以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
本実施形態では、2以上の階層を有する建物(不図示)の階段50(図2)に設置され、階段50を昇降する人の転落を検知する転落検知装置10(図1)が説明される。転落検知装置10は、人の転落を検知したことに応じて、安全装置21(図1)を動作させるとともに、人が転落したことを示すメールを送信する。以下、詳しく説明する。
図1に示されるように、転落検知装置10は、端末装置11と、端末装置11に接続された第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33、及び安全装置21と、を備える。なお、図1において破線で示されたカメラ62、63や、3次元レーザセンサ64、65や、第1センサ群71や、第2センサ群72や、第3センサ群73については、変形例において説明する。以下では、第1センサ群31、第2センサ群32、第3センサ群33を区別しない場合、センサ群31、32、33と記載して説明する。
端末装置11は、例えば、パーソナルコンピュータや、建物の室内の壁面に取り付けられて建物の管理を行う管理装置などである。端末装置11は、コントローラ12と、通信インタフェース13と、電源回路14と、を有する。なお、図1では、通信インタフェース13は、通信I/F13として省略されて表記されている。
通信インタフェース13は、インターネットプロトコルに準じた通信を行うインタフェースであって、不図示のルータを介してインターネット19と接続されている。
電源回路14は、100Vや110Vや120Vや200Vや220Vや240Vなどの商用の交流電源(不図示)と、電源ケーブル等によって接続されている。電源回路14は、交流電圧を直流電圧に変換するAC-DCコンバータである。電源回路14は、コントローラ12や通信インタフェース13やセンサ群31、32、33や安全装置21に駆動電力を供給する。なお、電源回路14と通信インタフェース13、センサ群31、32、33、及び安全装置21とを接続する給電線の図示は省略されている。また、不図示のスイッチング素子が給電線に設けられている。このスイッチング素子は、コントローラ12から駆動信号を入力されることにより、オンオフされる。すなわち、センサ群31、32、33及び安全装置21への駆動電力の供給は、コントローラ12によって制御される。
コントローラ12は、中央演算処理装置であるCPU15と、メモリ16と、通信バス17と、を有する。
メモリ16は、例えば、ROMや、RAMや、EEPROMや、不図示の装着部に装着されたUSBメモリなどの可搬記憶媒体やバッファなどである。メモリ16は、制御プログラム18と、閾値A、Bと、メールアドレスと、を記憶する。なお、図1に示された判断画像データは、変形例において説明される。
制御プログラム18は、CPU15によって実行されるプログラムであって、人の転落を検知する処理を実行するプログラムである。制御プログラム18が実行する処理については、詳しくは後述される。
閾値A、Bは、制御プログラム18が転落か否かを判断する際に用いられる。詳しくは後述する。メールアドレスは、制御プログラム18が人の転落を検知した場合に送信されるメールのアドレスを示す。メールアドレスは、例えば、建物を使用する家人や、当該家人の親類などが登録したメールアドレスである。
通信バス17は、CPU15、メモリ16、通信インタフェース13、センサ群31、32、33、及び安全装置21と接続されている。すなわち、CPU15によって実行される制御プログラム18は、通信バス17を通じて、情報やデータをメモリ16から読み出し、情報やデータをメモリ16に記憶させることができ、メールや情報やデータを通信インタフェース13を通じて送受信することができ、センサ群31、32、33が検知した検知情報を取得することができ、安全装置21に駆動信号を出力して安全装置21を動作させることができる。
センサ群31、32、33は、複数のレーザセンサ40をそれぞれ有する。センサ群31、32、33がそれぞれ有するレーザセンサ40の個数は、階段50の種類や間取りなどによって決められる。階段50の種類は、例えば、直線状の階段、螺旋階段、折り返し階段などである。図2(A)に示す例では、階段50は、直線状の階段であり、図2(B)に示す例では、階段50は折り返し階段である。レーザセンサ40は、全て或いは一部が同一の仕様のレーザセンサであってもよいし、全て相違する仕様のレーザセンサであってもよい。以下では、全てのレーザセンサ40が同一の仕様である例を説明する。
レーザセンサ40は、レーザ光を照射する照射部と、人などの物体によって反射された反射光を受光し、受光した反射光を電圧に変換する受光部と、を有する。受光部は、例えばフォトダイオードである。レーザセンサ40は、例えば、識別情報と、レーザ光を照射したタイミングと反射光を受光したタイミングとの差を示す情報と、受光部が出力する電圧値に応じた情報と、を含む検知情報を出力する。
識別情報は、複数のレーザセンサ40を個々に識別する情報である。レーザ光を照射したタイミングと反射光を受光したタイミングとの差を示す情報は、階段50に隣接する壁や階段50の踏板52などによってレーザ光が反射されたか、階段50を昇降する人などの物体によってレーザ光が反射されたかを示す。受光部が出力する電圧値に応じた情報は、壁や踏板52によってレーザ光が反射されたか、階段50を昇降する人などの物体によってレーザ光が反射されたかを示す。すなわち、コントローラ12は、レーザセンサ40が出力した検知情報に基づいて、当該レーザセンサ40が人を検知したか否かを判断することができる。別言すれば、コントローラ12は、複数のレーザセンサ40から入力された検知情報に基づいて、複数のレーザセンサ40のうちから、人を検知したレーザセンサ40を個々に特定することができる。
なお、レーザセンサ40が出力する検知情報は、人を検知したか否かをコントローラ12が判断可能な情報であればよく、上述の例以外の検知情報であってもよい。また、複数のレーザセンサ40と端末装置11との間に中継装置が設けられていてもよい。中継装置は、各レーザセンサ40から入力された検知情報に基づいて、各レーザセンサ40が人を検知したか否かを判断し、各レーザセンサ40が人を検知しかた否かを示す情報を端末装置11に入力してもよい。
以下では、階段50が、図2(A)に示されるように直線状の階段である例を説明する。
第1センサ群31のレーザセンサ40は、階段50を昇降する人が転落姿勢となったか否かを検知するためのセンサである。第1センサ群31のレーザセンサ40は、階段50に隣接して設けられた一対の対向壁の一方の壁51に設けられている。詳しく説明すると、複数のレーザセンサ40は、鉛直方向及び水平方向に並んで設けられており、いわゆるマトリックス状或いは格子状に配置されている。なお、図2(A)では、第1センサ群31に属するレーザセンサ40は、グレーに塗りつぶされた丸で示されている。
