JP7093286B2 - ニッケル金属水素化物電池 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル金属水素化物電池に関するものである。
ニッケル金属水素化物電池は、正極活物質として水酸化ニッケルなどのニッケル酸化化合物を有する正極と、負極活物質として水素吸蔵合金を有する負極と、アルカリ金属水溶液からなる電解液とを具備する二次電池である。
ニッケル金属水素化物電池の正極に、導電性向上の目的で、コバルトを添加する技術が知られている。正極に添加されたコバルトは、強塩基性の水溶液である電解液と接触することで、コバルト錯イオンを形成した後に、正極に水酸化コバルトとして析出する。その後の充電時に、水酸化コバルトが酸化されて、導電性に優れるオキシ水酸化コバルトが生成される。ここで生成されたオキシ水酸化コバルトに因り、正極に導電ネットワークが形成されると考えられている。
特許文献1には、正極に金属コバルト及び水酸化コバルトを含有するニッケル金属水素化物電池に対して、充電を行うことに因り、正極に含まれる金属コバルト及び水酸化コバルトが酸化して、オキシ水酸化コバルトが生成したことが記載されている(実施例に関する0030及び0032段落を参照。)。
特許文献2には、正極に金属コバルトを含有するニッケル金属水素化物電池に対して、充電を行うことに因り、正極中に含まれるコバルトを高い導電性を持つオキシ水酸化コバルトに変化させる技術が記載されている(0007段落など)。
ニッケル金属水素化物電池の電解液として用いられるアルカリ金属水溶液としては、イオン伝導性に優れる、高濃度の水酸化カリウム水溶液が一般的である。例えば、特許文献3の実施例1には、1~8mol/Lの水酸化カリウム水溶液を電解液として用いたニッケル金属水素化物電池が具体的に記載されている。
また、水酸化カリウム及び水酸化リチウムを溶解した水溶液をニッケル金属水素化物電池の電解液として用いることも知られており、さらに、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを溶解した水溶液をニッケル金属水素化物電池の電解液として用いることも知られている。
特許文献3の実施例2には、水酸化カリウム及び水酸化リチウムを溶解した水溶液を電解液として用いたニッケル金属水素化物電池が具体的に記載されている。特許文献4の実施例には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを溶解した水溶液を電解液として用いたニッケル金属水素化物電池が具体的に記載されている。特許文献5の実施例には、5.5mol/Lの水酸化カリウム水溶液、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、及び0.4~1.8mol/Lの水酸化リチウム水溶液を混合した水溶液を電解液として用いたニッケル金属水素化物電池が具体的に記載されている。
また、高濃度の水酸化ナトリウム水溶液をニッケル金属水素化物電池の電解液として用いることも知られており、さらに、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを溶解した水溶液をニッケル金属水素化物電池の電解液として用いることも知られている。例えば、特許文献6の実施例には、6~9mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、又は、水酸化ナトリウムを4.8~8.5mol/Lの濃度で含み、かつ水酸化リチウムを0.5~1.2mol/Lの濃度で含む水溶液を、電解液として用いたニッケル金属水素化物電池が具体的に記載されている。
特開2002-260719号公報 特開2003-68291号公報 特開昭61-214370号公報 特開平11-162460号公報 特開2004-31292号公報 特開2007-250250号公報
さて、産業界は、優れた特性を示すニッケル金属水素化物電池を切望している。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、優れた電池特性を示す新たなニッケル金属水素化物電池を提供することを目的とする。
本発明者は、正極に金属コバルトを含有するニッケル金属水素化物電池に対して、充電を行うことに因り、正極中に含まれるコバルトを高い導電性を持つオキシ水酸化コバルトに変化させるとの従来の技術ではなく、あらかじめ、正極活物質の周りにオキシ水酸化コバルトの層を形成させておく技術を想起した。
そして、本発明者の鋭意検討の結果、あらかじめ、正極活物質の周りにオキシ水酸化コバルトの層を形成させておく場合において、オキシ水酸化コバルトの層にアルカリ金属、特にリチウムをドープしておくことで、正極活物質の導電性が著しく向上することを見出した。
また、本発明者は、正極の検討と同時に電解液の検討も行った。そして、本発明者の鋭意検討の結果、タングステン酸ナトリウムを溶解した電解液を採用し、かつ、アルカリ金属を含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された正極活物質を採用したニッケル金属水素化物電池が、電池特性に優れることを知見した。
これらの知見に基づき、本発明者は本発明を完成させた。
本発明のニッケル金属水素化物電池は、
アルカリ金属を含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された正極活物質と、
タングステン酸又はその塩とアルカリ金属水酸化物とを含む水溶液からなる電解液と、を備えることを特徴とする。
本発明のニッケル金属水素化物電池は、電池特性に優れる。
応用例1の双極型ニッケル金属水素化物電池の模式断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a~b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明のニッケル金属水素化物電池は、
アルカリ金属を含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された正極活物質(以下、本発明の正極活物質ということがある。)と、
タングステン酸又はその塩とアルカリ金属水酸化物とを含む水溶液からなる電解液(以下、本発明の電解液ということがある。)と、を備えることを特徴とする。
まず、本発明の正極活物質について説明する。
本発明の正極活物質は、アルカリ金属及びオキシ水酸化コバルトを含有するオキシ水酸化コバルト層と、オキシ水酸化コバルト層で被覆された正極活物質本体(本明細書中では、単に「正極活物質」ということがある。)を含む。
正極活物質としては、ニッケル金属水素化物電池の正極活物質として用いられるものであれば限定されない。具体的な正極活物質として、水酸化ニッケル、金属をドープした水酸化ニッケルを例示できる。水酸化ニッケルにドープする金属として、マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムなどの第9族元素、亜鉛、カドミウムなどの第12族元素を例示できる。
