一般的な技術
当業者らによる従来の方法論、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3d edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.; Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., (2003)); the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.): PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, and Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed. (1987)); Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R.I. Freshney), ed., 1987); Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, 1998) Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., 1993-8) J. Wiley and Sons; Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994); Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991); Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999); Immunobiology (C.A. Janeway and P. Travers, 1997); Antibodies (P. Finch, 1997); Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989); Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000); Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999); The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995);及びCancer: Principles and Practice of Oncology (V.T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 1993)に記載されている、広く利用されている方法論などを使用する、本明細書に記載または参照される技術及び手順は、一般によく理解されており、一般的に用いられる。
定義
本明細書で使用される場合、用語「予防する」は、個体における特定の疾患、障害、または状態の発生または再発に関する予防法の提供を含む。個体は、特定の疾患、障害、若しくは状態に罹患しやすい、かかりやすい、またはこのような疾患、障害、若しくは状態を発症するリスクがあることがあるが、まだ疾患、障害、若しくは状態と診断されていない。
本明細書で使用される場合、特定の疾患、障害、または状態を発症する「リスクがある」個体は、本明細書に記載の治療方法の前に、検出可能な疾患または疾患の症状を有しても良く、または有しなくても良く、かつ、検出可能な疾患または疾患の症状を示しても良く、または示なくても良い。「リスクがある」は、個体が、当技術分野で知られている通り、特定の疾患、障害、または状態の発症と相関する測定可能なパラメータである1つ以上のリスク因子を有することを表す。これらのリスクファクターのうちの1つ以上を有する個体は、これらのリスクファクターのうちの1つ以上を有しない個体よりも、特定の疾患、障害、または状態を発症する確率が高い。
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、臨床病理の経過中に治療される個体の自然経過を変更するように設計された臨床的介入を指す。望ましい治療効果は、進行速度を減少させること、病理学的状態を改善すること、または軽減させること、及び特定の疾患、障害、または状態の寛解または予後の改善を含む。個体は、例えば、特定の疾患、障害、または状態に関連する1つ以上の症状が緩和または排除される場合、うまく「治療される」。
「有効量」は、所望の治療または予防結果を達成するための、必要な用量及び期間での、少なくとも有効である量を指す。有効量は、1回以上の投与で提供できる。
「治療的有効量」は、特定の疾患、障害、または状態の測定可能な改善を生じるのに少なくとも必要とされる最小濃度である。本明細書の治療的有効量は、患者の病状、年齢、性別、及び体重、ならびに抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の、個体において所望の応答を誘発する能力などの因子に従い、変化することがある。治療的有効量は、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の有毒または有害な任意の影響よりも、治療上の有益な効果が上回る量でもある。
本明細書で使用される場合、別の化合物または組成物と「共に」投与することは、同時投与及び/または異なる時における投与を含む。共に投与することは、異なる投薬頻度または間隔のもの、及び同じ投与経路または異なる投与経路を使用するものを含む、共製剤としての投与または別の組成物としての投与も包含する。
治療、予防、またはリスクの低減のための「個体」は、ヒト、飼育動物及び家畜、ならびに、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどの動物園、スポーツ、またはペットの動物を含む哺乳動物に分類される任意の動物を指す。好ましくは、個体は、ヒトである。
用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書の「抗体」と同じ意味で使用される。本明細書の用語「抗体」は、広い意味で使用され、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体フラグメントをカバーする。
基本的な4鎖抗体ユニットは、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。VH及びVLのペアリングは共に、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性の場合、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th Ed., Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow (eds.), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, page 71 and Chapter 6を参照のこと。
任意の脊椎動物種由来のL鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる、2つの明らかに異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)及びミュー(「μ」)と呼ばれる重鎖を有する、免疫グロブリンの5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがある。γクラス及びαクラスは、CH配列及び機能における比較的小さな差異を基準にしてサブクラス(アイソタイプ)にさらに分けられ、例えば、ヒトは、次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元立体配置は、よく知られており、例えば、Abbas et al., Cellular and Molecular Immunology, 4th ed. (W.B. Saunders Co., 2000)に一般に記載されている。
「天然抗体」は通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により、重鎖に結合されているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖によって異なる。各重鎖及び軽鎖はまた、鎖内ジスルフィド架橋を、規則的に間隔を置いて配置する。各重鎖は、一端に、多数の定常ドメインが続く可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、その他端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列しており、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの間のインターフェースを形成すると考えられている。
本開示の単離抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの「単離」抗体は、(例えば、天然または組換えでの)産生環境の構成成分から、同定、分離、及び/または回収されている抗体である。好ましくは、単離ポリペプチドは、産生環境からの他の全ての汚染構成成分との関連性がない。組換えトランスフェクションされた細胞から生じるような、産生環境からの汚染構成成分は通常、抗体に対する研究、診断、または治療用途に支障を来すことになる材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質溶質または非タンパク質溶質を含むことがある。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、(1)例えば、Lowry法により測定される時、95重量%を超えるまで、一部の実施形態では、99重量%を超えるまで、(2)N末端の少なくとも15残基、若しくはスピニングカップシーケンサーの使用により内部アミノ酸配列を得るために十分な程度まで、または(3)クーマシーブルー若しくは好ましくは、銀染色を使用して、非還元若しくは還元条件下のSDS-PAGEにより、均一になるまで精製されることになる。単離抗体は、組換えT細胞内のin situ抗体を含む。それは、抗体の自然環境の少なくとも1つの構成成分は、存在しないからである。しかし、通常は、単離ポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程により調製されるであろう。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称されることがある。これらのドメインは一般に、(同じクラスの他の抗体と比較して)抗体の最も可変な部分であり、抗原結合部位を含有する。
用語「可変」は、可変ドメインの特定のセグメントが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体間の配列において広範囲にわたって異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、特定の抗原に対する特異性を規定する。しかし、可変性は、可変ドメインのスパン全体にわたって均一に分布しない。その代わりに、可変性は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方の超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインの、より高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、主にベータシート立体配置をとり、ベータシート構造を連結させるループを形成し、一部の場合では、ベータシート構造の一部を形成する、3つのHVRにより連結される4つのFR領域を含む。各鎖のHVRは、FR領域により、共に近接して保たれ、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, MD (1991)を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞毒性への関与などの種々のエフェクター機能を示す。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られた本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12モノクローナル抗体などの抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられる。通常は異なる決定基(エピトープ)に対して向けられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンで汚染されていない、ハイブリドーマ培養により合成される点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られるような抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従い使用されるべきモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein., Nature, 256:495-97 (1975); Hongo et al., Hybridoma, 14 (3):253-260 (1995), Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2d ed. 1988); Hammerling et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5):1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 101(34):12467-472 (2004);及びLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2):119-132 (2004))、ならびにヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部または全部を有する動物においてヒトまたはヒト様抗体を産生するための技術(例えば、WO1998/24893;WO1996/34096;WO1996/33735;WO1991/10741;Jakobovits et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature 362:255-258 (1993); Bruggemann et al., Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;及び同第5,661,016号; Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368:856-859 (1994); Morrison, Nature 368:812-813 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnol. 14:845-851 (1996); Neuberger, Nature Biotechnol. 14:826 (1996);ならびにLonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)を参照のこと)を含む種々の技術で作製されることがある。
用語「全長抗体」、「インタクト抗体」、または「完全抗体」は、抗体フラグメントとは対照的に、実質的にインタクト形態の、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体を指すのと同じ意味で使用される。具体的には、完全抗体は、Fc領域を含む、重鎖及び軽鎖を有する抗体を含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列多様体であって良い。一部の場合では、インタクト抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有することがある。
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体の一部、好ましくは、抗原結合及び/またはインタクト抗体の可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al., Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995)を参照のこと);一本鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられる。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、及び残りの「Fc」フラグメント(名称が容易に結晶化する能力を反映している)を産生する。Fabフラグメントは、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共にL鎖全体、及び1つの重鎖の第1定常領域(CH1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合されたFabフラグメントにおおよそ対応し、依然として抗原を架橋できる単一の大きなF(ab’)2フラグメントを生じる。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に、いくつかのさらなる残基を有する点で、Fabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が、遊離チオール基を持つFab’のための本明細書での名称である。F(ab’)2抗体フラグメントは元々、それらの間にヒンジシステインを有するFab′フラグメントのペアとして産生された。抗体フラグメントの他の化学的連結も、知られている。
Fcフラグメントは、ジスルフィドで共に保持される両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列により決定され、領域は、特定種類の細胞に見られるFc受容体(FcR)によっても認識される。
「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含有する最小の抗体フラグメントである。このフラグメントは、緊密に非共有結合的に会合した、1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折りたたみから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与して、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(それぞれH鎖及びL鎖から3ループ)が出ている。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)は、結合部位全体よりも親和性が低いが、抗原を認識して結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも略記される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結されたVH及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVHドメイン及びVLドメインとの間に、ポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体の「機能的フラグメント」は、インタクト抗体の抗原結合若しくは可変領域またはFcR結合能を保持する、若しくは修飾している抗体のF領域を一般に含むインタクト抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例としては、線状抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「ダイアボディ」は、Vドメインの鎖間ペアリングではなく鎖内ペアリングが達成され、それにより2価のフラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメント、を生じるように、VHドメイン及びVLドメインとの間の短いリンカー(約5~10残基)を有するsFvフラグメント(先行段落を参照のこと)を構築することにより調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「クロスオーバー」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;Hollinger et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 90:6444-48 (1993)で、より詳細に記載されている。
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」は、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の種に由来する、または特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残部が別の種に由来する、または別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である本開示のキメラ抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体(免疫グロブリン)、ならびに、このような抗体のフラグメントを指す(米国特許第4,816,567号;Morrison et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 81:6851-55 (1984))。本明細書の目的のキメラ抗体は、抗体の抗原結合領域が、例えば、目的の抗原をマカクザルに免疫することにより産生される抗体に由来するPRIMATIZED(登録商標)抗体を含む。本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体のヒト化形態などの非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び/または能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト(ドナー抗体)のHVR由来の残基により交換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の場合では、ヒト免疫グロブリンのFR残基は、対応する非ヒト残基により交換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含むことがある。これらの修飾は、結合親和性などの抗体性能をさらに改良するために行われることがある。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたはほぼ全てが、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたはほぼ全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つの及び通常は2つの可変ドメインのほぼ全てを含むであろう。但し、FR領域は、結合親和性、異性化、免疫原性などの抗体性能を改善する1つ以上の個々のFR残基置換を含んでも良い。FRのこれらのアミノ酸置換の数は通常、H鎖では6以下であり、L鎖では3以下である。ヒト化抗体は任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、通常は、ヒト免疫グロブリンのものを含むであろう。さらなる詳細については、例えば、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照のこと。さらに、例えば、Vaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998); Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994);及びU.S. Patent Nos. 6,982,321 and 7,087,409を参照のこと。
「ヒト抗体」は、ヒトにより産生される、及び/または、本明細書で開示されるように、ヒト抗体を作成するための技術のいずれかを使用して作製されている、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体の配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は特に、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に排除する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、種々の当該技術分野において既知の技術を使用して産生できる。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)。さらに、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985); Boerner et al., J. Immunol., 147(1):86-95 (1991)に記載されている方法は、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5:368-74 (2001)も参照のこと。ヒト抗体は、抗原暴露に応答してこのような抗体を産生するために修飾されているが、その内因性の遺伝子座は無効化されているトランスジェニック動物(例えば、免疫化ゼノマウス)に、抗原を投与することにより調製できる(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号、及び同第6,150,584号を参照のこと)。さらに、例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されたヒト抗体に関するLi et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)を参照のこと。
用語「超可変領域」、「HVR」、または「HV」は、本明細書で使用される場合、配列中で超可変である、及び/または、構造的に規定されたループを形成する、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体のような抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVR;VHの3つ(H1、H2、H3)及びVLの3つ(L1、L2、L3)を含む。天然抗体では、H3及びL3は、6つのHVRのほとんどの多様性を示し、H3は特に、抗体に細かい特異性を付与することにおいて、独特の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al., Immunity 13:37-45 (2000); Johnson and Wu in Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003))を参照のこと。実に、天然のラクダ抗体は、軽鎖の非存在下では機能的で安定な重鎖のみからなる。例えば、Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993)及びSheriff et al., Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照のこと。
多数のHVRの図が使用されており、本明細書に包含されている。Kabat相補性決定領域(CDR)であるHVRは、配列可変性に基づいており、最も一般的に使用されている(上記Kabatら)。その代わりに、Chothiaは、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM HVRは、Kabat CDR及びChothia構造ループとの間の折衷案を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用される。「接触」HVRは、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づいている。これらのHVRのそれぞれからの残基は、以下に表される。
HVRは、次のように「拡張HVR」を含んでも良い:VLの24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、及び89~97または89~96(L3)、ならびに、VHの26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)、及び93~102、94~102、または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの拡張HVRの定義のそれぞれについて、上記Kabatらに従って番号付けがされる。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に規定されたようなHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
語句「Kabatのような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatのようなアミノ酸位置番号付け」及びその変形物は、上記Kabatらの抗体の編集の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮、または、これへの挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有しても良い。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸インサート(Kabatによる残基52a)、ならびに重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b及び82cなど)を含んでも良い。所与の抗体に対する残基のKabat番号付けは、抗体の配列の、「標準」Kabat番号付けされた配列との相同性の領域で整列させることにより決定されても良い。
Kabat番号付けシステムは一般に、可変ドメインの残基(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を指す場合に使用される(例えば、Kabat et al., Sequences of Immunological Interest. 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。「EU番号付けシステム」または「EUインデックス」は一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域の残基を指す場合に使用される(例えば、上記Kabatらで報告されるEUインデックス)。「KabatのEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。抗体の可変ドメインにおける残基番号への言及は、Kabat番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。抗体の定常領域における残基番号への言及は、EU番号付けシステムによる残基番号付けを意味する(例えば、米国特許公報第2010-280227号を参照のこと)。
本明細書で使用される「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいても良く、または既存のアミノ酸配列変化を含有しても良い。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、好ましいこれらの変化は、位置71H、73H、及び78Hの3つ、2つ、または1つのみで生じ、例えば、これらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または78Aであって良い。一実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列が、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからのものである。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)のようなサブグループである。VLの例としては、サブグループは、上記KabatらのようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであって良い。さらに、VHの場合、サブグループは、上記KabatらのようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであって良い。
例えば、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の、特定の位置での「アミノ酸修飾」は、特定の残基の置換若しくは欠失、または特定の残基に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。特定の残基に「隣接している」挿入は、その1~2残基内の挿入を意味する。挿入は、特定の残基のN末端またはC末端であって良い。本明細書の好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
本開示の親和性成熟抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの「親和性成熟」抗体は、その1つ以上のHVRに1つ以上の改変を有する抗体であり、これらは、これらの改変(複数可)を有さない親抗体と比較して、抗体の抗原に対する親和性に改善をもたらす。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたはさらにピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野で既知の手順により産生される。例えば、Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992)は、VHドメイン及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載する。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異導入は、例えば、Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci. USA 91:3809-3813 (1994); Schier et al. Gene 169:147-155 (1995); Yelton et al. J. Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jackson et al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995);及びHawkins et al, J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)により記載されている。
本明細書で使用される場合、用語「特異的に認識する」または「特異的に結合する」は、生物学的分子を含む分子の異種集団の存在下で、標的の存在を決定づける、例えば、抗TREM2抗体及びTREM2の間、または抗DAP12抗体及びDAP12の間などの標的及び抗体の間の引力または結合などの測定可能で再現性のある相互作用を指す。例えば、標的またはエピトープに特異的または優先的に結合する、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体は、他の標的または標的の他のエピトープに結合するよりも、より高い親和性、結合活性を有し、より容易に、及び/または、より長い期間、この標的またはエピトープに結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分)は、第2の標的に特異的または優先的に結合することがある、または結合しないことがあることが、この定義を読むことによっても理解される。そのようなものであるから、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を(含むことができるが)必ずしも必要とはしない。標的に特異的に結合する抗体は、少なくとも約103M-1若しくは104M-1の、時によると、約105M-1若しくは106M-1、他の場合、約106M-1若しくは107M-1、約108M-1~109M-1、または1010M-1~1011M-1以上の結合定数を有しても良い。種々のイムノアッセイフォーマットは、特定のタンパク質と特異的免疫反応性のある抗体を選択するために使用できる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的免疫反応性のあるモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用できるイムノアッセイフォーマット及び条件については、例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New Yorkを参照のこと。
本明細書で使用される場合、TREM2タンパク質またはDAP12タンパク質及び第2のタンパク質の間の「相互作用」は、タンパク質-タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及びイオン結合を包含するが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、抗体が、2つのタンパク質間の相互作用を、破壊、低減、または完全に排除する時、抗体は、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。本開示の抗体またはそのフラグメントは、抗体またはそのフラグメントが、2つのタンパク質の1つに結合する時、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。
「アゴニスト」抗体または「活性化」抗体は、抗体が抗原に結合した後に、抗原の1つ以上の活性または機能を誘導する(例えば、増加させる)、本開示のアゴニスト抗TREM2抗体またはアゴニスト抗DAP12抗体などの抗体である。
「アンタゴニスト」抗体または「ブロッキング」抗体は、抗体が抗原に結合した後に、1つ以上のリガンドに結合する抗原を低減させ、または排除する(例えば、減少させる)、及び/または、抗体が抗原に結合した後に、抗原の1つ以上の活性または機能を低減させる、または排除する(例えば、減少させる)、本開示のアンタゴニスト抗TREM2抗体またはアンタゴニスト抗DAP12抗体などの抗体である。
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列多様体Fc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。
本明細書の用語「Fc領域」は、天然配列Fc領域及び多様体Fc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は、変化することがあるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位またはPro230位のアミノ酸残基から、そのカルボキシル末端に伸びると規定される。Fc領域のC末端リシン(EU番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え遺伝子操作することにより、除去されても良い。従って、インタクト抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、ならびにK447残基を有する抗体及びK447残基を有しない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでも良い。本発明の抗体に使用されるのに好適な天然配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む。
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非Aアロタイプ及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびにそれらの天然多様体を含む。
「多様体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換(複数可)のために天然配列Fc領域のものと異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、多様体Fc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域に、約1~約10のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5のアミノ酸置換、を有する。本明細書の多様体Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、最も好ましくは、それらと少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらと少なくとも約95%の相同性を有することになる。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体について記載する。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合し、これらの受容体の対立遺伝子多様体及び選択的スプライシング形態を含むFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含むものであり、FcγRII受容体は、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有するFcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含む。活性化受容体FcγRIIAは、細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(「ITAM」)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(「ITIM」)を含有する。(例えば、M. Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)参照のこと)。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-92 (1991); Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126: 330-41 (1995)で概説される。将来同定されるべきものを含む他のFcRは、本明細書の用語「FcR」に包含される。FcRはまた、抗体の血清半減期を増加させることができる。
インビボでのFcRnへの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス若しくはトランスフェクションされたヒト細胞株において、または多様体Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類において、アッセイできる。WO2004/42072(Presta)は、FcRへの結合が改善されたまたは減少する抗体多様体について記載する。さらに、例えば、Shields et al., J. Biol. Chem. 9(2):6591-6604 (2001)を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」及びペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関する「相同性」は、必要に応じて最大パーセント配列同一性を達成するために、配列を整列させ、ギャップを導入した後の、特定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列のアミノ酸残基の割合を指し、任意の保存的置換を、配列同一性の一部として考慮しない。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGNTM(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の範囲内の種々の手段で達成できる。当業者らは、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要とされる、当該分野で既知の任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定できる。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体をコードする「単離」核酸分子は、同定され、それが産生された環境に通常関連する少なくとも1つの汚染核酸分子から分離される核酸分子である。好ましくは、単離核酸は、産生環境に関連する全ての構成成分との関連がない。本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする単離核酸分子は、天然に見出される形態または状況以外の形態である。それ故、単離核酸分子は、細胞中に天然に存在する、本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする核酸とは区別される。
本明細書で使用される用語「ベクター」は、それが結合されている別の核酸を輸送できる核酸分子を指すものとする。1つの種類のベクターは、「プラスミド」であり、これは、付加的なDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAを指す。別の種類のベクターは、ファージベクターである。別の種類のベクターは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得るウイルスベクターである。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)において自律的複製が可能である。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に結合されている遺伝子の発現を指示できる。このようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」または単に「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技術における実益のある発現ベクターは多くの場合、プラスミドの形態である。本明細書では、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、「プラスミド」及び「ベクター」は、同じ意味で使用されることがある。
本明細書で同じ意味で使用される「ポリヌクレオチド」、または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド若しくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいは、DNA若しくはRNAポリメラーゼにより、または合成反応により、ポリマーに取り込むことができる任意の基質である可能性がある。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含んでも良い。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーの構築の前または後に付与されることがある。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分により割り込まれても良い。ポリヌクレオチドは、標識へのコンジュゲートなどの、合成後に行われる修飾(複数可)を含むことがある。他の種類の修飾は、例えば、「キャップ」、天然ヌクレオチドのうちの1つ以上の、類似体との置換、例えば、電荷のない結合を有するもの(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)及び電荷を持つ結合を有するもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、例えば、タンパク質などのペンダント部分を含有するもの(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リシンなど)、インターカレーターを有するもの(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート化剤を含有するもの(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)、アルキル化剤を含有するもの、結合が修飾されたもの(例えば、アルファアノマー核酸など)、未修飾形態のポリヌクレオチド(複数可)などのヌクレオチド間の修飾を含む。さらに、糖類に通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基と交換され、標準的な保護基で保護され、若しくはさらなるヌクレオチドへのさらなる結合を調製するために活性化されても良く、または、固体若しくは半固体の支持体にコンジュゲートされても良い。5′末端及び3′末端OHは、リン酸化またはアミン若しくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換できる。他のヒドロキシルはまた、標準的な保護基に誘導体化されても良い。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2’-O-メチルリボース、2’-O-アリルリボース、2’-フルオロリボース、または2’-アジドリボース;炭素環式糖類似体;α-アノマー糖;アラビノース、キシロース、またはリキソースなどのエピマー糖類;ピラノース糖;フラノース糖;セドヘプツロース;非環式類似体;及びメチルリボシドなどの塩基性ヌクレオシド類似体を含む、当技術分野で一般に既知の類似体形態のリボースまたはデオキシリボース糖を含有する可能性がある。1つ以上のリン酸ジエステル結合は、代替結合基により交換されても良い。これらの代替結合基は、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)またはOR′、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)により交換され、各RまたはR’は独立して、H、または、任意に、エーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアルラルジルを含有する置換若しくは非置換アルキル(1~20C)である、実施形態を含むが、これらに限定されない。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先行記載は、RNA及びDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートの取り込みのためのベクター(複数可)のレシピエントである可能性がある、またはこれであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、自然の、偶然の、または故意の変異のために元の親細胞とは必ずしも(形態学的に、またはゲノムDNA相補的に)完全に同一でないことがある。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド(複数可)を、インビボでトランスフェクトされた細胞を含む。
本明細書で使用される「担体」は、用いられる投薬量及び濃度で、それに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む。多くの場合、生理的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/または、TWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
本明細書で使用される用語「約」は、当業者に容易に知られているそれぞれの値に対する通常の誤差範囲を指す。本明細書の「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体に関する実施形態を含む(及び記載する)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明示しない限り、複数の言及を含む。例えば、「抗体」への言及は、モル量などの1つの抗体から多くの抗体までの言及であり、当業者らに既知のそれらの等価物などを含む。
本明細書に記載されている本発明の態様及び実施形態が、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むと理解されている。
概要
本開示は、1つ以上のアゴニストまたはアンタゴニスト活性を有する抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体;このような抗体の製造及び使用方法;このような抗体を含有する医薬組成物;このような抗体をコードする核酸;ならびに、このような抗体をコードする核酸を含有する宿主細胞に関する。
一部の実施形態では、理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体のアゴニスト活性が、少なくとも部分的には、抗体の、細胞表面上にTREM2受容体クラスター形成を誘導または保持する能力に起因すると考えられている。一部の実施形態では、TREM2及び/または抗DAP12抗体は、TREM2に特異的に結合するだけでなく、隣接する細胞上のFc受容体にも結合することにより、インビボでTREM2受容体クラスター形成を誘導または保持でき、これは、次にTREM2を凝集させる抗体凝集をもたらすと考えられている。有利には、IgG2及びIgMを含むがこれらに限定されない特定の免疫グロブリンアイソタイプは、隣接する細胞上のFc受容体に結合することなく標的抗原(例えば、TREM2)のクラスター形成を誘導または保持する固有の能力を有する。一部の実施形態では、アゴニストTREM2活性は、TREM2及び架橋抗TREM2抗体に曝露された抗体の密度を増加させるためのプレート結合全長抗TREM2抗体を含むがこれらに限定されない、本明細書で開示されるいくつかの技術(例えば、実施例23~26、34~37、41~44、52~55、及び67~68を参照のこと)のいずれかにより、インビトロで測定または試験できる。
従って、本開示の特定の態様は、少なくとも部分的には、ヒトTREM2及びマウスTREM2の両方に高親和性で結合でき(例えば、実施例1及び40を参照のこと);ヒト及びマウスTREM2上のリガンド結合部位への結合についてTREM2リガンドと競合し(例えば、実施例26及び43参照のこと);CD83+CD86+樹状細胞の誘導(例えば、実施例23及び41を参照のこと)、マクロファージ及び樹状細胞のTREM2下流シグナル伝達分子Sykの誘導(例えば、実施例24及び42を参照のこと)、マクロファージのTREM2シグナル伝達アダプター分子DAP12の誘導(例えば、実施例25及び44を参照のこと)、マクロファージなどの自然免疫細胞の細胞生存の誘導(例えば、実施例34及び52を参照のこと)、ならびに、TREM2依存性遺伝子発現の活性化(例えば、実施例36、38、54、56、及び68を参照のこと)を含むがこれらに限定されない1つ以上のアゴニストTREM2活性を示す、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の同定に基づいている。
本開示のさらなる態様は、少なくとも部分的には、抗体が、TREM2受容体クラスター形成を誘導または保持することができないように産生される、または別途フォーマットされる時、本開示のTREM2及び/または抗DAP12抗体が、アンタゴニスト活性も誘導できるという驚くべき発見に基づいている。一部の実施形態では、本開示のTREM2及び/または抗DAP12抗体は、自然免疫細胞の細胞生存の阻害を含むがこれらに限定されない1つ以上のアンタゴニストTREM2活性(例えば、実施例35及び53を参照のこと)ならびにTREM2依存性遺伝子発現の阻害(例えば、実施例37、55、及び67を参照のこと)を示す。
TREM2タンパク質
一態様では、本発明は、本開示のTREM2タンパク質に結合し、細胞で発現されたTREM2タンパク質に結合した後に、1つ以上のTREM2活性を調節する抗体を提供する。
本開示のTREM2タンパク質は、哺乳動物TREM2タンパク質、ヒトTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q9NZC2)、マウスTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q99NH8)、ラットTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号D3ZZ89)、アカゲザルTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号F6QVF2)、ウシTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q05B59)、ウマTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号F7D6L0)、ブタTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号H2EZZ3)、及びイヌTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号E2RP46)を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「TREM2タンパク質」は、野生型配列及び天然多様体配列の両方を指す。
骨髄細胞2(TREM2)上に発現されるトリガー受容体は、骨髄系細胞-2a上に発現する受容体を誘発するTREM-2、Trem2a、Trem2b、Trem2c、及び単球2上に発現されるトリガー受容体と様々に称される。TREM2は、230アミノ酸の膜タンパク質である。TREM2は、マクロファージ、樹状細胞、破骨細胞、ミクログリア、単球、皮膚のランゲルハンス細胞、及びクッパー細胞を含むがこれらに限定されない、骨髄系細胞上に主に発現される免疫グロブリン様受容体である。一部の実施形態では、TREM2は、DAP12との受容体シグナル伝達複合体を形成する。一部の実施形態では、TREM2は、DAP12(ITAMドメインアダプタータンパク質)を介して、リン酸化してシグナル伝達する。一部の実施形態では、TREM2シグナル伝達は、PI3Kまたは他の細胞内シグナルの下流の活性化をもたらす。骨髄細胞上で、Toll様受容体(TLR)シグナルは、例えば、感染応答との関連で、TREM2活性の活性化に重要である。TLR、例えば、マクロファージ及び樹状細胞で発現されたTLRはまた、病理学的炎症性応答において鍵となる役割を果たす。
一部の実施形態では、ヒトTREM2アミノ酸配列の例は、配列番号1として以下に示す:
一部の実施形態では、ヒトTREM2は、シグナルペプチドを含むプレタンパク質である。一部の実施形態では、ヒトTREM2は、成熟タンパク質である。一部の実施形態では、成熟TREM2タンパク質は、シグナルペプチドを含まない。一部の実施形態では、成熟TREM2タンパク質は、細胞上に発現される。一部の実施形態では、TREM2は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基1~18に位置するシグナルペプチド;ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基29~112に位置する細胞外免疫グロブリン様可変型(IgV)ドメイン;ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基113~174に位置する追加の細胞外配列;ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基175~195に位置する膜貫通ドメイン;及びヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基196~230に位置する細胞内ドメインを含有する。
ヒトTREM2の膜貫通ドメインは、DAP12のアスパラギン酸と相互作用できるアミノ酸残基186にリシンを含有し、これは、TREM2、TREM1、及び他の関連するIgVファミリーメンバーからのシグナル伝達を変換する重要なアダプタータンパク質である。
ヒトTREM2のホモログには、ナチュラルキラー(NK)細胞受容体NK-p44(NCTR2)、多量体免疫グロブリン受容体(pIgR)、CD300E、CD300A、CD300C、及びTREML1/TLT1を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、NCTR2は、IgVドメイン内のTREM2と類似性を有する。
DAP12タンパク質
一態様では、本発明は、本開示のDAP12タンパク質に結合し、細胞で発現されたDAP12に結合した後に、1つ以上のDAP12活性を調節する抗体を提供する。
本開示のDAP12タンパク質は、哺乳動物DAP12タンパク質、ヒトDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号O43914)、マウスDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号O54885)、ラットDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q6X9T7)、アカゲザルDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q8WNQ8)、ウシDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q95J80)、及びブタDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q9TU45)を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「DAP12タンパク質」は、野生型配列及び天然多様体配列の両方を指す。
DNAX活性化タンパク質12(DAP12)は、キラー活性化受容体関連タンパク質、KAR関連タンパク質(KARAP)、PLOSL、PLO-SL、TYROタンパク質、及びチロシンキナーゼ結合タンパク質と様々に称される。DAP12は、113アミノ酸の膜タンパク質である。一部の実施形態では、DAP12は、細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する膜貫通型シグナル伝達ポリペプチドとして機能する。それは、キラー細胞阻害性受容体(KIR)ファミリーの膜糖タンパク質に会合することがあり、活性化シグナル伝達要素として作用することがある。他の実施形態では、DAP12タンパク質は、ゼータ鎖(TCR)関連タンパク質キナーゼ70kDa(ZAP-70)及び脾臓チロシンキナーゼ(SYK)に結合し、シグナル伝達、骨形成、脳ミエリン形成、及び炎症に関与する。
DAP12をコードする遺伝子内の変異は、那須-ハコラ病としても知られている硬化性白質脳症を伴う脂肪膜性多発嚢胞性骨異形成症(PLOSL)と関連する。理論に拘束されることを望むものではないが、DAP12受容体は、PLOSLも引き起こすTREM2であると考えられている。異なるアイソフォームのDAP12をコードする複数の代替転写物多様体が同定されている。DAP12は、CD300ファミリーの活性化レセプターと非共有結合的に会合する。CD300-TYROBP/DAP12複合体の架橋は、インテグリンにより媒介される好中球活性化などの細胞活性化をもたらす。DAP12は、ホモ二量体:ジスルフィド結合タンパク質である。一部の実施形態では、DAP12は、類似性により、かつITAMドメイン介して、SIRPB1、TREM1、CLECSF5、SIGLEC14、CD300LB、CD300E、及びCD300Dと相互作用し、SH2ドメインを介して、SYKと相互作用する。他の実施形態では、DAP12は、好中球及びマクロファージインテグリン媒介活性化を媒介するSYKを活性化する。他の実施形態では、DAP12は、KLRC2及びKIR2DS3と相互作用する。
一部の実施形態では、ヒトDAP12アミノ酸配列の例は、配列番号2として以下に示す。
一部の実施形態では、ヒトDAP12は、シグナルペプチドを含むプレタンパク質である。一部の実施形態では、ヒトDAP12は、成熟タンパク質である。一部の実施形態では、成熟DAP12タンパク質は、シグナルペプチドを含まない。一部の実施形態では、成熟DAP12タンパク質は、細胞上に発現される。DAP12は、シングルパスI型膜タンパク質である。それは、ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基22~40に位置する細胞外ドメイン;ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基41~61に位置する膜貫通ドメイン;及びヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基62~113に位置する細胞内ドメインを含有する。免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)ドメインは、ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基80~118に位置する。
一部の実施形態では、DAP12のアスパラギン酸残基は、アミノ酸残基186にリシンを含有するヒトTREM2の膜貫通ドメインと相互作用し、TREM2、TREM1、及び他の関連するIgVファミリーメンバータンパク質からのシグナル伝達を変換する。
抗TREM2及び抗DAP12抗体
本開示の特定の態様は、TREM2及び/またはDAP12に特異的に結合する抗体に関する。一部の実施形態では、本開示の抗体は、成熟TREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗体は、成熟TREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合し、成熟TREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質は、細胞上に発現される。一部の実施形態では、本開示の抗体は、ヒト樹状細胞、ヒトマクロファージ、ヒト単球、ヒト破骨細胞、ヒト皮膚ランゲルハンス細胞、ヒトクッパー細胞、ヒトミクログリア、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のヒト細胞上に発現されるTREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗体は、アゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、不活性抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗体は、アンタゴニスト抗体である。
アゴニスト抗体
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は一般に、細胞上で発現された1つ以上のTREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合する。抗体の1つのクラスは、アゴニスト抗体である。例えば、TREM2受容体は、シグナルを伝達するために、細胞表面上でクラスター形成することを必要とすると考えられている。従って、アゴニスト抗体は、例えば、TREM2受容体を刺激する独特の特徴を有することがある。例えば、それらは、受容体活性化に適合する適切なエピトープ特異性、ならびに、細胞表面上で受容体クラスター形成を誘導または保持する能力を有することがある。
インビボで、抗体は、複数の潜在的機序により、受容体をクラスター形成することがある。IgG2などのヒト抗体の一部のアイソタイプは、ユニークな構造のために、受容体をクラスター形成し、またはクラスター形成された立体配置で受容体を保持し、それにより、Fc受容体に結合することなくTREM2などの受容体を活性化する固有の能力を有する(例えば、White et al., (2015) Cancer Cell 27, 138-148)。
他の抗体は、隣接した細胞上のFcg受容体に結合することにより、受容体(例えば、TREM2)をクラスター形成する。Fcg受容体に対する抗体の定常IgG Fc部分の結合は、抗体の凝集をもたらし、抗体は、次に、それらが可変領域を介して結合する受容体を凝集させる(Chu et al (2008) Mol Immunol , 45:3926-3933; and Wilson et al., (2011) Cancer Cell 19, 101-113)。FcgRIIBに結合することが、免疫の有害作用と関連していないので、サイトカイン分泌、酸化的バースト、食作用の増加、及び抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の増強を誘発しない阻害性Fcg受容体FcgR(FcgRIIB)に結合することは多くの場合、抗体をインビボでクラスター形成する好ましい手段である。
他のメカニズムも、受容体(例えば、TREM2)をクラスター形成するために使用されても良い。例えば、共に架橋される抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント)は、上記のように、Fcg受容体に結合するFc領域を有する抗体に類似した仕方で受容体(例えば、TREM2)をクラスター形成するために使用されても良い。理論に拘束されることを望むものではないが、架橋抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント)は、細胞表面上に受容体クラスター形成を誘導し、標的上の適切なエピトープ(例えば、TREM2)に結合する場合、アゴニスト抗体として機能することがあると考えられている。
それ故、一部の実施形態では、TREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合する抗体は、エピトープ特異性により、TREM2及び/またはDAP12に結合し、1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性を活性化するアゴニスト抗体を含むことがある。理論に拘束されることを望むものではないが、このような抗体は、標的抗原(例えば、TREM2及び/またはDAP12)上のリガンド結合部位に結合し、天然リガンドの作用を模倣する、または、リガンド結合部位ではなない1つ以上のドメインに結合することにより、シグナルを伝達するために、標的抗原を刺激することがある。このような抗体は、リガンド結合と干渉しないことになり、天然リガンドと相加的または相乗的に作用することがある。
一部の実施形態では、本開示の抗体は、1つ以上のTREM2活性、1つ以上のDAP12活性、または1つ以上のTREM2活性及び1つ以上のDAP12活性を誘導するアゴニスト抗体である。一部の実施形態では、抗体は、細胞に発現されるTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、TREM2及び/またはDAP12の1つ以上の活性を誘導する。特定の実施形態では、1つ以上のTREM2活性、1つ以上のDAP12活性、またはその両方は、TREM2がDAP12に結合すること;DAP12がTREM2に結合すること;DAP12リン酸化反応;TREM2リン酸化;PI3K活性化;1つ以上の抗炎症性サイトカインの発現の増加;IL-12p70、IL-6、及びIL-10から選択される1つ以上の抗炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン)の発現の増加;1つ以上の前炎症性サイトカイン発現の低減;IFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、IL-1β、TNG、TNF-α、IL-10、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-ガンマ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、mCP-1、及びCRPからなる群から選択される1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減;TNF-αの発現の低減;IL-6の発現の低減;細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化;C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現の増加;CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強、正常化、またはその両方;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;マクロファージ、ミクログリア細胞、M1マクロファージ及び/またはミクログリア細胞、活性化M1マクロファージ及び/またはミクログリア細胞、M2マクロファージ及び/またはミクログリア細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、ならびにクッパー細胞のうちの1つ以上の生存及び/または機能を増加させること;アポトーシスニューロンクリアランス、神経組織破片クリアランス、非神経組織破片クリアランス、細菌または他の異物クリアランス、病原性タンパク質クリアランス、病原性ペプチドクリアランス、及び病原性核酸クリアランスから選択される1種以上のクリアランスの誘導;アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性タンパク質、病原性ペプチド、または病原性核酸(例えば、アンチセンスGGCCCC(G2C4)リピート伸長RNA)のうちの1つ以上の貪食の誘導;破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化;Syk、ZAP70、またはその両方のTREM2/DAP12複合体へのリクルート;Sykリン酸化;樹状細胞、マクロファージ、単球、及び/またはミクログリア上のCD83及び/またはCD86の発現の増加;1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減;TNF-α、IL-10、IL-6、MCP-1、FN-a4、IFN-b、IL-1β、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-ガンマ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、及びIL-18から選択される1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を増加させること;正常レベルのM-CSFの存在下で、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を減少させること;1つ以上のTREM2依存性遺伝子(例えば、活性化T細胞核因子(NFAT)ファミリー転写因子の転写因子)の活性を増加させることから選択される。
標的受容体を活性化するFcgR受容体への結合に依存する抗体は、FcgR結合を排除するように遺伝子操作される場合、そのアゴニスト活性を失うことがある(例えば、Wilson et al., (2011) Cancer Cell 19, 101-113; Armour at al., (2003) Immunology 40 (2003) 585-593);及びWhite et al., (2015) Cancer Cell 27, 138-148を参照のこと)。そのようなものであるから、適切なエピトープ特異性を有する本開示の抗体は、抗体がヒトIgG2アイソタイプ(CH1及びヒンジ領域)由来のFcドメイン若しくは阻害性FcgRIIB受容体に優先的に結合できる別の種類のFcドメインまたはそれらの変形物を有する時、アゴニスト抗体であり、標的抗原を最小限の有害作用で活性化できると考えられている。
例示的なアゴニスト抗体Fcアイソタイプ及び修飾は、以下の表2で提供される。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、以下の表2に記載されているFcアイソタイプを有する。
表2に記載されているアイソタイプに加えて、理論に拘束されることを望むものではないが、ヒトの活性化Fcg受容体I、IIA、IIC、IIIA、IIIB、ならびに/またはマウスのFcg受容体I、III、及びIVに結合するヒトIgG1またはIgG3アイソタイプ及びそれらの変異体(例えば、Strohl (2009) Current Opinion in Biotechnology 2009, 20:685-691)を有する抗体は、インビボでアゴニスト抗体としても作用することがあるが、ADCCと関連する有害な影響と関連することがあると考えられている。しかし、このような受容体は、阻害Fcg受容体FcgRIIBと比較して、インビボでの抗体結合にはあまり利用されないようである(例えば、White, et al., (2013) Cancer Immunol. Immunother. 62, 941-948;及びLi et al., (2011) IScience 333(6045):1030-1034.を参照のこと)。
一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。
特定の実施形態では、アゴニスト抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、Fc受容体への結合とは関係なく、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を誘導する。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である。一部の実施形態では、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、V234A(Alegre et al., (1994) Transplantation 57:1537-1543. 31; Xu et al., (2000) Cell Immunol, 200:16-26)、G237A(Cole et al. (1999) Transplantation, 68:563-571)、H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167; Armour et al. (1999) Eur J Immunol 29: 2613-2624; Armour et al. (2000) The Haematology Journal 1(Suppl.1):27; Armour et al. (2000) The Haematology Journal 1(Suppl.1):27)、C232S、及び/若しくはC233S(White et al.(2015) Cancer Cell 27, 138-148)、S267E、L328F(Chu et al., (2008) Mol Immunol, 45:3926-3933)、M252Y、S254T、ならびに/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による。
一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、C127Sアミノ酸置換を含有する重鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有し、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による(White et al.,(2015) Cancer Cell 27, 138-148; Lightle et al., (2010) PROTEIN SCIENCE 19:753-762;及びWO2008079246)。
