以下に、本発明の一実施形態に係る加工装置1について、図1乃至9を参照しながら詳細に説明する。図1の全体構成図に示すように、加工装置1は、装置本体2のシートSの搬送路5の上流側に供給台36が設置される。搬送路5の下流側には紙受トレイ61が設置さられる。
装置本体2内には、シートSを搬送する搬送部4が設けられる。搬送部4は、所定の領域毎に独立した複数個の第1〜4搬送用モータ41〜44によって駆動される複数個の対のローラを備える。したがって、複数個の対のローラ10〜17がシートSの搬送方向Fに並んで配置される。
シートSの搬送路5に沿って適宜の位置には、加工部19が配置されている。加工部19は、搬送部4により搬送されるシートSの所定位置に加工処理を施す。図1に示した実施形態では、シートSの搬送路5の上流側から下流側に向けて、加工部19として3つのスリット部20、クリース部21及び横裁断部22を、それぞれ備えている。
これらの加工部19は、装置本体2に対して固定的に設置されてもよいが、フレキシブルな対応、装置の小型化及び交換作業の容易化のために、装置本体2に対してユニットとして着脱自在に設置されている。これらの加工ユニット20〜22は、いずれの設置場所にも着脱できるように、外観上同じ寸法や形状を有するように構成されている。
図2は供給台36を含むシートSの供給部3の縦断面図、図3は供給部3の平面図を示す。供給部3は、スリット部20の上流側に設置される。供給部3は、供給台36、吸引式搬送機構31、斜行補正機構32、供給ローラ33,34、重送検知部35を備える。
供給台36は、シートSが載置される。供給台36は図示しない昇降手段により昇降自在に構成される。供給台36の側方には、シートSの側端縁Seを当接させるガイド壁361を備える。また、供給台36の前方には、シートSの束を分離するための送風機38が設けられる。吸引式搬送機構31は、供給台36に載置されているシートSを図示しない吸引手段によって、1枚ずつ引き付けて吸着させ、搬送する。吸引式搬送機構31は、一対のローラ311、312に掛け渡された周回走行する無端状のベルト313を備える。ベルト313は、搬送方向Fと平行に走行する。ベルト311は、シートSの搬送方向Fに直交する幅方向Wに複数並設される。ベルト311の内方には、吸引箱312が設置される。吸引箱312は、下面に吸引口が開口して形成され、吸引箱312の下面にシートSを吸い付ける。
斜行補正機構32は、吸着搬送機構31によって搬送されてきたシートSを、一対のローラ321、322に掛け渡された無端状のベルト323に載せて、搬送する。無端状のベルト323は、シートSの搬送方向Fに対してガイド部材324側に向けて所定量傾斜して設けられる。ガイド部材324のシートSの接触面は、ガイド壁361のシートS接触面と同一面内に設置される。
斜行補正機構32では、シートSの側端縁Seが、搬送方向Fに平行なガイド壁324側に押し付けられながら搬送される。これより、シートSの側端縁Seがガイド壁324に沿った状態で搬送される。斜行補正機構32は押え部325を備える。押え部325は、押えボール326及び支持部材327を有する。押えボール326は球形に形成される。押えボール326は、支持部材327によって回転自在に支持される。押えボール326は斜行するシートSの搬送方向Fが補正される際、ベルト323上のシートSを上方より押える。ベルト323の内方には吸引箱328が設置され、図示しない吸引手段によってシートをベルト323上に吸引しつつ搬送する。
重送検知部35は、シートSの重送を検知する。重送検知部35は、光学式センサまたは超音波センサ等により構成される。重送検知部35が超音波センサである場合、重送した場合に光の透過量または反射量の違いを検知し辛い厚いシートSであっても適正に重送を検知できる。
図1に示すスリット部20は、シートSをシートSの搬送方向Fに裁断する。スリット部20の各加工ユニットは、左右一対のスリット加工デバイス201とスリッタ用モータ48とを備える。スリット加工デバイス201は、シートSの幅方向Wの適宜の位置に移動可能に構成される。シートSの裁断を必要としないときには、スリット加工デバイス201がシートSの搬送路5の外側に退避している。なお、スリット加工デバイス201のシートSの幅方向Wの移動及び位置決めは、制御部45としてのCPUによって制御される。スリッタ用モータ48は、搬送方向Fに沿った裁断を行うときにスリット加工デバイス201を回転駆動するための駆動源である。
裁断屑落し部27は、スリット部20における裁断によって生じた裁断屑をシートSの搬送路5の外側に排除するためのものである。裁断屑落し部27は、複数個の裁断屑落しデバイスと図示しない横方向位置決め軸とデバイス移動用モータとを備える。裁断屑落しデバイスは、横方向位置決め軸の回転に伴ってシートSの幅方向Wに移動可能に構成させる。所定位置に配置された裁断屑落しデバイスがシートSの搬送路5上の障害物になるために、シートSが裁断屑落し部27を通過する際に、シートSに含まれる裁断屑を落下させてゴミ箱23で回収する。
クリース部21は、シートSに対してシートSの幅方向Wに沿った折り型を形成する。クリース部21では、シートSの幅方向Wに延在する上型211及び下型212が配置されている。クリース用モータ49は、上型211を上下方向に駆動するための駆動源である。上型211と下型212との間にシートSを挟んだ状態で、上型211を下向きに駆動させて、シートSを上型211の凸部で下型212の凹部に押し込むことによって、シートSに断面が略半円状の折り型を形成する。
横裁断部22は、シートSに対してシートSを幅方向Wに沿って切断する。横裁断部22は、シートSの幅方向Wに延在する上刃221及び下刃222と、カッタ用モータ50とを備える。カッター用モータ50は、上刃57が下刃58に向けて押し込まれるように上刃57を上下方向に駆動するための駆動源である。