正極活物質本体に、アルカリ金属及びオキシ水酸化コバルトを含有するオキシ水酸化コバルト層を形成する方法は、以下のP-1)工程及びP-2)工程である。
P-1)正極活物質の表面に水酸化コバルト層を形成させる工程
P-2)前記水酸化コバルト層が形成された正極活物質を加熱して、前記水酸化コバルト層をオキシ水酸化コバルト層に変換する工程であって、さらに、前記水酸化コバルト層又は前記オキシ水酸化コバルト層にアルカリ金属をドープする工程
P-1)工程としては、以下のP-1-1)工程、又は、P-1-2)工程を例示できる。
P-1-1)コバルト塩水溶液中に正極活物質を分散させた分散液を製造した上で、分散液のpHをアルカリ性にして、正極活物質の表面に水酸化コバルトを析出させる工程
P-1-2)正極活物質をアルカリ性水溶液に分散させた分散液を製造した上で、分散液にコバルト塩水溶液を添加して、正極活物質の表面に水酸化コバルトを析出させる工程
コバルト塩としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルトを例示できる。
P-2)工程における加熱温度としては、70~230℃、80~200℃を例示できる。P-2)工程における雰囲気は酸素含有雰囲気である。P-2)工程は、費用の点から、空気存在下で行うのが好ましい。
P-2)工程において、アルカリ金属をドープする時期は、加熱前の水酸化コバルト層に対してでも良いし、加熱中の水酸化コバルト層又はオキシ水酸化コバルト層に対してでも良い。
P-2)工程において、アルカリ金属をドープする方法としては、正極活物質に対して、アルカリ金属塩水溶液を噴霧する方法が好ましい。正極活物質に対してアルカリ金属塩水溶液を噴霧しつつ加熱すること、又は、正極活物質に対してアルカリ金属塩水溶液を噴霧した後に加熱することで、正極活物質表面のオキシ水酸化コバルト層(又は、オキシ水酸化コバルト層に変換前の水酸化コバルト層)に対して、アルカリ金属がドープされる。
アルカリ金属をドープする方法における加熱温度としては、P-2)工程において、水酸化コバルト層をオキシ水酸化コバルト層に変換する際の加熱温度と同様の温度で行うのが合理的である。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを例示できる。導電性の点から、特にリチウムが好ましい。
P-2)工程で使用するアルカリ金属塩の例として、リチウム塩及びナトリウム塩について説明する。
リチウム塩としては、水酸化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、酢酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを例示できる。
ナトリウム塩としては、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを例示できる。
リチウムを含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された本発明の正極活物質が、特に優れた導電性を示す理由は、以下のとおりと考えられる。
まず、リチウムなどのアルカリ金属をドープせずに、オキシ水酸化コバルト層を正極活物質に形成させる場合には、オキシ水酸化コバルト層には、CoOOHのうち導電性に劣るβ-CoOOHとともに、導電性に劣るCoが形成されると考えられる。なお、Coにおいては、コバルトは2価と3価の両者で存在する。
次に、リチウム以外のアルカリ金属をドープする方法を用いて、オキシ水酸化コバルト層を正極活物質に形成させる場合には、オキシ水酸化コバルト層には、CoOOHのうち導電性に優れるγ-CoOOHが多く形成されるものの、導電性に劣るCoも形成されると考えられる。
しかしながら、リチウムをドープする方法を用いて、オキシ水酸化コバルト層を正極活物質に形成させる場合には、導電性に劣るCoが形成されたとしても、リチウムの存在に因り、少なくともCoの一部が導電性に優れるLiCoOに変換されると考えられる。そうすると、リチウムをドープする方法を用いて、オキシ水酸化コバルト層を正極活物質に形成させる場合には、オキシ水酸化コバルト層には、CoOOHのうち導電性に優れるγ-CoOOHが多く存在し、比較的導電性に優れるLiCoOも存在するものの、導電性に劣るCoの存在する割合は著しく低いと考えられる。
なお、γ-CoOOHの抵抗率は概ね2Ω・cm程度、LiCoOの抵抗率は概ね1×10Ω・cm程度、Coの抵抗率は概ね1×10Ω・cm程度、β-CoOOHの抵抗率は概ね1×10Ω・cm程度である。
導電性に優れるγ-CoOOH及びLiCoOのコバルトは、いずれも3価である。原料の水酸化コバルトのコバルトは2価であること、及び、Coにおいては、コバルトは2価と3価の両者で存在することを考慮すると、本発明の正極活物質のオキシ水酸化コバルト層におけるコバルトの価数は、高い方が好ましいといえる。
本発明の正極活物質のオキシ水酸化コバルト層におけるコバルトの価数としては、2.9~3.2が好ましく、2.95~3.1がより好ましく、2.98~3.07がさらに好ましい。
ここでのコバルトの価数は、本発明の正極活物質の表面に存在するオキシ水酸化コバルト層におけるコバルトの価数を、ヨードメトリー法で測定した値である。
本発明の正極活物質におけるコバルトの含有量は、1~10質量%が好ましく、2~7質量%がより好ましく、3~7質量%がさらに好ましい。
本発明の正極活物質におけるリチウムの含有量は、0.01~0.3質量%が好ましく、0.04~0.2質量%がより好ましく、0.07~0.1質量%がさらに好ましい。
本発明の正極活物質におけるナトリウムの含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.1~0.6質量%がより好ましく、0.2~0.5質量%がさらに好ましい。
本発明の正極活物質におけるリチウム及びナトリウム以外のアルカリ金属の含有量としては、0質量%、0.01~1質量%、0.1~0.6質量%、0.2~0.5質量%を例示できる。
本発明の正極活物質は粉末状態が好ましく、また、その平均粒子径としては3~40μmの範囲内が好ましく、5~30μmの範囲内がより好ましく、7~20μmの範囲内がさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置を用いた測定におけるD50の値を意味する。
本発明の正極活物質のBET比表面積としては、5~30m/gが好ましく、10~20m/gがより好ましく、12~18m/gがさらに好ましい。
本発明の正極活物質の抵抗率は、0.1~40Ω・cmが好ましく、0.1~10Ω・cmがより好ましく、0.1~7Ω・cmがさらに好ましく、0.1~5Ω・cmが特に好ましく、0.1~4Ω・cmが最も好ましい。
次に、本発明の電解液について説明する。本発明の電解液は、タングステン酸又はその塩とアルカリ金属水酸化物とを含む水溶液である。