一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、C214Sアミノ酸置換を含有するκ軽鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有し、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による(White et al.,(2015) Cancer Cell 27, 138-148; Lightle et al., (2010) PROTEIN SCIENCE 19:753-762;及びWO2008079246)。
特定の実施形態では、アゴニスト抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である。一部の実施形態では、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、N297A(Bolt S et al. (1993) Eur J Immunol 23:403-411)、D265A(Shields et al. (2001) R. J. Biol. Chem. 276, 6591-6604)、L234A、L235A(Hutchins et al. (1995) Proc Natl Acad Sci USA, 92:11980-11984; Alegre et al., (1994) Transplantation 57:1537-1543. 31; Xu et al., (2000) Cell Immunol, 200:16-26)、G237A(Alegre et al. (1994) Transplantation 57:1537-1543. 31; Xu et al. (2000) Cell Immunol, 200:16-26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al., (2007) Blood, 109:1185-1192)、P331S(Sazinsky et al., (2008) Proc Natl Acad Sci USA 2008, 105:20167-20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による。
一部の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む(White et al., (2015) Cancer Cell 27, 138-148)。特定の実施形態では、IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域は、ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVT VPSSNFGTQT YTCNVDHKPS NTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号397)のアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態では、抗体Fc領域は、S267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、若しくはその両方、及び/または、N297A若しくはN297Qアミノ酸置換を含有し、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による。
特定の実施形態では、アゴニスト抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である。一部の実施形態では、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、L235A、G237A、S228P、L236E(Reddy et al., (2000) J Immunol,164:1925-1933)、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による。
特定の実施形態では、アゴニスト抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、ヒトIgG2のKabat番号付け規則によるアミノ酸118~260、及びヒトIgG4のEUまたはKabatの番号付けによるアミノ酸261~447を含有するアミノ酸配列を含む(WO1997/11971;WO2007/106585)。
特定の実施形態では、抗体は、マウスIgG4定常領域を含有する(Bartholomaeus, et al. (2014). J. Immunol. 192, 2091-2098)。
一部の実施形態では、Fc領域は、A330L、L234F、L235E、及び/またはP331Sからなる群から選択される1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含有し、アミノ酸位置は、EUまたはKabatの番号付け規則による。
不活性抗体
本開示の抗体の別のクラスは、不活性抗体を含む。本明細書で使用される場合、「不活性」抗体は、標的抗原に特異的に結合するが、抗原機能を調節(例えば、低減/阻害または活性化/誘導)しない抗体を指す。例えば、TREM2の場合、不活性抗体は、リガンド結合及び/またはTREM2活性を調節しない。理論に拘束されることを望むものではないが、細胞表面上に、TREM2をクラスター形成する能力を有しない抗体は、受容体活性化と適合するエピトープ特異性を有する場合でさえ、不活性抗体であることがあると考えられている。
一部の実施形態では、TREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合する抗体は、TREM2及び/またはDAP12を結合するが、エピトープ特異性のために、タンパク質機能を調節しない抗体を含んでも良い。このような機能上の不活性抗体は、(Mylotargとして販売されている)CD33抗体ゲムツズマブ・オゾガマイシンについて記載されているように、毒素を輸送するためのカーゴとして使用でき、これは、カリケアマイシンのクラスの細胞傷害性剤にコンジュゲートされ、急性骨髄性白血病腫瘍を標的化及び死滅させるために使用される。(Naito et al., (2000), Leukemia, 14, 1436-1443; Ricart (2011) Clin Cancer Res 17; 6417-6436; Hamann et al., (2002) Journal: Bioconjugate Chemistry , 13, 47-58;及びBeitz et al., (2001) Clin Cancer Res 7 ; 1490-6.)。それ故、一部の実施形態では、本開示の抗体は、TREM2及び/またはDAP12に結合するが、1つ以上のTREM2活性(例えば、本明細書に記載のTREM2活性)及び/またはDAP12活性(例えば、本明細書に記載のDAP12活性)を誘導することができない不活性抗体である。
例示的不活性抗体のFcアイソタイプ及び修飾は、以下の表3で提供される。一部の実施形態では、不活性抗体は、以下の表3に記載されているFcアイソタイプを有する。
アンタゴニスト抗体
本開示の抗体の第3のクラスは、アンタゴニスト抗体を含む。一部の実施形態では、TREM2タンパク質及び/またはDAP12タンパク質に結合する抗体は、TREM2及び/またはDAP12に結合し、TREM2及び/またはDAP12とそのリガンド(複数可)の間の相互作用を防止すること、または、リガンドの存在下で、シグナルの、TREM2及び/またはDAP12の細胞外ドメインから細胞質への伝達を防止することのいずれかにより、1つ以上のTREM2活性及び/またはDAP12活性を阻害するアンタゴニスト抗体を含んでも良い。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト抗体は、本開示のアゴニスト抗体のエピトープ特異性を有するが、Fcg受容体に結合することができず、それにより、例えば、DAP12及び/またはTREM2受容体をクラスター形成することが不可能なFcドメインを有することがある。
一部の実施形態では、本開示の抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性を阻害する。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を減少させる。一部の実施形態では、1つ以上のTREM2依存性遺伝子は、1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、マクロファージ、ミクログリア細胞、M1マクロファージ、M1ミクログリア細胞、M2マクロファージ、M2ミクログリア細胞、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/または樹状細胞の生存を減少させる。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、TREM2及び/またはDAP12と、1つ以上のTREM2及び/またはDAP12リガンドとの間の相互作用を阻害する。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、TREM2及び/またはDAP12シグナル伝達を阻害する。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、TREM2及び/またはDAP12と、1つ以上のTREM2及び/またはDAP12リガンドとの間の相互作用を阻害し、TREM2及び/またはDAP12シグナル伝達を阻害する。
一部の実施形態では、抗体架橋は、アゴニスト抗体機能に必要とされる。抗体架橋は、インビトロでの二次抗体への結合を介して、またはインビボでのFc受容体への結合を介して、生じる可能性がある。例えば、アンタゴニスト抗体は、ビオチン/ストレプトアビジン架橋、またはインビトロでの二次抗体結合を介して、アゴニスト抗体に転化できる(例えば、Gravestein et al., (1996) J. Exp. Med. 184:675-685; Gravestein et al., (1994) International Immunol. 7:551-557を参照のこと)。アゴニスト抗体は、受容体リガンドの生物活性を模倣することにより、または受容体凝集を増強することにより、活性を発揮し、それにより、受容体シグナル伝達を活性化することがある。一部の実施形態では、抗体架橋の不存在は、アンタゴニスト活性に必要である。アンタゴニスト抗体は、受容体リガンド相互作用をブロックすることにより、活性を発揮することがある。
例示的アンタゴニスト抗体Fcアイソタイプ及び修飾は、以下の表3で提供される。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体は、以下の表3に記載されているFcアイソタイプを有する。
不活性及びアンタゴニスト抗体Fcアイソタイプ
一部の実施形態では、本開示の不活性及び/またはアンタゴニスト抗TREM抗体は、表3に記載されているFcアイソタイプ及び修飾のうちの1つ以上を含む。
特定の実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、N297A、N297Q(Bolt S et al. (1993) Eur J Immunol 23:403-411)、D265A、L234A、L235A(McEarchern et al., (2007) Blood, 109:1185-1192)、C226S、C229S(McEarchern et al., (2007) Blood, 109:1185-1192)、P238S(Davis et al., (2007) J Rheumatol, 34:2204-2210)、E233P、L234V(McEarchern et al., (2007) Blood, 109:1185-1192)、P238A、A327Q、A327G、P329A(Shields RL. et al., (2001) J Biol Chem. 276(9):6591-604)、K322A、L234F、L235E(Hezareh,et al., (2001) J Virol 75, 12161-12168; Oganesyan et al., (2008). Acta Crystallographica 64, 700-704)、P331S(Oganesyan et al., (2008) Acta Crystallographica 64, 700-704)、T394D(Wilkinson et al. (2013) MAbs 5(3): 406-417)、A330L、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置は、EUまたはKabat番号付け規則による。特定の実施形態では、Fc領域は、EUまたはKabat番号付け規則によるグリシン236に対応する位置にアミノ酸欠失をさらに含む。
一部の実施形態では、抗体は、EUまたはKabat番号付け規則によるC220Sアミノ酸置換を含有する重鎖定常領域を有するIgG1アイソタイプを有する。
一部の実施形態では、Fc領域は、EUまたはKabatの番号付け規則により、A330L、L234F;L235E、及び/またはP331Sから選択される1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含有する。
特定の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、V234A、G237A、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置は、EUまたはKabat番号付け規則による。
特定の実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1つ以上のアミノ酸置換を含有する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A(Hutchins et al. (1995) Proc Natl Acad Sci USA, 92:11980-11984)、S228P、L236E、S241P、L248E(Reddy et al., (2000) J Immunol,164:1925-1933; Angal et al., (1993) Mol Immunol. 30(1):105-8; US 8614299 B2)、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、及び/またはN297Qから選択され、アミノ酸位置は、EUまたはKabat番号付け規則による。
一部の実施形態では、Fc領域は、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択される1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含有し、アミノ酸位置は、EUまたはKabat番号付け規則による。
さらなるIgG変異
一部の実施形態では、本明細書に記載されているIgG1多様体のうちの1つ以上は、補体活性化を排除するために、A330L変異(Lazar et al., (2006) Proc Natl Acad Sci USA, 103:4005-4010)、またはL234F、L235E、及び/またはP331S変異(Sazinsky et al., (2008) Proc Natl Acad Sci USA, 105:20167-20172)のうちの1つ以上と組み合わされても良く、アミノ酸位置は、EUまたはKabat番号付け規則による。一部の実施形態では、本明細書に記載されているIgG多様体は、ヒト血清の抗体半減期を増加させるために、1つ以上の変異と組み合わされても良い(例えば、EUまたはKabat番号付け規則によるM252Y、S254T、256E変異)(Dall’Acqua et al., (2006) J Biol Chem, 281:23514-23524;及びStrohl e al., (2009) Current Opinion in Biotechnology, 20:685-691)。
一部の実施形態では、本開示のIgG4多様体は、抗体の安定性を増強するために、EUまたはKabat番号付け規則によるS228P変異(Angal et al., (1993) Mol Immunol, 30:105-108)、及び/または、Peters et al., (2012) J Biol Chem. 13;287(29):24525-33に記載されている1つ以上の変異と組み合わされても良い。
抗TREM2抗体
本開示の特定の態様は、抗TREM2抗体に関する。
特定の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上のTREM2活性を誘導するアゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の自然免疫細胞の生存を促進するアゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、マクロファージ、ミクログリア細胞、M1ミクログリア細胞、活性化M1ミクログリア細胞、M2ミクログリア細胞、樹状細胞、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の生存を促進する。一部の実施形態では、1つ以上の自然免疫細胞の生存を促進することは、細胞生存を延長すること、または別途細胞死を遅延させることを包含する。従って、一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の自然免疫細胞の細胞生存を延長させる。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の自然免疫細胞の細胞死を遅延させる。一部の実施形態では、細胞生存を促進すること、及び/または細胞生存を延長することは、抗TRME2抗体の不存在下での対応する1つ以上の自然免疫細胞の細胞生存と比較して、抗TREM2抗体の存在下での1つ以上の自然免疫細胞の細胞生存を測定することにより決定される。一部の実施形態では、細胞死の遅延は、抗TRME2抗体の不存在下での対応する1つ以上の自然免疫細胞の細胞死と比較して、抗TREM2抗体の存在下での1つ以上の自然免疫細胞の細胞死を測定することにより決定される。当該技術分野で既知の及び本明細書で開示される、細胞生存または細胞死を測定する任意の好適な方法が使用されても良い(例えば、実施例30、34、35、38、52、53、及び56を参照のこと)。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、IL-6発現を増加させるアゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の自然免疫細胞の生存を促進し、IL-6の発現を増加させるアゴニスト抗体である。細胞におけるIL-6発現を測定するための、当該技術分野で既知の及び本明細書で開示される任意の好適な方法が使用されても良い(例えば、実施例28、38、及び68を参照のこと)。
特定の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上のTREM2活性を阻害する不活性またはアンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の自然免疫細胞の生存を減少させる不活性またはアンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、マクロファージ、ミクログリア細胞、M1ミクログリア細胞、活性化M1ミクログリア細胞、M2ミクログリア細胞、樹状細胞、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の生存を減少させる。一部の実施形態では、細胞生存を減少させることは、アンタゴニスト抗TREM2抗体の不存在下での対応する1つ以上の自然免疫細胞の細胞生存と比較して、アンタゴニスト抗TREM2抗体の存在下で、1つ以上の自然免疫細胞の細胞生存を測定することにより決定される。当該技術分野で既知の及び本明細書で開示される細胞生存または細胞死を測定する任意の好適な方法が使用されても良い(例えば、実施例30、34、35、38、52、53、及び56を参照のこと)。
一部の実施形態では、本開示の単離抗TREM2抗体は、TREM2の、1つ以上のTREM2リガンドとの結合について競合する。一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多価抗体、またはキメラ抗体である。このような抗体の例示的説明は、本開示の全体にわたって見出される。一部の実施形態では、抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。
特定の実施形態では、TREM2タンパク質は、細胞表面上に発現される。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上のTREM2活性を調節する(例えば、誘導する、または阻害する)。抗TREM2抗体により調節される(例えば、導入される、または阻害される)TREM2活性は、DAP12リン酸化;TREM2リン酸化;Syk、ZAP70、またはその両方の、DAP12/TREM2複合体へのリクルート;PI3K活性化;抗炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン)の発現の増加;前炎症性メディエーターの発現の低減;ERKリン酸化;CCR7の発現の増加、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強、正常化、またはその両方;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;ミクログリア細胞及び/若しくはマクロファージ(例えば、M1マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞、活性化M1マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞、ならびに/またはM2マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞)、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、ならびに/またはクッパー細胞の生存及び機能の増加;アポトーシスニューロンクリアランスの誘導;TNF-αの発現の低減;SYKリン酸化;樹状細胞、単球、マクロファージ、及び/またはミクログリア上のCD83及び/またはCD86の発現の増加;1つ以上の炎症性サイトカイン(例えば、TNF-α、IL-10、IL-6、及び/またはMCP-1)の分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体(例えば、CD86)の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食の増加;正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食の低減;ならびに/あるいは1つ以上のTREM2依存性遺伝子(例えば、活性化T細胞核因子(NFAT)ファミリー転写因子の転写因子)の活性の増加を含んでも良いが、これらに限定されない。本開示の抗TREM2抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、那須-ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、創傷治癒、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肥満症、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、狼瘡、関節炎、多発性硬化症、低骨密度、骨粗鬆症、骨形成、大理石骨病、骨のパジェット病、ならびに癌を予防する、リスク低減させる、または治療するために使用できる。本開示の抗TREM2抗体は、高度な創傷治癒にも使用されても良い。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体である。本開示の抗TREM2抗体は、当該技術分野で既知の及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法を使用して、1つ以上のTREM2活性(例えば、TREM2自己リン酸化;DAP12リン酸化;Sykリン酸化;Syk、ZAP70、またはその両方のTREM2/DAP12複合体へのリクルート;PI3K活性化;サイトカインの発現の増加;前炎症性メディエーターの発現の低減;ERKリン酸化;CCR7の発現の増加、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;骨髄由来樹状細胞の成熟;骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強または正常化;樹状細胞、単球、ミクログリア、及び/またはマクロファージの、T細胞増殖を誘導する能力の増加;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;樹状細胞、マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/またはミクログリアの生存及び機能の増加;1種以上のクリアランスの誘導;アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、病原性核酸、または腫瘍細胞のうちの1つ以上の貪食の誘導;1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリア細胞による貪食の増加;正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状、単球、及び/またはミクログリア細胞による貪食の低減;破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化;1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性の増加)を誘導することについて試験されても良い。例えば、抗TREM2抗体は、Syk及び/若しくはZAP70の、DAP12へのリクルートについてアッセイすることにより、PI3K活性化についてアッセイすることにより、サイトカイン(例えば、IL-12p70、IL-6、及びIL-10)若しくはCCR7の発現の誘導についてアッセイすることにより、または、TLR刺激(例えば、LPS、CpG DNA、若しくはザイモサン)を用いて、前炎症性メディエーター(例えば、IL1-β及びTNF)の発現の低減についてアッセイすることにより、TREM2、DAP12、Syk、及び/若しくはERKのチロシンリン酸化について、インビトロでアッセイできる。有用なアッセイは、ウェスタンブロット(例えば、チロシン-リン酸化DAP12若しくはトレオニン/セリン-リン酸化PI3Kキナーゼ基質について)、ELISA(例えば、分泌されたインターロイキン若しくはサイトカイン分泌について)、FACS(例えば、TREM2に結合する抗TREM2について)、免疫細胞化学(例えば、チロシン-リン酸化DAP12若しくはトレオニン/セリン-リン酸化PI3Kキナーゼ基質について)、レポーター遺伝子アッセイ(例えば、TLR活性化、樹状細胞、マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/若しくはミクログリアの生存及び/若しくは機能の増加、マクロファージ、樹状細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、単球、破骨細胞、及び/若しくはミクログリア細胞による、アポトーシスニューロン、損傷シナプス、アミロイドベータ若しくはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、病原性核酸、若しくは腫瘍細胞の貪食の増加、細胞骨格再構成の増加、及びミクログリア前炎症性応答の減少について)、または当該技術分野で既知の他のアッセイを含んでも良い。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の炎症性サイトカイン(例えば、TNF-α、IL-10、IL-6、MCP-1、IFN-a4、IFN-b、IL-1β、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-ガンバ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、及びIL-18)の発現及び/または分泌を調節する(すなわち、増加させる、または減少させる)。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の炎症性サイトカインの発現及び/または分泌を増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の炎症性サイトカインの発現及び/または分泌を減少させる。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の炎症性受容体(例えば、CD86)の発現及び/または分泌を調節する(すなわち、増加させる、または減少させる)。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の炎症性受容体の発現及び/または分泌を増加させる。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、1つ以上の炎症性受容体の発現及び/または分泌を減少させる。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、哺乳動物TREM2タンパク質、マウスTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q99NH8)、ラットTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号D3ZZ89)、アカゲザルTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号F6QVF2)、ウシTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q05B59)、ウマTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号F7D6L0)、ブタTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号H2EZZ3)、及びイヌTREM2タンパク質(Uniprotアクセッション番号E2RP46)を含むが、これらに限定されない、ヒトTREM2またはそのホモログに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2に特異的に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、マウスTREM2に特異的に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2及びマウスTREM2の両方に特異的に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、少なくとも1つのTREM2活性を調節する(例えば、誘導する、または阻害する)。一部の実施形態では、少なくとも1つのTREM2活性は、DAP12リン酸化、TREM2リン酸化、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン)の発現の増加、1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減、ミクログリア細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/若しくはクッパー細胞の生存及び/若しくは機能の増加;TNF-αの発現の増加、SYKリン酸化;樹状細胞、マクロファージ、単球、及び/若しくはマクロファージ上のCD83及び/若しくはCD86の発現の増加;1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/若しくはミクログリアによる貪食の増加;正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食の低減;ならびに/あるいは1つ以上のTREM2依存性遺伝子(例えば、活性化T細胞核因子(NFAT)ファミリー転写因子の転写因子)の活性の増加である。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、本開示のTREM2タンパク質及び/または天然多様体に結合する。特定の好ましい実施形態では、抗TREM2抗体は、ヒトTREM2に結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、細胞の表面上に発現される本開示のTREM2タンパク質に結合し、表面発現されたTREM2タンパク質に結合した後に、本開示の少なくとも1つのTREM2活性を調節する(例えば、誘導する、または阻害する)アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、不活性抗体である。
特定の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基29~112内の、または配列番号1のアミノ酸残基29~112に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基29~41内の、または配列番号1のアミノ酸残基29~41に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基47~69内の、または配列番号1のアミノ酸残基47~69に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基76~86内の、または配列番号1のアミノ酸残基76~86に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基91~100内の、または配列番号1のアミノ酸残基91~100に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基99~115内の、または配列番号1のアミノ酸残基99~115に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基104~112内の、または配列番号1のアミノ酸残基104~112に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基114~118内の、または配列番号1のアミノ酸残基114~118に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基130~171内の、または配列番号1のアミノ酸残基130~171に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基139~153内の、または配列番号1のアミノ酸残基139~153に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基139~146内の、または配列番号1のアミノ酸残基139~146に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基130~144内の、または配列番号1のアミノ酸残基130~144に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基158~171内の、または配列番号1のアミノ酸残基158~171に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基43~50内の、または配列番号1のアミノ酸残基43~50に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基49~57内の、または配列番号1のアミノ酸残基49~57に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基139~146内の、または配列番号1のアミノ酸残基139~146に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基140~153内の、または配列番号1のアミノ酸残基140~153に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
本開示のTREM2タンパク質は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基40~44に対応するアミノ酸残基に位置する相補性決定領域1(CDR1);ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基67~76に対応するアミノ酸残基に位置する相補性決定領域2(CDR2);及びヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基114~118に対応するアミノ酸残基に位置する相補性決定領域3(CDR3)を含む。従って、一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基40~44内の、または配列番号1のアミノ酸残基40~44に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基67~76内の、または配列番号1のアミノ酸残基67~76に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基114~118内の、または配列番号1のアミノ酸残基114~118に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
他の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTERM2(配列番号1)のアミノ酸残基Arg47またはAsp87を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTERM2(配列番号1)のアミノ酸残基40~44を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTERM2(配列番号1)のアミノ酸残基67~76を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTERM2(配列番号1)のアミノ酸残基114~118を含むエピトープに結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、表1及び/または表8に記載されている抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、次の抗TREM2抗体:Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65のうちの少なくとも1つの結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、表1及び/または表8に記載されている抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの抗体により結合されたTREM2エピトープと同じ、または共通部分があるヒトTREM2のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される少なくとも1つの抗体により結合されたTREM2のエピトープと同じ、または共通部分があるヒトTREM2のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、次の抗TREM2抗体:Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65のうちの少なくとも1つにより結合されたTREM2エピトープと同じ、または共通部分があるヒトTREM2のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、表1及び/または表8に記載されている抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの抗体により結合された本質的に同一のTREM2エピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される少なくとも1つの抗体により結合された本質的に同一のTREM2エピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、次の抗TREM2抗体:Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65のうちの少なくとも1つにより結合された本質的に同一のTREM2エピトープに結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法が、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)で提供される。
例示的な競合アッセイでは、細胞表面上の固定化TREM2またはTREM2(例えば、ヒト、または非ヒト霊長類)を発現する細胞は、TREM2に結合する標識一次抗体及びTREM2への結合について一次抗体と競合する能力について試験されている非標識二次抗体を含む溶液中でインキュベーションされる。二次抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在することがある。対照として、固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞は、標識一次抗体を含むが、非標識二次抗体を含まない溶液中でインキュベーションされる。一次抗体のTREM2への結合を許容する条件下でインキュベーションした後、過剰の非結合抗体が除去され、固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞と会合した標識の量が測定される。固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞と会合した標識の量が、対照サンプルと比較して試験サンプル中で実質的に低減する場合、その時、それは、二次抗体が、TREM2への結合について、一次抗体と競合することを示す。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照のこと。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(a)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体のいずれか1つのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む重鎖可変領域、ならびに/あるいは、(b)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体のいずれか1つのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、または3つのHVRを含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3は、表1及び/若しくは表8に示されるような、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するKabat CDR、Chothia CDR、または接触CDR配列を含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1;(ii)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2;(iii)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3;(iv)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1;(v)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに、(vi)表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、(a)配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、(c)配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3のうちの1つ以上を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(c)配列番号153~236からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3のうちの1つ以上を含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体のいずれか1つの重鎖可変領域、ならびに/あるいは、表1及び/若しくは表8に記載されている、またはAb1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗体のいずれか1つの軽鎖可変領域を含む。
本開示の抗体のいずれかは、細胞株により産生されても良い。一部の実施形態では、細胞株は、酵母細胞株であって良い。他の実施形態では、細胞株は、哺乳動物細胞株であって良い。特定の実施形態では、細胞株は、ハイブリドーマ細胞株であって良い。抗体産生に適する当該技術分野で既知の任意の細胞株は、本開示の抗体を産生するために使用されても良い。抗体産生のための例示的細胞株は、本開示の全体にわたって記載されている。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab21、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab52、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87から選択される抗TREM2モノクローナル抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab1である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab1と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab1の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab1の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab1の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号3のアミノ酸配列、または配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号50のアミノ酸配列、または配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号120のアミノ酸配列、または配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号138のアミノ酸配列、または配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号153のアミノ酸配列、または配列番号153のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab9である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab9と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab9の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab9の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab9の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号9のアミノ酸配列、または配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号33のアミノ酸配列、または配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号58のアミノ酸配列、または配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号124のアミノ酸配列、または配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号144のアミノ酸配列、または配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号161のアミノ酸配列、または配列番号161のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab14である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab14と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab14の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab14の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab14の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号13のアミノ酸配列、または配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号36のアミノ酸配列、または配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号63のアミノ酸配列、または配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号122のアミノ酸配列、または配列番号122のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号146のアミノ酸配列、または配列番号146のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号166のアミノ酸配列、または配列番号166のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab22である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab22と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab22の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab22の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab22の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号11のアミノ酸配列、または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号60のアミノ酸配列、または配列番号60のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号123のアミノ酸配列、または配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号141のアミノ酸配列、または配列番号141のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号173のアミノ酸配列、または配列番号173のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab45である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab45と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab45の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab45の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab45の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号7のアミノ酸配列、または配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号29のアミノ酸配列、または配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号87のアミノ酸配列、または配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号120のアミノ酸配列、または配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号138のアミノ酸配列、または配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号196のアミノ酸配列、または配列番号196のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab65である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab65と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab65の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab65の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab65の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号9のアミノ酸配列、または配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号101のアミノ酸配列、または配列番号101のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号124のアミノ酸配列、または配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号144のアミノ酸配列、または配列番号144のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号215のアミノ酸配列、または配列番号215のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基43~50内の、または配列番号1のアミノ酸残基43~50に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)のアミノ酸残基49~57内の、または配列番号1のアミノ酸残基49~57に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTERM2(配列番号1)のアミノ酸酸残基43~50内に1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、ヒトTERM2(配列番号1)のアミノ酸残基49~57内に1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、次の抗TREM2抗体:Ab21及びAb52のうちの少なくとも1つの結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、次の抗TREM2抗体:Ab21及びAb52のうちの少なくとも1つにより結合されたTREM2エピトープと同じ、または共通部分があるヒトTREM2のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(a)抗体Ab21及びAb52のいずれか1つのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、若しくは3つのHVRを含む重鎖可変領域;ならびに/または、(b)抗体Ab21及びAb52のいずれか1つのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、若しくは3つのHVRを含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、HVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3は、表1及び/または表8に示されるようなKabat CDR、Chothia CDR、または接触CDR配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、抗体Ab21及びAb52のいずれか1つの重鎖可変領域;ならびに/または、抗体Ab21及びAb52のいずれか1つの軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、抗TREM2モノクローナル抗体Ab52またはAb21である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、Ab52またはAb21と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗体である。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。
一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab52またはAb21の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab52またはAb21の軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体Ab52またはAb21の重鎖可変ドメインのHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3、ならびに軽鎖可変ドメインのHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む単離抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号398のアミノ酸配列、または配列番号398のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号399のアミノ酸配列、または配列番号399のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号400のアミノ酸配列、または配列番号400のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号401のアミノ酸配列、または配列番号401のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号402のアミノ酸配列、または配列番号402のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号403のアミノ酸配列、または配列番号403のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、(i)配列番号404のアミノ酸配列、または配列番号404のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号405のアミノ酸配列、または配列番号405のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、(iii)配列番号406のアミノ酸配列、または配列番号406のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3、(iv)配列番号407のアミノ酸配列、または配列番号407のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、(v)配列番号408のアミノ酸配列、または配列番号408のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、(vi)配列番号409のアミノ酸配列、または配列番号409のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3、から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、表1及び/若しくは表8に記載されているものから選択される少なくとも1つの、少なくとも2つの、若しくは3つのHVR配列を含み、及び/または、軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、表1及び/若しくは表8に記載されているものから選択される少なくとも1つの、少なくとも2つの、若しくは3つのHVR配列を含む。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、TREM2の、1つ以上のTREM2リガンドとの結合について競合する。好適なTREM2リガンドの例としては、E.coli細胞、アポトーシス細胞、核酸、アニオン性脂質、双性イオン性脂質、負に荷電したリン脂質、ホスファチジルセリン、スルファチド、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、膜リン脂質、脂質化タンパク質、プロテオリピド、脂質化ペプチド、及び脂質化アミロイドベータペプチドにより発現されるTREM2リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。従って、特定の実施形態では、1つ以上のTREM2リガンドは、E.coli細胞、アポトーシス細胞、核酸、アニオン性脂質、双性イオン性脂質、負に荷電したリン脂質、ホスファチジルセリン、スルファチド、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、膜リン脂質、脂質化タンパク質、プロテオリピド、脂質化ペプチド、及び/または脂質化アミロイドベータペプチドを含む。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。
抗TREM2抗体の、ヒトTREM2(例えば、ヒトTREM2-Fc融合タンパク質及びヒト単量体TREM2タンパク質)ならびにマウスTREM2(例えば、マウスTREM2-Fc融合タンパク質)に対する解離定数(KD)は、10nM未満、9.5nM未満、9nM未満、8.5nM未満、8nM未満、7.5nM未満、7nM未満、7nM未満、6.9nM未満、6.8nM未満、6.7nM未満、6.6nM未満、6.5nM未満、6.4nM未満、6.3nM未満、6.2nM未満、6.1nM未満、6nM未満、5.9nM未満、5.8nM未満、5.75nM未満、5.7nM未満、5.6nM未満、5.5nM未満、5.4nM未満、5.3nM未満、5.2nM未満、5.1nM未満、5nM未満、4.5nM未満、4nM未満、3.5nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未満、1.5nM未満、1nM未満、0.95nM未満、0.9nM未満、0.85nM未満、0.8nM未満、0.75nM未満、0.7nM未満、0.65nM未満、0.6nM未満、0.55nM未満、0.5nM未満、0.45nM未満、0.4nM未満、0.35nM未満、0.3nM未満、0.29nM未満、0.28nM未満、0.27nM未満、0.26nM未満、0.25nM未満、0.24nM未満、0.23nM未満、0.22nM未満、0.21nM未満、0.2nM未満、0.15nM未満、0.1nM未満、0.095nM未満、0.09nM未満、0.085nM未満、0.08nM未満、0.075nM未満、0.07nM未満、0.065nM未満、0.06nM未満、0.055nM未満、または0.05nM未満であって良い。一部の実施形態では、解離定数は、約5.75nM未満~約0.09nM未満の範囲である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体の、ヒトTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数は、約1.51nM未満~約0.35nM未満の範囲である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体の、ヒト単量体TREM2タンパク質に対する解離定数は、約5.75nM未満~約1.15nM未満の範囲である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体の、マウスTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数は、約0.23nM未満~約0.09nM未満の範囲である。一部の実施形態では、解離定数は、約6.70nM未満~約0.23nM未満の範囲である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体の、ヒトTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数は、約0.71nM未満~約0.23nM未満の範囲である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体の、ヒト単量体TREM2タンパク質に対する解離定数は、約6.70nM未満~約0.66nM未満の範囲である。一部の実施形態では、抗TREM2抗体の、マウスTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数は、約4.90nM未満~約0.35nM未満の範囲である。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioによるOctet Systemを参照のこと)、等温滴定熱量測定(ITC)、示差走査熱量測定(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップトフロー分析、及び比色分析または蛍光タンパク質融解分析などの任意の生化学的または生物物理学的技術を含む任意の分析技術により決定されても良い。特定の実施形態では、抗TREM2抗体は、アゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗TREM2抗体は、アンタゴニスト抗体である。
さらなる抗TREM2抗体、例えば、本開示のTREM2タンパク質に特異的に結合する抗体は、当該技術分野で既知の種々のアッセイにより、物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、同定、スクリーニング、及び/または特性決定されても良い。
抗DAP12抗体
本開示の特定の態様は、抗DAP12抗体に関する。
本開示の抗DAP12抗体は一般に、細胞で発現された1つ以上のDAP12タンパク質に結合する。特定の実施形態では、DAP12タンパク質は、細胞表面上に発現される。
一部の実施形態では、本開示の抗DAP12抗体は、細胞の表面上に発現される本開示のDAP12タンパク質に結合し、表面発現されたDAP12タンパク質に結合した後に、本開示の少なくとも1つのDAP12活性を調節する(例えば、誘導する、または阻害する)アゴニスト抗体またはアンタゴニスト抗体である。一部の実施形態では、本開示の抗DAP12抗体は、不活性抗体である。
特定の実施形態では、DAP12タンパク質は、細胞表面上に発現される。一部の実施形態では、本開示の抗DAP12抗体は、1つ以上のDAP12活性を調節する(例えば、誘導する、または阻害する)。抗DAP12抗体により調節される(例えば、誘導される、または阻害される)DAP12活性は、TREM2に結合すること;DAP12リン酸化;TREM2リン酸化;Syk、ZAP70、またはその両方のTREM2/DAP12複合体へのリクルート;PI3K活性化;抗炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン)の発現の増加;前炎症性メディエーターの発現の低減;ERKリン酸化;CCR7の発現の増加、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強、正常化、またはその両方;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;ミクログリア細胞及び/若しくはマクロファージ(例えば、M1マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞、活性化M1マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞、ならびに/またはM2マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞)、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、ならびに/またはクッパー細胞の生存及び機能の増加;アポトーシスニューロンクリアランスの誘導;TNF-αの発現の低減;SYKリン酸化;樹状細胞、単球、マクロファージ、及び/またはミクログリア上のCD83及び/またはCD86の発現の増加;1つ以上の炎症性サイトカイン(例えば、TNF-α、IL-10、IL-6、及び/またはMCP-1)の分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体(例えば、CD86)の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食の増加;正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食の低減;ならびに/あるいは1つ以上のTREM2依存性遺伝子(例えば、活性化T細胞核因子(NFAT)ファミリー転写因子の転写因子)の活性の増加を含んでも良いが、これらに限定されない。本開示の抗TREM2抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、及び多発性硬化症を予防する、リスク低減させる、または治療するために使用できる。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2抗体は、モノクローナル抗体である。本開示の抗TREM2抗体は、当該技術分野で既知の及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法を使用して、1つ以上のTREM2活性(例えば、DAP12リン酸化;Syk、ZAP70、またはその両方の、DAP12へのリクルート;PI3K活性化;抗炎症性メディエーターの発現の増加;前炎症性メディエーターの発現の低減;ERKリン酸化;CCR7の発現の増加、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強、正常化、またはその両方;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;アポトーシスニューロンクリアランスの誘導;TNF-αの発現の低減;SYKリン酸化;樹状細胞上のCD83及び/またはCD86の発現の増加;1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体の発現の低減;樹状細胞、マクロファージ、及び/またはミクログリア細胞の生存及び/または機能の増加;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、及び/またはミクログリアによる貪食の増加;正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状細胞、及び/またはミクログリアによる貪食の低減;ならびに、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性の増加(例えば、活性化T細胞核因子(NFAT)ファミリー転写因子の転写因子)を誘導することについて試験されても良い。例えば、抗TREM2抗体は、Syk及び/若しくはZAP70の、DAP12/TREM2複合体へのリクルートについてアッセイすることにより、PI3K活性化についてアッセイすることにより、抗炎症性メディエーター(例えば、IL-12p70、IL-6、及びIL-10)若しくはCCR7の発現の誘導についてアッセイすることにより、または、TLR刺激(例えば、LPS、CpG DNA、若しくはザイモサン)を用いて、前炎症性メディエーター(例えば、IL1-β及びTNF)の発現の低減についてアッセイすることにより、TREM2、DAP12、及び/若しくはERKのチロシンリン酸化について、インビトロでアッセイできる。有用なアッセイは、ウェスタンブロット(例えば、チロシン-リン酸化DAP12若しくはトレオニン/セリン-リン酸化PI3Kキナーゼ基質について)、ELISA(例えば、分泌されたインターロイキン若しくはサイトカイン分泌について)、FACS(例えば、TREM2に結合する抗TREM2について)、免疫細胞化学(例えば、チロシン-リン酸化DAP12若しくはトレオニン/セリン-リン酸化PI3Kキナーゼ基質について)、レポーター遺伝子アッセイ(例えば、TLR活性化、ミクログリア細胞、樹状細胞、単球、及び/若しくはマクロファージの生存及び/若しくは機能の増加、マクロファージ、樹状細胞、破骨細胞、及び/若しくはミクログリア細胞によるアポトーシスニューロン、損傷シナプス、Aベータ、及び/若しくは他の細胞破片の貪食の増加、細胞骨格再構成の増加、ならびにミクログリア前炎症性応答の減少について)、または当該技術分野で既知の他のアッセイを含んでも良い。
本開示の特定の態様は、ヒトDAP12、または哺乳動物DAP12タンパク質、マウスDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q99NH8)、ラットDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号D3ZZ89)、アカゲザルDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号F6QVF2)、ウシDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号Q05B59)、ウマDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号F7D6L0)、ブタDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号H2EZZ3)、及びイヌDAP12タンパク質(Uniprotアクセッション番号E2RP46)を含むがこれらに限定されないそのホモログに結合する抗DAP12抗体を提供し、少なくとも1つのDAP12活性を誘導する。一部の実施形態では、少なくとも1つのDAP12活性は、DAP12リン酸化、TREM2リン酸化、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、及び/または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減である。
一部の実施形態では、本開示の抗DAP12抗体は、本開示のDAP12タンパク質及び/または天然多様体に結合する。特定の好ましい実施形態では、抗DAP12抗体は、ヒトDAP12に結合する。
一部の実施形態では、本開示の抗DAP12抗体は、細胞の表面上に発現された本開示のDAP12タンパク質に結合し、表面発現されたDAP12タンパク質に結合した後に、本開示の少なくとも1つのDAP12活性を誘導する。
特定の実施形態では、本開示の抗DAP12抗体は、ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基22~40内の、または配列番号2のアミノ酸残基22~40に対応するDAP12タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
抗DAP12抗体の、ヒトDAP12及びマウスDAP12に対する解離定数(KD)は、10nM未満、9.5nM未満、9nM未満、8.5nM未満、8nM未満、7.5nM未満、7nM未満、6.5nM未満、6nM未満、5.9nM未満、5.8nM未満、5.75nM未満、5.7nM未満、5.6nM未満、5.5nM未満、5.4nM未満、5.3nM未満、5.2nM未満、5.1nM未満、5nM未満、4.5nM未満、4nM未満、3.5nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未満、1.5nM未満、1nM未満、0.95nM未満、0.9nM未満、0.85nM未満、0.8nM未満、0.75nM未満、0.7nM未満、0.65nM未満、0.6nM未満、0.55nM未満、0.5nM未満、0.45nM未満、0.4nM未満、0.35nM未満、0.3nM未満、0.25nM未満、0.2nM未満、0.15nM未満、0.1nM未満、0.095nM未満、0.09nM未満、0.085nM未満、0.08nM未満、0.075nM未満、0.07nM未満、0.065nM未満、0.06nM未満、0.055nM未満、または0.05nM未満であって良い。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioによるOctet Systemを参照のこと)、等温滴定熱量測定(ITC)、示差走査熱量測定(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップトフロー分析、及び比色分析または蛍光タンパク質融解分析などの任意の生化学的または生物物理学的技術を含む任意の分析技術により決定されても良い。
さらなる抗DAP12抗体、例えば、本開示のDAP12タンパク質に特異的に結合する抗体は、当該技術分野で既知の種々のアッセイにより、物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、同定、スクリーニング、及び/または特性決定されても良い。
二重特異性抗体
本開示の特定の態様は、本開示のTREM2及びDAP12タンパク質の両方に結合する二重特異性抗体に関する。二重特異性抗体を生成する方法は、当該技術分野において周知であり、本明細書に記載されている。一部の実施形態では、本開示の二重特異性抗体は、ヒトTREM2(配列番号1)の1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸残基に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基に結合する。他の実施形態では、本開示の二重特異性抗体はまた、ヒトDAP12(配列番号2)の1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号2のアミノ酸残基に対応するDAP12タンパク質上のアミノ酸残基に結合する。
