又は
介さないでSi化合物の非柱状構造からなる硬質膜が形
成されている耐摩耗性プラスチック成形物を製造する際
に、以下の(1)〜(3)の条件で、平行平板型CVD
によりプラズマCVDを行い、Si化合物の柱状構造か
らなる軟質膜を形成させることを特徴とする耐摩耗性プ
ラスチック成形物の製造方法である。 (1)反応温度130℃以下、圧力3.0torr以下
であること。 (2)反応性ガスの速度勾配7000cm/sec・c
m以下、パワー密度0.3w/cm3 以下であること。 (3)反応性ガスには少なくともシランを含んでいるこ
と。
徴とする上記記載の耐摩耗性プラスチック成形物であ
る。
る。
させるとその硬度が上がるが、同じ組成の膜でもその微
構造が異なれば膜の硬さ、耐摩耗性も異なる。形成され
た膜が柱状構造であれば、膜に引張り力が加わると、粒
界に沿って亀裂が走り、膜が破断する。そのため、プラ
スチック等の熱膨張係数が大きい基板であると、100
℃以下の温度で加熱した場合でも、すぐに膜に亀裂が生
じてしまう。一方、本発明で形成させた非柱状な硬質膜
は均質な膜であるから引張り力には十分強い耐久性を示
す。膜が非柱状になるか柱状になるかは成膜条件に左右
される。
るか非柱状であるかの判断は、基板を劈開し、膜をSE
M(電子顕微鏡)観察することによって行うことができ
る。図1に非柱状構造の、図2に柱状構造の結晶構造の
SEM写真を示す。本発明における非柱状硬質膜の平均
粒子径は1000Å未満の微粒子で、膜は均質である。
これに対し、柱状構造ではその柱状粒子径とその長さ
(膜の厚さ方向に測定)の比が1:10以上あり、粒子
径も1000Å以上である。
に、平均粒子径1000Å未満の微粒子で構成された非
柱状である。その構成成分は、Si化合物、具体的に
は、Siの酸化物、窒化物、炭化物又はこれらの混合物
等であり、なかでも非晶質が望ましい。非晶質とは、X
線回折において、回折強度がブロードであることをい
う。
であり、1μm未満であると十分な硬度と耐摩耗性は得
られず、一方、5μmよりも厚いとプラスチック成形品
が変形した際に、膜に亀裂が生じやすくなる。
成形品の片面又は両面に形成される。また、硬質膜は最
終成形物であるプラスチック成形物の最外表面に形成さ
れておればよく、プラスチック成形品と硬質膜の間には
中間層が介在したものであってもよい。中間層は、プラ
スチック成形品と硬質膜の密着性を高める、プラスチッ
ク成形品と硬質膜の熱膨張係数の差を緩和させる、さら
にはプラスチック成形品を紫外線で劣化させない等の機
能を果たす。
層と硬質膜の合計膜厚が10μmを越えないようにする
ことが望ましい。具体的には、中間層がZnO層である
場合、その膜厚を0.1〜1μmにするのが望ましい。
合計膜厚が10μmを越えると膜に亀裂や剥がれが生じ
やすくなる。中間層は、生産性の向上と装置コストの低
減から、硬質膜の形成と同時か又は連続したチャンバー
内でプラズマが関与した成膜法により設けることが望ま
しい。具体的に、中間層がZnO層の場合は、蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ
CVD法等により形成される。
をArプラズマでエッチングし、活性化させた層、酸素
プラズマで酸化させた層等。 熱膨張係数を緩和させるためには、熱膨張係数が大き
いa−Si、SiN膜を堆積した層。 紫外線劣化を防ぐためには、ZnOなどの金属酸化
物、SiN等のバンドギャップが3eV程度のものを堆
積した層。 が挙げられる。
膜の併用も可能である。軟質膜は亀裂を生じ易いが、ひ
とたび亀裂が入ると、その後の熱応力に対してはたいへ
ん強くなり、割れが進行しないので、軟質膜と硬質膜を
組み合わせると、熱応力にも強く、かつ耐摩耗性も良好
な膜が得られる。
せた後、引続き非柱状構造を形成させた膜のSEM写真
を示す。本発明で形成される軟質膜である柱状構造の平
均粒子径は、SEM観察より1000Å〜5000Åの
粒子径で膜は柱状構造である。また、柱状粒子径とその
長さ(膜の厚さ方向に測定)の比が1:10以上あり、
粒子径も1000Å以上である。
に、平均粒子径1000〜5000Åの柱状であり、そ
の構成成分は、Si化合物、具体的には、Siの酸化
物、窒化物、炭化物又はこれらの混合物等であり、なか
でも非晶質が望ましい。非晶質とは、X線回折におい
て、回折強度がブロードであることをいう。
であり、2μm未満であると十分な応力緩和がなされ
ず、5μmより厚いと十分な耐摩耗性が得られない。
