JP7126322B2 - Alボンディングワイヤ - Google Patents
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Description
[1]質量%で、Feを0.02~1%含有し、さらにMn、Crの少なくとも1種以上を合計で0.05~0.5%含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、Fe、Mn、Crの固溶量の合計が0.01~1%であることを特徴とするAlボンディングワイヤ。
[2]ワイヤ長手方向に垂直な断面における平均結晶粒径が0.1~50μmであることを特徴とする[1]に記載のAlボンディングワイヤ。
[3]ワイヤ長手方向に垂直な断面において、結晶<111>方位とワイヤ長手方向との角度差が15°以内である結晶の面積比率が30~90%であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のAlボンディングワイヤ。
[4]ビッカース硬度がHv20~40の範囲であることを特徴とする[1]から[3]までのいずれか1つに記載のAlボンディングワイヤ。
[5]ワイヤ直径が50~600μmであることを特徴とする[1]から[4]までのいずれか1つに記載のAlボンディングワイヤ。
使用したボンディングワイヤの成分は、Feのみを0.5質量%含有する比較例のAlボンディングワイヤと、Feを0.5%、Mnを0.5%含有する本発明のAlボンディングワイヤである。伸線後のワイヤ線径は200μmである。伸線工程の途中で溶体化熱処理とその後の急冷処理を実施してFe、Mn固溶量を増大させるとともに、伸線後のワイヤに調質熱処理を施して、ボンディングワイヤのビッカース硬度をHv40以下に調整した。ワイヤの平均結晶粒径はいずれも10μm前後であった。
《Feを0.02~1%》
Alボンディングワイヤ中にFeを0.02%以上含有することにより、下記Mn、Cr等との複合添加効果と相まって、Fe、Mn、Crの固溶量合計の増大によるワイヤの固溶強化効果、及び半導体装置の高温長時間使用中における再結晶の進行防止効果を発揮することができる。Feが0.1%以上であればより好ましい。0.5%以上であればさらに好ましい。一方、Fe含有量が1%を超えると、ワイヤ硬度が高くなりすぎ、チップクラックの発生、接合性の悪化、接合部信頼性の低下などを起こすため、上限を1%とした。Feが0.8%以下であるとより好ましい。
Mn、Crの少なくとも1種以上を合計で0.05%以上含有することにより、上記Feとの複合添加効果と相まって、ワイヤのFe、Mn、Crの固溶量合計の増大による固溶強化効果、及び半導体装置の高温長時間使用中における再結晶の進行防止効果を発揮することができる。Mn、Crのいずれであっても、同じように効果を発揮する。Mn、Crの合計含有量が0.1%以上であればより好ましい。0.3%以上であればさらに好ましい。一方、Mn、Crの合計含有量が0.5%を超えると、ワイヤ硬度が高くなりすぎ、チップクラックの発生、接合性の悪化、接合部信頼性の低下などを起こすため、上限を0.5%とした。Mn、Crの合計含有量が0.4%以下であるとより好ましい。
Fe、Mn、Crの固溶量の合計を0.01%以上とすることにより、ワイヤの再結晶温度を十分に上昇させることができる。結果として、半導体装置の高温長時間使用中における再結晶の進行防止効果を発揮することができる。Fe、Mn、Crの固溶量の合計が0.05%以上であるとより好ましい。0.5%以上であればさらに好ましい。一方、Fe、Mn、Crの固溶量の合計が1%を超えると、ワイヤ硬度が高くなりすぎ、チップクラックの発生、接合性の悪化などを起こすため、上限を1%とした。Fe、Mn、Crの固溶量の合計が0.9%以下であればより好ましい。0.8%以下であればさらに好ましい。なお、Fe含有量からFe固溶量を差し引くことにより、Fe析出量を算出することができる。
本発明において好ましくは、ボンディングワイヤのワイヤ長手方向に垂直な断面(C断面)における平均結晶粒径が0.1~50μmである。平均結晶粒径の測定方法としては、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction Patterns)などの測定方法を用いて各結晶粒の面積を求め、各結晶粒の面積を円の面積に換算してその直径の平均とする。平均結晶粒径が0.1μm以上であれば、伸線時の調質熱処理による再結晶が適度に進行しており、ワイヤ製造の過程で溶体化熱処理を行ってワイヤ含有成分を強制固溶することと相まって、ワイヤが軟化し、ボンディング時のチップ割れの発生、接合部の接合性の低下などを防止することができる。一方、平均結晶粒径が50μmを超えると、ワイヤの再結晶が進行しすぎていることを示し、十分な強度を得ることができにくい。ワイヤ伸線の過程で調質熱処理を行うことにより、ワイヤのC断面における平均結晶粒径を0.1~50μmとすることができる。
