JP7408125B2 - 電荷輸送材料および有機発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送材料として有用な化合物とそれを用いた有機発光素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機発光素子の発光効率を高める研究が盛んに行われている。その中には、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電子輸送材料、ホール輸送材料、発光材料などを新たに開発して組み合わせることにより、発光効率を高める研究も多い。中には、そのような材料として、ベンゼン環に1つ以上のシアノ基が結合した化合物を用いることにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高める研究もなされている(特許文献1~7参照)。
WO2012/015017号公報 WO2012/014696号公報 特開2014-96572号公報 欧州特許出願公開3127906号公報 特開2012-33663号公報 米国特許出願公開2017/0194570号明細書 韓国特許出願公開10-2017-0035376号公報
本発明者らは、有機発光素子用の材料として従来提供されていない新たな材料を提供することにより、発光効率が良好で寿命が長い有機発光素子を提供することを目的として鋭意検討を行った。
上記の目的を達成するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、特定の構造を有する化合物が電荷輸送材料として有用であることを見いだして、本発明を提供するに至った。本願明細書で開示する発明は、少なくとも以下の構成を有する発明を包含するものである。
[1] 下記一般式(1)で表される電荷輸送材料。
Figure 0007408125000001
[一般式(1)において、
~Rのうちの1個はシアノ基を表し、
~Rのうちの2~4個は、下記一般式(2)で表される基を表し、
残りのR~Rは、各々独立に水素原子、または、下記一般式(2)で表される基とシアノ基以外の置換基を表す。]
Figure 0007408125000002
[一般式(2)において、
XはOまたはSを表し、X~Xのうちの1つはC-(L)n-*を表し、それ以外のX~XおよびX~Xは各々独立にNまたはC(R)を表す。ここで、Lは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表し、nは0~2のいずれかの整数を表し、nが2であるとき、2つのLは同一であっても異なっていてもよい。*は、一般式(1)のベンゼン環への結合位置を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
ただし、XがC-*であるとき、XまたはXがC-N(Ar)(Ar)であることはなく、い。ここで、ArおよびArは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基であり、ArとArは互いに連結して環状構造を形成していてもよい。]
[2] Rがシアノ基である、[1]に記載の電荷輸送材料。
[3] RおよびRが前記一般式(2)で表される基である、[1]または[2]に記載の電荷輸送材料。
[4] XがSである一般式(2)で表される基を有する、[1]~[3]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[5] XまたはXがC-(L)n-*である一般式(2)で表される基を有する、[1]~[4]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[6] C-(L)n-*のnが0である一般式(2)で表される基を有する、[1]~[5]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[7] C-(L)n-*以外のX~XおよびX~Xのうちの5個以上がC(R)である一般式(2)で表される基を有する、[1]~[6]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[8] C-(L)n-*以外のX~XがすべてC(R)である一般式(2)で表される基を有する、[1]~[7]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[9] X~XがすべてC(R)である一般式(2)で表される基を有する、[1]~[8]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[10] ホスト材料である、[1]~[9]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[11] 正孔障壁材料である、[1]~[10]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料。
[12] 下記一般式(1a)で表される化合物。
Figure 0007408125000003
[一般式(1a)において、
’~R’のうちの1個はシアノ基を表し、
’~R’のうちの2個または3個は、下記一般式(2)で表される基を表し、
残りのR’~R’は、各々独立に水素原子、または、下記一般式(2)で表される基とシアノ基以外の置換基を表す。]
Figure 0007408125000004
[一般式(2)において、
XはOまたはSを表し、X~Xのうちの1つはC-(L)n-*を表し、それ以外のX~XおよびX~Xは各々独立にNまたはC(R)を表す。ここで、Lは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表し、nは0~2のいずれかの整数を表し、nが2であるとき、2つのLは同一であっても異なっていてもよい。*は、一般式(1)のベンゼン環への結合位置を表し、Rは水素原子または置換基を表す。
ただし、XがC-N(Ar)(Ar)であることはなく、XがC-N(Ar)(Ar)であることもない。ここで、ArおよびArは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基であり、ArとArは互いに連結して環状構造を形成していてもよい。]
[13] [1]~[11]のいずれか1項に記載の電荷輸送材料を含む有機発光素子。
[14] 有機エレクトロルミネッセンス素子である、[13]に記載の有機発光素子。
[15] 前記電荷輸送材料を発光層に含み、前記発光層が発光材料を含む(ただし、前記発光材料は前記一般式(1)で表される化合物ではない)、[14]に記載の有機発光素子。
[16] 前記電荷輸送材料を正孔障壁層に含む、[14]に記載の有機発光素子。
一般式(1)で表される化合物は、電荷輸送材料として有用である。このため、一般式(1)で表される化合物を電荷輸送材料として用いた有機発光素子は、高い発光効率と長い寿命を実現しうる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明に用いられる化合物の分子内に存在する水素原子の同位体種は特に限定されず、例えば分子内の水素原子がすべてHであってもよいし、一部または全部がH(デューテリウムD)であってもよい。
[一般式(1)で表される化合物]
本発明は、一般式(1)で表される化合物に関する。
Figure 0007408125000005
一般式(1)において、R~Rのうちの1個がシアノ基を表す。シアノ基はRであってもよいし、Rであってもよいし、Rであってもよい。また、RかRのいずれかであってもよいし、RかRのいずれかであってもよい。
また、一般式(1)において、R~Rのうちの2個が下記一般式(2)で表される基を表すか、R~Rのうちの3個が下記一般式(2)で表される基を表すか、R~Rのうちの4個が下記一般式(2)で表される基を表す。一般式(2)で表される基が2個であるとき、その2個はRとR、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRのいずれであってもよい。例えば、RとR、RとR、RとR、RとRのいずれかを選択してもよい。また、RとR、RとRのいずれかを選択してもよい。また、RとR、RとRのいずれかを選択してもよい。一般式(2)で表される基が3個であるとき、その3個はRとRとR、RとRとR、RとRとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRのいずれであってもよい。例えば、RとRとR、RとRとRのいずれかを選択してもよい。また、RとRとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRのいずれかを選択してもよい。一般式(2)で表される基が4個であるとき、その4個はRとRとRとR、RとRとRとR、RとRとRとRのいずれであってもよい。一般式(2)で表される基の数は、例えば2個または3個のいずれかにしてもよい。
シアノ基と一般式(2)で表される基の組み合わせの具体例を以下に例示する。Rがシアノ基である場合については、一般式(2)で表される基は、Rのみ、Rのみ、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRとRのいずれであってもよい。Rがシアノ基である場合については、一般式(2)で表される基は、Rのみ、Rのみ、Rのみ、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRとRのいずれであってもよい。例えば、Rがシアノ基であるとき、一般式(2)で表される基は、Rのみ、Rのみ、Rのみ、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRのいずれかにしてもよい。また、Rがシアノ基であるとき、一般式(2)で表される基は、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRのいずれかにしてもよい。Rがシアノ基である場合については、一般式(2)で表される基は、Rのみ、Rのみ、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとR、RとRとRとRのいずれであってもよい。例えば、Rがシアノ基であるとき、一般式(2)で表される基は、Rのみ、Rのみ、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとRのいずれかにしてもよい。また、Rがシアノ基であるとき、一般式(2)で表される基は、RとR、RとR、RとR、RとR、RとRとR、RとRとRのいずれかにしてもよい。好ましい組み合わせの態様として、例えばRがシアノ基であって、RとRが一般式(2)で表される基である場合を例示することができる。
