JP7053208B2 - ポリイミドフィルム、金属張積層板及び回路基板 - Google Patents
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Description
前記剛直ジアミン残基の100モル部に対して、下記の一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が40モル部以上90モル部以下の範囲内であり、パラフェニレンジアミンから誘導されるジアミン残基が5モル部以上55モル部以下の範囲内であること。
本実施の形態のポリイミドフィルムは、非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミド層を有し、上記条件(i)~(iv)を満たすものである。熱可塑性ポリイミド層は非熱可塑性ポリイミド層の片面又は両面に設けられている。例えば本実施の形態のポリイミドフィルムと金属層から構成される金属張積層板とする場合、銅層は熱可塑性ポリイミド層の面に積層する。
ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、320℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上を示すポリイミドをいう。また、熱可塑性ポリイミドとは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、320℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa未満を示すポリイミドをいう。
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含む。テトラカルボン酸残基及びジアミン残基は、いずれも芳香族基を含むものであることが好ましい。芳香族基とすることで、高温環境下でのポリイミドフィルムの熱分解や寸法変化を抑制することができる。
非熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、特に制限はないが、例えば3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基が好ましく挙げられる。これらの中でも特に、BPDAから誘導されるテトラカルボン酸残基(以下、「BPDA残基」ともいう。)は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での寸法変化を抑えることができるので特に好ましい。一方で、BPDA残基は、ポリイミド中の含有割合が高くなると分子の面内配向性が低下しCTEが増加しやすい。従って、BPDA残基は、非熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは10モル部以上60モル部以下の範囲内、より好ましくは10モル部以上30モル部以下の範囲内がよい。
非熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基は、剛直ジアミン残基及び屈曲ジアミン残基を含む。ここで、「剛直ジアミン残基」とは、主鎖としてp-フェニレン構造、p-ビフェニレン構造又はp-テルフェニレン構造のいずれかを有するジアミン化合物から誘導されるジアミン残基をいう。剛直ジアミン残基は、かかる構造によって、非熱可塑性ポリイミドの面内配向性を高めることでフィルムの低CTE化を可能とし、高温環境下での寸法変化を抑制するように作用する。
また、非熱可塑性ポリイミドに含まれる剛直ジアミン残基及び屈曲ジアミン残基の合計100モル部に対して、屈曲ジアミン残基が5モル部以上25モル部以下の範囲内であり、5モル部以上15モル部以下の範囲内であることが好ましい。
非熱可塑性ポリイミドに含まれる剛直ジアミン残基及び屈曲ジアミン残基の合計100モル部に対して、剛直ジアミン残基が75モル部未満では(つまり、屈曲ジアミン残基が25モル部を超えると)、非熱可塑性ポリイミドの面内配向性の低下による高CTE化により、高温環境下での寸法変化が大きくなり、95モル部を超えると(つまり、屈曲ジアミン残基が5モル部未満では)、非熱可塑性ポリイミドの弾性率が高くなりすぎ、柔軟性が損なわれる傾向がある。
また、一般式(B2)において、基R5、R6、R7及びR8の好ましい例としては、水素原子又は炭素数1~4のハロゲン原子で置換されてもよいアルキル基、あるいは炭素数1~3のアルコキシ基若しくはアルケニル基を挙げることができる。また、一般式(B2)において、連結基X1及びX2の好ましい例としては、単結合、-O-、-S-、-CH2-、-CH(CH3)-、-SO2-又は-CO-を挙げることができる。但し、屈曲部位を付与する観点から、連結基X1及びX2の両方が単結合である場合を除くものとする。一般式(B2)で表されるジアミン残基の好ましい具体例としては、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル(BAPE)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が挙げられる。
本実施の形態において、熱可塑性ポリイミド層を構成する熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含む。熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基は、いずれも芳香族基を含むものであることが好ましい。芳香族基とすることで、加熱時における重量減少率やピール強度の低下を抑制することができる。
熱可塑性ポリイミドに含まれるテトラカルボン酸残基としては、特に制限はないが、例えば3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3',3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等から誘導されるテトラカルボン酸残基が好ましく挙げられる。これらの中でも特に、BPDAから誘導されるBPDA残基は、秩序構造を形成しやすく、高温環境下での寸法変化を抑えることができるので特に好ましい。従って、BPDA残基は、熱可塑性ポリイミドに含まれる全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、好ましくは1モル部以上90モル部以下の範囲内、より好ましくは1モル部以上70モル部以下の範囲内がよい。
熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、上記一般式(B1)及び(B2)から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基を挙げることができる。B1残基及びB2残基から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基を、熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して、40モル部以上であることが好ましく、60モル部以上であることがより好ましい。B1残基及びB2残基から選ばれる少なくとも一種のジアミン残基を、熱可塑性ポリイミドに含まれる全ジアミン残基の100モル部に対して40モル部以上含むことによって、熱可塑性ポリイミドに高い柔軟性を付与して接着性を高めるとともに、イミド基濃度を低減させ、極性基を少なくすることによって吸湿性を改善できる(つまり、低吸湿性にできる)。
一般にポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物を溶媒中で反応させ、ポリアミド酸を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をほぼ等モルで有機溶媒中に溶解させて、0~100℃の範囲内の温度で30分~24時間撹拌し重合反応させることでポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が得られる。反応にあたっては、生成する前駆体が有機溶媒中に5~30重量%の範囲内、好ましくは10~20重量%の範囲内となるように反応成分を溶解する。重合反応に用いる有機溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、2-ブタノン、ジメチルスホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド、N-メチルカプロラクタム、硫酸ジメチル、シクロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、トリグライム、クレゾール等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上併用して使用することもでき、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の併用も可能である。また、このような有機溶媒の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応によって得られるポリアミド酸溶液の濃度が5~30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
本実施の形態のポリイミドフィルムは、フィルム(シート)であってもよく、銅箔、ガラス板、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルムなどの樹脂シート等の基材に積層された状態のフィルムであってもよい。
本実施の形態のポリイミドフィルムは、例えば回路基板の絶縁層として適用する場合において、反りの発生や寸法安定性の低下を防止するために、熱膨張係数(CTE)が15ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内であることが好ましい。CTEが15ppm/K未満であるか、又は25ppm/Kを超えると、反りが発生したり、寸法安定性が低下したりする。また、本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、銅箔などからなる金属層のCTEに対してポリイミドフィルムのCTEが、±5ppm/K以下の範囲内が好ましい。
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、ポリイミドフィルムの厚みは、使用する目的に応じて、所定の範囲内の厚みに設定することができる。ポリイミドフィルムの厚みは、例えば8~50μmの範囲内にあることが好ましく、11~26μmの範囲内にあることがより好ましい。ポリイミドフィルムの厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じることがある。一方、ポリイミドフィルムの厚みが上記上限値を超えると、製造条件を高精度に制御する必要があり、生産性低下などの不具合が生じる。
本実施の形態のポリイミドフィルムにおいて、熱可塑性ポリイミド層を構成するポリイミドは、銅層との密着性を向上させることができる。このような熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上350℃以下の範囲内、好ましくは200℃以上320℃以下の範囲内である。
本実施の形態のポリイミドフィルムは、寸法精度の改善効果をより大きく発現させる観点から、フィルム幅が490mm以上1100mm以下の範囲内であり、長尺状の長さが20m以上のものが好ましい。本実施の形態のポリイミドフィルムが連続的に製造される場合、幅方向(以下、TD方向ともいう。)が広いフィルムほど発明の効果が特に顕著となる。なお、本実施の形態のポリイミドフィルムが連続的に製造された後、長尺なポリイミドフィルムの長手方向(以下、MD方向とも言う)及びTD方向にある一定の値でスリットされたフィルムも含まれる。
本実施の形態のポリイミドフィルムの引張弾性率は3.0~10.0GPaの範囲内であることが好ましく、4.5~9.0GPaの範囲内であるのがより好ましい。ポリイミドフィルムの引張弾性率が3.0GPaに満たないとポリイミド自体の強度が低下することによって、金属張積層板を回路基板へ加工する際にフィルムの裂けなどのハンドリング上の問題が生じることがある。反対に、ポリイミドフィルムの引張弾性率が10.0GPaを超えると、金属張積層板の折り曲げに対する剛性が上昇する結果、金属張積層板を折り曲げた際に銅配線に加わる曲げ応力が上昇し、折り曲げ耐性が低下してしまう。ポリイミドフィルムの引張弾性率を上記範囲内とすることで、ポリイミドフィルムの強度と柔軟性を担保する。
本実施の形態のポリイミドフィルムの製造方法の態様として、例えば、[1]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化してポリイミドフィルムを製造する方法、[2]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、ポリアミド酸のゲルフィルムを支持基材から剥がし、イミド化してポリイミドフィルムを製造する方法がある。また、本実施の形態のポリイミドフィルムは、複数層のポリイミド層からなるポリイミドフィルムであるので、その製造方法の態様としては、例えば[3]支持基材に、ポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥することを複数回繰り返した後、イミド化を行う方法(以下、キャスト法)、[4]多層押出により、同時にポリアミド酸を多層に積層した状態で塗布・乾燥した後、イミド化を行う方法(以下、多層押出法)などが挙げられる。
(1a)支持基材にポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥させる工程と、
(1b)支持基材上でポリアミド酸を熱処理してイミド化することによりポリイミド層を形成する工程と、
