JP7290918B2 - 使い捨て吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、前身頃を構成する外装体及び後身頃を構成する外装体の少なくとも一方において、吸収体と重ならない領域に、非伸縮領域を設けた使い捨て吸収性物品に関するものである。
使い捨ておむつなどの吸収性物品は、尿液の漏れ防止、動きやすさの向上などの観点から、着用者に対してフィット性を向上するための技術が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、伸縮フィルムを用いて、非伸縮領域の幅を股間側からウエスト側へ向って変えることにより、フィット性を向上させる発明が開示されている。下記特許文献2には、外装体の内装体と重なる部位に、伸長状態の弾性部材ではなく、非伸長状態の弾性部材を配置することで、内装体が幅方向に伸縮し、着用者とのフィット性が低下することを防ぐ発明が開示されている。
特開2016-185265号公報 特開2013-081752号公報
しかし、使い捨て吸収性物品の着用者へのフィット性が向上するほど、前記吸収性物品と着用者の肌面との間の空間が少なくなり、通気性が低下する。そして、その結果、肌荒れが生じやすくなるという問題があった。
以上のように、フィット性の向上と通気性の向上は、二律背反の関係にあるため、両者を同時に向上させることは困難である。
そこで、本発明の主たる課題は、通気性を向上した使い捨て吸収性物品を提供することにある。本発明の従たる課題は、通気性の向上を図るとともに、フィット性の向上を図った使い捨て吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
(1)前身頃を構成する外装体及び後身頃を構成する外装体を個別又は一体的に備え、前記前身頃を構成する外装体から前記後身頃を構成する外装体にかけて、吸収体を含む内装体が取り付けられ、
前記前身頃を構成する外装体の両側部と前記後身頃を構成する外装体の両側部とがそれぞれ接合され、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
前記前身頃を構成する外装体及び前記後身頃を構成する外装体の少なくとも一方には、前記吸収体を有する範囲の少なくとも一部に設けられた非伸縮領域と、前記吸収体を有しない範囲の少なくとも一部に設けられた伸縮領域を有しており、
前記伸縮領域は、内側シート層と、外側シート層と、前記内側シート層及び前記外側シート層の間に、前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って取り付けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有し、前記弾性伸縮部材の伸縮を伴って幅方向に弾性伸縮する領域であり、
前記非伸縮領域は、前記伸縮領域から連続する前記内側シート層及び前記外側シート層と、前記内側シート層及び前記外側シート層の間に残った不要弾性伸縮部材とを有し、幅方向に弾性伸縮しない領域であり、
前記吸収体を有しない範囲において、前記外装体の幅方向の吸収体側に、前記非伸縮領域が設けられており、前記外装体の幅方向の両側部側に、前記伸縮領域が設けられており、
前記吸収体を有しない範囲における前記非伸縮領域の少なくとも一部には、前記内側シート層および外側シート層の少なくとも一方を貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
前身頃を構成する外装体及び後身頃を構成する外装体の少なくとも一方において、前記吸収体を有しない範囲(すなわち、前記吸収体と重ならない範囲。以下、同じ。)に、貫通孔を設けることにより、通気性の向上を図ることができる。この貫通孔は、内側シート層および外側シート層の少なくとも一方を貫通しているが、内側シート層および外側シート層の両方を貫通させると、通気性をより向上させることができる。
また、外装体の吸収体を有しない範囲において、外装体の幅方向の吸収体側に収縮しない非伸縮領域を設けることにより、吸収体の幅方向端縁が外装体から離れて立ち上がりやすくなる結果、吸収体の着用者へのフィット性が向上する。さらに、前記非伸縮領域が収縮しないため、非伸縮領域を設けない場合と比べて、吸収体の幅方向端部の幅方向内側への収縮を抑えることができる。その結果、吸収体が着用者の肌面を覆う面積を増やすことができ、フィット性を向上することができる。
(2)前記貫通孔は、前記弾性伸縮部材の切断痕跡である前記(1)記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
前記非伸縮領域を設ける方法としては、カッターなどを押し当てて、前記弾性伸縮部材を切断する方法を挙げることができる。前記カッター等によって、前記弾性伸縮部材を切断すると同時に、内側シート層および外側シート層の少なくとも一方に貫通孔を設けるようにすれば、製造工程が簡易化され、製造時間を短縮することができる。
(3)外装体の吸収体を有しない範囲に設けられた前記非伸縮領域の幅方向の長さは、
前記外装体の胴回り領域の下端部が長く、前記下端部から前記外装体のウエスト側および股間側の少なくとも一方へ向かって短くなる前記(1)記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
一般に、後身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部上に、着用者の臀部の割れ目のウエスト側端部(すなわち、臀部の頂部分。以下、同じ。)が位置することが多い。この着用者の臀部の頂部分は、臀部の周長が最も長くなる部分であるため、当該部分の吸収体の幅を最も広く維持することが好ましい。そこで、本発明では、前身頃の外装体及び後身頃の外装体の少なくとも一方の胴回り領域の下端部において、非伸縮領域の幅方向の長さを長くし、前記下端部に位置する吸収体の幅方向内側への収縮をより防止する構成とした。好ましくは、後身頃の外装体の吸収体を有しない範囲に設けられた前記非伸縮領域の幅方向の長さを、前記(3)に記載したように変化させると良い。
他方、吸収体のウエスト側端部の近傍は、排尿口から遠いため、尿液が届きにくい。それとともに、当該ウエスト側端部の収縮が緩やかであると、吸収性物品の上端部が捲れやすくなる結果、吸収性物品がずれ落ちやすくなってしまう。そこで、胴回り領域の下端部からウエスト側に向って、非伸縮領域の幅の長さを短くする構成にした。