第1センサ群31のレーザセンサ40は、階段50の登り口53から降り口54に亘って設けられている。すなわち、第1センサ群31の複数のレーザセンサ40は、階段50の上方の空間の全てを検知領域とする。
第1センサ群31に属し、かつ鉛直方向に並ぶ列に属する複数のレーザセンサ40のうち、最も下に位置するレーザセンサ40は、階段50の踏板52と同一の高さ位置、或いは踏板52よりも僅か(数cm)に上となる位置に位置している。鉛直方向に並ぶ列に属する複数のレーザセンサ40のうち、最も上に位置するレーザセンサ40は、踏板52に立つ人の頭頂よりも上となる位置に位置している。すなわち、第1センサ群31に属する複数のレーザセンサ40は、階段50を昇降する人の頭から足までを含む領域を検知領域とする。
第1センサ群31のレーザセンサ40は、壁51の壁面に略垂直にレーザ光を照射する向きに設置されている。すなわち、第1センサ群31の複数のレーザセンサ40は、階段50の上方の空間であって、階段50を昇降する人が通過する空間を検知領域(以下、第1検知領域とも記載する)とする。第1検知領域は、第1センサ群31に属する複数のレーザセンサ40がレーザ光を照射する空間(領域)であって、レーザセンサ40が人を検知可能な空間(領域)である。別言すれば、検知領域は、レーザー光などの検知波が照射される空間(領域)であって、人などの物体を検知可能な空間(領域)である。第1センサ群31の各レーザセンサ40がそれぞれレーザ光を照射する各空間は、個別検知領域の一例である。個別検知領域は、階段50の幅方向(図2(A)の紙面に直交する方向)に長い空間である。すなわち、階段50において人が昇降する空間である第1検知領域を、階段50の幅方向に長い複数の個別検知領域に区分けし、各個別検知領域にそれぞれレーザ光が照射されるように、各レーザセンサ40がそれぞれ配置されている。
鉛直方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離Hは、例えば階段50の蹴上げと同じ寸法とし、数cmから数十cmであり、好ましくは、10cmから20cmである。水平方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離Dは、例えば階段50の踏面(1段の奥行)と同じ、若しくは踏面の1/2の寸法とし、数cmから数十cmであり、好ましくは、数cmから20cmである。
水平方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離Dは、鉛直方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離Hよりも短くされている。すなわち、水平方向における分解能は、鉛直方向における分解能よりも高くされている。水平方向における分解能が、鉛直方向における分解能よりも高くされているのは、階段50を昇降する人が転落姿勢であることを精度良く検知するためである。転落姿勢は、例えば、前傾姿勢であって、水平方向に長く伸びた姿勢である。水平方向における分解能が高くされていることにより、転落姿勢であるか否かが精度良く検知される。詳しくは後述される。
第2センサ群32のレーザセンサ40は、階段50に進入する人の身長や歩行姿勢を検知するためのセンサである。第2センサ群32のレーザセンサ40は、壁51の一部分であって、階段50の登り口53及び降り口54に隣接する部分に設けられている。第2センサ群32の複数のレーザセンサ40は、形状検出装置の一例である。第2センサ群32の複数のレーザセンサ40が出力する検知情報は、形状情報の一例である。
第2センサ群32のレーザセンサ40は、階段50に進入する人の身長や歩行姿勢を検知可能なように、第1センサ群31のレーザセンサ40と同様に、鉛直方向及び水平方向に並んで、マトリックス状或いは格子状に配置されている。
第2センサ群32のレーザセンサ40は、壁51の壁面に略垂直にレーザ光を照射する向きで壁51に取り付けられている。すなわち、第2センサ群32の複数のレーザセンサ40は、階段50の登り口53及び降り口54の廊下や床の上方の空間であって、階段50に進入する人が歩行する空間を検知領域(以下第2検知領域とも記載する)とする。第2検知領域は、第2センサ群32の各レーザセンサ40がレーザ光を照射する空間(領域)であって、レーザセンサ40が人を検知可能な空間(領域)である。別言すれば、第2検知領域は、レーザー光などの検知波が照射される空間(領域)であって、人などの物体を検知可能な空間(領域)である。
水平方向に並ぶレーザセンサ40の個数、すなわち図2(A)の左右方向における第2センサ群32が人を検知可能な領域の長さは、例えば、腰を曲げて歩行する人の頭頂と背中とにレーザ光が同時に照射可能に設定されている。また、鉛直方向に並ぶレーザセンサ40の個数、すなわち、鉛直方向における第2センサ群32が人を検知可能な領域の長さは、直立した人の頭頂と足とにレーザ光が同時に照射可能に設定されている。なお、図2(A)では、第2センサ群32に属するレーザセンサ40は、白抜きされた丸で示されている。
第2センサ群32において、鉛直方向及び水平方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離は、登り口53或いは降り口54を歩行する人の身長及び歩行姿勢を検知可能な距離に設定されている。具体的には、第2センサ群32において、鉛直方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離は、上述の離間距離Hと同じにされてもよいし、離間距離Hと異なっていてもよい。また、第2センサ群32において、水平方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離は、上述の離間距離Dと同じにされてもよいし、異なっていてもよい。
第3センサ群33のレーザセンサ40は、階段50の登り口53及び降り口54に人が進入したことを検知するためのセンサである。第3センサ群33の複数のレーザセンサ40は、検知センサの一例である。第3センサ群33の複数のレーザセンサ40が出力する検知情報は、進入情報の一例である。
第3センサ群33のレーザセンサ40は、第2センサ群32を挟んで第1センサ群31の反対側に設けられている。第3センサ群33の複数のレーザセンサ40は、鉛直方向に並んで設けられている。また、第3センサ群33のレーザセンサ40は、壁51の壁面に略垂直にレーザ光を照射する向きで壁51に取り付けられている。なお、第3センサ群33のレーザセンサ40は、第2センサ群32のレーザセンサ40とともに、階段50の登り口53及び降り口54を歩行する人の身長や歩行姿勢の検知に用いられてもよい。すなわち、第3センサ群33のレーザセンサ40は、第2センサ群32に属する複数のレーザセンサ40の一部であってもよい。