により1〜5μmが適切である。
面又は両面に形成される。また、軟質膜はプラスチック
の表面に形成され、硬質膜は最終成形物であるプラスチ
ック成形物の最外表面に形成されておればよく、軟質膜
と硬質膜の間には更に中間層が介在したものであっても
よい。中間層は、軟質膜と硬質膜の密着性を高めたり、
プラスチック成形品を紫外線で劣化させない等の機能を
果たす。
層、軟質膜、硬質膜の合計膜厚が10μmを越えないよ
うにすることが望ましい。具体的には、中間層がZnO
層である場合、その膜厚を0.1〜1μmにするのが望
ましい。合計膜厚が10μmを越えると膜に亀裂や剥が
れが生じやすくなる。中間層がZnO層の場合は、蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラ
ズマCVD法等により形成される。
着性を高めるため、軟質膜の柱状構造から硬質膜の非柱
状構造に連続的に変化する層や、紫外線劣化を防ぐため
には、ZnOなどの金属酸化物、SiN等のバンドギャ
ップが3eV程度のものを堆積した層が挙げられる。
ては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエス
テル樹脂等の任意の樹脂よりなるプラスチック成形品が
使用できる。車両窓にはポリカーボネート樹脂が最適で
ある。プラスチック成形品の形状については、板状又は
曲面をもった形状のいずれであってもよく、また、その
大きさについても全く自由であり、1m程度のものでも
問題なく使用できる。
((株)八島製作所 TSER−2252−A)、AS
TM−D1044で規定されているテーバー摩耗試験と
ダイナミック硬さ試験機(島津製作所製 DUH−20
0)により行なった。サーマルショック試験条件は+8
0℃、1hr保持、−40℃、1hr保持、を1サイク
ルとして繰り返し、膜が基板から剥がれる回数を調べ
る。テーバー摩耗試験の具体的な条件は、摩耗輪CS−
10F、荷重500g、摩耗回数5000回であり、摩
耗前後のヘイズをヘイズメーター(日本電色工業(株)
製 Z−シグマ80)で測定し、その差で評価できる。
ダイナミック硬さ試験機は、ビッカース硬度試験と原理
的には同じであるが、ダイナミック硬さ試験では圧子を
膜に押し当てたときの押し込み深さを測定している点が
違う。この試験機ではミクロンオーダーの薄膜の硬さを
測定できる。測定条件として、荷重は0.5gで圧子は
稜角115度のものを使用する。
験は、水散布なしのドライ雰囲気にて、基板温度63℃
でカーボンアークによる紫外線を試料に1000時間照
射した後、分光光度計(HITACHI自動分光光度計
340型)にて分光スペクトルを測定して行う。
合、膜は柱状に成長することはよく見うけられる現象で
ある。この原因は、膜に寄与する活性種が気相中で成長
しプラスチック成形品表面に到達した後、横方向の拡散
ができずに堆積するためと考えられている。このことか
ら、プラスチック成形品に到達するまでの活性種の成長
と到達した後の拡散のエネルギーをそれぞれ制御するこ
とによって本発明のような非柱状構造の硬質膜、柱状構
造の軟質膜を得ることができる。以下、その方法につい
て説明する。
にSi化合物の非柱状構造からなる硬質膜、柱状構造か
らなる軟質膜を特定のプラズマCVD条件を選定するこ
とによって形成させるものである。概説すれば、本発明
は、形成させようとする硬質膜、軟質膜を構成する元素
の1種又は2種以上を含む化合物及び/又は単体のガス
をプラズマ状態にし、気相反応又はプラスチック成形品
表面における化学反応により所望の硬質膜、軟質膜を形
成させる方法である。
成することが可能であり、しかも成膜速度が早いのが特
徴である。本発明において、プラズマCVD法とは、r
fの平行平板型を用いた方法をいう。なお、本発明にお
いて硬質膜が形成されるプラスチック成形品の大きさ
は、ガラスの代替を考慮すると1m以上にもなるので、
プラズマCVD法としては、プラズマを平行平板電極内
に効率よく閉じこめておくことができる容量結合型CV
D又はマグネトロン型CVDが好ましい。
る。
応温度130℃以下、圧力1.0torr以下とするこ
とである。プラスチック成形品に硬質膜を形成させるも
のであるから、反応温度は最高でも130℃でなければ
ならない。圧力については、1torr以下、好ましく
は0.l〜1torrである。1torrを越えるとプ
ラスチック成形品表面での活性種の拡散が阻害されて膜
