JP7101965B2 - 蓄電デバイス用非水電解液 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイス用非水電解液に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコンなどに代表される携帯用電子端末等の種々の携帯電子機器の普及に伴い、それらの電源として二次電池は重要な役割を果たしている。これらの二次電池としては、水溶液系電池、非水電解液電池が挙げられる。なかでも、リチウムイオン等を吸蔵、放出できる正極及び負極と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池は、高電圧で高エネルギー密度を有し、安全性に優れ、環境問題などの点で、他の二次電池と比較して様々な利点を有している。
現在実用化されている非水電解液二次電池としては、例えば、正極活物質としてリチウムと遷移金属との複合酸化物を用い、負極活物質としてリチウムをドープ・脱ドープ可能な材料を用いたリチウムイオン二次電池が挙げられる。リチウムイオン二次電池の負極活物質では、優れたサイクル特性を有する材料としては、炭素材料が挙げられる。炭素材料のなかでも、黒鉛は単位体積あたりのエネルギー密度を向上できる材料として期待されている。
また、リチウム二次電池の特性向上のため、負極/正極の特性のみならず、リチウムイオンの移送を担う非水電解液の特性の向上が求められている。かかる非水電解液としては、非プロトン性有機溶媒に、LiBF、LiPF、LiClO、LiN(SOCF)、LiN(SOCFCF)などのリチウム塩を溶解した非水溶液が用いられている(非特許文献1)。非プロトン性有機溶媒の代表例として、カーボネート類が知られており、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの各種のカーボネート化合物の使用が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
一方、非水電解液の電解質として、LiBF、LiPF等が溶解された非水電解液は、リチウムイオンの移送を表す導電率が高く、かつLiBF、LiPFの酸化分解電圧が高いために高電圧で安定であることが知られており、リチウム二次電池の有する高電圧、高エネルギー密度という特性を引き出すことに寄与している。
一方、リチウム二次電池などの非水電解液二次電池を各電源として使用するに当たって、非水電解液に対して、その電気抵抗を低下させてリチウムイオンの伝導性を高め、また、充電、放電を繰り返した後も、電池容量の低下を抑制し、高容量を維持する、所謂サイクル特性を高める高寿命化が求められている。
かかる目的を達成するため、非水電解液について、従来、電解質であるリチウム塩の構造を特定化することや、特定の化合物を添加することが種々提案されている。例えば、特許文献3には、非水電解液中に、特定構造を有するビニルスルホン誘導体を添加することが提案されている。また、特許文献4には、特定の構造を有する二官能酸リチウム塩以外のリチウム塩であって、ホウ素原子を有さないリチウム塩を添加することが提案されている。
しかし、従来の非水電解液は、コストの点も含めて必ずしも十分に満足できものではなく、蓄電デバイス用の非水電解液には、そのためのさらなる技術が求められている。
特開平4-184872号公報 特開平10-27625号公報 特開平11-329494号公報 特開平2014-22334号公報
本発明は、非水電解液中における電解質の溶解性を高めて、非水電解液の電気抵抗を低下させるとともに、多数回の充電、放電を繰り返した後も、高容量を維持する、所謂サイクル特性を高めたリチウム二次電池などの蓄電デバイス用の非水電解液、及び、該非水電解液を使用した蓄電デバイスの提供を目的にする。
本発明者らは、種々研究を重ねたところ、上記の目的を達成し得る蓄電デバイス用の非水電解液、及び、該非水電解液を使用した蓄電デバイスを見出し、本発明に到達したものである。
本発明は下記の要旨を有する。
(1)非水溶媒に電解質を溶解してなる蓄電デバイス用非水電解液であって、前記電解質が前記非水溶媒に溶解するリチウム塩であり、かつ下記式(1)で表されるリチウムホウ素化合物を含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液。

(Li)[(-O-)B(OOC-(A)-COO) [B(-O-) (1)

(式中、Aは、炭素1~6を有するアルキレン基、又は炭素2~6を有するアルケニレン基であり、上記アルキレン基は、主鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。n、pは、それぞれ独立して、1又は2の整数であり、qは0~4であり、m、xはそれぞれ独立して、1~10の整数であり、y、zは、それぞれ独立して、0~10の整数である。)
(2)前記リチウムホウ素化合物が、前記式(1)中、m、xはそれぞれ独立して、1~4の整数であり、y、zは、それぞれ独立して、0~4の整数である化合物である、上記(1)に記載の非水電解液。
(3)前記式(1)中、Aが、炭素2又は4を有するアルキレン基であり、該アルキレン基は、主鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有する上記(1)又は(2)に記載の非水電解液。
(4)前記リチウムホウ素化合物が、LiBO(OOC-COO)、LiBO(OOCCH2COO)、LiBO(OOC(CH22COO)、LiBO(OOC(CF22COO)、LiBO(OOC(CH23COO)、LiBO(OOC(CH2C(=CH2))COO)、LiBO(OOCCH2SCH2COO)、LiBO(OOCC24SC24COO)、Li245(OOC-COO)2、Li245(OOCCH2COO)2、Li245(OOCCH2SCH2COO)2、Li245(OOC(CH2C(=CH2))COO)2、Li42(OOC-COO)2、Li42(OOCCH2COO)2、Li42(OOCCH2SCH2COO)2、又はLi42(OOC(CH2C(=CH2))COO)2である上記(1)~(3)のいずれかに記載の非水電解液。
