JP6761682B2 - シリケートポリマー成形体の製造方法 - Google Patents

シリケートポリマー成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6761682B2
JP6761682B2 JP2016129858A JP2016129858A JP6761682B2 JP 6761682 B2 JP6761682 B2 JP 6761682B2 JP 2016129858 A JP2016129858 A JP 2016129858A JP 2016129858 A JP2016129858 A JP 2016129858A JP 6761682 B2 JP6761682 B2 JP 6761682B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aggregate
silicate polymer
silica solution
aluminosilicate
polymer molded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016129858A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018002525A (ja
Inventor
貴之 久保田
貴之 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiwa House Industry Co Ltd
Original Assignee
Daiwa House Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiwa House Industry Co Ltd filed Critical Daiwa House Industry Co Ltd
Priority to JP2016129858A priority Critical patent/JP6761682B2/ja
Publication of JP2018002525A publication Critical patent/JP2018002525A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6761682B2 publication Critical patent/JP6761682B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、シリケートポリマー成形体及びシリケートポリマー成形体の製造方法に関する。
特開2016−64957号公報(特許文献1)には、窯業系サイディング廃材を含む骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とが混合されてなるシリケートポリマー成形体には、その表面に白色結晶が浮き出るという課題があることが開示されている。この特許文献1には、この課題を解決するために、アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液の質量割合の比を所定の範囲内にすることが開示されている。
特開2016−64957号公報
本発明者が鋭意検討した結果、上記特許文献1のシリケートポリマー成形体においては、白色結晶が浮き出ることを抑制できるので意匠性の低下を抑制できるものの、強度が十分でない場合があることを見出した。
本発明は、意匠性の低下を抑制するとともに、強度を向上する、シリケートポリマー成形体及びシリケートポリマー成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、シリケートポリマー成形体において白色結晶が浮き出ることを抑制するために、アルカリシリカ溶液の量を低減すると、強度が低下してしまうという問題に着目した。そして、白色結晶が浮き出ることを抑制しつつ、シリケートポリマー成形体の強度を向上するために鋭意研究した結果、アルミノ珪酸塩のメディアン径を制御することにより実現できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のシリケートポリマー成形体は、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを含む混合物を用いて成形されたシリケートポリマー成形体において、アルミノ珪酸塩のメディアン径が、2.6μm超えて25.0μm以下であることを特徴としている。
本発明のシリケートポリマーの製造方法は、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する工程と、この混合物を成形する工程とを備え、生成する工程では、2.6μm超えて25.0μm以下のメディアン径を有するアルミノ珪酸塩を用いる。
