JP6562594B2 - 積層剥離容器 - Google Patents

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Description

本発明は、積層剥離容器に関する。
従来、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が外殻から剥離し収縮する容器本体を備える積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。
このような容器本体は、一般に、円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形によって製造される。また、容器本体の底部には、積層パリソンの一端を溶着した際のシール部が設けられるが、このシール部は衝撃に弱いので、強度を高めるために容器の底面から突出するように設けられている。特許文献1では、このシール部の強度をさらに高めるために、シール部における溶着層が複数の喰込み部により相互に噛合うように融着させている。
特許3401519号
特許文献1の構成を実現するために、金型にはパリソン融着層を押圧するピンを配設することが必要であり、金型構造が複雑になり、生産コストの増大に繋がる。このため、よりシンプルな構成でシール部を強化することが望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、生産性に優れた積層剥離容器を提供するものである。
本発明によれば、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備える積層剥離容器であって、前記容器本体は、内容物を収容する収容部の底面から突出する底シール突出部を備え、前記底シール突出部は、前記外殻を構成する外層と、前記内袋を構成する内層とを備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における前記積層パリソンのシール部であり、かつ折り曲げられている、積層剥離容器が提供される。
本発明者は鋭意検討を行ったところ、容器本体の収容部の底面から突出する底シール突出部を折り曲げるというシンプルな構成によってシール部を強化することができることを見出し、本発明の完成に到った。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記底シール突出部は、前記底面側から順には薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部とを備える。
好ましくは、前記底シール突出部は、前記薄肉部において折り曲げられる。
好ましくは、前記底面は、凹領域と、前記凹領域の周囲に設けられる周縁領域とを備え、前記底シール突出部は、前記凹領域に設けられる。
好ましくは、前記底シール突出部は、折り曲げられた状態で前記周縁領域によって規定される面から突出しないように構成される。
好ましくは、前記凹領域は、前記底シール突出部の長手方向において前記底面全体を横切るように設けられる。
本発明は、別の観点によれば、上記記載の積層剥離容器の製造方法であって、前記ブロー成形後に熱風を吹き付けることによって前記底シール突出部を軟化させて折り曲げる工程を備える、積層剥離容器の製造方法を提供するものである。
本発明の一実施形態の積層剥離容器1の構造を示す斜視図であり、(a)は全体図、(b)は底部を示す。 図1の積層剥離容器1を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。 図2(d)中のA−A断面図である。但し、図1〜図2は、底シール突出部27が折り曲げられる前の状態を示し、図3は、底シール突出部27が折り曲げられた後の状態を示す。 図3の口部9を含む領域の拡大図である。 図4の状態から内層13の剥離が進んだ状態を示す。 図3の底面29を含む領域の拡大図であり、(a)は底シール突出部27が折り曲げられる前の状態を示し、(b)は、底シール突出部27が折り曲げられた後の状態を示す。 内層13の層構成を示す断面図である。 弁部材5の種々の構成を示す斜視図である。 図1の積層剥離容器1の製造工程を示す。 図1の積層剥離容器1の、図9に続く工程を示す。 内層予備剥離・外気導入孔形成工程の別例を示す。 図1の積層剥離容器1の使用方法を示す。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
図1〜図2に示すように、本発明の一実施形態の積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材5を備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。
図3に示すように、 容器本体3は、収容部7及び口部9において、外層11と内層13を備えており、外層11によって外殻12が構成され、内層13によって内袋14が構成される。内容物の減少に伴って内層13が外層11から剥離することによって、内袋14が外殻12から剥離して収縮する。