また、吸収体の股間部側は、着用者の両足によって挟み込まれて収縮してしまうため、外装体に非伸縮領域を敢えて設ける必要性が少ない。また、臀部の頂部分と比べて、臀部の周長も短くなる。そのため、胴回り領域の下端部から股間部側に向って、非伸縮領域の幅の長さを短くする構成にした。
なお、非伸縮領域の幅方向の長さが、後身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部から、前記外装体のウエスト側および股間側の少なくとも一方へ向かって短くなるとは、次第に短くなる形態、段階的に短くなる形態、一部に幅が長くなる箇所を含むが、全体として短くなる形態などを含む。非伸縮領域の幅の長さを次第に変更すると、急に変更する場合と比べて、製造が容易であるという利点がある。
(4)前記外装体の胴回り領域の下端部において、
前記外装体の吸収体を有しない範囲の非伸縮領域の幅方向の全長は、前記外装体の吸収体を有しない範囲の幅方向の全長の30%~50%の長さである前記(1)記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
非伸縮領域の幅方向の全長が30%よりも短いと、吸収体のフィット性を向上する効果が少なくなる。他方、非伸縮領域の幅方向の全長を50%よりも長くすると、吸収性物品がずれ落ちやすくなる。したがって、非伸縮領域の幅方向の全長は、外装体の吸収体を有しない範囲の幅方向の全長の約30%~50%の長さにすることが好ましい。
(5)前記前身頃を構成する外装体および前記後身頃を構成する外装体のいずれか一方の外装体において、
前記外装体の吸収体を有しない範囲に設けられた前記非伸縮領域の幅方向の長さは、
前記外装体の胴回り領域の下端部が長く、前記下端部から前記外装体のウエスト側へ向かって次第に短くなり、
前記前身頃を構成する外装体および前記後身頃を構成する外装体の他方の外装体において、
前記外装体に設けられた前記非伸縮領域の幅方向の長さは、
前記吸収体のウエスト側端部が長く、前記ウエスト側端部から股間側へ向かって次第に短くなる前記(1)記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
前身頃を構成する外装体および後身頃を構成する外装体のいずれか一方の外装体において、胴回り領域の下端部における非伸縮領域の幅方向の長さを長くすると、前記下端部の周方向における締め付け力が弱まってしまうという問題がある。
この問題を解決するために、前身頃を構成する外装体および後身頃を構成する外装体の他方の外装体において、前記下端部と周方向に繋がる非伸縮領域の幅方向の長さを短くした。これにより、締め付け力の低下を防止することができる。
また、前身頃を構成する外装体および後身頃を構成する外装体のいずれか一方の外装体において、外装体の吸収体を有しない範囲に設けられた非伸縮領域の幅方向の長さが、吸収体のウエスト側端部へ向かって次第に短くなっている。そのため、おむつのウエスト側へ向かって、締め付け力が強くなる構成となっている。
使い捨て吸収性物品においては、ウエスト側から股間側へ向かって、できるだけ締め付け力を変えないようにすると、着用感が向上する。そのような効果を得るため、前身頃を構成する外装体および後身頃を構成する外装体の他方の外装体においては、外装体に設けられた非伸縮領域の幅方向の長さを、ウエスト側端部で長くし、そこから股間側へ向かって次第に短くなるような構成とした。
例えば、後身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部において、非伸縮領域の幅の長さを長くした場合、前身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部において、非伸縮領域の幅の長さを短くする。また、後身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部からウエスト側へ向かって、非伸縮領域の幅の長さが短くなるようにした場合、前身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部からウエスト側へ向かって、非伸縮領域の幅の長さを長くする。さらに、後身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部から股間側へ向かって、非伸縮領域の幅の長さが短くなるようにした場合、前身頃を構成する外装体の胴回り領域の下端部から股間側へ向かって、非伸縮領域の幅の長さを短くする。
前記のような場合において、吸収性物品の周方向における非伸縮領域の幅方向の長さ(前身頃に設けられた非伸縮領域の幅の長さと後身頃の非伸縮領域の幅の長さの合算値)は、吸収性物品のウエスト側から股間側へ向かう前後方向において、いずれの地点でもほぼ同じ長さ(一定の長さ)にすることが好ましい。ここで、ほぼ同じ長さとは、吸収性物品のウエスト側から股間側へ向かう前後方向の任意の異なる地点において、前記合算値がすべて同じである場合のほか、前記合算値に多少の違いが生じている場合も含む。この合算値の違いは、約10mmの範囲に収めるのが好ましく、約5mmの範囲に収めるのがより好ましい。
(6)前記前側外装体および前記後側外装体の少なくとも一方に、デザインを施したデザインシートが設けられ、
前記デザインシートが設けられる領域が、前記貫通孔が設けられる領域と重なっている前記(1)記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
外装体のうち、内装体と重ならない部分に貫通孔が設けられると、着用者の肌に外気が直接触れることになるため、例えば冬場に寒いと感じるなど、外気の影響を受けやすく、不快に感じる可能性が高いという問題がある。また、着用者の肌が外側から見えてしまうため、見た目が良くないという問題がある。さらに、外装体の強度が低くなるため、着用時に破れやすいという問題もある。
そこで、本発明のように、デザインシートを設けることにより、外気の影響による不快感の低減、見た目の向上、外装体の強度の向上を図ることができる。また、吸収性物品にキャラクターの図柄等を施すデザインシートを用いて、貫通孔を覆うようにしたことにより、貫通孔を覆うためだけに用いるシートを設ける場合と比べて、資材点数の増加を抑えることができる。
(7)前記非伸縮領域において、前記弾性伸縮部材は複数個に切断されており、
切断された前記弾性伸縮部材は、前記内側シート層及び前記外側シート層の少なくとも一方のシート層に固定されており、
前記切断された弾性伸縮部材が固定された前記シート層には、貫通孔が設けられており、