本発明のシリケートポリマー及びその製造方法によれば、アルミノ珪酸塩のメディアン径を2.6μm超えて25.0μm以下に制御しているので、白色結晶が浮き出ることを抑制するアルカリシリカ溶液の量を混合しても、強度を向上できる。したがって、本発明は、意匠性の低下を抑制するとともに、強度を向上する、シリケートポリマー成形体及びシリケートポリマー成形体の製造方法を提供することができる。
本発明のシリケートポリマー成形体において好ましくは、骨材は、生分解性の有機物を含有していない。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、混合物を生成する工程では、生分解性の有機物を含有していない骨材を用いる。
本発明者は、原料中に生分解性の有機物を含んでいる場合には、シリケートポリマー成形体の表面に黄色または茶色の有機酸による変色があることを見出した。このため、骨材が生分解性の有機物を含有していない場合には、意匠性の低下をより抑制できる。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、生成する工程では、1.0m/cc以上4.0m/cc未満の比表面積を有するアルミノ珪酸塩を用いる。
比表面積が4.0m/cc未満の場合、アルミノ珪酸塩が水分を過度に吸収しないので、アルカリシリカ溶液の量を低減できるため、白色結晶が浮き出ることをより抑制できる。比表面積が1.0m/cc以上の場合、シリケートポリマー成形体の強度をより向上できる。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、生成する工程は、アルカリシリカ溶液の濃度を予め調製する工程と、この調製したアルカリシリカ溶液と、骨材と、アルミノ珪酸塩とを、他の溶媒を用いずに混合する工程とを含んでいる。
アルカリシリカ溶液の各成分の必要な量を予め考慮して調製した濃度のアルカリシリカ溶液を用いることにより、他の溶媒を用いずに骨材とアルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液とを混合できる。このため、原料中に各成分の均一な分散性を高めることができるので、強度を向上したシリケートポリマーを製造できる。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、上記調製する工程では、アルカリシリカ溶液と骨材とアルミノ珪酸塩とからなる原料中のアルカリ金属の濃度が2.4%以上3.0%以下の濃度になるようにアルカリシリカ溶液を調製する。
3.0%以下の場合、白色結晶が浮き出ることをより抑制できる。2.4%以上の場合、シリケートポリマー成形体の強度をより向上できる。
本発明のシリケートポリマー成形体及びシリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体によれば、意匠性の低下を抑制できるとともに、強度を向上できる。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法を示すフローチャートである。 実施例1において強度の測定方法を説明するための図である。 実施例2においてアルミノ珪酸塩のメディアン径と比表面積との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態におけるシリケートポリマー成形体を説明する。本実施の形態におけるシリケートポリマー成形体は、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを含む混合物を用いて成形されてなる。シリケートポリマー成形体は、Si(珪素)元素を含み、アルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液とをアルカリ条件下で重合反応させて生成される珪素高分子体が成形された成形体である。シリケートポリマー成形体は、Al(アルミニウム)元素と、Si元素と、O(酸素)元素とを含み、各元素が化学的に結合している。
アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液は、ポリマーの構成成分であり、結合材(バインダー)の役割を果たす。
アルミノ珪酸塩は、硫酸イオンを含み、例えば、カオリナイト、ベントナイトなどを用いることができ、陶土(カオリン)を半焼成したメタカオリンなど、反応性の高い半焼成状態であることが好ましい。
アルミノ珪酸塩のメディアン径は、2.6μm超えて25.0μm以下であり、3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以上8.0μm以下であることがより好ましい。
ここで、メディアン径(d50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される値であり、小数点第2位を四捨五入した値である。シリケートポリマー成形体のアルミノ珪酸塩のメディアン径は、電子顕微鏡による倍率1000倍の視野において10個以上のアルミノ珪酸塩を選定し、選定したアルミノ珪酸塩についてメディアン径を測定したものである。
