JP6906899B2 - 乳化組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、乳化組成物に関する。より詳細は、ジクロフェナクまたはその塩を安定に含有する弱酸性〜酸性の乳化組成物に関する。
従来より、肩こりや関節の痛みを緩和するために、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク若しくはその塩、またはジクロフェナク若しくはその塩などを有効成分とする、いわゆる非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)が用いられている。とくに近年、これらの非ステロイド系抗炎症剤のなかでも、抗炎症効果の高さからジクロフェナクまたはその塩が注目されている。
これらの非ステロイド系抗炎症剤は、通常、液剤(ローション)、ゲル剤、乳液やクリーム等の乳化製剤、または貼付剤等の、皮膚に塗布または貼付して使用される経皮投与製剤(外用剤)の形態で使用されている。中でも、乳液やクリーム等の乳化製剤は、水溶性の有効成分と油溶性の有効成分の両方を配合することができることから処方が組みやすく、また高付加価値が付けられることから、製剤の有効性及び有用性という観点からも優れた製剤形態である(例えば、特許文献1及び2参照)。また乳化製剤は、皮膚に馴染みやすく、皮膚に対するすべりもよく、塗り込み易いという長所もある。なお、乳化製剤の調製には、乳化安定性に優れることから、ノニオン界面活性剤が好適に使用されている。
特開2012−77027号公報 特開2015−187085号公報
前述するように、近年、非ステロイド系抗炎症剤のなかでもジクロフェナクまたはその塩が注目されているが、本発明者らがノニオン界面活性剤を用いてジクロフェナクまたはその塩を有効成分とする乳化製剤の開発を進めていたところ、pH6.5以下の弱酸性〜酸性領域では、長期保存することで(例えば50℃で1ヶ月)、上記有効成分が大幅に減量するという問題が生じることを知見した。また、こうしたジクロフェナクまたはその塩の減量は、これを液剤やゲル剤の形態に調製した場合には発生しないことから、ノニオン界面活性剤を用いてpH6.5以下の乳化製剤を調製した場合に生じる乳化製剤固有の問題である。
一方で、乳化製剤のpHを7以上に調整すると、添加する他の有効成分(例えば、血行促進剤であるニコチン酸ベンジルエステルなど)が減量してしまうなど、添加する有効成分の種類が制限されるという問題もある。
本発明の目的は、こうしたジクロフェナクまたはその塩を有効成分とする乳化製剤の問題を解決することである。具体的には、本発明は、ジクロフェナクまたはその塩を有効成分とするpH6.5以下の乳化製剤について、ジクロフェナクまたはその塩の安定性を高め、その減量を抑制するための方法を提供することを目的とする。また本発明はジクロフェナクまたはその塩の減量が抑制されてなるpH6.5以下の乳化製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、後述する実験例に示すように、(a)ジクロフェナクまたはその塩、(c)油性成分、(B)界面活性剤、及び(d)水を含有する乳化製剤において、(B)界面活性剤としてノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を併用することで、そのpHを6.5以下に調整した場合に生じる上記(a)成分の減量を有意に抑制することができ、(a)成分を安定に含有するpH6.5以下の乳化製剤が調製できることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
(I)乳化組成物
(I−1)下記成分を含むことを特徴とするpH6.5以下の乳化組成物:
(a)ジクロフェナクまたはその塩、
(b)ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤、
(c)油性成分、及び
(d)水。
(I−2)(b)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、(I−1)記載の乳化組成物。
(I−3)乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、(I−1)又は(I−2)に記載する乳化組成物。
(I−4)乳化組成物中の油相成分100重量部に対するノニオン界面活性剤の割合が10〜100重量部である、(I−1)〜(I−3)のいずれに記載する乳化組成物。
(I−5)乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、(I−1)〜(I−4)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−6)さらに抗ヒスタミン剤、血行促進剤、及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する(I−1)〜(I−5)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−7)水中油(O/W)型または油中水(W/O)型の乳化組成物である(I−1)〜(I−6)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−8)外用医薬組成物である(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−9)消炎鎮痛剤である(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する乳化組成物。
(II)ジクロフェナクまたはその塩の分解抑制方法
(II―1)(a)ジクロフェナクまたはその塩、
(B)界面活性剤
(c)油性成分、及び
(d)水
を含むpH6.5以下の乳化組成物における(a)成分の分解抑制方法であって、上記(B)成分としてノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて使用することを特徴とする、上記方法。