第3センサ群33のレーザセンサ40であって、鉛直方向において隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離は、歩行する人を検知可能な距離に設定されている。例えば、当該離間距離は、十数cmから数十cmに設定されている。
安全装置21は、例えば、複数のエアバッグ装置を備える。各エアバッグ装置は、エアバッグと、エアバッグに注入されるガスを発生させる駆動装置と、をそれぞれ有する。各エアバッグは、階段50の踏板52の下方の空間や、壁51或いは壁51に対向する壁に設置されている。すなわち、各踏板52に対応して1つのエアバッグが設けられている。
駆動装置は、電源回路14から電力を供給されることにより、エアバッグにガスを注入する。すなわち、コントローラ12は、電源回路14と安全装置21とを接続する給電線に設けられた上述のスイッチング素子に駆動信号を入力することにより、エアバッグを膨張させることができる。なお、上記スイッチング素子は、各エアバッグ装置に対して個々に設けられており、コントローラ12は、複数のエアバッグ装置のエアバッグを、個々に特定して、個々に膨張させることができる。コントローラ12が、駆動装置を駆動させるために出力する駆動信号は、信号の一例である。
以下、制御プログラム18が実行する処理であって、人の転落を検知する処理について、図3を参照して説明する。まず、制御プログラム18は、第3センサ群33の各レーザセンサ40に駆動電力を供給して、第3センサ群33の各レーザセンサ40が出力する第3検知情報を取得する(S11)。そして、制御プログラム18は、取得した第3検知情報に基づいて、第3センサ群33の各レーザセンサ40が人を検知したか否かを判断する(S12)。すなわち、制御プログラム18は、ステップS12において、階段50の登り口53或いは降り口54に人が進入したか否かを判断する。ステップS11の処理は、取得処理の一例である。
制御プログラム18は、階段50の登り口53或いは降り口54に人が進入していないと判断すると(S12:No)、ステップS11の処理を再度実行する。ステップS11の処理は、メモリ16に記憶された所定期間ごとに繰り返し実行される。すなわち、制御プログラム18は、階段50の登り口53或いは降り口54に人が進入したか否かを定期的に検出する。所定期間は、例えば数mm秒から1秒程度である。
制御プログラム18は、階段50の登り口53或いは降り口54に人が進入したと判断すると(S12:Yes)、第2センサ群32の各レーザセンサ40にそれぞれ駆動電力を供給し(S14)、第2センサ群32の各レーザセンサ40がそれぞれ出力する第2検知情報を取得する(S15)。そして、制御プログラム18は、取得した第2検知情報に基づいて、第2センサ群32の各レーザセンサ40が人を検知したか否かを判断する(S16)。ステップS15の処理は、形状情報取得処理の一例である。
制御プログラム18は、第2センサ群32のレーザセンサ40が人を検知していないと判断すると(S16:No)、第2センサ群32への駆動電力の供給を停止して(S13)、ステップS11の処理を再度実行する。例えば、第3センサ群33のレーザセンサ40がレーザ光を照射する位置まで歩行した人が引き返した場合、制御プログラム18は、ステップS16において、人を検知していないと判断する(S16:No)。
制御プログラム18は、第2センサ群32のレーザセンサ40が人を検知したと判断すると(S16:Yes)、階段50の登り口53或いは降り口54を歩行する人の身長及び歩行姿勢を特定する(S17)。詳しく説明すると、制御プログラム18は、第2センサ群32の複数のレーザセンサ40のうち、人を検知したレーザセンサ40を個々に特定し、特定したレーザセンサ40のうち、最も高い位置に配置されたレーザセンサ40の高さ位置を、身長として特定する。なお、メモリ16は、例えば、各レーザセンサ40にそれぞれ付与された上述の識別情報と、身長とを対応付けたテーブルを予め記憶する。制御プログラム18は、特定したレーザセンサ40と対応付けられた身長を取得し、取得した身長のうち、最も高い身長を、登り口53或いは降り口54を歩行する人の身長として特定する。また、制御プログラム18は、人を検知した複数のレーザセンサ40が、鉛直方向に並ぶことに応じて、歩行姿勢を「直立歩行姿勢」に特定する。制御プログラム18は、人を検知した複数のレーザセンサ40が、鉛直方向及び水平方向に並んで略L字状であることに応じて、歩行姿勢を「湾曲歩行姿勢」に特定する。すなわち、制御プログラム18は、歩行姿勢を、「直立歩行姿勢」或いは「湾曲歩行姿勢」に特定する。
制御プログラム18は、特定した身長及び歩行姿勢から、メモリ16に記憶された閾値A、Bを補正する。閾値A、Bは、階段50を昇降する人が転落姿勢になったか否かの判断(S23)に用いられる。閾値A、Bの補正及び人の転落の判断(S24)については、ステップS23において詳しく説明する。
なお、転倒姿勢は、前傾姿勢に限られず、体を丸めた姿勢など、他の姿勢を含む。そして、各転倒姿勢ごとに閾値が設けられてもよい。さらに、閾値は、個数a、bの変化量として設定されていてもよい。昇降姿勢からの個数a、bの変化量が閾値A、Bを超えたことに基づいて、制御プログラム18は、階段50を昇降する人が転倒すると判断する。
制御プログラム18は、ステップS18の処理の実行後、第1センサ群31の各レーザセンサ40に駆動電力を供給し(S19)、第1センサ群31の各レーザセンサ40が出力した第1検知情報を取得する(S20)。そして、制御プログラム18は、取得した第1検知情報に基づいて、第1センサ群31の各レーザセンサ40が人を検知したか否かを判断する(S21)。ステップS19の処理は、駆動処理の一例である。第1センサ群31に属する各レーザセンサ40がそれぞれ出力する第1検知情報は、個別検知情報の一例である。
制御プログラム18は、第1センサ群31のレーザセンサ40が人を検知していないと判断すると(S21:No)、第1センサ群31への駆動電力の供給を停止して(S22)、ステップS14の処理を再度実行する。例えば、階段50の登り口53或いは降り口54まで進入した人が引き返した場合、制御プログラム18は、ステップS21において人を検知していないと判断する(S21:No)。
制御プログラム18は、第1センサ群31のレーザセンサ40が人を検知したと判断すると(S21:Yes)、取得した第1検知情報に基づいて、人を検知したレーザセンサ40を個々に特定し、鉛直方向における特定したレーザセンサ40の個数aと、水平方向における特定したレーザセンサの個数bとをカウントする(S23)。
制御プログラム18は、カウント値である個数a、bと、ステップS18で補正した閾値A、Bとを用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する(S24)。閾値A、Bの補正及び転落姿勢であるか否かの判断について、図4を参照して詳しく説明する。
