JP6495682B2 - 工作機械における送り軸の制御方法及び工作機械 - Google Patents
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Description
しかし、側面切削においては、被加工物に対する工具径方向の切込み量(以下「ae」と表記する。)によって切削の開始角度が変わり、切削力が均一でなくなるため十分な工具寿命を得ることができなかった。
前記工具を径方向へ切り込んで前記加工進行方向へ移動させる側面加工を行う際には、前記工具の径方向の切込み量に基づいて前記制御の前記開始角度を前記加工進行方向から工具回転方向側へ変更する角度補正量を算出し、算出した前記角度補正量から前記開始角度を前記工具回転方向側へ補正して、補正した前記開始角度に基づいて前記微小変位の制御を重畳することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、前記角度補正量θCは、以下の計算式で算出されることを特徴とするものである。
ae<Rの場合:θC=sin−1{1−(ae/R)}
ae≧Rの場合:θC=0
ae:径方向の切込み量(mm)、R:工具半径(mm)
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、同心円上に複数配置される切れ刃の段を軸方向へ少なくとも1段装着してなる工具を回転させて所定の加工進行方向へ移動させながら被加工物を加工すると共に、加工中の送り軸に対して予め測定した前記切れ刃の振れ量に基づいて、前記切れ刃の段が1段の場合は各前記切れ刃の所定の基準位置からの回転角度を開始角度とし、前記切れ刃の段が複数の場合は前記軸方向の刃列内の各段における前記切れ刃の前記回転角度の平均値を開始角度として、前記加工進行方向に各前記開始角度が一致するタイミングで前記送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を重畳する工作機械であって、
前記工具を径方向へ切り込んで前記加工進行方向へ移動させる側面加工を行う際に、前記工具の径方向の切込み量に基づいて前記制御の前記開始角度を前記加工進行方向から工具回転方向側へ変更する角度補正量を算出する角度補正量算出手段と、前記角度補正量算出手段で算出した前記角度補正量から前記開始角度を前記工具回転方向側へ補正する開始角度補正手段と、前記開始角度補正手段で補正した前記開始角度に基づいて前記微小変位の制御を重畳する制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、前記角度補正量算出手段は、前記角度補正量θCを以下の計算式で算出することを特徴とするものである。
ae<Rの場合:θC=sin−1{1−(ae/R)}
ae≧Rの場合:θC=0
ae:径方向の切込み量(mm)、R:工具半径(mm)
図1は、本発明に係る送り軸の制御方法を実施する工作機械の一例を示す構成図である。同図において、1はベッド、2はコラムで、コラム2の前面には、主軸頭3が、X軸制御ユニット4及びZ軸制御ユニット5によってX軸方向及びZ軸方向へ移動制御可能に設けられて、主軸頭3の下部で下向きに設けた主軸6に、工具7が装着されている。一方、ベッド1上には、Y軸制御ユニット8によってY軸方向へ移動制御可能なテーブル9が設けられて、テーブル9上に被加工物10が固定可能となっている。
まず、S1において、工具7の切れ刃7aの各位置とその振れ量を測定して外部入力装置14を介して演算装置12に入力し、演算装置12において、所定の計算式を使用して回転角度における各刃列の制御量及び制御位置を計算する。この制御量の計算は、例えば以下の通り行われる。
各刃列内の切れ刃7aの段番号添え字をj(1≦j≦N、N:刃列内で実加工に使用する切れ刃段数)
測定した各切れ刃振れ量をCi,j(μm)
とすると、各切れ刃における実際の加工代の増減分Di,jは、以下の式(1)で算出できる。
Di,j=Ci,j−Ci−1,j ・・(1)
但し、i−1がゼロの場合はZに置き換える。
つまり、各切れ刃7aの振れ量の大小が各切れ刃7aにおける実際の加工代ではなく、各切れ刃7aの振れ量の差(増減分)が実際の加工代の差となる。この差が大きな切れ刃7aほどチッピングが早く進行して工具寿命が短くなるため、この値を計算するのである。
Q1=0として、
Qi=(Di,1からDi,jまでの最大値)−{各刃列iにおける(Di,1からDi,jまでの最大値)の総和を刃数Zで除した値}+Qi−1 ・・(2)
なお、この計算式は、刃列内の実加工代最大値は、各刃列で計算した最大値の平均値より小さくならないことを意味している。