Figure 0007408125000006
一般式(2)において、XはOまたはSを表す。XはSであることが好ましいが、ZとしてOを選択することもできる。
~Xのうちの1つはC-(L)n-*を表し、それ以外のX~XおよびX~Xは各々独立にNまたはC(R)を表す。C-(L)n-*であるものはX、X、X、Xのいずれであってもよいが、XまたはXであることが好ましく、Xであることがより好ましい。*は、一般式(1)のベンゼン環への結合位置を表す。
Lは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。Lとして置換もしくは無置換のアリーレン基を好ましく選択することができるが、Lとして置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を選択してもよい。ここでいうアリーレン基とヘテロアリーレン基は、単環構造であってもよいし、2以上の環が縮合した構造であってもよい。2以上の環が縮合した構造であるとき、縮合する環の数は2~4であることが好ましく、2または3であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。Lの具体例として、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、2,3-ピリジンジイル基、2,4-ピリジンジイル基、2,5-ピリジンジイル基、2,6-ピリジンジイル基、3,5-ピリジンジイル基、2,5-ピリミジンジイル基、2,3-ピラジンジイル基、2,5-ピラジンジイル基、トリアジンジイル基、1,4-ナフタレンジイル基、1,5-ナフタレンジイル基、2,6-ナフタレンジイル基、2,6-キノリンジイル基、4,8-キノリンジイル基、[1,5]ナフチリジン-2,6-ジイル基、[1,5]ナフチリジン-4,8-ジイル基を例示することができる。これらの中では、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、2,5-ピリジンジイル基、2,6-ピリジンジイル基、3,5-ピリジンジイル基、2,5-ピラジンジイル基、2,6-ナフタレンジイル基、2,6-キノリンジイル基、[1,5]ナフチリジン-2,6-ジイル基が好ましい。これらの例示した基に存在する水素原子は置換されていてもよい。Lが表すアリーレン基やヘテロアリーレン基が置換基を有するとき、その置換基は例えばシアノ基以外の置換基から構成される群の中から選択してもよい。好ましい置換基として、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基を例示することができる。ここでいうアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基に置換する置換基として好ましいものは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基である。置換基としてより好ましいものは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基であり、さらに置換基として好ましいものは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基である。
nは0であっても、1であっても、2であってもよいが、0または1であることが好ましく、0であってもよい。0であるときはC-(L)n-*はC-*を表す。分子内に2つ以上存在する一般式(2)で表される基は、そのすべてのnが0であってもよい。また、そのすべてのnが1であっても、そのすべてのnが2であってもよい。さらに、一部のnが0であってもよい。あるいは、一部のnが1であっても、一部のnが2であってもよい。例えば、分子内にnが0の基とnが1の基が混在していてもよい。nが2であるとき、分子内に存在する2つのLは同一であっても異なっていてもよい。このため、nが2であるときの-(L)n-は、同一の置換もしくは無置換のアリーレン基が2つ連結したものであってもよく、異なる置換もしくは無置換のアリーレン基が2つ連結したものであってもよく、同一の置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基が2つ連結したものであってもよく、異なる置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基が2つ連結したものであってもよく、置換もしくは無置換のアリーレン基と置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基が連結したものであってもよい。nが2であるときの-(L)n-として、2,2’-ビフェニルジイル基、3,3’-ビフェニルジイル基、4,4’-ビフェニルジイル基、3,4’-ビフェニルジイル基を例示することができる。これらの例示した基に存在する水素原子は置換されていてもよい。
-(L)n-の具体例として、以下の構造を挙げることができる。以下の具体例における*は、結合する位置を表す。
Figure 0007408125000007
Figure 0007408125000008
上記の具体例の中で好ましいものは、L1、L2、L3、L7、L8、L9、L12、L17、L18、L19、L22、L26、L29、L31であり、より好ましいものはL2、L7、L17、L18、L19、L22である。
C-(L)n-*以外のX~XとX~Xは各々独立にNまたはC(R)を表す。C-(L)n-*以外のX~XとX~Xのうち、C(R)であるものは、0~7個であり、3~7個であることが好ましく、5~7個であることがより好ましく、7個であってもよい。C-(L)n-*以外のX~XのうちC(R)であるものは、0~3個であり、1~3個であることが好ましく、1または3個であることがより好ましく、3個であることがさらに好ましい。好ましい態様として、XがC(R)、XとXがN、XがC-(L)n-*であるもの;XがC-(L)n-*、XとXとXがC(R)であるもの;XがC-(L)n-*、XとXとXがC(R)であるもの;XがC-(L)n-*、XとXとXがC(R)であるもの;XがC-(L)n-*、XとXとXがC(R)であるものを例示することができる。また、X~XのうちC(R)であるものは、0~4個であり、2~4個であることが好ましく、3または4個であることがより好ましい。好ましい態様として、XがN、XとXとXがC(R)であるもの;XがN、XとXとXがC(R)であるもの;XがN、XとXとXがC(R)であるもの;XとXとXとXがC(R)であるものを例示することができる。
例えば、好ましい一群として、X~Xの一つがC-(L)n-*であって、残りのX~XがC(R)であり、なおかつ、X~Xのうち、Xのみ、Xのみ、Xのみ、Xのみ、XとX、XとX、XとX、XとX、XとX、XとX、XとXとX、XとXとX、XとXとX、XとXとX、XとXとXとXがC(R)であって残りがNであるものを挙げることができる。中でもより好ましい一群として、X~Xの一つがC-(L)n-*であって、残りのX~XがC(R)であり、なおかつ、X~Xのうち、XとXとX、XとXとX、XとXとX、XとXとXとXがC(R)であって残りがNであるものを挙げることができる。
他の好ましい一群として、X~XがC(R)であって、X~Xの一つがC-(L)n-*であって、残りのX~XがC(R)またはNであるものを挙げることができる。より好ましい一群として、X~XがC(R)であって、X~Xの一つがC-(L)n-*であって、残りのX~XがC(R)であるか、あるいは、X~XがC(R)であって、XがC-(L)n-*であって、XがC(R)であって、XとXがNであるものを挙げることができる。
C(R)のRは水素原子または置換基を表す。好ましい置換基として、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基を挙げることができる。ここでいうアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基に置換する置換基として好ましいものは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基である。Rとしてより好ましいものは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基である。分子中に存在するすべてのRが水素原子であってもよい。
一般式(2)で表される基の好ましい具体例を以下に例示する。*は一般式(1)のベンゼン環への結合位置を表す。
Figure 0007408125000009
上記の具体例の中で好ましいものは、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B12、B17、B18、B19であり、より好ましいものはB6、B8、B17、B18である。
一般式(1)のR~Rのうちの1~3個はシアノ基を表し、R~Rのうちの2~4個は一般式(2)で表される基を表し、残りのR~Rはシアノ基でも一般式(2)で表される基でもない基であるか、水素原子を表す。残りのR~Rの個数は0であってもよいし、1個であってもよいし、2個であってもよい。
残りのR~Rとしては、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基を挙げることができる。ここでいうアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基に置換する置換基として好ましいものは、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基である。残りのR~Rとしてより好ましいものは、水素原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基である。残りのR~Rは、そのすべてが水素原子または無置換のアルキル基であってもよく、また、残りのR~Rのすべてが水素原子であってもよい。
