JP6430120B2 - 二輪車用前照灯 - Google Patents

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Description

本願発明は、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットと、車体がバンク(すなわち左右方向に傾斜)したときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットとを備えた二輪車用前照灯に関するものである。
従来より、二輪車用前照灯の構成として、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットのほかに、車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットを備えた構成が知られている。
「特許文献1」には、このような二輪車用前照灯における各補助灯具ユニットの構成として、補助発光素子とその前方側に配置された補助レンズとを備えた構成が記載されている。
特開2008−1305号公報
上記従来の二輪車用前照灯は、車体がバンクしたとき、バンクした側の補助灯具ユニットの補助発光素子が点灯する構成となっているので、次のような問題がある。
すなわち、車体が左側にバンクしたとき左側の補助灯具ユニットは直進走行時よりも低い位置にあり、一方、車体が右側にバンクしたとき右側の補助灯具ユニットは直進走行時よりも低い位置にあるので、各補助灯具ユニットから照射される光は比較的低い位置からの照射光となってしまう。このため、車両前方路面に対して補助配光パターンを適正な位置に形成することが容易でなく、したがって車体がバンクしたときの視認性を効果的に高めることができない、という問題がある。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットと、車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットとを備えた二輪車用前照灯において、車体がバンクしたときの視認性を効果的に高めることができる二輪車用前照灯を提供することを目的とするものである。
本願発明は、各補助灯具ユニットの配置およびその構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る二輪車用前照灯は、
ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットと、車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットと、を備えた二輪車用前照灯において、
上記各補助灯具ユニットが、補助発光素子とこの補助発光素子の前方側に配置された補助レンズとを備え、上記補助発光素子からの直射光を上記補助レンズで偏向制御するように構成されており、
上記各補助発光素子が、車両正面方向へ向けて配置されており、
上記各補助レンズが、凸レンズ状に形成されており、
左側に位置する上記補助灯具ユニットが、上記補助発光素子からの直射光を上記補助レンズにより右方向へ向けて偏向出射するように構成されており、
右側に位置する上記補助灯具ユニットが、上記補助発光素子からの直射光を上記補助レンズにより左方向へ向けて偏向出射するように構成されており、
上記車体がバンクしたとき、バンクした側とは反対側の上記補助灯具ユニットの補助発光素子が点灯して横長の配光パターンを形成するように構成されており、
上記各補助レンズが、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有している、ことを特徴とするものである。
上記「補助発光素子」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードやレーザダイオード等が採用可能である。
上記「補助レンズ」は、補助発光素子からの直射光を補助レンズで偏向制御することにより補助配光パターンを形成するように構成されており、かつ、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有していれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
上記「補助配光パターン」は、ロービーム用配光パターンの明るさを補強するように形成される配光パターンであれば、その具体的な形状や形成位置は特に限定されるものではない。