(II−2)(B)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、(II−1)記載の方法。
(II−3)乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、(II−1)又は(II−2)に記載する方法。
(II−4)乳化組成物中の油相成分100重量部に対するノニオン界面活性剤の割合が10〜100重量部である、(II−1)〜(II−3)のいずれに記載する方法。
(II−5)乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、(II−1)〜(II−4)のいずれかに記載する方法。
(II−6)乳化組成物が、さらに抗ヒスタミン剤、血行促進剤、及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである(II−1)〜(II−5)のいずれかに記載する方法。
(II−7)乳化組成物が水中油(O/W)型または油中水(W/O)型の乳化組成物である(II−1)〜(II−6)のいずれかに記載する方法。
ジクロフェナクまたはその塩を有効成分とするpH6.5以下の乳化製剤は、通常長期保存によりジクロフェナクまたはその塩の減量が生じるが、本発明の乳化組成物及び方法によれば、ジクロフェナクまたはその塩を有効成分とする乳化組成物について、pHが6.5以下でありながらも、当該有効成分の減量が有意に抑制され、長期にわたり安定してその有効性を維持することができる。また本発明の乳化組成物及び方法によれば、pHを6.5以下に調整することができるため、ジクロフェナクまたはその塩を有効成分とする乳化組成物に対して、弱アルカリ性〜アルカリ性などの高pH領域で不安定な成分(例えば、血行促進剤であるニコチン酸ベンジルエステルなど)を配合することも可能になる。
実験例1において、界面活性剤としてノニオン界面活性剤だけを含む乳化組成物(pH<6.5)(比較例1)と、ノニオン界面活性剤に加えてカチオン界面活性剤を1重量%及び0.1重量%の割合で含む乳化組成物(実施例1及び2)について、50℃1ヶ月間の保存前後におけるジクロフェナクNaの含量(%)を示した図である。 上記比較例1、実施例1及び2の乳化組成物について、50℃1ヶ月間の保存前後(初期、放置後)における乳化粒子の形状及び大きさの変化を、偏光顕微鏡で観察した画像結果を示す。
(I)乳化組成物 本発明の乳化組成物は、(a)ジクロフェナクまたはその塩、(B)界面活性剤、(c)油性成分、及び(d)水を含有する乳化形態を有する、pH6.5以下の製剤であって、当該(B)界面活性剤として、(b)ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて用いることを特徴とする。
以下、これらの各成分について説明する。
(a)ジクロフェナクまたはその塩
ジクロフェナク(Diclofenac)は、前述するように、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種であり、主に解熱や鎮痛のために用いられる。その塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類塩;およびアンモニアなどの塩を挙げることができる。好ましくはジクロフェナクのアルカリ金属塩であり、より好ましくはナトリウム塩である。
本発明の乳化組成物中に含まれる上記(a)成分の割合としては、(a)成分の作用に基づく消炎鎮痛効果を発揮する量であればよいが、通常、0.1〜5重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.3〜4重量%、より好ましくは0.5〜3重量%を例示することができる。
(B)界面活性剤(ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤)
本発明において使用する界面活性剤は、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤である。
(b−1)ノニオン界面活性剤
ノニオン界面活性剤は、医薬品、医薬部外品または化粧品に対して通常使用されるものであれば特に限定されず、エステル型、エーテル型、及びエステル・エーテル型のノニオン界面活性剤を挙げることができる。
ここでエステル型のノニオン界面活性剤としては、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ショ糖、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した高級アルコール脂肪酸エステル(グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル)を挙げることができる。
これらのエステル型ノニオン界面活性剤を構成する脂肪酸としては、制限されないものの、好ましくは炭素数8〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸を挙げることができる。炭素数8〜24の飽和脂肪酸としては、カプリル酸(8:0)、ペラルゴン酸(9:0)、カプリン酸(10:0)、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、ペンタデシル酸(15:0)、パルミチン酸(16:0)、マルガリン酸(17:0)、ステアリン酸(18:0)、アラキジン酸(20:0)、ベヘン酸(22:0)、及びリグノセリン酸(24:0)を挙げることができる。炭素数8〜24の不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1(9))、バクセン酸(18:1(11))、及びネルボン酸(24:1)等の二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸;リノール酸(18:2(9,12))、8,11-エイコサジエン酸(20:2(8,11))等の二重結合を2つ有する不飽和脂肪酸;(9,12,15)−リノレン酸(18:3)、(6,9,12)−リノレン酸(18:3)、及びエレオステアリン酸(18:3(9,11,13))、及び5,8,11-エイコサトリエン酸(20:3(5,8,11))等の二重結合を3つ有する不飽和脂肪酸を挙げることができる。好ましくは炭素数12〜18の飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数14〜18の飽和脂肪酸である。