なお、本明細書において「アルキル基」は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。また、直鎖部分と環状部分と分枝部分のうちの2種以上が混在していてもよい。好ましいのは、直鎖状または分枝状である。アルキル基の炭素数は、例えば1以上、2以上、4以上とすることができる。また、炭素数は30以下、20以下、10以下、6以下、4以下とすることができる。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デカニル基、イソデカニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができる。
本明細書において「アリール基」は、芳香族炭化水素環1つだけからなる基であってもよいし、置換基としての結合手を有する芳香族炭化水素環に1つ以上の環が縮合した基であってもよい。芳香族炭化水素環に1つ以上の環が縮合した基である場合は、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環および非芳香族複素環のうちの1以上が芳香族炭化水素環に縮合した基を採用することができる。アリール基の炭素数は、例えば6以上、10以上とすることができる。また、炭素数は30以下、18以下、14以下、10以下とすることができる。アリール基の具体例として、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基を挙げることができる。
本明細書でいう「ヘテロアリール基」は、環骨格構成原子としてヘテロ原子を含む芳香環(ヘテロ芳香環)1つだけからなる基であってもよいし、置換基としての結合手を有するヘテロ芳香環に1つ以上の環が縮合した基であってもよい。ヘテロ芳香環に1つ以上の環が縮合した基である場合は、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環および非芳香族複素環のうちの1以上が芳香族炭化水素環に縮合した基を採用することができる。ヘテロアリール基の環骨格構成原子数は、例えば5以上、6以上、10以上とすることができる。また、環骨格構成原子数は30以下、18以下、14以下、10以下とすることができる。環骨格構成原子を構成するヘテロ原子として、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を例示することができる。ヘテロアリール基を構成する環の具体例として、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、ピラジン環、キノキサリン環、ナフチリジン環を挙げることができる。
本明細書でいう「アルコキシ基」のアルキル部分については、上記のアルキル基の定義と説明を参照することができる。
本明細書でいう「アリールオキシ基」のアリール部分については、上記のアリール基の定義と説明を参照することができる。
本明細書でいう「ヘテロアリールオキシ基」のアリール部分については、上記のヘテロアリール基の定義と説明を参照することができる。
一般式(1)のXがC-*であるとき、XまたはXがC-N(Ar)(Ar)であることはない。ここで、ArおよびArは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基であり、ArとArは互いに連結して環状構造を形成していてもよい。ここでいう環状構造を形成している場合として、例えば、-N(Ar)(Ar)が置換もしくは無置換のカルバゾール-9-イル基である場合が含まれる。
一般式(1)で表される化合物の一群として、分子内にカルバゾール環を含まない化合物群を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物の一群として、分子内にジベンゾチオフェンまたはジベンゾフラン以外の3環構造(3つの環が縮合した構造)を含まない化合物群を挙げることができる。また、一般式(1)で表される化合物の一群として、分子内にジベンゾフラン以外の3環構造を含まない化合物群や、分子内にジベンゾチオフェン以外の3環構造を含まない化合物群を挙げることもできる。
一般式(1)で表される化合物の一群として、シアノ基を分子内に2つ有する化合物群を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物のうち、下記一般式(1a)で表される化合物は新規化合物である。
Figure 0007408125000010
一般式(1a)において、R’~R’のうちの1個はシアノ基を表し、R’~R’のうちの2個または3個は、下記一般式(2)で表される基を表し、残りのR’~R’は、各々独立に水素原子、または、下記一般式(2)で表される基とシアノ基以外の置換基を表す。
’~R’、一般式(2)、残りのR’~R ’の説明と好ましい範囲については、上記の一般式(1)の説明におけるR~R、一般式(2)、残りのR~Rの説明と好ましい範囲を参照することができる。R’~R’のうち一般式(2)で表される基の数が2個または3個である場合の説明と好ましい範囲については、一般式(1)のR~Rのうち一般式(2)で表される基の数が2個または3個である場合の説明と好ましい範囲を参照することができる。
以下の表において、一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げる。本発明で採用することができる一般式(1)で表される化合物はこれらの具体例によって限定的に解釈されることはなく、例えば特願2018-204262号明細書に掲載される化合物1~2820のうち、下記の表に記載されていない化合物も採用することができる。なお、以下の表においてR~Rは一般式(1)におけるR~Rを表す。(L)nは、各化合物のR~Rが(L)nを含むとき、その(L)nを表す。化合物が2個以上の(L)n[ここでのnは1以上]を有するとき、当該2個以上の(L)nはすべて同じ連結基を表す。なお、表ではnが0のとき、すなわちLが単結合であるときは「single bond」と表示している。
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一般式(1)で表される化合物は、既知の合成法を組み合わせて合成することが可能である。例えば、下記の2つの化合物を反応させることによって合成することが可能である。
Figure 0007408125000072
1”~R5”のうちの1個はシアノ基を表し、R1”~R5”のうちの2~4個はハロゲン原子を表し、残りのR~Rは、各々独立に水素原子、または、シアノ基とハロゲン原子以外の置換基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。XはOまたはSを表し、X1’~X4’のうちの1つはC-(L)n-Zを表し、それ以外のX1’~X4’およびX5’~X8 ’は各々独立にNまたはC(R)を表す。ここで、Lは、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表し、nは0~2のいずれかの整数を表し、nが2であるとき、2つのLは同一であっても異なっていてもよい。Zは、脱離基を表し、Rは水素原子または置換基を表す。ただし、X2’がC-Zであるとき、X7’またはX8’がC-N(Ar)(Ar)であることはない。ここで、ArおよびArは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基であり、ArとArは互いに連結して環状構造を形成していてもよい。
合成時の条件や材料の使用割合などは、後述の合成例などを参考にして適宜決定し、最適化することができる。一般式(1)で表される化合物は上記以外のスキームで合成してもよい。
フィルムの形成
ある実施形態では、一般式(1)で表される本発明の化合物を含むフィルムは、湿式工程で形成することができる。湿式工程では、本発明の化合物を含む組成物を溶解した溶液を面に塗布し、溶媒の除去後にフィルムを形成する。湿式工程として、スピンコート法、スリットコート法、インクジェット法(スプレー法)、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。湿式工程では、本発明の化合物を含む組成物を溶解することができる適切な有機溶媒を選択して用いる。ある実施形態では、組成物に含まれる化合物に、有機溶媒に対する溶解性を上げる置換基(例えばアルキル基)を導入することができる。
ある実施形態では、本発明の化合物を含むフィルムは、乾式工程で形成することができる。ある実施形態では、乾式工程として真空蒸着法を採用することができる、これに限定されるものではない。真空蒸着法を採用する場合は、フィルムを構成する化合物を個別の蒸着源から共蒸着させてもよいし、化合物を混合した単一の蒸着源から共蒸着させてもよい。単一の蒸着源を用いる場合は、化合物の粉末を混合した混合粉を用いてもよいし、その混合粉を圧縮した圧縮成形体を用いてもよいし、各化合物を加熱溶融して冷却した混合物を用いてもよい。ある実施形態では、単一の蒸着源に含まれる複数の化合物の蒸着速度(重量減少速度)が一致ないしほぼ一致する条件で共蒸着を行うことにより、蒸着源に含まれる複数の化合物の組成比に対応する組成比のフィルムを形成することができる。形成されるフィルムの組成比と同じ組成比で複数の化合物を混合して蒸着源とすれば、所望の組成比を有するフィルムを簡便に形成することができる。ある実施形態では、共蒸着される各化合物が同じ重量減少率になる温度を特定して、その温度を共蒸着時の温度として採用することができる。
[有機発光素子]
一般式(1)で表される化合物は、電荷輸送材料として有用である。このため、一般式(1)で表される化合物を電荷輸送材料として用いることにより、有機フォトルミネッセンス素子(有機PL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの優れた有機発光素子を提供することができる。有機フォトルミネッセンス素子は、基材上に少なくとも発光層を形成した構造を有する。また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および陽極と陰極の間に有機層を形成した構造を有する。有機層は、少なくとも発光層を含むものであり、発光層のみからなるものであってもよいし、発光層の他に1層以上の有機層を有するものであってもよい。そのような他の有機層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子障壁層、正孔障壁層、電子注入層、電子輸送層、励起子障壁層などを挙げることができる。正孔輸送層は正孔注入機能を有した正孔注入輸送層でもよく、電子輸送層は電子注入機能を有した電子注入輸送層でもよい。具体的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構造例を図1に示す。図1において、1は基材、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を表わす。