前記切断された弾性伸縮部材の収縮により、前記シート層が収縮し、前記貫通孔が拡幅される前記(1)記載の使い捨て吸収性物品。
(作用効果)
切断された弾性伸縮部材が収縮することにより、貫通孔が拡幅するため、通気性が良くなるという効果がある。
なお、非伸縮領域において、弾性伸縮部材が固定されていない場合は、弾性伸縮部材の切断箇所に関わらず、非伸縮領域の最も幅方向外側まで弾性伸縮部材が引き込まれる。そのため、このような場合は、前記のような貫通孔の拡幅効果はないが、非伸縮領域の伸縮性が、ほぼ不織布自体の伸縮性のみになるため、臀部におけるフィット性を上げることができる。
以上のとおり、本発明によれば、通気性を向上した使い捨て吸収性物品を提供することができる。また、通気性の向上を図るとともに、フィット性の向上を図った使い捨て吸収性物品を提供することができる。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、展開状態平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態平面図である。 図1の3-3断面図である。 図1の4-4断面図である。 (a)図1の5-5断面図、及び(b)図1の6-6断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、展開状態平面図である。 (a)図7の5-5断面図、及び(b)図7の6-6断面図である。 非伸縮領域の形成方法を示す平面図である。
以下、本発明に係る吸収性物品1の好適な実施例について、図面を参照しながら説明する。以下の説明及び図面は、本発明の実施形態の一例を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきではない。
<パンツタイプ使い捨ておむつの例>
図1~図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する前側外装体12F及び後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bに設けられた内装体200とを備えており、前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されることにより、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口となり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口となる。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口の縁から後身頃Bのウエスト開口の縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
本形態のパンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向伸縮応力が変化する境界(例えば弾性伸縮部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15~40mm、ウエスト下方部Uは65~120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3~図5に示されるように、身体側に配置されたトップシート30と、前記トップシート30の裏面側に配置された液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する起き上がりギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
トップシート30は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体56へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体56へ移行させて吸収体56による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体56からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/mが好ましく、25~60g/mがより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、吸収体56の全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により表側又は裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5~20mm程度が適当である。
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、横漏れを防止するためのものであり、内装体200の両側部に沿って前後方向LDの全体にわたり延在し、内装体200の側部から表側に起立するものである。
図1、図3及び図4に示した起き上がりギャザー60は、付け根側部分60Bが幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分60Aが幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立する形態等、適宜の変更が可能である。
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分60Aとを有している。この形態は面接触タイプの起き上がりギャザー60であるが、幅方向外側に折り返されない線接触タイプの起き上がりギャザー60も採用することができる。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが図3に矢印で示すように身体側に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において自由部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
図示例の起き上がりギャザー60のように、本体部分66が、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され幅方向外側に延びる先端側部分60Aとからなる屈曲形態では、倒伏部分67で、先端側部分60Aと付け根側部分60Bとが倒伏状態で接合されるとともに、付け根側部分60Bが倒伏状態でトップシート30に接合される。倒伏部分67における対向面の接合には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。