アルカリシリカ溶液は、珪酸アルカリ溶液とも言い、アルカリ金属イオンを含み、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸酸カリウム、珪酸リチウムなどを用いることができる。なお、アルカリ金属とは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びフランシウム(Fr)である。アルカリシリカ溶液は、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンからなる群より選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含んでいることが好ましい。
骨材は、嵩を増す役割と、バインダーの圧力を逃がす役割とを有している。骨材は、意匠性を高める観点から、生分解性の有機物を含有していないことが好ましい。このような骨材として、例えば、陶器、瓦、珪酸カルシウム製品、コンクリート製品、砂、砂利、粘土などを用いることができる。また、骨材は、吸水率の低いものが好ましく、この観点から、珪砂、珪石などを用いることが好ましい。なお、生分解性の有機物とは、木材などが挙げられる。
シリケートポリマー成形体は、骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=(3.0〜3.8):(1.0〜0.3):1.0、(1.8〜2.8):(1.2〜0.2):1.0、(1.0〜2.2):(1.3〜0.2):1.0及び(0.3〜0.5):(1.3〜1.0):1.0のいずれかの質量割合の比で混合され、混合物が成形されてなることが好ましく、骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=(3.0〜3.5):(1.0〜0.5):1.0、(1.8〜2.6):(1.2〜0.4):1.0、(1.0〜1.7):(1.3〜0.7):1.0及び(0.3〜0.5):(1.3〜1.0):1.0のいずれかの質量割合の比で混合されてなることがより好ましい。特に、シリケートポリマー成形体は、骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=(3.0〜3.4):(0.8〜0.6):1.0の質量割合の比で混合され、混合物が成形されてなることが好ましい。なお、質量割合(%)の比とは、シリケートポリマー成形体における骨材、アルミノ珪酸塩及び珪酸ナトリウム水溶液の質量割合(%)を、珪酸ナトリウム水溶液を1.0とした時の骨材及びアルミノ珪酸塩の比を意味する。
続いて、図1を参照して、本実施の形態のシリケートポリマー成形体の製造方法について説明する。
図1に示すように、まず、アルカリシリカ溶液の濃度を調製する(ステップS1)。このステップS1では、必要なアルカリシリカ溶液の各成分量を予め考慮してアルカリシリカ溶液の濃度を調製することが好ましく、具体的には、原料中のアルカリ金属の濃度が2.4%以上3.0%以下の濃度になるようにアルカリシリカ溶液を調製することが好ましい。なお、「原料中のアルカリ金属の濃度」とは、原料に複数種のアルカリ金属が含まれている場合には、その合計の濃度を意味する。例えば、アルカリ金属の濃度が2.4%は、原料においてナトリウム濃度が0.8%で、カリウム濃度が1.5%で、リチウム濃度が0.1%であることを含む。
この工程(ステップS1)において、アルカリシリカ溶液として、水ガラスを用いる場合について説明する。
シリケートポリマー成形体の製造において、要するアルカリ金属(ここではナトリウムとする)及び珪素の量(質量)を決定し、決定した量に基づいて、水ガラス中のナトリウム及び珪素の濃度と、水ガラスの混合量を決定する。JIS規格による1〜3号品などの市販の水ガラスを準備し、決定した水ガラスのナトリウム及び珪素の濃度になるように、調製する。具体的には、決定したナトリウム及び珪素の濃度が準備した水ガラスよりも高い場合には、例えば水を添加して希釈する。JIS規格による1号品の水ガラスを用いる場合には、水ガラスの質量の0.25倍以下の水を添加して、1.25倍以下に希釈することが好ましい。決定したナトリウム及び珪素の濃度が準備した水ガラスよりも低い場合には、ナトリウム及び珪素を準備した水ガラスに添加する。添加した後は、十分に撹拌し、均一に混合する。これにより、濃度を調製したアルカリシリカ溶液を準備できる。
なお、アルカリ金属としてナトリウムを例に挙げたが、水ガラスの濃度を高めるために、ナトリウムを添加する代わりに、または、併せて、カリウム及びリチウムの少なくとも一方を添加してもよい。
なお、アルカリシリカ溶液のナトリウム濃度を低減するために溶媒で希釈した場合、希釈率が高すぎると、粘性が低くなりすぎて骨材が沈下(ブリージング)しやすくなることを本発明者は見出した。このため、希釈率は質量比において1.25倍以下であることが好ましい。
次に、2.6μm超えて25.0μm以下のメディアン径を有するアルミノ珪酸塩と、骨材と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する(ステップS2)。メディアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される値である。