一般式(1)で表される化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子であれば、正孔注入層の正孔注入材料、正孔輸送層の正孔輸送材料、電子障壁層の電子障壁材料、発光層のホスト材料、正孔障壁層の正孔障壁材料、電子輸送層の電子輸送材料、電子注入層の電子注入材料として用いることが可能である。中でも、一般式(1)で表される化合物は、発光層のホスト材料や正孔障壁層の正孔障壁材料として効果的に用いることができる。一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料として用いる場合、ドーパントである発光材料とともに発光層に用いる。ここでいう発光材料は、最大の発光成分を発光する材料である。発光層における一般式(1)で表される化合物の含有量は、発光層全重量の10~99.9重量%であることが好ましく、20~99重量%であることがより好ましい。一般式(1)で表される化合物を正孔注入層、正孔輸送層、電子障壁層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層に用いる場合、各層における一般式(1)で表される化合物の含有量は、各層の全重量の10~100重量%であることが好ましく、50~100重量%であることがより好ましく、100重量%であっても構わない。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および各層について説明する。なお、基材と発光層の説明は有機フォトルミネッセンス素子の基材と発光層にも該当する。
基材:
いくつかの実施形態では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は基材により保持され、当該基材は特に限定されず、有機エレクトロルミネッセンス素子で一般的に用いられる、例えばガラス、透明プラスチック、クォーツおよびシリコンにより形成されたいずれかの材料を用いればよい。
陽極:
いくつかの実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス装置の陽極は、金属、合金、導電性化合物またはそれらの組み合わせから製造される。いくつかの実施形態では、前記の金属、合金または導電性化合物は高い仕事関数(4eV以上)を有する。いくつかの実施形態では、前記金属はAuである。いくつかの実施形態では、導電性の透明材料は、CuI、酸化インジウムスズ(ITO)、SnOおよびZnOから選択される。いくつかの実施形態では、IDIXO(In-ZnO)などの、透明な導電性フィルムを形成できるアモルファス材料を使用する。いくつかの実施形態では、前記陽極は薄膜である。いくつかの実施形態では、前記薄膜は蒸着またはスパッタリングにより作製される。いくつかの実施形態では、前記フィルムはフォトリソグラフィー方法によりパターン化される。いくつかの実施形態では、パターンが高精度である必要がない(例えば約100μm以上)場合、当該パターンは、電極材料への蒸着またはスパッタリングに好適な形状のマスクを用いて形成してもよい。いくつかの実施形態では、有機導電性化合物などのコーティング材料を塗布しうるとき、プリント法やコーティング法などの湿式フィルム形成方法が用いられる。いくつかの実施形態では、放射光が陽極を通過するとき、陽極は10%超の透過度を有し、当該陽極は、単位面積あたり数百オーム以下のシート抵抗を有する。いくつかの実施形態では、陽極の厚みは10~1,000nmである。いくつかの実施形態では、陽極の厚みは10~200nmである。いくつかの実施形態では、陽極の厚みは用いる材料に応じて変動する。
陰極:
いくつかの実施形態では、前記陰極は、低い仕事関数を有する金属(4eV以下)(電子注入金属と称される)、合金、導電性化合物またはその組み合わせなどの電極材料で作製される。いくつかの実施形態では、前記電極材料は、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム-銅混合物、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-アルミニウム混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム-アルミニウム混合物および希土類元素から選択される。いくつかの実施形態では、電子注入金属と、電子注入金属より高い仕事関数を有する安定な金属である第2の金属との混合物が用いられる。いくつかの実施形態では、前記混合物は、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-アルミニウム混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム-アルミニウム混合物およびアルミニウムから選択される。いくつかの実施形態では、前記混合物は電子注入特性および酸化に対する耐性を向上させる。いくつかの実施形態では、陰極は、蒸着またはスパッタリングにより電極材料を薄膜として形成させることによって製造される。いくつかの実施形態では、前記陰極は単位面積当たり数百オーム以下のシート抵抗を有する。いくつかの実施形態では、前記陰極の厚は10nm~5μmである。いくつかの実施形態では、前記陰極の厚は50~200nmである。いくつかの実施形態では、放射光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極および陰極のいずれか1つは透明または半透明である。いくつかの実施形態では、透明または半透明のエレクトロルミネッセンス素子は光放射輝度を向上させる。
いくつかの実施形態では、前記陰極を、前記陽極に関して前述した導電性の透明な材料で形成されることにより、透明または半透明の陰極が形成される。いくつかの実施形態では、素子は陽極と陰極とを含むが、いずれも透明または半透明である。
発光層:
いくつかの実施形態では、前記発光層は、陽極および陰極からそれぞれ注入された正孔および電子が再結合して励起子を形成する層である。いくつかの実施形態では、前記層は光を発する。
いくつかの実施形態では、発光材料のみが発光層として用いられる。いくつかの実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子および有機光ルミネッセンス素子の光放射効率を向上させるため、前記発光材料において発生する一重項励起子および三重項励起子を、前記発光材料内に閉じ込める。いくつかの実施形態では、前記発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いる。いくつかの実施形態では、前記ホスト材料は有機化合物である。いくつかの実施形態では、前記有機化合物は励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーを有し、その少なくとも1つは、発光材料のそれらよりも高い。いくつかの実施形態では、発光材料中で発生する一重項励起子および三重項励起子は、発光材料の分子中に閉じ込められる。いくつかの実施形態では、前記一重項および三重項の励起子は、光放射効率を向上させるために十分に閉じ込められる。いくつかの実施形態では、高い光放射効率が未だ得られるにもかかわらず、前記一重項励起子および三重項励起子は十分に閉じ込められず、すなわち、本発明で使用できる光放射効率の高いホスト材料は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の素子の発光層中の発光材料において、光放射が生じる。いくつかの実施形態では、放射光は蛍光および遅延蛍光の両方を含む。いくつかの実施形態では、放射光は燐光を含む。いくつかの実施形態では、放射光は蛍光を含むが遅延蛍光を含まない。いくつかの実施形態では、前記放射光は、ホスト材料からの放射光を含む。いくつかの実施形態では、前記放射光は、ホスト材料からの放射光からなる。いくつかの実施形態では、前記放射光は、発光材料からの放射光と、ホスト材料からの放射光とを含む。いくつかの実施形態では、TADF分子とホスト材料とが用いられる。いくつかの実施形態では、TADFは補助ドーパントである。いくつかの実施形態では、発光層は1つ以上の発光材料および1つ以上のホスト材料と共にアシストドーパントを含む。
いくつかの実施形態では、ホスト材料を用いるとき、前記発光層に含まれる発光材料の量は0.1重量%以上である。いくつかの実施形態では、ホスト材料を用いるとき、前記発光層に含まれる発光材料の量は1重量%以上である。いくつかの実施形態では、ホスト材料を用いるとき、前記発光層に含まれる発光材料の量は50重量%以下である。いくつかの実施形態では、ホスト材料を用いるとき、前記発光層に含まれる発光材料の量は20重量%以下である。いくつかの実施形態では、ホスト材料を用いるとき、前記発光層に含まれる発光材料の量は10重量%以下である。
いくつかの実施形態では、前記発光層のホスト材料は、正孔輸送機能および電子輸送機能を有する有機化合物である。いくつかの実施形態では、前記発光層のホスト材料は、放射光の波長が増加することを防止する有機化合物である。いくつかの実施形態では、前記発光層のホスト材料は、高いガラス転移温度を有する有機化合物である。