カッタ用モータ50は、上刃221と下刃222との間にシートSを挟んだ状態で、上刃221を下向きに駆動させて、シートSを上刃221と下刃222とで裁断する。裁断により生じた裁断屑は、下方へ落下してゴミ箱23で回収される。なお、シートSの搬送方向Fの裁断すべき余白部が広い場合には、複数のシートSの搬送方向Fの狭い領域に分割して、狭い幅で細かく裁断することができる。
加工装置1内に設置されるシートSの搬送用駆動源や加工用駆動源は、ステッピングモータやDCモータが用いられる。ステッピングモータは、パルス信号を与えることによって所定のステップ単位で回転する。搬送用駆動源及び加工用駆動源のいずれかまたは双方をステッピングモータとすることで、シートSの搬送位置や、各種加工デバイスの移動位置を高速且つ高精度に制御できる。
シートSの搬送路5に沿って適宜の位置には、複数個の検出部28が配置されている。図1に示した実施形態では、検出部28として、シート検出部91〜95及び読取部26が配置されている。シート検出部91〜95は、対の発光素子と受光素子を備える。シート検出部91〜95は、シートSがこれらの素子の間を通過して検出光を遮ることによってシートSの通過を検出する透過型の光センサである。
上記センサ群のうちシートSの搬送路5の最も上流側に設置されたシート検出部91は、供給台36から供給されたあと搬送ローラ9で把持されたシートSの前端縁Sf又は後端Srを検出する。これより、シート検出部91で検出されたシート位置を基準にして、シートSの搬送路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出する。
読取部26は、シートSに形成された画像の印刷位置に関する情報を読み取る。読取部26は、供給ローラ34と搬送部4のローラ10の間であって、最上流のシート検出部91の下流側に設置される。読取部26は、一次元のCCDイメージセンサまたは平面の画像を読み取る2次元CCDイメージセンサのいずれも使用可能である。一次元のCCDは、画像をラインスキャンで読み取る。一次元のCCDは低コストであるために好適に使用される。また、読取部26は、CCDイメージセンサに替えてCMOSイメージセンサ等を用いることもできる。バーコードM2の画像が磁気成分を含むインクで印刷されている場合には、当該磁気成分を検出するための磁気センサを、情報読取手段として用いることもできる。
読取部26は、シートSに設けられた指示部Uの装置本体2に対する搬送路5上での位置を検出する。指示部Uは、シートSに設けられ、シートSに施される加工位置、または加工位置の基準の少なくともいずれかを指し示す。
図4は、シートSに施される加工情報の一例を示す。同図では、指示部Uは、シートSの下流側の前端部分に印刷された位置マークM1により構成される場合を示す。位置マークM1は、加工部19でシートSに施される加工位置の基準を指し示す。
しかし、指示部Uは、位置マークM1に限定されず、位置マークM1に替えて、シートSの加工位置を示すマークMt、Mkにより構成してもよい。図4には、参考までに、スリット部20で施される搬送方向Fに沿った裁断線T1〜T4の加工位置が、シートSの前端部分の対応する位置にマークMtとして複数設ける場合を示している。また、幅方向Wに沿った裁断線K1〜K10の加工位置を、シートSの図4における左側端部分の対応する位置にマークMkとして複数設けた場合を示している。
指示部Uが加工位置の基準を示す位置マークM1により構成される場合、読取部26によって読み取るべき範囲を、指示部Uが設けられた例えば、シートSの前端縁Sfから20mm左側端縁Seから20mmの範囲といったシートSのより狭い一部分に限定することができる。
また、読取部26は、シートSに施されるべき各種処理動作に関する情報を読み取る。図4では、処理動作に関する情報がシートSに印刷されたバーコードM2により構成される場合を示す。バーコードM2は、シートSの下流側の前端部分に、位置マークM1に隣接して設けられる。
位置マークM1は、シートSの搬送方向Fに延在する縦位置マークMfと、シートSの幅方向Wに延在する横位置マークMwとが端部でL字状に結合した形状をしている。読取部26は、シートSの上に印刷された位置マークM1の画像を読み取って位置マークM1のシートSの搬送方向Fの位置とシートSの幅方向Wの位置とを検出する。また読取部26は、シートSの上に印刷されたバーコードM2の画像を読み取ってシートSに施されるべき各種加工情報またはシートSに施すべき加工処理情報を制御部45の記憶部から呼び出すための番号を取得する。
バーコードM2は、シートSの縦方向や横方向のサイズ情報、位置マークM1の位置情報、縦方向の各種加工(裁断、ミシン目、コーナーカット、クリース)のための位置情報、横方向の各種加工(裁断、ミシン目、コーナーカット、クリース)のための位置情報等の各種情報を表現するマークである。なお、加工を行うために必要な各種情報は、操作パネル46やPC(パーソナルコンピュータ)を介して使用者が入力することもできる。
例えば、あるシートSに印刷されたバーコードM2には、図4に示すような加工を行うことを指示する加工情報が記録されている。すなわち、T1〜T4のスリット位置に沿って縦方向の裁断加工を行うこと、K1〜K10の裁断位置に沿って横方向の裁断加工を行い、1枚のシートSから横2行、縦5列の合計10枚の加工処理物Qを得ることがバーコードM2に記録されている。
搬送部4のローラ10の下流側には、リジェクト機構25が設けられる。リジェクト機構25は、回動部材251、回動検出部255、案内部材254、リジェクト用ローラ253及びリジェクトトレイ252を備える。回動部材251は、作動時に搬送路5を遮る姿勢となる。回動検出部255は2つの光学式センサ256及び遮光板257からなる。遮光板257は、回動部材251に固定され、回動部材251の回動動作に伴って、2つの光学式センサ256の間で移動する。これより、回動部材251がシートSを下方から支持する実線で示す水平姿勢と、シートSをリジェクトするため搬送路5を遮る二点鎖線で示す傾斜姿勢とのいずれであるかを検出する。