このステップS2では、1.0m/cc以上4.0m/cc未満の比表面積を有するアルミノ珪酸塩を用いることが好ましく、2.0m/cc以上2.8m/cc未満の比表面積を有するアルミノ珪酸塩を用いることがより好ましい。比表面積は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される値である。
このステップS2では、ステップS1で調製したアルカリシリカ溶液と、骨材と、アルミノ珪酸塩とを、他の溶媒を用いずに混合することが好ましい。なお、他の溶媒とは、水などの混合する際に要する液体を意味し、撥水剤などの添加剤を含まない。つまり、混合物は、骨材とアルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液とで形成されてもよく、骨材とアルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液と添加剤とで形成されてもよい。
このステップS2では、例えば、以下のように混合物を生成する。具体的には、2.6μm超えて25.0μm以下のメディアン径を有するアルミノ珪酸塩を準備する。準備するアルミノ珪酸塩は、例えば、メタカオリンなどを用いることができる。
また、骨材を準備する。準備する骨材は、特に限定されないが、有機物を含有していないことが好ましく、例えば、陶器、瓦、珪酸カルシウム製品、コンクリート製品、砂、砂利、粘土などを用いることができる。
その後、骨材とアルミノ珪酸塩とを混合し、次いで、調製したアルカリシリカ溶液を加えて混合する。このときに、水などの他の溶媒を用いずに、混合することが好ましい。混合する方法は特に限定されないが、例えば、混練ミキサーを用いて混合する。
次に、混合物を成形する(ステップS3)。この工程では、混合物を型枠に投入し、シリケートポリマー成形体を製造する。この工程では、例えば、以下のように成形する。
具体的には、混合物を型枠に投入し、振動台を用いて加振する。これにより、混合物中の塊が振動によりゲル状に軟化し、型枠の隅々まで混練物を充填することができる。そして、養生した後、脱型する。養生時間(脱型するための養生時間)は、例えば1時間以上24時間以内である。樹脂製の型枠を用いる場合には、シリケートポリマーと樹脂とは離反しやすいので、離型剤を用いずに、脱型できる。
なお、混練時間が長いほど、成形時における混練物の固さは増すが、1週間養生した後の強度には大きな差は見られない。そのため、成形性を考慮すれば、混練物が一体となった時点で混練を終了することが望ましい。
また、別の成形方法として、高圧プレスにより成形することも可能である。高圧プレス成形の場合には、シリケートポリマー成形体を量産する際に有利である。
このように、本実施の形態では、シリケートポリマー成形体を高圧プレスによらず成形することと、高圧プレスによって成形することとの両方が可能である。このため、任意の方法によって、シリケートポリマー成形体を成形することができる。
以上の工程(ステップS1〜ステップS3)を実施することにより、シリケートポリマー成形体を製造することができる。製造されたシリケートポリマー成形体中のアルミノ珪酸塩のメディアン径は、原料中のアルミノ珪酸塩のメディアン径とほぼ同じである。このように製造されたシリケートポリマー成形体は、表面に白色結晶が浮き出ることが抑制されるとともに、強度が向上されている。このため、本実施の形態のシリケートポリマー成形体は、例えば、床材、構造材、内装材、外装材、舗装材、外構建材などの高い意匠性及び強度が求められる用途に好適に用いられる。
なお、アルカリシリカ溶液の濃度を調製する工程(ステップS1)は、省略されてもよい。この場合、混合物を生成する工程(ステップS2)において、骨材とアルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液とを混合してもよく、水などの他の溶媒をさらに用いて混合してもよい。
また、ステップS1において他の溶媒でアルカリシリカ溶液の濃度が希釈された場合、及びステップS2において他の溶媒をさらに混合した場合には、ステップS3において混合物を成形すると、溶媒蒸発後の空隙率が高くなり、強度が低下する。このため、ステップS1及びステップS2において溶媒を用いる場合には、質量比においてアルカリシリカ溶液の希釈率は1.20倍以下であることが好ましい。
続いて、本実施の形態のシリケートポリマー成形体及びその製造方法の効果について、アルカリシリカ溶液として水ガラスを用い、アルミノ珪酸塩としてメタカオリンを用いた場合を例に挙げて説明する。
メタカオリンは、粘土鉱物であるため吸水性が高く、水ガラスによって与えられる水分を吸収するので、シリケートポリマーへの反応に必要な分量を超える水ガラスを加える必要がある。