本発明において好ましくは、ボンディングワイヤ長手方向に垂直な断面(C断面)において、結晶<111>方位とワイヤ長手方向との角度差が15°以内である結晶の面積比率(<111>方位面積率)が30~90%である。<111>方位面積率の測定には、EBSDを用いることができる。ボンディングワイヤ長手方向に垂直な断面を検査面とし、装置に付属している解析ソフトを利用することにより、<111>方位面積率を算出できる。<111>方位面積率が90%以下であれば、伸線時の調質熱処理による再結晶が適度に進行し、ワイヤが軟化し、ボンディング時のチップ割れの発生、接合部の接合性の低下などを防止することができる。一方、<111>方位面積率が30%未満であると、ワイヤの再結晶が進行しすぎていることを示し、十分な強度を得ることができにくい。ワイヤ伸線の過程で調質熱処理を行うことにより、ワイヤ長手方向に垂直な断面における<111>方位面積率を30~90%とすることができる。
本発明において好ましくは、ボンディングワイヤのワイヤ長手方向に垂直な断面(C断面)において、ビッカース硬度がHv20~40の範囲である。Hv40以下とすることにより、ボンディング時にチップ割れを発生することなく、良好な接合性を実現し、また容易にループを形成して半導体装置に対する配線を行うことができる。一方、ビッカース硬度がHv20未満まで低下すると、ワイヤの再結晶が進行しすぎていることを示し、接合部の信頼性が低下する恐れがある。そのため、ビッカース硬度の下限はHv20とすると好ましい。前述のとおり、ワイヤ製造の過程で溶体化熱処理と急冷処理を行ってFe、Mn、Crの固溶量の合計を増大し、さらに伸線の過程で調質熱処理を行うことにより、ワイヤのビッカース硬度をHv20~40の範囲とすることができる。
本発明において好ましくは、ボンディングワイヤ直径が50~600μmである。パワー系デバイスには大電流が流れるため一般的に50μm以上のワイヤが使用されるが、600μm以上になると扱いづらくなることやワイヤボンダーが対応していないため、600μm以下のワイヤが使用されている。
本発明のボンディングワイヤは、所定の成分を含有するAl合金を得た上で、常法の圧延と伸線加工を行うことにより製造する。
製造の途中で、溶体化熱処理とその後の急冷処理を行う。溶体化熱処理は、ワイヤ径が1mm程度の段階で行うことができる。溶体化熱処理条件は、570~640℃、1~3時間とすると好ましい。溶体化熱処理後の急冷処理は、水中にて急冷とすると好ましい。これにより、Al中にFe及びMn、Crの一方又は両方を本発明範囲内で含有していることと相まって、Fe、Mn、Crの固溶量の合計を本発明範囲内とすることができる。
伸線加工中と伸線加工後の一方又は両方において、調質熱処理を行う。調質熱処理の温度を高くし、時間を長くするほど、平均結晶粒径が増大し、<111>方位比率を低下させ、ビッカース硬度を低下させることができる。熱処理温度250~350℃の範囲、熱処理時間2~4時間の範囲において、好適な平均結晶粒径、<111>方位比率、ビッカース硬度を実現するように、調質熱処理条件を選択することができる。
平均結晶粒径の測定は、EBSDを用いて各結晶粒の面積を求め、各結晶粒の面積を円に見なした時の直径の平均として行った。
<111>方位面積率の測定は、ボンディングワイヤ長手方向に垂直な断面においてEBSPによる測定を行い、装置に付属している解析ソフトを利用することにより、<111>方位面積率を算出した。
ビッカース硬度の測定は、C断面の硬度を用い、C断面のうちの半径方向の中心の位置における硬度として測定を行った。
比較例No.1~3は、Fe含有量が本発明下限未満であり、比較例No.1はさらにMn、Crの合計含有量が本発明下限未満であり、比較例No.3はさらにMn、Crの合計含有量が本発明上限を超えている。いずれも、信頼性評価結果が「×」であった。また、高温長時間履歴後のワイヤ内質を評価したところ、比較例No.1~3のいずれも、平均結晶粒径が50μmを超えていた。ワイヤ中のFeが不足し、再結晶温度が十分に上昇せず、高温長時間履歴において再結晶が過度に進行したためと推定される。
Claims (5)
- 質量%で、Feを0.02~1%含有し、さらにMn、Crの少なくとも1種以上を合計で0.05~0.5%含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、Fe、Mn、Crの固溶量の合計が0.01~1%であることを特徴とするAlボンディングワイヤ。
- ワイヤ長手方向に垂直な断面における平均結晶粒径が0.1~50μmであることを特徴とする請求項1に記載のAlボンディングワイヤ。
- ワイヤ長手方向に垂直な断面において、結晶<111>方位とワイヤ長手方向との角度差が15°以内である結晶の面積比率が30~90%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAlボンディングワイヤ。
- ビッカース硬度がHv20~40の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のAlボンディングワイヤ。
- ワイヤ直径が50~600μmであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のAlボンディングワイヤ。
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