が柱状構造となり、一方、0.1torr未満ではrf
放電を安定化させることが困難となる。
0cm/sec・cm以上、パワー密度0.3w/cm
3 以下とすることである。
スの流量とその組成、成膜時の圧力、電極間距離等が重
要な要因となるが、これらは装置によって大きく変わ
る。本発明者等は、ガス速度をガスの吹き出し口と基板
であるプラスチック成形品までの距離で割ったものを速
度勾配と定義し、この速度勾配とプラズマ状態、具体的
には電子やイオンの密度、電子やイオンのエネルギーで
硬質膜が非柱状になる条件が決定されることを見い出し
たものである。
は困難であるため、本発明では、プラズマに投入された
パワーを電極間体積で割った値をパワー密度とし、プラ
ズマの状態を規定する。速度勾配が8000cm/se
c・cmよりも小さいとパワー密度をいくら下げても柱
状構造の膜となり、また、パワー密度が0.3w/cm
3 を越えると速度勾配を上げても反応がはげしくパーテ
ィクルができやすくなって柱状構造となる。
ンを含ませることである。使用するガスは、酸化膜を形
成するのであれば、酸素を元素として含有するガス(N
2 O、CO2 、O2 等)とシランガス(SiH4 、Si
2 H6 等)を混合して反応室に導入する。窒化膜ではN
H3 、N2 等を、炭化膜ではCH4 、C2 H6 等を用い
る。以上のシランを含まないガスを本発明では反応体ガ
スと定義し、ガス組成は、モル比で、反応体ガス:シラ
ン=50〜5:1とするのが好ましい。シランの割合が
高いと未反応のシランが膜中に取り込まれ膜の硬度が低
下する。
イノルズ数を10より大きくすることである。レイノル
ズ数が10以下では、膜は柱状構造となる。上限につい
ては特に限定しないが、30を越えると、ガスの流れに
乱れが生じ、膜厚の均一性が悪くなり、更に、30より
大きくしても膜の堆積速度はあまり変わらないので、成
膜効率を考慮すれば、レイノルズ数は10〜30である
ことが好ましい。
間の距離は、生産性の点から1.5〜3.0cmとする
ことが好ましい。
る。
応温度130℃以下、圧力3.0torr以下とするこ
とである。プラスチック成形品に軟質膜を形成させるも
のであるから、反応温度は最高でも130℃でなければ
ならない。圧力については、3torr以下、好ましく
は0.l〜3torrである。3torrを越えると気
相中で活性種の成長が激しく微粉末となり、一方、0.
1torr未満ではrf放電を安定化させることが困難
となる。
0cm/sec・cm以下、パワー密度0.3w/cm
3 以下とすることである。パワー密度が0.3W/cm
3 より大きい時、膜構造は柱状となるが、膜中に応力が
残留しておりサーマルショックで膜が基板から剥がれや
すい。また、速度勾配が7000cm/sec・cmよ
り大きいと、膜構造は非柱状又は柱状と非柱状の混合構
造となり、十分な応力緩和がなされない。
ンを含ませることである。使用するガスは、酸化膜を形
成するのであれば、酸素を元素として含有するガス(N
2 O、CO2 、O2 等)とシランガス(SiH4 、Si
2 H6 等)を混合して反応室に導入する。窒化膜ではN
H3 、N2 等を、炭化膜ではCH4 、C2 H6 等を用い
る。以上のシランを含まないガスを本発明では反応体ガ
スと定義し、ガス組成は、モル比で、反応体ガス:シラ
ン=10〜5:1とするのが好ましい。シランの割合が
高いと未反応のシランが膜中に取り込まれ、膜中には多
量のSiH結合存在する。このSiH結合が経時的にS
iO、SiOH結合に変化するため膜の安定性が悪くな
る。
間の距離は、生産性の点から1.5〜3.0cmとする
ことが好ましい。
明する。
cm×10cmのポリカーボネート樹脂を用い、図3に
示すプラズマCVD装置により、以下に従ってSiO2
膜の形成を行った。
置し、それをシャッター3を開けてチャンバー7内に搬
送し、ガス穴付電極4に対向する位置に配置した。その
後、シャッターを閉じ、排気装置を作動させて1.0×
10-5torrの真空状態とし、ヒーター5によって8
0℃に加熱保持しながら、反応ガス6をガス穴付電極4
の微細な穴から供給した。
厚3μmのSiO2 膜を成膜した。
ー密度と膜構造の関係を図4に示す。図4より、圧力が
0.4torrでは速度勾配とパワー密度で膜構造が柱
状から非柱状に変化するのがわかる。また、図には示さ
ないが、圧力を下げると柱状構造の領域がせばまり、逆
に1.0torrを越えると本発明の速度勾配の範囲で