水ガラスの主成分は、珪酸ナトリウムである。珪素(Si4+)はポリマー骨格となり、ナトリウム(Na)は骨格中で珪素がアルミニウム(Al3+)に置換される部位において、電化バランスを補う形で取り込まれる。ポリマー化反応に寄与しない過剰な水ガラスのナトリウムは、ポリマーから遊離した状態でシリケートポリマー成形体内に存在する。シリケートポリマー成形体は多孔質であり吸水しやすいので、シリケートポリマー成形体に水が浸透した場合には、遊離しているナトリウムがその水に溶出し、シリケートポリマー成形体表面でナトリウムの結晶として析出する。このナトリウムの結晶が、白色結晶であり、意匠性が低下してしまう。
このため、本発明者は、白色結晶が浮き出ることを抑制するために、水ガラスに由来するナトリウム量をできるだけ低減すること、すなわち、骨材とメタカオリンとを混合するために、用いる水ガラスの量をできるだけ少なくすることを考えた。その結果、水ガラスの量を少なくすることで白色結晶は抑制できるものの、シリケートポリマー成形体の骨格となる珪素及びナトリウムが少なくなるので、強度が低下することを見出した。
そこで、白色結晶が浮き出ることを抑制しつつ、強度を向上するために本発明者が鋭意研究した結果、メタカオリンのメディアン径を制御することによって、シリケートポリマーの強度を向上できることを見出した。
また、本発明者は、混合物を生成する工程(ステップS2)において骨材とメタカオリンと水ガラスとを混合する工程は数分程度と非常に短いため、メタカオリンの吸水量はメディアン径に依存することを見出した。メタカオリンのメディアン径が小さいほど、吸水量が増えることがわかったので、メタカオリンのメディアン径を所定以下に制御することによって、使用する水ガラス量を低減できることがわかった。
これらの着想から、メタカオリンのメディアン径が2.6μm超えて25.0μm以下であると、白色結晶が浮き出ることを抑制する水ガラス量であっても、骨材及びメタカオリンを容易に混合できるともに、シリケートポリマー成形体の強度を向上できるという本実施の形態に至った。したがって、本実施の形態のシリケートポリマー成形体及びその製造方法は、意匠性の低下を抑制できるとともに、強度を向上できるという効果を有している。
また、本発明者は、木材などの有機物を骨材として含んでいる場合には、水分がシリケートポリマー成形体に浸透すると、生分解性の有機物から黄色または茶色の有機酸が溶け出し、シリケートポリマー成形体の表面を変色させることを見出した。このため、骨材として有機物を含有しないことにより、意匠性をより向上できるという効果を奏する。
実施例1では、アルミノ珪酸塩のメディアン径による効果について調べた。
(本発明例1)
上述した本発明の実施の形態にしたがって、本発明例1のシリケートポリマー成形体を製造した。
具体的には、まず、アルカリシリカ溶液として、珪素24.3%、ナトリウム13.3%、水62.4%の水ガラスを準備した。このアルカリシリカ溶液は、混合する工程(ステップS2)において他の溶媒を用いずに骨材とアルミノ珪酸塩とを混合できる濃度である(ステップS1)。
また、アルミノ珪酸塩として、メディアン径が7.3μmで比表面積が2.0m/ccのメタカオリンを準備した。また、骨材として、珪砂を準備した。
次に、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合し、混合物を生成した(ステップS2)。このステップS2では、骨材、メタカオリン及び水ガラスからなる原料を用いて、下記の表1に記載のように、骨材:メタカオリン:水ガラス=3.7:0.8:1.0の質量割合の比で混合した。
具体的には、骨材とメタカオリンとを混練ミキサーに投入し、均一に混ざるまで空練りした。その後、骨材とメタカオリンとの混合物に、水ガラスを加えて、混練した。骨材とメタカオリンと水ガラスとを混合すると、メタカオリンと珪酸ナトリウムとの重合反応がすぐに開始され、各成分が均一に分散し、一体となった時点で、混練を完了とした。
次に、混合物を成形した(ステップS3)。具体的には、得られた混練物(混合物)を樹脂性の型枠に入れ、振動台上で加振した。これにより、硬化中の混合物が振動によりゲル状に軟化し、型枠の隅々まで混練物を充填することができた。その後、気温20℃、湿度60%の環境下で一週間養生し、脱型した。本実施例では、ポリマーと離反しやすい樹脂製の型枠を用いたので、離型剤を用いることなく、脱型できた。
以上の工程を実施することにより、本発明例1のメディアン径が7.3μmのメタカオリンを含有するシリケートポリマー成形体を製造した。
(比較例1)
比較例1は、基本的には本発明例1と同様に製造したが、用いたメタカオリンが主に異なっていた。
具体的には、比較例1では、メディアン径が2.6μmで比表面積が4.9m/ccのメタカオリンを準備した。次に、ステップS2において、骨材:メタカオリン:水ガラス=2.4:0.6:1.0の質量割合の比で混合した。
このように製造された比較例1のシリケートポリマー成形体は、メディアン径2.6μmのメタカオリンを含有していた。
(比較例2)
比較例2は、基本的には比較例1と同様に製造したが、水ガラスのナトリウム濃度が低くなるように予め調製した点において主に異なっていた。