シートSの位置マークM1やバーコードM2が不鮮明である等何らかの理由によりリジェクトすべきシートSがある場合、回動部材251が回動され、当該シートSを搬送路5の下方へ落下させる。搬送路5の下方では、リジェクトされたシートSが案内部材254及びリジェクト用ローラ253によって案内され、リジェクトトレイ252で回収する。
加工装置1は、装置における各種動作を制御するための制御部45を装置本体2に備えている。制御部45としてのCPU(中央処理演算装置)は、各種プログラムが格納されているROM(リード・オンリー・メモリ)と、各種情報が格納されているRAM(ランダム・アクセス・メモリ)と、各種の入力デバイスや出力デバイスと、を通じて各種の演算処理や加工処理や判断動作の制御を行っている。
CPUには、ROM(フラッシュROM)、RAM等の記憶部、入力デバイスとしての各種センサ26、91〜95、出力デバイスとしての各種モータ41〜44、47〜49及び、入力デバイスとしての操作パネル46が、それぞれ電気的に接続されている。読取部26で検出される位置マークM1の画像やバーコードM2の画像に基づく、シートSのサイズ情報や位置マークM1の位置情報や各種加工情報、及び、シートSの前端部Sf又は後端部Srがシート検出部91〜95を通過することによって得られるシートSの位置情報がCPUに入力され、それらの各種情報がRAMに一時的に格納される。
バーコードM2からのサイズ情報や操作パネルからの入力情報によってシートSの縦方向長さがRAMに記憶されている。したがって、シートSの下流側の前端縁Sf又は上流側の後端縁Srのいずれか一方を検出することによって、シート検出部91の設置位置を基準にして、シートSの搬送路5上におけるシートSの位置、特に各シートSの後端位置を一義的に規定することができる。
上記のように最も上流に設置されたシート検出部91によってシートSの搬送路5上で搬送されている各シートSの位置を一義的に検出することができる。しかし、他のシート検出部92〜95は、シートSの搬送路5が長くなってシートSの搬送路5上のシートSの縦方向の位置ズレ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、シート検出部91で得られたシートSの位置情報を修正して、当該シートSの位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。
制御部45は、検出部28により検出された搬送路5における指示部Uの位置が、所定範囲内であるかどうかを判断し、指示部Uの位置が所定範囲内であるとき、加工部19においてシートSに加工処理を施し、指示部Uの位置が所定範囲内にないとき、シートSへの加工処理を実行しないよう制御する。
また、制御部45は、検出された指示部Uの位置と、搬送路5における指示部Uの目標位置とのずれの大きさが所定の許容範囲内であるかどうかを判断することも可能である。
また、制御部45は、検出部28により検出された搬送路5における指示部Uの位置が所定範囲内であるとき、検出部28の検出した情報に基づいて、加工部19におけるシートSの加工位置を調整する。よって、例えば、制御部45は、読取部26の読み取った指示部Uの検出情報を基に、シートS搬送の基準となるガイド部材324のシートSの接触面325から位置マークM1の縦位置マークMfまでの長さLwを算出する。そして、制御部45は、シートSを搬送すべき目標位置からのずれの大きさを算出する。制御部45は、得られた搬送位置のずれの大きさに応じて、スリット部20のスリット加工デバイス201の幅方向Wの位置を調整し、シートSの縦方向の裁断位置を調整することができる。
また、制御部45は、検出部28としての読取部26の上流側に設置されたシート検出部91においてシートSの前端縁Sfを検出した後、読取部26で読み取った位置マークM1の横位置マークMwまでの長さを算出する。そして、実際のシートSの前端縁Sfから横位置マークMwまでの長さLfに対し、検出部28の検出結果から得られたシートSの前端縁S
fから横位置マークMwまでの長さとのずれの大きさを算出する。制御部45は、ずれの大きさに応じて、クリース部21や横裁断部22の幅方向Wに沿った加工線を形成する際、シートSに加工処理を実行するタイミングを調整する。
このため制御部45は、目標値と検出結果との差に基づいて、シートSを加工処理するため搬送を停止するタイミングを調整する。
次に、加工装置1の動作について説明する。まず、主電源スイッチを入れ加工装置1を立ち上げると、各種の内部動作チェックを行う。加工装置1の使用者は、供給台36に、シートSの束を載置する。供給台36上で使用者は、シートSの一方の側端縁がガイド壁361に接触する基準位置に調整しシートSを載置する。そして、使用者は、シートSの加工情報を、操作パネル46を用いて入力するか記憶部から呼び出し、設定する。
図5は加工装置1の制御フローを示す。図5のステップ101で、制御部45は、使用者の設定によりシートSの加工情報を取得する。シートSの加工情報には、シートSの搬送方向F及び幅方向Wの長さ、シートSの裁断位置、折目形成位置が含まれ、更に、加工情報には、指示部UのシートSにおける形成位置の情報、例えば、図7に拡大して示すようなシートS前端隅部分におけるシートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLw及びシートの前端縁Sfから横位置マークMwまでの長さLfが含まれる。指示部Uの許容範囲に関する情報についても加工情報に含まれる。
取得した加工情報を基に、制御部45は、搬送方向Fに沿った裁断するための裁断位置情報から、スリット部20での左右の各スリット加工デバイス201のホームポジションから各裁断位置への幅方向Wへの移動すべき長さを算出する。また、制御部45は、幅方向Wに沿った裁断を行うための裁断位置情報から、シートSの前端縁Sfから各々の裁断位置まで搬送部4によって搬送すべき長さを算出する。
