JP6906899B2 - 乳化組成物 - Google Patents
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Description
(I−1)下記成分を含むことを特徴とするpH6.5以下の乳化組成物:
(a)ジクロフェナクまたはその塩、
(b)ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤、
(c)油性成分、及び
(d)水。
(I−2)(b)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、(I−1)記載の乳化組成物。
(I−3)乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、(I−1)又は(I−2)に記載する乳化組成物。
(I−4)乳化組成物中の油相成分100重量部に対するノニオン界面活性剤の割合が10〜100重量部である、(I−1)〜(I−3)のいずれに記載する乳化組成物。
(I−5)乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、(I−1)〜(I−4)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−6)さらに抗ヒスタミン剤、血行促進剤、及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する(I−1)〜(I−5)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−7)水中油(O/W)型または油中水(W/O)型の乳化組成物である(I−1)〜(I−6)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−8)外用医薬組成物である(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する乳化組成物。
(I−9)消炎鎮痛剤である(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する乳化組成物。
(II―1)(a)ジクロフェナクまたはその塩、
(B)界面活性剤
(c)油性成分、及び
(d)水
を含むpH6.5以下の乳化組成物における(a)成分の分解抑制方法であって、上記(B)成分としてノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて使用することを特徴とする、上記方法。
(II−2)(B)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、(II−1)記載の方法。
(II−3)乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、(II−1)又は(II−2)に記載する方法。
(II−4)乳化組成物中の油相成分100重量部に対するノニオン界面活性剤の割合が10〜100重量部である、(II−1)〜(II−3)のいずれに記載する方法。
(II−5)乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、(II−1)〜(II−4)のいずれかに記載する方法。
(II−6)乳化組成物が、さらに抗ヒスタミン剤、血行促進剤、及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである(II−1)〜(II−5)のいずれかに記載する方法。
(II−7)乳化組成物が水中油(O/W)型または油中水(W/O)型の乳化組成物である(II−1)〜(II−6)のいずれかに記載する方法。
以下、これらの各成分について説明する。
ジクロフェナク(Diclofenac)は、前述するように、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種であり、主に解熱や鎮痛のために用いられる。その塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類塩;およびアンモニアなどの塩を挙げることができる。好ましくはジクロフェナクのアルカリ金属塩であり、より好ましくはナトリウム塩である。
本発明において使用する界面活性剤は、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤である。
ノニオン界面活性剤は、医薬品、医薬部外品または化粧品に対して通常使用されるものであれば特に限定されず、エステル型、エーテル型、及びエステル・エーテル型のノニオン界面活性剤を挙げることができる。
エステル・エーテル型非イオン界面活性剤を構成する脂肪酸としては、上記の通りである。制限されないものの、好ましくは炭素数8〜24の飽和又は不飽和の脂肪酸を挙げることができる。エステル・エーテル型非イオン界面活性剤としては、具体的にはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
なお、HLBはノニオン界面活性剤の親水親油バランス(hydrophile−lipophile balance)の略称であり、ノニオン界面活性剤の親水性/疎水性を表す指標の一つである。HLB値が大きいほど親水性が高いことを示す。本発明においてHLBは、Daviesの式であるHLB=7+Σ(親水基の基数)−Σ(親油基の基数)によって算出した値をいう。また、2種以上のノニオン界面活性剤を含有する場合のHLB値は、加重平均値で示す。本発明において、ノニオン界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて、HLB値が8〜15、好ましくは10〜14になるように配合割合を調整使用することが好ましい。
カチオン界面活性剤としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などで通常使用されるものであれば特に限定されず、アミン塩型、及び第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤を挙げることができる。好ましくはpHや金属イオン等の影響を受けにくい第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤である。
本発明において、油性成分(油相)は本発明の乳化組成物の油滴(油相)を構成する成分である。例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品などで通常使用されるものとして、オリーブ油、小麦胚芽油、こめ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油などの植物油;ラード、魚油、スクワラン、蜜蝋等の動物油;流動パラフィン、軽質流動パラフィン、水添ポリイソブテン、α−オレフィンオリゴマー、CDスクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、パラフィン、プリスタン、ポリエチレン末、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、ミネラルオイル、セシレン、及びワセリン等;大豆レシチンなどのレシチン誘導体;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル類;ジメチルシリコーン、環状シリコーンなどのシリコーン類;オレイン酸、リノール酸などの脂肪酸類;エチニルエストラジオールなどのホルモン類;ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油などの精油類などが挙げられる。またシリコンオイル、ワックス類なども挙げられる。
水はその種類を特に問うものではなく、例えば、精製水、蒸留水、イオン水、滅菌水、及び海洋深層水などを、制限なく使用することができる。好ましくは精製水である。本発明の乳化組成物における当該水の配合割合は、通常20〜90重量%の範囲から適宜設定することができる。好ましくは30〜80重量%であり、より好ましくは40〜80重量%である。