具体的には、準備した比較例1の水ガラスに、質量比において0.25倍の水を添加して、水ガラス中のナトリウム濃度を13%から10%まで低減した。次に、ステップS2において、骨材:メタカオリン:水ガラス=2.4:0.6:1.0の質量割合の比で混合した。
このように製造された比較例2のシリケートポリマー成形体は、メディアン径2.6μmのメタカオリンを含有していた。
(比較例3)
比較例3は、基本的には比較例2と同様に製造したが、混合するステップS2において、他の溶媒としての水をさらに混合した点において主に異なっていた。
具体的には、比較例1と同様のメタカオリン、水ガラス及び骨材を準備した。次に、ステップS2において、骨材:メタカオリン:水ガラス:水=3.0:0.8:1.0:0.3の質量割合の比で混合した。
このように製造された比較例3のシリケートポリマー成形体は、メディアン径2.6μmのメタカオリンを含有していた。なお、下記の表1において、成形体中の水ガラス成分の水は、ステップS2で混合した水を含む質量%としている。
(評価方法)
本発明例1及び比較例1〜3のシリケートポリマー成形体の下半分を1ヶ月間水に浸漬し、水から露出している上側の表面に、白色結晶が析出するかについて、試験を行った。その結果を下記の表1に示す。表1において、成形体表面の半分以上に白色結晶が発生したものを「×」、成形体表面に白色結晶がほとんど発生しなかったものを「○」とした。
また、本発明例1及び比較例1〜3のシリケートポリマー成形体について、JIS A 1108及びJIS A 1132に基づいて、圧縮強度試験を行った。具体的には、図2に示すように、本発明例1及び比較例1〜3のシリケートポリマー成形体について、直径50mmで、高さが100mmの円柱状の試験体を作製し、試験体を試験機に載置し、一様な速度(圧縮応力度の増加が毎秒0.6±0.4N/mm)で試験体に荷重を加え、試験体が破壊するまでに試験機が示す最大荷重を測定した。この試験を3回実施し、その平均値を強度とした。この結果を下記の表1に記載する。
Figure 0006761682
なお、上記表1において、原料中のメタカオリンのメディアン径及び比表面積は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。また、シリケートポリマー成形体中のメタカオリンのメディアン径は、電子顕微鏡による倍率1000倍の視野において20個のアルミノ珪酸塩を選定し、選定したアルミノ珪酸塩についてメディアン径を測定した。
(評価結果)
表1に示すように、比較例1のシリケートポリマー成形体は、ナトリウム量が3.3%と多いため、白色結晶が多く発生してしまった。白色結晶の発生を抑制するために、水ガラスのナトリウム量を比較例1の3.3%から比較例2の2.5%に低減すると、白色結晶の発生を抑制できた。しかし、比較例2のシリケートポリマー成形体の強度は、低下してしまった。
一方、本発明例1のシリケートポリマー成形体は、比較例2と同程度のナトリウム量を含有していたので、白色結晶の発生を抑制できた。それに加えて、本発明例1のシリケートポリマー成形体は、メディアン径が比較例1及び2の2.6μmよりも大きな7.3μmのメタカオリンを用いて製造したので、強度を向上できた。
この結果から、アルミノ珪酸塩の粒径を2.6μmを超えて25.0μm以下の範囲に制御することによって、白色結晶の発生を抑制するアルカリシリカ溶液量を加えても、高い強度を維持できることが確認できた。
また、比較例2と比較例3とを比べると、原料中のナトリウム量及び珪素量と、シリケートポリマー中のナトリウム量及び珪素量とが同じであるにも関わらず、比較例2は比較例3よりも強度が高かった。これは、比較例2では水ガラスの濃度を調製するために予め水を添加していたので、比較例3に比べてナトリウム及び珪素が成形体中に均一に分散されたためと考えられる。
この結果から、予め濃度を調製したアルカリシリカ溶液と骨材とアルミノ珪酸塩とを、他の溶媒を用いずに混合することによって、強度をさらに向上できることが確認できた。
実施例2では、アルミノ珪酸塩のメディアン径と比表面積との関係について調べた。
具体的には、実施例1で用いた2種類のメタカオリンを含む6種類のメタカオリンを準備し、メタカオリンのメディアン径及び比表面積を実施例1と同様に測定した。その結果を図3に示す。
図3に示すように、メタカオリンのメディアン径が大きいほど、比表面積が小さいという関係があることがわかった。このため、実施例1の結果において、本発明例1のようにアルミノ珪酸塩の比表面積が2.0m/cc以上4.0m/cc未満であることによっても、白色結晶の発生を抑制しつつ、強度を向上できるという効果を奏することがわかった。
実施例3では、種々のメディアン径のアルミノ珪酸塩との混合に要するアルカリシリカ溶液の量について調べた。
具体的には、下記の表2に示すように、本発明例1、2及び比較例1のメタカオリンを準備した。実施例1と同様に、メタカオリンと骨材との固体原料に水ガラスを徐々に加え、混合物が一体となるために要する水ガラスの最低量を求めた。その結果を下記の表2に記載する。