図4に示すように、口部9は、雄ネジ部9dが設けられている。雄ネジ部9dには、雌ねじを有するキャップやポンプなどが取り付けられる。図4には、インナーリング25を有するキャップ23の一部を図示している。インナーリング25の外径は、口部9の内径と略同じであり、インナーリング25の外面が口部9の当接面9aに当接することによって内容物の漏れ出しが防がれる。本実施形態では、口部9の先端には拡径部9bが設けられており、拡径部9bでの内径は、当接部9eでの内径よりも大きくなっているため、インナーリング25の外面は、拡径部9bには接触しないようになっている。口部9に拡径部9bがない場合は、口部9の内径が製造時のバラツキによってわずかでも小さくなった場合にはインナーリング25が外層11と内層13の間に入り込んでしまうという不具合が生じる場合があったが、口部9に拡径部9bがある場合は、口部9の内径が若干ばらついてもそのような不具合が生じない。
また、口部9は、当接部9eよりも収容部7に近い位置に、内層13のズレ落ちを抑制する内層支持部9cを備える。内層支持部9cは、口部9にくびれを設けることによって形成される。口部9に拡径部9bを設けた場合であっても、インナーリング25と内層13との摩擦によって内層13が外層11から剥離してしまう場合がある。本実施形態では、このような場合でも、内層支持部9cによって内層13のズレ落ちが抑制されるので、内袋14が外殻12内に脱落してしまうことを抑制することができる。
図3〜図5に示すように、収容部7は、前記収容部の長手方向に向かって断面形状が略一定である胴部19と、胴部19と口部9の間を繋ぐ肩部17を備える。肩部17には、折り曲げ部21が設けられている。折り曲げ部21は、図3に示す折り曲げ角度αが140度以下であり且つ容器内面側の曲率半径が4mm以下である部分である。折り曲げ部21が無い場合、内層13と外層11の間の剥離が胴部19から口部9にまで広がって、口部9においても内層13と外層11が剥離されてしまう場合がある。しかし、口部9において、内層13と外層11が剥離すると内袋14が外殻12内に脱落してしまう原因になるので、口部9での内層13と外層11の剥離は望ましくない。本実施形態では、折り曲げ部21が設けられているので、内層13と外層11の間の剥離が胴部19から折り曲げ部21まで広がると、図5に示すように内層13が折り曲げ部21で折れ曲がってしまい、内層13を外層11から剥離する力が折り曲げ部21の上側の部分に伝達されず、その結果、折り曲げ部21よりも上側の部分での内層13と外層11の間の剥離が抑制される。なお、図3〜図5では、肩部17に折り曲げ部21を設けているが、折り曲げ部21は、肩部17と胴部19の境界に設けてもよい。
折り曲げ角度αの下限は、特に規定されないが、製造の容易さを考慮すると90度以上であることが好ましい。曲率半径の下限も特に規定されないが、製造の容易さを考慮すると0.2mm以上であることが好ましい。また、口部9での内層13と外層11の剥離をより確実に防ぐべく、折り曲げ角度αは120度以下であることが好ましく、曲率半径は、2mm以下であることが好ましい。折り曲げ角度αは、具体的には例えば、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。曲率半径は、具体的には例えば、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
図4に示すように、折り曲げ部21は、容器中心軸Cから折り曲げ部21での容器内面までの距離L2が、容器中心軸Cから口部9での容器内面までの距離L1の1.3倍以上になる位置に設けられる。本実施形態の積層剥離容器1は、ブロー成形によって形成されるものであり、L2/L1が大きいほど折り曲げ部21でのブロー比が大きくなって肉厚が薄くなるので、L2/L1≧1.3とすることによって、折り曲げ部21での内層13の肉厚が十分に薄くなり、折り曲げ部21において内層13がより折れ曲がりやすくなり、口部9での内層13と外層11の剥離がより確実に防止される。L2/L1は、例えば1.3〜3であり、1.4〜2が好ましい。L2/L1は、具体的には例えば、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
一例では、口部9での肉厚は0.45〜0.50mmであり、折り曲げ部21での肉厚は、0.25〜0.30mmであり、胴部19での肉厚は、0.15〜0.20mmである。このように、折り曲げ部21の肉厚が口部9での肉厚よりも十分に小さいことによって折り曲げ部21がその機能を効果的に発揮する。
ところで、図4に示すように、収容部7には、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとの間の空気の出入りを調節する弁部材5が設けられている。外殻12には、収容部7において中間空間21と外部空間Sを連通する外気導入孔15が設けられている。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、内袋14には到達していない。弁部材5は、外気導入孔15に挿通され且つ外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。
蓋部5cは、外殻12を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外殻12が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外殻12を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