エステル型ノニオン界面活性剤のなかでも、好ましくはソルビタン脂肪酸エステル、およびポリエチレングリコール脂肪酸エステルである。
ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は上記の通りであるが、好ましくは12〜18の飽和または不飽和脂肪酸を挙げることができる。より好ましくは飽和脂肪酸であり、具体的にはパルミチン酸、及びステアリン酸を挙げることができる。より好ましくはHLBが17以上である。特に好適なエステル型非イオン界面活性剤として、HLBが17以上のモノステアリン酸ソルビタンを挙げることができる。
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は上記の通りであるが、好ましくは16〜18の飽和または不飽和脂肪酸を挙げることができる。より好ましくは飽和脂肪酸であり、具体的にはパルミチン酸、及びステアリン酸を挙げることができる。より好ましくはHLBが3〜5である。特に好適なエステル型非イオン界面活性剤として、HLBが4〜5のモノステアリン酸ポリエチレングリコールを挙げることができる。
また、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルにおける酸化エチレン(PEG)の付加モル数は、上記限りに おいて特に制限されないものの、通常5〜250モルの範囲から選択することができる。 好ましくは10〜200モルであり、より好ましくは10〜150モルである。
またエーテル型ノニオン界面活性剤としては、例えば炭素数10〜18の高級アルコールにエチレンオキサイド(EO)を付加重合することで得られるポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル(AE);アルキルフェノールにEOを付加重合することで得られるポリオキシエチレン(POE)アルキルフェニルエーテル;およびポリプロピレングリコールにエチレンオキシド(EO)を付加重合することで得られるポリオキシエチレン(POE)ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシエチレン(POE)付加タイプの界面活性剤を挙げることができる。
ここでポリオキシエチレン(POE)付加モル数としては、通常5〜100の範囲から選択することができる。好ましくは10〜90であり、より好ましくは15〜80である。
エーテル型ノニオン界面活性剤として、具体的には、POE(10〜50モル)フィトステロールエーテル、POE(10〜50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10〜50モル)2−オクチルドデシルエーテル、POE(10〜50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)オレイルエーテル、POE(10〜50モル)セチルエーテル、POE(10〜50モル)ラウリルエーテル、POE(10〜50モル)ステアリルエーテル、POE(10〜50モル)ベヘニルエーテル、POE(10〜50モル)アルキル(12〜14)エーテル、POE(5〜30モル)ポリオキシプロピレン(5〜30モル)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)ポリオキシプロピレン(2〜30モル)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど);POE(20〜100)硬化ヒマシ油;POE(20〜60モル)ソルビタンモノオレート、POE(10〜60モル)ソルビタンモノイソステアレート、POE(10〜80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20〜100)POE・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーンなどが挙げられる。好ましくはPOEベヘニルエーテルなどのPOEアルキルエーテル、及びPOE硬化ヒマシ油である。より好ましくはHLBが10〜13であるPOEベヘニルエーテル及びPOE硬化ヒマシ油である。
またエステル・エーテル型ノニオン界面活性剤としては、例えば多価アルコールの脂肪酸エステルにEOを付加した化合物を挙げることができる。ここで
エステル・エーテル型非イオン界面活性剤を構成する脂肪酸としては、上記の通りである。制限されないものの、好ましくは炭素数8〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸を挙げることができる。エステル・エーテル型非イオン界面活性剤としては、具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
これらのノニオン界面活性剤は1種単独で使用することもできるが、2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
なお、HLBはノニオン界面活性剤の親水親油バランス(hydrophile−lipophile balance)の略称であり、ノニオン界面活性剤の親水性/疎水性を表す指標の一つである。HLB値が大きいほど親水性が高いことを示す。本発明においてHLBは、Daviesの式であるHLB=7+Σ(親水基の基数)−Σ(親油基の基数)によって算出した値をいう。また、2種以上のノニオン界面活性剤を含有する場合のHLB値は、加重平均値で示す。本発明において、ノニオン界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて、HLB値が8〜15、好ましくは10〜14になるように配合割合を調整使用することが好ましい。
