JP6571613B2 - タイヤ空気圧監視システム - Google Patents

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Description

本開示は、タイヤ空気圧監視システムに関する。
車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)の義務化が各国で進んでいる。TPMSでは、バルブ部などに設置した送信機(センサ機能付きの送信機)が、タイヤの空気圧を検出し、検出結果を無線信号で送信する。車体側に設置される受信機は、送信機からの無線信号を受信し、該無線信号に基づいてタイヤの空気圧が監視可能となる(例えば、特許文献1参照)。TPMSでは、例えばメータに、空気圧に関する情報、及び、TPMSの異常に関する情報を出力する情報出力機能を備える。
特開2013-023127号公報
しかしながら、上記のような従来のTPMSでは、ユーザがTPMSの情報出力機能を停止(キャンセル)させたいときに、TPMSの情報出力機能を停止させることが難しい。TPMSは、仕向け国によっては義務化されており、かかる仕向け国においては、TPMSの情報出力機能を停止できる仕様とすることはできない。他方、TPMSが義務化されていない仕向け国においては、安全性の観点からは、TPMSの情報出力機能の停止は推奨できないものの、ユーザの利便性を考慮して、所定の条件下でTPMSの情報出力機能を停止できる仕様とすることはできる。TPMSの情報出力機能は、情報の出力が煩わしいなどの理由で、停止させたいユーザがいる。
そこで、一側面によれば、本発明は、所定の条件下でTPMSの情報出力機能を停止可能とすることを目的とする。
本発明の第1態様では、車両に設けられ、前記車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムであって、
前記車両の車輪に設けられ、前記空気圧を検出し、検出結果を無線信号で送信するセンサ機能付き送信機と、
前記無線信号を受信する受信機と、
前記受信機が受信した前記無線信号に基づく前記空気圧に関する情報、及び、当該タイヤ空気圧監視システムの異常に関する情報を出力する情報出力処理を行う情報出力処理部と、
第1フラグの状態を書き換え不能な態様で記憶する第1記憶部と、
第2フラグの状態を書き換え可能な態様で記憶する第2記憶部と、
前記第1フラグの状態が第1状態である場合は、前記情報出力処理部による前記情報出力処理の停止を禁止する一方、前記第1フラグの状態が、前記第1状態とは異なる第2状態である場合は、前記第2フラグの状態に応じて、前記情報出力処理部による前記情報出力処理の停止を許可又は禁止する出力機能停止判定部とを含む、タイヤ空気圧監視システムが提供される。
本発明の第1態様によれば、第1フラグの状態が第1状態である場合は、情報出力処理部による情報出力の停止を禁止する一方、第1フラグの状態が第2状態である場合は、第2フラグの状態に応じて、情報出力処理部による情報出力の停止を許可又は禁止する。従って、第1フラグの状態が第2状態である場合は、第2フラグの状態に依存して、情報出力処理部による情報出力の停止が許可される場合がある。このように、請求項1に記載の発明によれば、第1フラグの状態と第2フラグの状態とで規定される所定の条件下でTPMSの情報出力機能が停止可能となる。
ここで、第1フラグの状態は、第1記憶部に書き換え不能な態様で記憶されるので、車両出荷後において、第1フラグの状態は、ディーラで用いられる専用ツールによっても書換え不能である。従って、車両出荷時又はその前に、車両メーカが、第1フラグの状態を"第1状態"に設定して第1記憶部に記憶させると、以後、第1フラグの状態は、ユーザにより変更不能となる。これにより、TPMSが義務化された仕向け国において、ユーザがTPMSの情報出力機能を停止させることを、防止できる。
他方、車両出荷時又はその前に、車両メーカが、TPMSが義務化されていない仕向け国において、第1フラグの状態を"第2状態"に設定して第1記憶部に記憶させると、第2フラグの状態に応じて、ユーザがTPMSの情報出力機能を停止させることが可能となる。具体的には、第2フラグの状態は、第2記憶部に書き換え可能な態様で記憶されるので、車両出荷後において、第2フラグの状態は、例えばディーラで用いられる専用ツールによって、書換え可能である。従って、TPMSが義務化されていない仕向け国においては、ユーザが第2フラグの状態を書き換えることで、TPMSの情報出力機能を停止させることが可能となる。
