JP7562339B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法及びトナージェットに使用されるトナーの製造方法に関する。
電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法では、静電荷像を現像するためのトナーが使用される。トナーの製造法としては粉砕法および重合法に大別され、簡便な製造方法としては粉砕法が挙げられる。粉砕法の一般的な製造方法としては、結着樹脂と着色剤及び必要に応じて荷電制御剤、離型剤、流動性付与剤、磁性材料を加えて混合し、溶融混練し、冷却固化した後、混練物を粉砕手段により微細化する。その後、必要に応じて所望の粒度分布に分級する工程や流動化剤などを添加する工程を経て、画像形成に供するトナーとしている。また、二成分現像方法に用いるトナーの場合には、各種磁性キャリアと上記トナーを混合した後、画像形成に供する。
粉砕手段としては各種粉砕装置が用いられるが、特に近年、CO2排出量削減への対応から、装置の省エネルギー化が求められており、電力消費の少ない機械式粉砕機が用いられることが多い。例えば、被粉砕物の投入口および排出口を有するケーシング内に、中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、この回転子の外側に、この回転子の外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子とを備え、投入口から排出口を流れる気流にのって回転子と固定子とが対向する処理部を被粉砕物が通過する際に、回転子もしくは固定子の凸部もしくは凹部に衝突することで被粉砕物を粉砕する機械式粉砕機が知られている。
近年、高画質化の観点でトナーの小粒径化が求められている。トナーの小粒径化のためには、上記のような機械式粉砕機においては、回転子を高速回転させることや回転子と固定子の間隔を狭めることが有効になる。しかしながら、回転子を高速回転させた場合、粉砕時の摩擦熱等によって被粉砕物の温度や粉砕室内の空気等の温度が上昇し、機内融着が発生しやすくなる。また、回転子と固定子の間隔を狭めた場合も機内融着が発生しやすくなる。
より小粒径のトナー粒子の製造のため、固定子の溝の形状を工夫した機械式粉砕機が開示されている(特許文献1)。
特開2005-21768号公報
特許文献1に記載の機械式粉砕機は、固定子の溝の形状を工夫することにより、より小粒径のトナー粒子を製造することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の機械式粉砕機は、より小粒径のトナー粒子を製造する際の機内融着の抑制という観点では改善の余地があることがわかった。
トナー粒子をより小粒径に粉砕し、微粉砕品を得るために回転子の回転数を増大させた場合や、生産性向上のための手段として、単位時間当たりの被粉砕物の投入量を増やした場合に、機内の温度及び被粉砕物の温度上昇がより顕著となるため、機内融着が発生しやすくなる。
また、機内の温度及び被粉砕物の温度上昇が顕著になると、被粉砕物の表面が部分的に溶け、被粉砕物同士が結合してしまい、微粉砕品の粒径が安定しない場合がある。
本発明は上述した課題を解決する為になされるものであり、より小粒径のトナー粒子を製造する際に、機内融着を抑制することができ、かつ、トナーの生産性の向上を達成するトナー粒子の製造方法を提供するものである。
本発明は、結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練する工程
得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕機によって粗粉砕して粗粉砕物を得る工程
該粗粉砕物を微粉砕手段によって微粉砕する工程
を有するトナーの製造方法であって、
該微粉砕手段は、
該粗粉砕物を該微粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、
内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
微粉砕された粉体を微粉砕手段から排出するための粉体排出口と、を有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
該微粉砕手段に投入する該粗粉砕物の体積平均粒径を該微粉砕する工程中に変更し、
該粗粉砕物の体積平均粒径を変更する手段は該粗粉砕機の粉砕条件の変更であることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
本発明によれば、より小粒径のトナー粒子を製造する際に、機内融着を抑制することができ、かつ、トナーの生産性の向上を達成するトナー粒子の製造方法を提供することができる。
本発明に用いられる微粉砕手段である機械式粉砕機の概略図である。 本発明に用いられる粗粉砕物の粒度分布の一例を示す図である。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナー粒子の製造方法は、結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕して粗粉砕物を得、該粗粉砕物を微粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造方法であって、
該微粉砕手段は、
該粗粉砕物を該微粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、
内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
微粉砕された粉体を微粉砕手段から排出するための粉体排出口と、を有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
