JP6332616B2 - 高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents
高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6332616B2 JP6332616B2 JP2014084442A JP2014084442A JP6332616B2 JP 6332616 B2 JP6332616 B2 JP 6332616B2 JP 2014084442 A JP2014084442 A JP 2014084442A JP 2014084442 A JP2014084442 A JP 2014084442A JP 6332616 B2 JP6332616 B2 JP 6332616B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film layer
- polymer
- inorganic substrate
- film
- laminate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Thin Film Transistor (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
例えば特許文献1には、ガラス基板にポリイミド層を塗布した後、加熱処理により硬化させて形成し、その上に薄膜アクティブ素子を形成し、ガラス基板から剥離するフレキシブルなアクティブマトリクス層の製造方法が開示されている。しかしながら、かかる手段により得られる高分子膜は、限られた面積に前駆体溶液を塗布しなければならない制約上、厚膜を得ることが難しく、また膜厚斑が大きく、中央から端部まで均質な厚さを有するフィルムを得る事が極めて難しい。また、本手法で得られるフィルムは脆く裂けやすいため、無機基板から剥離する際に機能素子を破壊してしまう場合が多い。特に大面積のデバイスを剥離することは極めて難度が高く、およそ工業的に成り立つ歩留まりを得ることはできない。
本発明者らは、このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと支持体との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、カップリング剤を介して無機物からなる支持体(無機層)に貼り合わせてなる積層体を提案した(特許文献2〜4)。
特に高精細な電子デバイスの製作を行う場合には、収率が課題となる。高分子フィルムと無機基板間に異物が混入した場合、異物上、およびその周辺においては、異物を支柱と見立てたテント状の構造が生じる。これは高分子フィルムと無機基板の間に空隙を生じ、部分的に接着していない箇所を生じさせることになる。かかる空隙に閉じこめられた気体は、加熱環境下や減圧環境下において膨らもうとするため、膨れ欠陥(ブリスタートも云う)の原因となる。また、空隙部分は接着していない訳であるから、巨視的に接着強度を捉えた場合には、接着強度の変動が大となる。
異物が存在する近傍は、高分子フィルム自体が盛り上がった状態となり、特にフォトリソグラフを用いるパターン形成や、マイクロコンタクト印刷のような高精細なパターン形成の際に、阻害要因となり、良好な電子デバイス形成が行えない場合が生じる。
1.少なくともフィルム厚が5μm以上、500μm以下かつ、フィルム厚の厚さ斑が20%以下である高分子前駆体フィルム層と、厚さ5μm以上5000μm以下の無機基板が直接積層されてなることを特徴とする、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体。
2.無機基板の表面があらかじめ有機化処理されていることを特徴とする1.記載の、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体。
3.基材上に高分子前駆体フィルム層を形成する工程と、次いで該高分子前駆体フィルム層を基材から無機基板に転写する工程を有する1.〜2.のいずれかに記載の高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の製造方法。
4.基材上に高分子前駆体フィルム層を形成する工程と、次いで基材と共にロール状に巻き上げて、高分子前駆体フィルム層/基材積層体ロールを得る工程と、得られた高分子前駆体フィルム層/基材積層体ロールの高分子前駆体フィルム層側を基材と共に無機基板にラミネートする工程を含む1.〜2.のいずれかに記載の高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の製造方法。
5.前記1.〜2.のいずれか記載された高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の、高分子前駆体フィルム層に、加熱、冷却、活性エネルギー線照射、振動、触媒との接触からなる群より選択されてなる少なくとも1種以上の外部刺激を与え、高分子フィルム層に転化する事を特徴とする、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法。
6.前記3.又は4.に記載の製造方法にて製造された高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体に、加熱、活性光線照射、触媒との接触からなる群より選択されてなる少なくとも1種以上の外部刺激を与えて、該高分子前駆体層を高分子層に転化させる工程を含む高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法。
7.前記5.〜6.のいずれかに記載の製造方法にて得られる高分子フィルム層/無機基板積層体の、高分子フィルム層上に電子デバイスを形成し、次いで高分子フィルム層ごと無機基板から剥離することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
高分子フィルムを接着剤・粘着剤にて貼り付ける場合には 接着剤、粘着剤の耐熱性が足りず、