上記構成に示すように、本願発明に係る二輪車用前照灯は、車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットを備えており、車体がバンクしたとき、バンクした側とは反対側の補助灯具ユニットの補助発光素子が点灯する構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、車体が左側にバンクしたときには右側に位置する補助灯具ユニットが相対的に高い位置にあり、一方、車体が右側にバンクしたときには左側に位置する補助灯具ユニットが相対的に高い位置にある。したがって、バンクした側とは反対側の補助灯具ユニットの補助発光素子を点灯させることにより、車体が左右いずれの方向にバンクしたときであっても、車両前方路面に対して補助配光パターンを適正な位置に形成することが容易に可能となる。そしてこれにより、車体がバンクしたときの視認性を効果的に高めることができる。
このように本願発明によれば、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットと、車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットとを備えた二輪車用前照灯において、車体がバンクしたときの視認性を効果的に高めることができる。
その際、本願発明においては、各補助灯具ユニットが、補助発光素子からの直射光をその前方側に配置された補助レンズで偏向制御する直射型の灯具ユニットとして構成されているので、簡素な灯具構成で上記作用効果を得ることができる。
また本願発明においては、各補助発光素子が車両正面方向へ向けて配置されているので、これらを共通の基板で支持することが容易に可能となり、この点においても灯具構成の簡素化を図ることができる。
上記構成において、各補助レンズの構成として、その前面よりも後面の方が大きい曲率を有する構成とすれば、両補助レンズの前面の位置を揃えることが容易に可能となり、これにより灯具の意匠性を高めることができる。
上記構成において、各補助レンズの構成として、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有する構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、補助配光パターンは、車体がバンクしたときに横長の配光パターンとして形成されることが好ましい。そこで、各補助レンズを灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有する構成とすることにより、車体が左右いずれの方向にバンクしたときであっても、補助配光パターンを横長の配光パターンとして形成することが容易に可能となり、これにより車体がバンクしたときの視認性を一層効果的に高めることができる。
上記構成において、左右1対の補助レンズが一体で形成された構成とすれば、灯具構成の一層の簡素化を図ることができる。
上記構成において、ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットについても、発光素子からの直射光をその前方側に配置されたレンズで偏向制御する直射型の灯具ユニットとして構成すれば、灯具構成のより一層の簡素化を図ることができる。
その際、発光素子を車両正面方向へ向けて配置するとともに、レンズをその前面よりも後面の曲率が大きい凸レンズ状に形成した上で、このレンズと各補助レンズとを一体で形成するようにすれば、これらレンズおよび各補助レンズの前面形状を連続した曲面で形成することが容易に可能となる。そしてこれにより、灯具の意匠性をさらに高めた上で上記作用効果を得ることができる。
また、このような構成を採用することにより、発光素子および各補助発光素子がいずれも車両正面方向へ向けて配置されることとなるので、これらを共通の基板で支持することが容易に可能となり、これにより灯具構成のさらなる簡素化を図ることができる。
本願発明の一実施形態に係る二輪車用前照灯を示す正面図 図1のII−II線断面図 図1のIII−III線断面図 上記二輪車用前照灯から前方へ照射される光により、車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターンを透視的に示す図 上記二輪車用前照灯がバンクしたときに形成される補助配光パターンをロービーム用配光パターンと共に透視的に示す図
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る二輪車用前照灯10を示す正面図である。また、図2は、図1のII−II線断面図であり、図3は、図1のIII−III線断面図である。
これらの図に示すように、この二輪車用前照灯10は、ランプボディ12とアウターカバー14とで形成される灯室内に、上下2段で配置された2つの灯具ユニット20A、20Bと左右1対の補助灯具ユニット30L、30Rとが収容された構成となっており、左右対称の形状を有している。その際、この二輪車用前照灯10は、灯具正面視において、縦長の二等辺三角形を上下逆さに配置してその各角部を面取りしたような外形形状を有している。