更に、加工情報から取得したシートSにおける指示部Uの形成位置と、当該指示部Uの許容範囲に関する情報から、制御部45は、検出部28によって検出される主走査方向及び副走査方向の指示部Uの搬送路5上の位置について、加工処理を行うかどうかの判断の基準となる所定の範囲を設定する。
このような所定の加工位置に関連する情報及び、当該加工位置からはずれて搬送されたときの許容される所定範囲に関する情報を用いた制御に替えて、またはこれに加えて、制御部45は、検出部28によって検出された指示部Uの位置と、搬送路5における指示部Uの目標位置とのずれの大きさを算出することとしてもよい。この場合制御部45は、当該ずれの大きさが許容される範囲であるかどうかの判断の閾値である所定の許容範囲内を加工情報または記憶部から取得し、設定することができる。
図5のステップ102で、制御部45は、シートSの加工処理の準備動作を行う。
加工処理の準備動作では、給紙部3において、昇降手段を駆動し、供給台36をシートSの搬送路5への供給位置へ移動する。そして、送風機38を駆動し、空気流によりシートSを1枚ずつ捌く。スリット部20では直前の加工処理の裁断位置に位置するスリット加工デバイス201を一旦ホームポジションへ移動する。そして、制御部45は、算出移動量だけスリット加工デバイス201を幅方向Wに移動し、スリット加工デバイス201を加工位置に位置させる。横裁断部22では、上刃221を上限位置へ移動するようカッター用モータ50を駆動する。また、制御部45は、リジェクト機構25において搬送路5から排除したシートSの排除回数を0に設定する。搬送部4では、搬送駆動部41〜44の励磁を開始する。
使用者がシートSの加工処理開始の操作を行うと、図5のステップ103で、シートSの加工処理動作を開始する。図6は、ステップ103の加工処理の詳細なフローである。図6のステップ11で、制御部45は、供給台36上のシートSの束から、吸引搬送機構31によって一枚ずつシートSを搬送路5へ供給する。その際、制御部45は、まず、吸引手段を駆動し、最上位のシートSを吸引箱314の下面に引き付けて吸着させる。そして、制御部45は、ローラ311,312を回転してベルト313を走行させる。
シートSは、ガイド壁361にシートSの一方の側端縁Seを沿わせつつ搬送路5を下流側へ搬送される。ステップ12で、重送検知部35の検出結果より、シートSが重送されたかどうか判断する。シートSが重送していたならば、ステップ19に進み、制御部45は、供給したシートSを搬送路5から排除する。
シートSを搬送路5から排除する際、制御部45は、重送した状態で送られた複数枚のシートSを、斜行補正機構32、供給ローラ33,34及び搬送部4のローラ10により下流側のリジェクト機構25へ搬送する。そして、制御部45は、回動部材251の駆動源を駆動して回動部材251を水平姿勢から傾斜姿勢へと回動する。シートSは、傾斜姿勢の回動部材251によって下方へ案内され、案内部材253、案内ローラ254によって送られ、リジェクトトレイ252に回収される。
図6のステップ19からステップ20へ進むと、制御部45は、シートSの搬送路5からの排除回数を加算する。ステップ21へ進み、制御部45は、シートSの搬送路5からの排除回数が予め設定した所定値を超えたかどうか判断する。所定値を超えていないとき、ステップ11に戻る。ステップ21で排除回数が所定値を超えたとき、リジェクトトレイ252が満杯であると判断し、リターンとなる。図6のリターンから図5のステップ103に戻ると終了となる。
図6のステップ12でシートSの重送が検出されないとき、ステップ13に進む。重送検知部35を通過したシートSは、斜行補正機構32に送られる。斜行補正機構32では、シートSの斜行が修正される。ベルト323上に送られて来たシートSの搬送が斜めであった場合、ガイド部材324に平行な方向に向けてシートSが搬送されるよう修正される。その際、制御部45は、ベルト323を走行させることで、シートSが、ガイド部材324に向けて搬送されるようにする。シートSの側端縁Seがガイド部材324に接触しながら下流側へ搬送されると、シートSの斜行は修正される。
斜行補正機構32の下流側で、シートSは供給ローラ33、34によって挟持搬送される。供給ローラ34の下流側にシートSの前端縁Sfが至ると、図6のステップ13において、検出部28によってシートSの指示部Uが検出される。すなわち、検出部28としてのシート検出部91は、シートSの前端縁Sfを検出し、制御部45に検出信号が送られる。シート検出部91によるシートSの前端縁Sfの検出の後、読取部26にシートSの位置マークM1及びバーコードM2を読み取る直前の位置までシートSをステップ搬送する。
シートSが読取部26の設置位置に至ると、検出部28としての読取部26によってシートSに設けられた指示部Uとしての位置マークM1が読み取られる。また読取部26によってバーコードM2に記録された加工情報が読み取られる。
読取部26で指示部Uを検出する際、検出可能な程度まで減速した状態で且つ、読取部26が一次元の読取の場合、シート搬送速度が一次元の読取速度の整数倍となる速度でシートSの搬送を続けながら、読取部26が、シートSの位置マークM1及びバーコードM2を読み取る。シートSに関して読み取られたサイズ情報や位置情報や加工情報等は、制御部45としてのCPUに送られてRAMに一時的に記憶される。
読取部26が、例えば一次元CCDにより構成される場合、主走査方向及び副走査方向の各データを順次取得する。予め設定した必要となる所定長さの検出したところで検出部28による検出を終了する。制御部45は、読み取られた主走査方向及び副走査方向の位置マークM1の読取位置を取得する。
一方、読取部26が2次元の画像を読み取り可能に構成される場合、検出部28は、位置マークM1、バーコードM2、シートSの前端縁Sf、側端縁Seを2次元で読み取る。
ステップ14に進み、検出した内容が適切かどうか判断する。読取部26で読み取られた位置マークM1及び/又はバーコードM2の画像が不鮮明のために適切に読取できないと制御部45が判断した場合、ステップ19に進み、当該シートSをリジェクト機構25によって搬送路5から排除する。そして重送を検出したときと同様に、ステップ20でシートSの排除回数を加算し、ステップ21でシートSの排除回数が所定値を超えたかどうか判断する。
