JP6196956B2 - シリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体 - Google Patents

シリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体 Download PDF

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Description

本発明は、シリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体に関する。
セメントを含む窯業系サイディング材は、外壁などに用いられる際に、カット時の切粉、端材などの廃材が発生してしまう。このような廃材を利用する技術として、例えば、特開2006−176361号公報(特許文献1)、特開2006−44991号公報(特許文献2)、特開平9−193117号公報(特許文献3)などが挙げられる。
特許文献1には、廃材を粉砕した後、この粉砕物をCa(カルシウム)リッチ材とSi(珪素)リッチ材とに分離し、Caリッチ材にCa化合物を添加すると共にこれを焼成することにより、リサイクルセメントを製造する方法が開示されている。
特許文献2には、窯業系建材の廃材を主原料として製造したリサイクルセメントにシリカ系材料を添加することによって、再度窯業系建材を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、セメント板廃材を粒径300μm以下に粉砕し、この粉砕物をマットにフォーミングして150kg/cm以上の高圧でプレスした上でオートクレーブ養生を行うことによりセメント板を製造する方法が開示されている。
特開2006−176361号公報 特開2006−44991号公報 特開平9−193117号公報
窯業系サイディング材の廃材(窯業系サイディング廃材)は、産業廃棄物として処理されるので、利用されることが望まれている。そこで、本発明者は、上記特許文献1〜3の用途の他に、環境負荷を低減するために、窯業系サイディング材の廃材を利用する技術を鋭意研究した。さらに、窯業系サイディング廃材を利用したシリケートポリマー成形体には、その表面に白色結晶が浮き出ることがあるという新規な課題を本発明者は見出した。表面に白色結晶が浮き出ると、意匠性が低下してしまう。
本発明は、環境負荷を低減し、かつ意匠性の低下を抑制するシリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体を提供することを課題とする。
本発明者が、環境負荷を低減することを目的として、窯業系サイディング廃材を利用する手段を鋭意研究した結果、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを含むポリマーに、骨材として窯業系サイディング廃材を混合することにより、シリケートポリマー成形体を実現できることを見出した。しかし、このシリケートポリマー成形体の表面には白色結晶が浮き出る場合があることを初めて明らかにし、その原因を鋭意研究した結果、アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液に起因することを突き止めた。そこで、アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液の質量割合の比を所定の範囲内にすることによって、表面に白色結晶が浮き出ることを抑制できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法は、窯業系サイディング廃材を含む骨材を準備する工程と、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する工程と、この混合物を成形する工程とを備え、混合物を生成する工程では、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩比が0.7以上1.0以下で混合する。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、上記混合物を生成する工程では、撥水剤をさらに混合する。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、上記混合物を生成する工程では、混合物に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合の撥水剤を混合する。
本発明のシリケートポリマー成形体は、窯業系サイディング廃材を含む骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とが、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合され、混合物が成形されてなる。
本発明のシリケートポリマー成形体において好ましくは、撥水剤がさらに混合され、混合物が成形されてなる。
本発明のシリケートポリマー成形体において好ましくは、撥水剤は、混合物に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合で混合される。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体によれば、環境負荷を低減し、かつ意匠性の低下を抑制することができる。