なお、図3において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)である。
上段に位置する灯具ユニット20Aは、ロービーム用のヘッドランプユニットであって、発光素子22Aと、この発光素子22Aの前方側に配置されたレンズ24Aとを備えており、その発光素子22Aからの直射光をレンズ24Aで偏向制御することによりロービーム用配光パターンを形成するように構成されている。
発光素子22Aは、白色発光ダイオードであって、その発光チップ22Aaは横長矩形状(例えば、縦1mm×横4mm程度の矩形形状)の発光面を有している。この発光素子22Aは、その発光チップ22Aaを灯具正面方向へ向けるようにして配置された状態で基板42に支持されている。この基板42はヒートシンク44に支持されており、このヒートシンク44はランプボディ12に支持されている。
レンズ24Aは、その前面24Aaよりも後面24Abの曲率が大きい凸レンズ状に形成されており、アウターカバー14の一部として構成されている。その際、このレンズ24Aは、発光チップ22Aaの発光中心を通るようにして灯具前後方向(本実施形態においては車両前後方向と一致している)に延びる軸線Axに関して左右対称の形状を有している。
このレンズ24Aの前面24Aaは、円弧状の水平断面形状を有しており、上方へ向けて後傾した鉛直断面形状を有している。一方、このレンズ24Aの後面24Abは、後方へ向けて凸状に膨らんだ自由曲面で構成されている。そして、このレンズ24Aは、発光素子22Aからの光を、軸線Axを中心にして左右両側に大きく拡散する光とするとともに軸線Axに対してやや下向きに偏向した状態で上下方向に僅かに拡散する光として前方へ向けて出射させるように構成されている。
下段に位置する灯具ユニット20Bは、ハイビーム用のヘッドランプユニットであって、発光素子22Bと、この発光素子22Bの前方側に配置されたレンズ24Bとを備えており、その発光素子22Bからの直射光をレンズ24Bで偏向制御することによりハイビーム用配光パターンを形成するように構成されている。
発光素子22Bは、灯具ユニット20Aの発光素子22Aと同様の構成を有している。この発光素子22Bは、発光素子22Aよりも前方の位置においてその発光チップ22Baを灯具正面方向へ向けるようにして配置された状態で、発光素子22Aと共通の基板42に支持されている。
レンズ24Bは、その前面24Baよりも後面24Bbの曲率が大きい凸レンズ状に形成されており、アウターカバー14の一部として構成されている。
このレンズ24Bの前面24Baは、レンズ24Aの前面24Aaと連続して延びる曲面で構成されており、上方へ向けてやや後傾している。一方、このレンズ24Bの後面24Bbは、後方へ向けて凸状に膨らんだ自由曲面で構成されている。そして、このレンズ24Bは、発光素子22Bからの光を左右両側に大きく拡散する光とするとともに上下方向に僅かに拡散する光として前方へ向けて出射させるように構成されている。
左右1対の補助灯具ユニット30L、30Rは、灯具ユニット20Aの左右両側の斜め上方に位置するように配置されており、互いに左右対称の形状を有している。
これら各補助灯具ユニット30L、30Rは、補助発光素子32L、32Rとこの補助発光素子32L、32Rの前方側に配置された補助レンズ34L、34Rとを備えており、その補助発光素子32L、32Rからの直射光を補助レンズ34L、34Rで偏向制御するように構成されている。
各補助発光素子32L、32Rは、白色発光ダイオードであって、その発光チップ32La、32Raは矩形状(例えば、縦1mm×横1mm程度の正方形)の発光面を有している。そして、これら各発光素子32L、32Rは、その発光チップ32La、32Raを灯具正面方向へ向けるようにして配置された状態で、発光素子22A、22Bと共通の基板42に支持されている。
各補助レンズ34L、34Rは、その前面34La、34Raよりも後面34Lb、34Rbの曲率が大きい凸レンズ状に形成されており、アウターカバー14の一部として構成されている。
これら各補助レンズ34L、34Rの前面34La、34Raは、レンズ24Aの前面24Aaと連続して延びる曲面で構成されている。一方、これら各補助レンズ34L、34Rの後面34Lb、34Rbは、後方へ向けて凸状に膨らんだ自由曲面で構成されている。その際、これら各補助レンズ34L、34Rは、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有している。
そして、左側に位置する補助灯具ユニット30Lは、補助発光素子32Lからの直射光を補助レンズ34Lにより右方向へ向けて偏向出射するように構成されており、これにより車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの右側部分の明るさを補強する横長の補助配光パターンを形成するようになっている。