そこで、S2において、予め径方向の切込み量ae(mm)と工具半径R(mm)とを外部入力装置14を介して入力しておき、演算装置12は、S3において、予め設定した計算式から、制御の位置を補正するための角度補正量θCを計算する。この角度補正量θCは、以下の計算式で計算される。
θC=sin−1{1−(ae/R)}
但し、この計算はae<Rの場合に限り、ae≧Rの場合は、角度補正量θCの計算は行わず(θC=0)、角度補正も行わない。これは、加工進行方向で切削力が最大となるからである。
この制御により、送り動作に対して微小な強制振動が重畳されるが、この強制振動は、工具7の振れに等しい振動数となるため、主軸6の1回転内における工具7の振れ量を抑制するように送り軸に振動を重畳でき、工具振れ量の影響をキャンセルするよう作用させることができる。その結果、切れ刃7aに作用する最大切削力を削減して工具チッピングの発生割合を低減することができる。また、最大切削力の削減によってびびり振動の抑制にも繋がる。
図5は、刃数が4で1段の切れ刃を有する工具を使用することを想定した場合の各切れ刃振れ量測定値を示したものである。
図6は、図5の工具において、切込み量aeと工具半径とから計算した角度補正量θCを示したもので、図7が、図4の測定値に角度補正量θCを加えて制御の位置を補正した制御量である。
このように、側面切削中に適切な制御の位置で各軸方向の工具振れ量を送り軸側にて補正するので、工具振れ量の影響を抑制して加工できることになり、工具寿命が向上する。
図10で明らかなように、角度補正を行った場合、切削力が均一になるため、工具寿命が向上することになる。
工作機械も、同心円上に複数配置される切れ刃の段を軸方向へ少なくとも1段装着してなる工具を回転させて送り軸制御して加工を行うものであれば、複合加工機やマシニングセンタ等、特に機種を限定するものではない。
Claims (4)
- 同心円上に複数配置される切れ刃の段を軸方向へ少なくとも1段装着してなる工具を回転させて所定の加工進行方向へ移動させながら被加工物を加工する工作機械において、加工中の送り軸に対して予め測定した前記切れ刃の振れ量に基づいて、前記切れ刃の段が1段の場合は各前記切れ刃の所定の基準位置からの回転角度を開始角度とし、前記切れ刃の段が複数の場合は前記軸方向の刃列内の各段における前記切れ刃の前記回転角度の平均値を開始角度として、前記加工進行方向に各前記開始角度が一致するタイミングで前記送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を重畳する送り軸の制御方法であって、
前記工具を径方向へ切り込んで前記加工進行方向へ移動させる側面加工を行う際には、前記工具の径方向の切込み量に基づいて前記制御の前記開始角度を前記加工進行方向から工具回転方向側へ変更する角度補正量を算出し、算出した前記角度補正量から前記開始角度を前記工具回転方向側へ補正して、補正した前記開始角度に基づいて前記微小変位の制御を重畳することを特徴とする工作機械における送り軸の制御方法。 - 前記角度補正量θCは、以下の計算式で算出されることを特徴とする請求項1に記載の工作機械における送り軸の制御方法。
ae<Rの場合:θC=sin−1{1−(ae/R)}
ae≧Rの場合:θC=0
ae:径方向の切込み量(mm)、R:工具半径(mm) - 同心円上に複数配置される切れ刃の段を軸方向へ少なくとも1段装着してなる工具を回転させて所定の加工進行方向へ移動させながら被加工物を加工すると共に、加工中の送り軸に対して予め測定した前記切れ刃の振れ量に基づいて、前記切れ刃の段が1段の場合は各前記切れ刃の所定の基準位置からの回転角度を開始角度とし、前記切れ刃の段が複数の場合は前記軸方向の刃列内の各段における前記切れ刃の前記回転角度の平均値を開始角度として、前記加工進行方向に各前記開始角度が一致するタイミングで前記送り軸を加工逆方向に微小変位させる制御を重畳する工作機械であって、
前記工具を径方向へ切り込んで前記加工進行方向へ移動させる側面加工を行う際に、前記工具の径方向の切込み量に基づいて前記制御の前記開始角度を前記加工進行方向から工具回転方向側へ変更する角度補正量を算出する角度補正量算出手段と、前記角度補正量算出手段で算出した前記角度補正量から前記開始角度を前記工具回転方向側へ補正する開始角度補正手段と、前記開始角度補正手段で補正した前記開始角度に基づいて前記微小変位の制御を重畳する制御手段と、を備えることを特徴とする工作機械。 - 前記角度補正量算出手段は、前記角度補正量θCを以下の計算式で算出することを特徴とする請求項3に記載の工作機械。
ae<Rの場合:θC=sin−1{1−(ae/R)}
ae≧Rの場合:θC=0
ae:径方向の切込み量(mm)、R:工具半径(mm)
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