図6のステップ14で検出部28の検出内容が適切な場合、ステップ15に進む。ステップ15で、制御部45は、検出部28により検出された搬送路5における指示部Uの位置が、所定範囲内であるかどうかを判断する。
図7(a)に示すように、シートS1がガイド部材324のシートSの接触面325に、シートの側端縁Seを当接させている状態では、前記接触面325から縦位置マークMfまでの長さLgは、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwと等しくなる。ここで、本実施形態では、指示部Uを構成する縦位置マークMfの位置を、縦位置マークMfの図7における左端縁MLの位置について説明するが、これに限定されず、縦位置マークMfの図7における右端縁Mrとしてもよく、幅方向Wに所定幅を有する縦位置マークMfの中央位置Mnとしてもよい。
しかし、同図(b)に示すように、シートS2がガイド部材324から幅方向Wに所定量Ls離間して搬送されると、ガイド部材324のシートSの接触面325から縦位置マークMfまでの長さLgは、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwより長くなり、Lg=Ls+Lwとなる。
このように、読取部26が読み取った縦位置マークMfの位置が、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwと異なる場合には、シートSが搬送路5上の不適切な位置で搬送されている恐れがある。このため、制御部45は読取部26が読み取った縦位置マークMfの位置が、予め設定した所定範囲内であるかどうかを判断する。
所定範囲は、シートSが搬送路5において不適切な位置で搬送されている可能性があると判断できる大きさに設定される。指示部Uとしての縦位置マークMfの位置が所定範囲内であるときは、シートSの搬送路5における搬送位置は適切であると考えられる。所定範囲の大きさは、プリンターの性能に影響される。シートSが搬送路5上の適切な位置を搬送されている場合であっても、シートSに形成される画像の位置がシートSの前後及び左右の端縁に対しずれている場合には、読み取った縦位置マークMfの位置が目標位置からずれてしまうこととなる。
加工装置1により加工処理されるシートSは、プリンターによって既に画像が形成されていることが多い。加工装置1でシートSに施す裁断、折り型やミシン目形成等の加工処理は、シートSの画像の形成位置に応じて行われることが要求される。しかし、プリンターの性能により、シートSに形成される画像位置が例えば数ミリ程度ずれている場合、シートSの搬送は適切に行われているので、シートSを搬送路5から排除せずに、加工部19へ搬送し、シートSにおける画像の形成位置に応じて、調整した加工位置で加工処理を行うことが好ましい。
このため、使用者は、シートSに画像が形成されている場合、プリンターの性能に基づく画像形成位置のずれの大きさに応じて、所定範囲の値を、自由に変更し、設定できることとすることが好ましい。
たとえば、画像形成位置が目標位置から1mm〜2mm程度ずれることがあるプリンターを用いて画像形成したシートSを加工処理する場合、使用者は所定範囲を目標位置から左右ともに3mmと設定することができる。仮に、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さが10mmであるとすると、所定範囲は7mm乃至13mmとなる。この場合、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwの30%を所定範囲とすることになる。このように、所定範囲の大きさは例えば想定される長さに対して3割から5割程度を閾値とすることができる。
そして、読取部26によって読み取られた縦位置マークMfの位置から算出したガイド部材324のシート接触面325と、当該縦位置マークMfの間の長さが、7mm乃至13mmの範囲内であるときは、適正に搬送されていると判断する。読み取られた縦位置マークMfの位置が、シートS接触面から7mmより短い距離しか離れていないかまたは、13mmを超えて離れている場合には、搬送不良と判断する。
同様に、シートSの搬送方向Fの搬送位置につき、図7(a)に示すように、シートS1が適切に搬送されている状態では、検出部38の検出結果に基づくシートSの前端縁Sfから横位置マークMwまでの長さは、シートSの前端縁Sfから横位置マークMwの印刷位置までの長さLfと等しくなる。ここで、指示部Uを構成する横位置マークMwの位置を、横位置マークMwの図7における前端縁Mfの位置について説明するが、これに限定されず、横位置マークMwの図7における搬送方向F後端縁Msとしてもよく、搬送方向Fに所定幅を有する横位置マークMwの中央位置Mpとしてもよい。
シートS2の搬送方向Fの位置がずれると、検出部38の検出結果に基づくシートSの前端縁Sfから横位置マークMwまでの長さは、シートSの前端縁Sfから横位置マークMwの印刷位置までの長さLfと異なる長さとなる。
このように、読取部26が読み取った縦位置マークMfの位置が、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwと異なる場合には、シートSが搬送路5上の不適切な位置で搬送されている恐れがある。このため、制御部45は読取部26が読み取った縦位置マークMfの位置が、予め設定した所定範囲内であるかどうかを判断する。
所定範囲は、シートSが搬送路5において不適切な位置で搬送されている可能性があると判断できる大きさに設定される。指示部Uとしての縦位置マークMfの位置が所定範囲内であるときは、シートSの搬送路5における搬送位置は適切であると考えられる。所定範囲の大きさは、プリンターの性能に影響される。シートSが搬送路5上の適切な位置を搬送されている場合であっても、シートSに形成される画像の位置がシートSの前後及び左右の端縁に対しずれている場合には、読み取った縦位置マークMfの位置が目標位置からずれてしまうこととなる。