一部の実施形態では、本開示の二重特異性抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する。一部の実施形態では、第1の抗原は、ヒトTREM2若しくはその天然多様体、またはヒトDAP12若しくはその天然多様体である。一部の実施形態では、第2の抗原は、アミロイドβまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、α-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドから選択される病原性タンパク質である。一部の実施形態では、第2の抗原は、トランスフェリン受容体、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、LRP-1、及びLRP1から選択されるタンパク質を標的とする血液脳関門、または免疫細胞上に発現されたリガンド及び/またはタンパク質であり、リガンド及び/またはタンパク質は、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG、及びホスファチジルセリンからなる群から選択される。あるいは、第2の抗原は、1つ以上の腫瘍細胞上に発現されたタンパク質であって良いが、これらに限定されない。
抗体フラグメント
本開示の特定の態様は、ヒトTREM2、ヒトTREM2のその天然多様体、ヒトTREM2の疾患多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12のその天然多様体から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントに関する。一部の実施形態では、抗体フラグメントは、Fab、Fab′、Fab′-SH、F(ab′)2、Fv、またはscFvフラグメントである。一部の実施形態では、抗体フラグメントは、アミロイドベータまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、プロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される病原性タンパク質に特異的に結合する1つ以上の抗体、ならびに/またはCD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG、ホスファチジルセリン、及びそれらの任意の組み合わせから選択される癌関連タンパク質に特異的に結合する1つ以上の抗体と組み合わせて使用される。
抗体フレームワーク
本明細書に記載されている抗体のいずれかは、フレームワークをさらに含む。一部の実施形態では、フレームワークは、ヒト免疫グロブリンフレームワークである。例えば、一部の実施形態では、抗体(例えば、抗TREM2抗体)は、上記実施形態のいずれかのようなHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。ヒト免疫グロブリンフレームワークは、ヒト抗体の一部であっても良く、または、非ヒト抗体は、1つ以上の内因性のフレームワークを、ヒトフレームワーク領域(複数可)と交換することによりヒト化されても良い。ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域は、「ベストフィット」法(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照のこと)を使用して選択されるフレームワーク領域;軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);及びPresta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993)を参照のこと);ヒト成熟(体細胞成熟)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域;(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照のこと);ならびにスクリーニングFRライブラリに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)及びRosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照のこと)を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、抗体は、本開示のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む重鎖可変領域、ならびに図2B及び/または図20Aに示されるような重鎖フレームワーク領域の1つ、2つ、3つ、または4つを含む。一部の実施形態では、抗体は、本開示のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域、ならびに図2C及び/または図20Bに示されるような軽鎖フレームワーク領域の1つ、2つ、3つ、4つを含む。一部の実施形態では、抗体は、本開示のHVR-H1、HVR-H2、及びHVR-H3を含む重鎖可変領域、ならびに図2B及び/または図20Aに示されるような重鎖フレームワーク領域の1つ、2つ、3つ、または4つを含み、本開示のHVR-L1、HVR-L2、及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域、ならびに図2C及び/または図20Bに示されるような軽鎖フレームワーク領域の1つ、2つ、3つ、または4つをさらに含む。
TREM2及び/またはDAP12結合ならびにリン酸化
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、TREM2のDAP12への結合及び/またはDAP12のTREM2への結合を誘導することがある。他の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、TREM2リン酸化を誘導することがある。他の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、DAP12リン酸化を誘導することがある。他の実施形態では、TREM2媒介TREM2及び/またはDAP12リン酸化は、1つ以上のSRCファミリーチロシンキナーゼにより誘導される。SRCファミリーチロシンキナーゼの例としては、Src、Yes、Fyn、Fgr、Lck、Hck、Blk、Lyn、及びFrkが挙げられるが、これらに限定されない。
DAP12は、TYROプロテインチロシンキナーゼ結合タンパク質、TYROBP、KARAP、及びPLOSLと様々に称される。DAP12は、細胞質ドメインに、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する膜貫通型シグナル伝達タンパク質である。特定の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、ITAMモチーフに、DAP12リン酸化を誘導することがある。DAP12リン酸化などのタンパク質リン酸化を決定するための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。
一部の実施形態では、DAP12は、SRCファミリーキナーゼによりリン酸化されて、Sykキナーゼ、ZAP70キナーゼ、またはその両方の、DAP12へのリクルート及び活性化がもたらされる。従って、特定の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、Syk、ZAP70、またはその両方を、DAP12/TREM2複合体へリクルートすることがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、DAP12活性のレベルの減少、DAP12リン酸化、またはSyk、ZAP70、若しくはその両方の、DAP12/TREM2複合体へのリクルートと関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有用であると考えられている。
PI3K活性化
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、PI3K活性化を誘導することがある。
PI3Kは、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)のイノシトール環の3位水酸基をリン酸化できる関連細胞内シグナル伝達物質キナーゼのファミリーである。PI3Kファミリーは、一次構造、制御、及びインビトロで脂質基質特異性に基づいて、3つの異なるクラス(クラスI、クラスII、及びクラスIII)に分けられる。
活性化PI3Kは、PtdIns3P、PtdIns(3,4)P2、PtdIns(3,5)P2、及びPtdIns(3,4,5)P3を含むがこれらに限定されない種々の3-リン酸化ホスホイノシチドを産生する。これらの3-リン酸化ホスホイノシチドは、シグナル伝達タンパク質が種々の細胞膜にリクルートされる機序で機能する。これらのシグナル伝達タンパク質は、PXドメイン、プレクストリン相同ドメイン(PHドメイン)、及びFYVEドメインを含むがこれらに限定されないホスホイノシチド結合ドメインを含有する。PI3K活性化を決定するための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、PI3K活性のレベルの減少と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
抗炎症性メディエーターの発現の増加
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞表面上に発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、脳において抗炎症性活性を有する。最近、TREM2は、脳において抗炎症の役割を有することが報告されている。特定の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、抗炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン)の発現を増加させ、及び/または前炎症性メディエーターの発現を低減させる。
炎症は、血管組織の、病原体、損傷細胞、及び刺激物などの有害な刺激に対する複雑な生物学的応答の一部である。急性炎症の典型的な徴候は、痛み、熱、発赤、腫脹、及び機能の喪失である。炎症は、有害な刺激を除去し、治癒プロセスを開始させる生体による防御的試行である。炎症は、急性炎症または慢性炎症のいずれかに分類できる。急性炎症は、身体の、有害な刺激に対する最初の応答であり、血漿及び白血球(特に顆粒球)の、血液から損傷組織への移動の増加により達成される。生化学的イベントのカスケードは、損傷した組織内の局所血管系、免疫系、及び種々の細胞に関する炎症性応答を伝播して成熟させる。慢性炎症は、炎症の部位に存在する細胞の種類に、漸進的な変化をもたらす長期炎症であり、炎症プロセスからの組織を同時に破壊及び治癒することを特徴とする。
本明細書で使用される場合、抗炎症性メディエーターは、炎症性応答を減少させる、阻害する、または不活性化する機序において、(例えば、抗炎症性シグナル伝達経路を介して)直接または間接のいずれかで関与するタンパク質である。抗炎症性メディエーターを同定し特徴付けるための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。抗炎症性メディエーターの例としては、IL-12p70、IL-6、及びIL-10などのサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、IL-12p70、IL-6、及びIL-10などの抗炎症性メディエーターの発現を増加させることがある。特定の実施形態では、抗炎症性メディエーターの発現の増加は、マクロファージ、樹状細胞、及び/またはミクログリア細胞で生じる。発現の増加は、遺伝子発現の増加、転写発現の増加、またはタンパク質発現の増加を含んでも良いが、これらに限定されない。遺伝子、転写物(例えば、mRNA)、及び/またはタンパク質発現を決定するための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。例えば、ノーザンブロット分析は、抗炎症性メディエーター遺伝子発現レベルを決定するために使用されても良く、RT-PCRは、抗炎症性メディエーター転写のレベルを決定するために使用されても良く、ウェスタンブロット分析は、抗炎症性メディエータータンパク質レベルを決定するために使用されても良い。
本明細書で使用される場合、抗炎症性メディエーターは、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理された対象の1つ以上の細胞における発現が、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞で発現された同じ抗炎症性メディエーターの発現よりも多い場合に、発現を増加させていることがある。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の細胞における抗炎症性メディエーター発現を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞における抗炎症性メディエーター発現と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%増加させることがある。他の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の細胞における抗炎症性メディエーター発現を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞における抗炎症性メディエーター発現と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍増加させる。
理論に拘束されることを望むものではないが、一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、1つ以上の抗炎症性メディエーターのレベルの減少と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有用であると考えられている。
前炎症性メディエーターの発現の低減
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、前炎症性メディエーターの発現を減少させることがある。
本明細書で使用される場合、前炎症性メディエーターは、炎症性応答を誘導する、活性化する、促進する、または別途増加させる機序において、(例えば、前炎症性シグナル伝達経路を介して)直接または間接のいずれかで関与するタンパク質である。前炎症性メディエーターを同定し特徴付けるための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。前炎症性メディエーターの例としては、IIFN-a4、IFN-b、IL-1β、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-12p70、IL-8、CRP、TNF、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-ガンマ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、及びCRPなどのサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、IFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、IL-1β及びTNF、TNF-α、IL-10、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー,IL-20ファミリーメンバーIL-33、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、ならびにCRPなどの前炎症性メディエーターの機能的発現及び/または分泌を減少させることがある。特定の実施形態では、前炎症性メディエーターの発現の減少は、マクロファージ、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/またはミクログリア細胞で生じる。発現の減少は、遺伝子発現の減少、転写発現の減少、またはタンパク質発現の減少を含んでも良いが、これらに限定されない。遺伝子、転写物(例えば、mRNA)、及び/またはタンパク質発現を決定するための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。例えば、ノーザンブロット分析は、前炎症性メディエーター遺伝子発現レベルを決定するために使用されても良く、RT-PCRは、前炎症性メディエーター転写のレベルを決定するために使用されても良く、ウェスタンブロット分析は、前炎症性メディエータータンパク質レベルを決定するために使用されても良い。
特定の実施形態では、前炎症性メディエーターは、炎症性サイトカインを含む。従って、特定の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、1つ以上の炎症性サイトカインの分泌を低減させることがある。分泌が本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体により低減し得る炎症性サイトカインの例としては、TNF-α、IL-10、IL-6、MCP-1、IFN-a4、IFN-b、IL-1β、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバーIL-33、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、TGF-β、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、及びIL-18が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、前炎症性メディエーターは、炎症性受容体を含む。従って、特定の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、1つ以上の炎症性サイトカインの発現を低減させることがある。発現が本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体により低減し得る炎症性受容体の例としては、CD86が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、前炎症性メディエーターは、本開示のアゴニス抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理された対象の1つ以上の細胞における発現が、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞で発現された同じ前炎症性メディエーターの発現よりも少ない場合に、発現を減少させていることがある。一部の実施形態では、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の細胞における前炎症性メディエーター発現を、例えば、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞における前炎症性メディエーター発現と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%減少させることがある。他の実施形態では、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の細胞における前炎症性メディエーター発現を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞における前炎症性メディエーター発現と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍減少させることがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、いくつかの本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、1つ以上の前炎症性メディエーターのレベルの増加と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有用であることがあると考えられている。
ERKリン酸化
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化を誘導することがある。
細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)は、例えば、分化細胞における減数分裂、有糸分裂、及び有糸分裂後の機能の制御に関与する、広く発現されたタンパク質キナーゼ細胞内シグナル伝達キナーゼである。成長因子、サイトカイン、ウイルス感染、ヘテロ三量体Gタンパク質共役受容体のリガンド、形質変換薬、及び発癌物質などの種々の刺激は、ERK経路を活性化する。ERKのリン酸化は、それらのキナーゼ活性の活性化をもたらす。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、ERKリン酸化のレベルの減少と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
C-Cケモカイン受容体7の発現の増加
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現を増加させることがある。発現の増加は、遺伝子発現の増加、転写発現の増加、またはタンパク質発現の増加を含んでも良いが、これらに限定されない。遺伝子、転写物(例えば、mRNA)、及び/またはタンパク質発現を決定するための当該技術分野で既知の任意の方法が使用されても良い。例えば、ノーザンブロット分析は、抗炎症性メディエーター遺伝子発現レベルを決定するために使用されても良く、RT-PCRは、抗炎症性メディエーター転写のレベルを決定するために使用されても良く、ウェスタンブロット分析は、抗炎症性メディエータータンパク質レベルを決定するために使用されても良い。
C-Cケモカイン受容体7(CCR7)は、Gタンパク質共役受容体ファミリーのメンバーである。CCR7は、種々のリンパ組織に発現され、B細胞及びT細胞を活性化できる。一部の実施形態では、CCR7は、メモリーT細胞の、リンパ節などの二次リンパ器官への移動を調節することがある。他の実施形態では、CCR7は、樹状細胞の成熟を刺激することがある。CCR7は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンドCCL19/ELC及びCCL21に結合できる受容体タンパク質である。
本明細書で使用される場合、CCR7は、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理された対象の1つ以上の細胞における発現が、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞で発現された同じCCR7の発現よりも多い場合に、発現を増加させていることがある。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の細胞におけるCCR7発現を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞におけるCCR7発現と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%増加させることがある。他の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の細胞におけるCCR7発現を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の細胞におけるCCR7発現と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍増加させる。
一部の実施形態では、CCR7の発現の増加は、マクロファージ、樹状細胞、及び/またはミクログリア細胞で生じる。CCR7の発現の増加は、ケモカインCCL19及びCCL21を発現する細胞へのミクログリア細胞の走化性を誘導することがある。従って、特定の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性を誘導することがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、CCR7のレベルの減少と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有用であると考えられている。
骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強または正常化
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を増強及び/または正常化することがある。
一部の実施形態では、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の骨髄由来樹状細胞における、骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を、例えば、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の骨髄由来樹状細胞における、骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%増強及び/または正常化することがある。他の実施形態では、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象の1つ以上の骨髄由来樹状細胞における、骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を、例えば、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象の1つ以上の骨髄由来樹状細胞における、骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍増強及び/または正常化することがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、骨髄由来樹状細胞の抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増加または無制御(disregulated)と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
破骨細胞産生
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、破骨細胞産生を誘導する、及び/または破骨細胞形成速度を増加させることがある。
本明細書で使用される場合、破骨細胞は、石灰化した基質を除去し、生体骨を分解すること(例えば、骨吸収)により、骨組織を除去できる骨細胞の1種である。破骨細胞は、単球-マクロファージ細胞株の細胞の融合により形成できる。一部の実施形態では、破骨細胞は、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)及びカテプシンKの高発現により特徴付けられることがある。
本明細書で使用される場合、破骨細胞形成速度は、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理された対象における破骨細胞形成速度が、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象における破骨細胞形成速度よりも大きい場合に、増加することがある。一部の実施形態では、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象における破骨細胞形成速度を、例えば、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象における破骨細胞形成速度と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%増加させることがある。他の実施形態では、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象における破骨細胞形成速度を、例えば、アゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象における破骨細胞形成速度と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍増加させることがある。
本明細書で使用される場合、破骨細胞形成速度は、本開示のアンタゴニスト抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体で処理された対象における破骨細胞形成速度が、アンタゴニスト抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象における破骨細胞形成速度よりも小さい場合、減少することがある。一部の実施形態では、本開示のアンタゴニスト抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体は、対象における破骨細胞形成速度を、例えば、アンタゴニスト抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象における破骨細胞形成速度と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%減少させることがある。他の実施形態では、本開示のアンタゴニスト抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体は、対象における破骨細胞形成速度を、例えば、アンタゴニスト抗TREM2抗体及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象における破骨細胞形成速度と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍減少させることがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、破骨細胞産生及び/若しくは破骨細胞形成速度の減少と関連する、または骨密度の病理学的減少と関連する骨粗鬆症及び骨密度の病理学的増加と関連する骨粗鬆症性疾患を含む異常な骨形成及び維持と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
マクロファージ、ミクログリア細胞、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及びクッパー細胞の増殖及び生存
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、マクロファージ、ミクログリア細胞(ミクログリア)、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及びクッパー細胞の増殖、生存、及び/または機能を増加させることがある。
ミクログリア細胞は、脳及び脊髄の常在マクロファージであるグリア細胞の1種であり、従って、中枢神経系(CNS)における、最初の及び主要な形態の能動的免疫防御として作用する。ミクログリア細胞は、脳内の全グリア細胞集団の20%を構成する。ミクログリア細胞は常に、CNSからプラーク、損傷ニューロン、及び感染性因子を取り除く。脳及び脊髄は、それらが、ほとんどの感染が脆弱な神経組織に到達するのを防止する血液脳関門として知られている一連の内皮細胞により身体の残部から分離されている「免疫特権」臓器と考えられている。感染性因子が脳に直接導入される、または血液脳関門を通過する場合、ミクログリア細胞は、炎症を減少させるために迅速に反応し、感染性因子が敏感な神経組織を損傷する前に、それらを破壊しなければならない。身体の残部から抗体を利用できない(血液脳関門を通過するのに十分に小さい抗体はほとんどない)ために、ミクログリアは、異物を認識し、それらを飲み込み、T細胞を活性化する抗原提示細胞として作用することができなければならない。このプロセスは、致命的な損傷を潜在的に防止するために、迅速に行われなければならないので、ミクログリア細胞は、CNSの小さな病理学的変化にさえ極めて感受性が高い。それらは、細胞外カリウムの小さな変化にさえ応答する独特なカリウムチャネルを有することにより、この感受性を部分的に達成する。
本明細書で使用される場合、本開示のマクロファージは、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、及びM2マクロファージを含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、本開示のミクログリア細胞は、M1ミクログリア細胞、活性化M1ミクログリア細胞、及びM2ミクログリア細胞を含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、樹状細胞、単球、及び/またはマクロファージ上におけるCD83及び/またはCD86の発現を増加させることがある。
本明細書で使用される場合、マクロファージ、ミクログリア、単球、及び/または樹状細胞の増殖速度、生存、及び/または機能は、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理された対象のマクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の増殖速度、生存、及び/または機能が、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象のマクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の増殖速度、生存、及び/または機能よりも多い場合に、発現の増加を含むことがある。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象のマクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の増殖速度、生存、及び/または機能を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象のマクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の増殖速度、生存、及び/または機能と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、または少なくとも200%増加させることがある。他の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、対象のマクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の増殖速度、生存、及び/または機能を、例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体で処理されていない対応する対象のマクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の増殖速度、生存、及び/または機能と比較して、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍、または少なくとも10倍増加させることがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、マクロファージ、ミクログリア、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞増殖、生存、及び/または機能の低減と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
クリアランス及び貪食
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アポトーシスニューロン、神経系の神経組織破片、神経系の非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、及び/または病原性核酸のうちの1つ以上の細胞で発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、クリアランス及び/または貪食を誘導することがある。特定の実施形態では、病原性タンパク質は、アミロイドベータまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、病原性核酸は、アンチセンスGGCCCC(G2C4)リピート伸長RNAを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アポトーシスニューロンクリアランス、神経組織破片クリアランス、非神経組織破片クリアランス、細菌または他の異物クリアランス、病原性タンパク質クリアランス、病原性ペプチドクリアランス、病原性核酸クリアランス、及び腫瘍細胞クリアランスを含むがこれらに限定されない1種以上のクリアランスを誘導することがある。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、病原性核酸、及び/または腫瘍細胞のうちの1つ以上の貪食を誘導することがある。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、低減したレベルのマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)の条件下で、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を増加させることがある。あるいは、一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、正常レベルのマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)の存在下で、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を減少させることがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、アポトーシスニューロン、神経系の神経組織破片、神経系の非神経組織破片、細菌、他の異物、または病原性タンパク質と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
Sykリン酸化
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、細胞に発現されたTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合した後に、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)リン酸化を誘導することがある。
脾臓チロシンキナーゼ(Syk)は、いくつかの基質リン酸化し、それにより、細胞活性化及び炎症プロセスをもたらすシグナル伝達複合体の形成を促進することにより、TREM2の下流で機能する細胞内シグナル伝達分子である。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、Sykリン酸化のレベルの減少と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
TREM2依存性遺伝子発現
一部の実施形態では、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、活性化T細胞核因子(NFAT)ファミリー転写因子のうちの1つ以上の転写因子などのTREM2依存性遺伝子の活性及び/または発現を増加させることがある。あるいは、本開示のアンタゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、NFATファミリーの転写因子のうちの1つ以上の転写因子などのTREM2依存性遺伝子の活性及び/または発現を阻害することがある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、及び/または多発性硬化症を含む、TREM2依存性遺伝子のレベルの減少と関連する状態及び/または疾患を予防すること、リスク低下させること、または治療することに有益であると考えられている。
抗体の調製
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化及びキメラ抗体、ヒト抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab′-SH、Fv、scFv及びF(ab′)2)、二重特異性及び多特異性抗体、多価抗体、ライブラリ由来抗体、修飾されたエフェクター機能を有する抗体、抗体部分を含有する融合タンパク質、ならびに抗体のグリコシル化多様体、抗体のアミノ酸配列多様体、及び共有結合的に修飾された抗体を含む、本開示のTREM2及び/またはDAP12タンパク質のアミノ酸残基を有するエピトープなどの抗原認識部位を含む、他の任意の修飾された立体配置の免疫グロブリン分子を包含する可能性がある。抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、ヒト、マウス、ラット、または(キメラ若しくはヒト化抗体を含む)他の任意の起源のものであって良い。
(1)ポリクローナル抗体
抗TREM2及び/または抗DAP12ポリクローナル抗体などのポリクローナル抗体は一般に、関連する抗原及びアジュバントの複数の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射により、動物中で生成される。二官能性または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介したコンジュゲート)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介した)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N=C=NR(R及びR1は独立して、低級アルキル基である)を使用して、免疫されるべき種、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシン阻害剤、に免疫原性があるタンパク質に、関連する抗原(例えば、本開示の精製または組換えTREM2及び/またはDAP12タンパク質)をコンジュゲートすることは有用であることがある。用いられ得るアジュバントの例としては、完全フロイントアジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコレート(dicorynomycolate))が挙げられる。免疫化プロトコールは、過度な実験をすることなく、当業者により選択されても良い。
動物は、例えば、100μg(ウサギの場合)または5μg(マウスの場合)のタンパク質またはコンジュゲートを、3倍量の完全フロイントアジュバントと組み合わせ、溶液を複数の部位に皮内注射することにより、所望の抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対し免疫される。1ヶ月後、動物は、複数の部位での皮下注射により、完全フロイントアジュバント中のペプチドまたはコンジュゲートの元の量の1/5~1/10でブーストされる。7~14日後、動物は採血され、血清は、抗体力価についてアッセイされる。動物は、力価がプラトーに達するまで、ブーストされる。コンジュゲートはまた、タンパク質融合体として組換え細胞培養で行うことができる。さらに、ミョウバンなどの凝集剤は、免疫応答を増強することに適している。
(2)モノクローナル抗体
抗TREM2及び/または抗DAP12モノクローナル抗体などのモノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除いて同一である。従って、修飾語「モノクローナル」は、別々の抗体の混合物ではないような抗体の特徴を指す。
例えば、抗TREM2及び/または抗DAP12モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されているハイブリドーマ法を使用して作製されても良く、または、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)により作製されても良い。
ハイブリドーマ法では、マウスまたはハムスターなどの他の適切な宿主ホスト動物は、免疫化のために使用されるタンパク質(例えば、本開示の精製または組換えTREM2及び/またはDAP12タンパク質)に特異的に結合することになる抗体を産生するまたは産生できるリンパ球を誘発するために、上述のように免疫される。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫されても良い。次に、リンパ球は、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して、骨髄腫細胞と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp.59-103 (Academic Press, 1986))。
免疫化剤は通常、抗原タンパク質(例えば、本開示の精製若しくは組換えTREM2及び/若しくはDAP12タンパク質)またはその融合多様体を含むことになる。一般に、末梢血リンパ球(「PBLs」)は、ヒト起源の細胞が所望される場合に使用される一方、脾臓またはリンパ節細胞は、非ヒト哺乳動物供給源が所望される場合に使用される。次に、リンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して、不死化細胞株と融合される。Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press (1986), pp. 59-103。
不死化細胞株は通常、形質転換された哺乳動物細胞、特に、齧歯動物、ウシ、またはヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウス骨髄腫細胞株が用いられる。このように調製されたハイブリドーマ細胞は、播種され、未融合の親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の基質を含有する好適な培地で成長する。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培地は通常、HGPRT欠損細胞の成長を防止する物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含むことになる(HAT培地)。
好ましい不死化骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞により抗体の安定した高レベルの産生をサポートし、HAT培地などの培地に感受性が高い。これらの中でも、MOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍(Salk Institute Cell Distribution Center、米国カリフォルニア州サンディエゴ、から入手可能)に由来するようなマウス骨髄腫株、ならびに、SP-2細胞及びそれらの誘導体(例えば、X63-Ag8-653)(American Type Culture Collection、米国バージニア州マナッサス、から入手可能)は好ましい。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が成長している培地は、抗原(例えば、本開示のTREM2及び/またはDAP12タンパク質)に対して向けられるモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降により、またはラジオイムノアッセイ(RIA)若しくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイにより決定される。
ハイブリドーマ細胞が培養される培地は、所望の抗原(例えば、本開示のTREM2及び/またはDAP12タンパク質)に対して向けられるモノクローナル抗体の存在についてアッセイできる。好ましくは、モノクローナル抗体の結合親和性及び特異性は、免疫沈降により、またはラジオイムノアッセイ(RIA)若しくは酵素結合アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイにより決定できる。このような技術及びアッセイは、当該技術分野で既知である。例えば、結合親和性は、Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析により決定されても良い。
所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が、同定された後に、クローンは、限界希釈法によりサブクローニングされ、標準的な方法(上記Goding)により成長させても良い。この目的に好適な培地は、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物の腫瘍としてインビボで成長させても良い。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-セファロースクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、アフィニティークロマトグラフィー、及び上記のような他の方法などの従来の免疫グロブリン精製手順により、培地、腹水液、または血清から適切に分離される。
抗TREM2及び/または抗DAP12モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載されるような及び上記のような組換えDNA法により作製されても良い。モノクローナル抗体をコードするDNAは、容易に単離され、(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブを使用することによる)従来の手順を使用して配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ。単離されると、DNAは、発現ベクターに入れられても良く、次に、これらは、このような組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体を合成するために、免疫グロブリンタンパク質を別途産生しないE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクションされる。抗体をコードするDNAの、細菌における組換え発現に関する概説としては、Skerra et al., Curr. Opin. Immunol., 5:256-262 (1993)及びPluckthun, Immunol. Rev. 130:151-188 (1992)が挙げられる。
特定の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、McCafferty et al., Nature, 348:552-554 (1990)に記載されている技術を使用して生成された抗体ファージライブラリから単離できる。マウス及びヒト抗体の、それぞれファージライブラリからの単離は、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)及びMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載されている。後続の刊行物は、鎖シャッフリングによる高親和性(ナノモル(「nM」)レンジ)ヒト抗体の産生(Marks et al., Bio/Technology, 10:779-783 (1992))、ならびに非常に大きなファージライブラリを構築するための方策としてコンビナトリアル感染及びインビボ組換え(Waterhouse et al., Nucl. Acids Res., 21:2265-2266 (1993))について記載する。従って、このような技術は、所望の特異性のモノクローナル抗体(例えば、本開示のTREM2タンパク質に結合するもの)の単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替物である。
抗体またはそれらのフラグメントをコードするDNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインに対するコード配列で、相同なマウス配列を置換する(米国特許第4,816,567号;Morrison, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 81:6851 (1984))ことにより、または非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全部若しくは一部を、免疫グロブリンコード配列に共有結合的に連結させることにより、修飾されても良い。概して、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインと置換される、または、それらは、抗原について特異性を有する1つの抗原結合部位及び異なる抗原について特異性を有する別の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を作成するために、抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインと交換される。
本明細書に記載されているモノクローナル抗体(例えば、本開示の抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体またはそれらのフラグメント)は、一価であることがあり、その調製が当該技術分野において周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖及び修飾された重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般に、重鎖架橋を防止するために、Fc領域の任意の点で切断される。あるいは、関連するシステイン残基は、架橋を防止するために、別のアミノ酸残基で置換されても良く、または欠失する。インビトロの方法はまた、一価抗体を調製することに適する。それらのフラグメント、特に、Fabフラグメント、を産生するため抗体の消化は、当該技術分野において既知の所定の技術を使用して達成できる。
キメラまたはハイブリッド抗TREM2及び/または抗DAP12抗体はまた、架橋剤に関するものを含む、合成タンパク質化学の既知の方法を使用して、インビトロで調製されても良い。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することにより構築されても良い。この目的に好適な試薬の例としては、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
(3)ヒト化抗体
本開示の抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体またはそれらの抗体フラグメントは、ヒト化またはヒト抗体をさらに含んでも良い。ヒト化形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそれらのフラグメント(例えば、Fab、Fab′-SH、Fv、scFv、F(ab′)2または抗体の他の抗原結合配列)である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト(ドナー抗体)のCDR由来の残基により交換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。一部の場合では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により交換される。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、インポートされたCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基も含んでも良い。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたはほぼ全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたはほぼ全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、少なくとも1つの及び通常の2つの可変ドメインのほぼ全てを含むであろう。ヒト化抗体は最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常は、ヒト免疫グロブリンのものも含むであろう。Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332: 323-329 (1988)及びPresta, Curr. Opin. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)。
非ヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入される1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は多くの場合、通常は「インポート」可変ドメインから取り込まれる「インポート」残基と称される。ヒト化は、Winter及び共同研究者の方法、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536 (1988)に従って、または齧歯動物のCDR若しくはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列で置換することにより、実質的に実施できる。従って、このような「ヒト」抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、インタクトヒト可変ドメインよりも実質的に少なく、非ヒト由来の対応する配列で置換されている。実際には、ヒト化抗体は通常、いくつかのCDR残基及び場合によってはいくつかのFR残基が、齧歯動物抗体の類似部位由来の残基により置換されているヒト抗体である。
ヒト化抗体の作製に使用されるべきヒト可変ドメインの選択は、軽鎖及び重鎖の双方ともに、抗原性を低減させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリに対してスクリーニングされる。次に、齧歯動物のものに最も近いヒト配列は、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れられる。Sims et al., J. Immunol., 151:2296 (1993); Chothia et al., J. Mol. Biol., 196:901 (1987)。別の方法は、特定のサブグループの軽鎖または重鎖の全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークは、いくつかの異なるヒト化抗体に使用されても良い。Carter et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 89:4285 (1992); Presta et al., J. Immunol. 151:2623 (1993)
さらに、抗体が、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性を保持してヒト化されることが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従い、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び種々の概念的ヒト化産物を分析するプロセスにより調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般に、利用可能であり、当業者らによく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の予想されるコンフォメーション構造を例示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンの、抗原に結合する能力に影響を与える残基の分析、が可能になる。このように、FR残基は、標的抗原または抗原(例えば、本開示のTREM2タンパク質)に対する増加した親和性などの所望の抗体特性が達成されるように、レシピエント及びインポート配列から選択して組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接かつ最も実質的に関与する。
ヒト化抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の様々な形態が検討される。例えば、ヒト化抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、任意にHSP60などの1つ以上のTREM2リガンドとコンジュゲートされるFabなどの抗体断片であって良い。あるいは、ヒト化抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、インタクトIgG1抗体などのインタクト抗体であって良い。
(4)ヒト抗体
代わりに、ヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体が生成できる。例えば、内在性免疫グロブリン産生の不存在下で、ヒト抗体の完全なレパートリーを免疫化時に産生可能なトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することが目下可能である。キメラ及び生殖系列変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合型欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害をもたらす。このような生殖系列変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原暴露時にヒト抗体の産生をもたらすであろう。例えば、Jakobovits et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immunol., 7:33 (1993); 米国特許第5,591,669号及びWO97/17852を参照のこと。
あるいは、ファージディスプレイ技術は、免役されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体ならびに抗体フラグメントを産生するために使用できる。McCafferty et al., Nature 348:552-553 (1990); Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991)。この技術に従い、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdなどの繊維状バクテリオファージの主要または副コートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、ファージ粒子の表面上に機能性抗体フラグメントとして提示される。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択はまた、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。従って、ファージは、B細胞のいくつかの性質を模倣する。ファージディスプレイは、種々の形式で実施することができ、例えば、Johnson, Kevin S. and Chiswell, David J., Curr. Opin Struct. Biol. 3:564-571 (1993)に概説される。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイに使用できる。Clackson et al., Nature 352:624-628 (1991)により、免疫されたマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離した。免疫されていないヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体は、Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)、またはGriffith et al., EMBO J. 12:725-734 (1993)により記載されている技術に従って、実質的に単離できる。米国特許第5,565,332号及び同第5,573,905号を参照のこと。さらに、酵母ディスプレイ技術は、インビトロでヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体ならびに抗体フラグメント産生するために使用できる(例えば、WO2009/036379;WO2010/105256;WO2012/009568;US2009/0181855;US2010/0056386;及びFeldhaus and Siegel (2004) J. Immunological Methods 290:69-80)。他の実施形態では、リボソームディスプレイ技術は、インビトロで、ヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体ならびに抗体フラグメントを産生するために使用できる(例えば、Roberts and Szostak (1997) Proc Natl Acad Sci 94:12297-12302; Schaffitzel et al. (1999) J. Immunolical Methods 231:119-135; Lipovsek and Pluckthun (2004) J. Immunological Methods 290:51-67)。
Cole et al.及びBoerner et al.の技術はまた、ヒト抗TREM2及び/または抗DAP12モノクローナル抗体の調製に利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985)及びBoerner et al., J. Immunol. 147(1): 86-95 (1991)。同様に、ヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウス、に導入することにより作製できる。暴露すると、遺伝子再構成、アセンブリ、及び抗体レパートリーを含む、全ての点でヒトに見られるものに非常に似ているヒト抗体産生が観察される。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、ならびに次の化学刊行物:Marks et al., Bio/Technology 10: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature 368: 812-13 (1994), Fishwild et al., Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996), Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996)及びLonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)に記載されている。
最終的に、ヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体はまた、活性化B細胞によりインビトロで生成されても良い(米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号を参照のこと)。
(5)抗体フラグメント
特定の実施形態では、完全抗TREM2及び/または抗DAP12抗体ではなく、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体フラグメントを使用することに利点がある。一部の実施形態では、より小さいフラグメントサイズは、迅速なクリアランス及び良好な脳の浸透を可能にする。
抗体フラグメントの産生のための種々の技術が開発されている。元来、これらのフラグメントは、インタクト抗体のタンパク質分解消化により得られた(例えば、Morimoto et al., J. Biochem. Biophys. Method. 24:107-117 (1992);及びBrennan et al., Science 229:81 (1985)を参照のこと)。しかし、これらのフラグメントは目下、例えば、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体をコードする核酸を使用して、組換え宿主細胞により直接産生できる。Fab、Fv、及びscFv抗体フラグメントは全て、E.coliで発現及び分泌される可能性があり、それにより、大量のこれらのフラグメントの直接的な産生が可能になる。抗TREM2及び/または抗DAP12抗体フラグメントはまた、上述のように抗体ファージライブラリから単離できる。あるいは、Fab′-SHフラグメントは、E.coliから直接回収され、化学的に結合されて、F(ab′)2フラグメントを形成できる(Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992))。別のアプローチに従い、F(ab′)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離できる。インビボ半減期が増加するFab及びF(ab′)2抗体フラグメントの産生は、米国特許第5,869,046号に記載されている。他の実施形態では、選択される抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO93/16185、米国特許第5,571,894号、及び米国特許第5,587,458号を参照のこと。抗TREM2及び/または抗DAP12抗体フラグメントはまた、例えば、米国特許第5,641,870号に記載されているような「線状抗体」であって良い。このような線状抗体フラグメントは、単一特異性または二重特異性であって良い。
(6)二重特異性及び多特異性抗体
二重特異性抗体(BsAbs)は、同じまたは別のタンパク質上のものを含む、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である(例えば、本開示の1つ以上のTREM2タンパク質)。あるいは、BsAbの一部分は、標的TREM2及び/またはDAP12抗原に結合するために備えることができ、もう一部分は、第2のタンパク質に結合するアームと組み合わせることができる。このような抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab′)2二重特異性抗体)に由来できる。
二重特異性抗体を作製するための方法は、当該技術分野で既知である。全長二重特異性抗体の従来の産生は、2つの鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアの同時発現に基づく。Millstein et al., Nature, 305:537-539 (1983)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生し、そのうちの1つだけが正しい二重特異性構造を有する。通常アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる、適切な分子の精製は、むしろ扱いにくく、産生物収率が低い。類似した手順は、WO93/08829及びTraunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991)に開示されている。
異なるアプローチに従い、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合される。融合は、好ましくは、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。融合物の少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体、及び、所望される場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、適切な宿主生物に同時トランスフェクションされる。これは、構築に使用される3つのペプチド鎖の不当比率が、最適収率を提供する時、実施形態の3つのポリペプチドフラグメントの相互比率の調整に、大きな柔軟性を提供する。しかし、等しい比率の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が、高収率をもたらす時、または比率が特に重要でない時、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖に対するコード配列を、1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
このアプローチの好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、1つのアームの第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、及び残りのアームの(第2の結合特異性を提供する)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアからなる。免疫グロブリン軽鎖が二重特異性分子の半分のみに存在することにより、分離の簡単な手段を提供するので、この非対称構造は、所望の二重特異性化合物の、不必要な免疫グロブリン鎖の組み合わせからの分離を促進することが判明した。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体を生成するさらなる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology 121: 210 (1986);及びGarber, Nature Reviews Drug Discovery 13, 799-801 (2014)を参照のこと。
WO96/27011または米国特許第5,731,168号に記載されている別のアプローチに従い、一対の抗体分子間のインターフェースは、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にするように遺伝子操作できる。好ましいインターフェースは、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。本方法では、一次抗体分子のインターフェースの1つ以上の小さいアミノ酸側鎖は、大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と交換されている。大きな側鎖(複数可)と同一または類似のサイズの補償的「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)と交換することにより、二次抗体分子のインターフェースに作成される。これは、ホモ二量体などの他の不必要な最終産生物よりも、ヘテロ二量体の収率を増加させるための機序を提供する。
抗体フラグメントから二重特異性抗体を生成する技術は、文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製できる。Brennan et al., Science 229:81 (1985)は、インタクト抗体が、F(ab′)2フラグメントを生成するために、タンパク質分解的に切断される手順について記載する。これらのフラグメントは、近接ジチオールを安定化させるために、ジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元され、分子間ジスルフィド形成を防止する。次に、生成されたFab′フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に転化される。次に、Fab′-TNB誘導体の1つは、二重特異性抗体を形成するためにFab′-TNB誘導体に再転化される。産生された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用できる。
Fab′フラグメントは、E.coliから直接回収され、二重特異性抗体を形成するために、化学的に連結されても良い。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175: 217-225 (1992)は、完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab′)2分子の産生について記載する。各Fab’フラグメントは、E.coliから別々に分泌され、インビトロで配向性化学連結を受けて、二重特異性抗体を形成した。このようにして形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体及び正常ヒトT細胞を過剰発現する細胞に結合し、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発できた。
組換え細胞培養から直接的に、二価抗体フラグメントを作製及び単離するための種々の技術も記載されている。例えば、二価ヘテロ二量体は、ロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により、2つの異なる抗体のFab’部分に結合された。抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されて単量体を形成し、次に、再酸化されて抗体ヘテロ二量体を形成した。Hollinger et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)により記載されている「ダイアボディ」技術は、二重特異性/二価抗体フラグメントを作製するための、代替の機序を提供している。フラグメントは、同じ鎖上の2つのドメイン間のペアリングを可能にするには短すぎるリンカーにより、軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、1つのフラグメントのVH及びVLドメインは、別のフラグメントの相補的なVL及びVHドメインとペアリングさせられ、それにより、2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用による、二重特異性/二価抗体フラグメントを作製する別の方策も報告されている。Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照のこと。
二重特異性抗体を生成する別の方法は、制御されたFabアーム交換(cFAE)であり、これは、二重特異性IgG1(bsIgG1)を生成する使いやすい方法である。プロトコールは、次の:(i)CH3ドメインに単一マッチの点変異を含有する2つの親IgG1の別々の発現;(ii)半分子の組換えを可能にするために、インビトロの許容レドックス条件下での親IgG1の混合;(iii)鎖間ジスルフィド結合の再酸化を可能にするための還元剤の除去;ならびに(iv)クロマトグラフィーベースの方法または質量分析(MS)ベースの方法を使用した交換効率及び最終産生物の分析を含む。プロトコールは、ベンチスケール(マイクログラム~ミリグラム)及び大規模製造(キログラム)をモデル化するために設計されたミニバイオリアクタースケール(ミリグラム~グラム)の両方で、規則的なIgGアーキテクチャ、特徴、及び品質属性を有するbsAbを生成する。良質の精製タンパク質から出発して、≧95%の交換効率は、2~3日以内に得ることができる(品質管理を含む)。Labrijn et al., Natur Protocols 9, 2450-2463 (2014);及びGarber, Nature Reviews Drug Discovery 13, 799-801 (2014)を参照のこと。
3価以上の抗体も検討される。例えば、三重特異性抗体が調製できる。Tutt et al., J. Immunol. 147:60 (1991)。