ギャザー不織布62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10~30g/m程度とするのが好ましい。ギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470~1240dtexが好ましく、620~940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150~350%が好ましく、200~300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザー不織布62の間に防水フィルム64を介在させることもでき、この場合には防水フィルム64の存在部分においてギャザー不織布62を部分的に省略することもできるが、製品の外観及び肌触りを布のようにするためには、図示例のように、少なくとも起き上がりギャザー60の基端から先端までの外面がギャザー不織布62で形成されていることが必要である。
ギャザー弾性部材63の本数は2~6本が好ましく、3~5本がより好ましい。配置間隔は3~10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性部材63を配置しても良い。
図示例の起き上がりギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば図3に示すように、起き上がりギャザー60の起立高さ(展開状態における本体部分66の幅方向長さ)W2は15~60mm、特に20~40mmであるのが好ましい。また、起き上がりギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離W1は60~190mm、特に70~140mmであるのが好ましい。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtex、好ましくは1~10dtex、さらに好ましくは1~5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5~75個、好ましくは10~50個、さらに好ましくは15~50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1及び図2にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子54としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50~350g/mとすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/mを超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。例えば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5~40g/m、特に10~30g/mのものが望ましい。
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合する形態が好ましい。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向に離間されている。この離間距離12dは150~250mm程度とすることができる。この離間部分における内装体200の裏面の露出部分の一部(例えば前側外装体12Fと後側外装体12Bとの間に露出する部分の前後方向全体にわたるが、内装体200の前後端まで延びず、また幅方向両側縁も内装体200の両側縁までは達しない程度)又は全体を覆うように、不織布等からなる股間部カバーシート12Mを貼り付けることが望ましいが、省略することもできる。また、図7及び図8に示すように、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる。つまり、前身頃F及び後身頃Bを個別に構成する外装体12F,12Bが前者の形態に相当し、前身頃F及び後身頃Bを一体的に構成する外装体12が後者の形態に相当する。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る臀部カバー部14を有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部14の下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向に沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、外側シート層12S及び内側シート層12Hをホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合して形成されたものである。外側シート層12Sを形成するシート材及び内側シート層12Hを形成するシート材は、図5に示す形態のように共通の一枚のシート材とする他、図8に示す形態のように個別のシート材とすることもできる。すなわち、前者の場合、ウエスト開口WOの縁(股間側の縁としても良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層12H及び外側シート層12Sがそれぞれ形成される。なお、前者の形態では、内側シート層12H及び外側シート層12Sを貼り合わせる際にずれにくいという利点があり、後者の形態ではシート材の資材数が少ないという利点がある。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、特に限定無く使用できるが不織布が好ましく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維や、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などからなる不織布を使用することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10~30g/m程度とするのが好ましい。
また、外装体12F,12Bの総目付けは20~60g/m程度であるのが好ましい。
(伸縮領域・非伸縮領域)