該微粉砕手段に投入する該粗粉砕物の体積平均粒径を製造中に変更することを特徴とする。
本発明者らの検討によれば、上記製造方法により、より小粒径のトナー粒子を製造する際に、機内融着を抑制することができ、かつ、トナーの生産性の向上を達成するトナー粒子の製造方法を提供することができる。
該トナー粒子の製造方法が、従来にない優れた効果を得られる理由は以下のように考えている。
図1に示した機械式微粉砕機の粉体供給口(粉体投入口)101へ所定量の粗粉砕物(被粉砕物)が投入されると、粗粉砕物は、回転子103と固定子104との間隙である粉砕処理室に導入される。
そして、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子と、表面に多数の溝が設けられている固定子との間に発生する衝撃によって瞬間的に粉砕される。その後、粉体排出口106を通り、排出される。
粉体供給口から投入された粗粉砕物は、粉体供給口から粉体排出口に向かう気流により中心回転軸と並行する力と回転子の凸部および凹部との衝突により回転子の外周の法線方向の力を受ける。その結果として被粉砕物は、粉体供給口近傍の回転子と固定子の間隙内を起点とし、粉体排出口近傍を終点とする、回転子の回転方向に向けた一筋の螺旋軌道をとって移動しながら粉砕されると考えられる。この軌道は微粉砕機内で発生する気流と、粗粉砕物の粒径(重量)で決まってくる。微粉砕機内の気流は回転子103の回転数、回転子103と固定子104の最小間隙、吸引ブロワーの流量等の運転条件により決まってくる。この気流の流れによって、粗粉砕物の粒径毎に粉砕処理室内に導入されやすい位置が決まってくる。その結果、例えば図2に示すような60μmの粗粉砕物を上記機械式微粉砕機で粉砕する場合、粉砕処理室へは60μmの粗粉砕物の軌道を中心にある程度広がりを持った一筋の軌道を辿ると考えられる。
本発明によれば、粗粉砕物の粒径を製造中に変化させることによって、粉砕処理室内の粗粉砕物の軌道を変化させ粉砕処理室全域を効果的に使用することが出来る。これにより装置内の局所的昇温を抑え、装置内融着、微粉砕物品の粒度上昇を防ぐことができる。本発明での粗粉砕物の粒径の変化は、所謂製造上の振れの範囲ではなく、粗粉砕装置の運転条件を変えることにより、意図的に粒径を変化させるというものである。
粗粉砕物の軌道が一定のまま変化せずに粉砕されると、粉砕処理室内での粗粉砕物の流れが局所的になる。そのため、粗砕物が粉砕されると、粉砕時の摩擦熱により、粉砕機の機内温度及び粗砕物の顕著な温度上昇が起こる場合がある。その結果、温度上昇部を起点にトナーの機内融着が発生する場合や、粗粉砕物の表面が部分的に溶け、粉砕物どうしが結合してしまい、微粉砕品の粒径が安定しない場合がある。
粉砕処理室内の粗粉砕物の軌道を変化させるには、上記の装置内の気流を変化させる手段もある。しかしながら回転子103の回転数等の運転条件を変化させると、微粉砕物の粒径も大きく変化してしまい、所望の粒径のものを製造できない。
一方で粗粉砕物の粒径を変化させても微粉砕物の粒径にはほとんど影響が無いことが本発明者らの鋭意検討で分かってきた。この理由については以下の様に考えている。粉砕に必要なエネルギーは粉砕時に発生する表面積の変化分と考えることができる。そうした場合、被粉砕物の粒径が50μmの物を6μmに微粉砕した場合と、被粉砕物の粒径が100μmの物を6μmに微粉砕した場合では表面積の変化分はほとんど変わらない(6μmの表面積が圧倒的に大きい為)。であるから粗粉砕物の粒径を変化させた場合でも同じ運転条件でほぼ同一の微粉砕品粒度が得られると考えている。
粗粉砕物の粒径は一定時間運転する毎に切り替えるのが好ましい。粗粉砕物を同一粒径で連続供給する時間が長いほど装置内融着のリスクは高まる。
また本発明においては、変更前後の粗粉砕物の体積平均粒径の差が50μm以上であることが好ましい。50μm以上とすることで各々の粒径の粗粉砕物の装置内を通る軌道をより離すことが出来、本発明の効果を明確に引き出すことが出来る。
また機械式微粉砕機には、図1に示すように供給口101に連通した渦巻室1021を設けることが好ましい。供給口101から入ってきた粗粉砕物は渦巻室1021の壁に沿って旋回し、旋回を続けていく中で粗粉砕物の粒径に応じて粉砕室内に導入されていく。即ち渦巻室が無いものに比べ、整流作用が強まり、粒径に応じて入るべき箇所から入り易くなっていると考えられる。本発明では意図的に粗粉砕物の粒径を変化させ、装置内の軌道を変化させることを狙いとしているので、粒径により入る箇所が制御し易い渦巻室を有している方が好ましい。
次に、本発明の製造方法で、トナー粒子を製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも結着樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤、該離型剤を分散させる分散剤、帯電制御剤などを混合してもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、粗粉砕工程で所望の粒径にまで粗粉砕される。粗粉砕工程では、通常、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等の粉砕機が使用されるが、本発明のトナーの製造方法においては、微粉砕工程へ供給する粗砕品の体積平均粒径を、上記変更前後のいずれも20μm以上300μm以下の範囲内とすることが好ましく、20μm以上200μm以下の範囲内とすることが更に好ましい。
微粉砕工程へ供給する粗粉砕品の粒径が300μmを超えると、微粒子化に対して生産性向上効果がでない場合がある。これは粗粉砕品の粒径が大きくなり過ぎると、微粉砕装置に局所的に加わる負荷が大きくなり過ぎる為、本発明のように装置内の粗粉砕品の軌道を変えた場合でも融着リスクが発生してしまう場合がある。一方、粗砕品の粒径が20μm未満の場合には、微粉砕工程への影響は少ないが、粗粉砕工程での安定生産が困難となりトナーの生産上好ましくない。
