JP7202599B2 - 血圧測定装置、車両装置、及び血圧測定プログラム - Google Patents
血圧測定装置、車両装置、及び血圧測定プログラム Download PDFInfo
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Description
血圧の測定方式には、例えば、専用の器具を腕や指先に装着するなどして脈波速度・脈波加速度など直接的・間接的に測定して血圧に換算する非侵襲式のものや、バルーンなどを直接に血管内に挿入する侵襲式のものなどがある。
特に、非侵襲式は、人体に与える負荷が侵襲式に比べて少ないことから日本循環器学会による「血管機能の非侵襲的評価法に関するガイドライン」で述べられているように盛んに研究されている。
また、車両運転中に運転者の血圧をモニタリングするような場合、いちいち器具を運転者に装着するのは現実的ではない。
そのため、非接触式の血圧測定方式が求められていた。
この技術では、被験者をベッドに寝かせた安静状態で、例えば、腕部の所定の2カ所を狙ってマイクロ波を照射するなど、日常生活で利用するには制約があり、特に車両で使用するのは困難である。
(2)請求項2に記載の発明では、前記血圧測定手段は、前記所定範囲の帯域における前記基本周波数の高調波の成分を用いて前記血圧を測定することを特徴とする請求項1に記載の血圧測定装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記脈波取得手段は、前記生体の体表面から非接触で前記脈波を取得することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の血圧測定装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記脈波取得手段は、所定の周波数の電磁波を前記生体に照射し、その反射波を用いて前記脈波を取得することを特徴とする請求項3に記載の血圧測定装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記測定した血圧の変化に応じた報知を行う報知手段を具備したことを特徴とする請求項4に記載の血圧測定装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、車両の運転者の血圧を測定する請求項5に記載の血圧測定装置を具備したことを特徴とする車両装置を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、前記運転者に対して前記電磁波の照射を行い、その反射波を受信するアンテナを運転席の背もたれ部分に具備したことを特徴とする請求項6に記載の車両装置を提供する。
(8)請求項8に記載の発明では、生体から脈波を取得する脈波取得機能と、前記取得した脈波の周波数成分を取得する周波数成分取得機能と、前記取得した周波数成分のうち、前記脈波による基本周波数の高域側の、前記脈波の周波数成分と血圧の相関が所定以上となる所定範囲の帯域における周波数成分を用いて前記生体の血圧を測定する血圧測定機能と、をコンピュータで実現する血圧測定プログラムを提供する。
実験装置1は、送信アンテナ23からマイクロ波を被験者(被測定者)7に照射し、その反射波を受信アンテナ25で受信する。脈拍による体表面の微動により反射波の位相が変化するため、送信波と反射波の位相差から脈波を検出することができる。
更に、実験装置1は、脈波を連続的に検出しながら、被験者7に装着した血圧センサ5から被験者7の血圧も連続的に検出している。
以上の実験結果から、マイクロ波を用いて非接触・非侵襲で対象者の脈波を検出し、これに上記の相関関係を適用して収縮期血圧を測定(推定)する装置が可能となった。これにより、不快感や面倒臭さを伴わない血圧の連続的測定を実現することができる。
また、本実施形態では、脈波の伝播速度からではなく、脈波の周波数成分を周波数解析して血圧を測定するので、マイクロ波を照射するマイクロ波回路2が2つではなく、1つにすることができる。
まず、実験装置について説明する。
図1は、脈波と血圧の相関関係を調べる実験装置1の構成を説明するための図である。
実験装置1は、マイクロ波回路2、制御装置3、処理装置4、血圧センサ5などから構成されている。
