JP6399969B2 - プリント基板 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器に搭載されるプリント基板に関し、特にプリント基板に伝搬する外来電磁ノイズを低減するための構造に関する。
近年の電子機器の小型化、高密度実装化に伴い、電子機器に搭載されるプリント基板上の配線及びIC部品等の回路部品の間隔が狭くなっている。このため、コネクタ、スイッチ等の外部インターフェースが実装されたプリント基板では、外部インターフェースから侵入した静電気等の外来電磁ノイズがプリント基板へ伝搬し易くなっている。電磁ノイズは、プリント基板上の回路部品の誤動作を誘発するため、電磁ノイズの伝搬を抑制するプリント基板の構造が求められる。
プリント基板への電磁ノイズの伝搬を抑制する先行技術として、例えば特許文献1には、外部インターフェースを搭載する領域に設けられたフレームグラウンド配線と、回路部品を搭載する領域に設けられた信号グラウンド配線とを分離するスリットを設け、このスリット部に沿って延在する導電体を配置することが記載されている。
また、特許文献2には、絶縁層を介して配置された一対のフラット導体を備えたフラット回路体において、一対のフラット導体は共にフラット回路体の面に沿ってウェーブ状に蛇行しており、且つ、互いが交差する2点間に、一方のフラット導体と他方のフラット導体で囲まれる領域を形成することが記載されている。
特開2010−50298号公報 特許3047572号公報
特許文献1に提示されたプリント基板では、フレームグラウンド配線に搭載された外部インターフェースに、数kHz以上の高周波成分を含む外来電磁ノイズ、例えば静電気ノイズが印加された場合、電磁ノイズの大部分はフレームグラウンド配線を伝搬し、アースや機器の筐体等の安定した電位に伝搬する。しかしながら、電磁ノイズの一部は、信号配線やIC部品等の回路部品が実装された領域に空間結合し、プリント基板上の回路部品の誤動作を誘発するという問題点があった。
また、特許文献2に提示されたフラット回路体では、二つのフラット導体に逆方向の電流が流れた場合、隣接する二つの領域でそれぞれのフラット導体の面と交差する方向において逆向きの磁束が発生し、それらが互いに打ち消し合うため、外部に磁束を形成しない。しかしながら、二つのフラット導体に同方向に電流が流れた場合には、外部に磁束が形成され、磁束の一部は信号配線やIC部品等の回路部品が実装された領域に空間結合し、プリント基板上の回路部品の誤動作を誘発するという問題点があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、プリント基板に伝搬する外来電磁ノイズを低減し、プリント基板上の回路部品の誤動作を抑制することを目的とする。
本発明に係るプリント基板は、外部インターフェースが搭載される第一領域と、信号配線によって外部インターフェースと接続された回路部品が搭載される第二領域を有するプリント基板であって、第一領域には、絶縁体を介して配置された第一のフレームグラウンド配線と第二のフレームグラウンド配線が、基板面と直交する方向から見て互いに対称に蛇行し所定間隔で重なるように設けられ、第一のフレームグラウンド配線は、一方の端部が外部インターフェースと直接接続されると共に他方の端部がアースと直接接続され、第二のフレームグラウンド配線は、少なくとも1個の容量結合を含み、一方の端部が外部インターフェースと接続されると共に他方の端部がアースと接続されるものである。
本発明に係るプリント基板によれば、第一領域の外部インターフェースに外来電磁ノイズが印加されると、第一のフレームグラウンド配線を伝搬する電磁ノイズと第二のフレームグラウンド配線を伝搬する電磁ノイズに位相差が生じ、さらに第一のフレームグラウンド配線と第二のフレームグラウンド配線が互いに重なり合うように蛇行していることにより、第一のフレームグラウンド配線を伝搬する電磁ノイズと第二のフレームグラウンド配線を伝搬する電磁ノイズにおいて生じた位相差分が打ち消されるため、第二領域への電磁ノイズの空間結合が低減され、回路部品の誤動作を抑制することが可能である。
本発明の実施の形態1に係るプリント基板を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係るプリント基板を示す上面図である。 本発明の実施の形態1に係るプリント基板を示す部分断面図である。 本発明の実施の形態1に係るプリント基板と従来のプリント基板のノイズ伝搬量を比較する図である。 従来のプリント基板を示す斜視図である。 本発明の実施の形態2に係るプリント基板を示す上面図である。 本発明の実施の形態2に係る別のプリント基板を示す上面図である。 本発明の実施の形態3に係るさらに別のプリント基板を示す上面図である。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1に係るプリント基板について、図面に基づいて説明する。図1及び図2は、本実施の形態1に係るプリント基板の構成を概略的に示す斜視図及び上面図である。なお、各図において、同一または相当部分には、同一符号を付している。
本実施の形態1に係るプリント基板1は、図1に示すように、第一の導体層7と第二の導体層8を積層した多層プリント基板である。なお、本実施の形態1では、積層は二層であるが、これ以上であっても良い。第一の導体層7と第二の導体層8の間には、誘電体層等を有しているが、図1では省略している。