(5)前記リチウムホウ素化合物を、非水電解液中、0.01~10質量%含有する上記(1)~(4)のいずれかに記載の非水電解液。
(6)前記非水溶媒が、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを含有する上記(1)~(5)のいずれかに記載の非水電解液。
(7)前記鎖状炭酸エステル、前記飽和環状炭酸エステル、及び前記不飽和環状炭酸エステルの含有量が、それぞれ、30~80質量%、10~50質量%、及び0.01~5質量%である上記(6)に記載の非水電解液。
(8)前記リチウム塩が、LiPF、LiBF、LiCF 、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、及びLiN(CFSO)(CSO)からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩である上記(1)~(7)のいずれかに記載の非水電解液。
(9)さらに、含硫黄化合物、環状酸無水物、カルボン酸化合物、フッ化ホウ素化合物、フッ化リン化合物、含ケイ素化合物、及び含ホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する上記(1)~(8)のいずれかに記載の非水電解液。
(10)上記(1)~(9)のいずれかに記載の非水電解液を使用する蓄電デバイス。
(11)蓄電デバイスがリチウム二次電池である上記(10)に記載の畜電デバイス。
本発明による非水電解液は、非水電解液におけるリチウム電解質の溶解性を高めて、非水電解液の電気抵抗を低下させるだけでなく、充電、放電を繰り返した後も、高容量を維持し所謂サイクル特性を高める。このため、良好な初期特性、サイクル特性に優れたリチウム二次電池などの蓄電デバイスが提供される。
本発明の非水電解液が上記のような効果を奏するかについては必ずしも明らかではないが、本発明で使用されるリチウムホウ素化合物は、カチオンとなるリチウムイオンと、ホウ素と酸素及びジカルボン酸からなるアニオンとで構成されているため、電解液中で解離しやすく、解離したアニオンの分解により、電極表面にリチウムイオンが通りやすい被膜を形成すると考えられる。また、ホウ素と酸素及びジカルボン酸からなるアニオンは電解液中又は電極表面の水分と反応しやすく、電池性能に影響しやすい水分が効果的に除去されるためと考えられる。
以下、本発明の非水電解液及びこれを使用した蓄電デバイスについて説明する。
<非水溶媒>
本発明の非水電解液で使用する非水溶媒は、種々のものを用いることができる。例えば、非プロトン性極性溶媒が好ましい。その具体例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5-ジフルオロエチレンカーボネートになどの環状カーボネート;γープチロラクトン及びγーバレロラクトンなどのラクトン;スルホランなどの環状スルホン;テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;プロピオン酸メチルなどの鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンなどの鎖状グリコールエーテル;1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルエーテル、エトキシ-2,2,2-トリフルオロエトキシ-エタン等の含フッ素エーテルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
非水溶媒としては、イオン伝導性の観点から、環状カーボネート、鎖状カーボネートなどのカーボネート系溶媒を用いることがより好ましい。カーボネート系溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートを組合せて用いることがさらに好ましい。環状カーボネートとしては、上記のなかでも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが好ましい。鎖状カーボネートとしては、上記のなかでも、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートが好ましい。カーボネート系溶媒を用いる場合、電池物性改善の点から、必要に応じて、ニトリル系化合物、スルホン系等の別の非水溶媒をさらに添加することができる。
非水溶媒として、本発明では、特に、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを含有するのが好ましい。かかる3種の炭酸エステルを含有する場合には、本発明の効果を発揮する以上特に好ましい。本発明で使用される非水溶媒は、非水電解液中で、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルが、それぞれ、30~80重量%、10~50重量%、及び0.01~5重量%含まれることが好ましく、なかでも、それぞれ、50~70重量%、20~30重量%、及び0.1~2重量%含まれることがより好ましい。
上記鎖状炭酸エステルが30重量%よりも小さい場合には、電解液の粘度が上昇し、加えて、低温で凝固してしまうため、充分な特性が得られなくなり、逆に80重量%よりの大きい場合には、リチウム塩の解離度/溶解度が低下し電解液のイオン電導度が低下してしまう。飽和環状炭酸エステルが10重量%よりも小さい場合には、リチウム塩の解離度/溶解度が低下し、電解液のイオン電導度が低下し、逆に50重量%よりの大きい場合には、電解液の粘度が上昇し、加えて、低温で凝固してしまうため、充分な特性が得られなくなる。