更に、マイクロ波回路2は、発信器21、トランスミッタ22、送信アンテナ23、レシーバ24、受信アンテナ25、ミキサ26、フィルタ27などから構成されている。
なお、後述するように、実験装置1の構成のうち血圧センサ5を除いた部分は、車両で運転者の血圧をモニタリングする血圧測定装置40に組み込まれ、被測定者(例えば、運転者、病院の患者等)の血圧を測定(推定)するのに用いられる。
本実施の形態では、脈波を検出するための電磁波として、一例として発信器21が発生する5[GHz]のマイクロ波を使用した。
送信アンテナ23には、16素子パッチアレーアンテナを用いており、トランスミッタ22と送信アンテナ23のセットは16個存在するが、図1では1セットを図示している。
受信アンテナ25には、4素子パッチアレーアンテナを用いており、受信アンテナ25とレシーバ24のセットは4個存在するが、図1では2セットを図示している。
このような構成により、マイクロ波の指向性を鋭くすることができる他、マイクロ波の方向を微調整して、脈波がよく検出できる部位(発明者の実験によると被験者7の心臓部あたり)にマイクロ波を照射することができる。
フィルタ27は、ミキサ26が出力するうなり波のうち、脈波の計測に必要な帯域だけ通過させるフィルタである。
そして、固定周波数の照射波を参照波として反射波と混合すると、位相差に基づくうなりが発生し、これを利用することにより脈波を検出・再現することができるのである。
このようにして、実験装置1は、体表面の振動を非接触・非侵襲で計測することができる。
このように、実験装置1は、所定の周波数の電磁波を生体(被験者7)に照射し、その反射波を用いて生体から脈波を取得する脈波取得手段を備えており、当該生体の体表面から非接触で脈波を取得することができる。
実験装置1では、被験者7の実際の血圧値をマイクロ波回路2による脈波の検出と同時計測するために、連続血圧計(Finometer MIDI(Musical Instrument Digital Interface))を使用した。
処理装置4は、マイクロ波回路2から出力された信号によって脈波を表示するオシロスコープ、脈波をFFT(Fast Fourier transform)によるフーリエ変換によって周波数スペクトルに変換するスペクトラムアナライザ、血圧センサ5によって被験者7の血圧を計測する血圧計、及びこれらから得られる情報を解析するコンピュータなどから構成されている。
本実験では、マイクロ波によって検出した脈波と血圧センサ5によって検出した血圧を比較することにより、脈波と収縮期血圧(SBP(systolic blood pressure))の相関関係を調べた。
一般に、送信n素子、受信m素子を有する場合、変動MIMOチャネル行列H(t)は、図2の式(1)に示したように、m行n列の行列よって表される。
本実験では、これら受信素子(送信アンテナ23)、送信素子(受信アンテナ25)の組み合わせのうち、時間平均電力の最も高い伝搬路を選択して実験を行った。
なお、図2の式(1)ではmnをhの添え字として表しているが、本明細書中では、《mn》のように添え字部分を《》で括って表すものとする。以下、同様に記載する。
このように、実験装置1は、脈波の周波数成分を電力値にて取得する周波数成分取得手段を備えている。なお、電力値は、絶対値でもよいし、何らかの基準に対する相対値でもよい。
例えば、被験者7は、一分間に60回程度心臓が鼓動するため、基本周波数は1[Hz]程度となり(一般的には、0.7~1.5[Hz]程度)、2次、3次、・・・の周波数は、2[Hz]、3[Hz]、・・・程度となる。
本実験は、生体に照射したマイクロ波の反射応答と実際の収縮期血圧とを比較し、その相関特性について評価を行うことにより、マイクロ波を用いた非接触血圧測定の可能性を探るものである。
フーリエ解析を行う時間区間Δtは、周波数分解能を考慮してサンプル数1024点、時間にして5.12秒とし、フーリエ変換にはハミング窓を用いた。
本実験は20代の健康な7名の男性の協力を得て行い、血圧センサ5を用いて被験者7の実際の連続血圧値を同時計測した。
本実験では、被験者7の安静状態を保ちつつ任意の血圧変化を促し、血圧値による反射波の変化を確認するため、被験者7にVR(Virtual Reality)用のゴーグルを装着させて、測定開始後60秒経過後に映像刺激を与えた。
図3は、マイクロ波により検出した被験者7の脈波の波形を表したグラフである。