図4(A)は、所定身長かつ直立歩行姿勢である人が階段50を昇降する場合において、人を検知したレーザセンサ40及びその個数と、所定身長よりも低い身長かつ湾曲歩行姿勢である人が階段50を昇降する場合において、人を検知したレーザセンサ40及びその個数と、を示す。図4(B)は、所定身長かつ直立歩行姿勢である人が転落姿勢となった場合において、人を検知したレーザセンサ40及びその個数を示す。図4(C)は、所定身長より低い身長かつ湾曲歩行姿勢である人が転落姿勢となった場合において、人を検知したレーザセンサ40及びその個数を示す。
図4(A)、(B)に示すように、所定身長の人が直立歩行姿勢から転倒姿勢になると、鉛直方向において人を検知したレーザセンサ40の個数aは、9個から6個に減少し、水平方向において人を検知したレーザセンサ40の個数bは、5個から9個に増加する。閾値A、Bは、所定身長かつ直立歩行姿勢である人の転落を判断可能な値として、例えばテストによって予め決定され、メモリ16に記憶される。閾値Aは、例えば「7」であり、閾値Bは、例えば「7」である。
制御プログラム18は、ステップS24(図3)において、カウント値aが閾値A以下であり、かつ、カウント値bが閾値B以上であることに応じて、転落姿勢であると判断すし(S24:Yes)、カウント値aが閾値A以下でなく、或いは、カウント値bが閾値B以上でないことに応じて、転落姿勢でないと判断する(S24:No)。ステップS24の処理は、判断処理の一例である。
次に、閾値A、Bの補正について説明する。メモリ16は、例えば、直立歩行姿勢用の対応テーブルである第1テーブルと、湾曲歩行姿勢用の対応テーブルである第2テーブルと、を予め記憶する。第1テーブル及び第2テーブルは、身長と、補正後の閾値A、Bとを対応付けたテーブルである。或いは、第1テーブル及び第2テーブルは、身長と、補正後の閾値A、Bを決定可能な補正値と、を対応付けたテーブルである。例えば、ステップS17で特定した歩行姿勢が直立歩行姿勢であり、かつ特定した身長が所定身長よりも低い場合、閾値A、Bは、元の閾値A、Bよりも小さい値に補正される。また、ステップS17で特定した歩行姿勢が湾曲歩行姿勢であり、かつ特定した身長が所定身長よりも低い場合、閾値A、Bは、元の閾値A、Bよりも小さい値であって、直立歩行姿勢の場合の補正後の閾値A、Bよりもさらに小さい値に補正される。すなわち、閾値A、Bは、階段50を昇降する人の身長や歩行姿勢に応じて補正される。閾値A、Bが補正されることにより、階段50を昇降する人が転落姿勢となったか否かの検知精度が良くなる。
制御プログラム18は、図3に示されるように、転落姿勢でないと判断すると(S24:No)、ステップS20以降の処理を再度実行する。ステップS20の処理は、メモリ16に記憶された所定期間ごとに繰り返し実行される。すなわち、制御プログラム18は、第1検知情報を定期的に取得し、人が転落するか否かを定期的に判断する。所定期間は、例えば数mm秒から数百mm秒である。
制御プログラム18は、転落すると判断すると(S24:Yes)、安全装置21を駆動させる(S25)。例えば、制御プログラム18は、ステップS20で取得した第1検知情報に基づいて、転落姿勢となった人の階段50における位置を特定し、特定した位置より下方に設置されたエアバッグの駆動装置を駆動させて、当該エアバッグを膨張させる。膨張したエアバッグは、転落姿勢となった人を受け止める。
また、制御プログラム18は、階段50において人が転落したことを示す文章を含むメールを、メモリ16に記憶されたメールアドレス宛に、通信インタフェース13を通じて送信し(S26)、処理を終了する。なお、当該メールを視認した人は、例えば、建物に設置された電話や建物の家人に電話をするなどして、当該家人の安否を確認する。
コントローラ12が、安全装置21を駆動させる駆動信号を出力するステップS25の処理、及びメールを送信するステップS26の処理は、出力処理の一例である。メールは、転落を示す情報の一例である。
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、転落検知装置10は、階段50を昇降する人の姿勢によって転落するか否かを判断するので、人が階段50から転落するか否かを、人が階段50の踏板52や階下の床などに衝突する前に検知することができる。
本実施形態では、階段50を昇降する人の身長や歩行姿勢を用いて、メモリ16に記憶された閾値A、Bを補正し、補正した閾値A、Bを用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する。したがって、階段50を昇降する人の身長や歩行姿勢を用いて閾値A、Bを補正しない場合に比べ、転落検知装置10は、転落するか否かの判断の精度を高めることができる。
本実施形態では、階段50の登り口53や降り口54に人が進入した場合に、第2センサ群32のレーザセンサ40に駆動電力が供給され、階段50に人が進入した場合に、第1センサ群31のレーザセンサ40に駆動電力が供給される。したがって、第2センサ群32及び第1センサ群31の各レーザセンサ40に常に駆動電力が供給される場合に比べ、転落検知装置10は、階段を昇降する人の転落を検知するために必要な消費電力を低減することができる。
[変形例1]
上述の実施形態では、階段50が直線状の階段である例が説明された。本変形例では、階段50が折り返し階段である例が説明される。なお、以下で説明される構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態で説明した構成及び処理と同じである。
本変形例では、第1センサ群31に属する複数のレーザセンサ40は、階段50の上方に位置する天井に取り付けられており、第2センサ群32及び第3センサ群33に属する複数のレーザセンサ40は、階段50の登り口(不図示)の上方に位置する天井及び降り口54の上方に位置する天井に取り付けられている。
第1センサ群31のレーザセンサ40は、鉛直下向きにレーザ光を照射する向きで上記天井に取り付けられている。すなわち、第1センサ群31の複数のレーザセンサ40は、階段50の上方の空間であって、階段50を昇降する人が通過する空間を検知領域(第1検知領域)とする。なお、図2(B)では、第1センサ群31に属するレーザセンサ40は、グレーに塗りつぶされた丸で示されている。
第1センサ群31に属する複数のレーザセンサ40は、階段50の幅方向(図2(B)における左右方向)、及び階段50の奥行方向(図2(B)における上下方向)に並んで、いわゆるマトリックス状或いは格子状に配置されている。
幅方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離L2は、例えば階段50の蹴上げと同じ寸法とし、数cmから数十cmであり、好ましくは、10cmから20cmである。奥行方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離L1は、例えば階段50の踏面(1段の奥行)と同じ、若しくは踏面の1/2の寸法とし、数cmから数十cmであり、好ましくは、数cmから20cmである。