例示的な二重特異性抗体は、所与の分子(例えば、本開示のTREM2及び/またはDAP12タンパク質)上の2つの異なるエピトープに結合することがある。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、本開示のTREM2またはDAP12タンパク質などの第1の抗原、及び血液脳関門を越える輸送を促進する第2の抗原に結合する。血液脳関門を越える輸送を促進する多数の抗原は、当該技術分野で既知である(例えば、Gabathuler R., Approaches to transport therapeutic drugs across the blood-brain barrier to treat brain diseases, Neurobiol. Dis. 37 (2010) 48-57を参照のこと)。このような第2の抗原は、トランスフェリン受容体(TR);インスリン受容体(HIR);インスリン様成長因子受容体(IGFR);低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2);CRM197(ジフテリア毒素の無毒性変異体)を含むジフテリア毒素受容体;TMEM30(A)(Flippase)などのラマ単一ドメイン抗体;TAT、Syn-B、またはペネトラチンなどのタンパク質形質導入ドメイン;ポリアルギニンまたは一般的に正電荷を有するペプチド;ANG1005(例えば、Gabathuler、2010を参照のこと)などのAngiopepペプチド;ならびに血液脳関門内皮細胞上に豊富にある他の細胞表面タンパク質(例えば、Daneman et al., PLoS One. 2010 Oct 29;5(10):e13741を参照のこと)を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、抗TREM2抗体に対する第2の抗原は、本開示のDAP12抗原を含んでも良いが、これらに限定されない。他の実施形態では、抗DAP12抗体に対する第2の抗原は、本開示のTREM2抗原を含んでも良いが、これらに限定されない。他の実施形態では、TREM2及びDAP12の両方に結合する二重特異性抗体は、1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性を促進及び増強することがある。他の実施形態では、TREM2及び/またはDAP12抗体に対する第2の抗原は、Aベータペプチド抗原;またはアルファシヌクレインタンパク質抗原;またはTauタンパク質抗原;またはTDP-43タンパク質抗原;またはプリオンタンパク質抗原;またはハンチンチンタンパク質抗原;またはRAN;グリシン-アラニン(GA)、グリシン-プロリン(GP)、グリシン-アルギニン(GR)、プロリン-アラニン(PA)、若しくはプロリン-アルギニン(PR)からなるジペプチドリピートを含む翻訳産物抗原(DPRペプチド)を含んでも良いが、これらに限定されない。
(7)多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも速く内在化され(及び/または異化され)ることがある。本開示の抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体またはそれらの抗体フラグメントは、3つ以上の抗原結合部位を有する(IgMクラス以外のものである)多価抗体(例えば、四価抗体)である可能性があり、これらは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に産生できる。多価抗体は、二量化ドメイン及び3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい二量化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む。このシナリオでは、抗体は、Fc領域及びFc領域のアミノ末端に3つ以上の抗原結合部位を含むであろう。本明細書の好ましい多価抗体は、3つ~約8つ、好ましくは4つの抗原結合部位を含有する。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含有し、ポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含んでも良く、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは、0または1である。同様に、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含んでも良い。本明細書の多価抗体は好ましくは、少なくとも2つの(好ましくは、4つの)軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書の多価抗体は、例えば、約2つ~約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含んでも良い。本明細書で検討される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意に、CLドメインをさらに含む。多価抗体は、TREM2抗原及びAベータペプチド抗原;またはαシヌクレインタンパク質抗原;またはTauタンパク質抗原;またはTDP-43タンパク質抗原;またはプリオンタンパク質抗原;またはハンチンチンタンパク質抗原;またはRAN;グリシン-アラニン(GA)、グリシン-プロリン(GP)、グリシン-アルギニン(GR)、プロリン-アラニン(PA)、若しくはプロリン-アルギニン(PR)からなるジペプチドリピートを含む翻訳産物抗原(DPRペプチド);インスリン受容体;インスリン様成長因子受容体を含むが、これらに限定されない、さらなる抗原を認識することがある。トランスフェリン受容体または他の任意の抗原は、血液脳関門を越える抗体移動を促進する。
(8)エフェクター機能の遺伝子操作
エフェクター機能を修飾する、及び/または抗体の血清半減期を増加させるために、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を修飾することがさらに望ましいことがある。例えば、定常領域上のFc受容体結合部位は、FcγRI、FcγRII、及び/またはFcγRIIIなどの特定のFc受容体に対する結合親和性を除去する、または低減させるために(例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を低減させるために)、修飾され、または変異しても良い。一部の実施形態では、エフェクター機能は、抗体の(例えば、IgGのCH2ドメインの)Fc領域のN-グリコシル化を除去することにより損なわれる。一部の実施形態では、エフェクター機能は、PCT WO99/58572及びArmour et al., Molecular Immunology 40: 585-593 (2003); Reddy et al., J. Immunology 164:1925-1933 (2000)に記載されているように、ヒトIgGの233~236、297、及び/または327~331などの領域を修飾することにより損なわれる。一部の実施形態では、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害及び抗体依存性細胞貪食を含む体液性応答を活性化させることなく、隣接細胞上の抗体のクラスター形成を増加させるための、ITIM含有FcgRIIb(CD32b)に対する選択性を増加させるために、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を修飾することが、さらに望ましいことがある。
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば、米国特許第5,739,277号に記載されるように、エピトープに結合するサルベージ受容体を、抗体(特に、抗体フラグメント)に取り込むことがある。本明細書で使用される場合、用語「エピトープに結合するサルベージ受容体」は、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させる役割を果たす、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
(9)他のアミノ酸配列の修飾
本開示の抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体またはそれらの抗体フラグメントのアミノ酸配列修飾も検討される。例えば、抗体または抗体フラグメントの結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することは、望ましいことがある。抗体または抗体フラグメントのアミノ酸配列多様体は、抗体または抗体フラグメントをコードする核酸に、適切なヌクレオチド変化を導入することにより、またはペプチド合成により調製される。このような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれらの挿入、及び/またはそれらの置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構築物に到達するために行われる。但し、最終構築物は、所望の特徴(すなわち、本開示のTREM2及び/またはDAP12タンパク質に結合する能力またはこれと物理的に相互作用する能力)を有する。さらに、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位置を変化させることなどの抗体の翻訳後プロセスを改変することがある。
変異導入に好ましい位置の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells in Science, 244:1081-1085 (1989)により記載されているような「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれる。ここで、残基または標的残基のグループ(例えば、arg、asp、his、lys、及びgluなどの電荷を持つ残基)が同定され、アミノ酸の標的抗原との相互作用に影響を与えるために、中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)により交換される。次に、置換に対する機能的感受性を示すそれらのアミノ酸位置は、置換の部位に、またはそれらに対し、さらなるまたは他の多様体を導入することにより改良される。従って、アミノ酸配列変化を導入するための部位が予め決定されているが、変異それ自体の性質を予め決定する必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するために、アラニンスキャニングまたはランダム変異導入は、標的コドンまたは領域で行われ、発現した抗体多様体は、所望の活性についてスクリーニングされる。
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基~100以上の残基を含有するポリペプチドの範囲のアミノ(「N」)末端融合及び/またはカルボキシ(「C」)末端融合、ならびに、単一または複数のアミノ酸残基の配列間挿入を含む。末端挿入の例としては、N末端眼チオニル残基を有する抗体または細胞毒性ポリペプチドに融合した抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入多様体は、抗体の血清半減期を増加させる酵素またはポリペプチドに対する抗体のN末端またはC末端への融合を含む。
別の種類の多様体は、アミノ酸置換多様体である。これらの多様体は、異なる残基により交換された抗体分子の少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換変異導入にとって最大の関心のある部位は、超可変領域を含むが、FR改変も検討される。保存的置換は、「好ましい置換」の見出しの下の以下の表Aに示される。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表Aの「例示的置換」と呼ばれる、またはアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載されるような、より実質的な変化が導入され、産物はスクリーニングされても良い。
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は、(a)例えば、シート若しくはヘリックスコンフォメーションとしての、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、または(c)側鎖のかさ高さ、を維持することに及ぼす影響が著しく異なる置換を選択することにより達成される。天然残基は、一般的な側鎖特性に基づくグループに分けられる。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:gly、pro;及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスに交換することを伴う。
抗体の適切なコンフォメーションを維持することに関与しない任意のシステイン残基はまた、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防止するために、一般にセリンで置換されても良い。逆に、システイン結合(複数可)は、(特に抗体がFvフラグメンなどの抗体フラグメントである場合、)安定性を改善するために抗体に添加されても良い。
特に好ましい種類の置換多様体は、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる開発のために選択された得られる多様体(複数可)は、それらが生成される親抗体と比較して、改善された生物学的特性を有するであろう。そのような置換多様体を生成するための便利な手段は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟を含む。要約すると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7部位)は、各部位で全ての可能なアミノ酸置換を生成するために変異する。このようにして生成された抗体多様体は、各粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III産物に対する融合物として、繊維状ファージ粒子から一価様式でディスプレイされる。次に、ファージディスプレイされた多様体は、本明細書に開示されるように、それらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾に対する候補超可変領域部位を同定するためには、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定するアラニンスキャニング変異導入が実施できる。あるいは、または加えて、抗体及び抗原(例えば、本開示のTREM2タンパク質)の接触点を同定するために、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であることがある。このような接触残基及び隣接残基は、本明細書で詳述される技術による置換の候補である。このような多様体が生成されると、多様体のパネルは、本明細書に記載されているように、スクリーニングを受け、1つ以上の関連するアッセイにおいて優れた特性を有する抗体が、さらなる開発のために選択されることがある。
抗体の別の種類のアミノ酸多様体は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。改変とは、抗体に見出される1つ以上の炭水化物部分を欠失させること、及び/または抗体に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することを意味する。
抗体のグリコシル化は通常、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、炭化水素部分のアスパラギン残基の側鎖への付加を指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素的付加のための認識配列である。従って、ポリペプチドのこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合型グリコシル化は、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの付加を指す。但し、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンも使用されても良い。
グリコシル化部位の抗体への付加は、抗体が、(N結合型グリコシル化部位のための)上述のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するように、アミノ酸配列を改変することにより、都合よく達成される。改変はまた、元の抗体(O結合型グリコシル化部位のための)の配列に、1つ以上のセリンまたはトレオニン残基を付加することにより、またはこれらにより置換することにより、行われても良い。
抗IgE抗体のアミノ酸配列多様体をコードする核酸分子は、当該技術分野で既知の種々の方法により調製される。これらの方法は、天然供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列多様体の場合)またはオリゴヌクレオチド媒介性(若しくは部位特異的)変異導入による調製、PCR変異導入、ならびに、先に調製された多様体または非多様体バージョンの抗体(例えば、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体)または抗体フラグメントのカセット変異導入を含むが、これらに限定されない。
(10)他の抗体修飾
本開示の抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体またはそれらの抗体フラグメントは、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能である、さらなる非タンパク質性部分を含有するように、または当該技術分野で既知であり、容易に入手可能である異なる種類の薬物コンジュゲートを含有するように、さらに修飾できる。好ましくは、抗体の誘導体化に適する部分は、水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中での安定性に起因する製造における利点を有することがある。ポリマーは、任意の分子量のものであって良く、分枝状または非分枝状であって良い。抗体に付着するポリマーの数は、変化しても良く、複数のポリマーが付着する場合、それらは、同一のまたは異なる分子とすることができる。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が、規定された条件下での治療に使用されるかどうかなどを含むが、これらに限定されない考察に基づいて決定できる。このような技術及び他の好適な製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Alfonso Gennaro, Ed., Philadelphia College of Pharmacy and Science (2000)に開示されている。
薬物コンジュゲーションは、生物学的活性細胞傷害性(抗癌)ペイロードまたは薬物の、特定の腫瘍マーカー(例えば、理想的には、腫瘍細胞内または腫瘍細胞上にのみ見出されるべきタンパク質)を特異的に標的とする抗体への連結を含む。抗体は、体内でこれらのタンパク質を追跡し、癌細胞の表面に付着する。抗体及び標的タンパク質(抗原)の間の生化学反応は、腫瘍細胞にシグナルを誘発し、次に、腫瘍細胞は、細胞毒素と共に抗体を吸収または内在化する。ADCが内在化された後、細胞傷害性薬物が放出され、癌を死滅させる。この標的化のために、理想的には、薬物は、より低い副作用を有し、他の化学療法剤より広い治療ウインドウを与える。抗体をコンジュゲートする技術は、当該技術分野で既知である(例えば、Jane de Lartigue, OncLive July 5, 2012; ADC Review on antibody-drug conjugates;及びDucry et al., (2010). Bioconjugate Chemistry 21 (1): 5-13を参照のこと)。
結合アッセイ及び他のアッセイ
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体(例えば、抗TREM2抗体の抗体活性)は、例えば、放射性標識イムノアッセイ、光学アッセイ、タンパク質結合アッセイ、生化学スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、蛍光アッセイ、及び/または細胞生存アッセイなどの、当該分野で既知の種々のアッセイ、または本明細書の実施例に記載されているアッセイにより、物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、同定、スクリーニング、及び/または特性決定されても良い。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどの既知の方法により、抗原結合活性について試験されても良い。
一部の実施形態では、競合アッセイは、TREM2への結合について、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87、ならびに/またはヒト及び/またはヒト化MAB17291から選択される、表1及び/または表8に記載されている抗体のいずれかと競合する抗体を同定するために使用されても良い。特定の実施形態では、このような競合抗体は、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87、ならびに/またはヒト及び/若しくはヒト化MAB17291から選択される、表1及び/または表8に記載されている抗体のいずれかに結合されるものと同じエピトープ(例えば、線状またはコンフォメーションエピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法が、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)で提供される。
例示的な競合アッセイでは、細胞表面上の固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞は、TREM2に結合する標識一次抗体(例えば、ヒト、または非ヒト霊長類)及びTREM2への結合について一次抗体と競合する能力について試験されている非標識二次抗体を含む溶液中でインキュベーションされる。二次抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在することがある。対照として、固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞は、標識一次抗体を含むが、非標識二次抗体を含まない溶液中でインキュベーションされる。一次抗体のTREM2への結合を許容する条件下でインキュベーションした後、過剰の非結合抗体が除去され、固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞と会合した標識の量が測定される。固定化TREM2またはTREM2を発現する細胞と会合した標識の量が、対照サンプルと比較して試験サンプル中で実質的に低減する場合、その時、それは、二次抗体が、TREM2への結合について、一次抗体と競合することを示す。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照のこと。
一部の実施形態では、アッセイは、生物活性を有する本開示のアゴニスト抗TRME2及び/または抗DAP12抗体を同定するために提供される。生物活性は、例えば、TREM2及び/またはDAP12のもう1つの活性を、誘導する、促進する、刺激する、または別途増加させることを含むことがある。インビボ及び/またはインビトロでのこのような生物活性を有するアゴニスト抗TRME2及び/または抗DAP12抗体も提供される。
当該技術分野で既知の及び本明細書に記載されている(例えば、実施例23~27、33~38、41~44、52~55、及び67~68を参照のこと)アッセイは、TREM2及び/またはDAP12のもう1つの活性を誘導する、促進する、刺激する、または別途増加させる抗TRME2及び/または抗DAP12抗体の生物活性を同定及び試験するために使用できる。一部の実施形態では、アゴニスト抗TRME2及び/または抗DAP12抗体1つ以上の活性を試験するためのアッセイが提供される。生物活性についての例示的試験は、例えば、TREM2及び/またはDAP12タンパク質への結合及び活性化を可能にするために、十分な時間、TREM2及び/またはDAP12を発現する自然免疫細胞などの免疫細胞の集団を、アゴニスト抗TRME2及び/または抗DAP12抗体候補で処理すること、ならびに、抗体候補の不存在下での対応する集団の細胞生存(または細胞死)と比較して、細胞生存(または細胞死)を測定することを含んでも良い。細胞生存または細胞死を測定するための方法は、当技術分野で周知であり、本明細書に記載されている。アゴニスト抗TRME2及び/または抗DAP12抗体は、対照細胞集団、例えば、アゴニスト抗体候補で処理されなかった細胞集団、と比較して、細胞集団における細胞生存を促進若しくは延長する、または細胞死を遅延させる能力により同定されても良い。本開示の特定の態様は、TREM2及び/またはDAP12に特異的に結合する候補アゴニスト抗体を同定するための方法を提供する。特定の実施形態では、TREM2及び/またはDAP12に特異的に結合する候補アゴニスト抗体を同定するための方法は、a.候補アゴニスト抗体が自然免疫細胞集団における細胞生存を促進するのに十分な期間、表面上にTREM2及び/またはDAP12を発現する自然免疫細胞集団を、TREM2及び/またはDAP12に特異的に結合する候補アゴニスト抗体と接触させること、ならびに、b.接触した自然免疫細胞集団の接触した細胞の細胞生存を、TREM2及び/またはDAP12と特異的に結合する候補アゴニスト抗体と接触していない対応する自然免疫細胞集団の細胞生存と比較すること、を含み、接触した自然免疫細胞集団の細胞生存の増加は、候補抗体がアゴニストであることを示す。本開示の他の態様は、TREM2及び/またはDAP12に特異的に結合する抗体を同定するための開示された方法のいずれかにより同定されるTREM2及び/またはDAP12に特異的に結合する単離抗体を提供する。
核酸、ベクター、及び宿主細胞
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されているような組換え方法及び組成物を使用して、産生されても良い。一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離核酸が提供される。このような核酸は、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)のVLを含有するアミノ酸配列及び/またはVHを含有するアミノ酸配列をコードしても良い。一部の実施形態では、このような核酸を含有する1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。一部の実施形態では、このような核酸を含有する宿主細胞も提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、単離宿主細胞である。本明細書で使用される場合、「単離細胞」は、同定され、それが産生された環境に通常関連する少なくとも1つの汚染細胞から分離される細胞である。一部の実施形態では、単離細胞は、産生環境に関連する全ての構成成分と関連がない。単離細胞は、それが自然界に見出される形態または状況以外の形態である。単離細胞は、組織、器官、または個体に自然に存在する細胞と区別される。一部の実施形態では、単離細胞は、本開示の宿主細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含有するアミノ酸配列及び抗体のVHを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有するベクター、または、(2)抗体のVLを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有する第1のベクター及び抗体のVを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有する第2のベクターを含有する(例えば、これらを形質導入されている)。一部の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。本開示の宿主細胞はまた、単離細胞、インビトロ培養細胞、及びエクスビボ培養細胞を含むが、これらに限定されない。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を作製する方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、抗体の発現に適する条件下で、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を培養することを含む。一部の実施形態では、続いて、抗体は、宿主細胞(または宿主細胞培地)から回収される。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の組換え産生のために、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体をコードする核酸は、単離され、宿主細胞でのさらなるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクターに挿入される。このような核酸は、容易に単離され、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、配列決定されても良い。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体のいずれかをコードする核酸配列、または本明細書に記載されているそれらのフラグメントポリペプチド(抗体を含む)を含有する好適なベクターは、クローニングベクター及び発現ベクターを含むが、これらに限定されない。好適なクローニングベクターは、標準的な技術に従い構成できる、または当該技術分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択されても良い。選択されたクローニングベクターは、使用されることを意図される宿主細胞に従い変化することがあるが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼのための単一の標的を有しても良く、及び/またはベクターを含有するクローンを選択することに使用できるマーカーの遺伝子を保有しても良い。好適例としては、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3及びpAT28などのシャトルベクターが挙げられる。これら及び他の多くのクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及びInvitrogenなどの販売業者から入手可能である。
発現ベクターは一般に、本開示の核酸を含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームまたは染色体DNAの不可欠な部分のいずれかとして、宿主細胞において複製可能であることがある。好適な発現ベクターは、プラスミド、アデノウイルスを含むウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、コスミド及び国際公開特許第WO87/04462号に開示されている発現ベクター(複数可)を含むが、これらに限定されない。ベクター構成成分は一般に、次の:シグナル配列;複製起点;1つ以上のマーカー遺伝子;好適な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、及びターミネーター)のうちの1つ以上を含むことがあるが、これらに限定されない。発現(すなわち、翻訳)のために、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、及び終止コドンなどの1つ以上の翻訳制御エレメントもまた通常必要とされる。
目的の核酸を含有するベクターは、電気穿孔法;塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、または他の物質を用いるトランスフェクション;マイクロプロジェクタイルボンバードメント;リポフェクション;及び感染(例えば、ベクターは、ワクシニアウイルスなどの感染性因子である)を含む多くの適切な手段のいずれかにより、宿主細胞内に導入できる。ベクターまたはポリヌクレオチドを導入する選択は多くの場合、宿主細胞の特徴に依存するであろう。一部の実施形態では、ベクターは、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体をコードする1つ以上のアミノ酸配列を含有する核酸を含有する。
ベクターをコードする抗体のクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、原核細胞または真核細胞を含む。例えば、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、特に、グリコシル化及びFcエフェクター機能が必要でない時、細菌において産生されても良い。細菌における抗体フラグメント及びペプチドの発現については、(例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号;ならびに、Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp. 245-254, describing expression of antibody fragments in E. coli.)。発現後、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離されても良く、さらに精製できる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物はまた、グルコシル化経路が「ヒト化」されて、部分的または完全なヒトグルコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす真菌及び酵母株を含む抗体をコードするベクターに好適なクローニングまたは発現宿主である(例えば、Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004);及びLi et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006))。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する可能性がある。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と共に使用され得る多数のバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物はまた、宿主として利用できる(例えば、トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号)。
脊椎動物細胞はまた、宿主として使用されても良い。例えば、懸濁液中で成長するように構成される哺乳動物細胞株が有用であることがある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胚性腎臓株(例えば、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載されている293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されているようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されているようなTRI細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))、ならびにY0、NS0、及びSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に適する特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照のこと。
医薬組成物
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、抗体を適切な薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせることにより、治療的投与のための種々の製剤に組み込むことができ、固体、半固体、液体または気体の形態の製剤に製剤化されても良い。このような製剤の例としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアゾール剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物は、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルである、薬学的に許容される非毒性担体または希釈剤を含むことができる。希釈剤は、組み合わせの生物活性に影響を与えないように選択される。このような希釈剤の例としては、蒸留水、緩衝水、生理食塩水、PBS、リンガー液、デキストロース溶液、及びハンクス溶液が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の医薬組成物または製剤は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療的、非免疫原性安定剤、賦形剤などをさらに含むことができる。組成物はまた、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤、湿潤剤、ならびに洗浄剤などの生理学的条件に近づける追加の物質を含むことができる。
本開示の医薬組成物はまた、例えば酸化防止剤などの種々の安定剤のいずれかを含むことができる。医薬組成物が、ポリペプチドを含む時、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボ安定性を増強する、または別途薬理学的性質を増強する(例えば、ポリペプチドの半減期を増加させ、その毒性を低下させ、溶解性または取り込みを増強する)種々の周知の化合物と複合体化できる。このような修飾または複合化剤の例としては、スルフェート、グルコネート、シトレート、及びホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。組成物のポリペプチドはまた、インビボ属性を増強する分子と複合体化できる。このような分子としては、炭化水素、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)及び脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
様々な種類の投与に適する製剤のさらなる例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, PA, 17th ed. (1985)に見出すことができる。薬物送達のための方法の簡単な概説については、Langer, Science 249:1527-1533 (1990)を参照のこと。
経口投与の場合、活性成分は、カプセル剤、錠剤、及び散剤などの固体剤形、または、エリキシル剤、シロップ剤、及び懸濁剤などの液体剤形で投与できる。活性成分(複数可)は、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ナトリウムサッカリン、タルカム、炭酸マグネシウムなどの不活性成分及び粉末担体と共に、ゼラチンカプセルにカプセル化できる。所望の色、味、安定性、緩衝能、分散、または他の既知の望ましい特徴を提供するために添加され得る追加の不活性成分の例は、ベンガラ、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、及び食用白色インクである。類似の希釈剤は、圧縮錠剤を作製するために使用できる。錠剤及びカプセルの両方は、数時間にわたり薬物の連続放出を提供するための持続放出製品として製造できる。圧縮錠剤は、不快な味を隠し、錠剤を大気から保護するために、糖衣を施す若しくはフィルムコーティングする、または胃腸管における選択的崩壊のために腸溶コーティングすることができる。経口投与のための液体剤形は、患者の容認を増加させるための着色剤及び香味料を含有できる。
非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び目的のレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有できる水性及び非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含むことができる水性及び非水性滅菌懸濁液を含む。
医薬組成物を製剤化するために使用される成分は、好ましくは高純度であり、潜在的に有害な汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくともNational Food(NF)グレード、一般に少なくとも分析グレード、より典型的には少なくとも医薬品グレード)。さらに、インビボでの使用を意図される組成物は通常、無菌である。所与の化合物を使用前に合成しなければならない程度、得られる製品は通常、合成または精製プロセス中に存在し得る任意の潜在的な毒物、特に任意のエンドトキシンを実質的に含まない。非経口投与のための組成物はまた、無菌で、実質的に等張性があり、GMP条件下で作製される。
製剤は、脳または中枢神経系での保持及び安定化のために最適化されても良い。薬剤が頭蓋区画に投与される場合、薬剤が区画に保持され、血液脳関門に拡散しない、または別途これを越えないことが望ましい。安定化技術は、分子量の増加を達成するために、架橋、多量体化、またはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体などの基への結合を含む。
保持を増加させるための他の方策は、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体などの抗体の、生分解性または生体侵食性インプラントへの封入を含む。治療的に活性な薬剤の放出速度は、ポリマーマトリックスを介した輸送及びインプラントの生分解の速度により制御される。薬剤のポリマーバリアを介した輸送はまた、ポリマーバリアを、薬物、インプラントの形状などに対してより透過性にするために、化合物の溶解性、ポリマーの親水性、ポリマー架橋の程度、吸水時のポリマーの膨張により影響を受けるであろう。インプラントは、移植部位として選択された領域のサイズ及び形状に相応する大きさのものである。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラーク、繊維、マイクロカプセルなどであって良く、選択された挿入部位に適合する任意のサイズまたは形状のものであって良い。
インプラントは、モノリシックであって良い、すなわち、活性薬が、ポリマーマトリックスを介して均一に分布している、またはカプセル化されており、活性薬のリザーバは、ポリマーマトリックスによりカプセル化されている。用いられるべきポリマー組成物の選択は、投与部位、所望の治療期間、患者の耐性、治療されるべき疾患の性質などにより変わるであろう。ポリマーの特性は、移植部位での生分解性、目的の薬剤との適合性、カプセル化の容易さ、生理学的環境における半減期を含むであろう。
用いられ得る生分解性ポリマー組成物は、分解された時に、モノマーを含む生理学的に許容される分解生成物をもたらす有機エステルまたはエーテルを含むが、これらに限定されない。単独のまたは他のモノマーと組み合わせた無水物、アミド、オルトエステルなどは、用途を見出すことがある。ポリマーは、縮合ポリマーとなるであろう。ポリマーは、架橋されていても、または架橋されていなくても良い。特に興味深いのは、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか、及び多糖類である。目的のポリエステルの中には、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、及びそれらの組み合わせのポリマーが含まれる。L-ラクテートまたはD-ラクテートを用いることにより、ポリマーの遅い生物分解が達成される一方、分解は、ラセミ体で実質的に増強される。グリコール酸及び乳酸のコポリマーは、特定の目的のものであり、生分解速度はグリコール酸と乳酸との比により制御される。最も急速に分解されたコポリマーは、おおよそ同量のグリコール酸及び乳酸を有し、ホモポリマーのいずれかが分解に対してより耐性がある。グリコール酸と乳酸との比はまた、インプラントの脆性に影響を与えることになり、より柔軟なインプラントが、より大きな形状にとって望ましい。目的の多糖類の中には、非水溶性、約5kD~500kDの分子量などであることを特徴とするアルギン酸カルシウム、及び官能化セルロース、特にカルボキシメチルセルロースエステルがある。生分解性ヒドロゲルも、本発明のインプラントに用いられても良い。ヒドロゲルは通常、液体を吸収する能力を特徴とするコポリマー材料である。用いられ得る例示的な生分解性ヒドロゲルは、Heller in: Hydrogels in Medicine and Pharmacy, N. A. Peppes ed., Vol. III, CRC Press, Boca Raton, Fla., 1987, pp 137-149に記載されている。
薬学的投薬量
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を含有する本開示の医薬組成物は、ボーラスとしての、または一定期間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、大脳脊髄内(intracerobrospinal)、頭蓋内、脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、髄腔内、経口、局所、または吸入経路によるものなどの既知の方法に従い、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体での治療を必要とする個体、好ましくは、ヒトに投与されても良い。
本開示の医薬組成物の投薬量及び所望の薬物濃度は、想定される特定の使用に応じて変わることがある。適切な投与量または投与経路の決定は、十分に当業者の技術の範囲内である。動物実験は、ヒトの治療に有効な用量を決定するための信頼できる指針を提供する。有効な用量の種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. “The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics,” In Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi et al., Eds, Pergamon Press, New York 1989, pp.42-46に記載されている原理に従って実施できる。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体のいずれかのインビボ投与の場合、通常の投薬量は、投与の経路に応じて、1日当たり、個体の体重の1kg当たり約10ng~約100mgまたはそれ以上、好ましくは、約1mg/kg/日~10mg/kg/日で変わることがある。治療されるべき疾患、障害、または状態の重症度に応じて、数日間またはそれ以上にわたる反復投与の場合、治療は、症状の所望の抑制が達成されるまで持続される。
例示的な投薬レジメンは、約2mg/kgの抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の初期用量を、その後、約1mg/kgの毎週の維持用量を、隔週で投与することを含んでも良い。他の投薬量レジメンは、医師が達成したい薬物動態減衰パターンに応じて、有用であることがある。例えば、個体に1週間に1回~21回投薬することが本明細書で検討される。特定の実施形態では、約3μg/kg~約2mg/kg(例えば、約3μg/kg、約10μg/kg、約30μg/kg、約100μg/kg、約300μg/kg、約1mg/kg、及び約2/mg/kg)の範囲の投薬が使用されても良い。特定の実施形態では、投薬頻度は1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、1週間に1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、若しくは1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、またはそれ以上である。治療の進行は、従来の技術及びアッセイにより容易に監視される。投与される抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を含む投薬レジメンは、使用される用量とは関係なく、時間が経つにつれて変わる可能性がある。
特定の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の投薬量は、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の1回以上の投与を与えられている個体において経験的に決定されても良い。個体は、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の徐々に増加する用量が与えられる。抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の有効性を評価するために、本開示の任意の疾患、障害、または状態の臨床症状(例えば、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、及び多発性硬化症)が監視できる。
本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態に応じて、連続的または断続的である可能性があり、投与の目的は、治療的または予防的、及び熟練した実践者に知られている他の要因である。抗TREM2及び/または抗DAP12抗体の投与は、予め選択された期間にわたり本質的に連続的であって良く、または一連の間隔を介した投薬であって良い。
特定の投薬量及び送達方法に関するガイダンスは、文献で提供されている。例えば、米国特許第4,657,760号、同第5,206,344号、または同第5,225,212号を参照のこと。異なる製剤が、異なる治療及び異なる障害に有効であろうこと、ならびに、特定の器官または組織を治療することを意図される投与が、別の器官または組織のものとは異なる仕方の送達を要することがあることは、本発明の範囲内である。さらに、投薬量は、1回以上の別々の投与より、または連続注入により投与されても良い。状態に応じた数日間またはそれ以上にわたる反復投与の場合、治療は、疾患の症状の所望の抑制が生じるまで持続される。しかし、他の投薬量レジメンが有用であることがある。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイにより容易に監視される。
治療的使用
本開示のさらなる態様は、個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性を調節する(例えば、誘導する、若しくは阻害する)ために、本開示の治療的有効量の抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体を、個体に投与することにより、それを必要とする個体において、TREM2を調節する(例えば、活性化する、若しくは阻害する)、DAP12を調節する(例えば、活性化する、若しくは阻害する)、PI3Kを調節する(例えば、活性化する、若しくは阻害する)、1つ以上の抗炎症性メディエーター(例えば、IL-12p70、IL-6、及びIL-10)の発現を調節する(例えば、増加させる、若しくは低減させる)、または1つ以上の前炎症性メディエーター(例えば、L-1β及びTNF)の発現を調節する(例えば、増加させる、若しくは低減させる)ための方法を提供する。
本明細書で開示される場合、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、那須-ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、創傷治癒、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肥満症、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、狼瘡、関節炎、多発性硬化症、低骨密度、骨粗鬆症、骨形成、大理石骨病、骨のパジェット病、ならびに/または癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、白血病、肺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、線維肉腫、ならびに甲状腺癌)を予防する、リスク低減させる、または治療するために使用されても良い。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アゴニスト抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、不活性抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アンタゴニスト抗体である。
一部の実施形態では、本開示は、DAP12リン酸化、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーター(例えば、IL-12p70、IL-6、及びIL-10)の発現、または1つ以上の前炎症性メディエーター(例えば、L-1β及びTNF)の発現を含むがこれらに限定されない、1つ以上のTREM2活性を調節する(例えば、誘導するまたは阻害する)、本開示の治療的有効量の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を、個体に投与することにより、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、那須-ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、創傷治癒、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肥満症、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、狼瘡、関節炎、多発性硬化症、低骨密度、骨粗鬆症、骨形成、大理石骨病、骨のパジェット病、ならびに癌を有する個体を予防する、リスク低減させる、または治療する方法を提供する。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アゴニスト抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、不活性抗体である。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、アンタゴニスト抗体である。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基14をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン酸を有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基33をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミンを有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基44をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファンを有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基47に、アルギニンからヒスチジンへのアミノ酸置換を有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基78をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファンを有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基126に対応するアミノ酸でのバリンからグリシンへのアミノ酸置換を有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基134に対応するアミノ酸でのアスパラギン酸からグリシンへのアミノ酸置換を有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。特定の実施形態では、個体は、ヒトTREM2タンパク質(配列番号1)のアミノ酸残基186に対応するアミノ酸でのリシンからアスパラギンへのアミノ酸置換を有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。
一部の実施形態では、個体は、配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G313に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G267に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;配列番号1のアミノ酸残基Thr66に対応するアミノ酸でのトレオニンからメチオニンへのアミノ酸置換;及び/または、配列番号1のアミノ酸残基Ser116に対応するアミノ酸でのセリンからシステインへのアミノ酸置換を有するヘテロ接合型TREM2多様体対立遺伝子を有する。
一部の実施形態では、個体は、配列番号2のアミノ酸残基Met1に対応するアミノ酸でのメチオニンからトレオニンへの置換;配列番号2のアミノ酸残基Gly49に対応するアミノ酸でのグリシンからアルギニンへのアミノ酸置換;配列番号2をコードする核酸配列のエクソン1~4内の欠失;配列番号2をコードする核酸配列のエクソン3での14アミノ酸残基の挿入;及び/または、配列番号2をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G141に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失を有するヘテロ接合型DAP12多様体対立遺伝子を有する。
本明細書で開示されるように、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体はまた、自然免疫細胞の生存を誘導及び/または促進するために使用されても良い。一部の実施形態では、本開示は、本開示の治療的有効量のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を、個体に投与することにより、それを必要とする個体の自然免疫細胞の生存を誘導または促進する方法を提供する。
本明細書で開示されるように、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体はまた、損傷後などの創傷治療を誘導及び/または促進するために使用されても良い。一部の実施形態では、創傷治癒は、損傷後の結腸の創傷治癒であって良い。一部の実施形態では、本開示は、本開示の治療的有効量のアゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を、個体に投与することにより、それを必要とする個体の創傷治癒を誘導または促進する方法を提供する。
本明細書で開示されるように、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体はまた、自然免疫細胞の生存を阻害するために使用されても良い。一部の実施形態では、本開示は、本開示の治療的有効量のアンタゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を、個体に投与することにより、それを必要とする個体の自然免疫細胞の生存を阻害する方法を提供する。
一部の実施形態では、本開示の方法は、抗TREM2及び/若しくは抗DAP12抗体またはTREM2及びDAP12の両方に結合する二重特異性抗体の、TLRアンタゴニストまたはTLRアゴニストを中和する(例えば、サイトカインまたはインターロイキン抗体を中和する)薬剤との共投与を含んでも良い。
一部の実施形態では、本開示の方法は、HSP60などのTREM2リガンドと共に本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を含むキメラ構築物の投与を含んでも良い。
認知症
認知症は、正常な老化から予測され得るものを超えて、予め損なわれていないヒトの全体的な認知能力の重大な喪失として現れる非特異的な症候群(すなわち、徴候及び症状のセット)である。独特の全体的な脳損傷の結果としての認知症は、変化しないことがある。あるいは、認知症は、進行性であり、身体の損傷または疾患に起因する長期的な衰退をもたらすことがある。認知症は、高齢者集団においてはるかに一般的であるが、65歳までに発症する可能性もある。認知症の影響を受ける認知領域は、記憶、注意持続、言語、及び問題解決を含むが、これらに限定されない。一般に、症状は、個体が認知症と診断される前に、少なくとも6ヶ月間存在しなければならない。
認知症の例示的形態としては、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、意味性認知症、及びレビー小体を伴う認知症が挙げられるが、これらに限定されない。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、認知症を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、認知症を有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の前頭葉の進行性の変性から生じる状態である。時間が経つにつれて、変性は、側頭葉に進むことがある。患者数で、アルツハイマー病(AD)次ぐ2番目であるが、FTDは初老期認知症の20%を占める。FTDの臨床特徴は、記憶障害、行動異常、人格変化、及び言語障害を含む(Cruts, M. & Van Broeckhoven, C., Trends Genet. 24:186-194 (2008); Neary, D., et al., Neurology 51:1546-1554 (1998); Ratnavalli, E., Brayne, C., Dawson, K. & Hodges, J. R., Neurology 58:1615-1621 (2002))。
FTD症例のかなりの部分は、常染色体優性様式で遺伝するが、たとえ1つのファミリーであっても、症状は、行動障害を伴うFTDから原発性進行性失語症、大脳皮質基底核神経節変性症に及ぶ可能性がある。FTDは、大部分の神経変性疾患と同様に、罹患した脳における特定のタンパク質凝集体の病理学的存在を特徴とすることができる。歴史的に、FTDの最初の記載により、神経原線維変化またはピック体における高リン酸化Tauタンパク質の神経細胞内蓄積の存在が認識された。微小管関連タンパク質Tauの因果的役割は、いくつかのファミリーにおいてTauタンパク質をコードする遺伝子における変異の同定によりサポートされた(Hutton, M., et al., Nature 393:702-705 (1998)。しかし、FTD脳の大部分は、高リン酸化Tauの蓄積を示さないが、ユビキチン(Ub)及びTAR DNA結合タンパク質(TDP43)に対する免疫反応性を示す(Neumann, M., et al., Arch. Neurol. 64:1388-1394 (2007))。それらのUb封入対を伴うFTD症例(FTD-U)の大部分は、プログラニュリン遺伝子に変異を保有することが示された。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、FTDを予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、FTDを有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態である。疾患に対する治療はなく、この疾患は、進行するにつれて悪化し、最終的に死をもたらす。ほとんどの場合、ADは、65歳超の人々において診断される。しかし、あまり一般的ではない早期発症型アルツハイマー病が、かなり早い時期に発症する可能性がある。
アルツハイマー病の一般的な症状は、最近の出来事を覚えることが困難、認知症状、混乱、過敏性及び攻撃性、気分変動、言語に伴う障害、ならびに長期記憶喪失などの行動徴候を含む。疾患が進行するにつれて、身体機能は失われ、最終的には死をもたらす。アルツハイマー病は、完全に明らかになる前の未知で不定の期間の間に発症し、何年もの間、診断未確定で進行する可能性がある。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、アルツハイマー病を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、アルツハイマー病を有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
那須-ハコラ病
代わりに硬化性白質脳症を伴う脂肪膜性多発嚢胞性骨異形成症(PLOSL)と称されることがある那須-ハコラ病(NHD)は、下肢及び上肢の多嚢胞性骨嚢胞に起因する再発性骨折を伴う進行性初老認知症を特徴とする稀な遺伝性ロイコジストロフィーである。NHD疾患の経過は一般に、4期:潜伏期、骨症状期、初期神経症状期、及び後期神経症状期に分けられる。幼児期(潜伏期)の正常な発達の後、NHDは、手、手首、足首、及び足に痛みを伴って青年期または若年成人期(典型的な発症年齢20~30歳)に現れ始める。その後、患者は、四肢の骨の多嚢胞性骨病変及び骨粗鬆症病変(骨症状期)に起因する再発性骨折に罹患し始める。人生の30年または40年(初期神経症状期)において、患者は、前頭葉症候群に特徴的な顕著な人格変化(例えば、多幸感、集中力の欠如、判断の喪失、及び社会的抑制)を呈する。患者は通常、進行性の記憶障害にも罹患する。てんかん発作も頻繁に観察される。最終的に(後期神経症状期)、患者は、深刻な認知症に進行し、話すこと及び動くことができず、通常50歳までに死亡する。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、那須-ハコラ病(NHD)を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、NHDを有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
パーキンソン病
特発性若しくは原発性パーキンソン症候群、低運動性硬直症候群(HRS)、または振戦麻痺と称されることがあるパーキンソン病は、運動系制御に影響を与える神経変性脳障害である。脳におけるドーパミン産生細胞の漸進的死により、パーキンソン病の主要な症状がもたらされる。多くの場合、パーキンソン病は、50歳以上の人々において診断されている。パーキンソン病は、ほとんどの人々において特発性(既知の原因を有さない)である。しかし、遺伝的要因も、この疾患に関与している。
パーキンソン病の症状は、手、腕、脚、顎、及び顔面の振戦、四肢及び胴体の筋硬直、運動の緩慢(運動緩慢)、姿勢の不安定性、歩行困難、神経精神障害、発語または行動の変化、うつ病、不安、痛み、精神病、認知症、幻覚、ならびに睡眠障害を含むが、これらに限定されない。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2抗体を投与すると、パーキンソン病を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、パーキンソン病を有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
筋萎縮性側索硬化症
本明細書で使用される場合、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または運動ニューロン疾患、またはルーゲーリック病は、同じ意味で使用され、急速な進行性脱力、筋萎縮及び線維束攣縮、筋痙縮、発話困難(構音障害)、嚥下困難(嚥下障害)、ならびに呼吸困難(呼吸困難症)を特徴とする様々な病因を有する消耗性疾患を指す。
プログラニュリンは、ALSに関与し(Schymick, JC et al., (2007) J Neurol Neurosurg Psychiatry.;78:754-6)、TDP-43などのALS原因タンパク質により引き起こされる損傷を再び防ぐことが示されている(Laird, AS et al., (2010). PLoS ONE 5: e13368)。pro-NGFは、脊髄損傷後のオリゴデンドロサイト及び皮質脊髄ニューロンのp75媒介死を誘導することも実証された(Beatty et al., Neuron (2002),36, pp. 375-386; Giehl et al, Proc. Natl. Acad. Sci USA (2004), 101, pp 6226-30)。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2抗体を投与すると、ALSを予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、ALSを有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)は、ハンチントン遺伝子(HTT)の常染色体優性変異により引き起こされる遺伝性の神経変性疾患である。ハンチンチン遺伝子内のサイトカイン-アデニン-グアニン(CAG)トリプレットリピートの伸長は、遺伝子によりコードされる変異型のハンチンチンタンパク質(Htt)の産生をもたらす。この変異体ハンチントンタンパク質(mHtt)は、毒性があり、ニューロン死の原因となる。ハンチントン病の症状は、任意の年齢で現れる可能性があるが、35歳及び44歳の間で最も一般的に現れる。
ハンチントン病の症状は、運動制御障害、痙攣、不規則運動(舞踏病)、異常な眼球運動、平衡障害、てんかん発作、咀嚼困難、嚥下困難、認知障害、発語変化、記憶障害、思考困難、不眠症、疲労、認知症、人格変化、うつ病、不安、及び強迫行動を含むが、これらに限定されない。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2抗体を投与すると、ハンチントン病(HD)を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、HDを有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
タウオパチー病
タウオパチー病またはタウ異常症は、脳内の微小管関連タンパク質Tauの凝集により引き起こされる神経変性疾患のクラスである。アルツハイマー病(AD)は、最もよく知られているタウオパチー病であり、不溶性形態での、ニューロン内のTauタンパク質の蓄積である神経原線維変化(NFT)を含む。他のタウオパチー病及び障害としては、進行性核上性麻痺、ボクサー認知症(慢性外傷性脳症)、前頭側頭型認知症、及び17番染色体に関連するパーキンソン症候群、リティコ-ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経原線維変化型老年期認知症、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳症、結節性脳硬化症、ハレルフォルデン・スパッツ病、リポフスチン沈着症、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀顆粒病(AGD)、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、ならびに前頭側頭葉変性症が挙げられる。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2抗体を投与すると、タウオパチー病を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、タウオパチー病を有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、または1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、散在性硬化症または散在性脳脊髄炎とも称することができる。MSは、脳及び脊髄の軸索周囲の脂肪ミエリン鞘が損傷し、脱髄及び瘢痕化ならびに広範囲の徴候及び症状をもたらす炎症性疾患である。MSは、脳及び脊髄内の神経細胞の、相互に効果的に伝達する能力に影響を及ぼす。神経細胞は、ミエリンと呼ばれる絶縁物質内に含有される軸索と呼ばれる長い繊維の下に活動電位と呼ばれる電気信号を送ることにより伝達する。MSでは、身体の免疫系が、ミエリンを攻撃して損傷する。ミエリンが失われると、軸索は、もはや効果的にシグナルを伝導できない。MS発症は通常、若年成人で生じ、女性においてより一般的である。
MSの症状は、感度の低下または刺痛感などの感覚の変化;感覚減退及び感覚異常などの穿刺またはしびれ;筋力低下;クローヌス;筋痙攣;移動困難;運動失調などの協調及び平衡障害;構音障害などの発語困難または嚥下障害などの嚥下困難;眼振などの視覚障害;閃光感覚及び複視を含む視神経炎;疲労;急性または慢性疼痛;ならびに膀胱直腸障害;様々な程度の認知障害;うつ病または不安な気分の感情的な症状;通常の周囲温度よりも高い温度に曝されることに起因する現存の症状の悪化であるUhthoff現象;ならびに首を曲げる時に背中に走る電気的感覚であるLhermitte徴候を含むが、これらに限定されない。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、多発性硬化症を予防し、リスク低減させ、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を投与すると、多発性硬化症を有する個体において1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性(例えば、DAP12リン酸化反応、PI3K活性化、1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加、及び1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減)を誘導することがある。
癌
本開示のさらなる態様は、本開示の治療的有効量の単離抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を、個体に投与することを含む、癌を有する個体を予防する、リスク低減する、または治療するための方法を提供する。本開示の単離抗体のいずれかは、これらの方法において使用されても良い。一部の実施形態では、単離抗体は、本開示のアゴニスト抗体である。他の実施形態では、単離抗体は、本開示のアンタゴニスト抗体である。
上記のように、腫瘍微小環境は、Tリンパ球、マクロファージ、及び骨髄系/顆粒球系統の細胞を含む不均一免疫浸潤物を含有することが知られている。特に、腫瘍におけるM2マクロファージの存在は、予後不良と関連する。CSF1Rブロック剤などの腫瘍中のこれらの細胞の数を低減させる治療法は、前臨床モデル及び初期の臨床研究において有益な効果を示している。TREM2は、インビトロでマクロファージの生存を促進するためにCSF1と相乗作用すること、及び、この効果は、他の種類の食細胞と比較して、M2型マクロファージにおいて特に顕著であること、が示されている。有力な前臨床研究はまた、腫瘍関連マクロファージ(例えば、CSF1/CSF1Rブロッキング抗体)を標的とする薬剤及びT細胞を標的とするチェックポイントブロッキング抗体の間の相乗作用を示しており、両方の細胞型を操作することにより、個々の治療法が効果的でない腫瘍モデルにおける有効性を示すことが明らかにされている(Zhu Y; Cancer Res. 2014 Sep 15; 74(18):5057-69)。それ故、理論に拘束されることを望むものではないが、腫瘍関連マクロファージにおけるTREM2シグナル伝達をブロックすることは、腫瘍微小環境における免疫応答の抑制を阻害して、治療的抗腫瘍免疫応答をもたらすことがあると考えられている。
TREM2及びCSF1の間の相乗作用、ならびに腫瘍関連マクロファージ及び標的化T細胞の間の相乗作用のために、一部の実施形態では、癌を有する個体を予防する、リスク低減させる、または治療するための方法は、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を、個体に投与することをさらに含む。阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する抗体の例としては、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L2抗体、抗PD-1抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、及び抗HVEM抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗TIM3抗体、抗A2AR抗体、抗LAG-3抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、本開示のアンタゴニスト抗TREM2及び/または抗DAP12抗体と組み合わせて投与される。
一部の実施形態では、本開示の方法により予防または治療されるべき癌は、扁平上皮癌(例えば、上皮性扁平上皮癌);小細胞肺癌非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌及び胃腸間質癌を含む胃癌または胃癌、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路の癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌または腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、表在性拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端部黒子様黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症と関連する異常血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、メイグス症候群、脳及び頭頸部癌、ならびに関連する転移を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。一部の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、腎細胞癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、乳癌、胃癌、及び肝癌から選択される。一部の実施形態では、癌は、トリプルネガティブ乳癌である。一部の実施形態では、癌は、初期癌または後期癌であって良い。一部の実施形態では、癌は、原発性腫瘍であって良い。一部の実施形態では、癌は、上記の種類の癌のいずれかに由来する第2の部位の転移性腫瘍であって良い。
一部の実施形態では、本開示の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体は、膀胱癌、乳癌、結腸及び直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、白血病、肺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、線維肉腫、ならびに甲状腺癌を含むがこれらに限定されない癌を予防する、リスク低減させる、または治療するために使用されても良い。
一部の実施形態では、本開示は、本開示の治療的有効量の抗TREM2及び/または抗DAP12抗体を、個体に投与することにより、癌を有する個体を予防する、リスク低減させる、または治療する方法を提供する。