本発明の乳化組成物において、ノニオン界面活性剤の配合量は、熱安定性の観点から、乳化組成物100重量%あたり1〜10重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは2〜9重量%、より好ましくは3〜8重量%である。またノニオン界面活性剤は、乳化組成物に含まれる油性成分100重量部に対して10〜100重量部の割合で配合することが好ましく、より好ましくは20〜90重量部、特に好ましくは30〜80重量部である。
(b−2)カチオン界面活性剤
カチオン界面活性剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などで通常使用されるものであれば特に限定されず、アミン塩型、及び第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤を挙げることができる。好ましくはpHや金属イオン等の影響を受けにくい第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤である。
具体的には、アミン塩型のカチオン界面活性剤としては、ココナットアミンアセテート、及びステアリルアミンアセテートを挙げることができる。また第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、および塩化デカリニウムを挙げることができる。好ましくは殺菌作用を有する塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、および塩化デカリニウムであり、なかでも好ましくは塩化ベンザルコニウムである。
本発明の乳化組成物において、カチオン界面活性剤の配合量は、(a)成分の安定化作用(分解抑制作用)から、乳化組成物100重量%あたり0.01〜5重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.02〜4重量%、より好ましくは0.05〜3重量%である。またカチオン界面活性剤は、乳化組成物に含まれるノニオン界面活性剤100重量部に対して0.1〜500重量部の割合で配合することが好ましく、より好ましくは1〜400重量部、特に好ましくは5〜300重量部である。
(c)油性成分
本発明において、油性成分(油相)は本発明の乳化組成物の油滴(油相)を構成する成分である。例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品などで通常使用されるものとして、オリーブ油、小麦胚芽油、こめ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油などの植物油;ラード、魚油、スクワラン、蜜蝋等の動物油;流動パラフィン、軽質流動パラフィン、水添ポリイソブテン、α−オレフィンオリゴマー、CDスクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、パラフィン、プリスタン、ポリエチレン末、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、ミネラルオイル、セシレン、及びワセリン等;大豆レシチンなどのレシチン誘導体;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル類;ジメチルシリコーン、環状シリコーンなどのシリコーン類;オレイン酸、リノール酸などの脂肪酸類;エチニルエストラジオールなどのホルモン類;ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油などの精油類などが挙げられる。またシリコンオイル、ワックス類なども挙げられる。
また、他の油性成分としては、高級アルコールが挙げられる。高級アルコールとしては、炭素数6以上の脂肪族アルコールが挙げられる。具体的には、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
上記油性成分としては、乳化組成物の流動性確保の観点から、常温(25℃)で液状のものが好ましい。また、上記油性成分のなかでも、優れた熱安定性、流動性を持つ乳化組成物を調製できるという点から、植物油、動物油、鉱物油、脂肪酸エステルが好ましく、動物油、鉱物油、脂肪酸エステルがより好ましい。特に鉱物油として流動パラフィン(軽質流動パラフィン)を単独又は組み合わせて配合することが好ましい。更に、これらの成分とともに、上記高級アルコールを配合することが好ましい。油性成分は、1種成分を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の乳化組成物中に含まれる上記(c)成分の割合としては、本発明の効果を損なわない量であればよく、その限りにおいて特に制限されるものではない。通常、5〜50重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは7.5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%を例示することができる。また(c)成分は、本発明の乳化組成物の安定性の観点から、乳化組成物中に含まれる水100重量部に対して10〜50重量部の割合で配合することが好ましい。好ましくは15〜45重量部の割合であり、より好ましくは20〜40重量部の割合である。
(d)水
水はその種類を特に問うものではなく、例えば、精製水、蒸留水、イオン水、滅菌水、及び海洋深層水などを、制限なく使用することができる。好ましくは精製水である。本発明の乳化組成物における当該水の配合割合は、通常20〜90重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは30〜80重量%であり、より好ましくは40〜80重量%である。