奥行方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離L1は、幅方向に並んで隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離L2よりも短くされている。すなわち、奥行方向における分解能は、幅方向における分解能よりも高くされている。奥行方向における分解能が、幅方向における分解能よりも高くされているのは、階段50を昇降する人が転落姿勢であることを精度良く検知するためである。転落姿勢は、例えば、前傾姿勢であって、奥行方向に長く伸びた姿勢である。奥行方向における分解能が高くされていることにより、転落姿勢であるか否かが精度良く検知される。
第2センサ群32のレーザセンサ40は、階段50に進入する人の歩行姿勢を特定可能なように、第1センサ群31のレーザセンサ40と同様に、幅方向及び奥行方向に並んで、マトリックス状或いは格子状に配置されている。なお、図2(B)では、第2センサ群32に属するレーザセンサ40は、白抜きされた丸で示されている。
第2センサ群32のレーザセンサ40は、鉛直下向きにレーザ光を照射する向きで上記天井に設置されている。すなわち、第2センサ群32の複数のレーザセンサ40は、階段50の登り口及び降り口54の廊下や床の上方の空間であって、階段50に進入する人が歩行する空間を検知領域(第2検知領域)とする。
奥行方向及び幅方向に並ぶレーザセンサ40の個数、すなわち図2(B)の上下方向及び左右方向における第2センサ群32が人を検知可能な領域の長さは、例えば、腰を曲げて歩行する人の頭頂と背中とにレーザ光が同時に照射可能に設定されている。
第3センサ群33のレーザセンサ40は、第2センサ群32を挟んで第1センサ群31の反対側に設けられている。第3センサ群33の複数のレーザセンサ40は、階段50の登り口及び降り口54を囲むように並んで設けられている。図2(B)に示される例では、第3センサ群33の複数のレーザセンサ40は、階段50の登り口及び降り口54を囲むように略L字状に配置されている。
また、第3センサ群33のレーザセンサ40は、鉛直下向きにレーザ光を照射する向きで上記天井に取り付けられている。なお、第3センサ群33のレーザセンサ40は、第2センサ群32のレーザセンサ40とともに、階段50の登り口及び降り口54を歩行する人の歩行姿勢の検知に用いられてもよい。すなわち、第3センサ群33のレーザセンサ40は、第2センサ群32に属する複数のレーザセンサ40の一部であってもよい。
第3センサ群33のレーザセンサ40であって、隣り合う2つのレーザセンサ40の離間距離は、歩行する人を検知可能な距離に設定されている。例えば、当該離間距離は、十数cmから数十cmに設定されている。
図5を参照して、本変形例において制御プログラム18が実行する処理について説明する。なお、実施形態と同様の処理については、実施形態で用いたステップ番号を用いて説明を省略する。後述する他の変形例においても同様である。
制御プログラム18は、実施形態と同様に、ステップS11、S12、S14、S15、S16の処理を実行する。制御プログラム18は、ステップS16において、第2センサ群32に属するレーザセンサ40が人を検知したと判断すると(S16:Yes)、ステップS15で取得した第2検知情報に基づいて、階段50の登り口或いは降り口54を歩行する人の歩行姿勢を、実施形態と同様にして特定する(S31)。そして、制御プログラム18は、特定した歩行姿勢を用いて、メモリ16に記憶された閾値Bを、実施形態と同様にして補正する(S32)。
次に、制御プログラム18は、実施形態と同様にしてステップS19、S20、S21、S22の処理を実行する。制御プログラム18は、第1センサ群31に属するレーザセンサ40が人を検知したと判断すると(S21:Yes)、ステップS20で取得した第1検知情報に基づいて、人を検知したレーザセンサ40の識別情報を特定し、特定したレーザセンサ40が奥行方向において並ぶ個数cを、実施形態と同様にしてカウントする(S33)。
制御プログラム18は、カウントした個数cと、ステップS32で補正した補正値Bとに基づいて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する(S34)。具体的には、制御プログラム18は、個数cが閾値B以下であるか否かを判断する。
制御プログラム18は、個数cが閾値Bより大きく、転落しないと判断すると(S34:No)、ステップS20以降の処理を再度実行する。制御プログラム18は、個数cが閾値B以上であって、転落すると判断すると(S34:Yes)、ステップS25、S26の処理を実行する。
[変形例1の作用効果]
階段50が折り返し階段であっても、転落検知装置10は、人の転落を、人が階段50に衝突する前に検知することができる。
なお、階段50が螺旋階段であっても、本変形例と同様にレーザセンサ40が天井に設けられることにより、転落検知装置10は、人の転落を、人が階段50に衝突する前に検知することができる。
また、階段50が実施形態と同様に直線状であっても、レーザセンサ40は、天井に取り付けられていてもよい。
[変形例2]
上述の実施形態では、カウントした個数a、bと、メモリ16に記憶された閾値A、Bとを用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する例を説明した。本変形例では、階段50を昇降する人の姿勢を画像に描画して、人が転落するか否かを判断する例を説明する。なお、以下で説明する構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態で説明した構成及び処理と同じである。
本変形例では、制御プログラム18は、画像を描画する描画モジュールを備える。制御プログラム18は、位置を示す位置情報を描画モジュールに受け渡し、描画モジュールが描画した画像を示す画像データを取得することができる。なお、描画モジュールは、制御プログラム18とは別のプログラムであってもよい。
メモリ16は、閾値A、Bに代えて、判断画像データ(図1)を予め記憶する。判断画像データは、転落姿勢である人の外形の画像である判断画像を示すデータである。判断画像は、例えば、前傾姿勢である人の外形を示す画像や、体を丸めた状態の人の外形を示す画像などである。また、メモリ16は、直立方向姿勢に対応した判断画像データと、湾曲歩行姿勢に対応した判断画像データとを記憶する。
また、メモリ16は、各レーザセンサ40の識別情報と位置情報とを対応付けた第1対応テーブルと、身長と拡縮率とを対応付けた第2対応テーブルと、を予め記憶する。