本発明のシリケートポリマー成形体の製造方法を示すフローチャートである。 実施例におけるシリケートポリマーの表面を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態におけるシリケートポリマー成形体を説明する。本実施の形態におけるシリケートポリマー成形体は、窯業系サイディング廃材を含む骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液と、撥水剤とが混合され、混合物が成形されてなる。シリケートポリマー成形体は、Si元素を含み、アルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液とをアルカリ条件下で重合反応させて生成されるケイ素高分子体が成形された成形体である。シリケートポリマー成形体は、Al(アルミニウム)元素と、Si元素と、O(酸素)元素とを含み、各元素が化学的に結合している。
骨材は、嵩を増す役割であり、窯業系サイディング廃材を含んでいれば特に限定されず、他の材料を含んでいてもよく、窯業系サイディング廃材からなっていてもよい。他の材料は、特に限定されないが、例えば、陶器、瓦、珪酸カルシウム製品、コンクリート製品、木材、砂、砂利、粘土などを用いることができ、廃材であることが好ましい。
アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液は、ポリマーの構成物質であり、結合材の役割を果たす。
アルミノ珪酸塩は、特に限定されないが、硫酸イオンを含み、例えば、カオリナイト、ベントナイトなどを用いることができ、陶土(カオリン)を半焼成したメタカオリンなど、反応性の高い半焼成状態であることが好ましい。
アルカリシリカ溶液は、特に限定されないが、珪酸アルカリ溶液であり、アルカリ金属イオンを含み、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸酸カリウム、珪酸リチウムなどを用いることができる。
アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩(アルミノ珪酸塩/アルカリシリカ溶液)の質量割合の比は、0.7以上1.0以下であり、0.8近傍であることが好ましい。なお、この比は、小数点第2位を四捨五入した値である。アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の比が0.7以上であると、シリケートポリマー成形体におけるアルカリシリカ溶液の中のナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンを低減できるので、白色結晶の表面への析出を抑制できる。アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の比が1.0以下であると、シリケートポリマー成形体となる混合物中の水分が適度にあるため、混練しやすい。
シリケートポリマー成形体は、骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=(3.9〜3.6):(0.7〜1.0):1.0の質量割合で混合されてなることが好ましい。シリケートポリマー成形体は、骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=3.9以下:0.7以上:1.0であると、骨材を多く含有させることができるとともに、白色結晶の表面への析出を抑制できる。骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=3.6以上:1.0以下:1.0であると、骨材を多く含有させることができるとともに、混合物を混合しやすい。
撥水剤は、水をはじく性質を有している。撥水剤は、粉体であっても液体であってもよい。
撥水剤は、骨材、アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液の合計の質量(混合物全体)に対して、0.4%以上2.0%以下含有されていることが好ましい。撥水剤が0.4%以上含有されると、表面に白色結晶が浮き出ることを効果的に抑制できる。撥水剤が2.0%以下含有されても、撥水剤によるシリケートポリマー成形体の強度は低下しない。
続いて、図1を参照して、本実施の形態のシリケートポリマー成形体の製造方法について説明する。
図1に示すように、まず、窯業系サイディング廃材を含む骨材を準備する(ステップS1)。準備する骨材は、窯業系サイディング廃材を含んでいれば特に限定されず、他の材料を含んでいてもよく、窯業系サイディング廃材からなっていてもよい。他の材料は、特に限定されないが、陶器、瓦、珪酸カルシウム製品、コンクリート製品、木材、砂、砂利、粘土などを用いることができ、環境負荷低減の観点から廃材であることが好ましい。また、他の材料として、一般的なコンクリートに使用される種々の骨材を選択してもよい。
この工程(ステップS1)では、骨材を構成する材料を粉砕してもよい。骨材は窯業系サイディング廃材を含んでいるので、少なくとも窯業系サイディング廃材を粉砕することが好ましい。なお、窯業系サイディング廃材が切粉である場合には、粉砕する工程を省略してもよい。また、骨材が他の材料を含んでいる場合には、窯業系サイディング廃材及び他の材料を粉砕することが好ましい。骨材を構成する材料の粒径が成形体の厚さの1/2を超えている場合には、骨材を構成する材料を好ましくは成形体の厚さの1/2以下、より好ましくは5mm以下の粒径になるまで粉砕することが好ましい。