そして、外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15~19が設けられ、弾性伸縮部材の伸縮を伴って幅方向に弾性伸縮する伸縮領域が形成されている。この伸縮領域では、自然長の状態では外側シート層12S及び内側シート層12Hが弾性伸縮部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性伸縮部材の長手方向に伸長すると、外側シート層12S及び内側シート層12Hが皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。細長状弾性伸縮部材15~19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの貼り合わせや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15~19の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。外装体12F,12B全面を強固に固定すると柔軟性を損ねるため、細長状弾性伸縮部材15~19の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により細長状弾性伸縮部材15~19の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して両シート層12S,12H間に挟むことにより、当該細長状弾性伸縮部材15~19の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、両シート層12S,12Hへの細長状弾性伸縮部材15~19の固定と、両シート層12S,12H間の固定とを行う構造となっている。弾性伸縮部材15~19は伸縮領域における伸縮方向の両端部のみ、外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定することができる。
より詳細には、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性伸縮部材17としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm、特に0.1~1.0mm程度)の糸ゴムを、4~12mmの間隔で3~22本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向の伸長率は150~400%、特に220~320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向の全てに同じ太さのウエスト部弾性伸縮部材17を用いたり、同じ伸長率にする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性伸縮部材17の太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下方部弾性伸縮部材15,19が複数本、上下方向に間隔を空けて取り付けられている。
ウエスト下方部弾性伸縮部材15,19としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm、特に0.1~1.0mm程度)の糸ゴムを、1~15mm、特に3~8mmの間隔で5~30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向の伸長率は200~350%、特に240~300%程度であるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部14における外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状弾性伸縮部材からなるカバー部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて取り付けられている。
カバー部弾性伸縮部材16としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm、特に0.1~1.0mm程度)の糸ゴムを、5~40mm、特に5~20mmの間隔で2~10本程度設けるのが好ましく、これによるカバー部の幅方向の伸長率は150~300%、特に180~260%であるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性伸縮部材を設けることができる。
図示形態のウエスト下方部Uや臀部カバー部14のように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性伸縮部材15,16,19を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向の収縮を防止するために、吸収体56と幅方向に重なる部分の一部又は全部が非伸縮領域26(26A)とされる。他方、吸収体56と幅方向に重ならない部分の少なくとも一部には、収縮領域27が設けられる。
図2の実施形態では、後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分B1において、後側外装体12Bの幅方向の吸収体56側に、非伸縮領域26(26B)が設けられており、後側外装体12Bの幅方向の両側部側(サイドシール12A側)に、伸縮領域28が設けられている。後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分B1において、前記非伸縮領域26(26B)を設けることにより、吸収体56の幅方向端縁が後側外装体12Bから離れて立ち上がりやすくなる結果、吸収体56の着用者へのフィット性が向上する。また、前記非伸縮領域26(26B)が収縮しないため、非伸縮領域26(26B)を設けない場合と比べて、吸収体56の幅方向端部の幅方向内側への収縮を抑えることができる。その結果、おむつを着用した際に、吸収体56が着用者の臀部の肌面を覆う面積を増やすことができ、フィット性を向上することができる。
後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分B1に設けられた前記非伸縮領域26(26B)の幅方向の長さは、後側外装体12Bの胴回り領域Tの下端部45で長くなっており、その下端部45から後側外装体12Bのウエスト側へ向かって次第に短くなっている。さらに、前記下端部45から後側外装体12Bの股間側へ向かっても、次第に短くなっている。