一方、右側に位置する補助灯具ユニット30Rは、補助発光素子32Rからの直射光を補助レンズ34Rにより左方向へ向けて偏向出射するように構成されており、これによりロービーム用配光パターンの左側部分の明るさを補強する横長の補助配光パターンを形成するようになっている。
アウターカバー14の後面におけるレンズ24Aとレンズ24Bとの間の部分には、水平方向に延びる溝部14aが形成されている。また、アウターカバー14の後面におけるレンズ24Aと各補助レンズ34L、34Rとの間の部分には、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に延びる溝部14bがそれぞれ形成されている。
アウターカバー14と基板42の間には、エクステンション部材16が配置されている。このエクステンション部材16は、各灯具ユニット20A、20Bの発光素子22A、22Bおよび各補助灯具ユニット30L、30Rの補助発光素子32L、32Rを囲むように配置されている。そして、このエクステンション部材16は、その一部がアウターカバー14の溝部14aおよび溝部14bに挿入される平板状の仕切り部16a、16bとして構成されている。
図4は、二輪車用前照灯10から前方へ照射される光により、車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。その際、同図(a)は、ロービーム用配光パターンPLを示しており、同図(b)は、ハイビーム用配光パターンPHを示している。
図4(a)に示すロービーム用配光パターンPLは、灯具ユニット20Aからの照射光によって形成される配光パターンである。
このロービーム用配光パターンPLは、H−Vを通る水平線であるH−H線よりも下方側においてV−V線を中心にして左右両側に大きく拡がる横長の配光パターンとして形成されており、その上端縁はH−H線の下方近傍において略水平方向に延びるカットオフラインCLとして形成されている。このロービーム用配光パターンPLには、V−V線を中心とする高光度領域HZLがカットオフラインCLに沿って形成されている。
なお、図4(a)において2点鎖線で示す1対の補助配光パターンPAL、PARは、二輪車の車体がバンクしたときに追加形成される配光パターンである(これについては後述する)。
図4(b)に示すハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLと灯具ユニット220Bからの照射光によって形成される付加配光パターンPAとの合成配光パターンとして形成されている。
その際、付加配光パターンPAは、H−Vを中心にして左右両側に大きく拡がるとともに上下方向にも多少拡がる横長の配光パターンとして形成されており、H−Vを中心とする高光度領域を有している。
そして、これらロービーム用配光パターンPLと付加配光パターンPAとが重畳されることにより、H−V付近を中心とする高光度領域HZHを有する横長のハイビーム用配光パターンPHが形成されるようになっている。
図5は、二輪車用前照灯10が装着された二輪車の車体2がバンクしたときに形成される補助配光パターンPAL、PARをロービーム用配光パターンPLと共に透視的に示す図である。その際、同図(a)は、車体2が左側にバンクしたときに追加形成される補助配光パターンPALを示しており、同図(b)は、車体2が左側にバンクしたときに追加形成される補助配光パターンPARを示している。
図5(a)に示す補助配光パターンPALは、右側に位置する補助灯具ユニット30Rからの照射光によって形成されるようになっている。
この補助配光パターンPALは、仮に二輪車が直進走行しているときに追加形成されたとすると、図4(a)において2点鎖線で示すように、H−V付近から斜め左上方向に延びる横長の配光パターンとなるが、車体2が左側にバンクしたときには、図5(a)に示すように、水平に近い方向に延びる横長の配光パターンとして形成されることとなる。
そして、この補助配光パターンPALの追加形成により、左側に傾斜したロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCLの左上方に位置する領域を照射して、左側にカーブしている車両前方路面を明るく照射するようになっている。
この補助配光パターンPALを形成する右側の補助灯具ユニット30Rは、車体2が左側にバンクしたとき、二輪車用前照灯10において最も高い位置にあるので、車両前方路面の照射が効率的に行われることとなる。
図5(b)に示す補助配光パターンPARは、左側に位置する補助灯具ユニット30Lからの照射光によって形成されるようになっている。