加工装置1により加工処理されるシートSは、プリンターによって既に画像が形成されていることが多い。加工装置1でシートSに施す裁断、折り型やミシン目形成等の加工処理は、シートSの画像の形成位置に応じて行われることが要求される。しかし、プリンターの性能により、シートSに形成される画像位置が例えば数ミリ程度ずれている場合、シートSの搬送は適切に行われているので、シートSを搬送路5から排除せずに、加工部19へ搬送し、シートSにおける画像の形成位置に応じて、調整した加工位置で加工処理を行うことが好ましい。
このため、使用者は、シートSに画像が形成されている場合、プリンターの性能に基づく画像形成位置のずれの大きさに応じて、所定範囲の値を、自由に変更し、設定できることとすることが好ましい。
たとえば、画像形成位置が目標位置から1mm〜2mm程度ずれることがあるプリンターを用いて画像形成したシートSを加工処理する場合、使用者は所定範囲を目標位置から左右ともに3mmと設定することができる。仮に、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さが10mmであるとすると、所定範囲は7mm乃至13mmとなる。この場合、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwの30%を所定範囲とすることになる。このように、所定範囲の大きさは例えば想定される長さに対して3割から5割程度を閾値とすることができる。
そして、読取部26によって読み取られた縦位置マークMfの位置から算出したガイド部材324のシート接触面325と、当該縦位置マークMfの間の長さが、7mm乃至13mmの範囲内であるときは、適正に搬送されていると判断する。読み取られた縦位置マークMfの位置が、シートS接触面から7mmより短い距離しか離れていないかまたは、13mmを超えて離れている場合には、搬送不良と判断する。
制御部45は、読取部26で読み取った縦位置マークMfの位置が所定範囲内のときは、図6のステップ16に進みシートSを加工部19へ搬送し、加工処理を実行する。一方、所定範囲を超えている場合、シートSの搬送位置が不適切であると判断し、ステップ19に進み当該シートSを搬送路5から排除する。
図8は、シートSが搬送路5の適切な位置で搬送されているかどうかの判断方法を示す図である。同図において、破線H,Iの間が、縦位置マークMfの位置するべき所定範囲を示す。よって、破線H,Iの間に縦位置マークMfが位置する場合には、シートSは適正に搬送されていると判断される。同図(a)では、縦位置マークMfの位置が破線H,Iの間に位置するので、制御部45はシートS3が適切な位置で搬送されていると判断する。
同図(b)では、シートS5が、ガイド部材324のシートSの接触面325から長さLsだけ離間した位置で搬送されている。このとき、読取部26は、ガイド部材324のシートS接触面325から長さLgだけ離間した位置で、縦位置マークMfを検出する。読み取った縦位置マークMfの位置は破線Hから破線Iまでの所定範囲から外れている。シートS4はガイド部材324に側端縁Seを沿わせつつ搬送されていない。このようなシートS4は、加工部19に搬送されるまでの間に、斜行したりジャムとなったりして、適切に加工処理されず、加工部19で不適切な位置に加工処理されると、当該シートSは再度加工処理できず廃棄処分となる。
例えば、シートSの側端縁Seから縦位置マークMfまでの長さLwが10mmである場合に、検出部28により検出された縦位置マークMfまでの長さLgがガイド部材324から13mm離れた位置であったとする。この場合、同図(b)に示すように、シートSは、基準位置であるガイド部材324に側端縁Seを沿わせつつ適正に搬送されているのではなく、基準位置からLs=3mm離れた中央寄りの位置を搬送されていると考えられる。このときには搬送の際に想定される長さの10mmに対して検出した値が13mmとなり、目標位置からのずれの大きさが3mmとなり、3割のずれとなる。
同図(c)は、シートS5の搬送位置が図8における左側に偏っている状態を示す。これは、シートS3が薄いときや柔らかい材質のとき、斜行補正機構32においてガイド部材324に向けた搬送が行われたとき、シートS5の側端縁Seがガイド部材324に乗り上げたり折り返されてしまったりして過剰にガイド部材324設置位置の方向へ移動させられたとき等に発生する。この場合にも、縦位置マークMfは、破線H、Iの間の所定範囲内に位置しない。このため、制御部45は、シートSの指示部Uが所定範囲内にないと判断し、当該シートS5を搬送路5から排除する。
例えば、検出部28により検出された縦位置マークMfの位置がガイド部材324からの長さLgで7mmであったとすると同図(c)に示すように、目標位置である10mmより3割短い値となる。この場合、制御部45はシートSの搬送不良が発生したと判断することができる。
図9は、シートSの他の搬送態様を示す。同図(a)では、シートS6がガイド部材324に対し傾斜して搬送されている。このため、シートS6の前端縁Sfはガイド部材324に乗り上げて搬送されている。この場合、縦位置マークMfが破線H,Iの間の所定範囲内に前端縁Sf近傍の一部分しか含まれない。図9における縦位置マークMfの後方部分は所定範囲より図9において右側に位置する。制御部45は、このように縦位置マークMfの一部しか所定範囲内にない場合にも、シートS4が適切に搬送されていないと判断することができる。
図9(b)では、同図(a)とは逆方向に傾斜してシートS7が搬送される場合を示す。この場合、縦位置マークMfの後方部分の一部しか破線H,Iで示す所定範囲内にない。この場合にも制御部45は、シートS5が適切に搬送されていないと判断することができる。