一部の実施形態では、方法は、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を、個体に投与すること、及び/または、別の標準若しくは治験抗癌療法をさらに含む。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、単離抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L2抗体、抗PD-1抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、及び抗HVEM抗体、抗Bリンパ球及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)抗体、抗キラー阻害性受容体(KIR)抗体、抗GAL9抗体、抗TIM3抗体、抗A2AR抗体、抗LAG-3抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、抗CD27抗体、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される。一部の実施形態では、標準または治験抗癌療法は、放射線療法、細胞傷害性化学療法、標的療法、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、養子細胞移入(ACT)、キメラ抗原受容体T細胞移入(CAR-T)、ワクチン療法、及びサイトカイン療法から選択される1つ以上の治療法である。
一部の実施形態では、方法は、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を、個体に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、単離抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗CCL2抗体、抗CSF-1抗体、抗IL-2抗体、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
一部の実施形態では、方法は、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体を、個体に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体は、単離抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体は、アゴニスト抗CD40抗体、アゴニスト抗OX40抗体、アゴニスト抗ICOS抗体、アゴニスト抗CD28抗体、アゴニスト抗CD137/4-1BB抗体、アゴニスト抗CD27抗体、アゴニスト抗グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR抗体、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
一部の実施形態では、方法は、少なくとも1つの刺激性サイトカインを、個体に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの刺激性サイトカインは、単離抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つの刺激性サイトカインは、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、OSM、CNTF、TGF-β、IL-11、IL-12、IL-17、IL-8、CRP、IFN-α、IFN-β、IL-2、IL-18、GM-CSF、G-CSF、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
製造のキット/物品
本開示はまた、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2若しくは抗DAP12抗体)またはその機能的フラグメントを含有するキットを提供する。本開示のキットは、本開示の精製された抗体を含む1つ以上の容器を含んでも良い。一部の実施形態では、キットは、本開示の方法に従い、使用のための使用説明書をさらに含む。一部の実施形態では、これらの使用説明書は、本開示の任意の方法に従い、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、及び多発性硬化症から選択される疾患、障害、または損傷を有する個体を予防する、リスク低減させる、または治療するための、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体)の投与の記載を含む。
一部の実施形態では、使用説明書は、例えば、個体、組織サンプル、または細胞において、TREM2及び/またはDAP12を検出する方法の記載を含む。キットは、その個体が疾患及び疾患の段階を有するかどうかを識別することに基づいて、治療に適する個体を選択する記載をさらに含んでも良い。
一部の実施形態では、キットは、本開示の別の抗体(例えば、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体、及び/若しくは、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体)、ならびに/または少なくとも1つの刺激性サイトカインをさらに含んでも良い。一部の実施形態では、キットは、本開示の任意の方法に従い、抗体及び/若しくは刺激性サイトカインを本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2アンタゴニスト抗体)と組み合わせて使用するための使用説明書、本開示の単離抗体を、抗体及び/若しくは刺激性サイトカインと組み合わせて使用するための使用説明書、または本開示の単離抗体及び抗体及び/若しくは刺激性サイトカインを使用するための使用説明書をさらに含んでも良い。
使用説明書は一般に、目的の治療のための投薬量、投薬スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)またはサブユニット用量であっても良い。本開示のキットで供給される使用説明書は通常、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた使用説明書であるが、機械で読み取ることができる使用説明書(例えば、磁気または光学記憶ディスク上に担持される使用説明書)も許容される。
ラベルまたは添付文書は、組成物が、例えば、本開示の疾患を治療するために使用されることを示す。使用説明書は、本明細書で記載される方法のいずれかを実行するために提供されても良い。
本開示のキットは、好適なパッケージングに中にある。好適なパッケージングは、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブルパッケージング(例えば、密封マイラーまたはプラスチックバッグ)などを含むが、これらに限定されない。吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)、またはミニポンプなどの注入デバイスなどの特定のデバイスと組み合わせて使用するためのパッケージも検討される。キットは、滅菌アクセスポートを有しても良い(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針により穿刺可能な栓を有するバイアルであって良い)。容器はまた、滅菌アクセスポートを有しても良い(例えば、容器は、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針により穿刺可能な栓を有するバイアルであって良い)。組成物中の少なくとも1つの活性薬は、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体)である。容器は、第2の薬学的に活性な薬剤をさらに含んでも良い。
キットは任意に、緩衝剤及び説明情報などの追加のコンポーネントを提供しても良い。通常、キットは、容器及び容器上のまたは容器に伴うラベルまたは添付文書(複数可)を含む。
診断用途
本開示の分離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体)は、診断実用性も有する。それ故、本開示は、個体または個体に由来する組織サンプルでのTREM2及び/またはDAP12の検出などの診断目的のための本開示の抗体またはそれらの機能的フラグメントを使用する方法を提供する。
一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、個体は、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、多発性硬化症、または癌に罹患する、またはこれを発症するリスクのあるヒト患者である。一部の実施形態では、診断方法は、生検標本、組織、または細胞などの生体サンプルにおいてTREM2及び/またはDAP12を検出することを含む。本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体)は、生体サンプルと接触し、抗原結合抗体が検出される。例えば、組織サンプル(例えば、生検標本)は、疾患関連マクロファージ(例えば、M2型マクロファージ)を検出及び/または定量化する、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体で染色されても良い。検出方法は、抗原結合抗体の定量化を含んでも良い。生体サンプルにおける抗体検出は、免疫蛍光顕微鏡検査、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS解析、免疫沈降、またはマイクロ陽電子放出断層撮影を含む当該技術分野で既知の任意の方法により生じることがある。特定の実施形態では、抗体は、例えば、18Fで放射性標識され、続いて、マイクロ陽電子放出断層撮影を利用して検出される。抗体結合はまた、陽電子放出断層撮影(PET)、X線コンピュータ断層撮影、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影(CT)、及びコンピュータ体軸断層撮影(CAT)などの非侵襲的技術により、患者において定量化されても良い。
他の実施形態では、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体)は、例えば、前臨床疾患モデル(例えば、非ヒト疾患モデル)から得られる脳標本のミクログリアを検出及び/または定量化するために使用されても良い。そのようなものであるから、本開示の単離抗体(例えば、本明細書に記載されている抗TREM2または抗DAP12抗体)は、対照と比較して、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、または多発性硬化症などの神経系疾患または損傷のためのモデルにおける治療後の治療的応答を評価することに有用であることがある。
列挙された実施形態
次の列挙された実施形態は、本発明の一部の態様を代表している。
1.抗体が、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を誘導する、TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方に結合する単離アゴニスト抗体。
2.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、哺乳動物タンパク質またはヒトタンパク質である、実施形態1に記載の単離抗体。
3.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、野生型タンパク質である、実施形態2に記載の単離抗体。
4.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、天然多様体である、実施形態2に記載の単離抗体。
5.1つ以上のTREM2活性が、TREM2がDAP12に結合することを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の単離抗体。
6.1つ以上のDAP12活性が、DAP12がTREM2に結合することを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の単離抗体。
7.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、DAP12リン酸化を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の単離抗体。
8.DAP12リン酸化が、1つ以上のSRCファミリーチロシンキナーゼにより誘導される、実施形態7に記載の単離抗体。
9.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、PI3K活性化を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の単離抗体。
10.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、IL-12p70、IL-6、及びIL-10からなる群から選択される1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の単離抗体。
11.1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加が、マクロファージ、樹状細胞、及びミクログリア細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞で生じる、実施形態10に記載の単離抗体。
12.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、IFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、IL-1β、及びTNFからなる群から選択される1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の単離抗体。
13.1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減が、マクロファージ、樹状細胞、及びミクログリア細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞で生じる、実施形態12に記載の単離抗体。
14.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の単離抗体。
15.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現の増加を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の単離抗体。
16.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の単離抗体。
17.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の低減、正常化、またはその両方を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の単離抗体。
18.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の単離抗体。
19.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、マクロファージ、ミクログリア細胞、またはその両方の生存を増加させることを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の単離抗体。
20.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、マクロファージ、ミクログリア細胞、またはその両方の機能を増加させることを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の単離抗体。
21.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、炎症を伴わないアポトーシスニューロンクリアランス、炎症を伴わない神経組織破片クリアランス、炎症を伴わない非神経組織破片クリアランス、炎症を伴わない細菌または他の異物クリアランス、及び炎症を伴わない病原性タンパク質クリアランスからなる群から選択される、炎症を伴わない1種以上のクリアランスの誘導を含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の単離抗体。
22.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、炎症を伴わないアポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、または病原性タンパク質のうちの1つ以上の、炎症を伴わない貪食の誘導を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の単離抗体。
23.病原性タンパク質が、Aベータペプチド、アルファシヌクレインタンパク質、Tauタンパク質、TDP-43タンパク質、プリオンタンパク質、及びハンチンチンタンパク質からなる群から選択される、実施形態21または実施形態22に記載の単離抗体。
24.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化を含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の単離抗体。
25.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、Syk、ZAP70、またはその両方の、DAP12へのリクルートを含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の単離抗体。
26.TREM2タンパク質に結合する単離アゴニスト抗体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基29~112、または配列番号1のアミノ酸残基29~112に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
ii.配列番号1のアミノ酸残基29~41、または配列番号1のアミノ酸残基29~41に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
iii.配列番号1のアミノ酸残基40~44、または配列番号1のアミノ酸残基40~44に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
iv.配列番号1のアミノ酸残基47~69、または配列番号1のアミノ酸残基47~69に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
v.配列番号1のアミノ酸残基67~76、または配列番号1のアミノ酸残基67~76に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
vi.配列番号1のアミノ酸残基76~86、または配列番号1のアミノ酸残基76~86に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
vii.配列番号1のアミノ酸残基91~100、または配列番号1のアミノ酸残基91~100に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
viii.配列番号1のアミノ酸残基99~115、または配列番号1のアミノ酸残基99~115に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
ix.配列番号1のアミノ酸残基104~112、または配列番号1のアミノ酸残基104~112に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;及び、
x.配列番号1のアミノ酸残基114~118、または配列番号1のアミノ酸残基114~118に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の単離抗体。
27.TREM2タンパク質に結合する単離アゴニスト抗体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基Arg47またはAsp87;
ii.配列番号1のアミノ酸残基40~44;
iii.配列番号1のアミノ酸残基67~76;及び、
iv.配列番号1のアミノ酸残基114~118からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の単離抗体。
28.DAP12タンパク質に結合する単離アゴニスト抗体が、配列番号2のアミノ酸残基22~40または配列番号2のアミノ酸残基22~40に対応するDAP12タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の単離抗体。
29.単離アゴニスト抗体が、
i.配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸残基に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;及び、
ii.配列番号2の1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号2のアミノ酸残基に対応するDAP12タンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸に結合する二重特異性抗体である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の単離抗体。
30.抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多価抗体、またはキメラ抗体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
31.抗体が、モノクローナル抗体である、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
32.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
33.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態32に記載の単離抗体。
34.先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体をコードする単離核酸。
35.実施形態34に記載の核酸を含むベクター。
36.実施形態35に記載のベクターを含む宿主細胞。
37.抗体が産生されるように、実施形態36に記載の宿主細胞を培養することを含む抗体を産生する方法。
38.宿主細胞により産生された抗体を回収することをさらに含む、実施形態37に記載の方法。
39.実施形態1~33のいずれか1つに記載の抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される担体。
40.実施形態1~33のいずれか1つに記載の治療的有効量の単離抗体を、個体に投与することを含む、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、及び多発性硬化症からなる群から選択される、疾患、障害、または損傷を有する個体を、予防する、リスク低減させる、または治療する方法。
41.個体が、TREM2のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基Glu14をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン酸;
ii.配列番号1のアミノ酸残基Gln33をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン;
iii.配列番号1のアミノ酸残基Trp44をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファン;
iv.配列番号1のアミノ酸残基Arg47に対応するアミノ酸でのアルギニンからヒスチジンへのアミノ酸置換;
v.配列番号1のアミノ酸残基Trp78をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファン;
vi.配列番号1のアミノ酸残基Val126に対応するアミノ酸でのバリンからグリシンへのアミノ酸置換;
vii.配列番号1のアミノ酸残基Asp134に対応するアミノ酸でのアスパラギン酸からグリシンへのアミノ酸置換;及び、
viii.配列番号1のアミノ酸残基Lys186に対応するアミノ酸でのリシンからアスパラギンへのアミノ酸置換からなる群から選択される1つ以上の置換を含む、実施形態40に記載の方法。
42.個体が、TREM2のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G313に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G267に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;またはその両方を含む、実施形態40に記載の方法。
43.個体が、DAP12のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、
i.配列番号2のアミノ酸残基Met1に対応するアミノ酸でのメチオニンからトレオニンへの置換;
ii.配列番号2のアミノ酸残基Gly49に対応するアミノ酸でのグリシンからアルギニンへのアミノ酸置換;
iii.配列番号2をコードする核酸配列のエクソン1~4内の欠失;
iv.配列番号2をコードする核酸配列のエクソン3での14アミノ酸残基の挿入;及び、
v.配列番号2をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G141に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失からなる群から選択される1つ以上の多様体を含む、実施形態40に記載の方法。
44.抗体が、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を誘導する、TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方に結合する単離アゴニスト抗体。
45.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、哺乳動物タンパク質またはヒトタンパク質である、実施形態44に記載の単離抗体。
46.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、野生型タンパク質である、実施形態45に記載の単離抗体。
47.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、天然多様体である、実施形態45に記載の単離抗体。
48.単離抗体が、細胞表面上に、TREM2クラスター形成、DAP12クラスター形成、またはその両方を誘導または保持する、実施形態44~47のいずれか1つに記載の単離抗体。
49.1つ以上のTREM2活性が、TREM2がDAP12に結合することを含む、実施形態44~48のいずれか1つに記載の単離抗体。
50.1つ以上のDAP12活性が、DAP12がTREM2に結合することを含む、実施形態44~48のいずれか1つに記載の単離抗体。
51.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、DAP12リン酸化、TREM2リン酸化、またはその両方を含む、実施形態44~50のいずれか1つに記載の単離抗体。
52.DAP12リン酸化、TREM2リン酸化、またはその両方が、1つ以上のSRCファミリーチロシンキナーゼにより誘導される、実施形態51に記載の単離抗体。
53.1つ以上のSRCファミリーチロシンキナーゼが、Sykキナーゼを含む、実施形態52に記載の単離抗体。
54.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、PI3K活性化を含む、実施形態44~53のいずれか1つに記載の単離抗体。
55.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、1つ以上の抗炎症性サイトカインの発現の増加を含む、実施形態44~54のいずれか1つに記載の単離抗体。
56.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、IL-12p70、IL-6、及びIL-10からなる群から選択される1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加を含む、実施形態44~54のいずれか1つに記載の単離抗体。
57.発現の増加が、マクロファージ、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及びミクログリア細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞で生じる、実施形態55または実施形態56に記載の単離抗体。
58.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、1つ以上の前炎症性サイトカインの発現の低減を含む、実施形態44~57のいずれか1つに記載の単離抗体。
59.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、IFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、IL-1β、TNF、TNF-α、IL-10、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、及びCRPからなる群から選択される1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減を含む、実施形態44~57のいずれか1つに記載の単離抗体。
60.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、TNF-α、IL-6、またはその両方の発現の低減を含む、実施形態44~58のいずれか1つに記載の単離抗体。
61.1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減が、マクロファージ、樹状細胞、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及びミクログリア細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞で生じる、実施形態58または実施形態60に記載の単離抗体。
62.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化を含む、実施形態44~60のいずれか1つに記載の単離抗体。
63.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現の増加を含む、実施形態44~62のいずれか1つに記載の単離抗体。
64.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導を含む、実施形態44~63のいずれか1つに記載の単離抗体。
65.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強、正常化、またはその両方を含む、実施形態44~64のいずれか1つに記載の単離抗体。
66.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導を含む、実施形態44~65のいずれか1つに記載の単離抗体。
67.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、マクロファージ、ミクログリア細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の生存を増加させることを含む、実施形態44~66のいずれか1つに記載の単離抗体。
68.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、マクロファージ、ミクログリア細胞、樹状細胞、マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、及び/またはクッパー細胞の機能を増加させることを含む、実施形態44~67のいずれか1つに記載の単離抗体。
69.マクロファージ及び/またはミクログリア細胞が、M1マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞、M2マクロファージ及び/若しくはミクログリア細胞、またはその両方である、実施形態67または実施形態68に記載の単離抗体。
70.M1マクロファージ及び/またはミクログリア細胞が、活性化M1マクロファージ及び/またはミクログリア細胞である、実施形態69に記載の単離抗体。
71.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、アポトーシスニューロンクリアランス、神経組織破片クリアランス、非神経組織破片クリアランス、細菌または他の異物クリアランス、病原性タンパク質クリアランス、病原性ペプチドクリアランス、及び病原性核酸クリアランスからなる群から選択される1種以上のクリアランスの誘導を含む、実施形態44~68のいずれか1つに記載の単離抗体。
72.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、または病原性核酸のうちの1つ以上の貪食の誘導を含む、実施形態44~71のいずれか1つに記載の単離抗体。
73.病原性タンパク質が、アミロイドベータ、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、β2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドからなる群から選択される、実施形態71または実施形態72に記載の単離抗体。
74.病原性核酸が、アンチセンスGGCCCC(G2C4)リピート伸長RNAである、実施形態71または実施形態72に記載の単離抗体。
75.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化を含む、実施形態44~74のいずれか1つに記載の単離抗体。
76.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、Syk、ZAP70、またはその両方の、DAP12/TREM2複合体へのリクルートを含む、実施形態44~75のいずれか1つに記載の単離抗体。
77.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、Sykリン酸化を含む、実施形態44~76のいずれか1つに記載の単離抗体。
78.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、樹状細胞上のCD83及び/またはCD86の発現の増加を含む、実施形態44~77のいずれか1つに記載の単離抗体。
79.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減を含む、実施形態44~78のいずれか1つに記載の単離抗体。
80.1つ以上の炎症性サイトカインが、TNF-α、IL-10、IL-6、MCP-1、IFN-a4、IFN-b、IL-1β、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-ガンマ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、及びIL-18からなる群から選択される、実施形態79に記載の単離抗体。
81.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、1つ以上の炎症性受容体の発現の低減を含む、実施形態44~79のいずれか1つに記載の単離抗体。
82.1つ以上の炎症性受容体が、CD86を含む、実施形態81に記載の単離抗体。
83.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を増加させることを含む、実施形態44~82のいずれか1つに記載の単離抗体。
84.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を減少させることを含む、実施形態44~82のいずれか1つに記載の単離抗体。
85.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を増加させることを含む、実施形態44~84のいずれか1つに記載の単離抗体。
86.1つ以上のTREM2依存性遺伝子が、1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子を含む、実施形態85に記載の単離抗体。
87.抗体が、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、実施形態44~86のいずれか1つに記載の単離抗体。
88.抗体が、IgGクラスであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、実施形態87に記載の単離抗体。
89.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態87に記載の単離抗体。
90.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態89に記載の単離抗体。
91.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態90に記載の単離抗体。
92.抗体が、Fc受容体への結合と独立して、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を誘導する、実施形態89~91のいずれか1つに記載の単離抗体。
93.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態89~91のいずれか1つに記載の単離抗体。
94.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態93に記載の単離抗体。
95.ヒトIgG2定常領域が、1つ以上の修飾を含むFc領域を含む、実施形態93または実施形態94に記載の単離抗体。
96.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態95に記載の単離抗体。
97.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、S267E、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態96に記載の単離抗体。
98.ヒトIgG2定常領域が、C214Sアミノ酸置換を含む軽鎖定常領域を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態90に記載の単離抗体。
99.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態87に記載の単離抗体。
100.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態99に記載の単離抗体。
101.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態100に記載の単離抗体。
102.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態99~101のいずれか1つに記載の単離抗体。
103.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態102に記載の単離抗体。
104.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態101~103のいずれか1つに記載の単離抗体。
105.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態104に記載の単離抗体。
106.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、D265A、L234A、L235A、G237A、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態105に記載の単離抗体。
107.抗体が、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む、実施形態101~103のいずれか1つに記載の単離抗体。
108.IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域が、ASTKGPSVFP LAPCSRSTSE STAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGVHTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSNFGTQT YTCNVDHKPS NTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号397)のアミノ酸配列を含む、実施形態107に記載の単離抗体。
109.抗体Fc領域が、S267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、若しくはその両方、及び/または、N297A若しくはN297Qアミノ酸置換を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態107または実施形態108に記載の単離抗体。
110.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態99に記載の単離抗体。
111.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態87に記載の単離抗体。
112.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態111に記載の単離抗体。
113.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態112に記載の単離抗体。
114.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態111~113のいずれか1つに記載の単離抗体。
115.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態114に記載の単離抗体。
116.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態113~115のいずれか1つに記載の単離抗体。
117.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態116に記載の単離抗体。
118.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、L235A、G237A、S228P、L236E、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態117に記載の単離抗体。
119.抗体が、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する、実施形態87に記載の単離抗体。
120.抗体が、ヒトIgG2のアミノ酸118~260及びヒトIgG4のアミノ酸261~447を含むアミノ酸配列を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態119に記載の単離抗体。
121.抗体が、マウスIgG4定常領域を含む、実施形態111に記載の単離抗体。
122.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントであり、抗体フラグメントが、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する二次抗体フラグメントに架橋される、実施形態1~121のいずれか1つに記載の単離抗体。
123.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態122に記載の単離抗体。
124.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方に結合する、単離不活性抗体。
125.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方に結合する、単離アンタゴニスト抗体。
126.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、哺乳動物タンパク質またはヒトタンパク質である、実施形態124または実施形態125に記載の単離抗体。
127.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、野生型タンパク質である、実施形態126に記載の単離抗体。
128.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方が、天然多様体である、実施形態126に記載の単離抗体。
129.単離抗体が、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を阻害する、実施形態125~128のいずれか1つに記載の単離抗体。
130.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を減少させることを含む、実施形態129に記載の単離抗体。
131.1つ以上のTREM2依存性遺伝子が、1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子を含む、実施形態130に記載の単離抗体。
132.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、マクロファージ、ミクログリア細胞、M1マクロファージ、M1ミクログリア細胞、M2マクロファージ、M2ミクログリア細胞、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/または樹状細胞の生存を減少させることを含む、実施形態129~131のいずれか1つに記載の単離抗体。
133.単離抗体が、TREM2と、1つ以上のTREM2リガンドとの間の相互作用を阻害する、TREM2シグナル伝達を阻害する、またはその両方である、実施形態125~132のいずれか1つに記載の単離抗体。
134.抗体が、Fcγ受容体(FcγR)に結合できない、実施形態124~133のいずれか1つに記載の単離抗体。
135.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態134に記載の単離抗体。
136.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態135に記載の単離抗体。
137.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態136に記載の単離抗体。
138.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態137に記載の単離抗体。
139.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態138に記載の単離抗体。
140.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態139に記載の単離抗体。
141.Fc領域が、EU番号付けによるグリシン236に対応する位置にアミノ酸欠失をさらに含む、実施形態140に記載の単離抗体。
142.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態135に記載の単離抗体。
143.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態134に記載の単離抗体。
144.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態143に記載の単離抗体。
145.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態144に記載の単離抗体。
146.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態145に記載の単離抗体。
147.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態146に記載の単離抗体。
148.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態147に記載の単離抗体。
149.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態134に記載の単離抗体。
150.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態149に記載の単離抗体。
151.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態150に記載の単離抗体。
152.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態151に記載の単離抗体。
153.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態152に記載の単離抗体。
154.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態153に記載の単離抗体。
155.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである、実施形態124~154のいずれか1つに記載の単離抗体。
156.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態155に記載の単離抗体。
157.Fc領域が、A330L、L234F;L235E、P331S、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態106、実施形態140、または実施形態141に記載の単離抗体。
158.Fc領域が、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態95~157のいずれか1つに記載の単離抗体。
159.Fc領域が、EU番号付けによるS228Pアミノ酸置換をさらに含む、実施形態118または実施形態154に記載の単離抗体。
160.単離抗体が、TREM2の、1つ以上のTREM2リガンドとの結合について競合する、実施形態44~159のいずれか1つに記載の単離抗体。
161.1つ以上のTREM2リガンドが、E.coli細胞、アポトーシス細胞、核酸、アニオン性脂質、双性イオン性脂質、負に荷電した脂質、ホスファチジルセリン、スルファチド、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、膜リン脂質、脂質化タンパク質、プロテオリピド、脂質化ペプチド、及び脂質化アミロイドベータペプチドからなる群から選択される、実施形態160に記載の単離抗体。
162.単離抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多価抗体、またはキメラ抗体である、実施形態44~161のいずれか1つに記載の単離抗体。
163.単離抗体が、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、実施形態44~162のいずれか1つに記載の単離抗体。
164.第1の抗原が、ヒトTREM2若しくはその天然多様体、またはヒトDAP12若しくはその天然多様体であり、第2の抗原が、アミロイドベータまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドからなる群から選択される病原性タンパク質;あるいは、トランスフェリン受容体、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、LRP-1、及びLRP1からなる群から選択されるタンパク質を標的とする血液脳関門である、実施形態163に記載の単離抗体。
165.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントであり、抗体が、アミロイドベータまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される病原性タンパク質に特異的に結合する1つ以上の抗体と組み合わせて使用される、実施形態44~161のいずれか1つに記載の単離抗体。
166.抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態44~165のいずれか1つに記載の単離抗体。
167.単離抗体が、TREM2タンパク質に結合し、単離抗体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基29~112、または配列番号1のアミノ酸残基29~112に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
ii.配列番号1のアミノ酸残基29~41、または配列番号1のアミノ酸残基29~41に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
iii.配列番号1のアミノ酸残基40~44、または配列番号1のアミノ酸残基40~44に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
iv.配列番号1のアミノ酸残基47~69、または配列番号1のアミノ酸残基47~69に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
v.配列番号1のアミノ酸残基67~76、または配列番号1のアミノ酸残基67~76に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
vi.配列番号1のアミノ酸残基76~86、または配列番号1のアミノ酸残基76~86に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
vii.配列番号1のアミノ酸残基91~100、または配列番号1のアミノ酸残基91~100に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
viii.配列番号1のアミノ酸残基99~115、または配列番号1のアミノ酸残基99~115に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
ix.配列番号1のアミノ酸残基104~112、または配列番号1のアミノ酸残基104~112に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;及び、
x.配列番号1のアミノ酸残基114~118、または配列番号1のアミノ酸残基114~118に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態44~166のいずれか1つに記載の単離抗体。
168.単離抗体が、配列番号1のアミノ酸残基43~50または配列番号1のアミノ酸残基43~50に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態167に記載の単離抗体。
169.単離抗体が、配列番号1のアミノ酸残基49~57または配列番号1のアミノ酸残基49~57に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態167に記載の単離抗体。
170.単離抗体が、配列番号1のアミノ酸残基43~50内に1つ以上のアミノ酸を含むエピトープに結合する、実施形態44~167のいずれか1つに記載の単離抗体。
171.単離抗体が、配列番号1のアミノ酸残基43~50内に1つ以上のアミノ酸を含むエピトープに結合する、実施形態44~167のいずれか1つに記載の単離抗体。
172.単離抗体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基Arg47またはAsp87;
ii.配列番号1のアミノ酸残基40~44;
iii.配列番号1のアミノ酸残基67~76;及び、
iv.配列番号1のアミノ酸残基114~118からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する、実施形態44~167のいずれか1つに記載の単離抗体。
173.単離抗体が、配列番号2のアミノ酸残基22~40または配列番号2のアミノ酸残基22~40に対応するDAP12タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態44~167のいずれか1つに記載の単離抗体。
174.単離抗体が、
i.配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸残基に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;及び、
ii.配列番号2の1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号2のアミノ酸残基に対応するDAP12タンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸に結合する二重特異性抗体である、実施形態44~167のいずれか1つに記載の単離抗体。
175.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab52のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み;ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab52のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含む、実施形態44~174のいずれか1つに記載の単離抗体。
176.HVR-H1が、配列番号398のアミノ酸配列を含む、実施形態175に記載の単離抗体。
177.HVR-H2が、配列番号399のアミノ酸配列を含む、実施形態175または実施形態176に記載の単離抗体。
178.HVR-H3が、配列番号400のアミノ酸配列を含む、実施形態175~177のいずれか1つに記載の単離抗体。
179.HVR-L1が、配列番号401のアミノ酸配列を含む、実施形態175~178のいずれか1つに記載の単離抗体。
180.HVR-L2が、配列番号402のアミノ酸配列を含む、実施形態175~179のいずれか1つに記載の単離抗体。
181.HVR-L3が、配列番号403のアミノ酸配列を含む、実施形態175~180のいずれか1つに記載の単離抗体。
182.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、
(a)配列番号398のアミノ酸配列、若しくは配列番号398のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号399のアミノ酸配列、若しくは配列番号399のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、
(c)配列番号400のアミノ酸配列、若しくは配列番号400のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み;ならびに/または、
軽鎖可変ドメインが、
(a)配列番号401のアミノ酸配列、若しくは配列番号401のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(b)配列番号402のアミノ酸配列、若しくは配列番号402のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、
(c)配列番号403のアミノ酸配列、若しくは配列番号403のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態44~174のいずれか1つに記載の単離抗体。
183.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab21のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み;ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab21のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含む、実施形態44~174のいずれか1つに記載の単離抗体。
184.HVR-H1が、配列番号404のアミノ酸配列を含む、実施形態183に記載の単離抗体。
185.HVR-H2が、配列番号405のアミノ酸配列を含む、実施形態183または184に記載の単離抗体。
186.HVR-H3が、配列番号406のアミノ酸配列を含む、実施形態183~185のいずれか1つに記載の単離抗体。
187.HVR-L1が、配列番号407のアミノ酸配列を含む、実施形態183~186のいずれか1つに記載の単離抗体。
188.HVR-L2が、配列番号408のアミノ酸配列を含む、実施形態183~187のいずれか1つに記載の単離抗体。
189.HVR-L3が、配列番号409のアミノ酸配列を含む、実施形態183~188のいずれか1つに記載の単離抗体。
190.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、
(a)配列番号404のアミノ酸配列、若しくは配列番号404のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号405のアミノ酸配列、若しくは配列番号405のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、
(c)配列番号406のアミノ酸配列、若しくは配列番号406のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、
軽鎖可変ドメインが、
(a)配列番号407のアミノ酸配列、若しくは配列番号407のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(b)配列番号408のアミノ酸配列、若しくは配列番号408のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、
(c)配列番号409のアミノ酸配列、若しくは配列番号409のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態44~174のいずれか1つに記載の単離抗体。
191.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab52のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み;ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab52のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含む、単離抗ヒトTREM2抗体。
192.HVR-H1が、配列番号398のアミノ酸配列を含む、実施形態191に記載の単離抗体。
193.HVR-H2が、配列番号399のアミノ酸配列を含む、実施形態191または実施形態192に記載の単離抗体。
194.HVR-H3が、配列番号400のアミノ酸配列を含む、実施形態191~193のいずれか1つに記載の単離抗体。
195.HVR-L1が、配列番号401のアミノ酸配列を含む、実施形態191~194のいずれか1つに記載の単離抗体。
196.HVR-L2が、配列番号402のアミノ酸配列を含む、実施形態191~195のいずれか1つに記載の単離抗体。
197.HVR-L3が、配列番号403のアミノ酸配列を含む、実施形態191~196のいずれか1つに記載の単離抗体。
198.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、配列番号398のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号399のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号400のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、配列番号401のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号402のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号403のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態191に記載の単離抗体。
199.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、
(a)配列番号398のアミノ酸配列、若しくは配列番号398のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号399のアミノ酸配列、若しくは配列番号399のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、
(c)配列番号400のアミノ酸配列、若しくは配列番号400のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、
軽鎖可変ドメインが、
(a)配列番号401のアミノ酸配列、若しくは配列番号401のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(b)配列番号402のアミノ酸配列、若しくは配列番号402のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、
(c)配列番号403のアミノ酸配列、若しくは配列番号403のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、単離抗ヒトTREM2抗体。
200.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab21のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み;ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab21のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含む、単離抗ヒトTREM2抗体。
201.HVR-H1が、配列番号404のアミノ酸配列を含む、実施形態200に記載の単離抗体。
202.HVR-H2が、配列番号405のアミノ酸配列を含む、実施形態200または実施形態201に記載の単離抗体。
203.HVR-H3が、配列番号406のアミノ酸配列を含む、実施形態200~202のいずれか1つに記載の単離抗体。
204.HVR-L1が、配列番号407のアミノ酸配列を含む、実施形態200~203のいずれか1つに記載の単離抗体。
205.HVR-L2が、配列番号408のアミノ酸配列を含む、実施形態200~204のいずれか1つに記載の単離抗体。
206.HVR-L3が、配列番号409のアミノ酸配列を含む、実施形態200~205のいずれか1つに記載の単離抗体。
207.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、配列番号404のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号405のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号406のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、配列番号407のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号408のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号409のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態200に記載の単離抗体。
208.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、
(a)配列番号404のアミノ酸配列、若しくは配列番号404のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号405のアミノ酸配列、若しくは配列番号405のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、
(c)配列番号406のアミノ酸配列、若しくは配列番号406のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、
軽鎖可変ドメインが、
(a)配列番号407のアミノ酸配列、若しくは配列番号407のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(b)配列番号408のアミノ酸配列、若しくは配列番号408のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、
(c)配列番号409のアミノ酸配列、若しくは配列番号409のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、単離抗ヒトTREM2抗体。
209.抗体Ab52と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗ヒトTREM2抗体。
210.抗体Ab21と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗ヒトTREM2抗体。
211.抗体が、アゴニスト抗体であり、抗体が、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を誘導する、実施形態191~210のいずれか1つに記載の単離抗体。
212.単離抗体が、細胞表面上に、TREM2クラスター形成、DAP12クラスター形成、またはその両方を誘導または保持する、実施形態211に記載の単離抗体。
213.1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方が、TREM2がDAP12に結合すること;DAP12がTREM2に結合すること;TREM2リン酸化;DAP12リン酸化;PI3K活性化;1つ以上の抗炎症性メディエーターの発現の増加;1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減;TNF-α、IL-6、またはその両方の発現の低減;細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化;C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現の増加;CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増加、正常化、またはその両方;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;樹状細胞、マクロファージ、ミクログリア細胞、M1マクロファージ及び/またはミクログリア細胞、活性化M1マクロファージ及び/またはミクログリア細胞、M2マクロファージ及び/またはミクログリア細胞、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、ならびにクッパー細胞のうちの1つ以上の生存及び/または機能を増加させること;アポトーシスニューロンクリアランス、神経組織破片クリアランス、非神経組織破片クリアランス、細菌または他の異物クリアランス、病原性タンパク質クリアランス、病原性ペプチドクリアランス、及び病原性核酸クリアランスからなる群から選択される1種以上のクリアランスの誘導;アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、または病原性核酸のうちの1つ以上の貪食の誘導;破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化;Syk、ZAP70、またはその両方のTREM2/DAP12複合体へのリクルート;Sykリン酸化;樹状細胞上のCD83及び/またはCD86の発現の増加;1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減:1つ以上の炎症性受容体の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を増加させること;正常レベルのM-CSFの存在下での、マクロファージ、樹状細胞、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を減少させること;1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を増加させること;ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態211または実施形態212に記載の単離抗体。
214.抗体が、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、実施形態211~213のいずれか1つに記載の単離抗体。
215.抗体が、IgGクラスであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、実施形態214に記載の単離抗体。
216.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態215に記載の単離抗体。
217.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態216に記載の単離抗体。
218.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態217に記載の単離抗体。
219.抗体が、Fc受容体への結合と独立して、1つ以上のTREM2活性、DAP12活性、またはその両方を誘導する、実施形態216~218のいずれか1つに記載の単離抗体。
220.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態216~218のいずれか1つに記載の単離抗体。
221.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態220に記載の単離抗体。
222.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態220または実施形態221に記載の単離抗体。
223.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態222に記載の単離抗体。
224.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、S267E、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態223に記載の単離抗体。
225.ヒトIgG2定常領域が、C214Sアミノ酸置換を含む軽鎖定常領域を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態217に記載の単離抗体。
226.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態215に記載の単離抗体。
227.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態226に記載の単離抗体。
228.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態227に記載の単離抗体。
229.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態226~228のいずれか1つに記載の単離抗体。
230.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態229に記載の単離抗体。
231.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態228~230のいずれか1つに記載の単離抗体。
232.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態231に記載の単離抗体。
233.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、D265A、L234A、L235A、G237A、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態232に記載の単離抗体。
234.抗体が、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む、実施形態228~230のいずれか1つに記載の単離抗体。
235.IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域が、ASTKGPSVFP LAPCSRSTSE STAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGVHTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSNFGTQT YTCNVDHKPS NTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号397)のアミノ酸配列を含む、実施形態234に記載の単離抗体。
236.抗体Fc領域が、S267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、若しくはその両方、及び/または、N297A若しくはN297Qアミノ酸置換を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態234または実施形態235に記載の単離抗体。
237.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態226に記載の単離抗体。
238.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態215に記載の単離抗体。
239.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態238に記載の単離抗体。
240.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態239に記載の単離抗体。
241.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態238~240のいずれか1つに記載の単離抗体。
242.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態241に記載の単離抗体。
243.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態240~242のいずれか1つに記載の単離抗体。
244.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態243に記載の単離抗体。