(e)その他の成分
本発明の乳化組成物は、上記(a)成分以外の有効成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。ここで有効成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸モノアンモニウム、アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等、ビタミンE)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)、清涼化剤(メントール、l−メントール、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー(樟脳)、チモール、スピラントール、サリチル酸メチル)などが挙げられる。これらの有効成分は、本発明の乳化組成物の目的に応じて、1種単独または2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
また本発明の乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その形態等に応じて、他の成分を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して配合できる。例えば、乳化製剤(液剤及び半固形剤)の調製に一般的に使用される安定化剤、増粘剤、防腐剤、緩衝剤、pH調整剤等の各種添加剤を挙げることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム等。
増粘剤:キサンタンガム、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、カルボキシビニルポリマー等。
防腐剤:ブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル)、ベンジルアルコール等。
緩衝剤:ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等。
pH調整剤:塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等の無機酸;乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸等の有機酸;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン等の有機塩等。
その他:カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、乳糖、ハードファット、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリン、D−ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン、プロピレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン等。
(f)製造方法及び使用方法
本発明の乳化組成物の製造する方法としては、O/W型乳化組成物及びW/O型乳化組成物に関する従来公知の製造方法を挙げることができる。
制限されるものではないが、例えば、これらの乳化組成物はいずれも、以下の方法によって調製することができる。
(a)水溶性成分を混合溶解して、均一な水相を調製すると共に、油性成分に、油溶性の成分および界面活性剤(ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤)を溶解又は分散させ75〜85℃位に加熱し混合溶解して、均一な油相を調製する。
(b)次いで、上記水相と油相とを75〜85℃位に加熱しながら混合・乳化することにより、目的とする乳化組成物(O/W型乳化組成物、W/O型乳化組成物)を得る。
なお、乳化方法としては、撹拌乳化機、高圧ホモジナイザー、超音波乳化機、ウルトラミキサー、コロイドミルなどを用いて微細に乳化して製品化することができる。
本発明において乳化組成物を構成する水相(水性成分)と油相(油性成分)との配合割合は、乳化組成物の型(水中油型、油中水型)の別によって異なる。例えばW/O型乳化組成物を製造する場合、水相と油相との割合は、重量比で水相:油相=1:99〜40:60を挙げることができる。好ましくは1:99〜30:70、より好ましくは2:98〜20:80である。また、O/W型乳化組成物を製造する場合、油相と水相との割合は、重量比で油相:水相=1:99〜40:60を挙げることができる。好ましくは1:99〜30:70、より好ましくは2:98〜20:80である。
本発明の乳化組成物の平均乳化粒子径は、特に制限されるものではないが、通常100μm以下、特に0.01〜50μm程度である。当該平均乳化粒子径は、偏光顕微鏡で得られる偏光顕微鏡像により求めることができる。
本発明の乳化組成物は、その粘度を特に制限されないものの、皮膚への塗布時の使用感の点から、好ましくは4000〜150000cP、より好ましくは2000〜130000cPである。なお、粘度は、粘度計「型式:LVDV−II+(BROOK FIELD社製、スピンドルE型)」を使用して下記方法による測定値である。
(方法)
試料(乳化組成物)35gをマルエムスクリュー管(No.7)のサンプル容器に入れ、室温下(25℃付近)で上下動させながら、4.0RPMで測定し、最大値と最小値の中間値を測定値として採用する。
本発明の乳化組成物の形態は、液状〜半固形状の水中油型乳化組成物または油中水型乳化組成物である。適用対象となる患部、適用方法等に応じて薬効成分などを配合し、適宜設定することで皮膚外用剤(外用医薬品または外用医薬用途)として好適に使用でき、治療効果が得られる。また、前記乳化組成物は、液状〜半固形状態で流動性を有するため、使用時に手にとりやすい、展延性が良好である、ベタツキが少ない、肌になじみやすい、刺激性が少ないなど、使用感も優れているため、触覚、視覚などの感覚的要素を重視する女性などの層に好適に適用できる。