プリント基板1は、図2に示すように、第一領域10、スリット部11、及び第二領域12を含んで構成される。第一領域10には、例えばコネクタ、スイッチ等の外部インターフェース2が搭載され、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4が絶縁体(図示省略)を介して設けられている。
第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4は、プリント基板1の基板面と直交する方向から見て互いに対称に蛇行しており、所定間隔で重なるように設けられている。本実施の形態1では、図2に示すように、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4が重なる所定間隔は一定である。
図1及び図2に示す例では、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4は、いずれも直角に方向転換しながら逆方向に蛇行している。これにより、蛇行の幅と同じ長さ分だけ両者が重なり合っている。ただし、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4のパターン形状はこれに限定されるものではなく、各々の一部が重なり合っていれば良い。
第一のフレームグラウンド配線3は、一方の端部が外部インターフェース2と電気的に直接接続されると共に、他方の端部がアース9と電気的に直接接続される。また、第二のフレームグラウンド配線4は、少なくとも1個の容量結合、例えばチップコンデンサを含み、一方の端部が外部インターフェース2と電気的に接続されると共に他方の端部がアース9と電気的に接続される。すなわち、第二のフレームグラウンド配線4は、外部インターフェース2及びアース9と交流的に接続されている。
本実施の形態1では、第二のフレームグラウンド配線4は2個の容量結合5、6を含み、一方の端部が容量結合5を介して外部インターフェース2と電気的に接続され、他方の端部が容量結合6を介してアース9と電気的に接続されている。なお、第一のフレームグラウンド配線3及び第二のフレームグラウンド配線4は、いずれもアース9に接続されているが、電位が安定した機器筐体等に接続しても良い。
第二領域12の第一の導体層7と第二の導体層8には、信号配線、電源配線、及び信号グラウンド配線等が形成され、IC部品等の回路部品が実装される(いずれも図示省略)。第一領域10と第二領域12の間には、スリット部11が設けられている。第一領域10に設けられた第一のフレームグラウンド配線3及び第二のフレームグラウンド配線4と、第二領域12に設けられた信号グランド配線とは、スリット部11により分離されている。
図3は、本実施の形態1に係るプリント基板1の一部を示す断面図である。第一領域10において、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4は、絶縁体を介して上下方向に配列されている。
本実施の形態1に係るプリント基板1において、外部インターフェース2から侵入する外来電磁ノイズの伝搬を抑制する作用について説明する。外部インターフェース2に数kHz以上の高周波成分を含む電磁ノイズ、例えば静電気ノイズが印加されると、電磁ノイズの一部は、第一のフレームグラウンド配線3を介してアース9へ伝搬する。また、電磁ノイズの一部は、容量結合5を介して第二のフレームグラウンド配線4へ伝搬し、さらに容量結合6を介してアース9へ伝搬する。
この時、2つの容量結合5、6により、第一のフレームグラウンド配線3に流れる電磁ノイズと第二のフレームグラウンド配線4に流れる電磁ノイズに位相差が生じる。さらに、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4は互いの一部が重なり合うように蛇行していることにより、第一のフレームグラウンド配線3を伝搬する電磁ノイズと第二のフレームグラウンド配線4を伝搬する電磁ノイズにおいて生じた位相差分が打ち消され、第二領域12の信号グランド配線あるいは電源配線への電磁ノイズの空間結合を低減することができる。
実施の形態1に係るプリント基板1と従来のプリント基板のノイズ伝搬量を比較した解析結果を図4に示す。図4において、縦軸は第二領域12へのノイズ伝搬量、横軸は電磁ノイズの周波数(対数)を示し、比較例として従来のプリント基板のノイズ伝搬量(図中、白丸で示す)を基準としている。なお、図4の解析に比較例として用いた従来のプリント基板を図5に示す。従来のプリント基板100は、第一領域にフレームグラウンド配線13のみを設けた構成とする。
図4のグラフから、本実施の形態1に係るプリント基板1は、従来のプリント基板100と比較して、第二領域12へのノイズ伝搬量が一部周波数を除いて低いことが明らかである。静電気等の外来電磁ノイズは周波数が低いほどノイズ量が大きく、第二領域12に実装された回路部品の誤動作を引き起こし易い。これに対し、本実施の形態1に係るプリント基板1は、特にノイズ量が大きい低周波数の電磁ノイズに対して伝搬量を抑制する効果が得られている。
以上のように、本実施の形態1に係るプリント基板1によれば、第一領域10の外部インターフェース2に外来電磁ノイズが印加されると、第一のフレームグラウンド配線3を流れる電磁ノイズと第二のフレームグラウンド配線4を流れる電磁ノイズに位相差が生じ、さらに、第一のフレームグラウンド配線3と第二のフレームグラウンド配線4が互いに重なり合うように蛇行していることにより生じた位相差分が打ち消されるため、第二領域12への電磁ノイズの空間結合が低減され、回路部品の誤動作を抑制することが可能である。
実施の形態2.