ある実施形態では、発光層は2種類以上の構造が異なるTADF分子を含む。例えば、励起一重項エネルギー準位がホスト材料、第1TADF分子、第2TADF分子の順に高い、これら3種の材料を含む発光層とすることができる。このとき、第1TADF分子と第2TADF分子は、ともに最低励起一重項エネルギー準位と77Kの最低励起三重項エネルギー準位の差ΔESTが0.3eV以下であることが好ましく、0.25eV以下であることがより好ましく、0.2eV以下であることがより好ましく、0.15eV以下であることがより好ましく、0.1eV以下であることがさらに好ましく、0.07eV以下であることがさらにより好ましく、0.05eV以下であることがさらにまた好ましく、0.03eV以下であることがさらになお好ましく、0.01eV以下であることが特に好ましい。発光層における第1TADF分子の含有量は、第2TADF分子の含有量よりも多いことが好ましい。また、発光層におけるホスト材料の含有量は、第2TADF分子の含有量よりも多いことが好ましい。発光層における第1TADF分子の含有量は、ホスト材料の含有量よりも多くてもよいし、少なくてもよいし、同じであってもよい。ある実施形態では、発光層内の組成を、ホスト材料を10~70重量%、第1TADF分子を10~80重量%、第2TADF分子を0.1~30重量%としてもよい。ある実施形態では、発光層内の組成を、ホスト材料を20~45重量%、第1TADF分子を50~75重量%、第2TADF分子を5~20重量%としてもよい。ある実施形態では、第1TADF分子とホスト材料の共蒸着膜(この共蒸着膜における第1TADF分子の含有率=A重量%)の光励起による発光量子収率φPL1(A)と、第2TADF分子とホスト材料の共蒸着膜(この共蒸着膜における第2TADF分子の含有率=A重量%)の光励起による発光量子収率φPL2(A)が、φPL1(A)>φPL2(A)の関係式を満たす。ある実施形態では、第2TADF分子とホスト材料の共蒸着膜(この共蒸着膜における第2TADF分子の含有率=B重量%)の光励起による発光量子収率φPL2(B)と、第2TADF分子の単独膜の光励起による発光量子収率φPL2(100)が、φPL2(B)>φPL2(100)の関係式を満たす。ある実施形態では、発光層は3種類の構造が異なるTADF分子を含むことができる。本発明の化合物は、発光層に含まれる複数のTADF化合物のいずれであってもよい。
ある実施形態では、発光層は、ホスト材料、アシストドーパント、および発光材料からからなる群より選択される材料で構成することができる。ある実施形態では、発光層は金属元素を含まない。ある実施形態では、発光層は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される原子のみから構成される材料で構成することができる。あるいは、発光層は、炭素原子、水素原子および窒素原子からなる群より選択される原子のみから構成される材料で構成することもできる。
発光材料には、TADF分子(遅延蛍光材料)、遅延蛍光を放射しない蛍光材料、または燐光材料を用いることができる。
蛍光材料としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、クリセン誘導体、ルブレン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、スチルベン誘導体、フルオレン誘導体、アントリル誘導体、ピロメテン誘導体、ターフェニル誘導体、ターフェニレン誘導体、フルオランテン誘導体、アミン誘導体、キナクリドン誘導体、オキサジアゾール誘導体、マロノニトリル誘導体、ピラン誘導体、カルバゾール誘導体、ジュロリジン誘導体、チアゾール誘導体、金属(Al,Zn)を有する誘導体等を用いることが可能である。これらの例示骨格には置換基を有してもよいし、置換基を有していなくてもよい。また、これらの例示骨格どうしを組み合わせてもよい。
TADF分子としては、公知のTADF分子を用いることができる。好ましいTADF分子として、WO2013/154064号公報の段落0008~0048および0095~0133、WO2013/011954号公報の段落0007~0047および0073~0085、WO2013/011955号公報の段落0007~0033および0059~0066、WO2013/081088号公報の段落0008~0071および0118~0133、特開2013-256490号公報の段落0009~0046および0093~0134、特開2013-116975号公報の段落0008~0020および0038~0040、WO2013/133359号公報の段落0007~0032および0079~0084、WO2013/161437号公報の段落0008~0054および0101~0121、特開2014-9352号公報の段落0007~0041および0060~0069、特開2014-9224号公報の段落0008~0048および0067~0076、特開2017-119663号公報の段落0013~0025、特開2017-119664号公報の段落0013~0026、特開2017-222623号公報の段落0012~0025、特開2017-226838号公報の段落0010~0050、特開2018-100411号公報の段落0012~0043、WO2018/047853号公報の段落0016~0044に記載される一般式に包含される化合物、特に例示化合物であって、遅延蛍光を放射しうるものが含まれる。また、ここでは、特開2013-253121号公報、WO2013/133359号公報、WO2014/034535号公報、WO2014/115743号公報、WO2014/122895号公報、WO2014/126200号公報、WO2014/136758号公報、WO2014/133121号公報、WO2014/136860号公報、WO2014/196585号公報、WO2014/189122号公報、WO2014/168101号公報、WO2015/008580号公報、WO2014/203840号公報、WO2015/002213号公報、WO2015/016200号公報、WO2015/019725号公報、WO2015/072470号公報、WO2015/108049号公報、WO2015/080182号公報、WO2015/072537号公報、WO2015/080183号公報、特開2015-129240号公報、WO2015/129714号公報、WO2015/129715号公報、WO2015/133501号公報、WO2015/136880号公報、WO2015/137244号公報、WO2015/137202号公報、WO2015/137136号公報、WO2015/146541号公報、WO2015/159541号公報に記載される発光材料であって、遅延蛍光を放射しうるものを好ましく採用することができる。なお、この段落に記載される上記の公報は、本明細書の一部としてここに引用する。これらのTADF分子はアシストドーパントとして用いてもよい。
本発明においてTADF分子として用いる好ましい化合物を挙げるが、本発明で用いることができるTADF分子は以下の化合物により限定的に解釈されるものではない。以下の化合物においてt-Buはtert-ブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
Figure 0007408125000073
Figure 0007408125000074
いくつかの実施形態では、ホスト材料は下記の化合物からなる群より選択される。
Figure 0007408125000075
Figure 0007408125000076
注入層:
注入層は、電極と有機層との間の層である。いくつかの実施形態では、前記注入層は駆動電圧を減少させ、光放射輝度を増強する。いくつかの実施形態では、前記注入層は、正孔注入層と電子注入層とを含む。前記注入層は、陽極と発光層または正孔輸送層との間、並びに陰極と発光層または電子輸送層との間に配置することがきる。いくつかの実施形態では、注入層が存在する。いくつかの実施形態では、注入層が存在しない。
正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007408125000077
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007408125000078
障壁層:
障壁層は、発光層に存在する電荷(電子または正孔)および/または励起子が、発光層の外側に拡散することを阻止できる層である。いくつかの実施形態では、電子障壁層は、発光層と正孔輸送層との間に存在し、電子が発光層を通過して正孔輸送層へ至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、正孔障壁層は、発光層と電子輸送層との間に存在し、正孔が発光層を通過して電子輸送層へ至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、障壁層は、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止する。いくつかの実施形態では、電子障壁層および正孔障壁層は励起子障壁層を構成する。本明細書で用いる用語「電子障壁層」または「励起子障壁層」には、電子障壁層の、および励起子障壁層の機能の両方を有する層が含まれる。
正孔障壁層:
正孔障壁層は、電子輸送層として機能する。いくつかの実施形態では、電子の輸送の間、正孔障壁層は正孔が電子輸送層に至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、正孔障壁層は、発光層における電子と正孔との再結合の確率を高める。正孔障壁層に用いる材料は、電子輸送層について前述したのと同じ材料であってもよい。
次に、正孔障壁層に用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 0007408125000079
電子障壁層:
電子障壁層は、正孔を輸送する。いくつかの実施形態では、正孔の輸送の間、電子障壁層は電子が正孔輸送層に至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、電子障壁層は、発光層における電子と正孔との再結合の確率を高める。電子障壁層に用いる材料は、正孔輸送層について前述したのと同じ材料であってもよい。
以下に電子障壁材料として用いることができる好ましい化合物の具体例を挙げる。
Figure 0007408125000080
励起子障壁層:
励起子障壁層は、発光層における正孔と電子との再結合を通じて生じた励起子が電荷輸送層まで拡散することを阻止する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層は、発光層における励起子の有効な閉じ込め(confinement)を可能にする。いくつかの実施形態では、装置の光放射効率が向上する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層は、陽極の側と陰極の側のいずれかで、およびその両側の発光層に隣接する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層が陽極側に存在するとき、当該層は、正孔輸送層と発光層との間に存在し、当該発光層に隣接してもよい。いくつかの実施形態では、励起子障壁層が陰極側に存在するとき、当該層は、発光層と陰極との間に存在し、当該発光層に隣接してもよい。いくつかの実施形態では、正孔注入層、電子障壁層または同様の層は、陽極と、陽極側の発光層に隣接する励起子障壁層との間に存在する。いくつかの実施形態では、正孔注入層、電子障壁層、正孔障壁層または同様の層は、陰極と、陰極側の発光層に隣接する励起子障壁層との間に存在する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層は、励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーを含み、その少なくとも1つが、それぞれ、発光材料の励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーより高い。