当該皮膚外用剤の形態として、具体的には、液状〜半固形状のO/W型のクリーム及び乳液等が例示される。これらの中で、好ましい形態として乳液が挙げられる。特に鎮痛剤、具体的には消炎鎮痛剤として、肩こりや筋肉疲労の患部に塗り込むことにより、筋肉をほぐしたり、癒したりすることが可能となる。
本発明の乳化組成物を身体的な痛みを軽減又は消散する鎮痛剤として使用する場合、そのような身体的な痛みとしては特に限定されないが、外傷など外部からの刺激に起因するものや加齢、不良姿勢、長時間労働、静止姿勢の長時間維持や過度の運動、精神的ストレスといったものに起因するものであってもよい。治療可能な痛みとしては、神経痛、関節痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、骨折痛、打撲痛、ねんざ痛、外傷痛、頭痛、手術後の疼痛等が挙げられる。好ましくは加齢、不良姿勢、長時間労働等によって生じる神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、関節痛であり、より好ましくは腰痛、筋肉痛、肩こり痛、関節痛である。また、鎮痛に加えて、並行して抗炎症(消炎)及び/又は疲労感、疲労の改善を目的として使用することもできる。
本発明の乳化組成物は、通常、1日1回〜複数回、適時、対象とする皮膚に塗布して使用される。なおこの場合、乳化組成物の一回塗布量中に含まれるジクロフェナクまたはその塩の量としては、制限されないものの、15〜150mg/日を例示することができる。
(II)ジクロフェナクまたはその塩の分解抑制方法
本発明は、(a)ジクロフェナクまたはその塩、(B)界面活性剤、(c)油性成分、及び(d)水を含むpH6.5以下の乳化組成物における(a)成分の分解抑制方法を提供する。当該方法は、上記(B)成分としてノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて使用することにより達成することができる。
本発明の方法で使用する(a)ジクロフェナクまたはその塩、(b)ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤、(c)油性成分、及び(d)水の種類、並びにその配合割合、また本発明の乳化組成物の製造方法は、上記(I)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における(a)、(B)、(c)、(d)、(e)及び(f)の記載を援用することができる。
本発明のジクロフェナクまたはその塩の分解抑制方法(安定化方法)において、対象とする乳化組成物の製造方法も上記(I)(f)で説明した通りである。従って、当該発明において、上記(I)における当該記載を援用することができる。
後述する実験例に示すように、ジクロフェナクまたはその塩を含むpH6.5以下の乳化組成物に関して、本発明の方法によれば、界面活性剤としてノニオン界面活性剤だけを使用して調製される乳化組成物において生じるジクロフェナクまたはその塩の分解を抑制することができる。このため、本発明によれば、有効成分であるジクロフェナクまたはその塩の分解を抑制し、品質を安定に維持した乳化組成物、特に鎮痛・抗炎症を効果とする液状または半固形状の外用乳化組成物(乳液、クリーム)を提供することができる。
以下、実験例及び実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
実験例1 乳化組成物の調製及び評価
(1)被験乳化組成物の調製
表1記載の組成からなるO/W型乳化組成物(実施例1〜2,比較例1)を調製した。具体的には、水相(無水エタノールを除く水性成分及び増粘剤)と油相(L-メントール、トコフェロール酢酸エステル、油性成分、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、防腐剤及びジメチルポリシロキサン)をそれぞれ調製し、80℃以上に加熱した後、これらを混合し、ホモジナイザー(ROBOMICS[TOKUSHUKIKA社製])にて、9000rpmで3分間撹拌して乳化した。その後、pHが6.5以下になるようにpH調整剤で調整し、室温まで冷却した後に、ジクロフェナクナトリウムと無水エタノールを加え乳化組成物を調製した。
なお、各ノニオン界面活性剤のHLBなどは下記の通りである。
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(日本サーファクタント工業社製):HLB=20
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(BB-20)(日本サーファクタント工業社製):HLB=16.5、POE=20モル
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO-40)(日本サーファクタント工業社製):HLB=12.5、POE=40モル
モノステアリン酸ソルビタン(SS-10MV)(日光ケミカルズ社製):HLB=4.7
Figure 0006906899
(2)試験方法
上記で調製した被験乳化組成物(実施例1及び2,比較例1)について、調製直後の組成物、及びこれを50℃の恒温恒湿槽に1ヶ月間保存した組成物のそれぞれについて、中に含まれているジクロフェナクナトリウムの量を下記条件の高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、高温保存に対するジクロフェナクナトリウムの安定性を評価した。
(a)HPLC条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:275nm)