この補助配光パターンPARは、仮に二輪車が直進走行しているときに追加形成されたとすると、図4(a)において2点鎖線で示すように、H−V付近から斜め右上方向に延びる横長の配光パターンとなるが、車体2が右側にバンクしたときには、図5(b)に示すように、水平に近い方向に延びる横長の配光パターンとして形成されることとなる。
そして、この補助配光パターンPARの追加形成により、右側に傾斜したロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCLの右上方に位置する領域を照射して、右側にカーブしている車両前方路面を明るく照射するようになっている。
この補助配光パターンPARを形成する左側の補助灯具ユニット30Lは、車体2が右側にバンクしたとき、二輪車用前照灯10において最も高い位置にあるので、車両前方路面の照射が効率的に行われることとなる。
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態に係る二輪車用前照灯10は、車体2がバンクしたときにロービーム用配光パターンPLの明るさを補強する補助配光パターンPAL、PARを形成するための左右1対の補助灯具ユニット30L、30Rを備えており、車体2がバンクしたとき、バンクした側とは反対側の補助灯具ユニット30Lまたは30Rの補助発光素子32Lまたは32Rが点灯する構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、車体2が左側にバンクしたときには右側に位置する補助灯具ユニット30Rが相対的に高い位置にあり、一方、車体2が右側にバンクしたときには左側に位置する補助灯具ユニット30Lが相対的に高い位置にある。したがって、バンクした側とは反対側の補助灯具ユニット30Lまたは30Rの補助発光素子32Lまたは32Rを点灯させることにより、車体2が左右いずれの方向にバンクしたときであっても、車両前方路面に対して補助配光パターンPAL、PARを適正な位置に形成することが容易に可能となる。そしてこれにより、車体2がバンクしたときの視認性を効果的に高めることができる。
このように本実施形態によれば、ロービーム用配光パターンPLを形成するための灯具ユニット20Aと、車体2がバンクしたときにロービーム用配光パターンPLの明るさを補強する補助配光パターンPAL、PARを形成するための左右1対の補助灯具ユニット30L、30Rとを備えた二輪車用前照灯10において、車体2がバンクしたときの視認性を効果的に高めることができる。
その際、本実施形態においては、各補助灯具ユニット30L、30Rが、補助発光素子32L、32Rからの直射光をその前方側に配置された補助レンズ34L、34Rで偏向制御する直射型の灯具ユニットとして構成されており、各補助レンズ34L、34Rは凸レンズ状に形成されているので、簡素な灯具構成で上記作用効果を得ることができる。
しかも本実施形態においては、各補助発光素子32L、32Rが車両正面方向へ向けて配置されているので、これらを共通の基板42で支持することが容易に可能となり、この点においても灯具構成の簡素化を図ることができる。
また本実施形態においては、各補助レンズ34L、34Rが、その前面34La、34Raよりも後面34Lb、34Rbの方が大きい曲率を有しているので、両補助レンズ34L、34Rの前面34La、34Raの位置を揃えることが容易に可能となり、これにより灯具の意匠性を高めることができる。
さらに本実施形態においては、各補助レンズ34L、34Rが、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、補助配光パターンPAL、PARは、車体2がバンクしたときに横長の配光パターンとして形成されることが好ましい。そこで、本実施形態のように各補助レンズ34L、34Rを灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有する構成とすることにより、車体2が左右いずれの方向にバンクしたときであっても、補助配光パターンPAL、PARを横長の配光パターンとして形成することが容易に可能となり、これにより車体2がバンクしたときの視認性を一層効果的に高めることができる。
しかも本実施形態においては、左右1対の補助レンズ34L、34Rが一体で形成されているので、灯具構成の一層の簡素化を図ることができる。
さらに本実施形態においては、ロービーム用配光パターンPLを形成するための灯具ユニット20Aおよびハイビーム用配光パターンPHを形成するための灯具ユニット20Bも、それぞれ発光素子22A、22Bからの直射光をその前方側に配置されたレンズ24A、24Bで偏向制御する直射型の灯具ユニットとして構成されているので、灯具構成のより一層の簡素化を図ることができる。