また、不飽和環状炭酸エステルが0.01重量%よりも小さい場合には、負極表面に良好な被膜が形成されなくなるためサイクル特性が低下し、逆に5重量%より大きい場合には、例えば、高温保存時に電解液がガス発生しやすい状態となり、電池内の圧力が上昇するなど実用上好ましくない状態になる。
本発明で使用される鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭素数が3~9の鎖状カーボネートが挙げられる。具体的にはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n-プロピルイソプロピルカーボネート、ジ-n-ブチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート、n-ブチルイソブチルカーボネート、n-ブチル-t-ブチルカーボネート、イソブチル-t-ブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t-ブチルメチルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t-ブチルエチルカーボネート、n-ブチル-n-プロピルカーボネート、イソブチル-n-プロピルカーボネート、t-ブチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルイソプロピルカーボネート、イソブチルイソプロピルカーボネート、t-ブチルイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。これらのなかで、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましいが、特に限定されるものではない。またこれら鎖状炭酸エステルは2種類以上混合してもよい。
本発明で使用される飽和環状炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。このなかで、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートがより好ましく、プロピレンカーボネートを使用することにより、幅広い温度範囲にて安定した非水電解液を提供することができる。これら飽和環状炭酸エステルは2種類以上混合してもよい。
また、本発明で使用される不飽和環状炭酸エステルとしては、下記の一般式(I)で表されるビニレンカーボネート誘導体が挙げられる。
Figure 0007101965000001
上記一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1~12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基である。なかでも、R及びRが水素(ビニレンカーボネートである)であるのが好ましい。
上記ビニレンカーボネート誘導体の具体例として、以下の化合物を挙げられる。ビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、フルオロメチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、ブチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネートなどであるが、これらに限定されるものではない。
これらの化合物のなかでも、ビニレンカーボネートが効果的であり、かつコスト的にも有利である。なお、上記ビニレンカーボネート誘導体に関しては、少なくとも1種であり、単独又は、混合していることも可能である。
また、本発明で使用される別の不飽和環状炭酸エステルとしては、下記の一般式(II)で表されるアルケニルエチレンカーボネートが挙げられる。
Figure 0007101965000002
上記式(II)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1~12のハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は炭素数が2~12のアルケニル基であり、その内少なくとも一つは炭素数が2~12のアルケニル基である。なかでも、R~Rのうちの一つがビニル基であり、残りが水素である場合((II)の化合物が4-ビニルエチレンカーボネート)が好ましい。
上記アルケニルエチレンカーボネートの具体例としては、4-ビニルエチレンカーボネート、4-ビニル-4-メチルエチレンカーボネート、4-ビニル-4-エチルエチレンカーボネート、4-ビニル-4-n-プロピルエチレンカーボネートなどの化合物を挙げられる。
本発明で使用される非水溶媒には、上記の成分のほかに他の各種溶媒が含まれていてもよい。これらの他の各種溶媒として、例えば、環状カルボン酸エステル、炭素数3~9の鎖状エステル、炭素数3~6の鎖状エーテルなどが挙げられる。これらの他の各種溶媒は、非水電解液中、好ましくは0.2~10重量%、特に好ましくは0.5~5重量%含有される。
環状カルボン酸エステル(炭素数が3~9のラクトン化合物)としては、例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等を挙げることができる。これらのなかで、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンがより好ましいが、特に限定されるものではない。またこれら環状カルボン酸エステルは2種類以上混合してもよい。