この状態で外殻12をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋14が圧縮されて、内袋14内の内容物が吐出される。また、外殻12への圧縮力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって復元しようとする。この際、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには外殻12に当接する部位に突起5dが設けられており、突起5dが外殻12に当接することによって、外殻12と係止部5bの間に隙間が設けられる。なお、突起5dを設ける代わりに、係止部5bに溝を設けることによって係止部5bが外気導入孔15を閉塞させることを防いでもよい。弁部材5の構成の具体例を図8に示す。
弁部材5は、蓋部5cが外気導入孔15を押し広げながら、蓋部5cに中間空間21内に挿入することによって容器本体3に装着することができる。そのため、蓋部5cの先端は、先細り形状になっていることが好ましい。このような弁部材5は、容器本体3の外側から蓋部5cを中間空間21内に押し込むだけで装着可能なので、生産性に優れている。
収容部7は、弁部材5を取り付けた後にシュリンクフィルムで覆われる。この際に、弁部材5がシュリンクフィルムに干渉しないように、弁部材5は、収容部7に設けられた弁部材取付凹部7aに装着される。また、弁部材取付凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように弁部材取付凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられる。
図1(b)に示すように、収容部7の底面29には、中央凹領域29aと、その周囲に設けられる周縁領域29bが設けられ、中央凹領域29aには、底面29から突出する底シール突出部27が設けられる。図6(a)〜(b)に示すように、底シール突出部27は、外層11と内層13を備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部である。底シール突出部27は、底面29側から順にはベース部27dと、薄肉部27aと、薄肉部27aよりも肉厚が大きい厚肉部27bを備える。
ブロー成形の直後は、底シール突出部27は、図6(a)に示すように、周縁領域29bによって規定される面Pに対して略垂直に立っている状態であるが、この状態では、容器に衝撃が加わったときに、溶着部27cにおける内層13同士が分離されやすく、耐衝撃性が不十分である。そこで、本実施形態では、ブロー成形後に底シール突出部27に熱風を吹き付けることによって薄肉部27aを軟化させて図6(b)に示すように、薄肉部27aにおいて底シール突出部27を折り曲げている。このように、単に、底シール突出部27を折り曲げるという単純な工程によって底シール突出部27の耐衝撃性を向上させている。また、図6(b)に示すように、底シール突出部27は、折り曲げられた状態で周縁領域29bによって規定される面Pから突出しないようになっている。これによって、積層剥離容器1を立てた時に、底シール突出部27が面Pからはみ出して積層剥離容器1がグラグラすることが防止される。
なお、ベース部27dは、薄肉部27aよりも底面29側に設けられ且つ薄肉部27aよりも肉厚の部分であり、ベース部27dは、なくてもよいが、ベース部27d上に薄肉部27aを設けることによって底シール突出部27の耐衝撃性をさらに向上させることができる。
また、図1(b)に示すように、底面29の凹領域は、底シール突出部27の長手方向において底面29全体を横切るように設けられる。つまり、中央凹領域29aと周縁凹領域29cがつながっている。このような構成によって、底シール突出部27を折り曲げやすくなっている。
次に、容器本体3の層構成についてさらに詳細に説明する。容器本体3は、外層11と内層13を備える。
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層11は、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をポリプロピレン層で挟んだ構成であってもよい。ここで、リプロ層とは、容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用した層をいう。また、外層11は、復元性が高くなるように、内層13よりも肉厚に形成される。
本実施形態では、外層11は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層を備える。外層11は、ランダム共重合体層の単層であってもよく、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をランダム共重合体層で挟んだ構成であってもよい。外層11を特定構成のランダム共重合体で構成することによって、外殻12の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5〜35mol%が好ましい。この含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5〜30mol%が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10〜50万が好ましく、10〜30万がさらに好ましい。この重量平均分子量は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400〜1600MPaが好ましく、1000〜1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層11を構成することができる。