タングステン酸の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。
電解液には、タングステン酸及びその塩のうち1種類を用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。電解液における、タングステン酸及びその塩の濃度としては、0.001~0.5mol/Lが好ましく、0.005~0.4mol/Lがより好ましく、0.01~0.3mol/Lがさらに好ましく、0.015~0.2mol/Lが特に好ましい。
本発明の電解液に含まれるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを例示できる。電解液には、1種類のアルカリ金属の水酸化物を含んでいてもよいし、複数種類のアルカリ金属の水酸化物を含んでいてもよい。特に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの3種類のアルカリ金属の水酸化物を含んでいるものが好ましい。
電解液における、アルカリ金属の水酸化物の濃度としては、2~10mol/Lが好ましく、3~9mol/Lがより好ましく、4~8mol/Lがさらに好ましい。
電解液には、ニッケル金属水素化物電池用電解液に採用される公知の添加剤が添加されていてもよい。
次に、本発明のニッケル金属水素化物電池の具体的な構成について説明する。本発明のニッケル金属水素化物電池は、具体的には、本発明の正極活物質を含む正極活物質層と、本発明の電解液と、負極活物質を含む負極活物質層と、セパレータを具備する。
ここで、本発明のニッケル金属水素化物電池は、上記正極活物質層を備える本発明の正極及び上記負極活物質層を備える負極を具備する、通常のニッケル金属水素化物電池であってもよいし、または、集電箔の一面に上記正極活物質層を備え、かつ、他面に上記負極活物質層を備える双極型の電極を具備する、双極型のニッケル金属水素化物電池であってもよい。
以下、本発明の正極及び負極についての説明を行うが、双極型の電極の説明については、本発明の正極及び負極についての説明を適宜適切に援用することとする。
本発明の正極について説明する。なお、負極の構成と重複するものについては、正極との限定を付さずに説明する。
本発明の正極は、集電体と集電体の表面に形成された正極活物質層とを含む。
集電体は、ニッケル金属水素化物電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。集電体の材料としては、ニッケル、又は、ニッケルめっきを施した金属材料が好ましい。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュ、スポンジ状などの形態をとることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm~100μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の正極活物質は導電性に優れるため、箔状の集電体を採用するのが合理的といえる。同じ理由で、本発明の正極活物質は、集電箔を用いる双極型の電極に適しているといえる。
正極活物質層は、本発明の正極活物質を含み、必要に応じて正極添加剤、結着剤及び導電助剤を含む。
正極の集電体上に存在する一の正極活物質層の量としては、20mg/cm以上が好ましく、25~50mg/cmがより好ましく、27~40mg/cmがさらに好ましい。
正極活物質層の密度としては、2.5g/cm以上が好ましく、2.6~3.2g/cmがより好ましく、2.7~3.1g/cmがさらに好ましく、2.8~3.0g/cmが特に好ましい。
正極活物質層には、本発明の正極活物質が正極活物質層全体の質量に対して、75~99質量%で含まれるのが好ましく、80~97質量%で含まれるのがより好ましく、85~95質量%で含まれるのがさらに好ましい。
正極添加剤は、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させるために正極に添加されるものである。正極添加剤としては、ニッケル金属水素化物電池の正極添加剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な正極添加剤として、Nbなどのニオブ化合物、WO、WO、LiWO、NaWO及びKWOなどのタングステン化合物、Ybなどのイッテルビウム化合物、TiOなどのチタン化合物、Yなどのイットリウム化合物、ZnOなどの亜鉛化合物、CaO、Ca(OH)及びCaFなどのカルシウム化合物、並びに、その他の希土類酸化物を例示できる。
正極活物質層には、正極添加剤が正極活物質層全体の質量に対して、0.1~10質量%で含まれるのが好ましく、0.5~5質量%で含まれるのがより好ましい。
結着剤は活物質などを集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ニッケル金属水素化物電池の電極用結着剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド及びポリアミドイミドなどのイミド系樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、スチレンブタジエンゴムなどの共重合体、並びに、(メタ)アクリル酸誘導体をモノマー単位として含有する、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系樹脂を例示できる。
活物質層には、結着剤が活物質層全体の質量に対して、0.1~15質量%で含まれるのが好ましく、0.3~10質量%で含まれるのがより好ましく、0.5~7質量%で含まれるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。具体的な導電助剤としては、コバルト、ニッケル、銅などの金属、コバルト酸化物などの金属酸化物、及びコバルト水酸化物などの金属水酸化物、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維などの炭素材料が例示される。
活物質層には、導電助剤が活物質層全体の質量に対して、0.1~20質量%で含まれるのが好ましい。正極活物質層には、導電助剤が正極活物質層全体の質量に対して、1~15質量%で含まれるのが好ましく、3~12質量%で含まれるのがより好ましく、5~10質量%で含まれるのがさらに好ましい。負極活物質層には、導電助剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1~5質量%で含まれるのが好ましく、0.2~3質量%で含まれるのがより好ましく、0.3~1質量%で含まれるのがさらに好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
負極は、集電体と集電体の表面に形成された負極活物質層とを含む。
負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて負極添加剤、結着剤及び導電助剤を含む。結着剤及び導電助剤については上述したとおりである。