245.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、L235A、G237A、S228P、L236E、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態244に記載の単離抗体。
246.抗体が、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する、実施形態214に記載の単離抗体。
247.抗体が、ヒトIgG2のアミノ酸118~260及びヒトIgG4のアミノ酸261~447を含むアミノ酸配列を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態246に記載の単離抗体。
248.抗体が、マウスIgG4定常領域を含む、実施形態239に記載の単離抗体。
249.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントであり、抗体フラグメントが、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する二次抗体フラグメントに架橋される、実施形態211~248のいずれか1つに記載の単離抗体。
250.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態249に記載の単離抗体。
251.単離抗体が、不活性抗体である、実施形態191~210のいずれか1つに記載の単離抗体。
252.単離抗体が、アンタゴニスト抗体である、実施形態191~210のいずれか1つに記載の単離抗体。
253.単離抗体が、1つ以上のTREM2活性を阻害する、実施形態252に記載の単離抗体。
254.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を減少させること;1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子の活性を減少させること;マクロファージ、ミクログリア細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/または樹状細胞の生存を減少させること;ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態253に記載の単離抗体。
255.単離抗体が、TREM2と、1つ以上のTREM2リガンドとの間の相互作用を阻害する、TREM2シグナル伝達を阻害する、またはその両方である、実施形態252~254のいずれか1つに記載の単離抗体。
256.抗体が、Fcガンマ受容体(FcγR)に結合できない、実施形態251~255のいずれか1つに記載の単離抗体。
257.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態256に記載の単離抗体。
258.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態257に記載の単離抗体。
259.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態258に記載の単離抗体。
260.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態259に記載の単離抗体。
261.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態260に記載の単離抗体。
262.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態261に記載の単離抗体。
263.Fc領域が、EU番号付けによるグリシン236に対応する位置にアミノ酸欠失をさらに含む、実施形態262に記載の単離抗体。
264.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態257に記載の単離抗体。
265.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態256に記載の単離抗体。
266.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態264に記載の単離抗体。
267.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態266に記載の単離抗体。
268.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態267に記載の単離抗体。
269.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態268に記載の単離抗体。
270.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態269に記載の単離抗体。
271.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態256に記載の単離抗体。
272.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態271に記載の単離抗体。
273.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態272に記載の単離抗体。
274.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態273に記載の単離抗体。
275.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態274に記載の単離抗体。
276.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態275に記載の単離抗体。
277.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである、実施形態208~276のいずれか1つに記載の単離抗体。
278.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態277に記載の単離抗体。
279.Fc領域が、A330L、L234F;L235E、P331S、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態233、実施形態262、または実施形態263に記載の単離抗体。
280.Fc領域が、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態223~279のいずれか1つに記載の単離抗体。
281.Fc領域が、EU番号付けによるS228Pアミノ酸置換をさらに含む、実施形態245または実施形態276に記載の単離抗体。
282.抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多価抗体、またはキメラ抗体である、実施形態191~281のいずれか1つに記載の単離抗体。
283.抗体が、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、実施形態191~282のいずれか1つに記載の単離抗体。
284.抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態191~283のいずれか1つに記載の単離抗体。
285.単離抗体が、ヒトTREM2及びマウスTREM2の両方に特異的に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
286.単離抗体が、約5.75nM未満~約0.09nM未満の範囲のヒトTREM2及びマウスTREM2に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
287.単離抗体が、約1.51nM未満~約0.35nM未満の範囲のヒトTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
288.単離抗体が、約5.75nM未満~約1.15nM未満の範囲のヒト単量体TREM2タンパク質に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
289.単離抗体が、約0.23nM未満~約0.09nM未満の範囲のマウスTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
290.先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体をコードする単離核酸。
291.実施形態290に記載の核酸を含むベクター。
292.実施形態291に記載のベクターを含む宿主細胞。
293.抗体が産生されるように、実施形態292に記載の細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法。
294.細胞により産生された抗体を回収することをさらに含む、実施形態293に記載の方法。
295.実施形態44~289のいずれか1つに記載の抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される担体。
296.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方に結合する治療的有効量の単離抗体を、個体に投与することを含む、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、那須-ハコラ病、及び多発性硬化症からなる群から選択される、疾患、障害、または損傷を有する個体を、予防する、リスク低減させる、または治療する方法。
297.単離抗体が、実施形態44~289のいずれか1つに記載の単離抗体である、実施形態296に記載の方法。
298.個体が、TREM2のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基Glu14をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン酸;
ii.配列番号1のアミノ酸残基Gln33をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン;
iii.配列番号1のアミノ酸残基Trp44をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファン;
iv.配列番号1のアミノ酸残基Arg47に対応するアミノ酸でのアルギニンからヒスチジンへのアミノ酸置換;
v.配列番号1のアミノ酸残基Trp78をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファン;
vi.配列番号1のアミノ酸残基Val126に対応するアミノ酸でのバリンからグリシンへのアミノ酸置換;
vii.配列番号1のアミノ酸残基Asp134に対応するアミノ酸でのアスパラギン酸からグリシンへのアミノ酸置換;及び、
viii.配列番号1のアミノ酸残基Lys186に対応するアミノ酸でのリシンからアスパラギンへのアミノ酸置換からなる群から選択される1つ以上の置換を含む、実施形態296または実施形態297に記載の方法。
299.個体が、TREM2のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G313に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G267に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;またはその両方を含む、実施形態296に記載の方法。
300.個体が、DAP12のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、
i.配列番号2のアミノ酸残基Met1に対応するアミノ酸でのメチオニンからトレオニンへの置換;
ii.配列番号2のアミノ酸残基Gly49に対応するアミノ酸でのグリシンからアルギニンへのアミノ酸置換;
iii.配列番号2をコードする核酸配列のエクソン1~4内の欠失;
iv.配列番号2をコードする核酸配列のエクソン3での14アミノ酸残基の挿入;及び、
v.配列番号2をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G141に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失からなる群から選択される1つ以上の多様体を含む、実施形態296に記載の方法。
301.TREM2タンパク質、DAP12タンパク質、またはその両方に結合する治療的有効量の単離アゴニスト抗体を、個体に投与することを含む、それを必要とする個体の自然免疫細胞の生存を誘導または促進する方法。
302.単離アゴニスト抗体が、実施形態44~123、157~250、及び277~289のいずれか1つに記載の単離抗体である、実施形態301に記載の方法。
303.抗体が、1つ以上のTREM2活性を誘導する、TREM2タンパク質に結合する単離アゴニスト抗体。
304.TREM2タンパク質が、哺乳動物タンパク質またはヒトタンパク質である、実施形態303に記載の単離抗体。
305.TREM2タンパク質が、野生型タンパク質である、実施形態304に記載の単離抗体。
306.TREM2タンパク質が、天然多様体である、実施形態304に記載の単離抗体。
307.TREM2タンパク質が、ヒト樹状細胞、ヒトマクロファージ、ヒト単球、ヒト破骨細胞、ヒト皮膚ランゲルハンス細胞、ヒトクッパー細胞、及び/またはヒトミクログリア上に発現される、実施形態303~306のいずれか1つに記載の単離抗体。
308.単離抗体が、細胞表面上に、TREM2クラスター形成を誘導または保持する、実施形態303~307のいずれか1つに記載の単離抗体。
309.1つ以上のTREM2活性が、TREM2がDAP12に結合することを含む、実施形態303~308のいずれか1つに記載の単離抗体。
310.1つ以上のTREM2活性が、TREM2自己リン酸化を含む、実施形態303~309のいずれか1つに記載の単離抗体。
311.1つ以上のTREM2活性が、DAP12リン酸化を含む、実施形態303~310のいずれか1つに記載の単離抗体。
312.TREM2自己リン酸化、DAP12リン酸化、またはその両方が、1つ以上のSRCファミリーチロシンキナーゼにより誘導される、実施形態310または実施形態311に記載の単離抗体。
313.1つ以上のSRCファミリーチロシンキナーゼが、Sykキナーゼを含む、実施形態312に記載の単離抗体。
314.1つ以上のTREM2活性が、PI3K活性化を含む、実施形態303~313のいずれか1つに記載の単離抗体。
315.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上の抗炎症性サイトカインの発現の増加を含む、実施形態303~314のいずれか1つに記載の単離抗体。
316.1つ以上のTREM2活性が、IL-12p70、IL-6、及びIL-10からなる群から選択される1つ以上のサイトカインの発現の増加を含む、実施形態303~314のいずれか1つに記載の単離抗体。
317.発現の増加が、マクロファージ、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及びミクログリア細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞で生じる、実施形態315または実施形態316に記載の単離抗体。
318.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上の前炎症性サイトカインの発現の低減を含む、実施形態303~317のいずれか1つに記載の単離抗体。
319.1つ以上のTREM2活性が、IFN-a4、IFN-b、IL-1β、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-ガンマ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、及びCRPからなる群から選択される1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減を含む、実施形態303~317のいずれか1つに記載の単離抗体。
320.1つ以上のTREM2活性が、TNF-α、IL-6、またはその両方の発現の低減を含む、実施形態303~318のいずれか1つに記載の単離抗体。
321.1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減が、マクロファージ、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及びミクログリア細胞からなる群から選択される1つ以上の細胞で生じる、実施形態319または実施形態320に記載の単離抗体。
322.1つ以上のTREM2活性が、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化を含む、実施形態303~320のいずれか1つに記載の単離抗体。
323.1つ以上のTREM2活性が、C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現の増加を含む、実施形態303~322のいずれか1つに記載の単離抗体。
324.1つ以上のTREM2活性が、CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導を含む、実施形態303~322のいずれか1つに記載の単離抗体。
325.1つ以上のTREM2活性が、樹状細胞、単球、ミクログリア、及び/またはマクロファージの、T細胞増殖を誘導する能力の増加を含む、実施形態303~324のいずれか1つに記載の単離抗体。
326.1つ以上のTREM2活性が、骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増強、正常化、またはその両方を含む、実施形態303~324のいずれか1つに記載の単離抗体。
327.1つ以上のTREM2活性が、破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導を含む、実施形態303~326のいずれか1つに記載の単離抗体。
328.1つ以上のTREM2活性が、樹状細胞、マクロファージ、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/またはミクログリアの生存を増加させることを含む、実施形態303~327のいずれか1つに記載の単離抗体。
329.1つ以上のTREM2活性が、樹状細胞、マクロファージ、及び/またはミクログリアの機能を増加させることを含む、実施形態303~328のいずれか1つに記載の単離抗体。
330.1つ以上のTREM2活性が、低減したレベルのM-CSFの条件下での、樹状細胞、マクロファージ、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を増加させることを含む、実施形態303~329のいずれか1つに記載の単離抗体。
331.1つ以上のTREM2活性が、正常レベルのM-CSFの存在下での、樹状細胞、マクロファージ、単球、及び/またはミクログリアによる貪食を減少させることを含む、実施形態303~330のいずれか1つに記載の単離抗体。
332.マクロファージ及び/またはミクログリアが、M1マクロファージ及び/若しくはミクログリア、M2マクロファージ及び/若しくはミクログリア、またはその両方である、実施形態328~331のいずれか1つに記載の単離抗体。
333.M1マクロファージ及び/またはミクログリアが、活性化M1マクロファージ及び/またはミクログリアである、実施形態332に記載の単離抗体。
334.1つ以上のTREM2活性が、アポトーシスニューロンクリアランス、神経組織破片クリアランス、非神経組織破片クリアランス、細菌または他の異物クリアランス、病原性タンパク質クリアランス、及び腫瘍細胞クリアランスからなる群から選択される1種以上のクリアランスの誘導を含む、実施形態303~333のいずれか1つに記載の単離抗体。
335.1つ以上のTREM2活性が、アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、病原性ペプチド、病原性核酸、または腫瘍細胞のうちの1つ以上の貪食の誘導を含む、実施形態303~334のいずれか1つに記載の単離抗体。
336.病原性核酸が、アンチセンスGGCCCC(G2C4)リピート伸長RNAである、実施形態335に記載の単離抗体。
337.病原性タンパク質が、アミロイドβまたはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドからなる群から選択される、実施形態334または実施形態335に記載の単離抗体。
338.1つ以上のTREM2活性が、破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化を含む、実施形態303~337のいずれか1つに記載の単離抗体。
339.1つ以上のTREM2活性が、Syk、ZAP70、またはその両方のDAP12/TREM2複合体へのリクルートを含む、実施形態303~338のいずれか1つに記載の単離抗体。
340.1つ以上のTREM2活性が、Sykリン酸化を含む、実施形態303~339のいずれか1つに記載の単離抗体。
341.1つ以上のTREM2活性が、樹状細胞、単球、マクロファージ、またはその両方上のCD83及び/またはCD86の発現の増加を含む、実施形態303~340のいずれか1つに記載の単離抗体。
342.樹状細胞が、骨髄由来樹状細胞である、実施形態341に記載の単離抗体。
343.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減を含む、実施形態303~342のいずれか1つに記載の単離抗体。
344.1つ以上の炎症性サイトカインが、IFN-a4、IFN-b、IL-1β、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-βメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、TGF-β、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、CRP、及びMCP-1からなる群から選択される、343に記載の単離抗体。
345.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上の炎症性受容体の発現の低減を含む、実施形態303~344のいずれか1つに記載の単離抗体。
346.1つ以上の炎症性受容体が、CD86を含む、実施形態345に記載の単離抗体。
347.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性化を増加させることを含む、実施形態303~346のいずれか1つに記載の単離抗体。
348.1つ以上のTREM2依存性遺伝子が、1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子を含む、実施形態347に記載の単離抗体。
349.抗体が、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、実施形態303~348のいずれか1つに記載の単離抗体。
350.抗体が、IgGクラスであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、実施形態349に記載の単離抗体。
351.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態349に記載の単離抗体。
352.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態351に記載の単離抗体。
353.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態352に記載の単離抗体。
354.抗体が、Fc受容体への結合と独立して、1つ以上のTREM2活性を誘導する、実施形態351~353のいずれか1つに記載の単離抗体。
355.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態351~353のいずれか1つに記載の単離抗体。
356.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態355に記載の単離抗体。
357.ヒトIgG2定常領域が、1つ以上の修飾を含むFc領域を含む、実施形態355または実施形態356に記載の単離抗体。
358.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態357に記載の単離抗体。
359.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、S267E、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態358に記載の単離抗体。
360.ヒトIgG2定常領域が、C214Sアミノ酸置換を含む軽鎖定常領域を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態352に記載の単離抗体。
361.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態349に記載の単離抗体。
362.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態361に記載の単離抗体。
363.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態362に記載の単離抗体。
364.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態361~363のいずれか1つに記載の単離抗体。
365.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態364に記載の単離抗体。
366.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態363~365のいずれか1つに記載の単離抗体。
367.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態366に記載の単離抗体。
368.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、D265A、L234A、L235A、G237A、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態367に記載の単離抗体。
369.抗体が、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む、実施形態363~365のいずれか1つに記載の単離抗体。
370.IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域が、ASTKGPSVFP LAPCSRSTSE STAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGVHTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSNFGTQT YTCNVDHKPS NTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号397)のアミノ酸配列を含む、実施形態369に記載の単離抗体。
371.抗体Fc領域が、S267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、若しくはその両方、及び/または、N297A若しくはN297Qアミノ酸置換を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態369または実施形態370に記載の単離抗体。
372.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態361に記載の単離抗体。
373.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態349に記載の単離抗体。
374.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態373に記載の単離抗体。
375.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態374に記載の単離抗体。
376.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態373~375のいずれか1つに記載の単離抗体。
377.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態376に記載の単離抗体。
378.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態375~377のいずれか1つに記載の単離抗体。
379.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態378に記載の単離抗体。
380.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、L235A、G237A、S228P、L236E、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態379に記載の単離抗体。
381.抗体が、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する、実施形態349に記載の単離抗体。
382.抗体が、ヒトIgG2のアミノ酸118~260及びヒトIgG4のアミノ酸261~447を含むアミノ酸配列を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態381に記載の単離抗体。
383.抗体が、マウスIgG4定常領域を含む、実施形態373に記載の単離抗体。
384.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、及びヒトTREM2の疾患多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントであり、抗体フラグメントが、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、及びヒトTREM2の疾患多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する二次抗体フラグメントに架橋される、実施形態1~383のいずれか1つに記載の単離抗体。
385.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態384に記載の単離抗体。
386.TREM2タンパク質に結合する、単離不活性抗体。
387.TREM2タンパク質に結合する、単離アンタゴニスト抗体。
388.TREM2タンパク質が、哺乳動物タンパク質またはヒトタンパク質である、実施形態386または実施形態387に記載の単離抗体。
389.TREM2タンパク質が、野生型タンパク質である、実施形態388に記載の単離抗体。
390.TREM2タンパク質が、天然多様体である、実施形態388に記載の単離抗体。
391.TREM2タンパク質が、疾患多様体である、実施形態388に記載の単離抗体。
392.単離抗体が、1つ以上のTREM2活性を阻害する、実施形態387~391のいずれか1つに記載の単離抗体。
393.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を減少させることを含む、実施形態392に記載の単離抗体。
394.1つ以上のTREM2依存性遺伝子が、1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子を含む、実施形態393に記載の単離抗体。
395.1つ以上のTREM2活性が、マクロファージ、ミクログリア細胞、M1マクロファージ、M1ミクログリア細胞、M2マクロファージ、M2ミクログリア細胞、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/または樹状細胞の生存を減少させることを含む、実施形態392~394のいずれか1つに記載の単離抗体。
396.単離抗体が、TREM2と、1つ以上のTREM2リガンドとの間の相互作用を阻害する、TREM2シグナル伝達を阻害する、またはその両方である、実施形態387~395のいずれか1つに記載の単離抗体。
397.抗体が、Fcγ受容体(FcγR)に結合できない、実施形態386~396のいずれか1つに記載の単離抗体。
398.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態397に記載の単離抗体。
399.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態398に記載の単離抗体。
400.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態399に記載の単離抗体。
401.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態400に記載の単離抗体。
402.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態401に記載の単離抗体。
403.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態402に記載の単離抗体。
404.Fc領域が、EU番号付けによるグリシン236に対応する位置にアミノ酸欠失をさらに含む、実施形態403に記載の単離抗体。
405.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態398に記載の単離抗体。
406.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態397に記載の単離抗体。
407.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態406に記載の単離抗体。
408.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態407に記載の単離抗体。
409.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態408に記載の単離抗体。
410.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態409に記載の単離抗体。
411.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態410に記載の単離抗体。
412.抗体が、IgG4アイソタイプを有する、実施形態397に記載の単離抗体。
413.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態412に記載の単離抗体。
414.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態413に記載の単離抗体。
415.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態414に記載の単離抗体。
416.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態415に記載の単離抗体。
417.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態416に記載の単離抗体。
418.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、及びTREM2の疾患多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである、実施形態386~417のいずれか1つに記載の単離抗体。
419.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態418に記載の単離抗体。
420.Fc領域が、A330L、L234F;L235E、P331S、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態368、実施形態403、または実施形態404に記載の単離抗体。
421.Fc領域が、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態357~420のいずれか1つに記載の単離抗体。
422.Fc領域が、EU番号付けによるS228Pアミノ酸置換をさらに含む、実施形態380または実施形態417に記載の単離抗体。
423.抗体が、TREM2の、1つ以上のTREM2リガンドとの結合について競合する、実施形態303~422のいずれか1つに記載の単離抗体。
424.1つ以上のTREM2リガンドが、E.coli細胞、アポトーシス細胞、核酸、アニオン性脂質、双性イオン性脂質、負に荷電した脂質、ホスファチジルセリン、スルファチド、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、膜リン脂質、脂質化タンパク質、プロテオリピド、脂質化ペプチド、及び脂質化アミロイドベータペプチドからなる群から選択される、実施形態423に記載の単離抗体。
425.抗体が、TREM2の、TREM2リガンドとの結合について競合しない、実施形態303~422のいずれか1つに記載の単離抗体。
426.抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、またはキメラ抗体である、実施形態303~425のいずれか1つに記載の単離抗体。
427.抗体が、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、実施形態303~426のいずれか1つに記載の単離抗体。
428.第1の抗原が、ヒトTREM2若しくはその天然多様体であり、第2の抗原が、アミロイドベータ若しくはそのフラグメント、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、β2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドからなる群から選択される病原性タンパク質;トランスフェリン受容体、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、LRP-1、及びLRP1からなる群から選択されるタンパク質を標的とする血液脳関門;または、免疫細胞上に発現されるリガンド及び/若しくはタンパク質であり、リガンド及び/若しくはタンパク質が、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG、及びホスファチジルセリンからなる群から選択される、実施形態427に記載の単離抗体。
429.第1の抗原が、ヒトTREM2またはその天然多様体であり、第2の抗原が、1つ以上の腫瘍細胞上に発現されるタンパク質である、実施形態427に記載の単離抗体。
430.抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、ヒトDAP12、及びヒトDAP12の天然多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントであり、抗体が、アミロイドベータ、Tau、IAPP、アルファ-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、β2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、及びプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される病原性タンパク質に特異的に結合する1つ以上の抗体、または、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG、ホスファチジルセリン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される癌関連タンパク質に特異的に結合する1つ以上の抗体と組み合わせて使用される、実施形態303~424のいずれか1つに記載の単離抗体。
431.抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態303~430のいずれか1つに記載の単離抗体。
432.抗体が、
xi.配列番号1のアミノ酸残基130~171、または配列番号1のアミノ酸残基130~171に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
xii.配列番号1のアミノ酸残基140~153、または配列番号1のアミノ酸残基140~153に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
xiii.配列番号1のアミノ酸残基139~146、または配列番号1のアミノ酸残基139~146に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
xiv.配列番号1のアミノ酸残基130~144、または配列番号1のアミノ酸残基130~144に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;及び、
xv.配列番号1のアミノ酸残基158~171、または配列番号1のアミノ酸残基158~171に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態303~431のいずれか1つに記載の単離抗体。
433.抗体が、
i.配列番号1のアミノ酸残基130~171、または配列番号1のアミノ酸残基130~171に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
ii.配列番号1のアミノ酸残基140~153、または配列番号1のアミノ酸残基139~153に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
iii.配列番号1のアミノ酸残基139~146、または配列番号1のアミノ酸残基139~146に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;
iv.配列番号1のアミノ酸残基130~144、または配列番号1のアミノ酸残基130~144に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基;及び、
v.配列番号1のアミノ酸残基158~171、または配列番号1のアミノ酸残基158~171に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基
からなる群から選択されるアミノ酸残基内に1つ以上のアミノ酸を含むエピトープに結合する、実施形態303~431のいずれか1つに記載の単離抗体。
434.抗体が、
v.配列番号1のアミノ酸残基Arg47またはAsp87;
vi.配列番号1のアミノ酸残基40~44;
vii.配列番号1のアミノ酸残基67~76;及び、
viii.配列番号1のアミノ酸残基114~118からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基をさらに含むエピトープに結合する、実施形態432または実施形態433に記載の単離抗体。
435.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87からなる群から選択されるモノクローナル抗体のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87からなる群から選択されるモノクローナル抗体のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含む、実施形態303~433のいずれか1つに記載の単離抗体。
436.HVR-H1が、配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態435に記載の単離抗体。
437.HVR-H2が、配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態435または実施形態436に記載の単離抗体。
438.HVR-H3が、配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態435~437のいずれか1つに記載の単離抗体。
439.HVR-L1が、配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態435~438のいずれか1つに記載の単離抗体。
440.HVR-L2が、配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態435~439のいずれか1つに記載の単離抗体。
441.HVR-L3が、配列番号153~236からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態435~440のいずれか1つに記載の単離抗体。
442.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、
(a)配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、
(c)配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、
軽鎖可変ドメインが、
(a)配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(b)配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、
(c)配列番号153~236からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態303~433のいずれか1つに記載の単離抗体。
443.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87からなる群から選択されるモノクローナル抗体のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87からなる群から選択されるモノクローナル抗体のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含む、単離抗ヒトTREM2抗体。
444.HVR-H1が、配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態443に記載の単離抗体。
445.HVR-H2が、配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態443または実施形態444に記載の単離抗体。
446.HVR-H3が、配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態443~445のいずれか1つに記載の単離抗体。
447.HVR-L1が、配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態443~446のいずれか1つに記載の単離抗体。
448.HVR-L2が、配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態443~447のいずれか1つに記載の単離抗体。
449.HVR-L3が、配列番号153~236からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態443~448のいずれか1つに記載の単離抗体。
450.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号153~236からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態443に記載の単離抗体。
451.Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13、Ab14、Ab15、Ab16、Ab17、Ab18、Ab19、Ab20、Ab22、Ab23、Ab24、Ab25、Ab26、Ab27、Ab28、Ab29、Ab30、Ab31、Ab32、Ab33、Ab34、Ab35、Ab36、Ab37、Ab38、Ab39、Ab40、Ab41、Ab42、Ab43、Ab44、Ab45、Ab46、Ab47、Ab48、Ab49、Ab50、Ab51、Ab53、Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab59、Ab60、Ab61、Ab62、Ab63、Ab64、Ab65、Ab66、Ab67、Ab68、Ab69、Ab70、Ab71、Ab72、Ab73、Ab74、Ab75、Ab76、Ab77、Ab78、Ab79、Ab80、Ab81、Ab82、Ab83、Ab84、Ab85、Ab86、及びAb87からなる群から選択されるモノクローナル抗体と本質的に同一のTREM2エピトープに結合する単離抗ヒトTREM2抗体。
452.単離抗体が、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、
(a)配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号3~24からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;
(b)配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号25~49からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;及び、
(c)配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号50~119からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、
軽鎖可変ドメインが、
(a)配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号120~137からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;
(b)配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び、
(c)配列番号153~236からなる群から選択されるアミノ酸配列、若しくは配列番号138~152からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、単離抗ヒトTREM2抗体。
453.抗体が、アゴニスト抗体であり、抗体が、1つ以上のTREM2活性を誘導する、実施形態443~452のいずれか1つに記載の単離抗体。
454.単離抗体が、細胞表面上に、TREM2クラスター形成を誘導または保持する、実施形態453に記載の単離抗体。
455.1つ以上のTREM2活性が、TREM2がDAP12に結合すること;DAP12がTREM2に結合すること;TREM2リン酸化;DAP12リン酸化;PI3K活性化;IL-12p70、IL-6、及びIL-10からなる群から選択される1つ以上のサイトカインの発現の増加;IFN-a4、IFN-b、IL-1β、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、及びCRPからなる群から選択される1つ以上の前炎症性メディエーターの発現の低減;TNF-α、IL-6、またはその両方の発現の低減;細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化;C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現の増加;CCL19及びCCL21発現細胞へのミクログリア細胞の走化性の誘導;樹状細胞、単球、ミクログリア、及び/またはマクロファージの、T細胞増殖を誘導する能力の増加;骨髄由来樹状細胞の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の増加、正常化、またはその両方;破骨細胞産生、破骨細胞形成速度の増加、またはその両方の誘導;樹状細胞、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、ミクログリア細胞、M1ミクログリア細胞、活性化M1ミクログリア細胞、及びM2ミクログリア細胞のうちの1つ以上の生存及び/または機能を増加させること;癌細胞クリアランス、アポトーシスニューロンクリアランス、神経組織破片クリアランス、非神経組織破片クリアランス、細菌または他の異物クリアランス、及び病原性タンパク質クリアランスからなる群から選択される1種以上のクリアランスの誘導;アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、病原性タンパク質、または腫瘍細胞のうちの1つ以上の貪食の誘導;破壊されたTREM2/DAP12依存性遺伝子発現の正常化;Syk、ZAP70、またはその両方のTREM2/DAP12複合体へのリクルート;Sykリン酸化;樹状細胞、ミクログリア、単球、またはマクロファージ上のCD83及び/またはCD86の発現の増加;IFN-a4、IFN-b、IL-1β、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、TGF-ベータ、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、CRP、及びMCP-1からなる群から選択される1つ以上の炎症性サイトカインの分泌の低減;1つ以上の炎症性受容体の発現の低減;低減したレベルのM-CSFの条件下での、マクロファージ、単球、樹状細胞、及び/またはミクログリアによる貪食を増加させること;正常レベルのMーCSFの存在下での、マクロファージ、単球、樹状細胞、及び/またはミクログリアによる貪食を減少させること;1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を増加させること;ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態453または実施形態454に記載の単離抗体。
456.抗体が、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、実施形態453~455のいずれか1つに記載の単離抗体。
457.抗体が、IgGクラスであり、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する、実施形態456に記載の単離抗体。
458.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態457に記載の単離抗体。
459.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態458に記載の単離抗体。
460.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態459に記載の単離抗体。
461.抗体が、Fc受容体への結合と独立して、1つ以上のTREM2活性を誘導する、実施形態458~460のいずれか1つに記載の単離抗体。
462.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態458~461のいずれか1つに記載の単離抗体。
463.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態462に記載の単離抗体。
464.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態462または実施形態463に記載の単離抗体。
465.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態464に記載の単離抗体。
466.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、S267E、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態465に記載の単離抗体。
467.ヒトIgG2定常領域が、C214Sアミノ酸置換を含む軽鎖定常領域を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態459に記載の単離抗体。
468.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態457に記載の単離抗体。
469.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態468に記載の単離抗体。
470.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態469に記載の単離抗体。
471.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態468~470のいずれか1つに記載の単離抗体。
472.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態471に記載の単離抗体。
473.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態470~472のいずれか1つに記載の単離抗体。
474.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態473に記載の単離抗体。
475.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、D265A、L234A、L235A、G237A、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態474に記載の単離抗体。
476.抗体が、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む、実施形態470~472のいずれか1つに記載の単離抗体。
477.IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域が、ASTKGPSVFP LAPCSRSTSE STAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGVHTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSNFGTQT YTCNVDHKPS NTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号397)のアミノ酸配列を含む、実施形態476に記載の単離抗体。
478.抗体Fc領域が、S267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、若しくはその両方、及び/または、N297A若しくはN297Qアミノ酸置換を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態476または実施形態477に記載の単離抗体。
479.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態468に記載の単離抗体。
480.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態457に記載の単離抗体。
481.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態480に記載の単離抗体。
482.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態481に記載の単離抗体。
483.抗体が、阻害性Fc受容体に結合する、実施形態480~482のいずれか1つに記載の単離抗体。
484.阻害性Fc受容体が、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγRIIB)である、実施形態483に記載の単離抗体。
485.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態482~484のいずれか1つに記載の単離抗体。
486.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態485に記載の単離抗体。
487.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、L235A、G237A、S228P、L236E、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態486に記載の単離抗体。
488.抗体が、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する、実施形態456に記載の単離抗体。
489.抗体が、ヒトIgG2のアミノ酸118~260及びヒトIgG4のアミノ酸261~447を含むアミノ酸配列を含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態488に記載の単離抗体。
490.抗体が、マウスIgG4定常領域を含む、実施形態481に記載の単離抗体。
491.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、及びTREM2の疾患多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントであり、抗体フラグメントが、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、及びTREM2の疾患多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する二次抗体フラグメントに架橋される、実施形態451~490のいずれか1つに記載の単離抗体。
492.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態491に記載の単離抗体。
493.単離抗体が、不活性抗体である、実施形態443~452のいずれか1つに記載の単離抗体。
494.単離抗体が、アンタゴニスト抗体である、実施形態443~452のいずれか1つに記載の単離抗体。
495.単離抗体が、1つ以上のTREM2活性を阻害する、実施形態494に記載の単離抗体。
496.1つ以上のTREM2活性が、1つ以上のTREM2依存性遺伝子の活性を減少させること;1つ以上の活性化T細胞核因子(NFAT)転写因子の活性を減少させること;マクロファージ、ミクログリア細胞、単球、破骨細胞、皮膚ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、及び/または樹状細胞の生存を減少させること;ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態495に記載の単離抗体。
497.単離抗体が、TREM2と、1つ以上のTREM2リガンドとの間の相互作用を阻害する、TREM2シグナル伝達を阻害する、またはその両方である、実施形態494~496のいずれか1つに記載の単離抗体。
498.抗体が、Fcγ受容体(FcγR)に結合できない、実施形態493~497のいずれか1つに記載の単離抗体。
499.抗体が、IgG1アイソタイプを含む、実施形態498に記載の単離抗体。
500.抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、実施形態499に記載の単離抗体。
501.ヒトIgG1定常領域が、Fc領域を含む、実施形態500に記載の単離抗体。
502.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態501に記載の単離抗体。
503.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態502に記載の単離抗体。
504.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、N297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態503に記載の単離抗体。
505.Fc領域が、EU番号付けによるグリシン236に対応する位置にアミノ酸欠失をさらに含む、実施形態504に記載の単離抗体。
506.抗体が、マウスIgG1定常領域を含む、実施形態499に記載の単離抗体。
507.抗体が、IgG2アイソタイプを有する、実施形態498に記載の単離抗体。
508.抗体が、ヒトIgG2定常領域を含む、実施形態507に記載の単離抗体。
509.ヒトIgG2定常領域が、Fc領域を含む、実施形態508に記載の単離抗体。
510.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態509に記載の単離抗体。
511.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態510に記載の単離抗体。
512.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、V234A、G237A、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態511に記載の単離抗体。
513.抗体が、IgG4アイソタイプを含む、実施形態498に記載の単離抗体。
514.抗体が、ヒトIgG4定常領域を含む、実施形態513に記載の単離抗体。
515.ヒトIgG4定常領域が、Fc領域を含む、実施形態514に記載の単離抗体。
516.Fc領域が、1つ以上の修飾を含む、実施形態515に記載の単離抗体。
517.Fc領域が、1つ以上のアミノ酸置換を含む、実施形態516に記載の単離抗体。
518.Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換が、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置にあり、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態517に記載の単離抗体。
519.単離抗体が、ヒトTREM2、ヒトTREM2の天然多様体、及びTREM2の疾患多様体からなる群から選択される1つ以上のヒトタンパク質に結合する抗体フラグメントである、実施形態443~518のいずれか1つに記載の単離抗体。
520.フラグメントが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、またはscFvフラグメントである、実施形態519に記載の単離抗体。
521.Fc領域が、A330L、L234F;L235E、P331S、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態475、実施形態504、または実施形態505に記載の単離抗体。
522.Fc領域が、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置に、1つ以上の追加のアミノ酸置換をさらに含み、残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態465~521のいずれか1つに記載の単離抗体。
523.Fc領域が、EU番号付けによる228位にセリンからプロリンへのアミノ酸置換をさらに含む、実施形態487または実施形態518に記載の単離抗体。
524.抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、多価抗体、またはキメラ抗体である、実施形態443~523のいずれか1つに記載の単離抗体。
525.抗体が、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である、実施形態443~524のいずれか1つに記載の単離抗体。
526.抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態443~525のいずれか1つに記載の単離抗体。
527.単離抗体が、ヒトTREM2及びマウスTREM2の両方に特異的に結合する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
528.単離抗体が、約6.70nM未満~約0.23nM未満の範囲のヒトTREM2及びマウスTREM2に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
529.単離抗体が、約0.71nM未満~約0.23nM未満の範囲のヒトTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
530.単離抗体が、約6.70nM未満~約0.66nM未満の範囲のヒト単量体TREM2タンパク質に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
531.単離抗体が、約4.90nM未満~約0.35nM未満の範囲のマウスTREM2-Fc融合タンパク質に対する解離定数(KD)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の単離抗体。
532.先行実施形態のいずれか1つに記載の抗体をコードする単離核酸。
533.実施形態532に記載の核酸を含むベクター。
534.実施形態533に記載のベクターを含む宿主細胞。
535.抗体が産生されるように、実施形態534に記載の細胞を培養することを含む、抗体を産生する方法。
536.細胞により産生された抗体を回収することをさらに含む、実施形態535に記載の方法。
537.実施形態303~531のいずれか1つに記載の抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される担体。
538.TREM2タンパク質に結合する治療的有効量の単離抗体を、個体に投与することを含む、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、那須-ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、創傷治癒、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肥満症、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体を伴う認知症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、呼吸器感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、狼瘡、関節炎、多発性硬化症、低骨密度、骨粗鬆症、骨形成、大理石骨病、骨のパジェット病、及び癌からなる群から選択される、疾患、障害、または損傷を有する個体を、予防する、リスク低減させる、または治療する方法。
539.TREM2タンパク質に結合する治療的有効量の単離アゴニスト抗体を、個体に投与することを含む、それを必要とする個体の自然免疫細胞の生存または創傷治癒を誘導または促進する方法。
540.単離抗体が、
i.(a)アゴニスト抗体;
(b)不活性抗体;または、
(c)アンタゴニスト抗体である、実施形態538または実施形態539に記載の方法。
541. i.(a)抗体が、IgGクラス、IgMクラス、若しくはIgAクラスのものであり;及び/または、
ii.(b)抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、若しくはIgG4アイソタイプを有する、実施形態540に記載の方法。
542.抗体が、
i.(a)V234A、G237A、H268Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、S267E、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせ;
ii.(b)N297A、D265A、L234A、L235A、G237A、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせ;
iii.(c)L235A、G237A、S228P、L236E、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせ;
iv.(d)N297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせ;
v.(e)V234A、G237A、H268E、V309L、297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E、及びそれらの任意の組み合わせ;または、
vi.(f)E233P、F234V、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置に、Fc領域の1つ以上のアミノ酸置換を含み、
vii.残基の番号付けが、EU番号付けによる、実施形態541に記載の方法。
543.単離抗体が、
i.(a)配列番号1のアミノ酸残基43~50若しくは配列番号1のアミノ酸残基43~50に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する;または、
ii.(b)配列番号1のアミノ酸残基49~57若しくは配列番号1のアミノ酸残基49~57に対応するTREM2タンパク質上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する、実施形態538~542のいずれか1つに記載の方法。
544.単離抗体が、
i.(a)抗体Ab52と本質的に同一のTREM2エピトープに結合し;
ii.(b)重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab52のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み;ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab52のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含み;
iii.(c)重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、配列番号398のアミノ酸配列、若しくは配列番号398のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号399のアミノ酸配列、若しくは配列番号399のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び、配列番号400のアミノ酸配列、若しくは配列番号400のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、配列番号401のアミノ酸配列、若しくは配列番号401のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号402のアミノ酸配列、若しくは配列番号402のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び、配列番号403のアミノ酸配列、若しくは配列番号403のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、
iv.(d)抗体Ab21と本質的に同一のTREM2エピトープに結合し;
v.(e)重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab21のHVR-H1、HVR-H2、及び/若しくはHVR-H3を含み;ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、モノクローナル抗体Ab21のHVR-L1、HVR-L2、及び/若しくはHVR-L3を含み;あるいは、
vi.(f)重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインが、配列番号404のアミノ酸配列、若しくは配列番号404のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号405のアミノ酸配列、若しくは配列番号405のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び、配列番号406のアミノ酸配列、若しくは配列番号406のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、ならびに/または、軽鎖可変ドメインが、配列番号407のアミノ酸配列、若しくは配列番号407のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号408のアミノ酸配列、若しくは配列番号408のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び、配列番号409のアミノ酸配列、若しくは配列番号409のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、実施形態538~543のいずれか1つに記載の方法。
545.単離抗体が、実施形態303~531のいずれか1つに記載の単離抗体である、実施形態538に記載の方法。
546.単離アゴニスト抗体が、実施形態303~385、420~492、及び519~531のいずれか1つに記載の単離抗体である、実施形態539に記載の方法。
547.個体が、TREM2のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、
viii.配列番号1のアミノ酸残基Glu14をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン酸;
ix.配列番号1のアミノ酸残基Gln33をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるグルタミン;
x.配列番号1のアミノ酸残基Trp44をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファン;
xi.配列番号1のアミノ酸残基Arg47に対応するアミノ酸でのアルギニンからヒスチジンへのアミノ酸置換;
xii.配列番号1のアミノ酸残基Trp78をコードする核酸配列におけるコドン置換を停止させるトリプトファン;
xiii.配列番号1のアミノ酸残基Val126に対応するアミノ酸でのバリンからグリシンへのアミノ酸置換;
xiv.配列番号1のアミノ酸残基Asp134に対応するアミノ酸でのアスパラギン酸からグリシンへのアミノ酸置換;及び
viii.配列番号1のアミノ酸残基Lys186に対応するアミノ酸でのリシンからアスパラギンへのアミノ酸置換からなる群から選択される1つ以上の置換を含む、実施形態538及び540~545に記載の方法。
548.個体が、TREM2のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G313に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;配列番号1をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G267に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失;またはその両方を含む、実施形態538、540~545、及び547のいずれか1つに記載の方法。
549.個体が、DAP12のヘテロ接合型多様体を有し、多様体が、
vi.配列番号2のアミノ酸残基Met1に対応するアミノ酸でのメチオニンからトレオニンへの置換;
vii.配列番号2のアミノ酸残基Gly49に対応するアミノ酸でのグリシンからアルギニンへのアミノ酸置換;
viii.配列番号2をコードする核酸配列のエクソン1~4内の欠失;