制御プログラム18は、図3に示されるステップS11からS17の処理を実行し、階段50の登り口53及び降り口54に進入した人の身長や歩行姿勢を特定する(S17)。そして、制御プログラム18は、ステップS18の処理に代えて、判断画像を特定するとともに特定した判断画像を補正する処理を実行する。詳しく説明すると、制御プログラム18は、ステップS17で特定した歩行姿勢と対応する判断画像を示す判断画像データを、メモリ16に記憶された複数の判断画像データのうちから特定する。また、制御プログラム18は、ステップS17で特定した身長と対応付けられた拡縮率を第2対応テーブルにおいて特定する。制御プログラム18は、特定した拡縮率を用いて判断画像を拡大或いは縮小して補正する。
次に、制御プログラム18は、ステップS19からS22までの処理を実行し、ステップS21において、階段50に人が進入したと判断すると(S21:Yes)、ステップS20で取得した第1検知情報と、補正した判断画像とを用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する(S24)。詳しく説明すると、制御プログラム18は、ステップS20で取得した第1検知情報に基づいて、人を検知したレーザセンサ40の識別情報を特定し、特定した識別情報と対応付けられた位置情報を第2対応テーブルにおいて特定する。そして、制御プログラム18は、特定した位置情報を描画モジュールに受け渡し、階段50にいる人の外形を示す画像データを描画モジュールに生成させる。制御プログラム18は、描画モジュールが生成した画像データが示す人の外形と、補正した判断画像が示す人の外形との一致点或いは相違点の個数或いは割合を、パターンマッチング等を用いて算出する。制御プログラム18は、一致点の個数或いは割合が、メモリ16に予め記憶された閾値以上であることに基づいて、或いは相違点の個数或いは割合がメモリ16に予め記憶された閾値未満であることに基づいて、階段50を昇降する人が転落すると判断する(S24:Yes)。
制御プログラム18は、階段50を昇降する人が転落しないと判断すると(S24:No)、ステップS20以降の処理を再度実行する。すなわち、制御プログラム18は、第1検知情報を定期的に取得し、階段50を昇降する人が転落するか否かを定期的に判断する。制御プログラム18は、階段50を昇降する人が転落すると判断すると(S24:Yes)、実施形態と同様にしてステップS25、S26の処理を実行する。
[変形例2の作用効果]
本変形例では、階段50を昇降する人の外形が転落姿勢である人の外形と一致するか否かによって人の転落を判断するので、階段50を昇降する人の鉛直方向及び水平方向の長さの変化によって転落するか否かを判断する実施形態よりも、転落するか否かの判断の精度が良くなる。
本実施形態では、階段50を昇降する人の身長や歩行姿勢を用いて、メモリ16に記憶された判断画像を特定及び補正し、補正した判断画像を用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する。したがって、階段50を昇降する人の身長や歩行姿勢を用いて判断画像を特定及び補正しない場合に比べ、転落検知装置10は、転落姿勢であるか否かの判断の精度を高めることができる。
[変形例3]
上述の実施形態では、レーザセンサ40を用いた例を説明した。本変形例では、レーザセンサ40に代えて、人感知センサ60(図6)を用いた例を説明する。なお、以下で説明する構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態で説明した構成及び処理と同じである。
転落検知装置10は、レーザセンサ40に代えて複数の人感知センサ60を有する第1センサ群31と、レーザセンサ40に代えて複数の人感知センサ60を有する第2センサ群32と、レーザセンサ40に代えて複数の人感知センサ60を有する第3センサ群33と、を備える。人感知センサ60は、スイッチング素子を介して電源回路14と給電線によって接続され、また、コントローラ12の通信バス17と接続されている。
人感知センサ60は、人が発する赤外線を検知するセンサである。以下では、複数の小検知領域61(図6(A))を有する種類の人感知センサ60が用いられた例が説明される。具体的には、人感知センサ60は、赤外線を受光し、受光した赤外線の強度に応じた電圧を出力する複数の受光部と、各小検知領域61からそれぞれ入射した赤外線を集光して各受光部にそれぞれ出射するレンズ群と、を有する。或いは、人感知センサ60は、複数の受光部と、各小検知領域61からそれぞれ入射した赤外線を集光して各受光部にそれぞれ出射するレンズ群と、を有し、受光部に入射した赤外線の強度の変化に応じた電圧を出力する。
人感知センサ60は、複数の人感知センサ60を個々に識別する第1識別情報と、複数の小検知領域61を個々に識別する第2識別情報と、赤外線を検知したか否かを示す情報と、を含む検知情報を出力する。検知情報が入力された制御プログラム18は、人感知センサ60ごと、及び小検知領域61ごとに、人を検知したか否かを特定する。人感知センサ60が出力する検知情報のうち、第2識別情報で識別される情報であって、赤外線を検知したか否かを示す情報は、個別検知情報の一例である。
図6(A)に示されるように、第1センサ群31は、複数の人感知センサ60を有する。第1センサ群31の人感知センサ60は、階段50を昇降する人が転落するか否かを検知するためのセンサである。第1センサ群31の人感知センサ60は、壁51に取り付けられている。詳しく説明すると、複数の人感知センサ60は、階段50の上方の空間であって、人が昇降する空間を検知領域とする向きで壁51にそれぞれ取り付けられている。また、複数の人感知センサ60は、階段50の上方の空間であって、人が昇降する空間の全てを検知領域とするような間隔で互いに離間して配置されている。当該間隔は、使用する人感知センサ60の検知領域の広さによって設定される。人感知センサ60の検知領域は、複数の小検知領域61を合わせた領域である。なお、図6(A)に示す例では、一の人感知センサ60が有する複数の小検知領域61の一部と、他の一の人感知センサ60の複数の小検知領域61の一部とは、互いに重複している。人感知センサ60が有する各小検知領域61は、個別検知領域の一例である。
第2センサ群32の人感知センサ60は、階段50の登り口53及び降り口54に進入した人を検知し、かつ階段50に進入する人の身長や歩行姿勢を検知するためのセンサである。すなわち、本変形例の第2センサ群32は、実施形態における第2センサ群32が有する機能と第3センサ群33が有する機能とを併せ持つ。
第2センサ群32の人感知センサ60は、壁51の一部であって、階段50の登り口53及び降り口54に隣接する部分にそれぞれ取り付けられている。詳しく説明すると、各人感知センサ60は、人が登り口53を歩行する空間及び人が降り口54を歩行する空間を検知領域とする向きで壁51にそれぞれ取り付けられている。また、各人感知センサ60として、人が登り口53を歩行する空間及び人が降り口54を歩行する空間の全てを検知領域とするだけの広さの検知領域を有する人感知センサが用いられている。なお、人感知センサ60の検知領域が狭い場合、登り口53及び降り口54に、それぞれ複数の人感知センサ60が配置されてもよい。