負極活物質としては、ニッケル金属水素化物電池の負極活物質として知られる水素吸蔵合金を適宜採用すればよい。ただし、負極活物質としては、水素吸蔵合金の表面が酸化され、酸素濃度が1000ppm以上のものが好ましい。酸素濃度が高い負極活物質を用いることで、本発明のニッケル金属水素化物電池の電池特性が好適化する場合がある。
負極活物質における酸素濃度の範囲としては、1000~50000ppmの範囲内が好ましく、5000~40000ppmの範囲内がより好ましく、10000~30000ppmの範囲内がさらに好ましく、15000~25000ppmの範囲内が特に好ましい。
負極活物質の平均粒子径としては1~40μmの範囲内が好ましく、3~30μmの範囲内がより好ましく、4~20μmの範囲内がさらに好ましく、5~15μmの範囲内が特に好ましく、5~12μmの範囲内が最も好ましい。
負極活物質のBET比表面積としては、0.2~3m/gが好ましく、0.5~2.5m/gがより好ましく、1~2m/gがさらに好ましい。
負極活物質のうち、Niを含有するものについての飽和磁化としては、0.2~10emu/gが好ましく、0.5~9emu/gがより好ましく、1~8emu/gがさらに好ましく、1.5~7emu/gが特に好ましい。
負極活物質における水素吸蔵合金としては、ニッケル金属水素化物電池の負極活物質として用いられるものであれば限定されない。水素吸蔵合金とは、基本的に、容易に水素と反応するものの、水素の放出能力に劣る金属Aと、水素と反応しにくいものの、水素の放出能力に優れる金属Bとの合金である。Aとしては、Mgなどの第2族元素、Sc、ランタノイドなどの第3族元素、Ti、Zrなどの第4族元素、V、Taなどの第5族元素、複数の希土類元素を含有するミッシュメタル(以下、Mmと略すことがある。)、Pdなどを例示できる。また、Bとしては、Fe、Co、Ni、Cr、Pt、Cu、Ag、Mn、Zn、Alなどを例示できる。
具体的な水素吸蔵合金として、六方晶CaCu5型結晶構造を示すAB5型、六方晶MgZn2型若しくは立方晶MgCu2型結晶構造を示すAB2型、立方晶CsCl型結晶構造を示すAB型、六方晶Mg2Ni型結晶構造を示すA2B型、体心立方晶構造を示す固溶体型、並びに、AB5型及びAB2型の結晶構造が組み合わされたAB3型、A27型及びA519型のものを例示できる。水素吸蔵合金は、以上の結晶構造のうち、1種類を有するものでもよいし、また、以上の結晶構造の複数を有するものでもよい。
AB5型水素吸蔵合金として、LaNi5、CaCu5、MmNi5を例示できる。AB2型水素吸蔵合金として、MgZn2、ZrNi2、ZrCr2を例示できる。AB型水素吸蔵合金として、TiFe、TiCoを例示できる。A2B型水素吸蔵合金として、Mg2Ni、Mg2Cuを例示できる。固溶体型水素吸蔵合金として、Ti-V、V-Nb、Ti-Crを例示できる。AB3型水素吸蔵合金として、CeNi3を例示できる。A27型水素吸蔵合金として、Ce2Ni7を例示できる。A519型水素吸蔵合金として、Ce5Co19、Pr5Co19を例示できる。上記の各結晶構造において、一部の金属を、他の1種類若しくは複数種類の金属又は元素で置換してもよい。
水素吸蔵合金としては、希土類元素、Mg及びNiを含有するA型の水素吸蔵合金が好ましい。
酸素濃度が高い負極活物質を得るには、積極的に、水素吸蔵合金の表面を酸化させるのがよい。以下、希土類元素、Mg及びNiを含有するA型の水素吸蔵合金を例として、水素吸蔵合金に対して好適な方法で処理(以下、水素吸蔵合金の処理方法という。)を行い、酸素濃度が高い負極活物質を製造する手順を説明する。
水素吸蔵合金の処理方法は、
N-1)水素吸蔵合金をアルカリ水溶液で処理する工程、
N-2)前記N-1)工程後の水素吸蔵合金の表面を酸化する工程、
を有する。
N-1)工程は、水素吸蔵合金を酸化させるための必須の工程ではないが、後述するとおり、かかる工程を経ることに因り、より好適な負極活物質を得ることができる。
N-1)工程としては、以下のa)工程及びb)工程を有するのが好ましい。
a)希土類元素、Mg及びNiを含有するA型の水素吸蔵合金を、アルカリ金属の水酸化物を溶解した第1アルカリ水溶液で処理する工程
b)a)工程後、第1アルカリ水溶液から水素吸蔵合金を分離し、アルカリ金属の水酸化物を溶解した第2アルカリ水溶液で処理する工程
まず、a)希土類元素、Mg及びNiを含有するA型の水素吸蔵合金を、アルカリ金属の水酸化物を溶解した第1アルカリ水溶液で処理する工程(以下、単に「a)工程」という。)について、説明する。
a)工程に用いられる水素吸蔵合金は、希土類元素、Mg及びNiを含有するA型の水素吸蔵合金である。希土類元素及びMgは金属Aに属し、Niは金属Bに属すると考えられる。希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを例示できる。a)工程に用いられる水素吸蔵合金には、その他の金属元素が存在してもよく、その他の金属元素として、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Al、Cr、Pt、Cu、Ag、Ti、Zr、V、Taを例示できる。a)工程に用いられる水素吸蔵合金としては、Niを60~70質量%で含有する水素吸蔵合金が好ましい。
水素吸蔵合金は、粉砕されて、一定程度の粒子径に調製された粉末状のものが好ましい。水素吸蔵合金の平均粒子径としては1~40μmの範囲内が好ましく、3~30μmの範囲内がより好ましく、4~20μmの範囲内がさらに好ましく、5~15μmの範囲内が特に好ましく、5~12μmの範囲内が最も好ましい。
a)工程で水素吸蔵合金をアルカリ金属の水酸化物を溶解した第1アルカリ水溶液で処理すると、アルカリ水溶液に対して溶解性の高い希土類元素が水素吸蔵合金の表面から溶出することになる。ここで、Niはアルカリ水溶液に対して溶解性が低いため、結果的に、水素吸蔵合金の表面のNi濃度は、水素吸蔵合金の内部と比較して高くなる。以下、水素吸蔵合金において、Ni濃度が内部と比較して高い部分を、Ni濃縮層という。Ni濃縮層の存在に因り、負極活物質の性能が向上すると考えられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを例示でき、中でも、水酸化ナトリウムが好ましい。第1アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いることで、第1アルカリ水溶液として水酸化リチウムや水酸化カリウムを用いる場合と比較して、本発明のニッケル金属水素化物電池の電池特性が好適化する場合がある。
第1アルカリ水溶液としては強塩基のものが好ましい。第1アルカリ水溶液におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度として、10~60質量%、20~55質量%、30~50質量%、40~50質量%を例示できる。