正孔輸送層:
正孔輸送層は、正孔輸送材料を含む。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は単層である。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は複数の層を有する。
いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は、正孔の注入または輸送特性および電子の障壁特性のうちの1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は有機材料である。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は無機材料である。本発明で使用できる公知の正孔輸送材料の例としては、限定されないが、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導剤、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導剤、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導剤、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリンコポリマーおよび導電性ポリマーオリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、またはその組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料はポルフィリン化合物、芳香族三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物から選択される。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は芳香族三級アミン化合物である。
以下に正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物の具体例を挙げる。
Figure 0007408125000081
電子輸送層:
電子輸送層は、電子輸送材料を含む。いくつかの実施形態では、電子輸送層は単層である。いくつかの実施形態では、電子輸送層は複数の層を有する。
いくつかの実施形態では、電子輸送材料は、陰極から注入された電子を発光層に輸送する機能さえあればよい。いくつかの実施形態では、電子輸送材料はまた、正孔障壁材料としても機能する。本発明で使用できる電子輸送層の例としては、限定されないが、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アゾール誘導体、アジン誘導体またはその組合せ、またはそのポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、電子輸送材料はチアジアゾール誘導剤またはキノキサリン誘導体である。いくつかの実施形態では、電子輸送材料はポリマー材料である。
以下に電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物の具体例を挙げる。
Figure 0007408125000082
有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示したが、本発明において用いることができる材料は、上記の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。
デバイス:
いくつかの実施形態では、一般式(1)で表される化合物はデバイス中に組み込まれる。例えば、デバイスには、OLEDバルブ、OLEDランプ、テレビ用ディスプレイ、コンピューター用モニター、携帯電話およびタブレットが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、陽極、陰極、および当該陽極と当該陰極との間の発光層を含む少なくとも1つの有機層を有するOLEDを含み、前記発光層はホスト材料と発光材料とを含む。
いくつかの実施形態では、OLEDの発光層は、三重項を一重項に変換する蛍光材料を更に含む。
いくつかの実施形態では、本願明細書に記載の構成物は、OLEDまたは光電子デバイスなどの、様々な感光性または光活性化デバイスに組み込まれうる。いくつかの実施形態では、前記構成物はデバイス内の電荷移動またはエネルギー移動の促進に、および/または正孔輸送材料として有用でありうる。前記デバイスとしては、例えば有機発光ダイオード(OLED)、有機集積回線(OIC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検出装置、有機光受容体、有機磁場クエンチ(field-quench)装置(O-FQD)、発光燃料電池(LEC)または有機レーザダイオード(O-レーザー)が挙げられる。
バルブまたはランプ:
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、陽極、陰極、当該陽極と当該陰極との間の発光層を含む少なくとも1つの有機層を含むOLEDを含み、当該発光層は、ホスト材料と、発光材料でと、OLEDドライバ回路と、を含む。
いくつかの実施形態では、デバイスは色彩の異なるOLEDを含む。いくつかの実施形態では、デバイスはOLEDの組合せを含むアレイを含む。いくつかの実施形態では、OLEDの前記組合せは、3色の組合せ(例えばRGB)である。いくつかの実施形態では、OLEDの前記組合せは、赤色でも緑色でも青色でもない色(例えばオレンジ色および黄緑色)の組合せである。いくつかの実施形態では、OLEDの前記組合せは、2色、4色またはそれ以上の色の組合せである。
いくつかの実施形態では、デバイスは、
取り付け面を有する第1面とそれと反対の第2面とを有し、少なくとも1つの開口部を画定する回路基板と、
前記取り付け面上の少なくとも1つのOLEDであって、当該少なくとも1つのOLEDが、陽極、陰極、および当該陽極と当該陰極との間の発光層を含む少なくとも1つの有機層を含み、当該発光層がホスト材料と発光材料とを含む、発光する構成を有する少なくとも1つのOLEDと、
回路基板用のハウジングと、
前記ハウジングの端部に配置された少なくとも1つのコネクターであって、前記ハウジングおよび前記コネクターが照明設備への取付けに適するパッケージを画定する、少なくとも1つのコネクターと、を備えるOLEDライトである。
いくつかの実施形態では、前記OLEDライトは、複数の方向に光が放射されるように回路基板に取り付けられた複数のOLEDを有する。いくつかの実施形態では、第1方向に発せられた一部の光は偏光されて第2方向に放射される。いくつかの実施形態では、反射器を用いて第1方向に発せられた光を偏光する。
ディスプレイまたはスクリーン:
いくつかの実施形態では、式(1)の化合物はスクリーンまたはディスプレイにおいて使用できる。いくつかの実施形態では、式(1)の化合物は、限定されないが真空蒸発、堆積、蒸着または化学蒸着(CVD)などの工程を用いて基材上へ堆積させる。いくつかの実施形態では、前記基材は、独特のアスペクト比のピクセルを提供する2面エッチングにおいて有用なフォトプレート構造である。前記スクリーン(またマスクとも呼ばれる)は、OLEDディスプレイの製造工程で用いられる。対応するアートワークパターンの設計により、垂直方向ではピクセルの間の非常に急な狭いタイバーの、並びに水平方向では大きな広範囲の斜角開口部の配置を可能にする。これにより、TFTバックプレーン上への化学蒸着を最適化しつつ、高解像度ディスプレイに必要とされるピクセルの微細なパターン構成が可能となる。
ピクセルの内部パターニングにより、水平および垂直方向での様々なアスペクト比の三次元ピクセル開口部を構成することが可能となる。更に、ピクセル領域中の画像化された「ストライプ」またはハーフトーン円の使用は、これらの特定のパターンをアンダーカットし基材から除くまで、特定の領域におけるエッチングが保護される。その時、全てのピクセル領域は同様のエッチング速度で処理されるが、その深さはハーフトーンパターンにより変化する。ハーフトーンパターンのサイズおよび間隔を変更することにより、ピクセル内での保護率が様々異なるエッチングが可能となり、急な垂直斜角を形成するのに必要な局在化された深いエッチングが可能となる。
蒸着マスク用の好ましい材料はインバーである。インバーは、製鉄所で長い薄型シート状に冷延された金属合金である。インバーは、ニッケルマスクとしてスピンマンドレル上へ電着することができない。蒸着用マスク内に開口領域を形成するための適切かつ低コストの方法は、湿式化学エッチングによる方法である。
いくつかの実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、基材上のピクセルマトリックスである。いくつかの実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、リソグラフィー(例えばフォトリソグラフィーおよびeビームリソグラフィー)を使用して加工される。いくつかの実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、湿式化学エッチングを使用して加工される。更なる実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、プラズマエッチングを使用して加工される。
デバイスの製造方法:
OLEDディスプレイは、一般的には、大型のマザーパネルを形成し、次に当該マザーパネルをセルパネル単位で切断することによって製造される。通常は、マザーパネル上の各セルパネルは、ベース基材上に、活性層とソース/ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、前記TFTに平坦化フィルムを塗布し、ピクセル電極、発光層、対電極およびカプセル化層、を順に経時的に形成し、前記マザーパネルから切断することにより形成される。