また、制御部45は、読取部26が読み取った縦位置マークMfの位置と、搬送路5における縦位置マークMfの目標とされる位置とのずれの大きさを算出し、得られたずれの大きさが所定の許容範囲を超えているか否かを判断することも可能である。
そして、ずれの大きさが予め設定された所定範囲内であるとき、加工部19においてシートSに加工処理を施す。一方、ずれの大きさが前記所定範囲を超えているときには、シートSへの加工処理を実行しないよう制御する。
ずれの大きさが予め設定された所定範囲内であって、加工部19においてシートSに加工処理を施す際には、制御部は、読取部26の読み取った縦位置マークMfの搬送路5における位置に基づいて、スリット部20におけるシートSの裁断位置を調整するようスリッタ加工デバイス201を幅方向Wに移動する。
図8,9では、シートSの搬送位置が、搬送路5上で幅方向Wにずれた場合を示した。これに加え、シートSの搬送方向Fにおける搬送不良についても検出部28によって指示部Uを検出することで、判断することができる。シートSの搬送方向Fの搬送位置を把握するためには、例えば、検出部28としてのシート検出部91が指示部UとしてのシートSの前端縁Sfを検出したタイミングを用いることができる。
シート検出部91がシートSの前端縁Sfを検出した後、所定時間経過後に、読取部26が横位置マークMwの前端縁Sfを読み取る。制御部45は、横位置マークMwを読み取ったタイミングから算出した装置本体2に対する搬送路5上でのシートSの搬送位置が、予め設定した所定範囲内であるときは、シートSが適切に搬送されていると判断することができる。
所定範囲は、例えば、シートSが斜行し、不適切に搬送されているときに、横位置マークMwの一部が所定範囲内となるものの、残部が所定範囲内とはならないような大きさに設定することができる。これより、横位置マークMwの全てが所定範囲内にないときには、シートSが斜行する不適切な搬送であると判断できる。
また、制御部45は、シートSの前端縁Sfを読取部26が読み取ったタイミングを用いて、シートSの搬送位置を算出することも可能である。
シートSの搬送位置が、予め設定した所定範囲内にないときは、ローラ33,34やベルト313、323が滑る等何らかの不具合を生じている恐れがある。しかし、搬送誤差を修正し、加工部19におけるシートSの加工タイミングをシートSの搬送位置に合わせることで、適切な加工処理を実行できる場合には、制御部45は、シートSを搬送路5から排除することなく、加工部19へ搬送し、加工処理することを選択することも可能である。
しかし、シートSが斜行している恐れがある場合には、加工部19において搬送方向Fに直交する向きに加工処理すると、当該シートSは適切に加工処理されず、廃棄しなければならなくなる。よって、このような場合には、制御部45は、当該シートSを加工部19へ搬送する前に、搬送路5から排除する。これより、リジェクトトレイ252に回収されたシートSを再度供給台36に載置し、搬送しなおすことで、加工処理に用いることができる。
また、シートSの横位置マークMwを読取部26が読み取ったタイミングを基に、シートSの搬送位置を算出し、算出により得られた搬送位置と、目標とされる搬送位置との搬送方向Fでのずれの大きさを求め、当該ずれの大きさが所定の許容範囲内かどうかを判断することも可能である。搬送方向Fのずれの大きさが所定の許容範囲内であるときは、適切に搬送されていると判断し、許容範囲を超えているときは、不適切な搬送であると判断することができる。
図7に(a)に示すシートS1では、適切に搬送されているために、検出部28によって検出された指示部Uの位置を基に算出したシートSの前端縁Sfと横位置マークMwの間の長さが予め設定されたシートSにおける前端縁Sfと横位置マークMwの間の長さLfに等しくなる。
しかし、シートSが図9(a)、(b)に示すように傾斜して搬送されている場合、検出部28によって検出された指示部Uの位置を基に算出したシートSの前端縁Sfと横位置マークMwの間の長さLkが予め設定されたシートSにおける前端縁Sfと横位置マークMwの間の長さLfより長くなることがある。そこで、制御部45は、検出された指示部28の搬送方向Fの位置と、搬送路5における指示部Uの搬送方向Fの目標位置とのずれの大きさが、予め設定された所定範囲内であるとき、加工部19においてシートSに加工処理を施す。一方、前記ずれの大きさが前記所定範囲を超えているときには、シートSへの加工処理を実行しないよう制御することができる。
シートSが適切に搬送されていると判断され、シートSが下流側のクリース部21及び横裁断部22へ送られ、シートSに幅方向Wに沿った加工処理を施す際、読取部26で読み取られた横位置マークMwの搬送位置に応じて、バーコードM2による設定値を修正することができる。そして、当該修正量に応じて、クリース部21や横裁断部22等による横方向の加工に関する加工位置を決定する。
この場合、制御部45は、シートが正常に搬送されていないと判断し、リジェクト板を作動させて、シートSをリジェクトトレイへリジェクトする。後続のシートSは、通常の設定では、処理が継続される。リジェクトすることによって、成果物の順序が入れ替わるのが好ましくない場合には、ユーザーが設定操作することによって、加工処理動作を停止させてもよい。使用者は、搬送不良と判断されたシートSをリジェクトトレイ252または搬送路5上から回収し、供給台36に再度積載しなおす。これより、シートSは予め想定した順序で加工処理され、紙受け部に積載される。
図6のステップ16で、スリット部20の各スリット加工デバイス201を所定の横方向の位置に位置決め制御し、スリット加工を行う。シートSに対するシートSの幅方向Wの処理は、制御部45がRAMに記憶されたシート検出部91の検出結果を基に算出したシートSの位置情報、または既に更新されているならば当該更新されたシートSの位置情報に基づいて、シートSの位置を規定することができる。更に、位置決め精度向上のために下流側のシート検出部92〜94が、シートSの幅方向Wの後処理に臨もうとするシートSの前端縁Sfを検出して、当該シートSの搬送方向Fの搬送による誤差の有無をチェックする。