縦軸は検出された電圧の絶対値を示しており、横軸は時間を秒単位で示している。図に示したように1秒に1回程度、脈拍による脈波31、31、31、・・・が現れている。
図に示したように脈波31では、波形の微細な特徴もよく検出されており、周波数解析による脈波31の特徴の抽出が期待できるものである。
この波形は、脈波31をフーリエ変換によって周波数領域に変換したものであり、脈波を構成する各周波数成分のレベル(パワー)を示している。
縦軸は、周波数成分のレベルをパワー(電圧値)で示しており、横軸は周波数を示している。
グラフから明らかなように、脈波の基本波である心臓の鼓動による1[Hz]程度の成分33が最も多く含まれている。
8次高調波の電力値は、脈波31をフーリエ変換して得たものであり、収縮期血圧は、血圧センサ5を用いて計測したものである。
なお、本実験では、基本波から20次の高調波まで、同様の散布図を作成して相関係数を求めたところ、8次高調波が最も相関係数が高かったため、ここでは、8次高調波の散布図を引用した。
図5に示したように、回帰直線は、y=313.1464+2.714x、相関係数rは、0.50932、サンプル数nは804、信頼区間95%に対してP値は0.05未満であり、有意な正の相関傾向が見られた。
ちなみに、基本波についても同様の解析を行うと、y=148.7285+0.61697x、相関係数rは、0.32265、信頼区間95%に対してP値は0.05未満であり、有意な正の相関傾向が見られた。
この図により、脈波による受信電力の8次高調波成分と収縮期血圧との対応が最も相関係数が高くなり、その値は前述の通り0.50932となった。
このため、脈波から収縮期血圧を測定する場合、脈波の8次高調波成分を用いるのが好ましく、上記の相関関係を用いて、当該成分のレベルから収縮期血圧を測定することが可能であると思われる。
しかし、グラフの形状から血圧測定の際に最も好ましい周波数成分は、8次高調波の周波数付近に存在すると思われる。また、12次高調波付近でも、8次高調波ほどではないがピークが見られる。
そこで、血圧測定に好ましい周波数帯域は、n次高調波を中心とするn-1次高調波からn+1次高調波の間で相関係数が所定の値以上となる帯域であり、更に好ましくは、当該帯域でn次高調波の付近、あるいはn次高調波の周波数であると考えられる。
後述する血圧測定装置40は、この帯域に含まれる周波数のうち、8次高調波のレベルを、図5に示した相関関係に照らし合わせて対象者の収縮期血圧を測定する。
また、当該血圧測定手段は、当該所定範囲の帯域における基本周波数の高調波の成分(血圧測定装置40の例では当該帯域のうち8次高調波の成分)を用いて血圧を測定している。
図7の血圧測定装置40としては、例えば、専用のICチップなどを用いて小型化されて車両に搭載されており、運転者の血圧を測定し、監視する場合を例に説明する。
なお、血圧測定装置40は、家庭で日常的に血圧を測定したり、医療機関で患者の血圧を測定するのに用いることもできる。
このように、当該車両の車両装置は、車両の運転者の血圧を測定する血圧測定装置40を備えている。
本実施の形態では、制御装置3や処理装置4と協働して血圧測定の対象者(運転者)の脈波を取得し、これから対象者の血圧を測定する処理などを行う。
RAM43は、読み書きが可能なメモリであって、例えば、記憶装置47が記憶する血圧測定プログラムやデータを一時記憶するなどして、CPU41が各種の情報処理を行う際のワーキングメモリを提供する。
出力装置46は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力デバイスを備えており、血圧測定装置40の操作画面をディスプレイに表示したり、血圧の測定値や血圧の変化によるアラームなどをディスプレイ、スピーカ、プリンタを用いて対象者に報知する。
また、血圧が所定値を超えて高くなった場合には、緊張していると考えられるため、同様に休憩のアドバイスを行うことも可能である。
このように、血圧測定装置40は、測定した血圧の変化に応じた報知を行う報知手段を備えている。
処理装置4は、マイクロ波の反射波から脈波を検出する機能と、検出した脈波をフーリエ変換して8次高調波のレベルをCPU41に出力する。
制御装置3と処理装置4は、何れも必要な機能に絞ってICチップ化されており、車両に搭載できる程度に小型化されている。