図7に示すように、内層13は、容器外面側に設けられたEVOH層13aと、EVOH層13aの容器内面側に設けられた内面層13bと、EVOH層13aと内面層13bの間に設けられた接着層13cを備える。EVOH層13aを設けることでガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。
EVOH層13aは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層13aの柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層13aは、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層13aに含有させることにより、EVOH層13aの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
EVOH樹脂の融点は、外層11を構成するランダム共重合体の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔15は、加熱式の穿孔装置を用いて外層11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点をランダム共重合体の融点よりも高くすることによって、外層11に外気導入孔15を形成する際に、孔が内層13にまで到達することを防ぐ。この観点から、(EVOHの融点)−(ランダム共重合体層の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
内面層13bは、積層剥離容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層13bを構成する樹脂の引張弾性率は、50〜300MPaが好ましく、70〜200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層13bが特に柔軟であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
接着層13cは、EVOH層13aと内面層13bとを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層13cの一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
次に、本実施形態の積層剥離容器1の製造方法の一例を説明する。
まず、図9(a)に示すように、製造すべき容器本体3に対応する積層構造(一例は、図9(a)に示すように容器内面側から順に、PE層/接着層/EVOH層/PP層の積層構造)を備えた溶融状態の積層パリソンを押出し、この溶融状態の積層パリソンをブロー成形金型にセットし、分割金型を閉じる。
次に、図9(b)に示すように、容器本体3の口部9側の開口部にブローノズルを挿入し、型締めを行った状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。
次に、図9(c)に示すように、分割金型を開いて、ブロー成形品を取り出す。分割金型は、弁部材取付凹部7a、空気流通溝7b、底シール突出部27などの容器本体3の各種形状がブロー成形品に形成されるようなキャビティー形状を有する。また、分割金型には、底シール突出部27の下側にピンチオフ部が設けられており、底シール突出部27の下側の部分に下バリが形成されるので、これを除去する。
次に、図9(d)に示すように、取り出したブロー成形品を整列させる。
次に、図9(e)に示すように、口部9の上側に設けられた上部筒状部31において外層11にのみ穴を開けて、外層11と内層13の間にブロアー33を用いてエアーを吹き込むことによって、収容部7の、弁部材5を取り付ける部位(弁部材取付凹部7a)において内層13を外層11から予備剥離する。この予備剥離によって、外気導入孔15を形成する工程、及び弁部材5を装着する工程を行い易くする。なお、吹き込んだエアーが上部筒状部31の先端側から漏れないよう、上部筒状部31の先端側をカバー部材で覆ってもよい。また、外層11にのみ穴を開けやすくするために、穴を開ける前に上部筒状部31を押し潰すことによって上部筒状部31において内層13を外層11から剥離させてもよい。まあ、予備剥離は、収容部7の全体に対して行ってもよく、収容部7の一部に対して行ってもよい。
次に、図9(f)に示すように、穴あけ装置を用いて外殻12に外気導入孔15を形成する。外気導入孔15は、好ましくは丸穴であるが、別の形状であってもよい。
次に、図10(a)に示すように、底シール突出部27に熱風を当てて薄肉部27aを軟化させて、底シール突出部27を折り曲げる。
次に、図10(b)に示すように、外気導入孔15に弁部材5を挿入する。
次に、図10(c)に示すように、上部筒状部31をカットする。
次に、図10(d)に示すように、内袋14内にエアーを吹き込むことによって、内袋14を膨らませる。
次に、図10(e)に示すように、内袋14内に内容物を充填する。
次に、図10(f)に示すように、口部9にキャップ23を装着する。