あってもいずれも柱状となった。さらにパワー密度が
0.3w/cm3 を越えると柱状となった。
の結晶構造のSEM写真(実施例1)を、図2には柱状
構造からなる膜の結晶構造のSEM写真(比較例8)を
示す。これより、本発明で形成される硬質膜の平均粒子
径は、1000Å未満の微粒子で膜は均質な構造であ
る。これに対し、柱状構造ではその柱状粒子径とその長
さ(膜の厚さ方向に測定)の比が1:10以上であり、
粒子径は1000Å以上であることがわかる。
施例1〜5)は3μmの厚さであるにも関わらず、50
00回までの摩耗に対して大変すぐれており、パイレッ
クスガラス(比較例9)とほぼ同等である。一方、構造
が、柱状と非柱状の混合(比較例1〜4)であれば、1
000回までは、ヘイズは1%台であり非柱状な膜と大
差ないが、5000回までの摩耗では劣化がすすみヘイ
ズが高くなってしまった。
1000回の摩耗でヘイズが2%を越えて耐摩耗性がよ
くない。
は、ダイナミック硬さが柱状構造よりも倍以上の硬さで
あった。
にして、膜厚3μmのSiO2 膜を成膜した。
配が8000cm/sec・cmより大きく、かつパワ
ー密度が0.3w/cm3 以下でも真空度が1.0to
rrを越えると、膜は柱状構造となり、硬さ、テーバー
摩耗試験で本発明の膜より劣ることがわかる。実施例
7,8、比較例12,13より、レイノルズ数が10以
下では、膜は柱状になってしまい、膜の硬さ、テーバー
摩耗試験では本発明の膜より劣る。
物(比較例14〜19)と、実施例1の成膜時間を変
え、膜厚を変化させたプラスチック成形物(実施例9〜
11)の比較を表5に示す。1000回の摩耗テストに
おいて、本発明の成形物は、膜厚3μ程度で、パイレッ
クスと同等のヘイズを示すのに対し、従来の成形物は、
膜厚が最低5μは必要であることがわかる。また、本発
明の成形物が、耐久性においても優れることが、500
0回の摩耗テストより明らかである。
cm×10cmのポリカーボネート樹脂を用い、図3に
示すプラズマCVD装置により、軟質膜、硬質膜の順に
膜形成を行った。
2μmの軟質膜を堆積させた後、引き続き同一槽内で、
以下に示す条件で膜厚4μmの硬質膜を堆積させて、サ
ーマルショック試験、テーバー摩耗試験、硬度試験を行
なった。
iH4 30SCCM 放電周波数 :13.56MHz パワー密度 :0.1W/cm3 電極間距離 :2.0cm 速度勾配 :9676cm/sec・cm レイノルズ数 :19 評価結果を表7に示す。
torr以下、速度勾配7000cm/cm・sec以
下でパワー密度が0.3W/cm3 以下であるため良好
な柱状構造が形成されたのでサーマルショック試験でも
膜剥がれがおきなかった。
験、微小硬度試験結果より、5000回後にヘイズの変
化は3%台と軟質膜をいれない実施例15と同程度で耐
摩耗性は良好であった。
板を用いて形成させた。軟質膜の膜厚を2〜5μm、ま
た硬質膜の膜厚を1〜5μmと変えた時、サーマルショ
ック試験、テーバー摩耗試験、硬度試験を行なった。
iH4 10SCCM 放電周波数 :13.56MHz 電極間距離 :2.0cm 速度勾配 :6060cm/sec・cm
iH4 30SCCM 放電周波数 :13.56MHz パワー密度 :0.1W/cm3 電極間距離 :2.0cm 速度勾配 :9676cm/sec・cm レイノルズ数 :19 評価結果を表8に示す。
力性(サーマルショック)のすべてに優れることがわか
る。
ング装置を用い、Arプラズマにより表面活性化処理を
した後、以下に示す条件で0.3μm厚のZnO膜を形
成した。
3.6SCCM 放電周波数 :13.56MHz パワー :100W 次に図3のプラズマCVD装置にて実施例15と同一条
件で、膜厚4μmの硬質膜を形成した。
nO膜を形成した以外は実施例12と同じ条件で軟質膜
と硬質膜を形成した。
外は実施例22と同一条件で軟質膜と硬質膜を形成し
た。
150SCCM 電極と基板の距離 :2.0cm 放電周波数 :13.56MHz パワー :150W 実施例21〜23ならびに12について、テーバー摩耗
試験、硬度試験、サーマルショック試験ならびに耐候性
試験を行った。結果を表9に示す。
表面に、特定条件によるプラズマCVD法によりSi化
合物の非柱状構造からなる硬質膜を形成させることによ
って、硬度と耐摩耗性等の物性に優れたプラスチック成
形物を得ることができる。
条件によるプラズマCVD法によりSi化合物の柱状か
らなる軟質膜を形成させ、その上にSi化合物の非柱状