OLEDディスプレイは、一般的には、大型のマザーパネルを形成し、次に当該マザーパネルをセルパネル単位で切断することによって製造される。通常は、マザーパネル上の各セルパネルは、ベース基材上に、活性層とソース/ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、前記TFTに平坦化フィルムを塗布し、ピクセル電極、発光層、対電極およびカプセル化層、を順に経時的に形成し、前記マザーパネルから切断することにより形成される。
本発明の他の態様では、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの製造方法を提供し、当該方法は、
マザーパネルのベース基材上に障壁層を形成する工程と、
前記障壁層上に、セルパネル単位で複数のディスプレイユニットを形成する工程と、
前記セルパネルのディスプレイユニットのそれぞれの上にカプセル化層を形成する工程と、
前記セルパネル間のインタフェース部に有機フィルムを塗布する工程と、を含む。
いくつかの実施形態では、障壁層は、例えばSiNxで形成された無機フィルムであり、障壁層の端部はポリイミドまたはアクリルで形成された有機フィルムで被覆される。いくつかの実施形態では、有機フィルムは、マザーパネルがセルパネル単位で軟らかく切断されるように補助する。
いくつかの実施形態では、薄膜トランジスタ(TFT)層は、発光層と、ゲート電極と、ソース/ドレイン電極と、を有する。複数のディスプレイユニットの各々は、薄膜トランジスタ(TFT)層と、TFT層上に形成された平坦化フィルムと、平坦化フィルム上に形成された発光ユニットと、を有してもよく、前記インタフェース部に塗布された有機フィルムは、前記平坦化フィルムの材料と同じ材料で形成され、前記平坦化フィルムの形成と同時に形成される。いくつかの実施形態では、前記発光ユニットは、不動態化層と、その間の平坦化フィルムと、発光ユニットを被覆し保護するカプセル化層と、によりTFT層と連結される。前記製造方法のいくつかの実施形態では、前記有機フィルムは、ディスプレイユニットにもカプセル化層にも連結されない。
前記有機フィルムと平坦化フィルムの各々は、ポリイミドおよびアクリルのいずれか1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記障壁層は無機フィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、前記ベース基材はポリイミドで形成されてもよい。前記方法は更に、ポリイミドで形成されたベース基材の1つの表面に障壁層を形成する前に、当該ベース基材のもう1つの表面にガラス材料で形成されたキャリア基材を取り付ける工程と、インタフェース部に沿った切断の前に、前記キャリア基材をベース基材から分離する工程と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記OLEDディスプレイはフレキシブルなディスプレイである。
いくつかの実施形態では、前記不動態化層は、TFT層の被覆のためにTFT層上に配置された有機フィルムである。いくつかの実施形態では、前記平坦化フィルムは、不動態化層上に形成された有機フィルムである。いくつかの実施形態では、前記平坦化フィルムは、障壁層の端部に形成された有機フィルムと同様、ポリイミドまたはアクリルで形成される。いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイの製造の際、前記平坦化フィルムおよび有機フィルムは同時に形成される。いくつかの実施形態では、前記有機フィルムは、障壁層の端部に形成されてもよく、それにより、当該有機フィルムの一部が直接ベース基材と接触し、当該有機フィルムの残りの部分が、障壁層の端部を囲みつつ、障壁層と接触する。
いくつかの実施形態では、前記発光層は、ピクセル電極と、対電極と、当該ピクセル電極と当該対電極との間に配置された有機発光層と、を有する。いくつかの実施形態では、前記ピクセル電極は、TFT層のソース/ドレイン電極に連結している。
いくつかの実施形態では、TFT層を通じてピクセル電極に電圧が印加されるとき、ピクセル電極と対電極との間に適切な電圧が形成され、それにより有機発光層が光を放射し、それにより画像が形成される。以下、TFT層と発光ユニットとを有する画像形成ユニットを、ディスプレイユニットと称する。
いくつかの実施形態では、ディスプレイユニットを被覆し、外部の水分の浸透を防止するカプセル化層は、有機フィルムと無機フィルムとが交互に積層する薄膜状のカプセル化構造に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、前記カプセル化層は、複数の薄膜が積層した薄膜状カプセル化構造を有する。いくつかの実施形態では、インタフェース部に塗布される有機フィルムは、複数のディスプレイユニットの各々と間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態では、前記有機フィルムは、一部の有機フィルムが直接ベース基材と接触し、有機フィルムの残りの部分が障壁層の端部を囲む一方で障壁層と接触する態様で形成される。
一実施形態では、OLEDディスプレイはフレキシブルであり、ポリイミドで形成された柔軟なベース基材を使用する。いくつかの実施形態では、前記ベース基材はガラス材料で形成されたキャリア基材上に形成され、次に当該キャリア基材が分離される。
いくつかの実施形態では、障壁層は、キャリア基材の反対側のベース基材の表面に形成される。一実施形態では、前記障壁層は、各セルパネルのサイズに従いパターン化される。例えば、ベース基材がマザーパネルの全ての表面上に形成される一方で、障壁層が各セルパネルのサイズに従い形成され、それにより、セルパネルの障壁層の間のインタフェース部に溝が形成される。各セルパネルは、前記溝に沿って切断できる。
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、更にインタフェース部に沿って切断する工程を含み、そこでは溝が障壁層に形成され、少なくとも一部の有機フィルムが溝で形成され、当該溝がベース基材に浸透しない。いくつかの実施形態では、各セルパネルのTFT層が形成され、無機フィルムである不動態化層と有機フィルムである平坦化フィルムが、TFT層上に配置され、TFT層を被覆する。例えばポリイミドまたはアクリル製の平坦化フィルムが形成されるのと同時に、インタフェース部の溝は、例えばポリイミドまたはアクリル製の有機フィルムで被覆される。これは、各セルパネルがインタフェース部で溝に沿って切断されるとき、生じた衝撃を有機フィルムに吸収させることによってひびが生じるのを防止する。すなわち、全ての障壁層が有機フィルムなしで完全に露出している場合、各セルパネルがインタフェース部で溝に沿って切断されるとき、生じた衝撃が障壁層に伝達され、それによりひびが生じるリスクが増加する。しかしながら、一実施形態では、障壁層間のインタフェース部の溝が有機フィルムで被覆されて、有機フィルムがなければ障壁層に伝達されうる衝撃を吸収するため、各セルパネルをソフトに切断し、障壁層でひびが生じるのを防止してもよい。一実施形態では、インタフェース部の溝を被覆する有機フィルムおよび平坦化フィルムは、互いに間隔を置いて配置される。例えば、有機フィルムおよび平坦化フィルムが1つの層として相互に接続している場合には、平坦化フィルムと有機フィルムが残っている部分とを通じてディスプレイユニットに外部の水分が浸入するおそれがあるため、有機フィルムおよび平坦化フィルムは、有機フィルムがディスプレイユニットから間隔を置いて配置されるように、相互に間隔を置いて配置される。
いくつかの実施形態では、ディスプレイユニットは、発光ユニットの形成により形成され、カプセル化層は、ディスプレイユニットを被覆するためディスプレイユニット上に配置される。これにより、マザーパネルが完全に製造された後、ベース基材を担持するキャリア基材がベース基材から分離される。いくつかの実施形態では、レーザー光線がキャリア基材へ放射されると、キャリア基材は、キャリア基材とベース基材との間の熱膨張率の相違により、ベース基材から分離される。
いくつかの実施形態では、マザーパネルは、セルパネル単位で切断される。いくつかの実施形態では、マザーパネルは、カッターを用いてセルパネル間のインタフェース部に沿って切断される。いくつかの実施形態では、マザーパネルが沿って切断されるインタフェース部の溝が有機フィルムで被覆されているため、切断の間、当該有機フィルムが衝撃を吸収する。いくつかの実施形態では、切断の間、障壁層でひびが生じるのを防止できる。
いくつかの実施形態では、前記方法は製品の不良率を減少させ、その品質を安定させる。
他の態様は、ベース基材上に形成された障壁層と、障壁層上に形成されたディスプレイユニットと、ディスプレイユニット上に形成されたカプセル化層と、障壁層の端部に塗布された有機フィルムと、を有するOLEDディスプレイである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)、分光放射計(トプコン社製:SR-3)およびストリークカメラ(浜松ホトニクス(株)製C4334型)を用いて行った。
(合成例1) 化合物6の合成
Figure 0007408125000083
2,5-ジクロロテレフタロニトリル0.51g(2.6mmol)、2-(ジベンゾ[b,d]チオフェン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン1.9g(6.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.18g(0.16mmol)を100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、2mol/Lの炭酸カリウム水溶液10mL、テトラヒドロフラン30mLを加えた。この混合物を窒素雰囲気下、100℃で10時間撹拌した。撹拌後、この混合物を室温に戻してから、吸引ろ過して固体を得た。得られた個体を水、アセトン、クロロホルムの順に洗浄したところ、粉末状淡固体を収量1.1g、収率86%で得た。
H NMR (500MHz, CDCl, δ): 8.34-8.31(m,4H),8.26-8.25(m,2H),7.90-7.88(m,2H),7.71-7.64(m,4H),7.55-7.54(m,4H).