また、第1フラグを用いることで、TPMSが義務化された仕向け国と、TPMSが義務化されていない仕向け国とで、ソフトウェアの共通化を図ることができる。即ち、車両メーカは第1フラグの状態を変更するだけで、TPMSが義務化された仕向け国用のソフトウェアと、TPMSが義務化されていない仕向け国用のソフトウェアとに対応できるので、開発効率やソフトウェアの保守性を高めることができる。
本発明の第2態様では、前記車両のユーザによる所定操作を検出する操作検出部を更に含み、
前記情報出力処理部は、前記出力機能停止判定部により前記情報出力処理の停止が許可された状態において、前記情報出力処理を実行する第1モードと、前記情報出力処理を停止する第2モードのいずれかで動作し、
前記情報出力処理部は、前記第1モードにおいて前記操作検出部により前記所定操作が検出された場合に、前記第1モードから前記第2モードへ切り替わる。
本発明の第2態様によれば、TPMSが義務化されていない仕向け国において、ユーザによる所定操作が検出されることを条件として、第1モードから第2モードへの切り替わりTPMSの情報出力機能を停止させることが可能となる。
本発明の第3態様では、前記情報出力処理部は、前記第2モードにおいて前記操作検出部により前記所定操作が検出された場合に、前記第2モードから前記第1モードへ切り替わる。
本発明の第3態様によれば、TPMSが義務化されていない仕向け国において、ユーザは、自身の操作によって、第1モードから第2モードへの遷移、及び、第2モードから第1モードへの遷移の双方を実現できる。また、第1モードから第2モードへの遷移、及び、第2モードから第1モードへの遷移を、同じ所定操作で実現できる。従って、第1モードから第2モードへの遷移、及び、第2モードから第1モードへの遷移を、それぞれ異なる操作を行うことで実現する場合に比べて、ユーザに負担が軽減される。
一側面によれば、所定の条件下でTPMSの情報出力機能が停止可能となる。
本発明の一実施例によるTPMSの要部構成図である。 制御装置40のハードウェア構成の一例を示す図である。 メータにおける表示の例を示す図である。 出力停止禁止状態、第1モード、及び第2モードの各状態間の遷移図である。 所定操作の検出方法の一例を示す図である。 制御装置の動作例を示す概略フローチャートである。 変形例による状態遷移図である。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例によるTPMS100の要部構成図である。
TPMS100は、タイヤバルブ送信機7と、受信機8と、制御装置40とを含む。
タイヤバルブ送信機7は、車両の各輪に設けられる。図1に示す例では、タイヤバルブ送信機7は、4輪の車両に対応して、4つ設けられる。タイヤバルブ送信機7は、タイヤ空気圧を検出できるように、例えば各車輪のホイールのリム部に固定され、タイヤ空気圧を検出するセンシング部がタイヤ内に配置される。タイヤバルブ送信機7は、センシング部による検出結果を表す信号を生成し、受信機8に向けて送信する。タイヤバルブ送信機7が送信する信号(無線信号)は、受信機8で受信される。タイヤバルブ送信機7からの無線信号の送信タイミングは、例えばタイヤバルブ送信機7内部で決定される。例えば、タイヤバルブ送信機7は、60秒毎に、タイヤ空気圧に関する無線信号を送信する。
タイヤバルブ送信機7は、自身の故障を検知した場合に、該故障を知らせる信号を生成し、受信機8に向けて送信する。以下、区別のため、タイヤバルブ送信機7から送信される無線信号のうち、タイヤ空気圧に関する無線信号を「タイヤ空気圧信号」とも称し、故障を知らせる無線信号を「故障通知信号」とも称し、これらを区別しないときは単に「無線信号」と称する。
受信機8は、受信アンテナ9を介してタイヤバルブ送信機7から無線信号を受信する。受信機8は、車体に設けられる。
制御装置40は、図1に示すように、イグニッションスイッチ3を介してバッテリから電源供給されると共に、電源ラインを通じて印加される電圧+Bに基づいて動作する。
制御装置40は、コンピュータにより形成される。制御装置40は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。図2は、制御装置40のハードウェア構成の一例を示す図である。図2には、制御装置40のハードウェア構成に関連付けて、車両ネットワーク50を介して制御装置40に接続される構成要素が併せて図示されている。