本発明のトナーの製造方法において粗粉砕工程で使用する粗粉砕機は、一次粉砕手段と二次粉砕手段とを有することが好ましい。特に、一次粉砕手段は、一次粉砕用中心回転軸に取り付けられた一次粉砕用の複数の回転打撃子を有し、二次粉砕手段は、二次粉砕用中心回転軸に取り付けられた凹凸を有する回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている凹凸を有する固定子とを有し、且つ、これらの粉砕ゾーンは1ユニット内に収められ、一次粉砕用回転軸と二次粉砕用回転軸とが同軸上に存在し、製造時に同一回転数で運転される粗粉砕機を用いることがより好ましい。この粗粉砕機を用いると回転数を変化させることで所望の粗粉砕粒径を得ることができるので、粗粉砕粒径をコントロールするのに適している。尚、一次粉砕と二次粉砕における回転軸の回転は、共通の動力源で行うことが好ましい。
次に、本発明で使用する結着樹脂及び着色剤を少なくとも含むトナー粒子の原材料について説明する。
<結着樹脂>
電子写真に用いられるトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など。この中でも、低温定着性を良好にするという観点から非晶性ポリエステル樹脂が用いられ、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、低分子量ポリエステルと高分子量ポリエステルを併用することが知られている。また、さらなる低温定着性の向上と保管時の耐ブロッキング性の観点から結晶性ポリエステルを可塑剤として用いることもある。
<着色剤>
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
該着色剤としては、公知の有機顔料若しくは油性染料、カーボンブラック、又は磁性体などが挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などが挙げられる。
黒色系着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は、前記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
該着色剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
<離型剤>
必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤を用いてもよい。該離型剤としては、低分子量ポリオレフィン類、シリコーンワックス、脂肪酸アミド類、エステルワックス類、カルナバワックス、炭化水素系ワックスなどが一般的に例示できる。
<微粉砕粒子の粒度分布の測定方法>
微粉砕物の粒度分布は以下のように測定した。
測定装置として、50μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンタ Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定及び解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。
「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を1μmから30μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となるように適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<粗粉砕粒子の粒度分布の測定方法>
粗粉砕物の粒度分布の測定として、粒度分布測定装置LA-950V2(堀場製作所製)を用いた。この装置はレーザー散乱法を用いて、0.01μm~3000μmまでの粒径が測定可能である。この装置を用いて湿式測定により粗粉砕物の体積平均粒径を測定した。湿式測定の方法としては水媒体に粗粉砕物を交ぜ、上記コールターカウンタ同様に分散剤として「コンタミノンN」を用いて超音波分散させたものを装置内に導入させた。
試料(粗粉砕物)の屈折率の値として1.53、分散媒の屈折率の値として1.33を用いて測定を行った。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<非晶性ポリエステル樹脂Lの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂Lを得た。
<非晶性ポリエステル樹脂Hの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂Hを得た。
<結晶性ポリエステル樹脂>
・1,6-ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族化合物を、原料モノマー100.0mol%に対し7.0mol%加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
<トナーの製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂L 80質量部
・非晶性ポリエステル樹脂H 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、二軸混練機(PCM-92型、株式会社池貝製)にて混練した。混練時のバレル温度は、混練物の出口温度が120℃になるよう設定した。混練物の出口温度は、安立計器社製ハンディタイプ温度計HA-200Eを用い直接計測した。その後、得られた混練物を冷却した。
〔実施例1〕