また、炭素数3~9の鎖状エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸-イソプロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-t-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸-n-プロピル、プロピオン酸-イソプロピル、プロピオン酸-n-ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸-t-ブチルを挙げることができる。これらのなかで、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルが好ましい。
また、炭素数3~6の鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等を挙げることができる。これらのなかで、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
さらに、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N、N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを使用することができる。
<リチウム塩>
本発明の非水電解液の溶質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩については、上記非水溶媒に溶解しうるものであれば特に限定はされない。その具体例として例えば、以下の通りである。
(A)無機リチウム塩:
LiPF、LiAsF、LiBF等の無機フッ化物塩、LiClO、LiBrO、LiIO、等の過ハロゲン酸塩など。
(B)有機リチウム塩:
LiCFSO等の有機スルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルキルスルホン酸イミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルキルスルホン酸メチド塩;LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(C、LiPF(n-C、LiPF(n-C、LiPF(n-C、LiPF(iso-C、LiPF(iso-C、LiPF(iso-C、LiB(CF、LiBF(CF、LiBF(CF、LiBF(CF)、LiB(C、LiBF(C、LiBF(C、LiBF(C)、LiB(n-C、LiBF(n-C、LiBF(n-C、LiBF(n-C)、LiB(iso-C、LiBF(iso-C、LiBF(iso-C、LiBF(iso-C)等の一部のフッ素をパーフルオロアルキル基で置換した無機フッ化物塩フルオロホスフェートや、パーフルオロアルキルの含フッ素有機リチウム塩が挙げられる。
本発明では、上記のなかでも、LiPF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)がより好ましい。またこれらリチウム塩は2種類以上混合してもよい。
本発明の非水電解液の溶質である、リチウム塩の濃度は、好ましくは0.5~3モル/リットル、特には、0.7~2モル/リットルが好適である。この濃度が低すぎると、絶対的な濃度不足により非水電解液のイオン伝導率で不十分であり、濃度が濃すぎると、粘度上昇のためイオン伝導率が低下し、また低温での析出が起こりやすくなるなども問題も生じるため、非水電解液電池の性能が低下し好ましくない。
<リチウムホウ素化合物>
本発明の非水電解液には、下記の式(1)で表されるリチウムホウ素化合物が含有される。
(Li)[(-O-)B(OOC-(A)-COO) [B(-O-) (1)
式(1)中、A、m、n、p、x、yは、それぞれ、上記に定義したとおりである。
なかでも、式(1)中、Aは、炭素数が1~6を有するアルキレン基が好ましく、炭素数が2~6を有するアルケニレン基、又は炭素数が2~6を有するアルキニレン基が好ましい。
アルキレン基の好ましい例としては、メチレン、エチレン、ジフルオロメチレン、テトラフルオロエチレン、ヒドロキシエチレン、プロピレン、ブチレン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。主鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有するアルキレン基の好ましい例としては、酸素原子又は硫黄原子に炭素数が1~4のアルキレン基を結合されていることが好ましい。
アルケニレン基の好ましい例としては、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、プロペニルなどが挙げられる。特に、二重結合有する炭素数が2~6を有するアルケニレン基が好ましい。
アルキニレン基の好ましい例としては、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン等が挙げられる。特に炭素数が3~6を有するアルキニレン基が好ましい。
フェニレン基の好ましい例としては、フェニレン、ジフルオロフェニレンなどが挙げられる。
式(1)中、Aが、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、又は主鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有するアルキレン基である場合、これらの基の有する水素原子は、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基又は ニトロ基などで任意に置換されていてもよい。
また、式(1)における、n、pは、それぞれ独立して、好ましくは1又は2の整数であり、m、x、y、zは、それぞれ独立して、好ましくは0又は1~10の整数である。