制御プログラム18は、図3に示す処理に代えて、図7に示す処理を実行する。詳しく説明すると、まず、制御プログラム18は、第2センサ群32の人感知センサ60にそれぞれ駆動電力を供給し、第2センサ群32の各人感知センサ60がそれぞれ出力する第2検知情報を取得する(S15)。制御プログラム18は、取得した第2検知情報に基づいて、階段50の登り口53或いは降り口54に人が進入したか否かを判断する(S16)。制御プログラム18は、第2センサ群32の人感知センサ60が人を検知するまで、ステップS15の処理を定期的に繰り返し実行する(S16:No、S15)。
制御プログラム18は、階段50の登り口53或いは降り口54に人が進入したと判断すると(S16:Yes)、実施形態と同様にしてステップS17、S18の処理を実行する。すなわち、制御プログラム18は、ステップS15で取得した第2検知情報を用いて、階段50の登り口53或いは降り口54に進入した人の身長及び歩行姿勢を特定し、特定した身長及び歩行姿勢に基づいて、メモリ16に記憶された閾値A、Bを補正する。
次に、制御プログラム18は、実施形態と同様にしてステップS19、S20、S21、S22の処理を実行する。すなわち、制御プログラム18は、第1センサ群31の各人感知センサ60をそれぞれ駆動して(S19)第1検知情報を取得し(S20)、取得した第1検知情報に基づいて、階段50に人が進入したか否かを判断する(S21)。
制御プログラム18は、階段50に人が進入したと判断すると(S21:Yes)、実施形態と同様にしてステップS23、S24の処理を実行する。すなわち、制御プログラム18は、ステップS20で取得した第1検知情報に基づいて、鉛直方向において人を検知した小検知領域61の個数aと、水平方向において人を検知した小検知領域の個数bと、をカウントし、カウントした個数a、bと、ステップS18で補正した補正値A、Bと、を用いて、実施形態と同様にして、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する(S24)。そして、制御プログラム18は、転落しないと判断すると(S24:No)、ステップS20からS24までの処理を繰り返し実行する。制御プログラム18は、転落すると判断すると(S24:Yes)、実施形態と同様にしてステップS25、S26の処理を実行する。
[変形例3の作用効果]
本変形例では、人感知センサ60を用いて、人が階段50から転落するか否かを、人が階段50の踏板52や階下の床などに衝突する前に検知することができる。
なお、階段50が折り返し階段である場合、人感知センサ60は、図6(B)に示すように、階段50の上方に位置する天井に取り付けられてもよい。
[変形例4]
上述の実施形態では、レーザセンサ40を用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する例を説明した。本変形例では、カメラを用いて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する例を説明する。また、本変形例では、2つのレーザセンサ40を用いて、階段50の登り口及び降り口54に人が進入したか否かを検知する例を説明する。なお、以下で説明する構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態で説明した構成及び処理と同じである。また、以下では、階段50が折り返し階段である場合の転落検知装置10について説明する。
転落検知装置10は、センサ群31、32、33に代えて、カメラ62、63(図1)及び一対のレーザセンサ40(図8)を備える。カメラ62、63及びレーザセンサ40は、スイッチング素子を介して電源回路14と給電線によって接続され、また、コントローラ12の通信バス17と接続されている。すなわち、制御プログラム18は、カメラ62、63に駆動電力を供給して、カメラ62、63に撮像を行わせ、カメラ62、63が撮像によって生成した画像データを取得することができる。また、制御プログラム18は、レーザセンサ40に駆動電力を供給し、人を検知させることができる。
メモリ16は、変形例2で説明した複数の判断画像データを予め記憶する。
カメラ62、63は、図8に示されるように、階段50の折り返し部分55に隣接する壁56に取り付けられている。具体的には、カメラ62は、折り返し部分よりも上に位置する踏板52の上方の空間及び降り口54を撮像領域とする向きで壁56に取り付けられている。カメラ63は、折り返し部分よりも下に位置する踏板52の上方の空間及び登り口(不図示)を撮像領域とする向きで壁56に取り付けられている。
一対のレーザセンサ40の一方は、階段50の降り口54に隣接する壁57に取り付けられ、他方は、階段50の登り口に隣接する壁(不図示)に取り付けられている。一対のレーザセンサ40は、階段50の登り口及び降り口54に進入する人を検知可能なように、登り口及び降り口54に向けてレーザ光をそれぞれ照射する向きに配置されている。
制御プログラム18は、図3に示す処理に代えて、図9に示す処理を実行する。詳しく説明すると、制御プログラム18は、一対のレーザセンサ40に駆動電力を供給し、レーザセンサ40が出力する第4検知情報を取得する(S41)。制御プログラム18は、取得した第4検知情報に基づいて、階段50の登り口及び降り口54に人が進入したか否かを判断する(S12)。制御プログラム18は、階段50の登り口及び降り口54に人が進入したと判断するまで、ステップS41の処理を定期的に実行する(S12:No、S41)。
制御プログラム18は、階段50の登り口及び降り口54に人が進入したと判断すると(S12:Yes)、カメラ62、63に駆動電力を供給し、カメラ62、63に撮像を行わせる(S42)。そして、制御プログラム18は、カメラ62、63が撮像によって生成した画像データを取得する(S43)。制御プログラム18は、取得した画像データに基づいて、撮像した物体の外形画像データを生成する。例えば、制御プログラム18は、取得した画像データに2値化を行い、値が変化する部分を撮像した物体の外形として、外形を示す情報を外形画像データとして取得する(S44)。なお、制御プログラム18は、外形画像データを取得できない場合、階段50に人がいないと判断する。
制御プログラム18は、取得した外形画像データに基づいて、階段50に人が進入したか否かを判断する(S45)。制御プログラム18は、階段50に人が進入していないと判断すると(S45:No)、カメラ62、63への駆動電力の供給を停止し(S46)、ステップS41以降の処理を再度実行する。
制御プログラム18は、階段50に人が進入したと判断すると(S45:Yes)、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する(S47)。詳しく説明すると、制御プログラム18は、ステップS44で取得した外形画像データが示す外形画像と、メモリ16に記憶された判断画像データが示す判断画像における人の外形との一致点或いは相違点の個数或いは割合を、パターンマッチング等を用いて算出する。制御プログラム18は、一致点の個数或いは割合が、メモリ16に予め記憶された閾値以上であることに基づいて、或いは相違点の個数或いは割合がメモリ16に予め記憶された閾値未満であることに基づいて、階段50を昇降する人が転落すると判断する(S47:Yes)。