本発明の乳化組成物は、上記(a)成分以外の有効成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。ここで有効成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸モノアンモニウム、アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等、ビタミンE)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)、清涼化剤(メントール、l−メントール、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー(樟脳)、チモール、スピラントール、サリチル酸メチル)などが挙げられる。これらの有効成分は、本発明の乳化組成物の目的に応じて、1種単独または2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
本発明の乳化組成物の製造する方法としては、O/W型乳化組成物及びW/O型乳化組成物に関する従来公知の製造方法を挙げることができる。
(a)水溶性成分を混合溶解して、均一な水相を調製すると共に、油性成分に、油溶性の成分および界面活性剤(ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤)を溶解又は分散させ75〜85℃位に加熱し混合溶解して、均一な油相を調製する。
(b)次いで、上記水相と油相とを75〜85℃位に加熱しながら混合・乳化することにより、目的とする乳化組成物(O/W型乳化組成物、W/O型乳化組成物)を得る。
試料(乳化組成物)35gをマルエムスクリュー管(No.7)のサンプル容器に入れ、室温下(25℃付近)で上下動させながら、4.0RPMで測定し、最大値と最小値の中間値を測定値として採用する。
本発明は、(a)ジクロフェナクまたはその塩、(B)界面活性剤、(c)油性成分、及び(d)水を含むpH6.5以下の乳化組成物における(a)成分の分解抑制方法を提供する。当該方法は、上記(B)成分としてノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて使用することにより達成することができる。
(1)被験乳化組成物の調製
表1記載の組成からなるO/W型乳化組成物(実施例1〜2,比較例1)を調製した。具体的には、水相(無水エタノールを除く水性成分及び増粘剤)と油相(L-メントール、トコフェロール酢酸エステル、油性成分、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、防腐剤及びジメチルポリシロキサン)をそれぞれ調製し、80℃以上に加熱した後、これらを混合し、ホモジナイザー(ROBOMICS[TOKUSHUKIKA社製])にて、9000rpmで3分間撹拌して乳化した。その後、pHが6.5以下になるようにpH調整剤で調整し、室温まで冷却した後に、ジクロフェナクナトリウムと無水エタノールを加え乳化組成物を調製した。
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(日本サーファクタント工業社製):HLB=20
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(BB-20)(日本サーファクタント工業社製):HLB=16.5、POE=20モル
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO-40)(日本サーファクタント工業社製):HLB=12.5、POE=40モル
モノステアリン酸ソルビタン(SS-10MV)(日光ケミカルズ社製):HLB=4.7
上記で調製した被験乳化組成物(実施例1及び2,比較例1)について、調製直後の組成物、及びこれを50℃の恒温恒湿槽に1ヶ月間保存した組成物のそれぞれについて、中に含まれているジクロフェナクナトリウムの量を下記条件の高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し、高温保存に対するジクロフェナクナトリウムの安定性を評価した。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:275nm)
カラム:内径4.6mm, 長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル(Wakosil−II 5C18 RS 4.6mm×150mm, 5μm)を充填したもの
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:メタノール/薄めた酢酸(100)(1→100)混液(67:33)
流速:ジクロフェナクの保持時間が約10分になるように調整(約1.0mL/min)
注入量:10μL
分析時間:13分
(1)内標準溶液の調製
内標準物質としてパラオキシ安息香酸ブチルを使用した。具体的には、パラオキシ安息香酸ブチル0.1gを量り、エタノール(95)を加えて100mLとした。これを内標準溶液とする。
定量用ジクロフェナクナトリウム(日本バルク薬品社製)を105℃で3時間乾燥し、その約0.1gを精密に量り、エタノール(95)を加え、正確に100mLとしたものを標準原液とする(n=3)。 標準原液5mLを正確に量り、上記で調製した内標準溶液5mLを正確に加え、エタノール(95)を加えて50mLとしたものを標準溶液とする。
上記で調製した被験乳化組成物(実施例1及び2,比較例1)0.5gを精密に量り、内標準溶液5mLを正確に加え、エタノール(95)を30mL加える(3ロット、各n=3)。これをボルテックスで分散させた後、エタノール(95)を加えて50mLとし、超音波を15分間照射する。これをメンブランフィルターで濾過したものを被験溶液とする。
結果を図1に示す。なお、結果は、各披験溶液調製直後のジクロフェナクナトリウム量を100%(初期)とし、50℃1ヶ月保存後のジクロフェナクナトリウム量を初期量に対する残存割合(%)(保存後)として示した。各々の実験結果(n=3)の平均値を示す。
Claims (8)
- 下記成分を含むことを特徴とするpH6.5以下の乳化組成物:
(a)ジクロフェナクまたはその塩、
(b)ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤、
(c)油性成分、及び
(d)水;
前記カチオン界面活性剤は、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及び第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種である。 - (b)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、請求項1記載の乳化組成物。
- 乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、請求項1又は2に記載する乳化組成物。
- 乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載する乳化組成物。
- (a)ジクロフェナクまたはその塩、
(B)界面活性剤
(c)油性成分、及び
(d)水
を含むpH6.5以下の乳化組成物における(a)成分の分解抑制方法であって、上記(B)成分としてノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤を組み合わせて使用することを特徴とする、上記方法;
前記カチオン界面活性剤は、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、及び第四級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤よりなる群から選択される少なくとも1種である。 - (B)成分におけるノニオン界面活性剤100重量部に対するカチオン界面活性剤の割合が0.1〜500重量部である、請求項5記載の方法。
- 乳化組成物100重量%中のノニオン界面活性剤の割合が1〜10重量%である、請求項5又は6に記載する方法。
- 乳化組成物100重量%中の(a)成分の割合が0.1〜5重量%である、請求項5〜7のいずれかに記載する方法。
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