上記リチウムホウ素化合物の好ましい具体例としては、LiBO(OOC-COO)、LiBO(OOCCHCOO)、LiBO(OOC(CHCOO)、LiBO(OOC(CFCOO)、LiBO(OOC(CHCOO)、LiBO(OOC(CH C(=CH))COO)、LiBO(OOC(C(CH)COO)、LiBO(OOCCHOCHCOO)、LiBO(OOCCHSCHCOO)、LiBO(OOCCSCCOO)、Li(OOC-COO)、Li(OOCCHCOO)、Li(OOCCHSCHCOO)、Li(OOC(CHC(=CH))COO)、Li(OOC-COO)、Li(OOCCHCOO)、Li(OOCCHSCHCOO)、Li(OOC(CHC(=CH))COO)が挙げられる。
なかでも、LiBO(OOC-COO)、LiBO(OOCCHCOO)、LiBO(OOC(CHCOO)、LiBO(OOC(CFCOO)、LiBO(OOC(CHCOO)、LiBO(OOC(CH C(=CH))COO)、
LiBO(OOCCHSCHCOO)、LiBO(OOCCSCCOO)、Li(OOC-COO)、Li(OOCCHCOO)、Li(OOCCHSCHCOO)、Li(OOC(CHC(=CH))COO)、Li(OOC-COO)、Li(OOCCHCOO)、Li(OOCCHSCHCOO)、Li(OOC(CHC(=CH))COO)などが好ましい。
これらのリチウムホウ素化合物は、四ホウ酸リチウム等のリチウム塩などと同様に、既知の製造方法により得ることができる。例えば、ホウ酸と、水酸化リチウムや炭酸リチウム等のリチウム化合物と、対応するカルボン酸化合物の水溶液とを20~80℃で反応させることにより、その前駆体結晶が得られるが、得られた結晶を200~400℃の条件下で脱水させ、当該リチウムホウ素化合物を得ることができる。
本発明の非水電解液における上記リチウムホウ素化合物の含有量は、非水電解液中、好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは0.1~2室量%が好適である。濃度が0.01質量%未満では、抵抗低減効果が少なくなってしまう。一方、10重量%を超えた場合では、被膜抵抗が高くなり、寿命性能が悪くなり、好ましくない。
<他の添加物質>
本発明の非水電解液中には、蓄電デバイスの寿命性能や抵抗性能を改善するために、上記リチウム塩及びリチウムホウ素化合以外に、他の添加物質が含有されていてもよい。かかる他の添加物質としては、例えば、含硫黄化合物(前記式(1)で表される有機カルボン酸塩を除く)、環状酸無水物、カルボン酸化合物、及び含ホウ素化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が使用できる。
上記含硫黄化合物としては、1,3-プロパンスルトン(PS)、プロペンスルトン、エチレンサルファイト、ヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン-2-オキシド(1,2-シクロヘキサンジオールサイクリックサルファイトともいう)、5-ビニル-ヘキサヒドロ1,3,2-ベンゾジオキサチオール-2-オキシド、1,4-ブタンジオールジメタンスルホネート、1,3-ブタンジオールジメタンスルホネート、メチレンメタンジスルホン酸、エチレンメタンジスルホン酸、N,N-ジメチルメタンスルホンアミド、N,N-ジエチルメタンスルホンアミド、ジビニルスルホン、1,2-ビス(ビニルスルホ二ル)メタン等が挙げられる。
上記環状酸無水物としては、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2-フェニルグルタル酸無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、フルオロコハク酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物等のカルボン酸無水物、1,2-エタンジスルホン酸無水物、1,3-プロパンジスルホン酸無水物、1,4-ブタンジスルホン酸無水物、1,2-ベンゼンジスルホン酸無水物、テトラフルオロ-1,2-エタンジスルホン酸無水物、ヘキサフルオロ-1,3-プロパンジスルホン酸無水物、オクタフルオロ-1,4-ブタンジスルホン酸無水物、3-フルオロ-1,2-ベンゼンジスルホン酸無水物、4-フルオロ-1,2-ベンゼンジスルホン酸無水物、3,4,5,6-テトラフルオロ-1,2-ベンゼンジスルホン酸無水物等が挙げられる。
上記カルボン酸化合物としては、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、ジフルオロマロン酸リチウム、コハク酸リチウム、テトラフルオロコハク酸リチウム、アジピン酸リチウム、グルタル酸リチウム、アセトンジカルボン酸リチウム、2-オキソ酪酸リチウム、オキサル酢酸リチウム、2-オキソグルタル酸リチウム、アセト酢酸リチウム、3-オキソシクロブタンカルボン酸リチウム、3-オキソシクロペンタンカルボン酸リチウム、2-オキソ吉草酸リチウム、ピルビン酸リチウム、グリオキシル酸リチウム、3,3-ジメチル-2-オキソ酪酸リチウム、2-ヒドロキシプロピオン酸リチウム、2-メチル乳酸リチウム、酒石酸リチウム、シアノ酢酸リチウム、2-メルカプトプロピオン酸リチウム、メチレンビス(チオグリコール酸)チオジこはく酸リチウム、3-(メチルチオ)プロピオン酸リチウム、3,3'-チオジプロピオン酸リチウム、ジチオジグリコール酸リチウム、2,2'-チオジグリコール酸リチウム、チアゾリジン-2,4-ジカルボン酸リチウム、アセチルチオ酢酸リチウム等が挙げられる。