高分子フィルムを接着材・粘着剤等を用いずに貼り付ける場合には、高分子フィルムと基板間の異物による影響が顕著で、結果的に収率が低下し、さらに、
高分子前駆体をガラスに塗布した後に硬化させてフィルム層と成す製法においては、高分子フィルム層の厚さの不均一性が大きく、物性の不均一性によるソリ。ネジレなどの変形を生じ易い、
という問題があった。
高分子フィルム前駆体は柔軟性があり、また適度に塑性変形も可能であるため、高分子フィルム前駆体と無機基板との間に異物が介在した場合においても、欠点とならないように積層中間体を作製することが可能となり、
さらに、接着材を用いずにフィルムの貼り合わせを行う際に必要となるカップリング剤層等の形成工程にてカップリング剤の凝集塊やカップリング剤処理の不均一性が生じた場合においても、当技術に寄れば不具合の回避が可能となる。仮にそのような表面処理を行った場合に無機基板上に異物が生じた場合でも、異物の大きさが高分子前駆体フィルム層厚より概略小さければ、実用上問題となる欠点となることを防止することが出来る。
本発明の高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体は、少なくとも無機基板と高分子前駆体フィルム層から構成される。また、本発明の高分子フィルム層/無機基板積層体は、少なくとも無機基板と、該高分子前駆体フィルム層から得られる高分子フィルム層から構成される。
本発明においては高分子フィルムの支持体として無機基板を用いる。無機基板とは無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がなお好ましく、1.3mm以下がなお好ましい。厚さの加減については特に制限されないが、0.07mm以上、好ましくは0.15mm以上、なお好ましくは0.3mm以上が好ましく用いられる。
本発明における積層体を構成する高分子フィルム層とは、常温にて固体状態の高分子からなる層である。
本発明における積層中間体を構成する高分子前駆体フィルム層とは、前記高分子の前駆体から構成される層であり、概ね半固体状である程度の弾性変形と塑性変形が可能な状態のフィルム層を意味する。本発明の高分子前駆体フィルム層は、高粘度の液体、あるいは極めて柔らかい固体、ないしスラリー、ゲル、ゾル、等と呼ばれる固液複合体などいずれの状態でも良いが、少なくとも自重で流れ出すような状態ではなく、好ましくは別途準備されるセパレーターフィルム等とともに巻き取ることができる程度の自己支持性を有する物である。
前駆体には、乾燥固化することにより高分子フィルム層となる様な高分子の高濃度溶液のような物理的前駆体が含まれる。また、前駆体には、残り1ないし数段階の化学反応を経て最終的な高分子となる化学的前駆体も含まれる。
エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化型樹脂においては反応前の所謂Bステージ状態を前駆体として取り扱うことができる。Bステージ状態で取り扱うにあたりプレポリマーやフィラーなどを併用することも可能である。プレポリマーとしては末端や側鎖にカルボキシル基を付与した共重合ポリエステル樹脂などを用いることができる。
アクリル樹脂などの不飽和二重結合を用いて重合を行う樹脂においては、プレポリマーと不飽和二重結合を有するモノマー、されに必要に応じて補助成分を加えて、半固体状態とし、加熱あるいは紫外線照射、電子線照射などにより重合硬化させることができ、重合前の状態を前駆体として扱うことが出来る。これらの樹脂においてもプレポリマーやフィラーを配合することができる。プレポリマーとしては不飽和二重結合を有する共重合ポリエステル樹脂などを利用することができる。
本発明では、末端水酸基を有する共重合ポリエステル樹脂をプレポリマーとしたメラミン樹脂を高分子前駆体として用いることも可能である。
本発明の高分子前駆体層の厚さは7μm以上であり、11μm以上が好ましく、19μm以上がなお好ましく、さらには32μm以上が好ましく、なおさらには51μm以上が好ましい。高分子前駆体層の厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとしての要求より700μm以下であることが好ましく、さらに360μm以下、なおさらには250μm以下が好ましい。
本発明においては、このグリーンフィルム状態を前駆体フィルム層として取り扱う。ポリイミドの組成によっては、塗布・乾燥のみならず、化学イミド化剤を配合し、前駆体フィルム段階で、一部イミド化反応を促進させておく場合もある。
芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
本発明における基材には、極一般的な樹脂フィルムを用いることが出来る。基材としての樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリスチレン等、溶融延伸法ないし溶液製膜法で得られる樹脂のフィルムを用いることができる。本発明で好ましい塗布基材としての樹脂フィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリイミドフィルムである。かかる塗布基材としての樹脂フィルムの塗布面側は、平坦化処理がなされている事が好ましい。平坦化処理された表面とは、一般的に樹脂フィルムに添加される滑材粒子を配合しない表面、通常より添加量を減じた表面、通常より滑材粒子サイズを小さくした表面、あるいは通常表面上に平坦化層を形成した表面を云う。
(1)基材ごと高分子前駆体フィルム層を無機基板に貼りつけてから塗布基材を剥離する方法。
(2)基材から高分子前駆体フィルム層を剥がし、無機基板に直接貼りつける方法。
(3)基材から高分子前駆体フィルム層を別のキャリア材に転写し、次いでキャリア材ごと高分子前駆体フィルムを無機基板に貼りつけ、キャリア材を剥離する方法。
本発明において、無機基板を、あらかじめ有機化処理するとは、主にはこのシランカップリング剤処理の事をいう。
本発明におけるシランカップリング剤は、無機基板と高分子フィルム層との間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