a)工程は、水素吸蔵合金を第1アルカリ水溶液に浸ける方法で行うのが好ましい。その際には、撹拌条件下で行うのが好ましく、また、加熱条件下で行うのが好ましい。加熱温度の範囲としては、50~150℃、70~140℃、90~130℃を例示できる。加熱時間は、第1アルカリ水溶液の濃度や加熱温度に応じて適宜決定すればよいが、0.1~10時間、0.2~5時間、0.5~3時間を例示できる。
水素吸蔵合金と第1アルカリ水溶液の量の関係は、質量比で1:0.5~1:10が好ましく、1:0.7~1:5がより好ましく、1:0.9~1:3がさらに好ましい。第1アルカリ水溶液の量が過少であれば、水素吸蔵合金の表面にNi濃縮層が十分に形成されない場合があり、他方、第1アルカリ水溶液の量が過多であれば、コスト面で不利になる。
次に、b)a)工程後、第1アルカリ水溶液から水素吸蔵合金を分離し、アルカリ金属の水酸化物を溶解した第2アルカリ水溶液で処理する工程(以下、単に「b)工程」という。)について、説明する。
a)工程が終了した時点における第1アルカリ水溶液には、水素吸蔵合金から溶出した希土類元素が存在する。そして、当該希土類元素は、第1アルカリ水溶液と水素吸蔵合金の分離時に、水素吸蔵合金の表面に、希土類元素の水酸化物として付着し得る。
b)工程は、第1アルカリ水溶液から分離した水素吸蔵合金の表面に付着した、希土類元素の水酸化物を、第2アルカリ水溶液で除去する工程であるといえる。希土類元素の水酸化物は中性条件下においては析出するものの、塩基性水溶液には溶解しやすいとの性質を示す。b)工程は、この性質を利用したものである。
第1アルカリ水溶液から水素吸蔵合金を分離する方法としては、濾過や遠心分離が好ましく、特に吸引濾過が好ましい。水素吸蔵合金を第2アルカリ水溶液で処理する方法としては、水素吸蔵合金を第2アルカリ水溶液に浸ける方法、第2アルカリ水溶液を水素吸蔵合金に浴びせる方法を例示できる。上述した濾過に引き続き又は濾過を行いつつ、第2アルカリ水溶液を水素吸蔵合金に浴びせる方法を選択するのが合理的である。
第2アルカリ水溶液に溶解したアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを例示でき、中でも、水酸化ナトリウムが好ましい。
また、第1アルカリ水溶液のアルカリ金属の水酸化物の濃度Cと、第2アルカリ水溶液のアルカリ金属の水酸化物の濃度Cの関係が、C>Cを満足する条件でb)工程を行うのが好ましい。濃度が低いアルカリ水溶液は粘度が低いため、C>Cを満足する条件においては、b)工程の作業が円滑に進行する。第2アルカリ水溶液におけるアルカリ金属の水酸化物の濃度として、0.01~10質量%、0.03~5質量%、0.05~1質量%、0.1~0.5質量%を例示できる。
製造コストなどの観点から、b)工程はa)工程よりも低温条件下で行うのが好ましい。b)工程の温度範囲としては、0~100℃、10~70℃、20~50℃を例示できる。b)工程の温度は、水素吸蔵合金が存在する環境の温度で規定してもよいし、第2アルカリ水溶液の温度で規定してもよい。
水素吸蔵合金と第2アルカリ水溶液の量の関係は、質量比で1:0.5~1:50が好ましく、1:1~1:30がより好ましく、1:1.5~1:10がさらに好ましい。第2アルカリ水溶液の量が過少であれば、希土類元素の水酸化物の除去が不十分となる場合があり、他方、第2アルカリ水溶液の量が過多であれば、コスト面で不利になる。
b)工程においては、第2アルカリ水溶液での処理に引き続き、水素吸蔵合金に対する水での洗浄を行ってもよい。水での洗浄を行うことで水素吸蔵合金の表面に付着する第2アルカリ水溶液を除去できる。水での洗浄時における水素吸蔵合金と水の量の関係は、質量比で1:1~1:50が好ましく、1:2~1:30がより好ましく、1:3~1:10がさらに好ましい。
次に、N-2)前記N-1)工程後の水素吸蔵合金の表面を酸化する工程(以下、単に「N-2)工程」という。)について説明する。
N-2)工程としては、空気中に水素吸蔵合金を曝して、空気中の酸素で酸化させる方法でもよいし、水素吸蔵合金を過酸化水素などの酸化物と接触させて酸化させる方法でもよい。ただし、いずれの方法においても、水素吸蔵合金の過剰な発熱を抑制するために、水素吸蔵合金を冷却しながら実施するのが好ましい。具体的には、水素吸蔵合金に水を浴びせて水素吸蔵合金を冷却しながら実施するか、水中に水素吸蔵合金を配置した上で、又は、過酸化水素などの酸化物の水溶液中に水素吸蔵合金を配置した上で実施するのが好ましい。上述したb)工程における第2アルカリ水溶液での処理後に実施され得る水素吸蔵合金に対する水での洗浄を、大気下で実施することで、N-2)工程としてもよい。
N-1)及びN-2)工程を経て製造される、好適な負極活物質は、表面のNi濃度が、内部のNi濃度と比較して増加された水素吸蔵合金を含有する。内部のNi濃度とは、N-1)工程で用いる処理前の水素吸蔵合金におけるNi濃度と同義である。また、好適な負極活物質は、表面にNi濃縮層を具備すると表現することもできる。
Ni濃縮層の厚みとしては、5~200nm、10~150nm、30~100nmを例示できる。Ni濃縮層の厚みは、負極活物質の粒子の断面を各種の電子顕微鏡で観察して確認できる。
水素吸蔵合金の処理方法においては、まず、N-1)工程のうちのa)工程で、アルカリ水溶液に溶解しやすい希土類元素が溶出するため、a)工程後の水素吸蔵合金の表面にはNi濃縮層が形成される。次に、b)工程で、水素吸蔵合金の表面に付着した、希土類元素の水酸化物を、第2アルカリ水溶液で除去するため、b)工程後の水素吸蔵合金の表面のNi濃度はさらに増加するといえる。
実際に、本発明者がb)工程後の水素吸蔵合金の表面をX線光電子分光法で測定したところ、a)工程で用いた処理前の水素吸蔵合金の組成よりも、大幅にNi比率が高くなっていることが確認された。そこで、好適な負極活物質の一態様として、以下のものを把握できる。
好適な負極活物質の一態様は、La、Mg及びNiを含有し、Niを60~70質量%で含有するA型の水素吸蔵合金を含有し、内部のNi/La元素比に対する表面のNi/La元素比の値が1.3以上であることを特徴とする。
ここで、内部のNi/La元素比とは、水素吸蔵合金の内部、例えば負極活物質の粒子の中心におけるNi/La元素比を意味し、また、内部のNi/La元素比とは、a)工程で用いる処理前の水素吸蔵合金におけるNi/La元素比と同義である。
内部のNi/La元素比に対する表面のNi/La元素比の値としては、1.3~2、1.31~1.5、1.34~1.4の範囲を例示できる。内部のNi/La元素比に対する表面のNi/La元素比の値が大きいほど、表面からの希土類元素の除去が好適に行われたことを意味する。
負極活物質層には、負極活物質が負極活物質層全体の質量に対して、85~99質量%で含まれるのが好ましく、90~98質量%で含まれるのがより好ましい。