上記含ホウ素化合物としては、LiBF2(C24)、LiB(C242、LiBF2(CO2CH2CO2)、LiB(CO2CH2CO22、LiB(CO2CF2CO22、LiBF2(CO2CF2CO2)、LiBF3(CO2CH3)、LiBF3(CO2CF3)、LiBF2(CO2CH32、LiBF2(CO2CF32、LiBF(CO2CH33、LiBF(CO2CF33、LiB(CO2CH34、LiB(CO2CF34、Li227、Li22等が挙げられる。
上記の第2の添加物質は、それぞれの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、水電解液が第2の添加物質を添加する場合、第2の添加物質によっても異なるが、非水電解液における第2の添加物質の含有量は、0.01~5質量%が、好ましくは、0.1~2質量%であることが好ましい。
<蓄電デバイス>
本発明の非水電解液は、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、正極又は負極の一方が電池であり、他方の電極が二重層であるハイブリッド型電池などの種々の蓄電デバイスにて使用できる。以下は、その代表例であるリチウムイオン二次電池について説明する。
リチウムイオン二次電池で負極を構成する負極活物質としては、リチウムイオンのド-プ・脱ド-プが可能な炭素材料、金属リチウム、リチウム含有合金、又はリチウムとの合金化が可能なシリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金、リチウムイオンのド-プ・脱ド-プが可能な酸化スズ、酸化シリコン、リチウムイオンのド-プ・脱ド-プが可能な遷移金属酸化物、リチウムイオンのド-プ・脱ド-プが可能な遷移金属窒素化合物、あるいはこれらの混合物のいずれをも用いることができる。
なお、負極は、銅製の箔やエキスパンドメタルなどの集電体上に、負極活物質が形成された構成が一般的である。負極活物質の集電体への接着性を向上させるために例えば、ポリフッ化ビニリデン系バインダー、及びラテックス系のバインダーなどを含有してもよく、導電助剤としてカーボンブラック、アモルファスウイスカーカーボンなどを加えて使用してもよい。
負極活物質を構成する炭素材料としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。炭素材料は、黒鉛化したものでもよい。炭素材料としては、特にX線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましく、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が望ましい。このような炭素材料を使用すると、非水電解液電池のエネルギー密度を高くすることができる。
さらに、上記炭素材料中にホウ素を含有するものや、金、白金、銀、銅、Sn、Si等金属で被覆したもの、あるいは非晶質炭素で被覆したもの等を使用することができる。これらの炭素材料は、1種類を使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせ混合使用してもよい。
また、リチウムとの合金化が可能なシリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金、リチウムイオンのド-プ・脱ドープが可能な酸化スズ、酸化シリコン、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属酸化物を用いた場合は、いずれも上述の炭素質材料よりも重量あたりの理論容量が高く、好適な材料である。
一方、正極を構成する正極活物質は、充放電が可能な種々の材料から形成できる。例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、1種類以上の遷移金属を用いたリチウム含有遷移金属複合酸化物、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物、オリビン型金属リチウム塩等が挙げられる。例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnOなどのLixMO(ここで、Mは1種以上の遷移金属であり、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.20である)で表されるリチウムと一種以上の遷移金属との複合酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)が挙げられる。
更には、上記のリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Yb等の他の金属で置換した複合酸化物、FeS、TiS、V、MoO、MoSなどの遷移元素のカルコゲナイド或いはポリアセチレン、ポリピロール等のポリマー等を使用することができる。なかでも、Liのドープ及び脱ドープが可能なリチウム遷移金属複合酸化物及び遷移金属原子の一部置換された金属複合酸化物材料が好ましい。
また、これら正極活物質の表面に、主体となる正極活物質を構成する物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いることもできる。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物;硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
また、正極は、アルミニウム、チタン、若しくはステンレス製の箔、又はエキスパンドメタルなどの集電体上に、正極活物質が形成された構成が一般的である。正極活物質の集電体への接着性を向上させるために、例えば、ポリフッ化ビニリデン系バインダー、及びラテックス系のバインダー、正極内の電子伝導性を向上させるためにカーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどを含有してもよい。