ASAPマススペクトル分析:理論値492.1、観測値493.4
(合成例2) 化合物8の合成
Figure 0007408125000084
1-ブロモジベンゾ[b,d]チオフェン1.0g(3.8mmol)を100mL三口フラスコに入れ、窒素置換し、テトラヒドロフラン15mLを加えた後、当該フラスコを-78℃に冷却した。この溶液へ、2.5mol/L n-ブチルリチウムヘキサン溶液1.8mL(4.4mmol)を滴下した後、窒素雰囲気下、1時間撹拌した。撹拌後、この溶液へ、トリメチルスズクロリド0.93g(4.7mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら、5時間撹拌したところ、個体が析出した。析出した固体を吸引ろ過し、クロロホルムで洗浄したところ、粉末状固体を収量1.2g、収率91%で得た。
Figure 0007408125000085
2,5-ジクロロテレフタロニトリル0.30g(1.1mmol)、ジベンゾ[b,d]チオフェン-1-イル トリメチルスズ0.94g(2.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.15g(0.17mmol)、トリ(オルト-トリル)ホスフィン50mg(0.11mmol)を100mL三口フラスコに入れ、当該フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、トルエン20mLを加えた。この混合物を窒素雰囲気下、100℃で10時間撹拌した。撹拌後、この混合物を室温に戻してから、吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をトルエン、オルト-ジクロロベンゼンの順に洗浄したところ、粉末状固体を収量0.50g、収率91%で得た。
H NMR (500MHz, CDCl, δ): 8.03-8.01(m,4H),7.90-7.89(m,4H),7.57(t,J=7.5Hz,2H),7.43(t,J=7.9Hz,2H),7.22(d,J=7.2Hz,2H),7.19(t,J=7.2Hz,2H),6.80(d,J=8.2Hz,2H).
ASAPマススペクトル分析:理論値492.1、観測値492.9
(実施例1) 化合物6を正孔障壁層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製1
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基材上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度1×10-6Paで積層した。まず、ITO上にHAT-CNを10nmの厚さに形成し、その上にNPDを10nmの厚さに形成し、さらにその上にTris-PCzを15nmの厚さに形成し、さらにその上にmCBPを5nmの厚さに形成した。次に、4CzIPNとmCBPを異なる蒸着源から共蒸着し、30nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、4CzIPNの濃度は25重量%とした。次に、化合物6を10nmの厚さの正孔障壁層として形成した。続いて、BPyTP2とLiqを異なる蒸着源から共蒸着し、30nmの厚さの電子輸送層として形成した。この時、BPyTP2:Liq(重量比)は7:3とした。さらに、Liqを2nmの厚さに形成し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
(実施例2) 化合物6を正孔障壁層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製2
実施例1の電子輸送層に用いたBPyTP2の代わりに化合物6を用いた点だけを変更して、実施例1と同じ手順で実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。実施例2の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層は、化合物6:Liq(重量比)=7:3である。
(比較例1) T2Tを正孔障壁層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
実施例1の正孔障壁層に用いた化合物6の代わりにT2Tを用いた点だけを変更して、実施例1と同じ手順で比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。
(評価)
実施例1、実施例2、比較例1の各有機エレクトロルミネッセンス素子の10cd/mにおける外部量子収率を測定し、5000cd/mで発光させたときの発光強度が発光開始時の95%になるまでの時間(寿命:LT95)を測定し、比較例1を基準とした相対値で示した結果を以下の表に示す。
Figure 0007408125000086
実施例1と比較例1の比較より、本発明の一般式(1)で表される化合物を正孔障壁層に用いた場合は、公知の正孔障壁材料を正孔障壁層に用いた場合よりも外部量子効率が高く、寿命も長かった。また、実施例2の結果は、電子輸送層の材料を選択することにより、外部量子効率をさらに向上させることが可能であることを示している。
(実施例3) 化合物6をホスト材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基材上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度1×10-6Paで積層した。まず、ITO上にHAT-CNを10nmの厚さに形成し、その上にNPDを10nmの厚さに形成し、さらにその上にTris-PCzを15nmの厚さに形成し、さらにその上にmCBPを5nmの厚さに形成した。次に、4CzTPNと化合物6を異なる蒸着源から共蒸着し、30nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、4CzTPNの濃度は30重量%とした。次に、T2Tを10nmの厚さの正孔障壁層として形成した。続いて、BPyTP2とLiqを異なる蒸着源から共蒸着し、40nmの厚さの電子輸送層として形成した。この時、BPyTP2:Liq(重量比)は7:3とした。さらに、Liqを2nmの厚さに形成し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、実施例3の有機エレクトロルミネッセンス素子とした。
(比較例2) mCBPをホスト材料として用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
実施例3の発光層に用いた化合物6の代わりにmCBPを用いた点だけを変更して、実施例3と同じ手順で比較例2の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。比較例2の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、mCBPと4CzTPNからなり、4CzTPNの濃度は30重量%である。
(評価)
実施例3、比較例2の各有機エレクトロルミネッセンス素子の10cd/mにおける外部量子収率を測定し、5000cd/mで発光させたときの発光強度が発光開始時の95%になるまでの時間(寿命:LT95)を測定し、比較例2を基準とした相対値で示した結果を以下の表に示す。
Figure 0007408125000087
実施例3と比較例2の比較より、本発明の一般式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料として用いた場合は、公知のホスト材料を発光層に用いた場合よりも外部量子効率が高く、寿命も長かった。
(実施例4) 化合物8を正孔障壁層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
膜厚100nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基材上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度1×10-6Paで積層した。まず、ITO上にHAT-CNを10nmの厚さに形成し、その上にNPDを10nmの厚さに形成し、さらにその上にTris-PCzを15nmの厚さに形成し、さらにその上にmCBPを5nmの厚さに形成した。次に、4CzIPNとmCBPを異なる蒸着源から共蒸着し、30nmの厚さの層を形成して発光層とした。この時、4CzIPNの濃度は20重量%とした。次に、本発明の化合物8を10nmの厚さの正孔障壁層として形成した。続いて、SF3-TRZとLiqを異なる蒸着源から共蒸着し、40nmの厚さの電子輸送層として形成した。この時、SF3-TRZ:Liq(重量比)は7:3とした。さらに、Liqを2nmの厚さに形成し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成し、実施例4の有機エレクトロルミネッセンス素子とした。外部量子効率は20.0%となり、高効率な有機エレクトロルミネッセンス素子を実現できた。
(実施例5) 化合物6を正孔障壁層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
実施例4の正孔障壁層に用いた化合物8の代わりに化合物6を用いた点だけを変更して、実施例4と同じ手順で実施例5の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。外部量子効率は19.6%となり、高効率な有機エレクトロルミネッセンス素子を実現できた。
Figure 0007408125000088
1 基材
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (7)

  1. 下記一般式(1a)で表される電荷輸送材料。
    [一般式(1a)において、
    はシアノ基を表し、
    ’およびR は、下記一般式(2)で表される基を表し、
    ’およびR は、各々独立に水素原子、または、下記一般式(2)で表される基とシアノ基以外の置換基を表す。]
    [一般式(2)において、
    Xはを表し、XはC-(L)n-*を表し、X~XおよびX~XCHを表す。ここで、nを表。*は、一般式(1)のベンゼン環への結合位置を表。]
  2. ホスト材料である、請求項に記載の電荷輸送材料。
  3. 正孔障壁材料である、請求項1または2に記載の電荷輸送材料。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の電荷輸送材料を含む有機発光素子。
  5. 有機エレクトロルミネッセンス素子である、請求項に記載の有機発光素子。
  6. 前記電荷輸送材料を発光層に含み、前記発光層が発光材料を含む(ただし、前記発光材料は前記一般式(1a)で表される化合物ではない)、請求項に記載の有機発光素子。
  7. 前記電荷輸送材料を正孔障壁層に含む、請求項に記載の有機発光素子。
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