図6〜図9は、本発明の実施の形態2に係るプリント基板を示す上面図である。本実施の形態2に係るプリント基板1A、1B、1Cは、上記実施の形態1に係るプリント基板1を一部変更したものであり、基本的な構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略し、変更点のみ説明する。
図6に示すプリント基板1Aは、第二のフレームグラウンド配線4に3つ目の容量結合14が配置され、合計3個の容量結合5、6、14を有している。一方、図7に示すプリント基板1Bは、第二のフレームグラウンド配線4に1個の容量結合5のみを配置している。このように容量結合の数を増減することにより、第二領域12へ伝搬する外来電磁ノイズの周波数や伝搬量を細かく調整することができる。
また、図8に示すプリント基板1Cは、第一のフレームグラウンド配線3a及び第二のフレームグラウンド配線4aの蛇行の間隔が一定ではない。このため、第一のフレームグラウンド配線3aと第二のフレームグラウンド配線4aが重なる所定間隔が一定でない。このように蛇行の間隔を変化させることにより、第二領域12へのノイズ伝搬量が増える周波数領域のノイズ伝搬量を抑制することができる。
本実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、第二領域12へ伝搬する外来電磁ノイズの周波数や伝搬量を調整することが可能である。従って、第二領域12に実装されている回路部品に応じて、該回路部品が誤動作を起こし易い周波数の電磁ノイズを特に抑制することができる。なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
本発明は、電子機器に搭載されるプリント基板として利用することができる。
1、1A、1B、1C、100 プリント基板、2 外部インターフェース、
3、3a 第一のフレームグラウンド配線、4、4a 第二のフレームグラウンド配線、5、6、14 容量結合、7 第一の導体層、8 第二の導体層、9 アース、
10 第一領域、11 スリット部、12 第二領域、13 フレームグラウンド配線

Claims (5)

  1. 外部インターフェースが搭載される第一領域と、信号配線によって前記外部インターフェースと接続された回路部品が搭載される第二領域を有するプリント基板であって、
    前記第一領域には、絶縁体を介して配置された第一のフレームグラウンド配線と第二のフレームグラウンド配線が、基板面と直交する方向から見て互いに対称に蛇行し所定間隔で重なるように設けられ、
    前記第一のフレームグラウンド配線は、一方の端部が前記外部インターフェースと直接接続されると共に他方の端部がアースと直接接続され、
    前記第二のフレームグラウンド配線は、少なくとも1個の容量結合を含み、一方の端部が前記外部インターフェースと接続されると共に他方の端部がアースと接続されることを特徴とするプリント基板。
  2. 前記第二のフレームグラウンド配線は、一方の端部が前記容量結合を介して前記外部インターフェースと接続され、他方の端部が別の前記容量結合を介してアースと接続されることを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
  3. 前記第一のフレームグラウンド配線と前記第二のフレームグラウンド配線が重なる前記所定間隔は、一定でないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリント基板。
  4. 前記容量結合は、チップコンデンサであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプリント基板。
  5. 前記第一領域と前記第二領域の間にスリット部が設けられ、第一のフレームグラウンド配線及び第二のフレームグラウンド配線と、前記第二領域に設けられた信号グランド配線とは、前記スリット部により分離されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプリント基板。
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