本実施例においては、粗粉砕物の粒径を変化させながら微粉砕工程を実施した。具体的には粗粉砕機の回転数を2900rpm、2300rpm、1800rpmと変化させて粗粉砕物を得た。それぞれの回転数で得られる粗粉砕物の体積平均粒径を表1に示す。
本実施例では表2に示すように2900rpmで20min運転→2300rpmで15min運転→1800rpmで10min運転のサイクルを繰り返す条件としている。
得られたトナー粗粉砕物を、図1に示す粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT800改造機)で粉砕しトナー粒子を得た。
本実施例では粉砕機の回転子103と固定子104の最小間隙を1.0mmに設定し、機械式微粉砕機に導入する空気の温度を-20℃、吸引ブロワーの流量を25m3/min、粗粉砕物供給量を250kg/hrとした。
回転子103の回転数は以下の条件とした。
<条件1>
回転子103の回転数を170m/secに設定し、連続4時間製造を行った。
<条件2>
回転子103の回転数を180m/secに設定し、連続4時間製造を行った。
[機内融着性の評価]
連続4時間の製造後装置を停止し、回転子及び固定子のトナーの付着度合い(汚れ)を目視で確認した。
評価ランクは以下とする。
A・・・付着はほとんどなくり非常に優れている。
B・・・若干付着は認められるが実用上問題のないレベルである。
C・・・付着が認められ実用上問題がある。
評価結果を表3に示す。
[粒径安定性の評価]
製造した微粉砕品を30min毎にサンプリングし、重量平均粒径(D4)を測定し、微粉砕品の粒径安定性の評価を行った。
評価は、サンプリングした粒径の最大値と最小値の差を算出し、以下のランク付けを行った。
A・・・0.2μm未満であり良好。
B・・・0.2μm以上0.4μm未満であり、実用上問題のないレベル。
C・・・0.4μm以上であり実用上問題レベル。
評価結果を表3に示す。
〔実施例2~8〕
粗粉砕機の条件を表2に示す様に行った。粗粉砕機の回転数に対する粗粉砕物の体積平均粒径を表1に示す。その他の条件は実施例1と同様にし、評価を行った。
評価結果を表3に示す。
〔比較例1~3〕
粗粉砕機の回転数を一定とした。条件を表2に示す。その他の条件は実施例1と同様にし、評価を行った。
評価結果を表3に示す。
Figure 0007562339000001
Figure 0007562339000002
Figure 0007562339000003
101:粉砕供給口(粉体投入口)、1021:渦巻室、1022:渦巻室出口部、103:回転子、104:固定子、105:後室、106:粉体排出口、107:回転軸、108:冷風発生装置、109:冷水供給口、110:冷水排出口

Claims (6)

  1. 結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練する工程
    得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕機によって粗粉砕して粗粉砕物を得る工程
    該粗粉砕物を微粉砕手段によって微粉砕する工程
    を有するトナーの製造方法であって、
    該微粉砕手段は、
    該粗粉砕物を該微粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、
    内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
    中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
    微粉砕された粉体を微粉砕手段から排出するための粉体排出口と、を有し、
    該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
    該微粉砕手段に投入する該粗粉砕物の体積平均粒径を該微粉砕する工程中に変更し、
    該粗粉砕物の体積平均粒径を変更する手段は該粗粉砕機の粉砕条件の変更であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 変更前後の該粗粉砕物の体積平均粒径がいずれも20μm以上200μm以下の範囲内である請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 該微粉砕手段が一定時間運転する毎に、該微粉砕手段に投入する該粗粉砕物の体積平均粒径を変更する請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
  4. 該粗粉砕は、一次粉砕手段と二次粉砕手段とを有し、
    該一次粉砕手段は、一次粉砕用中心回転軸に取り付けられた一次粉砕用の複数の回転打撃子を有し、
    該二次粉砕手段は、二次粉砕用中心回転軸に取り付けられた凹凸を有する回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている凹凸を有する固定子を有し、
    該一次粉砕用回転軸と該二次粉砕用回転軸とは、同軸上に存在し、製造時には、同一回転数で運転され、
    該一次粉砕用回転軸及び該二次粉砕用回転軸の回転数を変更することで該粗粉砕物の体積平均粒径を変化させる請求項1~3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 変更前後の該粗粉砕物の体積平均粒径の差が50μm以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 該微粉砕手段は、該粉体投入口に連通した渦巻室を有する請求項1~5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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