(1c)支持基材とポリイミド層とを分離することによりポリイミドフィルムを得る工程と、
を含むことができる。
(2a)支持基材にポリアミド酸の溶液を塗布し、乾燥させる工程と、
(2b)支持基材とポリアミド酸のゲルフィルムとを分離する工程と、
(2c)ポリアミド酸のゲルフィルムを熱処理してイミド化することによりポリイミドフィルムを得る工程と、
を含むことができる。
金属張積層板は、絶縁樹脂層と、この絶縁樹脂層の少なくとも片面に積層された金属層とを備えている。ここで、絶縁樹脂層の構成は、本実施の形態のポリイミドフィルムと同様である。
金属層を構成する金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、鉄、銀、パラジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、金、コバルト、チタン、タンタル、亜鉛、鉛、錫、シリコン、ビスマス、インジウム又はこれらの合金などから選択される金属を挙げることができる。金属層は、スパッタ、蒸着、めっき等の方法で形成することもできるが、接着性の観点から金属箔を用いることが好ましい。導電性の点で特に好ましいものは銅箔である。なお、本実施の形態の金属張積層板を連続的に生産する場合には、金属箔として、所定の厚さのものがロール状に巻き取られた長尺状の金属箔が用いられる。
銅張積層板は、絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に銅箔等の銅層を備えており、絶縁層が、本実施の形態のポリイミドフィルムを用いて形成されていればよい。また、絶縁層と銅層の接着性を高めるために、絶縁層における銅層に接する層が、熱可塑性ポリイミド層である。銅層は、絶縁層の片面又は両面に設けられている。つまり、本実施の形態の銅張積層板は、片面銅張積層板(片面CCL)でもよいし、両面銅張積層板(両面CCL)でもよい。片面CCLの場合、絶縁層の片面に積層された銅層を、本発明における「第1の銅層」とする。両面CCLの場合、絶縁層の片面に積層された銅層を、本発明における「第1の銅層」とし、絶縁層において、第1の銅層が積層された面とは反対側の面に積層された銅層を、本発明における「第2の銅層」とする。本実施の形態の銅張積層板は、銅層をエッチングするなどして配線回路加工して銅配線を形成し、FPCとして使用される。
本実施の形態の銅張積層板において、第1の銅層に使用される銅箔(以下、「第1の銅箔」と記すことがある)は、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。
第2の銅層は、絶縁層における第1の銅層とは反対側の面に積層されている。第2の銅層に使用される銅箔(第2の銅箔)としては、特に限定されるものではなく、例えば、圧延銅箔でも電解銅箔でもよい。また、第2の銅箔として、市販されている銅箔を用いることもできる。なお、第2の銅箔として、第1の銅箔と同じものを使用してもよい。
本実施の形態の金属張積層板は、主にFPC等の回路基板の材料として有用である。すなわち、本実施の形態の金属張積層板の銅層を常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPC等の回路基板を製造できる。
E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、320℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、320℃における貯蔵弾性率が3.0×108Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
銅箔の表面粗度は、AFM(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:Dimension Icon型SPM)、プローブ(ブルカー・エイエックスエス社製、商品名:TESPA(NCHV)、先端曲率半径10nm、ばね定数42N/m )を用いて、タッピングモードで、銅箔表面の80μm×80μmの範囲について測定し、十点平均粗さ(Rz)を求めた。
ポリイミドフィルムの試験片(幅4cm×長さ25cm)を2枚用意し、80℃で1時間乾燥した。乾燥後直ちに23℃/50%RHの恒温恒湿室に入れ、24時間以上静置し、その前後の重量変化から次式により求めた。
吸湿率(重量%)=[(吸湿後重量-乾燥後重量)/乾燥後重量]×100
イミド基部(-(CO)2-N-)の分子量をポリイミドの構造全体の分子量で除した値をイミド基濃度とした。
片面銅張積層板(樹脂層/銅箔)の銅箔を幅1mmに回路加工した測定サンプルの銅箔と樹脂層間のピール強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、樹脂面を両面テープによりアルミ板に固定し、銅箔を90°方向に50mm/分の速度で、樹脂層から10mm剥離したときの中央値強度を求めた。
BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
p-PDA:パラフェニレンジアミン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
窒素気流下で、反応槽に、2.2699gのm-TB(0.0107モル)及び28.1315gのTPE-R(0.09623モル)並びに重合後の固形分濃度が12重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、7.1366gのPMDA(0.03272モル)及び22.462gのBPDA(0.07634モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1を得た。ポリアミド酸溶液1の溶液粘度は2,130cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、1.9082gのm-TB(0.00899モル)及び33.2095gのBAPP(0.08090モル)並びに重合後の固形分濃度が12重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、5.9995gのPMDA(0.02751モル)及び18.8828gのBPDA(0.06428モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2を得た。ポリアミド酸溶液2の溶液粘度は1,690cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、17.3764gのm-TB(0.08185モル)及び10.2548gのTPE-R(0.03508モル)並びに重合後の固形分濃度が12重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、7.8046gのPMDA(0.03578モル)及び24.5642gのBPDA(0.08349モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液3を得た。