ix.配列番号2をコードする核酸配列のエクソン3での14アミノ酸残基の挿入;及び、
x.配列番号2をコードする核酸配列のヌクレオチド残基G141に対応するヌクレオチドでのグアニンヌクレオチド欠失からなる群から選択される1つ以上の多様体を含む、実施形態538、540~545、及び547~548のいずれか1つに記載の方法。
550.癌が、膀胱癌、脳癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、白血病、肺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵癌、前立腺癌、卵巣癌、線維肉腫、及び甲状腺癌からなる群から選択される、実施形態538及び540~545のいずれか1つに記載の方法。
551.阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を、個体に投与すること、及び/または、別の標準若しくは治験抗癌療法をさらに含む、実施形態538及び540~545、ならびに550のいずれか1つに記載の方法。
552.阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体が、単離抗体と組み合わせて投与される、実施形態551に記載の方法。
553.阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体が、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L2抗体、抗PD-1抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、及び抗HVEM抗体、抗Bリンパ球及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)抗体、抗キラー阻害性受容体(KIR)抗体、抗GAL9抗体、抗TIM3抗体、抗A2AR抗体、抗LAG-3抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、抗CD27抗体、ならびに、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態551または実施形態552に記載の方法。
554.標準または治験抗癌療法が、放射線療法、細胞傷害性化学療法、標的療法、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、養子細胞移入(ACT)、キメラ抗原受容体T細胞移入(CAR-T)、ワクチン療法、及びサイトカイン療法からなる群から選択される1つ以上の治療法である、実施形態551に記載の方法。
555.阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を、個体に投与することをさらに含む、実施形態538、540~545、及び550のいずれか1つに記載の方法。
556.阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体が、単離抗体と組み合わせて投与される、実施形態555に記載の方法。
557.阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体が、抗CCL2抗体、抗CSF-1抗体、抗IL-2抗体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態555または実施形態556に記載の方法。
558.刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体を、個体に投与することをさらに含む、実施形態538、540~545、及び550のいずれか1つに記載の方法。
559.刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体が、単離抗体と組み合わせて投与される、実施形態558に記載の方法。
560.刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体が、アゴニスト抗CD40抗体、アゴニスト抗OX40抗体、アゴニスト抗ICOS抗体、アゴニスト抗CD28抗体、アゴニスト抗CD137/4-1BB抗体、アゴニスト抗CD27抗体、アゴニスト抗グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR抗体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態558または実施形態559に記載の方法。
561.少なくとも1つの刺激性サイトカインを、個体に投与することをさらに含む、実施形態538、540~545、及び550のいずれか1つに記載の方法。
562.少なくとも1つの刺激性サイトカインが、単離抗体と組み合わせて投与される、実施形態561に記載の方法。
563.少なくとも1つの刺激性サイトカインが、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-8、CRP、ケモカインタンパク質ファミリーのTGF-ベータメンバー、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、OSM、CNTF、TGF-β、IL-11、IL-12、IL-17、IL-8、CRP、IFN-α、IFN-β、IL-2、IL-18、GM-CSF、G-CSF、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態561または実施形態562に記載の方法。
本発明は、次の実施例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。しかし、それらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の全体にわたる全ての引用は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
実施例1:アゴニスト抗TREM2及び抗DAP12抗体の産生、同定、及び特性評価
緒言
ヒトTREM2プレタンパク質のアミノ酸配列を、以下で配列番号1に示す。ヒトTREM2は、配列番号1のアミノ残基1~18に位置するシグナルペプチドを含有する。ヒトTREM2は、配列番号1のアミノ残基29~112に位置する細胞外免疫グロブリン様可変型(IgV)ドメイン;配列番号1のアミノ残基113~174に位置するさらなる細胞外配列;配列番号1のアミノ残基175~195に位置する膜貫通ドメイン;及び配列番号1のアミノ残基196~230に位置する細胞内ドメインを含有する。
TREM2アミノ酸配列(配列番号1):
ヒトTREM2の既知の特徴は、膜貫通ドメインが、DAP12中のアスパラギン酸と相互作用できるリシン(aa186);TREM2、TREM1、及び他の関連するIgVファミリーメンバーからのシグナル伝達を変換する、鍵となるアダプタータンパク質を含有することである。
ヒトTREM2のBLAST分析により、18の関連するホモログを同定した。これらのホモログは、ナチュラルキラー(NK)細胞受容体NK-p44(NCTR2)、多量体免疫グロブリン受容体(pIgR)、CD300E、CD300A、CD300C、及びTREML1/TLT1を含んでいた。最も近いホモログを、IgVドメイン内のTREM2と類似性を有するNCTR2と同定した(図1A)。BLAST分析により、TREMタンパク質を他のIgVファミリータンパク質とさらに比較した(図1B)。
TREM2はまた、TREM1と密接に関連する。TREM1及びTREM2のアミノ酸配列のアライメントを、双方向blastにより生成した(図2A)。これは、IgVドメインにも限定される。
TREM1、NK-p44、及びこのファミリーの他のメンバーに対するアゴニスト抗体は、以前に記載されている。TREM2の細胞外ドメイン、特にIgVドメイン(配列番号1のアミノ酸残基29~112)に結合する抗体を、マウスハイブリドーマ技術、ファージディスプレイ技術、及び酵母ディスプレイ技術を使用して生成する。次に、以下の実施例2~39に記載されているように、細胞及びインビボでの完全な動物におけるTREM2シグナル伝達及び機能を活性化する能力について、抗体をスクリーニングする。
例えば、IgVドメイン(アミノ酸残基29~112)を標的とするアゴニスト抗TREM2抗体を産生できる。IgVドメインは、標的に結合し、IgG自体またはNKp44などの受容体の多量体化を通して、活性化をもたらす。従って、これらのドメインはアゴニスト抗体の合理的な標的である。それらはまた、高度に分岐している。
ヒトTREM2のアミノ酸残基99~115を標的とするアゴニスト抗TREM2抗体も産生できる。マウスTREM1(アミノ酸残基83~99)における対応するペプチドが、TREM1の、その内因性標的への結合をブロックするので、アミノ酸残基99~115は、TREM2の、その内因性標的への結合をブロックするペプチドに対応すると考えられている(Gibot et al., Infect. Immunity 2004)。マウスTREM1ペプチドは、LP17(LQVTDSGLYRCVIYHPP(配列番号414))と呼ばれている。ヒトTREM2の同等の領域は、CD3ドメイン内に位置し、配列番号1のアミノ酸残基99~115(LQPHDAGLYQCQSLHG)に位置する。リガンド結合をブロックする抗体は、リガンド自体と同様に、受容体を活性化できた。
ヒトTREM2タンパク質内の関連部位(例えば、アゴニスト部位)を予測するための別のアプローチは、アルツハイマー病(例えば、R47H)、硬化性白質脳症を伴う脂肪膜性多発嚢胞性骨異形成症(PLOSL)、または那須-ハコラ病における変異が見出される部位を標的とすることによる。さらに、一般にIgVドメイン内に見出されるヒト疾患に関連する主要な変異の部位が関連する。
TREM1のTREM2関連構造の結晶構造(Kelker, MS et al., J Mol Biol, 2004. 344(5): p. 1175-81; Kelker, MS et al., J Mol Biol, 2004. 342(4): p. 1237-48;及びRadaev, S et al., Structure, 2003. 11(12): p. 1527-35)、TLT1(Gattis, JL et al., J Biol Chem, 2006. 281(19): p. 13396-403)、ならびにNKp44は、記載されており、従って、天然アゴニストとの相互作用において中心的な役割を果たす可能性が特に高いIgVドメイン内の構造領域/特徴を同定する。これらの研究は、相補性決定領域(CDR1、CDR2、CDR3)がリガンド結合において主要な役割を果たすという考えをサポートする。TREM1は、無細胞条件下のインビトロで単量体(Gattis, JL et al., J Biol Chem, 2006. 281(19): p. 13396-403)または二量体(Radaev, S et al., Structure, 2003. 11(12): p. 1527-35)のいずれかであると報告されているが、インビボでのオリゴマー状態は、TREM2のものと同様に、依然として不明である。
ヒトDAP12のアミノ酸配列は、以下に配列番号2として示す。
DAP12は、シングルパスI型膜タンパク質である。それは、ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基22~40に位置する細胞外ドメイン;ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基41~61に位置する膜貫通ドメイン;及びヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基62~113に位置する細胞内ドメインを含有する。DAP12の免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)ドメインは、ヒトDAP12(配列番号2)のアミノ酸残基80~118に位置する。DAP12のアスパラギン酸は、アミノ酸残基186にリシンを含有するヒトTREM2の膜貫通ドメインと相互作用し、TREM2、TREM1、及び他の関連するIgVファミリーメンバータンパク質からのシグナル伝達を変換する。
ヒトDAP12のアミノ酸残基22~40を標的とするアゴニスト抗DAP12抗体を産生できる。DAP12は、TREM2と会合するジスルフィド結合二量体であり、アミノ酸残基22~40を包含する細胞外ドメインに対する抗体で、DAP12を二量体化すると、1つ以上のTREM2及び/またはDAP12活性を活性化することになると考えられている。
本明細書で検討される研究は、TREM2に結合するアゴニスト抗体の生成を記載する。TREM2発現細胞への結合ならびにTREM2シグナル伝達及び機能性を活性化するそれらの能力について、抗体をスクリーニングした。
結果
抗TREM2抗体の産生
次の手順を使用して、TREM2の細胞外ドメイン、特にIgVドメイン(配列番号1のアミノ酸残基29~112)に結合する抗体を生成した。それぞれ約109の多様性を有する8つのナイーブヒト合成酵母ライブラリを、上述のように、設計し、生成し、増殖させた(例えば、WO2009036379; WO2010105256; WO2012009568; Xu et al., (2013) Protein. Eng. Des. Sel. 26(10):663-670を参照のこと)。本明細書で使用されるADIMAB酵母ベースの抗体発見プラットフォームは、エピトープの範囲が広い完全ヒト全長モノクローナルIgG1抗体の同定を可能にした。分泌経路を介して高品質な全IgGを輸送し、次に、それらを表面上に提示する、または、それらを培地中に直接分泌するように、ADIMAB酵母を遺伝子操作する。
選択の最初のラウンドでは、上述したように、Miltenyi MACsシステムを利用した磁気ビーズ選別技術を実施した(Siegel et al., (2004) J. Immunol. Methods 286(1-2):141-53)。要約すると、0.1%BSAを含むFACS洗浄緩衝液PBS中、室温で15分間、3mlの200nMのビオチン化TREM2抗原または10nMのビオチン化TREM2-Fc融合抗原と、酵母細胞(約1010細胞/ライブラリ)をインキュベーションした。ビオチン化は、EZ-Link Sulfo-NHS-ビオチン化キット(Thermo Scientific、カタログ番号21425)を使用して行った。50mlの氷冷洗浄緩衝液で1回洗浄した後、細胞ペレットを40mLの洗浄緩衝液で再懸濁し、500μlのストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec、ドイツ、ベルギッヒグラヂバッハ、カタログ番号130-048-101)を酵母に加え、4℃で15分間インキュベーションした。次に、酵母をペレット化し、5mLの洗浄緩衝液に再懸濁し、MACS LSカラム(Miltenyi Biotec、ドイツ、ベルギッヒグラヂバッハ、カタログ番号130-042-401)にロードした。5mLをロードした後に、カラムを3mlのFACS洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、カラムを磁場から取り出し、5mLの成長培地で酵母を溶出させ、次に、一晩成長させた。フローサイトメトリーを使用して、次の3ラウンドの選別を実施した。約1×108酵母をペレット化し、洗浄緩衝液で3回洗浄し、それぞれ、室温で10分間、200nM、100nMまたは10nMのビオチン化TREM2とインキュベーションした。次に、酵母を2回洗浄し、4℃で15分間、1:100に希釈されたヤギ抗ヒトF(ab’)2カッパ-FITC(Southern Biotech、アラバマ州バーミンガム、カタログ番号2062-02)及び1:500に希釈されたストレプトアビジン-Alexa Fluor 633(Life Technologies、ニューヨーク州グランドアイランド、カタログ番号S21375)または1:50に希釈されたエクストラビジン-フィコエリトリン(Sigma-Aldrich、セントルイス、カタログ番号E4011)のいずれかの二次試薬で染色した。氷冷洗浄緩衝液で2回洗浄した後、細胞ペレットを0.4mL洗浄緩衝液に再懸濁し、ストレーナーでキャップした選別管に移した。FACS ARIAソーター(BD Biosciences)を使用して、選別を実施し、ソートゲートを第2ラウンドのクローンに結合するTREM2のみを選択するように決定し、第3ラウンドは、試薬結合剤を減少させるネガティブ選別であった。選別の最終ラウンドの後に、酵母をプレーティングし、個々のコロニーを特性評価のために採取した。
酵母クローンを飽和まで増殖させ、次に、振とうしながら30℃で48時間誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、上清を精製のために採取した。IgGを、Protein Aカラムを使用して精製し、酢酸、pH2.0で溶出させた。Fabフラグメントをパパイン消化により生成し、KappaSelect(GE Healthcare LifeSciences、カタログ番号17-5458-01)で精製した。2つの抗体(Ab21及びAb52)を、さらなる分析のために選択した。
抗体Ab21及びAb52の重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列
標準的な技術を使用して、抗体Ab21及び抗体Ab52の重鎖可変ドメイン(図2B)及び軽鎖可変ドメイン(図2C)をコードするアミノ酸配列を決定した。
抗体Ab21及び抗体Ab52のKabat CDR配列を、表1に示す。
抗体Ab21の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFTTYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPGDSDTRYSPSFQGQVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARAGHYDGGHLGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号410)であり、抗体Ab21の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、EIVMTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYGASNRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQDDSAPYTFGGGTKVEIK(配列番号411)である。
抗体Ab52の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYIHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREADDSSGYPLGLDVWGQGTMVTVSS(配列番号412)であり、抗体Ab52の軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQVNSLPPTFGGGTKVEIK(配列番号413)である。
Ab21及びAb52結合の特性評価
TREM2抗体の最初の特性評価は、樹状細胞及び他の初代ヒトまたはマウス免疫細胞上で発現されたTREM2に結合する能力を決定することを含む。細胞を採取し、96ウェルプレートに105/mlでプレーティングし、洗浄し、氷中で1時間、10~50ug/mlのMabを含有する100ulのPBS及びFcブロッキング試薬中でインキュベーションした。次に、細胞を2回洗浄し、氷中で30分間、5ug/mlのPEコンジュゲート二次抗体を含有する100ulのPBS中でインキュベーションした。細胞を冷PBS中で2回洗浄し、BD FACSCantoで得た。MFI値のデータ分析及び計算を、FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7で実施した。
抗体Ab21、Ab52、Ab16、Ab20、Ab66、及びAb68は、FACS解析により検出された陽性TREM2抗体染色が示すように、組換えマウスTREM2を発現するマウス細胞株(BWZ T2)に結合することを実証した(黒輪郭のヒストグラム)(図3A)。抗体Ab21及びAb52は、抗体が、WT(TREM2+/+)骨髄由来マウスマクロファージ(BMMac、mMac)に結合するが、TREM2欠損(TREM2-/-)マウスマクロファージ(BMMac、mMacs)に結合しないことを実証した(図3B)。抗体Ab21及びAb52は、組換えヒトTREM2を発現するヒト細胞株(293)(図4A)及び初代ヒト樹状細胞(hDC)(図4B)の両方に結合することを実証した。逆に、抗体Ab43及びAb60は、組換えヒトTREM2を発現するヒト細胞株に結合した(図4A)が、初代ヒト樹状細胞に結合しなかった(図4B)。
TREM2抗体Ab21及びAb52により結合された細胞型に対する平均蛍光強度(MFI)値を表4に記載する。結合を、親マウス細胞株(親mTREM2細胞株BWZ)、初代ヒト細胞株(hTREM2親細胞株(293))、TREM2欠損の初代マウスマクロファージ(mMacs KO MFI)、及びTREM2欠損の初代マウス樹状細胞(mDC KO MFI)と比較する。
各抗TREM2抗体の結合親和性を、ForteBioまたはMSD-SETによりKDを測定することによって決定した。ForteBio親和性測定を、上述したように実施した(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8)。要約すると、IgGをAHQセンサー上にオンラインでロードすることにより、ForteBio親和性測定を実施した。センサーを、30分間アッセイ緩衝液中、オフラインで平衡化し、次に、ベースライン確立のために60秒間オンラインで監視した。ロードされたIgGを有するセンサーを、5分間100nMの抗原に曝露し、次に、オフレート測定のために、5分間アッセイ緩衝液に移した。1:1結合モデルを使用して、動態を解析した。
平衡親和性測定を、上述したように実施した(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8)。50pMで一定に保たれた抗原を含むPBS+0.1%IgG不含BSA(PBSF)中で、溶液平衡滴定(SET)を実施し、10nMで開始する抗体の3~5倍の連続希釈物とインキュベーションした。抗体(PBS中の20nM)を、4℃で一晩、または、30分間室温で、標準的な結合MSD-ECLプレート上にコーティングした。次に、プレートを700rpmで振とうしながら30分間ブロックし、続いて、洗浄緩衝液(PBSF+0.05%のTween20)で3回洗浄を行った。SETサンプルを適用し、700rpmで振とうしながら、150秒間プレート上でインキュベーションし、続いて、1回洗浄を行った。プレート上で捕捉された抗原を、3分間プレート上でインキュベーションすることにより、PBSF中の250ng/mLのスルホタグ標識ストレプトアビジンで検出した。プレートを、洗浄緩衝液で3回洗浄し、次に、界面活性剤を含む1×のRead Buffer Tを使用して、MSD Sector Imager 2400 instrumentで読み取った。パーセント遊離抗原を、Prismで滴定された抗体の関数としてプロットし、二次方程式に適合させてKDを得た。スループットを向上させるために、SET試料調製を含むMSD-SET実験を通して、自動液体分注機を使用した。
表5は、抗体Ab21及びAb52の、ヒトTREM2Fc融合タンパク質(hTREM2-Fc)、ヒト単量体HisタグTREM2タンパク質(hTREM2-HIS)、マウスTREM2Fc融合タンパク質(mTREM2-Fc)への結合親和性(KD)を表す値を記載する。
実施例2:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12の二重特異性抗体による樹状細胞におけるToll様受容体(TLR)応答の正常化及び低減
骨髄由来樹状細胞(BMDC)を、LPS、CpG DNA、及びザイモサンなどのTLRリガンドで16時間培養することにより刺激する。サイトカインIFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、及びTNFの分泌を評価するために、馴化培地を収集し、ELISAアッセイを実施する。活性TREM2を有さないBMDC細胞は、刺激後にTREM2を活性化したBMDC細胞よりも有意に多くのIL-12p70及びTNFを分泌することがあると考えられている。さらに、抗TREM2アゴニスト抗体はIL-12p70及びTNFの発現レベルを低減させることになると考えられている。部分的に不活性なTREM2を有することになる野生型由来及びTREM2-ヘテロ接合型マウス由来の骨髄由来樹状細胞は、サイトカインIL-12p70及びTNFの発現レベルならびにアゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体によるそれらの調節を決定するための陽性対照として機能するであろう。
製造者のプロトコールに従い、マウスIFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、TNF、ならびにIL-10 ELISA kit(eBioscience)及びVeriKine Mouse IFN-b ELISA kit(PBL interferon source)を使用して、培養上清中のサイトカイン濃度を決定する。定量的RT-PCR(qRT-PCR)により、これらのサイトカインに対するmRNAのレベルも測定する。製造者のプロトコールに従い、RNeasy plus mini kit(QIAGEN)を使用することにより、全RNAを調製し、オリゴdTプライマーを使用してSuperscript III Reverse Transcriptase(Invitrogen)で逆転写する。製造者のプロトコールに従い、Power SYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems)及び7900HT(Applied Biosystems)を使用して、定量的PCRを実施する。IFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、及びTNFプライマーの配列は、記載されている通りである。(例えば、Hamerman, JA, Eur. J. Immunol. 2012. 42: 176-185)
実施例3:BMDCの、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体により抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力の正常化及び低減
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体は、骨髄由来樹状細胞(BMDC)の、抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を低減及び正常化させることがあると考えられている。
BMDCにより誘導されるオボアルブミン(OVA)特異的T細胞応答は、CFSE希釈により決定できる。培養の6日後に、MACSによりBMDCを単離し、4時間、GM-CSF(10ng/mL)の存在下で、OVA(2または0.5mg/mL)及びCpG DNA(100または25nM)を含む丸底96ウェルプレートの1ウェル当たり1×104細胞でプレーティングする。Dynal Mouse CD4 Negative Isolation Kit(Invitrogen)を使用することにより、OT-IIトランスジェニックマウスの脾臓及びリンパ節由来のCD4T細胞を単離し、CFSE(最終0.8mM)で染色する。4時間のDC培養の後、1×105のCFSE標識CD4 OT-II T細胞を、各ウェルに添加し、72時間インキュベーションする。培養後、細胞を、抗CD4モノクローナル抗体で染色し、ゲーティングされるCD4 OT-II T細胞のCFSE希釈を検出するために、フローサイトメトリーを実施する。分裂の割合及び分裂指数を計算するデータ解析を、FlowJoソフトウェア(Treestar)で実施する(Eur. J. Immunol. 2012. 42: 176-185)。
実施例4:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体によるマクロファージにおけるToll様受容体(TLR)応答の正常化及び低減
骨髄由来マクロファージ(BMDM)または初代腹腔マクロファージ応答は、TREM2の欠損により、TLRシグナル伝達に変わる(Turnbull, IR et al., J Immunol 2006; 177:3520-3524)。アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体は、マクロファージのTLR応答を低減及び正常化することがあると考えられている。
初代マクロファージを誘発するために、マウスを、腹腔内注射により1.5mlの2%のチオグリコレート培地で処理し、次に、細胞を、腹腔洗浄により単離する。BMDMを生成するために、10%の仔ウシ血清、5%のウマ血清、及び6ng/mlの組換えヒトCSF-1(R&D Systems)が補充されたDMEMで、全骨髄を培養する。細胞を5~6日間培養し、接着細胞を、PBS中の1mMのMEDTAで分離する。細胞を市販の抗体:抗CD11b、抗CD40、抗GR1(BD Pharmingen)、及びF4/80(Caltag Laboratories)で染色する。
BMDMをリプレーティングし、37℃で4時間接着させた、次に、LPS(Salmonella abortus equi)、ザイモサン(Saccharomyces cerevisiae)、及びCpG 1826 DNA(例えば、Sigma-Aldrichから購入)などのTLRアゴニストを添加する。刺激の24時間後に、細胞培養上清を収集し、IFN-a4、IFN-b、IL-6、IL-12p70、及びTNFサイトカインのレベルを、ELISAまたはサイトメトリービーズアレイ(BD Biosciences mouse inflammation kit)により測定する。
実施例5:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体による骨髄由来骨髄前駆細胞における抗炎症性サイトカインIL-10の誘導
骨髄由来骨髄前駆細胞は、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体での処理及び100ng/mlのLPS(Sigma)での刺激後に、アポトーシス細胞で共培養することにより、または、同様の刺激により、抗炎症性サイトカインIL-10の増加を示すことがあると考えられている。
骨髄由来骨髄前駆細胞の単離を、次のように実施する。後肢の脛骨及び大腿骨の髄腔由来の骨髄細胞を、成体6~8週齢雌C57BL/6マウス(Charles River、ドイツ、スルツフェルド)から単離する。赤血球の除去を、低張溶液での溶解により実施する。75cm2の培養フラスコ(Greiner Bio-One)中の、10%のウシ胎児血清(Pan Biotech)及び10ng/mlのGM-CSF(R&D Systems)を含有するDMEM培地(Invitrogen)で、細胞を培養する。24時間後に、非接着細胞を収集し、新しい75cm2の培養フラスコに再播種する。培地を5日後に交換し、細胞をさらに10~11日間培養する。残りの細胞は、骨髄由来骨髄前駆細胞であり、TREM2ウイルスを形質導入される。次に、形質導入された細胞を、抗TREM2アゴニスト抗体及びLPSの存在下及び不存在下の両方で、馴化培地中のIL-10のレベルについて試験する。上清を24時間後に収集し、細胞から放出されるIL-10のレベルを、製造者の使用説明書に従い、IL-10 ELISA(QuantikineM mouse IL-10、R&D Systems)により決定する(JEM(2005), 201; 647-657;及びPLoS Medicine (2004), 4 | Issue 4 | e124)。
実施例6:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体による、骨髄細胞系列由来の細胞中のアポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、及び病原性タンパク質の貪食の誘導
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体は、単球及びミクログリアなどの骨髄細胞系列由来の細胞中で、アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、ならびに、Aベータペプチド、アルファシヌクレインタンパク質、Tauタンパク質、TDP-43タンパク質、プリオンタンパク質、及びハンチンチンタンパク質などの病原性タンパク質の貪食を誘導することがあると考えられている。
単球を、成体C57BL/6マウスから収集した末梢血から単離する。低張溶解緩衝液により赤血球を枯渇させる。培養ディッシュ上、10%ウシ胎児血清(Pan Biotech)を含有するRPMI培地(Invitrogen)に、細胞をプレーティングする。細胞を、10%のCO2中37℃で数時間培養する。トリプシン処理後、接着細胞を収集し、貪食実験に使用する。
ミクログリア細胞を、生後3日目~5日目(P3~P5)のC57BL/6マウスの脳から調製する。簡単に言うと、髄膜を機械的に除去し、細胞を粉砕によって解離し、コンフルエントなグリア単層を形成するために、14日間、10%のFCS(PAN Biotech GmbH)、1%のグルコース(Sigma-Aldrich)、1%のL-グルタミン(GIBCO BRL)、及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO BRL)が補充された基礎培地(BME;GIBCO BRL)で培養する。ミクログリア細胞を収集するために、培養物を2時間ロータリーシェーカー(200rpm)で振とうする。付着したアストロサイトを、免疫組織化学に使用する。分離されたミクログリア細胞を、1時間通常の培養ディッシュに播種し、次に、全ての非接着細胞を取り出して廃棄する。単離されたミクログリア細胞の純度は、CD11bに対する抗体(BD Biosciences)を用いるフローサイトメトリー分析で測定した時、約95%である。ミクログリア細胞を基礎培地で培養する。
オリゴデンドロサイト(すなわち、ニューロン)及びニューロン富化細胞を、C57BL/6マウス胚(E15-16)の脳から調製する。簡単に言うと、脳組織を、単離して機械的に分散し、0.01mg/mlのポリ-L-オルニチン(Sigma-Aldrich)及び10μg/mlのラミニン(Sigma-Aldrich)でプレコーティングされた培養ディッシュに播種する。2%のB-27サプリメント(GIBCO BRL)、1%のグルコース(Sigma-Aldrich)、及び1%のFCS(PAN Biotech GmbH)が補充されたニューロン馴化培地(BME;GIBCO BRL)で、細胞を培養する。形態学的に成熟したオリゴデンドロサイトを得るために、細胞を5~10日間培養する。
アポトーシスニューロン、神経組織破片、非神経組織破片、細菌、他の異物、及び病原性タンパク質の貪食アッセイを行うために、ミクログリアに、sh-TREM2 RNA、sh-対照RNA、wTREM2、GFP1対照、mtDAP12-GFP、及びGFP2対照ベクターを形質導入する。形質導入後、RNA干渉によるTREM2の効果的なノックダウンを達成するために、ミクログリアを72時間培養する。ニューロンを5~10日間培養し、次に、アポトーシスを誘導するために、オカダ酸を3時間かけて30nMの終濃度で添加する。神経細胞膜をCellTracker CM-DiI膜色素(Molecular Probes)で標識する。インキュベーション後、アポトーシスニューロンまたは貪食の他の標的を2回洗浄し、1:20のエフェクター/標的比の形質導入されたミクログリア培養物に添加する。アポトーシスニューロンの添加の1及び24時間後に、貪食されたニューロン細胞膜を有するミクログリアの数を、共焦点蛍光顕微鏡(Leica)で計数する。アポトーシス細胞を、倍率60倍で、3つの異なる領域において計数する。貪食量を、フローサイトメトリーで確認する。さらに、アポトーシスニューロンの添加の24、48、または72時間後に、細胞を収集し、サイトカインのRT-PCRに使用する。
マイクロスフェアビーズまたは細菌貪食アッセイを行うために、ミクログリアに、TREM2発現ベクターまたはGFP対照ベクターを形質導入する。次に、細胞を、抗TREM2アゴニスト抗体で処理する。24時間後に、1.00μmの赤色蛍光マイクロスフェアビーズ(Fluoresbrite Polychromatic Red Microspheres;Polysciences Inc.)または蛍光標識細菌を、1時間かけて添加する。ミクログリアによるマイクロスフェアビーズまたは蛍光標識細菌の貪食を蛍光顕微鏡で分析する。さらに、ミクログリアを培養プレートから収集し、フローサイトメトリーにより分析する。貪食ビーズを有するミクログリアの割合を決定する。貪食が実験毎に異なるので、貪食の相対的な変化も決定する。アゴニスト抗体と培養されたミクログリア及び対照抗体と培養されたミクログリアの間の貪食との相対的変化として、データを示す。
炎症性遺伝子転写物の分析用のRT-PCRを行うために、ミクログリアに、TREM2ベクターまたはGFP1対照ベクターを形質導入する。次に、細胞を、ディッシュ上で培養し、抗TREM2アゴニスト抗体で処理する。24、48、及び72時間後に、RNeasy Mini Kit(QIAGEN)を使用して、RNAをミクログリアから単離する。sh-TREM2 RNA、sh-対照RNA、wTREM2、GFP2、mtDAP12-GFP、及びGFP1ベクターを形質導入したミクログリアから、RNAをさらに収集し、48時間、アポトーシスニューロンと共培養する。
次に、RNAの逆転写を実施する。SYBR Greenによる定量的RT-PCRを、ABI Prism 5700 Sequence Detection System(PerkinElmer)で実施する。GAPDHの増幅を、サンプルの正規化に使用する。増幅プロトコールは、GeneAmp 5700 Sequence Detection System Software(バージョン1.3)に従った。GAPDH、TNF-アルファ、IL-1、NOS2、及びTGF-ベータ転写物の検出のために、次のフォワードプライマー及びリバースプライマーを終濃度200nMで使用した。
GAPDHフォワードプライマー:5’-CTCCACTCACGGCAAATTCAA-3’(配列番号416)、及びGAPDHリバースプライマー:5’-GATGACAAGCTTCCCATTCTCG-3’(配列番号417);
TNF-αフォワードプライマー:5’-CCGTCAGCCGATTTGCTATCT-3’(配列番号418)、及びTNF-αリバースプライマー:5’-ACGGCAGAGAGGAGGTTGACTT-3’(配列番号419);
IL-1αフォワードプライマー:5’-ACAA-CAAAAAAGCCTCGTGCTG-3’(配列番号420)、及びIL-1αリバースプライマー:5’-CCATTGAGGTGGAGAGCTTTCA-3’(配列番号421);
NOS2フォワードプライマー:5’-GGCAAACCCAAGGTCTACGTTC-3’(配列番号422)、NOS2リバースプライマー:5’-TACCTCATTGGCCAGCTGCTT-3’(配列番号423);ならびに、
TGF-β1フォワードプライマー:5’-AGGACCTGGGTTGGAAGTGG-3’(配列番号424)、及びTGF-β1リバースプライマー:5’-AGTTGGCATGGTAGCCCTTG-3’(配列番号425)。
アミロイド貪食アッセイを行うために、HiLyteFluor(商標) 647(Anaspec)-Abeta-(1-40)を、Tris/EDTA(pH8.2)に20mMで再懸濁し、次に、凝集を促進するために、37℃、3日間、暗所でインキュベーションした。凝集した蛍光標識ベータペプチドの添加に先立って、低血清(インスリンが補充された0.5%のFBS)、LPS(50ng/ml)、IFNc(100ユニット/ml)、及び抗TREM2アゴニスト抗体で、ミクログリア細胞を24時間前処理する。100nMの凝集したHiLyteFluor(商標) 647-Ab-(1-40)の添加の5時間後に、フローサイトメトリー分析により、アミロイド貪食及びTREM2の表面発現を決定する(ASN NEURO (2010) 2(3): 157-170)。他の病原性タンパク質の貪食を、同様の仕方で行う。
実施例7:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体によるERK活性化の誘導
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体は、ERK活性化を誘導することがあると考えられている。
ミクログリアに、TREM2ベクターを形質導入し、2×105の細胞を、1時間、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体に曝露する。刺激後、ウェスタンブロット分析のために、細胞を還元サンプル緩衝液に溶解させる。ERKのリン酸化及びERKの総量を、それぞれウェスタンブロット分析による抗ホスホ-ERK抗体及び抗-ERK抗体(両方ともCell Signaling Technology製)を用いる免疫検出により決定する(JEM (2005), 201, 647-657)。
実施例8:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体による、ミクログリア、マクロファージ、及び樹状細胞における、CCR7、ならびにCCL19及びCCL21への遊走、の誘導
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体が、ミクログリア細胞、マクロファージ、及び樹状細胞において、CCR7、ならびにCCL19及びCCL21への遊走、を誘導することがあると考えられている。
ミクログリア細胞に、TREM2ベクターまたはGFP1対照ベクターを形質導入する。次に、形質導入されたミクログリア細胞を、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/若しくはTREM2/DAP12二重特異性抗体または対照抗体のいずれかと培養する。72時間後に細胞を収集し、CCR7特異的抗体で免疫標識し、フローサイトメトリーで分析する。
増加したCCR7発現の任意の機能的結果を決定するために、走化性アッセイを実施する。ミクログリア細胞を、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体で、TREM2を介して刺激し、2チャンバーシステムに入れる。ケモカインリガンドCCL19及びCCL21へ遊走するミクログリア細胞の数を定量化する(JEM (2005), 201, 647-657)。
走化性アッセイのために、ミクログリア細胞を、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体に曝露し、1μg/mlのLPSで処理する。下部チャンバー内に100ng/mlのCCL19またはCCL21(両方ともPeproTech製)を含む450μlの培地を含有するトランスウェルシステム(3μmのポアフィルター;Millipore)の上部チャンバーに、ミクログリアを移す。1時間のインキュベーション期間の後、下部チャンバーへ遊走しているミクログリア細胞の数を、顕微鏡で3つの独立した領域で計数する(JEM (2005), 201, 647-657)。
実施例9:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体による、ミクログリア、マクロファージ、及び樹状細胞におけるF-アクチンの誘導
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体は、ミクログリア細胞、マクロファージ、及び樹状細胞において、F-アクチンを誘導することがあると考えられている。
TREM2を形質導入されるまたはTREM2を発現するミクログリア及び目的の他の細胞を、培養ディッシュに添加し、次に、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/若しくはTREM2/DAP12二重特異性抗体または対照抗体に曝露する。細胞を固定し、ブロックし、次に、1時間後にAlexa Fluor 546コンジュゲートファロイジン(Molecular Probes)で染色し、F-アクチンを蛍光色素で標識する。40×の対物レンズを備えた共焦点レーザー走査顕微鏡(Leica)により、イメージを収集する(JEM (2005), 201, 647-657)。
実施例10:アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体による、破骨細胞産生の誘導及び破骨細胞形成速度の増加
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体は、破骨細胞産生を誘導し、破骨細胞形成速度の増加することがあると考えられている。
破骨細胞または骨髄由来単球/マクロファージ(BMM)前駆細胞を産生するRAW264.7細胞を、10%のFBS(Atlantic Biologics、米国ジョージア州アトランタ)及びペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(Mediatech)が補充されたRPMI-1640培地(Mediatech)または別の適切な培地で維持する。FLAGエピトープがN末端に付加されたTREM2B cDNAを、IRESの上流のレトロウイルスベクターpMXpieに挿入し、続いて、eGFP cDNA配列を挿入する。製造者のプロトコールに従い、Fugene 6(Roche)を使用して、細胞にpMXpie-FLAG TREM2Bをトランスフェクションする。細胞を、2μg/mlのピューロマイシン(Sigma)で選択する。フローサイトメトリーを使用することにより、安定なピューロマイシン耐性クローンを、抗FLAG M2モノクローナル抗体(Sigma)についてスクリーニングし、次に、サブクローニングし、ピューロマイシン選択培地で維持する。
TREM2Bを発現するRAW264.7細胞を、10%のFBS、ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン、50ng/mlのRANKL、及び20ng/mlのM-CSFが補充されたα-MEM培地中に3000細胞/ウェルを含む96ウェルプレートに播種する。培地を3日毎に交換し、抗TREM2アゴニスト抗体に曝露し、多核性(少なくとも3つの核)TRACP+破骨細胞を、光学顕微鏡で計数してスコアリングする。複雑性及びサイズを決定するために、破骨細胞を、核の数により計数する(>10または3~10の核)。Image J software(NIH)を使用することにより、破骨細胞の表面積も測定する。加えて、破骨細胞遺伝子の発現レベルを決定する。TRIzol試薬(Invitrogen)を使用して、全RNAを、異なる時点で破骨細胞形成培養物から抽出する。SuperScript III kit(Invitrogen)を使用する第一鎖cDNA合成の後、Nfatc1、Acp5、Ctsk、Calcr、及びCcnd1に対し、リアルタイム定量PCR反応を実施する。標的mRNA発現の相対定量を計算し、シクロフィリンの発現に対して正規化し、(標的遺伝子のmRNA/シクロフィリンのmRNA)3×106として表す(J. OF BONE AND MINERAL RESEARCH (2006), 21, 237-245; J Immunol 2012; 188:2612-2621)。
実施例11:全動物におけるEAE及びクプリゾンからのインビボ保護
成体7~9週齢雌C57BL/6マウス(Charles River Laboratoriesから入手)に、不完全フロイントアジュバント(Difco)中の100μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35~55(アミノ酸MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK(配列番号415);Seqlab)及び1mgのヒト型結核菌H37Ra(Difco)を含有する200μlの接種物を尾の付け根の両側に注射する。百日咳毒素(200ng;List Bio-Logical Laboratories)を、免疫後0日目及び2日目に注射する。臨床徴候を、次のようにスコアリングする。0,臨床徴候なし;1,完全な跛行;2,完全な跛行及び異常歩行;3,片方の後肢不全対麻痺;4,完全な後肢不全対麻痺;ならびに、5,前肢及び後肢の麻痺または瀕死。
14日目に疾患発症したマウス(1以上の臨床スコア)のみを実験に使用する。アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体を、最初の臨床症状の日または他の任意の所望の時に、EAE罹患マウスに腹腔内または静脈内注射する(PLoS Med (2007) 4(4): e124)。
若年または老年の野生型(WT)マウスに、4、6または12週間、0.2%のクプリゾン(CPZ)粉末シュウ酸ビス(シクロヘキシリデンヒドラジド)(Sigma-Aldrich)を含有する標準食餌(Harlan)を与える。組織学的及び免疫組織化学分析のために、4%のパラホルムアルデヒド(PFA)でマウスを灌流した後に、脳を取り出し、24時間、4%のPFA中で固定し、続いて、24~48時間、30%のスクロース中に浸漬する。ミエリンの完全性及び損傷ならびに細胞増殖を評価するため、炎症部またはマウス脳を、抗MBP(1:100;Abcam、ab7349)、-dMBP(1:2000;Millipore、ab5864)、-βAPP(1:100;Invitrogen、51-2700)、-SMI-31(1:1000;Covance、smi-31R)、-Iba1(1:600;和光純薬工業株式会社、019-19741)、-BrdU(1:250;Abcam、ab1893)、-GFAP(1:200;Invitrogen、13-0300)、-iNOS(1:100;BD Pharmingen、610329)、-LPL(1:400、G.Olivecrona博士より)及び-MHC II(1:100;BD Pharmingen、553549)で染色する。抗体の行動への影響では、透明なポリスチレンエンクロージャー及びコンピュータ化されたフォトビーム測定器を使用して、マウスを、歩行活動について分析する。経過時間、移動距離、及びエントリーを含む情動性の指標共に、一般的な活動変数(全歩行運動、垂直立ち上がり)を分析する。バランス(棚及び台)、強度(反転スクリーン)、強調(ポール及び傾斜スクリーン)、ならびに動きの開始(歩行開始)を評価するために、一連の感覚運動試験を実施する。ロータロッドプロトコールを使用して、運動強調及びバランスを研究する(Cantoni et al., Acta Neuropathol (2015)129(3):429-47)。
実施例12:外傷性脳損傷の樹立された動物モデルにおける、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的使用の特性評価
外傷性脳損傷の樹立された動物モデルにおいて、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的有用性を試験する(Tanaka, Y et al. (2013) Neuroscience 231 49-60)。
例えば、ミクログリア及びアストロサイトの活性化を誘導する外傷性脳損傷のモデルを使用する。8または9週齢の雄C57BL/6J WTマウスまたはプログラニンヘテロ接合マウスを使用する(Charles River LaboratoriesまたはJackson Laboratoriesから購入)。滅菌生理食塩水中の塩酸キシラジン(8mg/kg)及び抱水クロラール(300mg/kg)の腹腔内投与により、マウスを麻酔し、続いて、定位固定装置に入れる(Narishige, Tokyo, Japan)。頭皮に切開を入れ、頭蓋骨を露出させる。骨膜を頭蓋から取り、歯科用ドリルで右大脳半球上に穴をあけ、硬膜を針先で取り出す。0.5mmの外径を有するステンレススチール製のカニューレを、右半球に縦方向の刺し傷を作るために使用する。カニューレを、正中線の1.3mm外側及び前頂部の1mm後方に配置し、先端が2mmの深さに達するまで、脳に導入する。次に、カニューレを2mm尾方(前頂部3mm)に移動し、次に、最初の位置に対し2mm吻方に戻す。最終的に、カニューレを脳から取りはずし、頭皮の創傷を縫合する。次に、マウスを、標準的な手順に従い、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体で処理し、次に、組織学及び免疫蛍光染色ならびに行動試験によって分析する。
実施例13:毒素誘発損傷後の神経炎症及びニューロン損失のモデルにおける、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的使用の特性評価
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的有用性を、毒素誘発損傷後の神経炎症及びニューロン損失のモデルにおいて試験する(Martens, LH et al., (2012) The Journal of Clinical Investigation, 122, 3955)。
3ヵ月齢マウスを、2日間、1日当たりMPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)(体重1g当たり4μg)(Sigma-Aldrich)またはPBSの4回の腹腔内注射で処理する。マウスを、記載されているように、標準プロトコールに従い、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体で処理し、次に、黒質緻密部(SNpc)におけるドーパミンニューロン及びミクログリアを定量化するために立体解析学的計数を使用して分析する。
実施例14:老化、発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症、及びアルツハイマー病の動物モデルにおける、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的使用の特性評価
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的有用性を、老化、発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症、及びアルツハイマー病の動物モデルにおいて試験する(例えば、Beattie, MS et al., (2002) Neuron 36, 375-386; Volosin, M et al., (2006) J. Neurosci. 26, 7756-7766; Nykjaer, A et al., (2005) Curr. Opin. Neurobiol. 15, 49-57; Jansen, P et al., (2007) Nat. Neurosci. 10, 1449-1457; Volosin, M et al., (2008) J. Neurosci. 28, 9870-9879; Fahnestock, M et al., (2001) Mol. Cell Neurosci. 18, 210-220; Nakamura, K et al., (2007) Cell Death. Differ. 14, 1552-1554; Yune, T et al., (2007) Brain Res. 1183, 32-42; Wei, Y et al., (2007) Neurosci. Lett. 429, 169-174; Provenzano, MJ et al., (2008) Laryngoscope 118, 87-93; Nykjaer, A et al., (2004) Nature 427, 843-848; Harrington, AW et al., (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101, 6226-6230; Teng, HK et al., (2005) J. Neurosci. 25, 5455-5463; Jansen, P et al., (2007) Nat. Neurosci. 10, 1449-1457; Volosin, M et al., (2008) J. Neurosci. 28, 9870-9879; Fan, YJ et al., (2008) Eur. J. Neurosci. 27, 2380-2390; Al-Shawi, R et al., (2008) Eur. J. Neurosci. 27, 2103-2114;及びYano, H et al., (2009) J. Neurosci. 29, 14790-14802)。
実施例15:アテローム性動脈硬化症のモデルにおける、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的使用の特性評価
上述したように、アテローム性動脈硬化症のモデルにおける、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的有用性を試験する(例えば、Lance, A et al., (2011) Diabetes, 60, 2285、及びKjolby, M et al., (2012) Cell Metabolism 12, 213-223)。
実施例16:感染モデルにおける、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的使用の特性評価
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的有用性を、感染モデルにおいて試験する。例えば、正常マウスまたはプログラヌリン(progranulin)ヘテロ接合マウスにおける、リステリアモノサイトゲネスまたは他の感染症を、上述したように使用できる(例えば、Yin, F et al., (2009) J. Exp. Med, 207, 117-128)。
実施例17:炎症性疾患のモデルにおける、アゴニストTREM2、DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的使用の特性評価
アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体の治療的有用性を、炎症性疾患のモデルにおいて試験する。例えば、関節リウマチまたは別の炎症性疾患の樹立されたモデルにおいて(Mizoguchi (2012) Prog Mol Biol Transl Sci.,105:263-320、及びAsquith et al., (2009) Eur J Immunol. 39:2040-4)。
実施例18:PI3K経路の活性化を示すDAP12、ERK、及びAKTのリン酸化を誘導する抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体のスクリーニング
細胞(J774、RAW264.7、BMM細胞、または破骨細胞)をPBS-EDTAを含む組織培養ディッシュから取り出し、PBSで洗浄し、計数する。J774(40×106)またはRAW264.7細胞(10×106のBMMまたは破骨細胞)を、氷上または他の条件下で20分間、106細胞当たり1μgの抗TREM2、抗DAP12、及び/若しくはTREM2/DAP12二重特異性抗体またはアイソタイプ適合対照抗体とインキュベーションする。20分間、氷冷放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液[50mMのトリス-HCl(pH7.4)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1%のTriton-100、1mMのNaF、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオライド、1mMのNaVO、0.25%のデオキシコール酸ナトリウム、アプロチニン(1μg/ml)、ロイペプチン(1μg/ml)、ペプスタチン(1μg/ml)]に、細胞を溶解させ、続いて、不溶性物質を除去するために、4℃で10分間、16,000xgで遠心分離する。得られる上清を、示された抗体(DAP12、ERK、またはAKT)及びプロテインAアガロースまたはプロテインGアガロース(Sigma)と免疫沈降反応にかける。ビーズを、RIPA緩衝液で広範囲に洗浄し、タンパク質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分離する。次いで、タンパク質を、記載されるように、ウェスタンブロッティングによりニトロセルロース膜に移し、適切な抗体(リン酸化形態のDAP12、ERK、またはAKTを特異的に認識する抗体)とインキュベーションし、増強化学発光(ECL)システム(Pierce)で視覚化する(例えば、Peng et al., (2010) Sci Signal., 3(122): ra38)。
実施例19:カルシウム流入を誘導する抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体のスクリーニング
HEPES含有緩衝液[20mMのHEPES(pH7.3)、120mMのNaCl、1mMのCaCl、1mMのMgCl、5mMのKCl、グルコース(1mg/ml)、ウシ血清アルブミン(1mg/ml)]で、BMM細胞を2回洗浄し、続いて、37℃で20分間、0.05%のPluronic F-127(Invitrogen)及び1μMのIndo-1 AM(Invitrogen)中でインキュベーションする。細胞を、HEPES緩衝液で2回洗浄し、次に、抗TREM2、抗DAP12、及び/若しくはTREM2/DAP12二重特異性抗体(16μg/ml)または対照抗体(16μg/ml)で刺激し、分光光度計(PTL Photon Technology International)により監視する。Indo-1蛍光発光を、製造者の使用説明書に従い、カルシウム(Ca2+)に変換する(例えば、Peng et al., (2010) Sci Signal., 3(122): ra38)。
実施例20:アポトーシスを予防する抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体のスクリーニング
成熟破骨細胞培養物を、RANKL及びM-CSFを含む24ウェルディッシュで分化させる。4日後、アポトーシスを誘導するために、完全培地を、無血清培地と取り替える。一晩の血清飢餓の間に、RANKL、PBS、ならびに抗TREM2、抗DAP12、及び/若しくはTREM2/DAP12二重特異性抗体、またはアイソタイプ適合対照抗体で、細胞を処理する。細胞を、1%のパラホルムアルデヒドで固定し、製造者の使用説明書に従い、TUNEL-based kit(Millipore Corporation)で染色する。20×の倍率を有する、株式会社ニコン TE2000-E顕微鏡で、アポトーシス核を計数する。結果を、記載されているように、2つのウェルの6つのランダムに選択されたフィールドにおける、アポトーシス細胞の総細胞数に対する割合として表す(例えば、Peng et al., (2010) Sci Signal., 3(122): ra38)。同様のアッセイを、初代ミクログリア細胞で実施する。
実施例21:破骨細胞分化を誘導する抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体のスクリーニング
BMM細胞を、3連ウェルのプレート上に播種し、RANKL、M-CSF、ならびに、抗TREM2、抗DAP12、及び/若しくはTREM2/DAP12二重特異性抗体、またはアイソタイプ適合対照モノクローナル抗体で処理する。大きい多核細胞が見えるようになるまで、培地を3日毎に交換する。培養3~5日後、細胞を、10分間、PBS中の3.7%のホルムアルデヒドで固定する。次に、プレートをPBS中で2回洗浄し、50%のアセトン及び50%のエタノールの溶液中で30秒間インキュベーションし、PBSで洗浄する。Sigma製キット(製品435)を用いて、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)について、細胞を染色する。次に、多核(2つ以上の核)TRAP陽性細胞を、記載されているように、光学顕微鏡で計数する(例えば、Peng et al., (2010) Sci Signal., 3(122): ra38)。
実施例22:免疫/ミクログリア制御モジュール内の遺伝子発現におけるTREM2/TYROBPに依存する変化を正常化する抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体のスクリーニング
双方ともに細胞内免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)モチーフを欠いている、全長バージョンのTyrobpまたは短縮型バージョンのTyrobpのいずれかを過剰発現するために、マウス胚性幹細胞由来のミクログリア細胞を、レンチウイルスベクターで遺伝子修飾する。ミクログリア細胞はまた、TREM2に関しヘテロ接合性であるマウス胚性幹細胞に由来する。TyrobpまたはTREM2の摂動に応答したゲノム全体の遺伝子発現変化を評価するために、遺伝子発現データを、(1)ビヒクル、(2)全長Tyrobp、若しくは(3)ドミナントネガティブな短縮型Tyrobp、を過剰発現する、または、(4)siRNAなどのTREM2に対するノックダウン構築物を過剰発現する、マウスミクログリア細胞株、及びTREM2に関しヘテロ接合である細胞のRNA配列決定から得る。全長Tyrobp及び短縮型Tyrobの過剰発現のための約2,638及び3,415の差次的に発現される遺伝子をそれぞれ同定する(Zhang et al., (2013) Cell 153, 707-720)。完全なTyrobpを過剰発現するミクログリア由来の差次的に発現される遺伝子の約99%を、対照ビヒクルと比較して下方制御する。例えば、液胞/自己貪食に関連する658の遺伝子、ならびにRNA代謝及び細胞周期の有糸分裂に関与する遺伝子を、活性Tyrobpにより下方制御するが、ドミナントネガティブな短縮型Tyrobpを発現する細胞において上方制御する。逆に、ドミナントネガティブな短縮型Tyrobpを発現するミクログリアにおいて、液胞/自己貪食経路及びミトコンドリアのためのおよそ2,856の遺伝子を選択的に上方制御する。
ドミナントネガティブな短縮型Tyrobpを発現する細胞(Zhang et al., (2013) Cell 153, 707-720),、TREM2に対するノックダウン構築物を発現する細胞、または、TREM2に関しヘテロ接合性である細胞において、アゴニスト抗TREM2、抗DAP12、及び/またはTREM2/DAP12二重特異性抗体を、正常なミクログリア細胞及び完全なTyrobpを過剰発現するミクログリア細胞で観察されるものに類似する遺伝子発現プロファイルを引き出す能力に関し、スクリーニングする。遺伝子発現ネットワークを変化させることができる抗体を選択する。
実施例23:TREM2抗体は、ヒト樹状細胞(DC)上にCD83及びCD86の発現を誘導する
抗TREM2抗体の、CD83及びCD86の発現を修飾する能力を評価するために、プレート結合抗体及び可溶性抗体の両方を、樹状細胞(DC)とインキュベーションし、CD83及びCD86の発現を測定した。
PBS中の2または5ug/mlの抗体を、12ウェルプレート中、4℃で一晩培養した。ウェルを、翌日PBSで3回洗浄した。5日目に、未成熟ヒトDCを採取し、1ウェル当たり100万細胞でプレーティングし、サイトカインの不存在下、5%のCO2、37℃でインキュベーションした。48時間後に、BD FACSCantoで、CD86、CD83、CD11c、HLA-DR、及びLIN(BD Biosciences)のFACS解析を実施した。FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7を用いて、データ解析を実施した。CD11c+HLA-DR+LIN-細胞集団上のCD83及びCD86のレベルを評価した。
あるいは、5日目の未成熟ヒト樹状細胞を、サイトカインを含まない培地のU底非TC処理96ウェルプレートに、1ウェル当たり100,000細胞でプレーティングした。20ug/mlのLPS除去抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いるまたは用いない5ug/mlの抗体を添加した。CD86、CD83、CD11c、HLA-DR、及びLIN(BD Biosciences)に対するFACS解析を、上述したように抗体添加の48時間後に実施した。
プレート結合TREM2抗体Ab21及びAb52は、アイソタイプ対照抗体Ab88と比較して、CD83+CD86+DCの頻度を増加させた(図5A)。双方ともに単独の及び抗ヒト二次抗体と架橋している可溶性抗体Ab21及びAb52は、アイソタイプ対照抗体(Ab88)と等価な、DC上のCD86の発現を誘導した(図5B)。これらの結果に基づいて、TREM2抗体Ab21及びAb52は、ヒト樹状細胞上の炎症性表面マーカーCD83及びCD86の発現を誘導するアゴニストとして機能する。
実施例24:TREM2抗体Ab21及びAb52は、Sykリン酸化を誘導する
脾臓チロシンキナーゼ(Syk)は、いくつかの基質をリン酸化し、それにより細胞活性化及び炎症プロセスをもたらすシグナル伝達複合体の形成を促進することにより、TREM2の下流で機能する細胞内シグナル伝達分子である。ヒト及びマウスマクロファージならびに初代ヒト樹状細胞を培養し、細胞抽出物中のSykタンパク質のリン酸化状態を測定することにより、アゴニストTREM2抗体の、Syk活性化を誘導する能力を決定した。
骨髄由来マクロファージ(BMDM)、WTマウスBMDM、TREM2ノックアウト(KO)マウスBMDM、及び初代ヒト樹状細胞を、1%の血清RPMIで4時間飢餓状態にし、次に、PBS-EDTAで組織培養ディッシュから取り出し、PBSで洗浄し、計数した。氷上で15分間、全長アゴニストTREM2抗体Ab21及びAb52、または対照抗体(Ab89若しくはAb92)で、細胞をコーティングした。冷PBSで洗浄した後、ヤギ抗ヒトIgGの存在下、示された期間、37℃で、細胞をインキュベーションした。刺激後、溶解緩衝液(1%(体積/体積)のNP-40%、50MmのTris-HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1.5mMのMgCl2、10%のグリセロール、+プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤)で、細胞を溶解させ、続いて、4℃で10分間、16,000xgで遠心分離して、不溶性物質を除去した。次に、溶解物を、抗Syk Ab(BMDMの場合N-19またはヒトDCの場合4D10、Santa Cruz Biotechnology)で免疫沈降させた。沈殿したタンパク質を、SDS-PAGEにより分画し、PVDF膜に移し、抗ホスホチロシンAb(4G10、Millipore)で探索した。全ての基質が十分に免疫沈降したことを確認するために、免疫ブロットを抗Syk Ab(Abcam、BMDM用)または抗Syk(Novus Biological、ヒトDC用)で再探索した。記載されているように、増強化学発光(ECL)システム(GE healthcare)で、視覚化を実施した(例えば、Peng et al., (2010) Sci Signal., 3(122): ra38)。
TREM2抗体Ab21及びAb51は、WT TREM2マウスBMDMにおいてSykリン酸化を誘導したが、TREM2 KO(TREM2-/-)細胞において、リン酸化を誘導しなかった(図6A)。抗体Ab21及びAb51はまた、ヒトBMDM(図6A、右パネル)及び初代ヒト樹状細胞(図6B)の両方においてSykリン酸化を誘導した。対照抗体Ab89及びAb92は、Sykリン酸化を誘導しなかった。これらの結果に基づいて、TREM2抗体Ab21及びAb52は、マクロファージ及び樹状細胞においてSykリン酸化を誘導するアゴニストとして機能する。
実施例25:TREM2抗体Ab21及びAb52は、マウスマクロファージにおいてDAP12リン酸化を誘導する
TREM2は、DAP12を介してシグナル伝達し、下流でPI3K及び他の細胞内シグナルの活性化をもたらす。マウスマクロファージを培養し、細胞抽出物中のDAP12タンパク質のリン酸化状態を測定することにより、アゴニストTREM2抗体の、DAP12活性化を誘導する能力を決定した。
抗体で刺激する前に、マウス野生型(WT)骨髄由来マクロファージ(BMDM)及びTREM2ノックアウト(KO)BMDMを、1%の血清RPMIで4時間飢餓状態にした。15×106の細胞を、全長アゴニスト抗体または対照抗体と、15分間氷中でインキュベーションした。細胞を洗浄し、ヤギ抗ヒトIgGの存在下で、示された期間37℃でインキュベーションした。刺激後、溶解緩衝液(1%(体積/体積)のNP-40%、50MmのTris-HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1.5mMのMgCl2、10%のグリセロール、+プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤)で、細胞を溶解させ、続いて、4℃で10分間、16,000xgで遠心分離して、不溶性物質を除去した。細胞溶解物を、第2のTREM2抗体(R&D Systems)で免疫沈降させた。沈殿したタンパク質を、SDS-PAGEにより分画し、PVDF膜に移し、抗ホスホチロシンAb(4G10、Millipore)で探索した。膜を剥がし、抗DAP12抗体(Cells Signaling、D7G1X)で再探索した。TREM2免疫沈降に使用された各細胞溶解物は、対照Ab(抗アクチン、Santa Cruz)が示すように、同量のタンパク質を含有した。
DAP12は、TREM2と共沈し、アゴニストTREM2抗体Ab52(図7A)及びAb21(図7B)とインキュベーションされたWTマクロファージにおいてリン酸化された。逆に、DAP12リン酸化は、抗体Ab21とインキュベーションされたTREM2 KO(TREM2-/-)マクロファージにおいて観察されなかった(図7B)。これらの結果は、DAP12がTREM2タンパク質と関連すること、及びアゴニストTREM2抗体がインビトロでDAP12リン酸化を誘導できることを実証している。
実施例26:TREM2抗体Ab21及びAb52は、ヒト及びマウスTREM2への結合について、TREM2リガンドと競合する
推定上のTREM2リガンドを発現するE.coli細胞を用いた競合結合アッセイにより、アゴニストTREM2抗体の、TREM2上のリガンド結合部位を認識する能力を評価した。
E.coliを、10mlのLB培地O/N中で成長させ、遠心分離により採取し、10mlのPBS中で2回洗浄した。次に、E.coliを、30分間70℃の水浴中でインキュベーションすることにより加熱不活性化した。E.coliを、CellTracker DeepRed(ThermoFisher/Invitrogen、1uMの終濃度)で標識し、続いて、10mlのPBSで3回洗浄し、1mlのPBS中に108/mlの濃度で再懸濁した。競合結合のために、細菌を、10μg/mlの全長アゴニストTREM2抗体と共に、マウスTREM2及びDAP12発現細胞株(BWZ)に、またはヒトTREM2/DAP12融合タンパク質を発現するBW細胞株に添加し、氷上で1時間インキュベーションした。CellTracker標識細菌の、細胞株への結合について、細胞をFACSにより分析した。
TREM2抗体Ab21及びAb52は、E.coli細菌の、ヒト細胞及びマウス細胞の両方への結合を阻害して、抗体のTREM2上のリガンド結合部位への競合的結合を示した(図8)。非アゴニスト対照TREM2抗体(Ab66及びAb68)は、TREM2を発現するヒト細胞への細菌結合を阻害したが、マウスTREM2への結合を阻害しなかった。
実施例27:TREM2抗体機能研究の要旨
表6は、上記実施例24~26に記載されている機能的研究の結果をまとめたものである。抗体Ab21及びAb52は、ヒト樹状細胞(hDC)、マウス樹状細胞(mDC)、及びマウスマクロファージ(mMac)におけるSykリン酸化の誘導を実証した。しかし、抗体Ab52は、ヒト及びマウスDCにおける抗体Ab21と比較して、より高いレベルのリン酸化Sykを誘導した。抗体Ab21がより効果的な結合を実証したが、両方の抗体は、細菌結合のより大きな減少が示すように、ヒト及びマウスTREM2に結合するリガンドを模倣できた(上記実施例26を参照のこと)。
実施例28:TREM2は、マウスマクロファージからの炎症性サイトカインの分泌を減少させる
炎症性サイトカイン産生におけるTREM2の役割を決定するために、マウス野生型(WT)、TREM2ノックアウト(KO)、及びTREM2ヘテロ接合型(Het)マクロファージを、種々の炎症性メディエーターと培養し、サイトカインレベルを培養上清中で測定した。
BMDMを生成するために、野生型(WT)、TREM2 KO(KO)、及びTREM2ヘテロ接合型(Het)マウス由来の全骨髄を、10%の仔ウシ血清、5%のウマ血清、及び50ng/mlの組換えマウスCSF-1(R&D Systems)が補充されたRPMIで培養した。細胞を5日間培養し、接着細胞をPBS中の1mMのEDTAで分離した。BMDMを、105細胞/ウェルで、96ウェルプレート上にプレーティングし、37℃で4時間接着させた。次に、細胞を、0.01~100ng/ml(LPS)または0.01~100μg/ml(ザイモサン)の範囲の濃度のTLRアゴニストLPS(Salmonella abまたはtus equi)またはザイモサン(Saccharomyces cerevisiae)で刺激した。あるいは、WT、KO、及びHetマウスから単離したマクロファージを、10ng/mlのサイトカインIL-4または50ng/mlのIFN-γの存在下で培養した。細胞培養上清を、刺激の24または48時間後に収集し、製造者のプロトコールに従い、サイトメトリービーズアレイMouse Inflammation Kit(BD)を使用することにより、TNFa、IL-6、IL-10、及びMCP-1サイトカインのレベルを測定した。
炎症性メディエーターLPSまたはザイモサンで刺激された野生型(WT)マクロファージは、TREM2 KO(TREM2-/-)マクロファージと比較して、より少ない炎症性サイトカインTNFa、IL-6、IL-10、及びMCP-1を分泌した(図9A)。同様に、メディエーターIFNγで処理されたWT及びHet(TREM2+/-)マクロファージは、TREM2 KOマクロファージと比較して、より少ない炎症性サイトカインIL-6及びTNFを産生した(図9B)。サイトカインIL-4の存在下で培養されたWT、Het、及びKOマクロファージは、同様の低レベルのIL-6及びTNFaを産生した(図9B)。これらの結果に基づいて、TREM2抗体は、マクロファージからの炎症性サイトカインの分泌を低減させることがある。
実施例29:TREM2は、マウスマクロファージ上の炎症細胞表面マーカーの発現を減少させる
炎症マーカー発現におけるTREM2の役割を決定するために、マウス野生型(WT)、TREM2ノックアウト(KO)、及びTREM2ヘテロ接合型(Het)マクロファージを、種々の炎症性メディエーターと培養し、表面マーカーCD86及びCD206の発現を測定した。
WT、KO、及びHetマウスから単離されたマクロファージをプレーティングし、37℃で4時間接着させ、TLRアゴニストLPS(Salmonella abortus equi)及びザイモサン(Saccharomyces cerevisiae)を、0.01~100ng/ml(LPS)または0.01~10μg/ml(ザイモサン)の範囲の濃度で加えた。あるいは、WT、KO、及びHetマウスから単離したマクロファージを、サイトカインIL-4(10ng/ml)またはIFN-γ(0.5~50ng/ml)の存在下で培養した。CD86及びCD206のFACS解析を、48時間後にBD FACSCantoで実施した。FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7を用いて、データ解析を実施した。
炎症性メディエーターIFN-γ(図10A)、LPS、またはザイモサン(図10B)で処理された野生型(WT)マクロファージは、TREM2 KO(TREM2-/-)マクロファージと比較して、より低いレベルの炎症性受容体CD86を発現したが、より低いレベルの受容体CD206は発現しなかった。同様に、IFN-γで処理されたHet(TREM2+/-)マクロファージは、TREM2 KOマクロファージと比較して、より低いレベルのCD86を発現したが、より低いレベルのCD206を発現しなかった(図10A)。これらの結果に基づいて、TREM2アゴニスト抗体は、マクロファージ上の炎症性受容体の発現を低減させることがある。