負極添加剤は、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させるために負極に添加されるものである。負極添加剤としては、ニッケル金属水素化物電池の負極添加剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な負極添加剤として、CeF及びYFなどの希土類元素のフッ化物、Bi及びBiFなどのビスマス化合物、In及びInFなどのインジウム化合物、並びに、正極添加剤として例示した化合物を挙げることができる。
負極活物質層には、負極添加剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1~10質量%で含まれるのが好ましく、0.5~5質量%で含まれるのがより好ましい。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤、導電助剤及び添加剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
セパレータは、正極と負極とを隔離して、両極の接触による短絡を防止しつつ、電解液の貯留空間及び通路を提供するものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
セパレータは、表面に親水化処理が施されていることが好ましい。親水化処理としては、スルホン化処理、コロナ処理、フッ素ガス処理、プラズマ処理を例示できる。
本発明のニッケル金属水素化物電池の具体的な製造方法の一態様について述べる。
正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。正極の集電体及び負極の集電体から外部に通ずる正極端子及び負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてニッケル金属水素化物電池とする。
本発明のニッケル金属水素化物電池の形状は特に限定されるものでなく、角型、円筒型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のニッケル金属水素化物電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にニッケル金属水素化物電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にニッケル金属水素化物電池を搭載する場合には、ニッケル金属水素化物電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。ニッケル金属水素化物電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のニッケル金属水素化物電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(製造例1:正極活物質の製造)
ニッケル、コバルト及び亜鉛のモル比が94.5:4.5:1.1になるように硫酸ニッケル、硫酸コバルト及び硫酸亜鉛を秤量し、これらを、アンモニウムイオンを含む水酸化ナトリウム水溶液に加えて、混合水溶液を調製した。撹拌下の混合水溶液に、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加して、混合水溶液のpHを13~14とした。それにより、水酸化ニッケルを主体とし、コバルト及び亜鉛を固溶した前駆体粒子を製造した。得られた前駆体粒子(正極活物質本体)を水で洗浄した後、乾燥した。
P-1)工程
得られた前駆体粒子をアンモニア水溶液中に投入して懸濁液とした。懸濁液のpHを9~10に維持しながら、硫酸コバルト水溶液を懸濁液に添加した。それにより、前駆体粒子の表面に水酸化コバルトが析出することで、水酸化コバルトの層を備えた粒子を得た。
P-2)工程
前段落で得られた水酸化コバルトの層を備えた粒子を、酸素を含む高温空気中に対流させつつ、水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化リチウム水溶液を噴霧して、加熱処理を施した。これにより、前記粒子の表面の水酸化コバルトが、導電性の高いオキシ水酸化コバルトとなるとともに、オキシ水酸化コバルトの層中にナトリウム及びリチウムが取り込まれ、ナトリウム及びリチウムを含有したオキシ水酸化コバルト層が形成される。
その後、オキシ水酸化コバルト層を備えた粒子を濾取し、水洗いしたのち、60℃で乾燥させた。このようにして、ナトリウム及びリチウムを含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された、製造例1の正極活物質を製造した。
(製造例2)
P-1)工程における硫酸コバルト水溶液の添加量と、P-2)工程における水酸化ナトリウム水溶液の噴霧量を、若干変化させたこと以外は、概ね製造例1と同様の方法で、製造例2の正極活物質を製造した。
(製造例3)
P-1)工程における硫酸コバルト水溶液の添加量と、P-2)工程における水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化リチウム水溶液の噴霧量を、若干変化させたこと以外は、概ね製造例1と同様の方法で、製造例3の正極活物質を製造した。
(製造例4)
正極活物質本体の製造においてニッケル、コバルト及び亜鉛のモル比を若干変化させ、かつ、P-1)工程における硫酸コバルト水溶液の添加量と、P-2)工程における水酸化ナトリウム水溶液の噴霧量を、若干変化させたこと以外は、概ね製造例1と同様の方法で、製造例4の正極活物質を製造した。
(比較製造例1)
正極活物質本体の製造においてニッケル、コバルト及び亜鉛のモル比を若干変化させ、かつ、P-2)工程において、水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化リチウム水溶液の噴霧を行わなかったこと以外は、概ね製造例1と同様の方法で、比較製造例1の正極活物質を製造した。
(評価例1:正極活物質の物性)
製造例1~製造例4、比較製造例1の正極活物質につき、リチウム及びナトリウム含有量の分析、平均粒子径の測定、BET比表面積の測定、コバルトの価数の測定、及び、抵抗率の測定を行った。
リチウム及びナトリウム含有量の分析を、各正極活物質を溶解した溶液を用いた原子吸光法で行ったところ、製造例1~製造例4の正極活物質におけるリチウム含有量は概ね0.1質量%程度であり、ナトリウム含有量は概ね0.2~0.6質量%程度であった。
比較製造例1の正極活物質からはリチウムが検出されなかった。比較製造例1の正極活物質からは若干量のナトリウムが検出された。
平均粒子径(D50)の測定は、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて行った。BET比表面積の測定は、一般的なBET比表面積測定装置を用いて行った。コバルトの価数の測定は、ヨードメトリー法で行った。抵抗率の測定は、粉体抵抗率測定システム(株式会社三菱アナリテック)を用いて、正極活物質の粉末2.0gに対して、25℃、相対湿度40~50%の条件下、20kNの荷重をかけた上で測定した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007093286000001