後側外装体12Bの胴回り領域Tの下端部45上には、着用者の臀部の頂部分が重なることが多い。この着用者の臀部の頂部分は、臀部の周長が最も長くなる部分であるため、当該部分の吸収体56の幅を最も広く維持することが好ましい。そこで、本実施形態では、後側外装体12Bの胴回り領域Tの下端部45において、非伸縮領域26(26B)の幅方向の長さを長くし、下端部45上の吸収体56の幅方向内側への収縮を防止する構成としている。
他方、吸収体56のウエスト部Wへ向かうほど、排尿口から遠くなるため、尿液が届きにくい。また、ウエスト部Wの収縮が緩やかであると、使い捨ておむつの上端部が捲れやすくなり、ずれ落ちやすくなってしまう。そこで、下端部45からウエスト側へ向って、非伸縮領域26(26B)の幅の長さを次第に短くする構成にしている。
また、吸収体56の股間部側は、着用者の両足によって挟み込まれて収縮してしまうため、後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分に非伸縮領域26(26B)を敢えて設ける必要性が少ない。また、臀部の頂部分と比べて、臀部の周長も短くなる。そのため、胴回り領域Tの下端部45から股間部側に向って、非伸縮領域26(26B)の幅の長さを短くする構成にしている。
なお、本発明のように、非伸縮領域26(26B)の幅の長さを次第に変更すると、急に変更する場合と比べて、製造が容易であるという利点がある。
後側外装体12Bの胴回り領域Tの下端部45において、後側外装体12Bの吸収体56を有しない部分B1における非伸縮領域26(26B)の幅方向の全長は、後側外装体12Bの吸収体56を有しない部分B1の幅方向の全長の30%~50%の長さとしている。なお、後側外装体12Bには、吸収体56の左側及び右側にそれぞれ非伸縮領域26(26B)があるため、非伸縮領域26(26B)の幅方向の全長とは、非伸縮領域26(26B)の幅方向の長さA1Bを2倍した長さをいう。また、後側外装体12Bには、吸収体56の左側及び右側に、それぞれ吸収体56を有しない部分B1があるため、吸収体56を有しない部分B1の幅方向の全長とは、吸収体56を有しない部分B1の幅方向の長さを2倍した長さをいう。具体的には、後側外装体12Bの吸収体56を有しない部分B1の幅方向の全長を200mm~280mmとし、後側外装体12Bの吸収体56を有しない部分B1における非伸縮領域26(26B)の幅方向の全長を60mm~140mmとすることが好ましい。
非伸縮領域26(26B)の幅方向の全長が30%よりも短いと、吸収体56のフィット性を向上する効果が少なくなる。他方、非伸縮領域26(26B)の幅方向の全長を50%よりも長くすると、使い捨ておむつがずれ落ちやすくなる。したがって、非伸縮領域26(26B)の幅方向の全長は、後側外装体12Bの吸収体56を有しない範囲Bの幅方向の全長の約30%~50%の長さにすることが好ましい。
また、図2の実施形態では、前側外装体12Fに設けられた非伸縮領域26の幅方向の長さは、吸収体56のウエスト側端部が長く、ウエスト側端部から股間側へ向かって次第に短くなっている。前記の通り、後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分B1に、非伸縮領域26(26B)を設けたため、後側外装体12Bの胴回り領域Tの下端部45の締め付け力が相対的に低下してしまう。その低下を防止するため、前側外装体12Fの胴回り領域Tの下端部45の締め付け力を向上させたものである。
また、前記の通り、後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分B1に設けた非伸縮領域26(26B)の幅方向の長さは、ウエスト側端部へ向かうほど短くなっている。そのため、胴回り領域Tの下端部45と比べて、ウエスト側端部の締め付け力が高くなり、使い捨ておむつ全体として、締め付け力のバランスが悪くなる。そこで、前側外装体12Fの胴回り領域Tの下端部45の締め付け力を低下させ、おむつ全体としての締め付け力のバランスをできる限り均等にしたものである。
前述の説明における前側外装体12Fの構造を用いずに、後側外装体12Bの構造のみを用いても良い。この場合、前側外装体12Fにおいて、吸収体56と重なる部分にのみ非伸縮領域26(26A)を設けても良いし、非伸縮領域26をまったく設けない構造にしても良い。
また、以上の説明において、後側外装体12Bと前側外装体12Fを逆にした構造を採用しても良い。
なお、ウエスト部Wは幅方向全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域を設けても良い。
前記非伸縮領域26(26A、26B)は、細長状弾性伸縮部材15、16、17、19を切断することによって、形成することができる。切断された細長状弾性伸縮部材15、16、17、19は収縮して、細長状弾性伸縮部材15、16、17、19の端部に、不要弾性伸縮部材18が生じる。すなわち、前記非伸縮領域26(26A、26B)は、前記伸縮領域28から連続する前記内側シート層12H及び前記外側シート層12Sと、前記内側シート層12H及び前記外側シート層12Sの間に残った不要弾性伸縮部材18を有しており、吸収性物品の幅方向に弾性伸縮しない領域ということができる。
(貫通孔)
図2の実施形態において、後側外装体12Bの吸収体56と重ならない部分B1に設けた非伸縮領域26(26B)には、貫通孔46が複数設けられている。非伸縮領域26(26B)に貫通孔46を設けることで、通気性を向上することができる。特に、排尿をした後は、吸収体56と吸収体56の近傍が蒸れやすい。そのため、吸収体56の近傍に位置する非伸縮領域26Bに貫通孔46を設けることによって、通気性を向上し、蒸れを抑えることができる。貫通孔46は、前側外装体12Fの吸収体56と重ならない部分B1に設けた非伸縮領域26(26B)に設けても良い。
なお、前記の貫通孔46は、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sの少なくとも一方を貫通する孔である。通気性を向上する観点からは、内側シート層12Hと外側シート層12Sの両方を貫通する孔とすることが好ましい。また、内側シート層12Hと外側シート層12Sのどちらか一方に貫通孔46を設ける場合は、内側シート層12Hに設けることが好ましい。内側シート層12Hに貫通孔46を設けると、着用者の肌面と内側シート層12Hの接触面積が減るため、通気性の向上を体感しやすいからである。