制御装置40は、バス19で接続されたCPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、補助記憶装置14(例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような不揮発メモリ)、及び通信インターフェース17、並びに、通信インターフェース17に接続された有線送受信部18を含む。有線送受信部18は、CAN(controller area network)やLIN(Local Interconnect Network)などの車両ネットワーク50を利用して通信可能な送受信部を含む。
制御装置40は、図2に示すように、車両ネットワーク50を介してTPMSスイッチ52、メータECU54等が接続される。また、制御装置40には、車両ネットワーク50を介して、専用ツール90を接続できる。
TPMSスイッチ52は、TPMS100における閾値(後述の空気圧低下警報に係る閾値)を設定するための手動スイッチである。TPMSスイッチ52は、車室内のユーザ(例えば運転者)により操作できるように、車室内に設けられる。
メータECU54は、メータ60の表示を制御する。メータECU54は、制御装置40からの指令に従って、後述する各種情報(例えば、タイヤ空気圧に関する情報、及び、TPMS100の異常に関する情報)をメータ60に出力する。
専用ツール90は、車両メーカから権限を付与されるディーラ等に用意される特別なツールであり、一般的なユーザが直接的に使用できないツールである。専用ツール90は、後述の第2記憶部32内の情報(第2フラグ及びユーザ停止要求フラグの各状態)を書き換えるときに使用される。
次に、図1及び図2を再度参照しつつ、図3等を参照して、制御装置40の機能について説明する。
制御装置40は、図1に示すように、情報出力処理部22と、操作検出部26と、出力機能停止判定部24と、第1記憶部31と、第2記憶部32と、第3記憶部33とを含む。情報出力処理部22、出力機能停止判定部24、及び操作検出部26は、CPU11が1つ以上のプログラムを実行することにより実現できる。第1記憶部31、第2記憶部32、及び第3記憶部33は、補助記憶装置14により実現できる。
情報出力処理部22は、情報出力処理を実行する。本実施例では、一例として、情報出力処理部22は、情報出力処理を実行することで、メータECU54を介して各種情報(後述)をメータ60に出力する。情報出力処理は、受信機8が受信したタイヤ空気圧信号に基づくタイヤ空気圧に関する情報、及び、TPMS100の異常(以下、単に「システム異常」と称する)に関する情報を出力する処理である。TPMS100の情報出力機能は、情報出力処理部22が情報出力処理を行うことで実現される。例えば、情報出力処理部22は、情報出力処理を実行することで表示内容を表す指令を生成し、該指令を車両ネットワーク50に出力する。メータECU54は、車両ネットワーク50から該指令を受信し、該指令に応じた表示をメータ60に表示する。
タイヤ空気圧に関する情報は、タイヤ空気圧の検出値(数値)を表す情報を含む。また、タイヤ空気圧に関する情報は、タイヤ空気圧の検出値が異常値であることを表す警報(以下、「空気圧低下警報」と称する)を含む。情報出力処理部22は、受信機8が受信したタイヤ空気圧信号に基づいて、メータECU54を介してタイヤ空気圧に関する情報を出力できる。図3には、メータ60における表示の例が示される。表示601は、タイヤ空気圧の検出値を表す表示であり、車両の外形の表示における各輪に近接した位置に出力される。タイヤ空気圧の検出値が異常値である場合は、対応する車輪に係る表示601の表示色が所定色(正常値であるときの表示色とは異なる色)に変更される。例えば、情報出力処理部22は、タイヤ空気圧の検出値が閾値以下の異常値であれば、表示602を点灯状態とすると共に、対応する車輪に係る表示601の表示色を所定色に変更する。図3では、右後輪のタイヤ空気圧の検出値(180MPa)が異常値であることを示す空気圧低下警報の表示状態が示される。
システム異常に関する情報は、TPMS100が異常に起因して空気圧低下警報を出力できない状況であることをユーザに知らせる警報である。TPMS100が異常に起因して空気圧低下警報を出力できない状況は、例えば、タイヤバルブ送信機7からの無線信号が受信できない状況や、タイヤバルブ送信機7が故障している状況などがある。情報出力処理部22は、タイヤバルブ送信機7からの無線信号が、所定時間ΔT1(例えば20分)以上、受信できない場合や、タイヤバルブ送信機7から故障通知信号を受信した場合に、システム異常に関する警報(以下、「システム異常警報」と称する)を出力する。例えば、システム異常警報の出力は、例えば図3に示す表示602を、一定時間(例えば60秒)点滅させ、その後、点灯状態に維持することにより実現される。