構造からなる硬質膜を形成させることによって、サーマ
ルショック及び硬度、耐摩耗性等の物性に優れたプラス
チック成形物を得ることができる。
吸収層を形成することにより、サーマルショック、耐摩
耗性、硬度及び耐候性等の物性に優れたプラスチック成
形物を得ることができる。
ラスチック成形物の硬質膜部分の結晶構造を示す電子顕
微鏡写真である。
電子顕微鏡写真である。
る。
構造からなる硬質膜を備えたプラスチック成形物の硬質
膜部分の結晶構造を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (6)
- 【請求項1】 プラスチック成形品の表面に、中間層を
介して又は介さないでSi化合物の非柱状構造からなる
硬質膜が形成されてなることを特徴とする耐摩耗性プラ
スチック成形物であって、テーバー摩耗試験において5
000回の回転後にヘイズの変化が5%以下であり、か
つ微小硬度試験において、100kg/mm2 以上の硬
さを有する耐摩耗性プラスチック成形物。 - 【請求項2】 プラスチック成形品の表面に、中間層を
介して又は介さないで以下の(1)〜(4)の条件で、
平行平板型CVDによりプラズマCVDを行い、Si化
合物の非柱状構造からなる硬質膜を形成させることを特
徴とする耐摩耗性プラスチック成形物の製造方法。 (1)反応温度130℃以下、圧力1.0torr以下
であること。 (2)反応性ガスの速度勾配8000cm/sec・c
m以上、パワー密度0.3w/cm3 以下であること。 (3)反応性ガスには少なくともシランを含んでいるこ
と。 (4)反応室内のガスは層流で、10より大きいレイノ
ルズ数をもつこと。 - 【請求項3】 プラスチック成形品の表面に、Si化合
物の柱状構造からなる軟質膜を形成し、中間層を介して
又は介さないでSi化合物の非柱状構造からなる硬質膜
が形成されてなることを特徴とする耐摩耗性プラスチッ
ク成形物。 - 【請求項4】 プラスチック成形品の表面に、Si化合
物の柱状構造からなる軟質膜を形成し、中間層を介して
又は介さないでSi化合物の非柱状構造からなる硬質膜
が形成されている耐摩耗性プラスチック成形物を製造す
る際に、以下の(1)〜(3)の条件で、平行平板型C
VDによりプラズマCVDを行い、Si化合物の柱状構
造からなる軟質膜を形成させることを特徴とする耐摩耗
性プラスチック成形物の製造方法。 (1)反応温度130℃以下、圧力3.0torr以下
であること。 (2)反応性ガスの速度勾配7000cm/sec・c
m以下、パワー密度0.3w/cm3 以下であるこ
と。 (3)反応性ガスには少なくともシランを含んでいるこ
と。 - 【請求項5】 中間層が耐紫外線層であることを特徴と
する請求項1又は3記載の耐摩耗性プラスチック成形
物。 - 【請求項6】 耐紫外線層がZnOであることを特徴と
する請求項5記載の耐摩耗性プラスチック成形物。
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JP26145691 | 1991-09-13 | ||
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1171681A (ja) * | 1997-06-26 | 1999-03-16 | General Electric Co <Ge> | 高速アークプラズマ成膜による保護皮膜 |
JP2002539332A (ja) * | 1999-03-17 | 2002-11-19 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 多層物品及びアークプラズマ堆積による製造方法 |
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US9121090B2 (en) | 2008-02-20 | 2015-09-01 | Daikyo Nishikawa Corporation | Resin molded articles |
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-
1992
- 1992-06-17 JP JP18162892A patent/JP3203437B2/ja not_active Expired - Lifetime
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