また、貫通孔46は、後側外装体12Bおよび前側外装体12Fの少なくとも一方において、非伸縮領域26(26B)の全面に複数設けても良いし、非伸縮領域26(26B)の一部に1カ所以上設けても良い。また、後側外装体12Bおよび前側外装体12Fの少なくとも一方において、吸収体56と重なる部分の全面または一部に、貫通孔46を設けても良い。
前述の非伸縮領域26を設ける方法としては、細長状弾性伸縮部材15、16、17、19にカッターなどを押し当てて、細長状弾性伸縮部材15、16、17、19を切断する方法を例示することができる。このとき、カッターなどによって、細長状弾性伸縮部材15、16、17、19を切断すると同時に、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sの少なくとも一方に貫通孔46を設けるようにすると良い。製造工程が簡易化され、製造時間を短縮することができるからである。この場合、貫通孔46は、細長状弾性伸縮部材15、16、17、19を切断した痕跡(切断痕跡)に相当する
(デザインシート)
前記前側外装体12Fおよび後側外装体12Bの少なくとも一方には、キャラクター等のデザインを施したデザインシート25が設けられている。このデザインシート25は、外観向上等を目的として外面から視認可能な絵柄などを付与するものであり、例えば、子供用の使い捨ておむつでは、子供が興味を引くキャラクターや動物等の絵柄を付与することで、おむつ交換時の親子のコミュニケーションや知育を図ることができる。本発明では、このデザインシート25を設ける領域を、貫通孔46を設けた領域と重ねることが好ましい。
前記前側外装体12Fおよび後側外装体12Bの少なくとも一方の外装体において、吸収体56と重ならない部分に貫通孔46が設けられると、着用者の肌に外気が直接触れることになるため、例えば冬場に寒いと感じるなど、外気の影響を受けやすく、不快に感じる可能性が高いという問題がある。また、着用者の肌が外側から見えてしまうため、見た目が良くないという問題がある。さらに、外装体の強度が低くなるため、着用時に破れやすいという問題もある。
そこで、当該貫通孔46が設けられた箇所を覆うように、デザインシート25を設けることで、外気の影響による不快感の低減、見た目の向上、外装体の強度の向上を図ることができる。
図4の形態では、内側シート層12Hと外側シート層12Sの間にデザインシート25を設けているが、内側シート層12Hの肌面側に設けたり、外側シート層12Sの裏面側に設けたりしても良い。
(製造方法)
本発明に係る吸収性物品の非伸縮領域26および貫通孔46の製造方法としては、以下の方法を例示することができる。
例えば、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sのいずれか一方のシート層上に、接着剤(ホットメルト接着剤など)を連続的または間欠的に塗布した後、弾性伸縮部材15、16、17、19を載置し、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sのいずれか他方のシート層で挟み込む。そして、外側から切断部材(カッター等)を押し当てて、弾性伸縮部材15、16、17、19と、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sの少なくともいずれか一方を切断する。
その他の方法としては、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sのいずれか一方のシート層に予め貫通孔46を設け、そのシート層上に、接着剤(ホットメルト接着剤など)を連続的または間欠的に塗布した後、弾性伸縮部材15、16、17、19を載置する。そして、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sのいずれか他方のシート層(予め貫通孔46を設けていても、設けていなくても良い)で挟み込む。その後、外側から切断部材(カッター等)を押し当てて、弾性伸縮部材15、16、17、19と、内側シート層12Hおよび外側シート層12Sの少なくともいずれか一方を切断する。
<その他>
・上記例はパンツタイプ使い捨ておむつに対する適用例であるが、テープタイプ使い捨ておむつや、パッドタイプ使い捨ておむつ、生理用ナプキン等、吸収性物品全般に適用することができる。
・図4、図5、図8においては、外装体12F、12Bにおけるホットメルト接着剤Hの箇所のみ示したが、ホットメルト接着剤Hが塗布される箇所は、これらの箇所に限定されない。例えば、図示していないが、内装体200と外装体12F、12Bの間、吸収要素50の内部、起き上がりギャザー60など、様々な任意の箇所に、塗布することができる。
・図9に弾性伸縮部材15、16、17、19の切断方法の例を示した。(a)は、前後方向に長い切断刃を用いて、非伸縮領域26の幅方向中央で、弾性伸縮部材15、16を切断した例であり、(b)は、(a)と同じ切断刃を用いて、非伸縮領域26の幅方向左側で、弾性伸縮部材15、16を切断した例である。(a)と(b)において、弾性伸縮部材15、16は、伸縮領域28で、内装シート層12H(または外装シート層12S)に接着されており、非伸縮領域26で、内装シート層12H(または外装シート層12S)に接着されていない。そのため、弾性伸縮部材15、16が切断されると、非伸縮領域26の最も幅方向外側まで弾性伸縮部材15、16が引き込まれる。そうすると、非伸縮領域26の伸縮性が、内装シート層12H(または外装シート層12S)の不織布自体の伸縮性によってのみ伸縮するため、臀部におけるフィット性を上げることができる。
また、図9(c)は、無数の点状の切断刃を非伸縮領域26の全域に押し当てて、弾性伸縮部材15、16を切断した例である。この場合、弾性伸縮部材15、16は、伸縮領域28と非伸縮領域26の両方で、内装シート層12H(または外装シート層12S)に接着されている。そのため、非伸縮領域26内に、弾性伸縮部材15、16の切断片18(不要弾性伸縮部材18)が複数個存在することになる。そして、この切断片18が、収縮することにより、貫通孔46が広がって大きくなる。そのため、通気性が良くなるという利点がある。また、図9(c)の形態では、貫通孔46が非伸縮領域26の全面に満遍なく設けられているため、図9(a)(b)よりも、通気性が良いという利点がある。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「胴回り領域の下端部」とは、前後方向に一定の距離をもたせた範囲をいう。詳しくは、胴回り領域Tの下端a-a’(周方向に連続する線分をいう)を基準線として、前記基準線a-a’からウエスト側に20mm移動させた地点の線分c-c’と、前記基準線a-a’から股間側に20mm移動させた地点の線分b-b’の間に挟まれた領域をいう。すなわち、「胴回り領域の下端部」は、股間側端縁が線分b-b’であり、 ウエスト側端縁が線分c-c’であり、それらの線分b-b’、 c-c’に挟まれた周方向に連続する領域をいう。図2、図7において、「胴回り領域の下端部」は、符号45を付したグレーの領域をいう。