制御部45は、シートSについての搬送誤差を検出した場合には、RAMに記憶されたシートSの位置情報をシート検出部92〜94で得られたシートSの位置情報に修正する。そして、シートSを下流側の加工部19にステップ搬送させ、修正されたシートSの位置情報、及び加工情報に基づいて、クリース部21で横クリース加工を、シートSに施す。
横クリース加工が施されたシートSに対して、横裁断部22の上刃221、及び下刃222によって、シートSを裁断する。加工部19の加工処理により得られた加工処理物Qは、排紙トレイ61に排出される。
図6のステップ17で装置の停止操作がされるとリターンとなる。また停止操作されない場合に、ステップ18に進み、供給台36上にシートSが載置されている間は、ステップ11に戻り、後続のシートSを搬送路5へ供給する。ステップ18でシートSがなくなると、リターンとなる。
以上より、本実施形態に係る加工装置1によれば、指示部Uの位置が所定範囲内であるとき、加工部19においてシートSに加工処理を施し、指示部Uの位置が所定範囲内にないとき、シートSへの加工処理を実行しないよう制御する制御部45を備えるので、シートSの搬送不良があったときに、当該シートSに加工処理を行わないようにでき、シートに所望していない加工がなされるのを防止可能である。
また、シートSに加工処理を施すかどうかの判断の基準となる所定範囲の値が、シートSに画像を形成した画像形成装置の種類に応じて設定可能である場合は、画像形成装置の性能に応じてシートの搬送不良の有無の判断の基準を変更することができる。
そして、シートSには、所定範囲に関する情報が付与されており、前記制御部45は、前記シートSに設けられた所定範囲に関する情報に基づいて各部を制御する場合は、シートSごとに、当該シートSの搬送不良があるかどうかの判断の基準を変更することが可能である。
制御部45は、検出された指示部Uの位置と、搬送路5における指示部Uの目標位置とのずれの大きさが所定の許容範囲内であるかどうかを判断する場合には、検出された指示部Uの位置と目標位置とのずれの大きさを用いてシートSの搬送不良をより適切に判断できる。
そして、検出部28には、シートSに形成された画像の印刷位置に関する情報を読み取る読取部26が設けられるので、読取部26によって読み取った情報を用いて、シートSの搬送不良をより適切に判断できる。
更に、制御部45は、検出部28の検出結果に基づいて、加工部19におけるシートの加工位置を調整する場合は、シートの加工位置の精度を向上可能である。
更に、制御部45は、搬送されるシートSに加工処理を施さないとき、シートSを搬送路5から排除する場合は、装置の動作を停止することなく後続のシートSの処理を継続することができる。また、搬送路5から排除し、回収したシートSを加工部19に搬送し、加工処理することができる。
更に、検出部28は、シートSの搬送方向F及び搬送方向Fに直交する幅方向Wの少なくともいずれかの指示部Uの位置を検出する場合は、装置本体2に対する搬送路5上でのシートSの位置を効率よく検出することができる。
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様で実施可能である。例えば、シートSに対してシートSの搬送方向Fの加工を施す加工手段として5つの着脱自在な加工ユニット20,21、22を用いたが、シートSの搬送方向Fの加工手段の配置数やそれらの配置順番やそれらの加工デバイスは、所望とする加工内容に応じて、適宜変更することができる。シートSの幅方向Wの加工部19についても、同様である。
また、シート検出部91〜95の配置場所や配置数も、使用する加工手段に応じて適宜変更することができる。また、上記実施形態では、シート検出部91〜95を設けて、シートSの縦方向の搬送誤差を検出したが、これらのシート検出部91〜95を設けずに、シート検出部91で検出されたシート位置だけを基準にして、シートSの搬送路5上で搬送されている各シートSのそれぞれのシート位置を一義的に検出するように構成することができる。
また、本発明において、横方向に移動して横方向に位置決めし得るスリット部20のスリット加工デバイス201は、縦方向の裁断加工を施したが、これに限定されず、縦方向のミシン目加工、縦方向のクリース加工、又は、被加工対象物のコーナー部分への丸め加工等から適宜選択して用いることができる。これらの加工デバイスは、加工ユニット内にシートが無い状態で、すなわち、加工デバイスにシートが噛み込まれていない状態で、横方向に位置決め移動する。
また、指示部Uは、シートSに形成されたL字状の位置マークM1またはシート前端縁Sfにより構成されたが、シートSに設けられ、加工処理を施す所定位置、または前記所定位置の基準の少なくともいずれかを指し示すことができればよく、シートの後端縁、側端縁としてもよく、加工処理位置に対応して設けたシートの切欠き、マーク、凹凸等であってもよい。更に、位置マークM1はL字状に替えて四角形や三角形、多角形としてもよい。位置マークM1はシートの前端隅部に設けたがシートの中央部分や後端部分でもよく、側縁近傍でもよい。
また、シートが重送したとき、及びシートに加工処理を施さないときには、リジェクト機構によってシートを搬送路5から排除したが、これに替えて、ローラの回転及びベルトの走行を停止することで、シートの搬送を停止してもよい。この場合、使用者は必要によりローラを逆回転し、またベルトを逆走させることで、シートを回収し、供給台に再度載置することができる。
検出部28には、シートSに形成された画像の印刷位置に関する情報を読み取る読取部26を設けたが、読取部を設けない構成としてもよい。
制御部45は、検出部28の検出結果に基づいて、加工部19におけるシートSの加工位置を調整したが、加工位置の調整を行わなくてもよい。検出部28は、シートSの搬送方向F及び前記搬送方向Fに直交する幅方向Wの少なくともいずれかの指示部Uの位置を検出したが、搬送方向に傾斜する方向を検出してもよく、他のなんらかの指示を検出してもよい。