制御プログラム18は、階段50を昇降する人が転落しないと判断すると(S47:No)、ステップS43以降の処理を再度実行する。すなわち、制御プログラム18は、画像データを定期的に取得し、階段50を昇降する人が転落するか否かを定期的に判断する。制御プログラム18は、階段50を昇降する人が転落すると判断すると(S47:Yes)、実施形態と同様にしてステップS25、S26の処理を実行する。
[変形例4の作用効果]
本変形例では、カメラ62、63を用いて、人が階段50から転落するか否かを、人が階段50の踏板52や階下の床などに衝突する前に検知することができる。
また、本変形例では、2つのレーザセンサ40により、階段50の登り口及び降り口54に人が進入したか否かを判断することができる。
また、本変形例では、階段50の登り口53や降り口54に人が進入した場合に、カメラ62、63に駆動電力が供給される。したがって、カメラ62、63に常に駆動電力が供給される場合に比べ、転落検知装置10は、階段50を昇降する人の転落を検知するために必要な消費電力を低減することができる。
本変形例では、階段50が折り返し階段である例を説明した。しかしながら、階段50は、直線状の階段であってもよい。その場合、1つのカメラ62のみが階段50に設けられる。
[変形例5]
上述の変形例4では、カメラ62、63を用いて、階段50を昇降する人を撮像する例を説明した。本変形例では、3次元レーザセンサ64、65(図1)を用いて、階段50を昇降する人を撮像する例を説明する。なお、以下で説明する構成及び処理以外の構成及び処理は、変形例4で説明した構成及び処理と同じである。
転落検知装置10は、カメラ62、63に代えて、3次元レーザセンサ64、65を備える。3次元レーザセンサ64、65は、検知領域に走査光(レーザ光)を照射し、物体で反射された反射光を受光し、受光した反射光に基づいて画像データを生成し、生成した画像データを出力するセンサである。3次元レーザセンサ64は、カメラ62と同様にして壁56(図8)に取り付けられ、折り返し部分55よりも上に位置する踏板52の上方の空間及び降り口54を検知領域とする。3次元レーザセンサ65は、カメラ63と同様にして壁56に取り付けられ、折り返し部分55よりも下に位置する踏板52の上方の空間及び登り口を検知領域とする。
制御プログラム18は、図9に示す処理と同様の処理を行って、階段50を昇降する人の姿勢が転落姿勢であるか否かを判断する(S47)。
[変形例5の作用効果]
本変形例では、3次元レーザセンサ64、65を用いて、人が階段50から転落するか否かを、人が階段50の踏板52や階下の床などに衝突する前に検知することができる。
[変形例6]
上述の実施形態では、複数のレーザセンサ40を用いた例を説明した。しかしながら、複数のレーザセンサ40に代えて、複数の音波センサ70が用いられてもよい。なお、以下で説明する構成及び処理以外の構成及び処理は、実施形態で説明した構成及び処理と同じである。
転落検知装置10は、実施形態で説明したセンサ群31、32、33に代えて、図1に破線で示された第1センサ群71、第2センサ群72、及び第3センサ群73を備える。第1センサ群71、第2センサ群72、及び第3センサ群73は、それぞれ複数の音波センサ70を有する。
音波センサ70は、検知エリアに音波を照射し、物体で反射された反射波を受信するセンサである。音波センサ70は、識別情報と、音波を照射したタイミングと反射波を受信したタイミングとの差を示す情報と、受信した音波の強度に応じた電圧値を示す情報と、を含む検知情報を出力する。なお、複数の音波センサ70は、例えば、照射する音波の周波数を互いに相違させることや、照射する音波の指向性を高めることなどにより、互いに干渉することを防止する。
音波センサ70は、実施形態で説明したレーザセンサ40と同様にして設置され、階段50の登り口53及び降り口54と、階段50の上方の空間とに向かって音波を照射し、検知情報をコントローラ12に入力する。
制御プログラム18は、図3に示す処理と同様の処理を行って、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断する(S24)。
[変形例6の作用効果]
本変形例では、音波センサ70を用いて、人が階段50から転落するか否かを、人が階段50の踏板52や階下の床などに衝突する前に検知することができる。
[その他の変形例]
上述の実施形態では、一のレーザ光を照射するレーザセンサ40を用いた例を説明した。しかしながら、レーザセンサ40に代えて、複数のレーザ光を照射するレーザセンサが用いられてもよい。当該レーザセンサは、変形例3で説明した人感知センサ60と同様に、複数の小検知領域61を有する。この種のレーザセンサを用いても、人が階段50から転落するか否かを、人が階段50の踏板52や階下の床などに衝突する前に検知することができる。
上述の実施形態では、階段50を昇降する人の姿勢が転落姿勢であるか否かによって、人が転落するか否かを判断する例を説明した。しかしながら、階段50を昇降する人の姿勢に加え、階段50を昇降する人の移動速度によって、人が転落するか否かを判断してもよい。制御プログラム18は、例えば、定期的に取得する第1検知情報に基づいて、人を検知したレーザセンサ40の識別情報が示す位置情報を定期的に取得し、位置情報が示す位置の単位時間当たりの移動距離により、階段50を昇降する人の移動速度を算出する。そして、制御プログラム18は、取得した第1検知情報が示す人の姿勢が転落姿勢であり、かつ、算出した人の移動速度が第1閾値以上かつ第2閾値(<第1閾値)未満である場合に、階段50を昇降する人が転落するおそれがあると判断する。第1検知情報が示す人の姿勢に加え、人の移動速度に基づいて、階段50を昇降する人が転落するか否かを判断するので、人の転落を、より精度良く検知することができる。
上述の実施形態では、階段50を昇降する人の姿勢が転落姿勢であるか否かによって、人が転落するか否かを判断する例を説明した。しかしながら、階段50を昇降する人の姿勢の変化量によって、階段50を昇降する人が転落するおそれがあるか否かを判断してもよい。制御プログラム18は、取得した第1検知情報に基づいて、人の姿勢を定期的に特定し、特定した姿勢の単位時間当たりの変化量を算出する。制御プログラム18は、算出した単位時間当たりの変化量が、メモリ16に予め記憶された閾値以上であるか否かを判断し、単位時間当たりの変化量が閾値以上であることに応じて、階段50を昇降する人が転落すると判断する。また、人の移動速度に加え、人の加速度にさらに基づいて、人が転落するか否かが判断されてもよい。