出力機能停止判定部24は、第1フラグの状態が"0"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を禁止する。他方、出力機能停止判定部24は、第1フラグの状態が"1"である場合は、第2フラグの状態に応じて、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を許可又は禁止する。本実施例では、一例として、第1フラグの状態が"1"である状態では、出力機能停止判定部24は、第2フラグの状態が"1"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を許可し、第2フラグの状態が"0"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を禁止する。
第1フラグは、第1記憶部31に記憶されるフラグであり、書き換え不能である。従って、第1フラグは、専用ツール90を用いても書き換えできない。第1フラグの状態(0又は1)は、車両メーカにより出荷前又は出荷時に設定される。第2フラグは、第2記憶部32に記憶されるフラグであり、専用ツール90を用いて書き換え可能である。第2フラグの状態(0又は1)は、車両メーカにより出荷前又は出荷時に、いずれかの状態(例えば"0")に初期設定される。
出力機能停止判定部24は、例えばイグニッションスイッチ3のオン中、所定の処理周期毎に、第1フラグ及び第2フラグの状態を監視し、第1フラグ及び第2フラグの各状態に応じて、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を禁止又は許可する。以下では、出力機能停止判定部24によって情報出力処理部22による情報出力処理の停止が禁止された状態又はモードを、「出力停止禁止状態」と称する。
情報出力処理部22は、出力停止禁止状態では、上述の情報出力処理を実行する。
情報出力処理部22は、出力機能停止判定部24により情報出力処理の停止が許可された状態では、第1モードと第2モードのいずれかで動作する。第1モードでは、情報出力処理部22は、上述の情報出力処理を実行する。第2モードでは、情報出力処理部22は、上述の情報出力処理を停止する。従って、第2モードでは、タイヤ空気圧に関する情報、及び、システム異常に関する情報が、メータ60に出力されることはない。図4には、出力停止禁止状態、第1モード、及び第2モードの各状態間の遷移図が示される。
出力機能停止判定部24により情報出力処理の停止が許可されると、情報出力処理部22は、初期的に第1モードで動作する。図4に示すように、情報出力処理部22は、第1モードでは、ユーザ停止要求フラグの状態が"1"である場合に、第2モードに切り替わる。また、図4に示すように、情報出力処理部22は、第2モードでは、ユーザ停止要求フラグの状態が"0"である場合に、第1モードに切り替わる。ユーザ停止要求フラグは、第3記憶部33に記憶されるフラグであり、専用ツール90を用いて書き換え可能である。ユーザ停止要求フラグの状態(0又は1)は、車両メーカにより出荷前又は出荷時に、"0"に初期設定される。また、ユーザ停止要求フラグは、専用ツール90以外にも、後述の操作検出部26の検出結果に応じて書き換えられる。ユーザ停止要求フラグが"1"であることは、ユーザが情報出力処理部22による情報出力処理を停止させたい意思があることを表す。
操作検出部26は、所定操作の検出処理を行う。所定操作は、ユーザが情報出力処理部22による情報出力処理を停止させたいとき、及び、ユーザが情報出力処理部22による情報出力処理の停止状態を解除したいときに行う操作である。かかる所定操作は、ユーザが意図せず実行してしまわないような操作(即ち、ユーザが明確な意思で実行される操作)であることが好ましい。従って、所定操作は、好ましくは、複雑かつ誤って実行されえない操作である。所定操作は、例えばディーラでユーザに周知される。
一例では、所定操作は、例えばイグニッションスイッチ3のオン/オフ状態と、TPMSスイッチ52のオン/オフ状態との組み合わせで検出される操作である。図5には、所定操作の検出方法の一例が示される。図5には、上段にイグニッションスイッチ3のオン/オフ状態の時系列の一例が示されるともに、下段にTPMSスイッチ52のオン/オフ状態の時系列の一例が示される。この場合、所定操作は、イグニッションスイッチ3をオフからオンする操作を行い、イグニッションスイッチ3のオン状態において、3秒以上、TPMSスイッチ52を長押しし、次いで、イグニッションスイッチ3をオフした後、再び、イグニッションスイッチ3をオフからオンする操作を行い、イグニッションスイッチ3のオン状態において、2回、それぞれ3秒以上、TPMSスイッチ52を長押しし、次いで、イグニッションスイッチ3をオフした後、再び、イグニッションスイッチ3をオフからオンする操作を行い、イグニッションスイッチ3のオン状態において、3秒以上、TPMSスイッチ52を長押しすることで実現される。