カラム:内径4.6mm, 長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル(Wakosil−II 5C18 RS 4.6mm×150mm, 5μm)を充填したもの
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:メタノール/薄めた酢酸(100)(1→100)混液(67:33)
流速:ジクロフェナクの保持時間が約10分になるように調整(約1.0mL/min)
注入量:10μL
分析時間:13分
(b)HPLC測定用試料(内部標準液、被験溶液及び標準溶液)の調製
(1)内標準溶液の調製
内標準物質としてパラオキシ安息香酸ブチルを使用した。具体的には、パラオキシ安息香酸ブチル0.1gを量り、エタノール(95)を加えて100mLとした。これを内標準溶液とする。
(2)標準溶液の調製
定量用ジクロフェナクナトリウム(日本バルク薬品社製)を105℃で3時間乾燥し、その約0.1gを精密に量り、エタノール(95)を加え、正確に100mLとしたものを標準原液とする(n=3)。 標準原液5mLを正確に量り、上記で調製した内標準溶液5mLを正確に加え、エタノール(95)を加えて50mLとしたものを標準溶液とする。
(3)被験溶液の調製
上記で調製した被験乳化組成物(実施例1及び2,比較例1)0.5gを精密に量り、内標準溶液5mLを正確に加え、エタノール(95)を30mL加える(3ロット、各n=3)。これをボルテックスで分散させた後、エタノール(95)を加えて50mLとし、超音波を15分間照射する。これをメンブランフィルターで濾過したものを被験溶液とする。
(3)試験結果
結果を図1に示す。なお、結果は、各披験溶液調製直後のジクロフェナクナトリウム量を100%(初期)とし、50℃1ヶ月保存後のジクロフェナクナトリウム量を初期量に対する残存割合(%)(保存後)として示した。各々の実験結果(n=3)の平均値を示す。
この結果からわかるように、界面活性剤としてノニオン界面活性剤だけを含む乳化組成物(pH<6.5)(比較例1)では50℃1ヶ月間の保存でジクロフェナクNaの有意な分解が認められたが、これにカチオン界面活性剤を配合することで、用量依存的にジクロフェナクNaの分解が抑制されることが確認された(実施例1及び2)。このことから、ジクロフェナクNaを有効成分とするpH6.5以下の乳化組成物を調製する場合、ノニオン界面活性剤にカチオン界面活性剤を併用することが、ジクロフェナクNaの分解を抑制するうえで重要であることがわかる。
図2に各乳化組成物に含まれる乳化粒子の状態を示す画像を示す。この結果から、カチオン界面活性剤の量を増やすことでジクロフェナクNaの分解は有意に抑制されることが確認された。特に比較例1と実施例1の結果から、カチオン界面活性剤を0.1重量%配合することで、乳化組成物中のジクロフェナクNaの分解は有意に抑制されること、また実施例1と実施例2の結果から、カチオン界面活性剤の量を0.1重量%から1重量%へと増量することでさらに分解抑制効果(安定効果)が向上することが確認された。このことから、カチオン界面活性剤の配合量を2重量%へとさらに増量することで、乳化組成物中のジクロフェナクNaの分解を一層抑制し、安定化することができると考えられる。
実施例3〜8
実施例1及び2に記載する方法に従って、表2記載の組成からなるO/W型乳化組成物(実施例3〜8)を調製した。
これらの乳化組成物(pH<6.5)はいずれも、実施例1及び2の乳化組成物と同様、乳化組成物中のジクロフェナクNaの分解が有意に抑制されてなるものである。
Figure 0006906899

Claims (8)

  1. 下記成分を含むことを特徴とするpH6.5以下の乳化組成物:
    (a)ジクロフェナクまたはその塩、
    (b)ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤、
    (c)油性成分、及び
    (d)水
    前記カチオン界面活性剤は、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及び第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種である
  2. (b)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、請求項1記載の乳化組成物。
  3. 乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、請求項1又は2に記載する乳化組成物。
  4. 乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載する乳化組成物。
  5. (a)ジクロフェナクまたはその塩、
    (B)界面活性剤
    (c)油性成分、及び
    (d)水
    を含むpH6.5以下の乳化組成物における(a)成分の分解抑制方法であって、上記(B)成分としてノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて使用することを特徴とする、上記方法
    前記カチオン界面活性剤は、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及び第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種である
  6. (B)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、請求項5記載の方法。
  7. 乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、請求項5又は6に記載する方法。
  8. 乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、請求項5〜7のいずれかに記載する方法。
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