ポリアミド酸溶液3の溶液粘度は3,850cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、25.5156gのm-TB(0.12019モル)、3.7136gのp-PDA(0.03434モル)及び5.0194gのTPE-R(0.01717モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、25.8231gのPMDA(0.11839モル)及び14.9282gのBPDA(0.05074モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液4を得た。ポリアミド酸溶液4の溶液粘度は34100cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、8.2770gのm-TB(0.03899モル)、14.7569gのp-PDA(0.13646モル)及び5.6988gのTPE-R(0.01949モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、29.3184gのPMDA(0.13441モル)及び16.9489gのBPDA(0.05761モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液5を得た。ポリアミド酸溶液5の溶液粘度は37800cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、23.4763gのp-PDA(0.21709モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、32.6493gのPMDA(0.14968モル)及び18.8744gのBPDA(0.06415モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液6を得た。ポリアミド酸溶液6の溶液粘度は41100cpsであった。
厚さ12μmの電解銅箔の片面(表面粗さRz;0.6μm)に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次にその上にポリアミド酸溶液4を硬化後の厚みが、約21μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。このようにして、3層のポリアミド酸層を形成した後、120℃から360℃まで段階的な熱処理を30分で行い、イミド化を完結して、銅張積層板1を調製した。この際、キャスト面側銅箔とポリイミドのピール強度は、1.2kN/mであった。また銅張積層体1について、銅箔をエッチングしフィルム化した際のCTEは23ppm/K。吸湿率は0.84重量%であった。
使用するポリアミド酸溶液を表1に記載のポリアミド酸溶液にした以外、実施例1と同様にして、銅張積層板2~5を調製した。
Claims (6)
- 非熱可塑性ポリイミドを含む非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方に熱可塑性ポリイミドを含む熱可塑性ポリイミド層を有するポリイミドフィルムであって、
下記の条件(i)~(iv);
(i)前記非熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、全テトラカルボン酸残基100モル部に対して、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基を10~30モル部の範囲内、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基を70~90モル部の範囲内で含有し、前記ジアミン残基は剛直ジアミン残基及び屈曲ジアミン残基を含むものであって、前記剛直ジアミン残基及び屈曲ジアミン残基の合計100モル部に対して、前記剛直ジアミン残基が75モル部以上95モル部以下の範囲内であり、前記屈曲ジアミン残基が5モル部以上25モル部以下の範囲内であること;
(ii)前記剛直ジアミン残基が、下記の一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基及びパラフェニレンジアミンから誘導されるジアミン残基を含み、
前記剛直ジアミン残基の100モル部に対して、下記の一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が40モル部以上90モル部以下の範囲内であり、パラフェニレンジアミンから誘導されるジアミン残基が5モル部以上55モル部以下の範囲内であること;
(iii)前記屈曲ジアミン残基が、下記の一般式(B1)及び(B2)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも一種から誘導されるジアミン残基を含むこと;
(iv)前記熱可塑性ポリイミドはテトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含み、全ジアミン残基の100モル部に対して、下記の一般式(B1)及び(B2)で表されるジアミン化合物から選ばれる少なくとも一種から誘導されるジアミン残基を40モル部以上含有すること;
を満たすことを特徴とするポリイミドフィルム。
- 一般式(B1)で表されるジアミン化合物が、1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼンであり、一般式(B2)で表されるジアミン化合物が、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンである請求項1に記載のポリイミドフィルム。
- 前記熱可塑性ポリイミドは、全テトラカルボン酸残基100モル部に対して、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基を1~90モル部の範囲内、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導されるテトラカルボン酸残基を10~99モル部の範囲内で含有する請求項1又は2に記載のポリイミドフィルム。
- 熱膨張係数(CTE)が、15ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
- 絶縁層と、該絶縁層の少なくとも一方の面に金属層を備えた金属張積層板であって、
前記絶縁層が、前記金属層の表面に接する熱可塑性ポリイミド層と、間接的に積層された非熱可塑性ポリイミド層と、を有し、
前記絶縁層が、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムからなることを特徴とする金属張積層板。 - 請求項5に記載の金属張積層板の金属層を配線に加工してなる回路基板。
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