他の例では、所定操作は、TPMSスイッチ52単体に対する複雑な操作である。例えば、所定操作は、3秒以上、TPMSスイッチ52を長押しし、次いで、再度、3秒以上、TPMSスイッチ52を長押しし、次いで、再度、3秒以上、TPMSスイッチ52を長押しすることで実現される。かかる場合は、ユーザは、イグニッションスイッチ3をオフさせることなく、所定操作を行うことができる。
操作検出部26は、情報出力処理部22の動作モードが第1モードあるときに、所定操作を検出すると、ユーザ停止要求フラグを"1"にセットする。尚、第1モードにおいてユーザ停止要求フラグが"1"にセットされると、上述のように、情報出力処理部22の動作モードが第2モードに遷移する。操作検出部26は、情報出力処理部22の動作モードが第2モードあるときに、所定操作を検出すると、ユーザ停止要求フラグを"0"にリセットする。尚、第2モードにおいてユーザ停止要求フラグが"0"にリセットされると、上述のように、情報出力処理部22の動作モードが第1モードに遷移する。
第1記憶部31は、第1フラグの状態(1又は0)を記憶する。第1記憶部31内の第1フラグの状態は、専用ツール90を用いても書き換えできない。例えば、第1記憶部31は、補助記憶装置14の所定記憶領域により実現される。この場合、補助記憶装置14は書き換え可能な記憶装置ではあるが、専用ツール90を介した所定記憶領域へのアクセスを禁止することで、第1記憶部31内の第1フラグの状態を書き換え不能にすることができる。他の例では、第1記憶部31は、ROM13のような書き換え不能なメモリにより実現されてもよい。
第2記憶部32は、第2フラグの状態(1又は0)を記憶する。第2記憶部32内の第2フラグの状態は、専用ツール90を用いて書き換え可能である。例えば、ディーラの作業者は、専用ツール90を車両ネットワーク50に接続し、専用ツール90を操作して、第2フラグの状態を書き換えることができる。従って、ユーザは、ディーラの作業者に依頼することで、第2フラグの状態を書き換えることができる。
第3記憶部33は、ユーザ停止要求フラグの状態(1又は0)を記憶する。第3記憶部33内のユーザ停止要求フラグの状態は、専用ツール90を用いて書き換え可能である。例えば、ディーラの作業者は、専用ツール90を車両ネットワーク50に接続し、専用ツール90を操作して、ユーザ停止要求フラグの状態を書き換えることができる。従って、ユーザは、ディーラの作業者に依頼することで、ユーザ停止要求フラグの状態を書き換えることができる。また、ユーザ停止要求フラグの状態は、操作検出部26によっても上述のように変更されうる。従って、ユーザは、自身の操作によっても、ユーザ停止要求フラグの状態を書き換えることができる。
ところで、TPMSは、国によっては義務化されていたり、義務化されていなかったりする。TPMSが義務化されていない国では、TPMSは商品性を高める機能となる。
ここで、TPMSの情報出力機能に起因した警報(空気圧低下警報やシステム異常警報)は、安全上、有用であるが、TPMSが義務化されていない国では、ユーザにとって煩わしい場合があり得る。例えば、システム異常警報が出力されることは、例えば日本において、車検が通らない原因となる。また、システム異常警報が走行中に毎回出力されることは、ユーザにとっては煩わしい場合がある。尚、システム異常警報は、例えばユーザがタイヤを交換して、交換後のタイヤにタイヤバルブ送信機7を装備しなかった場合や、タイヤバルブ送信機7が故障した場合などに出力される。また、空気圧低下警報は、冬場で気温が低いときに、かかる低温環境に起因して、走行開始後しばらく出力されてしまう。かかる空気圧低下警報の出力は、TPMSが義務化された特定の国の法規に合致した出力ではあるが、TPMSが義務化されていない国のユーザにとっては煩わしい場合がある。
このため、TPMSが義務化されていない国においても、安全性の観点からは、TPMSの情報出力機能の停止は推奨できないものの、ユーザの利便性を考慮して、所定の条件下でTPMSの情報出力機能を停止できる仕様とすることは有用となる。