セパレ-タは、正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が好ましく、例えば、微多孔性高分子フィルムなどの多孔性膜が使用される。微多孔性高分子フィルムとしては、特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、さらに具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムなどが好ましい。さらにセパレ-タとして、高分子電解質を使用することもできる。高分子電解質としては、例えばリチウム塩を溶解した高分子物質や、電解液で膨潤させた高分子物質なども使用できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の非水電解液は、該非水電解液により高分子物質を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよく、また、多孔性ポリオレフィンフィルムと高分子電解質を併用した形のセパレータに非水電解液を浸み込ませてもよい。
本発明の非水電解液を使用したリチウムイオン二次電池の形状については特に限定されることはなく、円筒型、角型、アルミラミネート型、コイン型、ボタン型などの種々の形状にすることができる。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内での変更が可能である。
<電池の作製>
アルミニウム集電体に正極合剤を塗布してなる正極と、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極とが、厚みが23μmのセパレータ(F23DHA、東レバッテリセパレータフィルム燃化学社製)を介して巻回された扁平巻状電極群をケースに収納して、縦30mm×横30mm×厚さ2.0mmの直方体形状を有する電池セルを作製した。この電池セルを用いて、以下の手順で電池を作製した。
正極は、結着剤であるポリフッ化ビニリデン5質量%と、導電剤であるアセチレンブラック4質量%と、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルトの複合酸化物粉末である正極活物質LiNi0.5Mn0.3Co0.2 91質量%と、を混合してなる正極合材に、N-メチルピロリドンを加えてペースト状に調製し、これを厚さ18μmのアルミニウム箔集電体両面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延することによって作製した。
負極は、人造黒鉛化性炭素粉末95.8質量%、バインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)2.0質量%及びカルボキシメチルセルロース2.2質量%水溶液を混合し、分散媒に水を用いてスラリーを調製し、このスラリーを厚さ12μmの銅箔の両面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延することによって作製した。セパレータには、ポリエチレン微多孔膜を用いた。
上記で作製した電池セルを用いて、以下のような手順で電池を作製した。
a.各種電解液を0.55g量り採り、電池セルの注液口に注液し、減圧した後、注液口を封口した。
b.封口した電池セルを25℃雰囲気下に保った状態で、4.2Vまで8mAで充電した後、3.0Vまで8mAで放電した。
c.3.0Vまで放電した電池セルの内部ガスを減圧除去し、電池を作製した。
<電池評価>
上記で作製した電池について、以下のように充放電特性を測定した。
a.抵抗変化率
高温サイクル試験前、25℃にて、SOC(State of Charge)50%まで充電し、其々の環境下にて、それぞれ0.2C、0.5C、1.0C、2.0Cで10秒間放電して、初期直流抵抗値を求めた。
そして、45℃雰囲気中、1Cレートで4.2Vまで充電した後、同雰囲気下で、1Cレートで3.0Vまで放電し、200サイクルに達するまで繰り返した後、上記高温サイクル試験前と同様の条件でサイクル後の直流抵抗値を求めた。
この初期直流抵抗値及びサイクル後の直流抵抗値より下記式(2)を用いて抵抗変化率(%)を求めた。
抵抗変化率(%)=(サイクル後の抵抗値/初期抵抗値)×100 (2)
b.容量維持率
45℃雰囲気中、1Cレートで4.2Vまで充電した後、同雰囲気下で、1Cレートで3.0Vまで放電し、その放電容量値を初期容量値とした。次いで、同条件で、200サイクルに達するまで繰り返した。この初期容量値及びサイクル後の容量値より下記式(3)を用いて容量維持率(%)を求めた。
容量維持率(%)=(サイクル後の容量値/初期容量値)×100 (3)
<実施例1~10>
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比が30:70)に対して、リチウム塩として、LiPFを1mol/リットルの濃度になるように溶解させ、さらに、総質量が100gになるようにビニレンカーボネートを1g添加して基準電解液1を調製した。
次に、この基準電解液1に、表1に示すリチウムホウ素化合物を表1に示す添加量になるように添加し、実施例1~10の各電解液を調製した。なお、表1中の添加量(%)は、基準電解液1と添加したリチウムホウ素化合物の合計質量(100質量%)に対する質量%である。
上記で調製した各電解液及び基準電解液1の電解液をそれぞれ用いて、上記の電池の作製手順を用いて、実施例1~10及び比較例1のそれぞれのラミネート電池を作製した。実施例1~10及び比較例1のそれぞれの電池について、上記した抵抗変化率及び容量維持率の手順に従って、それぞれ抵抗変化率と容量維持率を求めた。それらの結果を表1に示す。
Figure 0007101965000003