その際、各発光素子22A、22Bは車両正面方向へ向けて配置されており、また、各レンズ24A、24Bはその前面24Aa、24Baよりも後面24Ab、24Bbの曲率が大きい凸レンズ状に形成されているが、これら各レンズ24A、24Bは各補助レンズ34L、34Rと一体で形成されているので、これら各レンズ24A、24Bおよび各補助レンズ34L、34Rの前面形状を連続した曲面で形成することが容易に可能となる。そしてこれにより、灯具の意匠性をさらに高めた上で上記作用効果を得ることができる。
また、このような構成を採用することにより、各発光素子22A、22Bおよび各補助発光素子32L、32Rがいずれも車両正面方向へ向けて配置されることとなるので、これらを共通の基板42で支持することが容易に可能となり、これにより灯具構成のさらなる簡素化を図ることができる。
上記実施形態においては、左右1対の補助灯具ユニット30L、30Rが、灯具ユニット20Aの左右両側の斜め上方に位置するように配置されているものとして説明したが、これ以外の位置(例えば灯具ユニット20Aの左右両側あるいは灯具ユニット20Aの上方側の位置)に配置された構成とすることも可能である。
上記実施形態においては、各灯具ユニット20A、20Bのレンズ24A、24Bおよび各補助灯具ユニット30L、30Rの補助レンズ34L、34Rが、アウターカバー14の一部として構成されているものとして説明したが、これらのうちの一部または全部をアウターカバー14とは別体で構成することも可能である。
なお、上記実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
また、本願発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
2 車体
10 二輪車用前照灯
12 ランプボディ
14 アウターカバー
14a、14b 溝部
16 エクステンション部材
16a、16b 仕切り部
20A、20B 灯具ユニット
22A、22B 発光素子
22Aa、22Ba、32La、32Ra 発光チップ
24A、24B レンズ
24Aa、24Ba、34La、34Ra 前面
24Ab、24Bb、34Lb、34Rb 後面
30L、30R 補助灯具ユニット
32L、32R 補助発光素子
34L、34R 補助レンズ
42 基板
44 ヒートシンク
Ax 軸線
CL カットオフライン
HZH、HZL 高光度領域
PA 付加配光パターン
PAL、PAR 補助配光パターン
PH ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン

Claims (4)

  1. ロービーム用配光パターンを形成するための灯具ユニットと、車体がバンクしたときにロービーム用配光パターンの明るさを補強する補助配光パターンを形成するための左右1対の補助灯具ユニットと、を備えた二輪車用前照灯において、
    上記各補助灯具ユニットが、補助発光素子とこの補助発光素子の前方側に配置された補助レンズとを備え、上記補助発光素子からの直射光を上記補助レンズで偏向制御するように構成されており、
    上記各補助発光素子が、車両正面方向へ向けて配置されており、
    上記各補助レンズが、凸レンズ状に形成されており、
    左側に位置する上記補助灯具ユニットが、上記補助発光素子からの直射光を上記補助レンズにより右方向へ向けて偏向出射するように構成されており、
    右側に位置する上記補助灯具ユニットが、上記補助発光素子からの直射光を上記補助レンズにより左方向へ向けて偏向出射するように構成されており、
    上記車体がバンクしたとき、バンクした側とは反対側の上記補助灯具ユニットの補助発光素子が点灯して横長の配光パターンを形成するように構成されており、
    上記各補助レンズが、灯具正面視において車幅方向外側に向かって斜め下方向に長い外形形状を有している、ことを特徴とする二輪車用前照灯。
  2. 上記各補助レンズが、該補助レンズの前面よりも後面の方が大きい曲率を有している、ことを特徴とする請求項1記載の二輪車用前照灯。
  3. 上記左右1対の補助レンズが一体で形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の二輪車用前照灯。
  4. 上記灯具ユニットが、発光素子とこの発光素子の前方側に配置されたレンズとを備え、上記発光素子からの直射光を上記レンズで偏向制御するように構成されており、
    上記発光素子が、車両正面方向へ向けて配置されており、
    上記レンズが、該レンズの前面よりも後面の曲率が大きい凸レンズ状に形成されており、
    上記レンズと上記各補助レンズとが一体で形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の二輪車用前照灯。
JP2014010289A 2014-01-23 2014-01-23 二輪車用前照灯 Active JP6430120B2 (ja)

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