この点、本実施例によれば、上述のように、出力機能停止判定部24は、第1フラグの状態が"0"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を禁止する一方、第1フラグの状態が"1"である場合は、第2フラグの状態に応じて、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を許可又は禁止する。従って、本実施例によれば、第1フラグの状態と第2フラグの状態とで規定される所定の条件下でTPMS100の情報出力機能が停止可能となる。
ここで、第1フラグの状態は、書き換え不能な第1記憶部31に記憶されるので、車両出荷後において、第1フラグの状態は、専用ツール90によっても書換え不能である。従って、TPMSが義務化された仕向け国に対しては、車両出荷時又はその前に、車両メーカが、第1フラグの状態を"0"に設定して第1記憶部31に記憶させると、以後、第1フラグの状態は、ユーザにより変更不能となる。これにより、TPMSが義務化された仕向け国において、ユーザがTPMS100の情報出力機能を停止させることを、防止できる。
他方、本実施例によれば、TPMSが義務化されていない仕向け国において、車両出荷時又はその前に、車両メーカが、第1フラグの状態を"1"に設定して第1記憶部31に記憶させると、第2フラグの状態に応じて、ユーザがTPMS100の情報出力機能を停止させることが可能となる。具体的には、第2フラグの状態は、書き換え可能な第2記憶部32に記憶されるので、車両出荷後において、第2フラグの状態は専用ツール90によって、書換え可能である。従って、TPMSが義務化されていない仕向け国においては、ユーザが第2フラグの状態を書き換えることで、TPMSの情報出力機能を停止させることが可能となる。
尚、TPMSが義務化されていない仕向け国においては、ディーラは、ユーザからの要望を受けて、第2フラグの状態を"0"から"1"に書き換えることになるが、かかる書換えに先立って、第2フラグの状態を"0"から"1"に書き換えることで、TPMS100の情報出力機能に起因した利益の享受が受けれなくなる不利益(即ち利便性の低下)をユーザに十分説明することが必須となる。
また、本実施例によれば、第1フラグを用いることで、TPMSが義務化された仕向け国と、TPMSが義務化されていない仕向け国とで、ソフトウェア(例えば後出の図6の処理のためソフトウェア)の共通化を図ることができる。即ち、車両メーカは第1フラグの状態を変更するだけで、TPMSが義務化された仕向け国用のソフトウェアと、TPMSが義務化されていない仕向け国用のソフトウェアを生成できるので、開発効率やソフトウェアの保守性を高めることができる。即ち、TPMSが義務化された仕向け国用のソフトウェアと、TPMSが義務化されていない仕向け国用のソフトウェアとの相違は、第1記憶部31に記憶される第1フラグの状態だけで済む。
ところで、TPMSが義務化されていない国では、ユーザは、例えば冬季は、タイヤバルブ送信機7を装備しないタイヤ(スタッドレスタイヤ)を車両に装着し、冬季以外は、タイヤバルブ送信機7を装備したノーマルタイヤを車両に装着するような使用形態があり得る。かかる使用形態をとるユーザの中には、タイヤバルブ送信機7を装備しないタイヤを車両に装着している間だけ、TPMS100の情報出力機能を停止し、それ以外の間は、TPMS100の情報出力機能を停止させたくないと考えるユーザが想定される。かかるユーザにとっては、タイヤ交換ごとに、ディーラに車両を持ち込み、専用ツール90でユーザ停止要求フラグを書き換えてもらうことは煩わしく感じ得る。
この点、本実施例によれば、上述のように、ユーザは、一旦、ディーラに車両を持ち込み、第2フラグの状態を"0"から"1"に書き換えると、自身の操作によって第1モード及び第2モード間の切り替えが可能となる。即ち、ユーザは、所定操作を行うことで、第1モードと第2モードとの間を自由に遷移させることができる。尚、第1モードでは、上述のように、TPMS100の情報出力機能は停止されない。このようにして、ユーザは、例えばタイヤ交換ごとに、交換後のタイヤにタイヤバルブ送信機7を装備しているか否かに応じて、適宜、所定操作を行うことで、第1モード及び第2モードのうちから所望の動作モードを形成できる。
また、本実施例によれば、上述のように、ユーザ停止要求フラグを専用ツール90により書き換え可能とすることで、所定操作を行えないユーザ(例えば所定操作を忘れてしまったユーザ)にとっても、ディーラへの車両の持ち込みを条件として、第1モードから第2モードへの遷移又はその逆の遷移が可能となる。
次に、図6を参照して、制御装置40の動作例について説明する。