Figure 0006761682
なお、表2において「混合に要する水ガラス量」とは、固体原料(メタカオリン18%、骨材82%)を100としたときの水ガラスの質量割合(質量%)を意味する。
表2に示すように、メタカオリンのメディアン径が大きいほど、固体原料を混合するために必要な水ガラス量を低減できることがわかった。また、メタカオリンの比表面積が小さいほど、固体原料を混合するために必要な水ガラス量を低減できることがわかった。
以上より、実施例3によれば、アルミノ珪酸塩のメディアン径を2.6μm超えて25.0μm以下にすることによって、骨材及びアルミノ珪酸塩の混合に要するアルカリシリカ溶液の量を低減できるので、アルカリシリカ溶液に起因する白色結晶の発生を抑制できることがわかった。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (3)

  1. 骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する工程と、
    前記混合物を成形する工程とを備え、
    前記混合物を生成する工程は、
    前記アルカリシリカ溶液の濃度を予め調製する工程を含み
    前記混合物を生成する工程では、3.0μm以上10.0μm以下のメディアン径を有し、1.0m /cc以上4.0m /cc未満の比表面積を有する前記アルミノ珪酸塩を用い、前記骨材:前記アルミノ珪酸塩:前記アルカリシリカ溶液を(3.0〜3.8):(1.0〜0.3):1.0の質量割合の比で混合し、
    前記アルカリシリカ溶液の濃度を予め調製する工程では、前記アルカリシリカ溶液と前記骨材と前記アルミノ珪酸塩とからなる原料中のアルカリ金属の濃度が2.4%以上3.0%以下の濃度になるように前記アルカリシリカ溶液を調製する、シリケートポリマー成形体の製造方法。
  2. 前記生成する工程は
    調製したアルカリシリカ溶液と、前記骨材と、前記アルミノ珪酸塩とを、他の溶媒を用いずに混合する工程を含む、請求項に記載のシリケートポリマー成形体の製造方法。
  3. 前記生成する工程では、生分解性の有機物を含有していない骨材を用いる、請求項1または2に記載のシリケートポリマー成形体の製造方法。
JP2016129858A 2016-06-30 2016-06-30 シリケートポリマー成形体の製造方法 Active JP6761682B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016129858A JP6761682B2 (ja) 2016-06-30 2016-06-30 シリケートポリマー成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016129858A JP6761682B2 (ja) 2016-06-30 2016-06-30 シリケートポリマー成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018002525A JP2018002525A (ja) 2018-01-11
JP6761682B2 true JP6761682B2 (ja) 2020-09-30

Family

ID=60945928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016129858A Active JP6761682B2 (ja) 2016-06-30 2016-06-30 シリケートポリマー成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6761682B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019122004A (ja) 2018-01-11 2019-07-22 シャープ株式会社 基地局装置、端末装置、通信方法、および、集積回路

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60204658A (ja) * 1984-03-29 1985-10-16 株式会社豊田中央研究所 無機質材料とその製造方法および固化方法
JPH07187735A (ja) * 1993-11-12 1995-07-25 Sekisui Chem Co Ltd 硬化性無機質組成物
JPH0977538A (ja) * 1995-09-11 1997-03-25 Sekisui Chem Co Ltd 硬化性無機質組成物
JP2000226250A (ja) * 1999-02-02 2000-08-15 Naigai Ceramics Kk 無機質成形体及びその製造方法並びに無機材料の接合方法
JP5108207B2 (ja) * 2005-04-21 2012-12-26 積水化学工業株式会社 硬化性無機質組成物とその製造方法、及びそれを用いた無機質硬化体