実施例30:TREM2は、マクロファージ及び樹状細胞の生存を増加させる
細胞生存におけるTREM2の役割を評価するために、野生型(WT)及びTREM2ノックアウト(KO)マクロファージ及び樹状細胞を、炎症性メディエーターの存在下で培養し、細胞生存を測定した。
TREM2 WT、Het、及びKOマウス由来のマウス骨髄前駆細胞を、脛骨及び大腿骨髄細胞を冷PBSでフラッシュすることにより得た。PBSで1回洗浄した後、ACK Lysing Buffer(Lonza)を使用して、赤血球を溶解し、PBSで2回洗浄し、マクロファージを産生するために50ng/mlのM-CSFまたは樹状細胞を産生するために10ng/mlのGM-CSFを示された量含む完全なRPMI培地(10%のFCS、Pen/Strep、Gln、neAA)中に0.5×106細胞/mlで再懸濁した。M2型マクロファージでは、10ng/mlのIL-4を、培養された細胞に添加した。M1型マクロファージでは、50ng/mlのIFN-γを添加した。いくつかの実験では、LPSまたはザイモサンを、1μg/ml-0.01ng/mlの範囲の濃度で5日目に細胞培養物に添加した。組換えサイトカインを、Peprotechから購入した。
骨髄由来マクロファージの生存率を分析するために、細胞を、上記のように調製し、M-CSFで培養した。細胞を、非組織培養処理プレートの、(ルシフェラーゼベースアッセイを使用した生存率分析の場合)96ウェルプレートに105/200μl、または、(トリパンブルー色素排除細胞計数の場合)6ウェルプレートに0.5×106/1mlのいずれかでプレーティングした。新しいM-CSFを含有する培地を、3日目に加えた。示された時点で、細胞を、3mMのEDTAを含むプレートから静かに分離させ、Burkerチャンバーを使用して計数した。生存細胞のFACS解析のために、マクロファージを、6日間、50ng/mlのM-CSF(+M-CSF)中で、または、M-CSFをさらに36時間かけて取り除く前の4日間、50ng/mlのMCSF(-M-CSF)中でのいずれかで培養した。CD11b抗体及びDAPIを使用して、細胞を染色した。ルシフェラーゼ生存率アッセイのために、段階的濃度の成長因子GM-CSF(樹状細胞)、M-CSF(M1マクロファージ)、またはMCSF+IL-4(M2マクロファージ)において、培養の5日目に、細胞生存率を測定した。細胞を、ToxGlo試薬(Promega)と直接インキュベーションし、ルシフェラーゼ活性(発光)を、XYリーダーを使用して読み取った。炎症メディエーターIFN-γ、LPS、またはザイモサンの存在下で培養された生存可能なマクロファージのFACS解析のために、細胞を、5日目に収集し、CD11b抗体及びDAPIを使用して染色した。
M-CSFで7日間培養した後、TREM2 KO(TREM2-/-)マクロファージよりも、有意に高い数の生存可能な(トリパンブルー色素排除)TREM2 WT及びHet(TREM2+/-)マクロファージを観察した(図11A)。FACS解析は、生きた(CD11b+DAPI-)細胞のより高い割合が示すように、6日(+M-CSF)または4日(-M-CSF)のいずれかの間、M-CSFで処理されたWTマクロファージが、Het及びKOマクロファージと比較して、生存の増加を示したことを明らかにした(図11B)。ルシフェラーゼアッセイのために、成長因子GM-CSF(樹状細胞)、M-CSF(M1マクロファージ)、またはM-CSF+IL-4(M2マクロファージ)の存在下で培養されたWT細胞は、成長因子濃度の範囲にわたる、より高い発光度が示すように、KO細胞よりも生存した(図11C)。炎症性メディエーター(IFN-γ、LPS、またはザイモサン)と培養された野生型マクロファージは、CD11b+生存細胞のより高い割合が示すように、TREM2 Het及びKOマクロファージよりも高い生存率を有した(図11D)。これらの結果に基づいて、TREM2アゴニスト抗体は、マクロファージ及び樹状細胞の生存を増加させることがあるが、TREM2アンタゴニスト抗体は細胞生存を減少させる可能性がある。
実施例31:TREM2は貪食を調節する
TREM2シグナル伝達は、肺からの細菌クリアランス及びアポトーシスニューロンの貪食を含む貪食経路に関与する。野生型(WT)及びTREM2ノックアウト(KO)マウスマクロファージの、E.coli細胞及びアポトーシス細胞を貪食する能力を測定することにより、貪食におけるTREM2の役割を評価した。
WT及びTREM2 KO BMDMを、1%の血清RPMIで飢餓状態にした、または一晩M-CSF(50ng/ml)の存在下で培養し続けた。翌日、細胞を、M-CSFの存在下または不存在下で、96ウェルプレート(丸底非組織培養)に2×105でプレーティングした。標的細胞(CCL119)を、0.5μMのスタウロスポリンと一晩培養して、アポトーシスを誘導した。翌日、細胞を洗浄し、20ng/mlのpHrodo-SE(Invitrogen)で標識した。アポトーシス細胞または生体粒子E.coli(pHrodo、Invitrogen)を加え、細胞を1時間30分37℃でインキュベーションした。アッセイを氷上停止させた。冷PBSで洗浄した後、細胞をCD11b(pacific blue-CD11b、BD)について染色し、FACSにより解析した。全てのサンプルにおいて、BMDMを、CD11b染色によりアポトーシス細胞及びビーズと区別し、ゲートを、標的細胞なしで培養されたエフェクター細胞に基づいて設定した。陰性対照では、エフェクター細胞を、サイトカラシンD(2μM、SIGMA)を用いた全アッセイ中にインキュベーションした。貪食を、(PhRodo陽性細胞のパーセントまたはMFI)-(PhRodo陽性サイトカラシンD処理陰性対照細胞のパーセントまたはMFI)として定量化した。
M-CSFと培養された野生型(WT)マクロファージは、pHrodo+細胞のより低い割合が示すように、TREM2 KO(TREM2-/-)マクロファージと比較して、アポトーシス細胞及びE.coli細胞の貪食をより少なく示した(図12)。逆に、M-CSFなしで培養されたWTマクロファージは、pHrodo+細胞のより高い割合が示すように、TREM2 KOマクロファージと比較して、アポトーシス細胞及びE.coli細胞の貪食の増加を示した(図12)。これらの結果に基づいて、TREM2アゴニスト抗体は、M-CSFの不存在下での貪食を増強し、M-CSFの存在下での貪食を低減することがある。逆に、TREM2アンタゴニスト抗体は、M-CSFの存在下での貪食を増強し、M-CSFの不存在下での貪食を低減させることができると考えられている。
実施例32:TREM2抗体のエピトープマッピング
TREM2抗体を、ヒト及びマウスTREM2全体に及ぶ15-merまたは25-merペプチドに結合する能力について試験した。
直鎖15-merペプチドを、14残基の重複を有するヒトまたはマウスTREM2の配列に基づいて合成した。加えて、直鎖25-merペプチドを、1残基転移のヒトまたはマウスTREM2の配列に基づいて合成した。TREM2抗体の、合成されたペプチドのそれぞれへの結合を、ELISAをベースとした方法で試験した。このアッセイでは、ペプチドアレイを、(4℃で一晩)一次抗体溶液とインキュベーションした。洗浄後、ペプチドアレイを、25℃で1時間、抗体ペルオキシダーゼコンジュゲート(SBA、カタログ番号2010-05)の1/1000希釈物とインキュベーションした。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質2,2’-アジノ-ジ-3-エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)及び2μl/mlの3%のH2O2を添加した。1時間後、発色現象を測定した。発色現象を、電荷結合素子(CCD)カメラ及び画像処理システムで定量化した。
抗体Ab52は、全てのペプチドセットにおいて、信頼できる結合を実証した。抗体Ab52は、ヒト及びマウスTREM2のアミノ酸残基49~57(49AWCRQLGEK57(配列番号444))の間に、N末端ペプチド領域を認識することが見出された(図13)。Ab52により認識されたエピトープ領域は、配列番号1のアミノ酸残基49~57に対応し、AWCRQLGEK(配列番号444)のアミノ酸配列を有する。
抗体Ab21は、ヒト及びマウスTREM2のアミノ酸残基43~50(43HWGRRAW50(配列番号445))の間に、N末端ペプチド領域を認識することが見出された。Ab21により認識されたエピトープ領域は、配列番号1のアミノ酸残基43~50に対応し、HWGRRAW(配列番号445)のアミノ酸配列を有する。
実施例33:アゴニストTREM2抗体Ab52及びAb21の参照TREM2抗体との比較
Sykリン酸化を誘導する能力を評価すること、及びそれらのTREM2結合領域を決定することにより、参照TREM2抗体を、アゴニスト抗体Ab21及びAb52と比較した。
細胞を、細胞106個当たり1μgのTREM2抗体MAB17291(R&D Systems)またはモノクローナルラットIgG1抗体78.18(カリフォルニア大学サンフランシスコ校から入手)でコーティングし、二次抗体(ヤギ抗ラット細胞106個当たり1.5μg)で架橋することにより刺激した。Sykリン酸化を、上記実施例24に記載されている方法に従い評価した。
抗体結合領域を評価するために、ヒトTREM2-Fcを、固定化全長アゴニストTREM2抗体Ab21またはAb52とインキュベーションし、続いて、TREM2抗体MAB17291または78.18を加えた。標準サンドイッチフォーマットビニングアッセイ(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8を参照のこと)を使用して、Forte Bio Octet Red384 system (Pall Forte Bio Corporation、カリフォルニア州メンロパーク)で、抗体のエピトープビニングを実施した。対照抗標的IgGを、AHQセンサーにロードし、センサー上の占有されていないFc結合部位を非関連ヒトIgG1抗体でブロックした。次に、センサーを100nMの標的抗原に曝露し、続いて、第2の抗標的抗体に曝露した。ForteBioのデータ解析ソフトウェア7.0を使用して、データを処理した。抗原会合後の二次抗体によるさらなる結合は、非占有エピトープ(非競合体)を示すが、結合はエピトープブロッキング(競合体)を示さない。
参照TREM2抗体MAB17291は、WTにおいてSykリン酸化を誘導したが、TREM2 KO(TREM2-/-)細胞において誘導しなかった。しかし、参照TREM2抗体78.18は、使用された実験条件下で、Sykリン酸化を誘導しなかった(図14)。これは、双方ともにWT TREM2マウスBMDMにおいてSykリン酸化を誘導できたAb21及びAb52と対照的である(図6)。
参照抗体MAB17291は、抗体Ab21(図15A)または抗体Ab52(図15B)と、TREM2に同時結合できた。これらの結果は、アゴニストTREM2抗体Ab21及びAb52が、参照抗体MAB17291が結合するのとは異なるTREM2タンパク質領域に結合することを実証する。
実施例34:TREM2抗体のFabの、自然免疫細胞の生存率を促進する能力の分析
自然免疫細胞(例えば、マクロファージ)における抗体Ab21及びAb52に由来するプレート結合架橋抗TREM2抗体のFabフラグメントのアゴニスト機能を評価した。
野生型(WT)及びTREM2ノックアウト(KO)マウス骨髄由来マクロファージを、M-CSF及びプレート結合TREM2抗体のFabの存在下で培養し、細胞生存率を測定した。
WT及びKOマウスの骨髄から単離されたマクロファージを、12.5nMまたは100nMのいずれかの架橋Ab21またはAb52のFabでプレコーティングされた非組織培養処理96ウェルプレート上にプレーティングした。細胞を、10ng/mlのM-CSFの存在下で、48時間培養した。CellTiter Gloキット(Promega)を使用して、生存率の分析を実施した。GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerでプレートを読み取った。
抗体Ab21及びAb52に由来する架橋TREM2のFabフラグメントは、生存のより高い増加率が示すように、アイソタイプ対照Ab88のFabと比較して、生存可能なマウス骨髄由来マクロファージの数を増加させた(図16)。細胞生存率におけるこの増強は、KOマウスマクロファージでは観察されなかった。これらのデータは、TREM2抗体Ab21及びAb52の生物活性が、TREM2特異的であること、ならびに、プレート結合架橋Ab21及びAb52のFabフラグメントが、M-CSFで培養されたマクロファージの生存を増加させるアゴニストとして機能することを示す。
実施例35:TREM2抗体の、自然免疫細胞の生存を減少させる能力の分析
自然免疫細胞(例えば、マクロファージ)における抗体Ab21及びAb52に由来する可溶性の非架橋抗TREM2抗体のFabフラグメントならびに可溶性の全長抗TREM2抗体Ab21及びAb52の両方のアンタゴニスト機能を評価した。
野生型(WT)及びTREM2ノックアウト(KO)マウス骨髄由来マクロファージを、M-CSF及び可溶性のTREM2抗体のFabまたは可溶性の全長抗体の存在下で培養し、細胞生存率を測定した。
WT及びKOマウスの骨髄から単離されたマクロファージを、20ng/mlのM-CSF及び増加する量の可溶性の非架橋TREM2抗体のFabまたは可溶性の全長抗体の存在下の非組織培養処理96ウェルプレート上にプレーティングした。各条件を、3回プレーティングした。CellTiter Gloキット(Promega)を使用して、生存率の分析を3日後に実施した。GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerでプレートを読み取った。
図17では、「NT」の点線は、未処理のマクロファージ(抗体を加えない)で得られた平均細胞生存率を示す。「M-CSFなし」の点線は、マクロファージをM-CSFの不存在下で培養した時に得られる平均細胞生存率を示す。
マクロファージ細胞生存率を可溶性の非架橋TREM2抗体のFabで評価した時、結果は、抗体Ab52に由来する可溶性の非架橋TREM2のFabフラグメントが、細胞生存率を減少させることを示した(図17A)。対照的に、抗体Ab21に由来する可溶性の非架橋TREM2のFabフラグメントは、生存率を抑制せず、アイソタイプ対照Ab99に匹敵する結果を有した(図17A)。結果は、TREM2抗体Ab52に由来する可溶性の非架橋Fabが、アンタゴニストとして機能し、インビトロでのマクロファージの生存を阻害する可能性があることを実証する。
マクロファージ細胞生存率を可溶性の全長抗体で評価した時、抗体Ab52は、Ab21よりも、より強力に細胞生存率を減少させた(図17B)。実に、可溶性の全長抗体Ab21は、細胞に、アイソタイプ対照Ab91のものに匹敵する影響を与えた(図17B)。結果は、可溶性の全長TREM2抗体Ab52が、架橋またはクラスター形成されていない場合、アンタゴニストとして機能し、マクロファージの生存を阻害する可能性があることを実証する。
これらの実験の結果は、TREM2抗体Ab52が、クラスター形成のない場合、マクロファージなどの自然免疫細胞の生存を阻害する可能性があることを示す。対照的に、TREM2抗体Ab21は、クラスター形成のない場合でさえ、マクロファージなどの自然免疫細胞の生存を阻害しない。
実施例36:TREM2抗体の、TREM2依存性遺伝子を誘導する能力の分析
NFAT(活性化T細胞核因子)プロモーターの制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用して、プレート結合抗TREM2抗体Ab21及びAb52の、TREM2依存性遺伝子を活性化する能力を評価した。
マウス胸腺リンパ腫Tリンパ球BW5147.G.1.4(ATCC(登録商標)TIB48(商標))由来の細胞株を、マウスTREM2及びDAP12ならびにCignal Lenti NFAT-ルシフェラーゼウイルス(Qiagen)に感染させた。全長抗TREM2抗体を、4℃一晩、組織培養処理透明底白色96ウェルプレート(100ul/ウェル)上に、DPBS中の10ug/mlで、プレートに結合させた。ウェルをDPBSで3回リンスし、続いて、1%の血清を含む培地に、100,000細胞/ウェルでプレーティングした。シグナル伝達のための陽性対照として、PMA(0.05ug/ml)及びイオノマイシン(0.25uM)を共に添加した。細胞を6時間インキュベーションし、OneGlo Reagent(Promega)を各ウェルに添加し、プレートシェーカー上、室温で3分インキュベーションすることにより、ルシフェラーゼ活性を測定した。BioTekプレートリーダーを使用して、ルシフェラーゼシグナルを測定した。
図18Aに示されるように、抗TREM2抗体Ab21及びAb52は、ルシフェラーゼ活性を増加させて、抗体がTREM2依存性遺伝子転写を誘導できたことを示した。
図18Bに示されるように、プレート結合ホスファチジルセリン(PS)は、TREM2依存性遺伝子発現を誘導する。PSは、TREM2の天然リガンドと考えられている。従って、図18の結果は、アゴニスト抗TREM2抗体が、TREM2の天然リガンドを模倣できることを示す。
初代マウスマクロファージを使用して、プレート結合抗TREM2Fab抗体Ab21及びAb52の、TREM2依存性遺伝子を活性化する能力を評価した。骨髄由来マクロファージ(BMM)を、5日間M-CSFで生成した。BMM(105/ウェル)を、抗体Ab21及びAb52のFab部分(50nM)で予めコーティングされている96ウェルプレート上に播種した。プレートを1200rpmで1分間回転させた後、超高純度のLPS(100ng/mlのEscherichia coli 0111:B4)を添加した。LPSで18時間刺激した後、細胞上清中に存在するサイトカインを、サイトメトリービーズアレイ(CBA;BD Biosciences、CBA mouse inflammation kit)で測定した。
図18C及び18Dに示されるように、プレート結合抗TREM2Fab抗体Ab21及びAb52は、IL-6及びMCP-1のレベルを増加させて、抗体が初代免疫細胞においてTREM2依存性遺伝子を活性化できたことを示した。
実施例37:TREM2抗体の、TREM2依存性遺伝子を阻害する能力の分析
NFAT(活性化T細胞核因子)プロモーターの制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用して、可溶性の全長抗TREM2抗体Ab21及びAb52の、TREM2依存性遺伝子を阻害する能力を評価した。
マウス胸腺リンパ腫Tリンパ球BW5147.G.1.4(ATCC(登録商標)TIB48(商標))由来の細胞株を、マウスTREM2及びDAP12ならびにCignal Lenti NFAT-ルシフェラーゼウイルス(Qiagen)に感染させた。可溶性の全長抗TREM2抗体Ab21またはAb52を、細胞に、増加する濃度で添加した。細胞を、37℃で6時間インキュベーションし、OneGlo Reagent(Promega)使用して、ルシフェラーゼ活性を測定した。
これらの細胞は、内因性リガンドの存在または自発的受容体凝集のいずれかに起因する持続的なTREM2依存性シグナル伝達を示し、これは、TREM2シグナル伝達をもたらす。
図19の点線は、刺激なしのTREM2活性のレベルを示す。
図19に示されるように、可溶性の全長抗TREM2抗体Ab52は、持続的なTREM2依存性遺伝子発現を阻害できた。可溶性の全長抗TREM2抗体Ab21は、持続的なTREM2依存性遺伝子発現を部分的に阻害できた。しかし、遺伝子発現のレベルは、刺激なしのTREM2活性のレベルとほぼ同じであった(図19)。
実施例38:TREM2抗体アゴニスト及びアンタゴニスト活性の要旨
表7は、上記実施例35~37に記載されている機能的研究の結果をまとめたものである。抗体Ab21及びAb52は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子(図18)またはベータ-GALレポーター遺伝子(表7)のいずれかを使用して、TREM2依存性遺伝子発現を活性化させることにおけるアゴニスト活性を実証した。表7に記載されるように、Ab21は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用した時、Ab52と比較して、遺伝子誘導のレベルの増加を示した。しかし、Ab52は、ベータ-GALレポーター遺伝子を使用した時、Ab21と比較して、遺伝子誘導のレベルの増加を示した(表7)。抗体Ab21及びAb52は、自然免疫細胞の細胞生存を促進することにおいてアゴニスト活性も実証した(図16)。表7は、自然免疫細胞の細胞生存を阻害することにおける、可溶性の非架橋抗体Ab52のアンタゴニスト効果を実証する結果をさらにまとめたものである(図17)。対照的に、可溶性の非架橋抗体Ab21は、細胞生存を阻害することにおいて最小限のアンタゴニスト活性を有した(図17)。
実施例39:アゴニストTREM2抗体の抗アルツハイマー病効果の分析
アゴニスト抗TREM2抗体の、アルツハイマー病(AD)の進行を遅延させる、予防する、または後退させる能力を評価するために、5XFADマウスを使用する。5XFADマウスは、2つのFAD変異M146L及びL286Vを含むヒトPS1と共に、スウェーデン(K670N、M671L)、フロリダ(I716V)、及びロンドン(V717I)家族性アルツハイマー病(FAD)変異を有する変異体ヒトAPP(695)を過剰発現する。両方の導入遺伝子を、マウスThy1プロモーターで制御して、脳における過剰発現を引き起こし、ADの主要な特徴を再現する。アゴニスト抗TREM2抗体または対照抗体で処理されたマウスを、免疫組織化学で、及び組織抽出物のELISAにより、Aベータプラーク負荷について試験する。それらを、脳におけるミクログリアの数について、ならびに、モリス水迷路、空間学習及び記憶課題、放射状迷路、空間学習及び記憶課題、Y迷路(空間認知の尺度として自発的交替を定量化する)、オープンフィールドでの新奇選好、学習及び記憶を評価するオペラントの学習、ならびに恐怖条件付けを使用して、認知欠損の低減について、さらに試験する(mousebiology.org website; Wang et al.,(2015) Cell. pii: S0092-8674(15)00127-0)。
実施例40:アゴニスト抗TREM2抗体の産生、同定、及び特性評価
緒言
上記実施例1に記載されている方法に従い、マウスハイブリドーマ技術、ファージディスプレイ技術、及び酵母ディスプレイ技術を使用して、TREM2の細胞外ドメイン、特に細胞外ドメイン(配列番号1のアミノ酸残基19~174)に結合する抗体を生成する。次に、抗体を、以下の実施例41~67に記載されているように、インビボで、TREM2を発現する細胞に結合する能力ならびに、TREM2シグナル伝達ならびに細胞中の及び動物全体の機能を活性化する能力についてスクリーニングした。
結果
抗TREM2抗体の産生
実施例1に記載されている手順を使用して、特に配列番号1のアミノ残基113~174に位置する細胞外配列内のTREM2の細胞外ドメインに結合する抗体を生成した。
合計87の抗体を生成した。次に、抗体を、TREM2結合についてスクリーニングした。初代細胞への結合について陽性であった抗体を、アゴニスト活性について試験した。87の抗体から、特定の抗体(例えば、Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65)を、さらなる分析のために選択した。
抗体重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列
標準的な技術を使用して、生成された抗体の重鎖可変部(図20A)及び軽鎖可変部(図20B)ドメインをコードするアミノ酸配列を決定した。抗体のKabat CDR配列を、表8に記載する。
Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65結合の特性評価
TREM2抗体の最初の特性評価は、樹状細胞及び他の初代ヒトまたはマウス免疫細胞上で発現されたTREM2に結合する能力を決定することを含む。細胞を採取し、96ウェルプレートに105/mlでプレーティングし、洗浄し、氷中で1時間、10~50ug/mlのMabを含有する100ulのPBS及びFcブロッキング試薬中でインキュベーションした。次に、細胞を2回洗浄し、氷中で30分間、5ug/mlのPEコンジュゲート二次抗体を含有する100ulのPBS中でインキュベーションした。細胞を冷PBS中で2回洗浄し、BD FACSCantoで得た。MFI値のデータ分析及び計算を、FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7で実施した。
抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、FACS解析により検出された陽性TREM2抗体染色が示すように、組換えマウスTREM2を発現するマウス細胞株(BWZ T2)に結合することを実証した(黒輪郭のヒストグラム)(図21A)。陰性アイソタイプ対照(抗体Ab88)は結合を示さなかった。抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、抗体が、WT(Trem+/+)骨髄由来マウスマクロファージ(BMMac、mMac)に結合するが、TREM2欠損(TREM2-/-)マウスマクロファージ(BMMac、mMacs)に結合しないことを実証した(図21B)。抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、組換えヒトTREM2を発現するヒト細胞株(293)(図22A)及び初代ヒト樹状細胞(hDC)(図22B)の両方に結合することを実証した。逆に、抗体Ab43及びAb60は、組換えヒトTREM2を発現するヒト細胞株に結合した(図22A)が、初代ヒト樹状細胞には結合しなかった(図22B)。
TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65により結合された細胞型に対する平均蛍光強度(MFI)値を表9に記載する。結合を親マウス細胞株(親mTREM2細胞株BWZ)、初代ヒト細胞株(hTREM2親細胞株(293))、TREM2欠損の初代マウスマクロファージ(mMacs KO MFI)、及びTREM2欠損の初代マウス樹状細胞(mDC KO MFI)と比較する。表9の結果は、Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65が、細胞膜上にヒト及びマウスTREM2を過剰発現する細胞株に特異的に結合するが、TREM2を発現しない対照細胞株には特異的に結合しないことを示す。抗体はまた、初代ヒトマクロファージ及び初代マウスマクロファージならびに樹状細胞に結合する。マウス初代細胞への結合は、TREM2 KOマウス由来の初代細胞上で検出されないので、特異的である。
ForteBioまたはMSD-SETでKDを測定することにより、各抗TREM2抗体の結合親和性を決定した。ForteBio親和性測定を、上述したように実施した(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8)。要約すると、IgGをAHQセンサー上にオンラインでロードすることにより、ForteBio親和性測定を実施した。センサーを、30分間アッセイ緩衝液中オフラインで平衡化し、次に、ベースライン確立のために60秒間オンラインで監視した。ロードされたIgGを有するセンサーを、5分間100nMの抗原に曝露し、次に、オフレート測定のために、5分間アッセイ緩衝液に移した。1:1結合モデルを使用して、動態を解析した。
平衡親和性測定を、上述したように実施した(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8)。50pMで一定に保たれた抗原を含むPBS+0.1%IgG不含BSA(PBSF)中で、溶液平衡滴定(SET)を実施し、10nMで開始する抗体の3~5倍の連続希釈物とインキュベーションした。抗体(PBS中の20nM)を、4℃で一晩、または、30分間室温で、標準的な結合MSD-ECLプレート上にコーティングした。次に、プレートを700rpmで振とうしながら30分間ブロックし、続いて、洗浄緩衝液(PBSF+0.05%のTween20)で3回洗浄を行った。SETサンプルを適用し、700rpmで振とうしながら、150秒間プレート上でインキュベーションし、続いて、1回洗浄を行った。プレート上で捕捉された抗原を、3分間プレート上でインキュベーションすることにより、PBSF中の250ng/mLのスルホタグ標識ストレプトアビジンで検出した。プレートを、洗浄緩衝液で3回洗浄し、次に、界面活性剤を含む1×のRead Buffer Tを使用して、MSD Sector Imager 2400 instrumentで読み取った。パーセント遊離抗原を、Prismで滴定された抗体の関数としてプロットし、二次方程式に適合させてKDを引き出した。スループットを向上させるために、SET試料調製を含むMSD-SET実験を通して、自動液体分注機を使用した。
表10は、抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65の、ヒトTREM2Fc融合タンパク質(hTREM2-Fc)、ヒト単量体HisタグTREM2タンパク質(hTREM2-HIS)、マウスTREM2Fc融合タンパク質(mTREM2-Fc)への結合親和性(KD)を表す値を記載する。
実施例41:TREM2抗体は、ヒト樹状細胞(DC)上にCD83及びCD86の発現を誘導し、T細胞増殖を誘導する
抗TREM2抗体の、CD83及びCD86の発現を修飾する能力を評価するために、プレート結合抗体及び可溶性抗体の両方を、樹状細胞(DC)とインキュベーションし、CD83、CD86、CCR7、及びリン酸化ERKの発現を測定した。抗TREM2抗体の、T細胞増殖を調節する能力を評価するために、DCを、T細胞及び抗TREM2抗体とインキュベーションし、T細胞増殖のレベルを測定した。
PBS中の2または5ug/mlの抗体を、12ウェルプレート中、4℃で一晩培養した。ウェルを、翌日PBSで3回洗浄した。5日目に、未成熟ヒトDCを採取し、1ウェル当たり100万細胞でプレーティングし、サイトカインの不存在下、5%のCO2、37℃でインキュベーションした。48時間後に、BD FACSCantoで、CD86、CD83、CD11c、HLA-DR、及びLIN(BD Biosciences)のFACS解析を実施した。FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7を用いて、データ解析を実施した。CD83、CD86、及びCCR7のレベルを、CD11c+HLA-DR+LIN-細胞集団について評価した。細胞内ERKリン酸化では、細胞を1%のホルムアルデヒドで固定し、cytofix/cytoperm kit(BD)で透過処理し、細胞内ERKリン酸化を、PE-ERK抗体(BD)で染色した後にフローサイトメトリーを用いて決定した。
あるいは、5日目の未成熟ヒト樹状細胞を、サイトカインを含まない培地のU底非TC処理96ウェルプレートに、1ウェル当たり100,000細胞でプレーティングした。20ug/mlのLPS除去抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch)を用いるまたは用いない5ug/mlの抗体を添加した。CD86、CD83、CD11c、HLA-DR、及びLIN(BD Biosciences)に対するFACS解析を、上述したように抗体添加の48時間後に実施した。
さらに、5日目の未成熟樹状細胞(CD14-CD11c+LIN-)を、2μgの抗体で前日にコーティングされた12ウェルディッシュにプレーティングした。T細胞の添加前に、プレートをPBSで3回洗浄した。非自己ドナー由来のCD4+T細胞を単離し、DCに1:10、1:50、または1:250の比で添加する前に、CFSEで標識した。CD3/CD28 Dynalビーズは、陽性対照として機能する。共培養後5日目に、細胞を、CFSE希釈についてBD FACSCanto IIでのフローサイトメトリーにより分析した。FlowJo(TreeStar)を用いて各条件に対してCFSElo細胞と比較したパーセントCFSEhiを計算した。
プレート結合TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、アイソタイプ対照抗体Ab88と比較して、CD83+CD86+DCの頻度を増加させた(図23A)。可溶性抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab45、及びAb65は、抗ヒト二次抗体で架橋される時、DC上にCD86の発現を誘導した。逆に、架橋抗体Ab22及び非架橋可溶性抗体は、CD86発現を誘導しなかった(図23B)。これらの結果に基づいて、TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、ヒト樹状細胞上の炎症性表面マーカーCD83及びCD86の発現を誘導するアゴニストとして機能する。
実施例42:TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab20、Ab22、Ab45、及びAb65は、Sykリン酸化を誘導する
脾臓チロシンキナーゼ(Syk)は、いくつかの基質をリン酸化し、それにより細胞活性化及び炎症プロセスをもたらすシグナル伝達複合体の形成を促進することにより、TREM2の下流で機能する細胞内シグナル伝達分子である。ヒト及びマウスマクロファージならびに初代ヒト樹状細胞を培養し、細胞抽出物中のSykタンパク質のリン酸化状態を測定することにより、アゴニストTREM2抗体の、Syk活性化を誘導する能力を決定した。
骨髄由来マクロファージ(BMDM)、WTマウスBMDM、TREM2ノックアウト(KO)マウスBMDM、及び初代ヒト樹状細胞を、1%の血清RPMIで4時間飢餓状態にし、次に、PBS-EDTAで組織培養ディッシュから取り出し、PBSで洗浄し、計数した。氷上で15分間、全長アゴニストTREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab20、Ab22、Ab45、Ab65、非アゴニスト抗体(Ab16、Ab77)、または対照抗体(Ab89若しくはAb92)で、細胞をコーティングした。冷PBSで洗浄した後、ヤギ抗ヒトIgGの存在下、示された期間、37℃で、細胞をインキュベーションした。刺激後、溶解緩衝液(1%(体積/体積)のNP-40%、50MmのTris-HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1.5mMのMgCl2、10%のグリセロール、+プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤)で、細胞を溶解させ、続いて、4℃で10分間、16,000xgで遠心分離して、不溶性物質を除去した。次に、溶解物を、抗Syk Ab(BMDMの場合N-19またはヒトDCの場合4D10、Santa Cruz Biotechnology)で免疫沈降させた。沈殿したタンパク質を、SDS-PAGEにより分画し、PVDF膜に移し、抗ホスホチロシンAb(4G10、Millipore)で探索した。全ての基質が十分に免疫沈降したことを確認するために、免疫ブロットを抗Syk Ab(Abcam、BMDM用)または抗Syk(Novus Biological、ヒトDC用)で再探索した。記載されているように、増強化学発光(ECL)システム(GE healthcare)で、視覚化を実施した(例えば、Peng et al., (2010) Sci Signal., 3(122): ra38)。
TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab20、Ab22、Ab45、及びAb65は、BMDMにおいてTREM2媒介Sykリン酸化を誘導した(図24A)。TREM2 KO BMDMを対照として使用する時にSykリン酸化が誘導されないので、抗体Ab1、Ab9、及びAb45により誘導されるSykリン酸化は、TREM2特異的である(図24B)。TREM2抗体Ab22、Ab45、及びAb65は、初代ヒト樹状細胞においてSykリン酸化を誘導する(図24C)。非アゴニスト抗体(Ab16及びAb77)または対照抗体(Ab89及びAb92)は、Sykリン酸化を誘導しなかった。これらの結果に基づいて、TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab20、Ab22、Ab45、Ab65は、マクロファージ及び樹状細胞においてSykリン酸化を誘導するアゴニストとして機能する。
実施例43:TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、ヒト及びマウスTREM2への結合について、TREM2リガンドと競合する
アゴニストTREM2抗体の、TREM2上のリガンド結合部位を認識する能力を、推定上のTREM2リガンドを発現するE.coli細胞を用いた競合結合アッセイにより評価した。
E.coliを、10mlのLB培地O/N中で成長させ、遠心分離により採取し、10mlのPBS中で2回洗浄した。次に、E.coliを、30分間70℃の水浴中でインキュベーションすることにより加熱不活性化した。E.coliを、CellTracker DeepRed(ThermoFisher/Invitrogen、1uMの終濃度)で標識し、続いて、10mlのPBSで3回洗浄し、1mlのPBS中に108/mlの濃度で再懸濁した。競合結合のために、細菌を、10μg/mlの全長アゴニストTREM2抗体と共に、マウスTREM2及びDAP12発現細胞株(BWZ)に、またはヒトTREM2/DAP12融合タンパク質を発現するBW細胞株に添加し、氷上で1時間インキュベーションした。CellTracker標識細菌の、細胞株への結合について、細胞をFACSにより分析した。
TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、E.coli細菌の、ヒト細胞及びマウス細胞の両方への結合を阻害して、抗体の、TREM2上のリガンド結合部位への競合的結合を示した(図25)。非アゴニスト対照TREM2抗体(Ab66及びAb68)は、TREM2を発現するヒト細胞への細菌結合を部分的に阻害したが、マウスTREM2への結合を阻害せず、それらがリガンド結合のより弱い競合体であることを示した。
実施例44:TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab22、Ab45、及びAb65は、マウスマクロファージにおいてDAP12リン酸化を誘導する
TREM2は、DAP12を介してシグナル伝達し、下流でPI3K及び他の細胞内シグナルの活性化をもたらす。マウスマクロファージを培養し、細胞抽出物中のDAP12タンパク質のリン酸化状態を測定することにより、アゴニストTREM2抗体の、DAP12活性化を誘導する能力を決定した。
mAbで刺激する前に、マウス野生型(WT)骨髄由来マクロファージ(BMDM)及びTREM2ノックアウト(KO)BMDMを、1%の血清RPMIで4時間飢餓状態にした。15×106の細胞を、全長アゴニスト抗体または対照抗体と、15分間氷中でインキュベーションした。細胞を洗浄し、ヤギ抗ヒトIgGの存在下で、示された期間37℃でインキュベーションした。刺激後、溶解緩衝液(1%(体積/体積)のNP-40%、50MmのTris-HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1.5mMのMgCl2、10%のグリセロール、+プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤)で、細胞を溶解させ、続いて、4℃で10分間、16,000xgで遠心分離して、不溶性物質を除去した。細胞溶解物を、第2のTREM2抗体(R&D Systems)で免疫沈降させた。沈殿したタンパク質を、SDS-PAGEにより分画し、PVDF膜に移し、抗ホスホチロシンAb(4G10、Millipore)で探索した。膜を剥がし、抗DAP12抗体(Cells Signaling、D7G1X)で再探索した。TREM2免疫沈降に使用された各細胞溶解物は、対照Ab(抗アクチン、Santa Cruz)が示すように、同量のタンパク質を含有した。
DAP12は、TREM2と共沈し、アゴニストTREM2抗体Ab1、Ab9、Ab22、Ab45、及びAb65(図26A及び26B)とインキュベーションされたWTマクロファージにおいてリン酸化された。逆に、DAP12リン酸化は、抗体Ab1、Ab9、Ab22、またはAb45とインキュベーションされたTREM2 KO(TREM2-/-)マクロファージにおいて観察されなかった(図26B)。これらの結果は、DAP12リン酸化がTREM2欠損BMDMには存在しないので、アゴニスト抗体Ab1、Ab9、Ab22、及びAb45が、TREM2特異的な仕方で、TREM2会合DAP12のリン酸化を誘導することを実証する。
実施例45:TREM2抗体のエピトープマッピング及びTREM2抗体の参照TREM2抗体との比較
TREM2抗体を、ヒト及びマウスTREM2全体に及ぶ15-merまたは25-merペプチドに結合する能力について試験した。TREM2抗体を、TREM2結合領域を決定することにより、参照TREM2抗体とさらに比較した。
直鎖15-merペプチドを、14残基の重複を有するヒトまたはマウスTREM2の配列に基づいて合成した。加えて、直鎖25-merペプチドを、1残基転移のヒトまたはマウスTREM2の配列に基づいて合成した。TREM2抗体の、合成ペプチドのそれぞれへの結合を、ELISAベースとした方法で試験した。このアッセイでは、ペプチドアレイを、(4℃で一晩)一次抗体溶液とインキュベーションした。洗浄後、ペプチドアレイを、25℃で1時間、抗体ペルオキシダーゼコンジュゲート(SBA、カタログ番号2010-05)の1/1000希釈物とインキュベーションした。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質2,2’-アジノ-ジ-3-エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)及び2μl/mlの3%のH2O2を添加した。1時間後、発色現象を測定した。発色現象を、電荷結合素子(CCD)カメラ及び画像処理システムで定量化した。
抗体結合領域を評価するために、ヒトTREM2-Fcを、固定化全長アゴニストTREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、Ab63、Ab65、またはAb87とインキュベーションし、続いて、TREM2抗体MAB17291(R&D Systems)を加えた。標準サンドイッチフォーマットビニングアッセイ(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8を参照のこと)を使用して、Forte Bio Octet Red384 system (Pall Forte Bio Corporation、カリフォルニア州メンロパーク)で、抗体のエピトープビニングを実施した。対照抗標的IgGを、AHQセンサーにロードし、センサー上の占有されていないFc結合部位を非関連ヒトIgG1抗体でブロックした。次に、センサーを100nMの標的抗原に曝露し、続いて、第2の抗標的抗体に曝露した。ForteBioのデータ解析ソフトウェア7.0を使用して、データを処理した。抗原会合後の二次抗体によるさらなる結合は、非占有エピトープ(非競合体)を示すが、結合はエピトープブロッキング(競合体)を示さない。
抗体Ab1、Ab9、Ab28、及びAb29は、ヒトTREM2の配列に由来するSet1及びSet2からのペプチド対し排他的な、強く堅牢な結合を生じた。全ての4つの抗体は、ヒトTREM2のアミノ酸残基139~146(139GDLWFPGE146(配列番号237))の間の領域を含有するペプチドに結合した(図27A)。Ab1、Ab9、Ab28、及びAb29により認識されるエピトープ領域は、配列番号1のアミノ酸残基139~146に対応し、GDLWFPGE(配列番号237)のアミノ酸配列を有する。
抗体Ab45及びAb65は、Set2及びSet4からの25-merペプチドのみに結合した。両方の抗体は、ヒトTREM2のアミノ酸残基140~153(140DLWFPGESESFEDA153(配列番号238))及びマウスTREM2(140DLWVPEESSSFEGA153(配列番号239))の間のC末端の付近の、TREM2の高度に保存されている領域を認識した(図27B)。Ab45及びAb65により認識されるエピトープ領域は、配列番号1のアミノ酸残基140~153に対応し、DLWFPGESESFEDA(配列番号238)のアミノ酸配列を有する。
参照抗体MAB17291により認識されるエピトープ領域も決定した。参照抗体MAB17291は、ヒトTREM2(130ADPLDHRDAGDLWFP144(配列番号240))のアミノ酸残基130~144の間の領域を含有する第1のペプチド及びヒトTREM2アミノ酸残基158~170(158SISRSLLEGEIPF170(配列番号241))の間の領域を含有する第2のペプチドを認識することが見出された。MAB17291により認識されるエピトープ領域は、配列番号1のアミノ酸残基130~144及び158~170に対応し、ADPLDHRDAGDLWFP(配列番号240)及びSISRSLLEGEIPF(配列番号241)のアミノ酸残基を有する。
参照抗体MAB17291は、抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、またはAb65と、TREM2に同時結合できたが、抗体Ab63またはAb87とはできなかった(図28)。これらの結果は、アゴニストTREM2抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65が、参照抗体MAB17291が結合するのとは異なるTREM2タンパク質領域に結合することを実証する。
実施例46:TREM2抗体機能研究の要旨
表11は、上記実施例41~45に記載されている機能的研究の結果をまとめたものである。抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、ヒト樹状細胞(hDC)上のCD83及びCD86の誘導を実証し、架橋可溶性抗体と比較して、プレート結合抗体でより高い誘導が観察された(表中の値はCD83+CD86+細胞の割合を表す)。抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、ヒト樹状細胞(hDC)、マウス樹状細胞(mDC)、及びマウスマクロファージ(mMac)において、可変レベルのSykリン酸化を誘導し、ヒト及びマウスTREM2に対するリガンド結合(細菌結合をブロックする)を模倣できた。
実施例47:TREM2欠損マウスにおける腫瘍増殖の解析
10匹のTREM2野生型(WT)、TREM2ヘテロ接合型(HET)、及びTREM2ノックアウト(KO)マウス(性別及び年齢が一致する同腹仔、8週齢(±2週))のグループの皮下に、100ulのPBS中に懸濁された腫瘍細胞(例えば、1×105~1×106のMC38結腸癌、ルイス肺癌、またはB16黒色腫細胞)で挑戦する。移植前に、動物にイソフルランで麻酔する。4日目に開始する腫瘍成長を測定するために、腫瘍成長を、隔週でノギスを用いて監視する。実験の終点は、2000mm3または60日間の腫瘍体積である。腫瘍成長及び生存率は、結果判定法である。腫瘍の取り込み及び成長速度の低減、ならびに腫瘍浸潤免疫抑制マクロファージの数の低減は、TREM2 KOマウスの腫瘍へのエフェクターT細胞の流入の増加を示す。
浸潤腫瘍関連免疫抑制マクロファージ及びT細胞の数を決定するために、6~8の性別及び年齢の一致した同腹仔のグループを使用する。8週齢(±2週)WT-HET-KO同腹仔の皮下に、200ulのマトリゲル(Matrigel Matrix Growth Factor Reduced;BD)に懸濁される腫瘍細胞(例えば、1×105~1×106のMC38、ルイス肺、またはB16細胞)で挑戦する。移植前に、動物にイソフルランで麻酔する。腫瘍注射の7及び10日後、マトリゲルプラグを切除し、1mg/mlのコラゲナーゼD(Sigma)で37℃1時間インキュベーションし、単一細胞懸濁液を得るために解離し、セルストレーナーに通して濾過する。腫瘍にリクルートされたT細胞の量ならびにエフェクターT細胞と制御性T細胞との比を決定するために、5×106の細胞を、抗CD45.2 PercpCy5.5、抗CD3-FITC、抗CD8-PECY7、抗CD4-APC、抗FoxP3-PE(BD)、及びDAPIで染色する。腫瘍にリクルートされた単球/マクロファージ系細胞の量を決定するために、5×106の細胞を、抗CD45.2PercpCy5.5、抗CD11b-PECY7、抗F4/80-FITC、抗Ly6C/G-APC、抗CD86-PE、及びDAPIで染色する。細胞を、BD FACSCantoで得る。FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7を用いたデータ解析を実施する。
実施例48:TREM2アンタゴニスト抗体の抗癌効果の分析
8週齢(±2週)の10匹のC57Bl6/NTacマウスのグループの皮下に、100ulのPBS中に懸濁された腫瘍細胞(例えば、1×105~1×106のMC38、ルイス肺、またはB16細胞)で挑戦する。移植前に、動物にイソフルランで麻酔する。2日目に開始して、実施例38及び40に記載されているように、200ugのアンタゴニスト抗TREM2抗体のそれぞれを4用量3日毎に、マウスのグループに腹腔内注射する。4日目に開始する腫瘍成長を測定するために、腫瘍成長を、隔週でノギスを用いて監視する。実験の終点は、2000mm3または60日間の腫瘍体積である。腫瘍成長及び生存率は、結果判定法である。腫瘍の取り込み及び成長速度の低減、腫瘍浸潤免疫抑制マクロファージの数の低減、ならびに腫瘍へのエフェクターT細胞の流入の増加は、抗TREM2抗体をブロックする抗癌効果を示す。
実施例49:TREM2抗体を、阻害性チェックポイントタンパク質または阻害性サイトカイン/ケモカイン及びそれらの受容体に対する抗体と組み合わせる併用療法の付加的抗腫瘍効果の分析
8週齢(±2週)の15匹のC57Bl6/NTacマウスのグループの皮下に、実施例35に記載されるように、腫瘍細胞で挑戦する。移植前に、動物にイソフルランで麻酔する。2日目に開始して、単独でまたはチェックポイントタンパク質に対する抗体(例えば、抗PDL1 mAb clone 10F.9G2及び/または抗CTLA4 mAb clone UC10-4F10-11)と組み合わせた200ugの抗TREM2抗体を4用量、3、6、及び9日目の3日毎に、マウスに腹腔内注射する。処理グループは、抗TREM2;抗CTLA4;抗PDL1;抗TREM2+抗CTLA4;抗TREM2+抗PDL1;及びアイソタイプ対照を含む。4日目に開始する腫瘍成長を測定するために、腫瘍成長を、隔週でノギスを用いて監視する。実験の終点は、2000mm3または60日間の腫瘍体積である。腫瘍成長及び生存率は、結果判定法である。併用療法を用いた腫瘍成長の減少及び生存率の増加は、抗TREM2抗体が、抗チェックポイント抗体と付加的または相乗的治療効果を有することを示す。チェックポイント分子に対するアンタゴニスト抗体は、PDL1、PDL2、PD1、CTLA4、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、及びホスファチジルセリンに対する抗体を含む。阻害性サイトカインに対するアンタゴニスト抗体は、CCL2、CSF-1、及びIL-2に対する抗体を含む。
実施例50:TREM2抗体を、刺激性チェックポイントタンパク質を活性化する抗体と組み合わせる併用療法の付加的抗腫瘍効果の分析
8週齢(±2週)の15匹のC57Bl6/NTacマウスのグループの皮下に、実施例35に記載されるように、腫瘍細胞で挑戦する。移植前に、動物にイソフルランで麻酔する。2日目に開始して、単独でまたは刺激性チェックポイントタンパク質(例えば、OX40またはICOS mAb)を活性化するアゴニスト抗体と組み合わせた200ugの抗TREM2抗体を4用量、3、6、及び9日目の3日毎に、マウスに腹腔内注射する。4日目に開始する腫瘍成長を測定するために、腫瘍成長を、隔週でノギスを用いて監視する。実験の終点は、2000mm3または60日間の腫瘍体積である。腫瘍成長及び生存率は、結果判定法である。併用療法を用いた腫瘍成長の減少及び生存率の増加は、抗TREM2抗体が、刺激性チェックポイント抗体と付加的または相乗的治療効果を有することを示す。刺激性チェックポイント抗体は、CD28、ICOS、CD137、CD27、CD40、及びGITRに対するアゴニスト/刺激性抗体を含む。
実施例51:TREM2抗体を、刺激性サイトカインと組み合わせる併用療法の付加的抗腫瘍効果の分析
8週齢(±2週)の15匹のC57Bl6/NTacマウスのグループの皮下に、実施例35に記載されるように、腫瘍細胞で挑戦する。移植前に、動物にイソフルランで麻酔する。2日目に開始して、単独でまたは刺激性サイトカイン(例えば、IL-12、IFN-a)と組み合わせた200ugの抗TREM2抗体を4用量、3日毎に、マウスに腹腔内注射する。4日目に開始する腫瘍成長を測定するために、腫瘍成長を、隔週でノギスを用いて監視する。実験の終点は、2000mm3または60日間の腫瘍体積である。腫瘍成長及び生存率は、結果判定法である。併用療法を用いた腫瘍成長の減少及び生存率の増加は、抗TREM2抗体が、免疫刺激性サイトカインと付加的または相乗的治療効果を有することを示す。刺激性サイトカインは、IFN-a/b、IL-2、IL-12、IL-18、GM-CSF、及びG-CSFを含む。
実施例52:TREM2抗体のFabの、自然免疫細胞の生存率を促進する能力の分析
自然免疫細胞(例えば、マクロファージ)における抗体Ab22、Ab45、及びAb65に由来するプレート結合架橋抗TREM2抗体のFabフラグメントのアゴニスト機能を評価した。
野生型(WT)及びTREM2ノックアウト(KO)マウス骨髄由来マクロファージを、M-CSF及びプレート結合TREM2抗体のFabの存在下で培養し、細胞生存率を測定した。
WT及びKOマウスの骨髄から単離されたマクロファージを、12.5nMまたは100nMのいずれかの架橋Ab22、Ab45、またはAb65のFabでプレコーティングされた非組織培養処理96ウェルプレート上にプレーティングした。細胞を、10ng/mlのM-CSFの存在下で、48時間培養した。CellTiter Gloキット(Promega)を使用して、生存率の分析を実施した。GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerでプレートを読み取った。
抗体Ab22、Ab45、及びAb65から誘導された架橋TREM2のFabフラグメントは、生存のより高い増加率が示すように、アイソタイプ対照抗体Ab88のFabと比較して、生存可能なマウス骨髄由来マクロファージの数を増加させた(図29)。細胞生存率におけるこの増強は、Ab65を除くKOマウスマクロファージでは観察されなかった。これらのデータは、Ab22及びAb45の生物活性が、TREM2特異的であること、ならびに、プレート結合架橋Ab22及びAb45のFabフラグメントが、M-CSFで培養されたマクロファージの生存を増加させるアゴニストとして機能することを示す。
実施例53:TREM2抗体の、自然免疫細胞の生存を減少させる能力の分析
自然免疫細胞(例えば、マクロファージ)における抗体に由来する可溶性の非架橋抗TREM2抗体のFabフラグメント及び可溶性の全長抗TREM2抗体の両方のアンタゴニスト機能を評価した。
野生型(WT)及びTREM2ノックアウト(KO)マウス骨髄由来マクロファージを、M-CSF及び可溶性のTREM2抗体のFabまたは可溶性の全長抗体の存在下で培養し、細胞生存率を測定した。
WT及びKOマウスの骨髄から単離されたマクロファージを、20ng/mlのM-CSFならびに増加する量の抗体Ab22、Ab45、及びAb65または可溶性の全長抗体Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65に由来する、示された可溶性の非架橋TREM2抗体のFabの存在下の非組織培養処理96ウェルプレート上にプレーティングした。各条件を、3回プレーティングした。CellTiter Gloキット(Promega)を使用して、生存率の分析を3日後に実施した。GEN5 2.04ソフトウェアを使用して、BioTek Synergy Microplate Readerでプレートを読み取った。
図30A及び30Bでは、「NT」の点線は、未処理のマクロファージ(抗体を加えない)で得られた平均細胞生存率を示す。「M-CSFなし」の点線は、マクロファージをM-CSFの不存在下で培養した時に得られる平均細胞生存率を示す。
マクロファージ細胞生存率を、可溶性の非架橋TREM2抗体のFabで評価した時、結果は、抗体Ab45に由来する可溶性の非架橋TREM2のFabフラグメントが、細胞生存率を減少させることを示した(図30A)。対照的に、抗体Ab22に由来する可溶性の非架橋TREM2のFabフラグメントは、生存率を抑制せず、アイソタイプ対照Ab99に匹敵する結果を有した(図30A)。抗体Ab65に由来する可溶性の非架橋TREM2のFabフラグメントは、細胞生存率を部分的に抑制する(図30A)。結果は、TREM2抗体Ab45及びAb65に由来する可溶性の非架橋Fabが、アンタゴニストとして機能し、インビトロでのマクロファージの生存を阻害する可能性があることを実証した。
マクロファージ細胞生存率を可溶性の全長抗体で評価した時、抗体Ab14、Ab45、Ab65、及びAb9は、細胞生存率を減少させた(図30B)。可溶性の全長抗体Ab22は、細胞生存率に、アイソタイプ対照Ab91のものにほぼ匹敵する影響を与えた(図30B)。結果は、可溶性の全長TREM2抗体Ab14、Ab45、Ab65、及びAb9が、架橋またはクラスター形成されていない場合、アンタゴニストとして機能し、マクロファージの生存を阻害する可能性があることを実証する。
これらの実験の結果は、TREM2抗体Ab45、Ab65、及びAb9が、クラスター形成のない場合、マクロファージなどの自然免疫細胞の生存を阻害する可能性があることを示す。対照的に、TREM2抗体Ab22は、クラスター形成のない場合でさえ、マクロファージなどの自然免疫細胞の生存を阻害しない。
実施例54:TREM2抗体の、TREM2依存性遺伝子を誘導する能力の分析
NFAT(活性化T細胞核因子)プロモーターの制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用して、プレート結合抗TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab10、Ab14、Ab15、Ab17、Ab18、Ab20、Ab22、Ab24、Ab25、Ab28、Ab29、Ab45、Ab54、Ab51、Ab64、Ab65、及びAb66の、TREM2依存性遺伝子を活性化する能力を評価した。
マウス胸腺リンパ腫Tリンパ球BW5147.G.1.4(ATCC(登録商標)TIB48(商標))由来の細胞株を、マウスTREM2及びDAP12ならびにCignal Lenti NFAT-ルシフェラーゼウイルス(Qiagen)に感染させた。全長抗TREM2抗体を、4℃一晩、組織培養処理透明底白色96ウェルプレート(100ul/ウェル)上に、DPBS中の10ug/mlで、プレートに結合させた。ウェルをDPBSで3回リンスし、続いて、1%の血清を含む培地に、100,000細胞/ウェルでプレーティングした。シグナル伝達のための陽性対照として、PMA(0.05ug/ml)及びイオノマイシン(0.25uM)を共に添加した。細胞を6時間インキュベーションし、OneGlo Reagent(Promega)を各ウェルに添加し、プレートシェーカー上、室温で3分インキュベーションすることにより、ルシフェラーゼ活性を測定した。BioTekプレートリーダーを使用して、ルシフェラーゼシグナルを測定した。
図31A及び図31Bに示されるように、抗TREM2抗体Ab1、Ab9、Ab10、Ab14、Ab15、Ab17、Ab20、Ab22、Ab45、Ab54、Ab64、Ab65、及びAb66は、ルシフェラーゼ活性を増加させて、抗体がTREM2依存性遺伝子転写を誘導できたことを示した。図31Cに示されるように、プレート結合ホスファチジルセリン(PS)は、TREM2依存性遺伝子発現を誘導する。PSは、TREM2の天然リガンドと考えられている。従って、図31A-Cの結果は、アゴニスト抗TREM2抗体が、TREM2の天然リガンドを模倣できることを示す。
実施例55:TREM2抗体の、TREM2依存性遺伝子を阻害する能力の分析
NFAT(活性化T細胞核因子)プロモーターの制御下のルシフェラーゼレポーター遺伝子を使用して、可溶性の全長抗TREM2抗体Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65の、TREM2依存性遺伝子を阻害する能力を評価した。
マウス胸腺リンパ腫Tリンパ球BW5147.G.1.4(ATCC(登録商標)TIB48(商標))由来の細胞株に、マウスTREM2及びDAP12ならびにCignal Lenti NFAT-ルシフェラーゼウイルス(Qiagen)を感染させた。可溶性の全長抗TREM2抗体を、細胞に、増加する濃度で添加した。細胞を、37℃で6時間インキュベーションし、OneGlo Reagent(Promega)を使用して、ルシフェラーゼ活性を測定した。
これらの細胞は、内因性リガンドの存在または自発的受容体凝集のいずれかに起因する持続的なTREM2依存性シグナル伝達を示し、これは、TREM2シグナル伝達をもたらす。
図32の点線は、刺激なしのTREM2活性のレベルを示す。
図32に示されるように、可溶性の全長抗TREM2抗体Ab9、Ab14、Ab45、及びAb65は、持続的なTREM2依存性遺伝子発現を阻害できた。対照的に、可溶性の全長抗TREM2抗体Ab22は、持続的なTREM2シグナル伝達をブロックしないようであった(図32)。
実施例56:TREM2抗体アゴニスト及びアンタゴニスト活性の要旨
表12は、上記実施例52~55に記載されている機能的研究の結果をまとめたものである。抗体Ab1、Ab9、Ab14、Ab22、Ab45、及びAb65は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子(図31A)またはベータ-GALレポーター遺伝子(表12)のいずれかを使用して、TREM2依存性遺伝子発現を活性化させることにおけるアゴニスト活性を実証した。表12に記載されるように、Ab1及びAb65は、β-GALレポーター遺伝子を使用した時、Ab9、Ab22、及びAb45と比較して、遺伝子誘導のレベルの増加を示した(表12)。抗体Ab22、Ab45、及びAb65は、自然免疫細胞の細胞生存を促進することにおいてアゴニスト活性も実証した(図29)。表12は、自然免疫細胞の細胞生存を阻害することにおける、可溶性の非架橋抗体Ab9、Ab14、Ab45、及びAb65のアンタゴニスト効果を実証する結果をさらにまとめたものである(図30)。対照的に、可溶性の非架橋抗体Ab22は、細胞生存を阻害することにおいて最小限のアンタゴニスト活性を有した(図30)。
実施例57:さらなるTREM2抗体に対する結合及び機能研究の要旨
表13は、実施例40に記載されるように生成された、さらなる全長TREM2抗体に対する結合及び機能研究の結果をまとめたものである。実施例40及び42に記載されている方法を使用して、下記の結果を得た。
実施例58:アゴニストTREM2抗体の抗脳卒中効果の解析
中大脳動脈(MCAO)の一過性閉塞-ヒト脳卒中に非常に似たモデルが、マウスの脳梗塞を誘導するために使用される。モノフィラメント(70SPRe、Doccol Corp、USA)を、右総頸動脈の切開を通して内頸動脈に導入する。中大脳動脈を、再灌流時間の範囲で30分間閉塞する(6時間、12時間、24時間、2日間、7日間、及び28日間)。12時間及び7日目、擬似動物を使用して、手術の効果を制御する。中大脳動脈の閉塞のない擬似動物は、同じ外科手術を受ける。アゴニスト抗TREM2抗体または対照抗体で処理したMCAO動物を、梗塞体積測定、急性炎症性応答(12時間の再灌流);前炎症性サイトカインTNFa、IL-1a、及びIL-1bの転写;ミクログリア活性(CD68、Iba1);ケモカインCCL2(MCP1)、CCL3(MIP1a、及びケモカイン受容体CX3CR1)の転写;ならびにCD3陽性T細胞の浸潤について試験する(Sieber et al. (2013) PLoS ONE 8(1): e52982. doi:10.1371/journal.pone.0052982.)。
実施例59:気道感染症におけるアンタゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
アンタゴニストTREM2抗体の、細菌性気道感染症を遅延させる、予防する、または治療する能力を評価するために、Streptococcus pneumoniaeを用いたC57Bl6マウスのチャレンジを含む前臨床マウスモデルを使用する。このモデルは、記載されているように、105CFUのS.pneumoniae血清型3(ATCC 6303)の経鼻(i.n.)投与を含む(例えば、Sharif O et al, 2014 PLoS Pathog. 2014 Jun; 10(6): e1004167、及びSchabbauer G et al, 2010 J Immunol 185: 468-476を参照のこと)。このモデルでは、約90%のWT C57Bl6マウスは、感染後6日以内に、感染で死亡する。
10~15匹のマウス/グループに、S.pneumoniaeで挑戦し、付随して、0日目から開始して、1日おきにアンタゴニスト抗TREM2抗体で治療する。抗TREM2抗体の最初の用量は、S.pneumoniaで挑戦するする3時間前に投与する。死亡事象をチェックするために、マウスを、毎日15日間監視する。細菌挑戦で生き残ったマウスの%を決定する。
別の実験では、血液及び肺における細菌負荷及びサイトカイン発現の数も決定する。感染の24または48時間後、血液をEDTA含有チューブに収集し、アガープレート上にプレーティングして、血漿中の細菌性CFUを列挙する。血漿を、ELISAによるサイトカイン分析のために-20℃で保存する。細菌CFUを計数するために、肺を採取し、均質化し、アガープレート上にプレーティングする、または溶解緩衝液中で30分間インキュベートし、上清をサイトカイン測定のために分析する。
別の実験では、肺を、細菌感染の40時間後に収集し、10%ホルマリンで固定し、H&E病理分析のためにパラフィンに包埋する。
実施例60:敗血症におけるアンタゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
アンタゴニストTREM2抗体の、敗血症を遅延させる、予防する、または治療する能力を評価するために、LPSを用いたC57Bl6マウスの全身挑戦を含む前臨床マウスモデルを使用する。このモデルは、記載されているように、37mg/mlのLPS腹腔内(i.p.)投与を含む(例えば、Gawish R et al, 2014 FASEB Jを参照のこと)。このモデルでは、>95%のWT C57Bl6マウスは、LPS感染後40時間以内に、感染で死亡する。
マウスのコホートにLPSで挑戦し、付随して、0日目から開始して毎日、アンタゴニスト抗TREM2抗体で処理する。抗TREM2抗体の第1の用量を、LPSで挑戦する3時間前に投与する。死亡事象を確認するために、マウスを日中の4時間毎に監視する。LPS挑戦で生き残ったマウスの割合を決定する。
別の実験では、腹腔洗浄液(PLF)を収集する。上清を、ELISAによるサイトカイン分析のために-20℃で保存し、腹膜腔にリクルートされた炎症細胞を定量化するために、ペレット化細胞を計数する。感染の他のモデルにおけるTREM2抗体の有効性を試験するために、同様の研究を行うことができる(例えば、Sun et al., (2013) Invest Ophthalmol Vis Sci. 17;54(5):3451-62を参照のこと)。
実施例61:急性及び慢性大腸炎におけるアンタゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
アンタゴニスト抗TREM2抗体の、大腸炎の遅延させる、予防する、または治療する能力を評価するために、急性または慢性大腸炎の前臨床マウスモデルを使用する。DSS誘導性大腸炎では、マウスは、8日間自由に飲料水中の3%のDSSを摂取する。TNBS誘導性大腸炎の場合、マウスを麻酔し、20%のエタノール(体積/体積)中の3mgのTNBSまたは対照としてのビヒクル単独の直腸内注射で処理する。慢性大腸炎モデルでは、全てのマウスを、5日間は3サイクルの2%のDSSで処理し、続いて、10日間の回復期間をとる。全てのモデルでは、体重減少、便の硬さ、及び便潜血の存在を、毎日監視し、記載されているように、疾患活動指数を計算するために使用する(例えば、Correale C, 2013, Gastroenterology, February 2013, pp. 346-356.e3を参照のこと)。
マウスのコホートを、0日目から開始して毎日、アンタゴニスト抗TREM2抗体で処理し、DSSまたはTNBS投与を受けさせる。マウスを、体重減少、便の硬さ、及び便潜血の存在をチェックするために毎日監視し、記載されているように、疾患活動指数を計算するために使用した(例えば、S. Vetrano, Gastroenterology, 135 (2008), pp. 173-184を参照のこと)。
別の実験では、炎症性細胞浸潤及び粘膜損傷を評価するために、粘膜損傷の内視鏡画像及び組織学的画像を収集する。クローン病、炎症性腸疾患、及び潰瘍性大腸炎を含む自己免疫の他のモデルにおけるTREM2抗体の有益性を試験するために、同様の研究を行うことができる(例えば、Low et al., (2013) Drug Des Devel Ther.; 7: 1341-1357、及びSollid et al., (2008) PLoS Med 5(9): e198を参照のこと)。
実施例62:創傷治癒におけるアゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
アゴニスト抗TREM2抗体の、損傷後の結腸の創傷修復を増加させる能力を評価するために、結腸における生検損傷のマウスモデルを使用する。このモデルでは、外側の手術シースを有する内視鏡を、下行結腸の中央に挿入し、肛門直腸接合部まで、粘膜を調査する。次に、粘膜及び粘膜下組織全体の単一の全層領域を、3フレンチの直径を有する柔軟な生検鉗子で除去し、筋固有層の貫入を回避する。各マウスは、結腸の背側に沿って3~5箇所に生検で損傷させる(例えば、Seno H, 2008, Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Jan 6; 106(1): 256-261を参照のこと)。
生検損傷の2または3日後、マウスのコホートを、アゴニスト抗TREM2抗体で処理する。体重減少及び創傷治癒をチェックするために、病変の表面積を測定することにより、体重減少及び創傷治癒をチェックするために、マウスを、15日間毎日監視する。
実施例63:網膜変性におけるアンタゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
アンタゴニストTREM2抗体は、炎症性マクロファージの蓄積及び/または機能を減少させ、結果として、加齢関連黄斑変性症(AMD)を遅延させる、予防する、及び/または治療する。
AMDは、外網膜の変性疾患である。炎症、特に、炎症性サイトカイン及びマクロファージが、AMD疾患進行の原因となると考えられている。
ドルーゼン、ブルッフ膜、脈絡膜、及び網膜におけるAMD病変の近傍のマクロファージの存在を証明する。マクロファージは組織因子(TF)及び血管内皮成長因子(VEGF)を放出し、これは、脈絡膜血管新生を示す患者において、新しい血管形成の拡大を引き起こす。
黄斑のある脈絡膜に存在するマクロファージの種類は、年齢と共に変化し、若年の眼と比較して、老年の眼においてM2マクロファージのレベルの上昇を示す。しかし、進行したAMDの黄斑は、ほぼ同年齢の正常な剖検された眼と比較して、M1とM2の比がより高かった。(例えば、Cao X et al, (2011), Pathol Int 61(9): pp528-35を参照のこと)。これは、晩発性AMD進行における眼の典型的なM1マクロファージ活性化の間の関連を示唆する。
網膜ミクログリア細胞は、通常は内網膜にも存在する組織常在マクロファージである。損傷の場合、ミクログリアを活性化でき、炎症のメディエーターとして作用する。活性化ミクログリアは、AMD組織サンプルにおいて検出されており、AMD病因をもたらす炎症プロセスの1つの潜在的な要因として提案されている(Gupta et al., (2003) Exp Eye Res., 76(4):463-71.)。アンタゴニストTREM2抗体の、AMDを予防する、遅延させる、または後退させる能力を、1つ以上のAMDモデルで試験する(例えば、Pennesi et al., (2012) Mol Aspects Med.; 33(4): 487-509を参照のこと)。
全体的な炎症性マクロファージ(M1及び/または活性化ミクログリアのいずれか)は、AMD疾患の進行と相関し、それ故、アンタゴニストTREM2抗体の治療標的であることが証明される。緑内障及び網膜色素変性症などの遺伝型または網膜変性において、同様の治療効果を達成できる。
アンタゴニストTREM2抗体の、緑内障における網膜神経節細胞変性を予防する、遅延させる、または後退させる能力を、緑内障モデルにおいて試験する(例えば、El-Danaf et al., (2015) .J Neurosci. 11;35(6):2329-43を参照のこと)。同様に、遺伝的に誘導された網膜変性及び色素性網膜炎におけるREM2の治療効果を、Chang et al., (2002) Vision Res.; 42(4):517-25、及び“Retinal Degeneration Rat Model Resource Availability of P23H and S334ter Mutant Rhodopsin Transgenic Rats and RCS Inbred and RCS Congenic Strains of Rats,” MM LaVail, June 30, 2011に記載されているように試験する。
実施例64:脂質生成及び食餌誘導性肥満におけるアンタゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
脂肪生成及び肥満におけるアンタゴニストTREM2抗体の効果を試験するために、高脂肪食餌(HFD)のマウスモデルを使用する(例えば、Park et al., (2015) Diabetes. 64(1):117-27を参照のこと)。
実施例65:マラリアにおけるTREM2抗体の防御効果の分析
非実質性肝細胞におけるTREM2発現は、マラリア原虫Plasmodium bergheiでの肝細胞期感染に対する耐性と密接に相関する(Goncalves et al., (2013) Proc Natl Acad Sci 26;110(48):19531-6)。理論に拘束されることを望むものではないが、TREM2抗体は、P.bergheiによる肝細胞期感染に対する耐性を増加させると考えられている。
TREM2抗体の、マラリア感染に対する耐性を増加させる能力を、Goncalves et al., (2013) Proc Natl Acad Sci 26;110(48):19531-6に記載されているように試験する。要約すると、GFPを発現するP.berghei ANKAスポロゾイトを、Anopheles stephensi蚊由来の感染した唾液腺を切開することにより得る。RPMI培地中のスポロゾイト懸濁液を、1マウス当たり104スポロゾイトを含有する接種物100μLで、腹腔内注射する。肝臓を、注射または生存の40時間後に収集し、寄生虫血症を、28日間追跡する。実験的な脳マラリアスコアリングのために、注射後5日目から、神経学的症状を監視する。
実施例66:骨粗鬆症におけるアンタゴニストTREM2抗体の防御効果の分析
骨は、カルシウムホメオスタシス及び構造的ニーズをサポートするために、常に作り変えられる動的器官である。破骨細胞は、骨の有機及び無機構成成分の両方を除去することに関与している細胞である。破骨細胞は、マクロファージ系統の造血前駆細胞に由来し、NFκBリガンドの腫瘍壊死因子ファミリーのサイトカイン受容体アクチベーターに応答して分化する。唯一の骨吸収細胞である破骨細胞は、骨粗鬆症及び大理石骨病の病因の中心である(Novack et al., (2008) Annual Rev Pathol., 3:457-84)。
骨粗鬆症は、骨折のリスクの増加をもたらす可能性がある、骨量及び密度の減少を特徴とする進行性骨疾患である。それは、骨代謝回転が亢進し、破骨細胞及び骨芽細胞の両方の活動性が増加する閉経後の最初の年に顕著に現れる。しかし、再吸収及び合成のプロセスの不均衡のために、正味の効果は、骨量減少であり、これは、大部分が骨梁である。従って、骨粗鬆症における骨折の最もよく見られる部位は、骨梁構造が骨強度全体にとって鍵となる手首、大腿骨頚部、及び椎体である。骨粗鬆症をもたらす破骨細胞分化の亢進及び骨吸収能力の増加は、TREM2の発現を欠く動物モデルで説明されている(Otero et al (2012) J. Immunol. 188, 2612-2621)。
DAP12 ITAMシグナル伝達アダプターを欠き、破骨細胞様細胞の分化に重大な欠陥をもたらす動物モデルで観察されるように、破骨細胞機能の低減は、骨量が増加し、骨髄腔が消失する大理石骨病をもたらす(Koga, et al., (2004) Nature 428: 758-763)。
理論に拘束されることを望むものではないが、本開示のアンタゴニスト抗TREM2抗体は、骨粗鬆症を予防する、リスク低減させる、及び/または治療することができると考えられている。一部の実施形態では、アゴニスト抗TREM2抗体を投与することは、大理石骨病(例えば、DAP12リン酸化、Syk活性化、及び破骨細胞への分化の亢進)を有する個体に、1つ以上のTREM2活性を誘導することがある(Peng et al (2010). Sci Signal. 2010 18;3 122、及びHumphrey et al., (2006) J Bone Miner Res.,21(2):237-45)。
実施例67:Ab22及びAb45TREM2抗体の、TREM2依存性遺伝子発現の誘導をブロックする能力
ルシフェラーゼレポーター系を使用して、抗体Ab22及びAb45を、脂質リガンドによりTREM2依存性遺伝子発現の誘導をブロックする能力について試験した。
ホスファチジルセリン(PS、Avanti Lipids)及びスフィンゴミエリン(SM、Avanti Lipids)を、メタノールに溶解させ、Immulon96ウェルプレート上にプレーティングした。メタノールを、室温で一晩蒸発させ、細胞を翌日添加した。NFAT:ルシフェラーゼレポーター(Qiagen)と共にマウスTREM2及びDAP12を発現するBWZ細胞を採取し、DMEM+1%のFBS中に、100,000細胞/ウェルで添加した。細胞を、単独で、または、50若しくは5nMのヒトIgGとの組み合わせのいずれかで、プレーティングした。製造者の使用説明書に従い、6時間後、One-Glo試薬(Promega)及びBiotekプレートリーダーを使用して、ルシフェラーゼ活性を測定した。
発光の減少が示すように、Ab45は、PS及びSMの両方により、TREM2依存性遺伝子発現の誘導をブロックした(図33)。
実施例68:TREM2抗体の、TREM2依存性サイトカイン遺伝子を誘導する能力の分析
初代マウスマクロファージを使用して、プレート結合抗TREM2Fab抗体Ab22及びAb65の、TREM2依存性遺伝子を活性化する能力を評価した。
骨髄由来マクロファージ(BMDM)を、5日間M-CSFで生成した。BMDM(105/ウェル)を、抗体Ab22及びAb65のFab部分(50nM)で予めコーティングされている96ウェルプレート上に播種した。プレートを1200rpmで1分間回転させた後、超高純度のLPS(100ng/mlのEscherichia coli 0111:B4)を添加した。LPSで18時間刺激した後、細胞上清中に存在するサイトカインを、サイトメトリービーズアレイ(CBA;BD Biosciences、CBA mouse inflammation kit)で測定した。
図34A及び34Bに示されるように、プレート結合抗TREM2Fab抗体Ab22は、IL-6及びMCP-1のレベルを増加させて、抗体が初代免疫細胞においてTREM2依存性サイトカイン遺伝子を活性化できたことを示した。