図6は、制御装置40の動作例を示す概略フローチャートである。図6に示す処理は、イグニッションスイッチ3のオン状態において所定の処理周期毎に実行される。
ステップS600では、出力機能停止判定部24は、第1記憶部31内の第1フラグ、第2記憶部32内の第2フラグ、及び第3記憶部33内のユーザ停止要求フラグの各状態をチェックする。
ステップS602では、出力機能停止判定部24は、ステップS600でのチェック結果に基づいて、第1フラグの状態が"0"であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS604に進む。これにより、情報出力処理部22による情報出力処理の停止が禁止される(出力停止禁止状態)。他方、判定結果が"NO"の場合は、ステップS605に進む。
ステップS604では、情報出力処理部22は、情報出力処理を実行する。情報出力処理は上述のとおりである。
ステップS605では、出力機能停止判定部24は、ステップS600でのチェック結果に基づいて、第2フラグの状態が"1"であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS606に進む。これにより、情報出力処理部22による情報出力処理の停止が許可される。他方、判定結果が"NO"の場合(即ち、第2フラグの状態が"0"である場合)は、ステップS604に進む。これにより、情報出力処理部22による情報出力処理の停止が禁止される(出力停止禁止状態)。
ステップS606では、出力機能停止判定部24は、ステップS600でのチェック結果に基づいて、ユーザ停止要求フラグの状態が"0"であるか否か、即ち第1モードであるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS608に進み、それ以外の場合は、ステップS614に進む。
ステップS608では、操作検出部26は、所定操作の検出処理を行う。所定操作の検出処理は、上述のとおりである。但し、図6では、所定操作は、イグニッションスイッチ3を伴わない、TPMSスイッチ52単体に対する複雑な操作である。尚、所定操作は、上述のように一連の操作であるので、複数の処理周期にわたる検出処理の結果として検出されうる。操作検出部26は、所定操作を検出した場合は、上述のように、ユーザ停止要求フラグの状態を"1"にセットする。
ステップS610では、出力機能停止判定部24は、ユーザ停止要求フラグが"1"であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、今回の処理周期の処理はそのまま終了する(第2モードへの遷移)。従って、この場合、今回の処理周期では、情報出力処理部22が情報出力処理を実行することはない。他方、判定結果が"NO"の場合は、ステップS604に進む(第1モードが継続)。従って、この場合、今回の処理周期では、情報出力処理部22が情報出力処理を実行する。
ステップS614では、操作検出部26は、所定操作の検出処理を行う。所定操作の検出処理は、上述のとおりである。操作検出部26は、所定操作を検出した場合は、上述のように、ユーザ停止要求フラグの状態を"0"にリセットする。
ステップS616では、出力機能停止判定部24は、ユーザ停止要求フラグが"1"であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、今回の処理周期の処理はそのまま終了する(第2モードが継続)。従って、この場合、今回の処理周期では、情報出力処理部22が情報出力処理を実行することはない。他方、判定結果が"NO"の場合(即ちユーザ停止要求フラグが"0"である場合)は、ステップS604に進む(第1モードへの遷移)。従って、この場合、今回の処理周期では、情報出力処理部22が情報出力処理を実行する。
図6に示す処理によれば、イグニッションスイッチ3のオン状態において、所定の処理周期毎に、第2モードと第1モードとの間で状態遷移が実現可能となる。従って、ユーザは、イグニッションスイッチ3のオン状態において、所定操作を行うことで、第2モードから第1モードへの遷移又はその逆の遷移を実現できる。
次に、図7を参照して、上述した実施例に対する変形例について説明する。
図7は、変形例による状態遷移図である。変形例では、上述した実施例に対して、出力「第1モード」が無くされ、出力停止禁止状態及び第2モードの2状態間で状態遷移が実現される。変形例では、操作検出部26が不要であり、ユーザ停止要求フラグ及び第3記憶部33が不要となる。