これにより、血圧測定装置40は、非接触・着衣下で運転者の脈波を検出することができる。
このように、血圧測定装置40は、運転者に対して電磁波の照射を行い、その反射波を受信するアンテナを運転席の背もたれ部分に備えている。
以下の処理は、CPU41が血圧測定プログラムに従って制御装置3及び処理装置4と協働して行うものである。
これに対して、処理装置4は、対象者から反射してきた反射波によって脈波を検出し(ステップ10)、更に、脈波を周波数解析する(ステップ15)。
更に、処理装置4は、8次高調波のレベル値を検出してCPU41に送信する(ステップ20)。
次に、CPU41は、RAM43に記憶した8次高調波のレベル値と収縮期血圧の相関関係を用いた所定の計算式に当該レベル値を代入して演算し、当該演算によって算出した収縮期血圧の測定値を測定値としてRAM43に記憶する(ステップ25)。
そしてCPU41は、RAM43に記憶した血圧を出力装置46に出力する(ステップ30)。
このようにして血圧測定装置40は、対象者の収縮期血圧を非接触・非侵襲・着衣下で測定することができ、独自のアルゴリズムでバイタルサインを検出することができる。
これにより、非接触・非侵襲・着衣下で手軽に日常的なバイタル測定を行うことができ、健康状態を把握する他、病気の予兆を発見する手段としても有効である。
例えば、血圧測定装置40は、MIMOを使用したが、一つの送信アンテナ23に対して複数の受信アンテナ25を用いるSIMO(Single Input Multiple Output)や、一対の送信アンテナ23と受信アンテナ25を用いるSISO(Single Input Single Output)を採用することも可能である。
更に、本実施の形態では、生体に照射したマイクロ波の反射応答から脈波を検出し、その脈波の周波数成分分解を行ったが、脈波の基本周波数の高次成分電力に加えて、個人特性値(年齢等)を加味して収縮期血圧を測定することも可能である。
2 マイクロ波回路
3 制御装置
4 処理装置
5 血圧センサ
7 被験者
21 発信器(Osc)
22 トランスミッタ(Tx)
23 送信アンテナ
24 レシーバ(Rx)
25 受信アンテナ
26 ミキサ(Mix)
27 フィルタ(Filter)
31 脈波
33 成分
40 血圧測定装置
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 インターフェース
45 入力装置
46 出力装置
47 記憶装置
Claims (8)
- 生体から脈波を取得する脈波取得手段と、
前記取得した脈波の周波数成分を取得する周波数成分取得手段と、
前記取得した周波数成分のうち、前記脈波による基本周波数の高域側の、前記脈波の周波数成分と血圧の相関が所定以上となる所定範囲の帯域における周波数成分を用いて前記生体の血圧を測定する血圧測定手段と、
を具備したことを特徴とする血圧測定装置。 - 前記血圧測定手段は、前記所定範囲の帯域における前記基本周波数の高調波の成分を用いて前記血圧を測定することを特徴とする請求項1に記載の血圧測定装置。
- 前記脈波取得手段は、前記生体の体表面から非接触で前記脈波を取得することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の血圧測定装置。
- 前記脈波取得手段は、所定の周波数の電磁波を前記生体に照射し、その反射波を用いて前記脈波を取得することを特徴とする請求項3に記載の血圧測定装置。
- 前記測定した血圧の変化に応じた報知を行う報知手段を具備したことを特徴とする請求項4に記載の血圧測定装置。
- 車両の運転者の血圧を測定する請求項5に記載の血圧測定装置を具備したことを特徴とする車両装置。
- 前記運転者に対して前記電磁波の照射を行い、その反射波を受信するアンテナを運転席の背もたれ部分に具備したことを特徴とする請求項6に記載の車両装置。
- 生体から脈波を取得する脈波取得機能と、
前記取得した脈波の周波数成分を取得する周波数成分取得機能と、
前記取得した周波数成分のうち、前記脈波による基本周波数の高域側の、前記脈波の周波数成分と血圧の相関が所定以上となる所定範囲の帯域における周波数成分を用いて前記生体の血圧を測定する血圧測定機能と、
をコンピュータで実現する血圧測定プログラム。
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