JP5091519B2 (ja) * 2007-03-28 2012-12-05 公益財団法人鉄道総合技術研究所 ジオポリマー組成物及びその製造方法
FR2922543B1 (fr) * 2007-10-18 2011-10-14 Commissariat Energie Atomique Procede de preparation d'un geopolymere a porosite controlee, le geopolymere ainsi obtenu et ses differentes applications
US20120177882A1 (en) * 2011-01-11 2012-07-12 Laszlo Sichtnik Decorative Stone Compositions and Methods
JP6196956B2 (ja) * 2014-09-25 2017-09-13 大和ハウス工業株式会社 シリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018002525A (ja) 2018-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101204872B1 (ko) 초고성능 자기 충전 콘크리트, 이의 제조 방법 및 용도
DE602004010094T2 (de) Rezyklierte glasabfälle enthaltender estrich
Bhowmick et al. Effect of synthesizing parameters on workability and compressive strength of fly ash based geopolymer mortar
Machiels et al. Inorganic polymer cement from Fe-silicate glasses: varying the activating solution to glass ratio
CN108609952B (zh) 一种复合改性混凝土及其界面过渡区的测试方法
JP2017149595A (ja) 廃セッコウの硬化方法
JP2019513677A (ja) ジオポリマーフォーム配合物
JP2013014447A (ja) セメント硬化体、その製造方法及びセメント組成物
JP6285835B2 (ja) シリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体
CN104003682A (zh) 一种超高性能混凝土
CN108383465A (zh) 一种挤出式3d打印用石膏基复合胶凝材料及其制备方法
CN111072344B (zh) 高抗裂低收缩预拌混凝土
JP2010149402A (ja) コンクリート組成物の製造方法及びコンクリート成形体
RU2657303C1 (ru) Мелкозернистый бетон и способ приготовления бетонной смеси для его получения
DE102014002594A1 (de) Massen oder Formkörper aus anorganischen Polymeren und deren Herstellung
CN111574106A (zh) 一种适用于3d打印水泥基材料的泛碱抑制剂及其使用方法、应用
DE102016106642A1 (de) Verfahren zur Herstellung von Porenbetonformkörpern
JP6761682B2 (ja) シリケートポリマー成形体の製造方法
CN106946537A (zh) 一种钛石膏高性能混凝土建材及其制备方法
JP4976803B2 (ja) グラウト組成物およびそれを用いたグラウト材料
RU2489381C2 (ru) Сырьевая смесь для высокопрочного бетона с нанодисперсной добавкой (варианты)
JP2020502024A5 (ja)
WO2020051635A1 (en) 3d printing powder composition and a method of 3d printing an article
RU2569140C1 (ru) Сырьевая смесь для высокопрочного фибробетона
JP6594141B2 (ja) シリケートポリマー成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190531

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200818

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6761682

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250