変形例では、上述した実施例と同様、出力機能停止判定部24は、第1フラグの状態が"0"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を禁止し、第1フラグの状態が"1"である場合は、第2フラグの状態に応じて、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を許可又は禁止する。即ち、第1フラグの状態が"1"である状態では、出力機能停止判定部24は、第2フラグの状態が"1"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を許可し、第2フラグの状態が"0"である場合は、情報出力処理部22による情報出力処理の停止を禁止する。
変形例では、情報出力処理部22による情報出力処理の停止が許可された状態が、「第2モード」となる。第2モードでは、情報出力処理部22は、上述のように、上述の情報出力処理を停止する。即ち、変形例では、情報出力処理部22は、出力機能停止判定部24により情報出力処理の停止が許可された状態では、常に第2モードで動作する。
かかる変形例によっても、第1フラグの状態と第2フラグの状態とで規定される所定の条件下でTPMS100の情報出力機能が停止可能となる。即ち、TPMSが義務化された仕向け国においては、第1フラグの状態を"0"に設定して第1記憶部31に記憶させることで、ユーザがTPMS100の情報出力機能を停止させることを、防止できる。TPMSが義務化されていない仕向け国においては、ユーザが第2フラグの状態を書き換えることで、TPMSの情報出力機能を停止させることが可能となる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、ユーザ停止要求フラグの状態を"0"から"1"にするための操作と、ユーザ停止要求フラグの状態を"1"から"0"にするための操作とは、同じ所定操作であったが、これに限られない。ユーザ停止要求フラグの状態を"0"から"1"にするための操作と、ユーザ停止要求フラグの状態を"1"から"0"にするための操作とは、異なる操作であってもよい。
3 イグニッションスイッチ
7 タイヤバルブ送信機
8 受信機
9 受信アンテナ
22 情報出力処理部
24 出力機能停止判定部
26 操作検出部
31 第1記憶部
32 第2記憶部
33 第3記憶部
40 制御装置
50 車両ネットワーク
52 TPMSスイッチ
54 メータECU
60 メータ
90 専用ツール
100 TPMS
601 表示
602 表示

Claims (3)

  1. 車両に設けられ、前記車両のタイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システムであって、
    前記車両の車輪に設けられ、前記空気圧を検出し、検出結果を無線信号で送信するセンサ機能付き送信機と、
    前記無線信号を受信する受信機と、
    前記受信機が受信した前記無線信号に基づく前記空気圧に関する情報、及び、当該タイヤ空気圧監視システムの異常に関する情報を出力する情報出力処理を行う情報出力処理部と、
    第1フラグの状態を書き換え不能な態様で記憶する第1記憶部と、
    第2フラグの状態を書き換え可能な態様で記憶する第2記憶部と、
    前記第1フラグの状態が第1状態である場合は、前記情報出力処理部による前記情報出力処理の停止を禁止する一方、前記第1フラグの状態が、前記第1状態とは異なる第2状態である場合は、前記第2フラグの状態に応じて、前記情報出力処理部による前記情報出力処理の停止を許可又は禁止する出力機能停止判定部とを含む、タイヤ空気圧監視システム。
  2. 前記車両のユーザによる所定操作を検出する操作検出部を更に含み、
    前記情報出力処理部は、前記出力機能停止判定部により前記情報出力処理の停止が許可された状態において、前記情報出力処理を実行する第1モードと、前記情報出力処理を停止する第2モードのいずれかで動作し、
    前記情報出力処理部は、前記第1モードにおいて前記操作検出部により前記所定操作が検出された場合に、前記第1モードから前記第2モードへ切り替わる、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
  3. 前記情報出力処理部は、前記第2モードにおいて前記操作検出部により前記所定操作が検出された場合に、前記第2モードから前記第1モードへ切り替わる、請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
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