次に、図10(g)に示すように、収容部7をシュリンクフィルムで覆い、製品が完成する。
ここで示した各種工程の順序は、適宜入れ替え可能である。例えば、熱風曲げ工程は、外気導入孔開通工程の前や、内層予備剥離工程の前に行ってもよい。また、上部筒状部31をカットする工程は、外気導入孔15に弁部材5を挿入する前に行ってもよい。
さらに、内層予備剥離及び外気導入孔開通工程は、以下の方法によって行うこともできる。
まず、図11(a)に示すように、口部9から内袋14内の空気を吸引して、内袋14内を減圧する。その状態で、熱パイプ又はパイプカッタ−のような穿孔装置を外層11に対してゆっくりと押し付ける。この穿孔装置は、筒状カッターを有しており、筒の内部の空気が吸引されている。外層11に穴が開いていない状態では、外層11と内層13の間に空気が入らないので、内層13は外層11から剥離されない。
筒状カッターが外層11を貫通すると、図11(b)に示すように、くり抜かれた切除片は筒状カッター内を通って取り除かれて、外気導入孔15が形成される。この瞬間に、外層11と内層13の間に空気が入り、内層13が外層11から剥離される。
次に、図11(c)に示すように、穴あけ装置を用いて、外気導入孔15を拡径する。なお、図11(a)〜(b)の工程において弁部材5の挿入に十分な大きさの外気導入孔15を形成する場合には、図11(c)の拡径工程は不要である。
次に、製造した製品の使用時の動作原理を説明する。
図12(a)〜(c)に示すように、内容物が充填された製品を傾けた状態で外殻12の側面を握って圧縮して内容物を吐出させる。使用開始時は、内袋14と外殻12の間に実質的に隙間がない状態であるので、外殻12に加えた圧縮力は、そのまま内袋14の圧縮力となり、内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。
キャップ23は、図示しない逆止弁を内蔵しており、内袋14内の内容物を吐出させることはできるが、内袋14内に外気を取り込むことはできない。そのため、内容物の吐出後に外殻12へ加えていた圧縮力を除くと、外殻12が自身の復元力によって元の形状に戻ろうとするが、内袋14はしぼんだままで外殻12だけが膨張することになる。そして、図12(d)に示すように、内袋14と外殻12の間の中間空間21内が減圧状態となり、外殻12に形成された外気導入孔15を通じて中間空間21内に外気が導入される。中間空間21が減圧状態になっている場合、蓋部5cは、外気導入孔15に押し付けられないので、外気の導入を妨げない。また、係止部5bが外殻12に接触した状態でも係止部5bが外気の導入を妨げないように、係止部5bには突起5dや溝などの気道確保手段が設けられる。
次に、図12(e)に示すように、再度、外殻12の側面を握って圧縮した場合、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞することによって、中間空間21内の圧力が高まり、外殻12に加えた圧縮力は中間空間21を介して内袋14に伝達され、この力によって内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。
次に、図12(f)に示すように、内容物の吐出後に外殻12へ加えていた圧縮力を除くと、外殻12は、外気導入孔15から中間空間21に外気を導入しながら、自身の復元力によって元の形状に復元される。
1:積層剥離容器、3:容器本体、5:弁部材、7:収容部、9:口部、11:外層、12:外殻、13:内層、14:内袋、15:外気導入孔、23:キャップ、27:底シール突出部

Claims (5)

  1. 外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体を備える積層剥離容器であって、
    前記容器本体は、内容物を収容する収容部の底面から突出する底シール突出部を備え、
    前記底シール突出部は、前記外殻を構成する外層と、前記内袋を構成する内層とを備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における前記積層パリソンのシール部であり、かつ折り曲げられており、
    前記底シール突出部は、前記底面側から順には薄肉部と、前記薄肉部よりも肉厚が大きい厚肉部とを備え、
    前記薄肉部及び前記厚肉部において、前記内層が前記外層によって挟まれており、
    前記底シール突出部は、前記薄肉部よりも前記底面側にベース部を備え、
    前記ベース部は、前記薄肉部よりも肉厚が大きく、
    前記底シール突出部は、前記薄肉部において折り曲げられる、積層剥離容器。
  2. 前記底面は、凹領域と、前記凹領域の周囲に設けられる周縁領域とを備え、
    前記底シール突出部は、前記凹領域に設けられる、請求項1に記載の積層剥離容器。
  3. 前記底シール突出部は、折り曲げられた状態で前記周縁領域によって規定される面から突出しないように構成される、請求項2に記載の積層剥離容器。
  4. 前記凹領域は、前記底シール突出部の長手方向において前記底面全体を横切るように設けられる、請求項2又は請求項3に記載の積層剥離容器。
  5. 前記内層は、前記厚肉部の端面から露出している、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の積層剥離容器。
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