表1に示すように、電解液中にリチウムホウ素化合物を含む電解液を使用する実施例1~10の電池は、これらを含まない基準電解液1を使用する比較例1の電池に比べて、高温容量維持率が大幅に向上するとともに、実施例1、5、9、10は高温サイクルの抵抗変化率も大幅に改善した。
<実施例11~15>
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とフルオロエチレンカーボネート(FEC)との混合溶媒(体積比が25:70:5)に対して、リチウム塩として、LiPFを1mol/リットルの濃度になるように溶解させて基準電解液2を調製した。
次に、この基準電解液2に、添加量が0.5質量%になるようにリチウムホウ素化合物LiBO(OOCCHSCHCOO)を添加して実施例11の電解液を調製した。更に、この実施例11の電解液に、表2に示す第二の添加物を表2に示す添加量になるように添加して実施例12~15の電解液を調製した。なお、添加量(%)は、基準電解液2と添加した化合物の合計質量(100質量%)に対する質量%である。
上記で調製した各電解液をそれぞれ用いて、上記の電池の作製手順を用いて、実施例11~15のそれぞれのラミネート電池を作製した。
実施例11~15のそれぞれの電池について、上記した抵抗変化率及び容量維持率の手順に従って、それぞれ抵抗変化率と容量維持率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0007101965000004
表2に示すように、リチウムホウ素化合物と第二の添加剤を含む電解液を使用する実施例12~15の電池は、第二の添加剤を含まない電解液を使用する実施例11の電池に比べて、更なる高温容量維持率の改善と高温サイクルの抵抗変化率の改善ができ、特に実施例13、15の抵抗変化率改善が大きかった。
本発明の蓄電デバイス用非水電解液は、携帯電話、ノートパソコなどの各種民生用機器用電源、産業機器用電源、蓄電池、自動車用電源などの蓄電デバイス用に広く使用される。

Claims (11)

  1. 非水溶媒に電解質を溶解してなる蓄電デバイス用非水電解液であって、前記電解質が前記非水溶媒に溶解するリチウム塩であり、かつ下記式(1)で表されるリチウムホウ素化合物を含有することを特徴とする蓄電デバイス用非水電解液。

    (Li)[(-O-)B(OOC-(A)-COO) [B(-O-) (1)

    (式中、Aは、炭素1~6を有するアルキレン基、又は炭素2~6を有するアルケニレン基であり、上記アルキレン基は、主鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい。n、pは、それぞれ独立して、1又は2の整数であり、qは0~4であり、m、xはそれぞれ独立して、1~10の整数であり、y、zは、それぞれ独立して、0~10の整数である。)
  2. 前記リチウムホウ素化合物が、前記式(1)中、mxはそれぞれ独立して、1~4の整数であり、y、zは、それぞれ独立して、0~4の整数である化合物である、請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記リチウムホウ素化合物が、前記式(1)中、A、炭素2又は4を有するアルキレン基であり、前記アルキレン基は、主鎖中に酸素原子又は硫黄原子を有する化合物である、請求項1又は2に記載の非水電解液。
  4. 前記リチウムホウ素化合物が、LiBO(OOC-COO)、LiBO(OOCCH2COO)、LiBO(OOC(CH22COO)、LiBO(OOC(CF22COO)、LiBO(OOC(CH23COO)、LiBO(OOC(CH2 C(=CH2))COO)、LiBO(OOCCH2SCH2COO)、LiBO(OOCC24SC24COO)、Li245(OOC-COO)2、Li245(OOCCH2COO)2、Li245(OOCCH2SCH2COO)2、Li245(OOC(CH2C(=CH2))COO)2、Li42(OOC-COO)2、Li42(OOCCH2COO)2、Li42(OOCCH2SCH2COO)2、又はLi42(OOC(CH2C(=CH2))COO)2である、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解液。
  5. 前記リチウムホウ素化合物を、非水電解液中、0.01~10質量%含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解液。
  6. 前記非水溶媒が、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水電解液。
  7. 前記鎖状炭酸エステル、前記飽和環状炭酸エステル、及び前記不飽和環状炭酸エステルの含有量が、それぞれ、30~80質量%、10~50質量%、及び0.01~5質量%である、請求項6に記載の非水電解液。
  8. 前記リチウム塩が、LiPF、LiBF、LiCF 、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、及びLiN(CFSO)(CSO)からなる群より選ばれる少なくとも1種のリチウム塩である、請求項1~7のいずれか1項に記載の非水電解液。
  9. さらに、含硫黄化合物、環状酸無水物、カルボン酸化合物、及び含ホウ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の非水電解液。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の非水電解液を使用する蓄電デバイス。
  11. 蓄電デバイスがリチウム二次電池である請求項10に記載の畜電デバイス。
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