より詳しくは、前身頃の外装体と後身頃の外装体が別体となった形態において、前身頃の外装体の前後方向の長さと、後身頃の外装体の前後方向の長さが同じ場合は、胴回り領域Tの下端a-a’とは、外装体の股間側端縁をいう。
また、図2に例示したように、前身頃と後身頃の外装体が別体となった形態において、前身頃の外装体の前後方向の長さと、後身頃の外装体の前後方向の長さが違う場合は、胴回り領域Tの下端a-a’ とは、前後方向の長さが短い方の外装体の股間側端縁をいう。例えば、図2の形態では、後身頃に臀部カバー部14が設けられているため、前身頃の外装体よりも後身頃の外装体の方が、前後方向の長さが長い。そのため、前身頃の外装体と後身頃の外装体を、それぞれウエスト側端縁を揃えて重ね合わせてサイドシールで固定したときに、臀部カバー部14の部分が、前身頃の外装体と重ね合わずに、股間側へ突出した形態となる。そこで、このような場合は、前身頃の外装体の股間側端縁を胴回り領域Tの下端a-a’とし、後身頃の胴回り領域Tの下端a-a’は、前身頃の外装体の股間側端縁と重なり合った地点の線分をいう。
また、図7に代表的に例示したように、前後の外装体が一体となった形態においては、胴回り領域Tの下端a-a’とは、足回りを構成する切り欠きの開始地点46を周方向に連続した線分をいう。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から1平米あたり、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm、及び加圧面積:2cmの条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
本発明は、上記例等の使い捨て吸収性物品に利用できるものである。
A1…非伸縮領域の幅方向の長さ、A1A…非伸縮領域26Aの幅方向の長さ、A1B…非伸縮領域26Bの幅方向の長さ、A2…伸縮領域の幅方向の長さ、L…中間領域、LO…脚開口部、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WO…ウエスト開口、11…液不透過性シート、12…外装体、12A…サイドシール部、12F…前側外装体、12B…後側外装体、12H…内側シート層、12S…外側シート層、12r…ウエスト側折り返し部分、14…臀部カバー部、18…不要弾性伸縮部材、20…股間側折り返し部分、22…切断痕跡、25…デザインシート、25f…折り返し部分、26…
非伸縮領域、26A…外装体のうちの吸収体と重なる部分の非伸縮領域、26B…外装体のうちの吸収体と重ならない部分の非伸縮領域、27…絵柄印刷部、28…伸縮領域、30…トップシート、40…中間シート、45…胴回り領域Tの下端部、46…貫通孔、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、62…ギャザーシート、200…内装体、H…ホットメルト接着剤

Claims (1)

  1. 前身頃を構成する外装体及び後身頃を構成する外装体を個別又は一体的に備え、前記前身頃を構成する外装体から前記後身頃を構成する外装体にかけて、吸収体を含む内装体が取り付けられ、
    前記前身頃を構成する前記外装体及び前記後身頃を構成する前記外装体を個別に備える場合は、前記前身頃を構成する前記外装体の前後方向の長さと前記後身頃を構成する前記外装体の前後方向の長さが異なり、
    前記前身頃を構成する外装体の両側部と前記後身頃を構成する外装体の両側部とがそれぞれ接合され、ウエスト開口部及び左右一対の脚開口部が形成され、
    前記前身頃を構成する外装体及び前記後身頃を構成する外装体の少なくとも一方には、前記吸収体を有する範囲の少なくとも一部に設けられた非伸縮領域と、前記吸収体を有しない範囲の少なくとも一部に設けられた伸縮領域を有しており、
    前記伸縮領域は、内側シート層と、外側シート層と、前記内側シート層及び前記外側シート層の間に、前後方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って取り付けられた複数本の細長状の弾性伸縮部材とを有し、前記弾性伸縮部材の伸縮を伴って幅方向に弾性伸縮する領域であり、
    前記非伸縮領域は、前記伸縮領域から連続する前記内側シート層及び前記外側シート層と、前記内側シート層及び前記外側シート層の間に残った不要弾性伸縮部材とを有し、幅方向に弾性伸縮しない領域であり、
    前記吸収体を有しない範囲において、前記外装体の幅方向の吸収体側に、前記非伸縮領域が設けられており、前記外装体の幅方向の両側部側に、前記伸縮領域が設けられており、
    前記吸収体を有しない範囲における前記非伸縮領域の少なくとも一部には、前記内側シート層および外側シート層の少なくとも一方を貫通する貫通孔が設けられており、
    前記前身頃を構成する外装体および前記後身頃を構成する外装体のいずれか一方の外装体において、
    前記外装体の吸収体を有しない範囲に設けられた前記非伸縮領域の幅方向の長さは、
    前記外装体の胴回り領域の下端部が長く、前記下端部から前記外装体のウエスト側および股間側へ向かってそれぞれ短くなっており、
    前記前身頃を構成する前記外装体及び前記後身頃を構成する前記外装体を個別に備える場合は、前記外装体の胴回り領域の下端部の下端とは、前後方向の長さが短い方の前記外装体の股間側端縁であり、
    前記前身頃を構成する前記外装体及び前記後身頃を構成する前記外装体を一体的に備える場合は、前記外装体の胴回り領域の下端部の下端とは、足回りを構成する切り欠きの開始地点を周方向に連続した線分であり、
    前記前身頃を構成する外装体および前記後身頃を構成する外装体の他方の外装体において、
    前記外装体の吸収体を有しない範囲に設けられた前記非伸縮領域の幅方向の長さは、
    前記吸収体のウエスト側端部が長く、前記ウエスト側端部から股間側へ向かって次第に短くなる、ことを特徴とする使い捨て吸収性物品。
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