表1から、リチウムの存在に因り、正極活物質のコバルトの価数が高くなり、かつ、正極活物質の抵抗率が低くなることがわかる。
(実施例1)
(負極活物質の製造)
希土類-Mg-Ni系の水素吸蔵合金として、(La,Sm,Mg,Zr)1.0(Ni,Al)3.6で表されるA型水素吸蔵合金を準備した。当該A型水素吸蔵合金において、Ni含量は62質量%であった。
(負極活物質の細粉砕工程)
水素吸蔵合金の粗粉末、及び、ポリビニルアルコールが水素吸蔵合金に対して0.5質量%で含まれる蒸留水を、水素吸蔵合金の濃度が10質量%となるように配合して、混合機で混合して混合物とした。この混合物を大気中でビーズミルに移し、当該ビーズミル中で混合した後に、ビーズミルから排出した。ビーズミルのビーズとしてはジルコニア製のものを用いた。
ビーズミルから排出された混合物は、循環用配管を経由して混合機に輸送された後に、再度ビーズミルに戻された。つまり、水素吸蔵合金及び水はビーズミルと混合機との間を循環し、水素吸蔵合金はビーズミルで繰り返し粉砕された。
以上の工程により得られた粉砕生成物を濾取して、水素吸蔵合金粉末と少量の水とを含む実施例1の粉砕濾過生成物を得た。実施例1の粉砕濾過生成物を以下のアルカリ処理工程に供した。
なお、実施例1の粉砕濾過生成物における水素吸蔵合金粉末の平均粒子径(D50)は、7μmであった。
(負極活物質のアルカリ処理工程:N-1)工程)
a)工程
第1アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウムを40質量%で含有する水酸化ナトリウム水溶液を準備した。撹拌条件下、第1アルカリ水溶液50質量部に、実施例1の粉砕濾過生成物50質量部を加えて懸濁液とした。この懸濁液を90℃に加熱して1時間保持し、その後、室温に冷却した。
b)工程
第2アルカリ水溶液として、水酸化ナトリウムを0.4質量%で含有する水酸化ナトリウム水溶液を準備した。a)工程終了後の懸濁液を吸引濾過して、第1アルカリ水溶液から水素吸蔵合金を分離した。吸引濾過を継続した状態で、水素吸蔵合金の上から第2アルカリ水溶液50質量部を注ぎ、水素吸蔵合金を洗浄した 。
N-2)工程
b)工程の吸引濾過を継続した状態で、水素吸蔵合金の上から水300質量部を注ぎ、水素吸蔵合金を水洗した。
前段落で得た濾過物全量に、5質量%の過酸化水素水を50質量部加えて20分間撹拌した。その後に吸引濾過を行い、水素吸蔵合金の上から水300質量部を注ぎ、水素吸蔵合金を水洗した。この濾過後の水素吸蔵合金を実施例1の負極活物質とした。
(電池製造工程)
以下のとおり、実施例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
製造例1の正極活物質を94.3質量部、導電助剤としてコバルト粉末を1質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルションを固形分として3.5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、正極添加剤としてYを0.5質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。正極用集電体として厚み20μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスして、集電体上に正極活物質層が形成された正極を製造した。
当該正極の集電体上に存在する正極活物質層の量は28mg/cmであり、正極活物質層の密度は、2.9g/cmであった。
実施例1の負極活物質を97.8質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルションを固形分として1.5質量部、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを0.7質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として厚み20μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、ニッケル箔をプレスして、集電体上に負極活物質層が形成された負極を製造した。
電解液として、水酸化カリウムの濃度が5.4mol/Lであり、水酸化ナトリウムの濃度が0.8mol/Lであり、水酸化リチウムの濃度が0.5mol/Lであり、NaWOの濃度が0.16mol/Lである水溶液を準備した。これを実施例1の電解液とした。
セパレータとして、スルホン化処理が施された厚さ104μmのポリオレフィン繊維製不織布を準備した。
正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。樹脂製の筐体に、極板群を配置して、さらに実施例1の電解液を注入し、筐体を密閉することで、実施例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(実施例2)
電解液として、水酸化カリウムの濃度が5.4mol/Lであり、水酸化ナトリウムの濃度が0.8mol/Lであり、水酸化リチウムの濃度が0.5mol/Lであり、NaWOの濃度が0.02mol/Lである水溶液を準備した。これを実施例2の電解液とした。
実施例2の電解液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(比較例1)
電解液として、水酸化カリウムの濃度が5.4mol/Lであり、水酸化ナトリウムの濃度が0.8mol/Lであり、水酸化リチウムの濃度が0.5mol/Lである水溶液を準備した。これを比較例1の電解液とした。
比較例1の電解液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(比較例2)
比較製造例1の正極活物質を用いたこと及び実施例2の電解液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(比較例3)
比較製造例1の正極活物質を用いたこと及び比較例1の電解液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(評価例2:負極活物質の物性)
実施例1の負極活物質につき、酸素濃度の測定、BET比表面積の測定、及び、飽和磁化の測定を行った。
酸素濃度の測定は、酸素・窒素・水素分析装置(不活性ガス溶融法)を用いて行った。BET比表面積の測定は、一般的なBET比表面積測定装置を用いて行った。飽和磁化の測定は、振動試料型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて行った。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0007093286000002
(評価例3)