次に、上記骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する(ステップS2)。この工程(ステップS2)では、例えば、骨材とアルミノ珪酸塩とを混合した後、アルカリシリカ溶液を加えて混合する。混合する方法は特に限定されないが、例えば、混練ミキサーを用いて混合する。
この工程(ステップS2)では、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比(アルミノ珪酸塩/アルカリシリカ溶液)が0.7以上1.0以下で混合し、骨材:アルミノ珪酸塩:アルカリシリカ溶液=(3.9〜3.6):(0.7〜1.0):1.0の質量割合で混合することが好ましい。
また、この工程(ステップS2)では、撥水剤をさらに混合して、混合物を生成することが好ましい。この場合、混合物(骨材とアルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液との合計)に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合の撥水剤を混合することが好ましい。つまり、骨材、アルミノ珪酸塩及びアルカリシリカ溶液の合計の質量に対して、0.4%以上2.0%以下の撥水剤を混合することが好ましい。
次に、混合物を成形する(ステップS3)。この工程では、混合物を型枠に投入し、シリケートポリマー成形体を製造する。この工程では、例えば、以下のように成形する。
具体的には、混合物を型枠に投入し、振動台を用いて加振する。これにより、混合物中の塊が振動によりゲル状に軟化し、型枠の隅々まで混練物を充填することができる。そして、養生した後、脱型する。養生時間(脱型するための養生時間)は、例えば30分以上6時間以内である。樹脂製の型枠を用いる場合には、シリケートポリマーと樹脂とは離反しやすいので、離型剤を用いずに、脱型できる。
なお、混練時間が長いほど、成形時における混練物の固さは増すが、1週間養生した後の強度には大きな差は見られない。そのため、成形性を考慮すれば、混練物が一体となった時点で混練を終了することが望ましい。
また、別の成形方法として、高圧プレスにより成形することも可能である。高圧プレス成形の場合には、シリケートポリマー成形体を量産する際に有利である。
このように、本実施の形態では、シリケートポリマー成形体を高圧プレスによらず成形することと、高圧プレスによって成形することとの両方が可能である。このため、任意の方法によって、シリケートポリマー成形体を成形することができる。
なお、成形する工程の後に、成形したシリケートポリマー成形体を水中に浸漬し、成形体中のナトリウムイオンを取り除く工程をさらに実施してもよい。
以上の工程(ステップS1〜ステップS3)を実施することにより、シリケートポリマー成形体を製造することができる。このように製造されたシリケートポリマー成形体は、表面に白色結晶が浮き出ることが抑制され、早強性があり、かつ高い強度を有している。このため、本実施の形態のシリケートポリマー成形体は、例えば、床材、構造材、内装材、外装材、舗装材、外構建材などに用いられる。また、本実施の形態のシリケートポリマー成形体は、凍結融解の繰り返しによる凍害への耐性が高いので、寒冷地域においても使用することができる。
以上説明したように、本実施の形態のシリケートポリマー成形体の製造方法は、窯業系サイディング廃材を含む骨材を準備する工程(ステップS1)と、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する工程(ステップS2)と、混合物を成形する工程(ステップS3)とを備え、混合物を生成する工程(ステップS2)では、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合する。
また、本実施の形態のシリケートポリマー成形体は、窯業系サイディング廃材を含む骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とが、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合され、混合物が成形されてなる。
本実施の形態におけるシリケートポリマー成形体及びその製造方法によれば、窯業系サイディング廃材を、アルミノ珪酸塩とアルカリシリカ溶液とで形成されるポリマーの骨材として利用できる。これにより、廃棄物として廃棄される窯業系サイディング廃材をシリケートポリマー成形体として再利用できるので、環境負荷を低減することができる。
アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液と、窯業系サイディング廃材を含む骨材とを混合してなるシリケートポリマー成形体に、水が浸透した際には、骨材及びアルミノ珪酸塩に含まれる硫酸イオン、及び/または、シリケートポリマーの設置箇所において接触する土壌中の硫酸イオンと、アルカリシリカ溶液に含まれるナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンとが水に溶出し、シリケートポリマー成形体の表面に吸い上げられた後、水分が蒸発することによって、シリケートポリマーに硫酸ナトリウムなどの硫酸塩の結晶、つまり白色結晶が残ることを本発明者は見出した。これは、シリケートポリマー成形体は、表面には細孔が広く分布しているため、水分を吸収及び放散する性質を有しているためである。そして、白色結晶の析出の原因を突き止めた結果、シリケートポリマー成形体を設置する設置箇所には硫酸イオンは無尽蔵にある一方、アルカリ金属イオンの量には制限があることに着眼することによって、アルカリ金属イオンを含むアルカリシリカ溶液の量を調整することを本発明者は見出した。その結果、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で、窯業系サイディング廃材を含む骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とが混合することによって、白色結晶の析出を抑制できることを本発明者は発見した。
以上より、本実施の形態のシリケートポリマー成形体の製造方法及びシリケートポリマー成形体によれば、環境負荷を低減し、かつ意匠性の低下を抑制することができる。したがって、本実施の形態により実現されるシリケートポリマー成形体は、外構、内装、外装建材などの意匠性が問われる箇所に使用することもできる。
本実施の形態のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、混合物を生成する工程(ステップS2)では、撥水剤をさらに混合する。また、本実施の形態のシリケートポリマー成形体において好ましくは、撥水剤がさらに混合され、混合物が成形されてなる。これにより、シリケートポリマー成形体の表面に浮き出る白色結晶をより抑制できるので、意匠性の低下をより抑制できる。
本実施の形態のシリケートポリマー成形体の製造方法において好ましくは、混合物を生成する工程(ステップS2)では、混合物に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合の撥水剤を混合する。また、本実施の形態のシリケートポリマー成形体において好ましくは、撥水剤は、混合物に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合で混合される。0.4%以上の撥水剤を混合することによって、シリケートポリマー成形体の表面に浮き出る白色結晶を効果的に抑制できる。2.0%以下の撥水剤を混合することによっても、シリケートポリマー成形体の強度は低下しない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜3)
上述した本発明の実施の形態にしたがって、実施例1〜3のシリケートポリマー成形体を製造した。
具体的には、まず、窯業系サイディング廃材からなる骨材を準備した(ステップS1)。
次に、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合し、混合物を生成した(ステップS2)。この工程では、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下になるように混合した。
具体的には、まず、骨材と、アルミノ珪酸塩としてのメタカオリン(BASF社製の商品名「Satintone SP−33」)とを混練ミキサーに投入し、均一に混ざるまで空練りした。実施例1〜3において、投入したメタカオリンの質量割合及びその比を下記の表1に記載する。
その後、骨材とメタカオリンとの混合物に、アルカリシリカ溶液としての珪酸ナトリウム水溶液(富士化学株式会社製の商品名「1号珪酸ソーダ」)を加えて、混練した。実施例1〜3において投入した珪酸ナトリウム水溶液の質量割合の比を下記の表1に記載する。
骨材とメタカオリンと珪酸ナトリウム水溶液とを混合すると、メタカオリンと珪酸ナトリウムとの重合反応がすぐに開始され、各物質が均一に分散し、一体となった時点で、混練を完了とした。
次に、混合物を成形した(ステップS3)。具体的には、得られた混練物(混合物)を樹脂性の型枠に入れ、振動台上で加振した。これにより、硬化中の混合物が振動によりゲル状に軟化し、型枠の隅々まで混練物を充填することができた。その後、気温20℃、湿度60%の環境下で一週間養生し、脱型した。本実施例では、ポリマーと離反しやすい樹脂製の型枠を用いたので、離型剤を用いることなく、脱型できた。以上の工程を実施することにより、実験例1〜3のシリケートポリマー成形体を製造した。
(実施例4〜6)
実施例4〜6は、基本的には実施例2と同様に製造したが、混合物を生成する工程において、撥水剤をさらに混合した点において異なっていた。
具体的には、骨材とメタカオリンとを混合する際に、撥水剤を併せて混合した。撥水剤は、混合物に対して(骨材、メタカオリン及び珪酸ナトリウム水溶液の合計を100%としたときに)、0.5%の質量割合で混合した。実施例4〜6の撥水剤はそれぞれ、Evonik社製の製品名「Sitren P 750(登録商標)」、三商株式会社製の製品名「サンアクアウト」、三商株式会社製の製品名「サンエフロック」であった。
(比較例1〜3)
比較例1〜3は、基本的には実施例1〜3と同様に製造したが、混合物を生成する工程において、下記の表1に記載のように、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下の範囲外で混合した点において異なっていた。
(比較例4〜6)
比較例4〜6は、基本的には比較例1と同様に製造したが、混合物を生成する工程において、撥水剤をさらに混合した点において異なっていた。撥水剤は、混合物に対して(骨材、メタカオリン及び珪酸ナトリウム水溶液の合計を100%としたときに)、0.5%の質量割合で混合した。比較例4〜6の撥水剤はそれぞれ、Evonik社製の製品名「Sitren P 750(登録商標)」、三商株式会社製の製品名「サンアクアウト」、三商株式会社製の製品名「サンエフロック」であった。
(評価方法)
実施例1〜6及び比較例1〜6のシリケートポリマー成形体の下半分を1ヶ月間水に浸漬し、水から露出している上側の表面に、白色結晶が析出するかについて、試験を行った。その結果を下記の表1、表2及び図2に示す。表1及び表2において、白色結晶が全面的に発生したものを「×」、白色結晶がやや発生したものを「△」、白色結晶がほとんど発生しなかったものを「○」、白色結晶が発生しなかったものを「◎」とした。
なお、表1及び表2において、質量割合(%)の比とは、シリケートポリマー成形体における骨材、メタカオリン及び珪酸ナトリウム水溶液の質量割合(%)を、珪酸ナトリウム水溶液を1.00とした時の骨材及びメタカオリンの比を意味する。
(評価結果)
表1、表2及び図2に示すように、窯業系サイディング廃材を含む骨材を準備する工程(ステップS1)と、骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する工程(ステップS2)と、混合物を成形する工程(ステップS3)とを備え、生成する工程(ステップS2)では、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合した実施例1〜6は、白色結晶がほとんど発生しなかったか、全く発生しないシリケートポリマー成形体を製造できた。このため、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比を0.7以上1.0以下で混合することにより、意匠性の低下を抑制できることがわかった。それに加えて、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合することにより、シリケートポリマー成形体を水に浸してナトリウムイオンを溶出する養生期間を省略しても、意匠性の低下を抑制できるので、手間を省くことができることもわかった。
特に、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が同じである実施例2と、実施例4〜6とを比較すると、表1、表2及び図2に示すように、撥水剤をさらに混合してなる実施例4〜6のシリケートポリマー成形体の表面は、実施例2のシリケートポリマー成形体の表面よりも白色結晶の析出を非常に効果的に抑制できることがわかった。
一方、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下の範囲外で混合した比較例1〜6は、シリケートポリマー成形体の表面に白色結晶が浮き出た。撥水剤をさらに混合した比較例4〜6と、実施例4〜6とを比較すると、撥水剤をさらに混合しても、アルカリシリカ溶液に対するアルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下の範囲外であれば、表面の白色結晶を抑制する効果は低いことがわかった。
ここで、本実施例では、骨材として、窯業系サイディング廃材を用いた。本発明者は、一部の窯業系サイディング廃材の代わりに、他の材料を用いても、同様の効果を有するという知見を得ている。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (2)

  1. 窯業系サイディング廃材を含む骨材を準備する工程と、
    前記骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液とを混合して、混合物を生成する
    工程と、
    前記混合物を成形する工程とを備え、
    前記アルカリシリカ溶液として、珪酸ナトリウム水溶液の1号珪酸ソーダを含み、
    前記混合物を生成する工程では、前記アルカリシリカ溶液に対する前記アルミノ珪酸塩
    の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合し、
    前記混合物を生成する工程では、撥水剤をさらに混合し、前記混合物に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合の前記撥水剤を混合する、シリケートポリマー成形体の製造方法。
  2. 窯業系サイディング廃材を含む骨材と、アルミノ珪酸塩と、アルカリシリカ溶液としての珪酸ナトリウム水溶液の1号珪酸ソーダとが、前記アルカリシリカ溶液に対する前記アルミノ珪酸塩の質量割合の比が0.7以上1.0以下で混合され、撥水剤がさらに混合され、前記撥水剤は、前記混合物に対して0.4%以上2.0%以下の質量割合で混合され、混合物が成形されてなる、シリケートポリマー成形体。
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