実施例1~実施例2及び比較例1~比較例3のニッケル金属水素化物電池に対して、温度25℃の条件下、0.1Cレートで1.5Vまで充電を行った後に、0.1Cレートで0.8Vまで放電を行った。そして、以下の式を用いて、各ニッケル金属水素化物電池の充放電効率を算出した。
充放電効率(%)=100×(放電容量)/(充電容量)
また、実施例1~実施例2及び比較例1~比較例3のニッケル金属水素化物電池に対して、50℃の条件下、1CでSOC20%からSOC60%まで充電させた後に1CでSOC60%からSOC20%まで放電させるとの充放電サイクルを、350回繰り返した。
初回充放電サイクル時の放電容量に対する、350回充放電サイクル時の放電容量の割合を、容量維持率として算出した。
以上の充放電効率及び容量維持率の結果を、表3に示す。
Figure 0007093286000003
表3の結果から、充放電効率の点でみても、容量維持率の点でみても、実施例1及び実施例2のニッケル金属水素化物電池が優れているといえる。
本発明の正極活物質と本発明の電解液を共に備える本発明のニッケル金属水素化物電池が、電池特性に優れることが裏付けられたといえる。
(応用例1)
電極の厚み側から観察した、応用例1の双極型ニッケル金属水素化物電池の模式断面図を、図1に示す。
応用例1の双極型ニッケル金属水素化物電池1は、
集電箔20の一面に正極活物質層21が形成された正極2と、
集電箔30の一面に負極活物質層31が形成された負極3と、
集電箔40の一面に正極活物質層41が形成され、他面に負極活物質層42が形成された双極型電極4と、
親水化処理が施されたポリオレフィン製のセパレータ5と、を具備する。
正極2の集電箔20は、ニッケル製であって、厚み20μmの矩形の箔である。集電箔20の上面には、本発明の正極活物質、導電助剤、結着剤及び添加剤を含む正極活物質層21が形成されている。そして、集電箔20の周縁は、合成樹脂製の外枠7で固定されており、そして、外枠7の内側には、フッ素含有樹脂製のシール部6が配置されている。シール部6は、集電箔20の上面と下面に結着されている。
正極2の正極活物質層21の上面には、セパレータ5が配置されている。セパレータ5には、本発明の電解液が含浸されている。セパレータ5の面は、接する正極活物質層21の面よりも面積が大きい。
正極2の正極活物質層21の上面に配置されたセパレータ5の上面には、負極活物質層42が対面する方向で双極型電極4が配置されている。
双極型電極4は、集電箔40の上面に正極活物質層41が形成され、下面に負極活物質層42が形成されている。集電箔40は正極2の集電箔20と同様のものであり、正極活物質層41も正極2の正極活物質層21と同様のものである。双極型電極4の負極活物質層42には、負極活物質及び結着剤が含有されている。
集電箔40の周縁は、合成樹脂製の外枠7で固定されており、そして、外枠7の内側には、フッ素含有樹脂製のシール部6が配置されている。シール部6は集電箔40の上面と下面に結着されており、集電箔40の上面のシール部6はさらに上側の他の双極型電極4の集電箔40の下面にも結着され、また、集電箔40の下面のシール部6は正極2の集電箔20の上面にも結着されている。すなわち、シール部6により、正極活物質層21、セパレータ5、電解液、及び負極活物質層42は、密閉状態にある。
正極2にセパレータ5を介して積層された双極型電極4の上面には、セパレータ5を介して双極型電極4が複数積層されている。
最上部の双極型電極4の正極活物質層41の上面には、セパレータ5が配置され、そのセパレータ5の上面には、負極活物質層31が対面する方向で負極3が配置されている。
負極3は、集電箔30の下面に負極活物質層31が形成されている。集電箔30は正極2の集電箔20及び双極型電極4の集電箔40と同様のものであり、負極活物質層31も双極型電極4の負極活物質層42と同様のものである。そして、集電箔30の周縁は、合成樹脂製の外枠7で固定されており、そして、外枠7の内側には、フッ素含有樹脂製のシール部6が配置されている。シール部6は集電箔30の上面と下面に結着されており、集電箔30の下面のシール部6は双極型電極4の集電箔40の上面にも結着されている。
正極2、双極型電極4、負極3及びセパレータ5で構成される電池モジュールの厚み方向の上下には、冷却部8がそれぞれ配置されている。冷却部8はアルミニウム製の矩形板であって、空冷可能な貫通孔80が複数設けられている。
冷却部8の外側には、外部と電気を通電するモジュール正極22及びモジュール負極32がそれぞれ配置されている。モジュール正極22及びモジュール負極32は、金属製の矩形板である。
そして、モジュール正極22及びモジュール負極32の外側には、拘束具9がそれぞれ配置されている。拘束具9は合成樹脂製の矩形板である。2つの拘束具9は、図示しない複数のボルト及びナットで締結されており、電極の厚み方向に電池モジュールを加圧して拘束している。2つの拘束具9による加圧によって、セパレータ5は圧縮されている。
1 双極型ニッケル金属水素化物電池
2 正極
3 負極
4 双極型電極
5 セパレータ
6 シール部
7 外枠
8 冷却部
9 拘束具
20 集電箔(正極集電箔)
21 正極活物質層
22 モジュール正極
30 集電箔(負極集電箔)
31 負極活物質層
32 モジュール負極
40 集電箔(双極型電極集電箔)
41 正極活物質層
42 負極活物質層
80 貫通孔

Claims (3)

  1. アルカリ金属を含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された正極活物質と、
    タングステン酸又はその塩とアルカリ金属水酸化物とを含む水溶液からなる電解液と、を備えるニッケル金属水素化物電池の製造方法であって、
    P-1)正極活物質の表面に水酸化コバルト層を形成させる工程、及び、
    P-2)前記水酸化コバルト層が形成された正極活物質を加熱して、前記水酸化コバルト層をオキシ水酸化コバルト層に変換する工程であって、さらに、前記水酸化コバルト層又は前記オキシ水酸化コバルト層にアルカリ金属をドープする工程を有する、アルカリ金属を含有するオキシ水酸化コバルト層で被覆された正極活物質の製造工程を含み、さらに、
    前記P-1)工程及びP-2)工程の前に、前記正極活物質の原料を含む混合水溶液のpHを13~14にしつつ前記正極活物質の前駆体粒子を製造する工程を有するか、又は、
    前記正極活物質を含む懸濁液のpHを9~10に維持しながら前記P-1)工程を行う、製造方法。
  2. 前記P-2)工程において、水酸化リチウム水溶液又は水酸化ナトリウム水溶液を噴霧することでリチウム又はナトリウムをドープする、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記電解液において、タングステン酸及びその塩の濃度が、0.001~0.5mol/Lの範囲内である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
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