本発明におけるシランカップリング剤の塗布方法としては、液相での塗布方法、気相での塗布方法を用いることが出来る。
液相での塗布方法としては、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の一般的な液体塗布方法を例示することが出来る。液相での塗布方法を用いた場合、塗布後に速やかに乾燥し、さらに100±30℃程度で数十秒〜10分程度の熱処理を行うことが好ましい。熱処理により、シランカップリング剤と被塗布面の表面とが化学反応により結合される。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、略常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には略常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
無機基板をシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、20時間以内、好ましくは60分以内、さらに好ましくは15分以内、なおさらに好ましくは1分以内である。
無機基板をシランカップリング剤に暴露する間の無機基板温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤に暴露された無機基板は、好ましくは、暴露後に、70℃〜200℃、さらに好ましくは75℃〜150℃に加熱される。かかる加熱によって、無機基板表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は10秒以上10分程度以内である。温度が高すぎたり、時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
本発明では、無機基板のシランカップリング剤塗布面を下向きに保持してシランカップリング剤蒸気に暴露することが好ましい。液相の塗布方法では、必然的に塗布中および塗布前後に無機基板の塗布面が上を向くため、作業環境下の浮遊異物などが無機基板表面に沈着する可能性を否定できない。しかしながら気相による塗布方法では無機基板を下向きに保持することが出来るため。環境中の異物付着を大幅に減ずることが可能となる。
なおシランカップリング剤処理前の無機基板表面を短波長UV/オゾン照射などの手段により清浄化すること、ないしは液体洗浄剤で清浄化すること等は、有意義な好ましい操作である。
カップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時のカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求める方法、表面元素分析によりシランカップリング剤特有の元素の存在量から換算する方法などを用いることができる。
本発明においては無機基板側にパターン化処理を行うことができる。ここにパターン化とは、意図的にカップリング剤の塗布量ないし活性度等を操作した領域を作ることを云う。これにより、積層体において無機基板と高分子フィルムとの間の剥離強度が異なる良好接着部分と易剥離部分を有し、該良好接着部分と該易剥離部分とが所定のパターンを形成することができる。パターン化処理として、シランカップリング剤塗布を行う際に、あらかじめ所定のパターンで準備されたマスクを用いて、シランカップリング剤の塗布量を操作する方法を例示できる。またシランカップリング剤の塗布面に活性エネルギー線照射を行い、その際に、マスキングないしスキャン操作などの手法を併用することによりパターン化することも可能である。ここに活性エネルギー線照射とは、紫外線、電子線、X線等のエネルギー線を照射する操作、さらには極短波長の紫外線照射処理のように紫外線照射光効果と同時に照射面近傍で発生するオゾンガスガス暴露の効果を併せ持つものを含める。さらにこれらの他に、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、サンドブラスと処理等によってパターン化処理を行うことも可能である。
本発明の高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体から高分子フィルム層/無機基板積層体を得て、これを電子デバイス形成用の基板として用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム層上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルム層ごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
本発明における電子デバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどを云う。
積層体から高分子フィルム層を剥離する方法としては、無機基板側から強い光を照射し、無機基板と高分子フィルム層間の接着部位を熱分解、ないし光分解させて剥離する方法、あらかじめ接着強度を弱めておき、高分子フィルムの弾性強度限界値未満の力で高分子フィルム層を引きはがす方法、加熱水、加熱蒸気などに晒し、無機基板と高分子フィルム層界面の結合強度を弱めて剥離させる方法などを例示することが出来る。
また、剥離する部分に予め別の補強基材を貼りつけて、補強基材ごと剥離する方法も有用である。剥離するフレキシブル電子デバイスが、表示デバイスのバックプレーンである場合、あらかじめ表示デバイスのフロントプレーンを貼りつけて、無機基板上で一体化した後に両者を同時に剥がし、フレキシブルな表示デバイスを得ることも可能である。
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<高分子前駆体フィルムの厚さ>
高分子前駆体フィルムと無機基板とからなる積層中間体の厚さをマイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定し、無機基板の厚さを差し引くことにより高分子前駆体フィルム厚さを求めた。
高分子フィルム、高分子前駆体フィルムの厚さを所定の方法で無作為に30点測定し、平均値、最大値、最小値、および標準偏差を求め、次式より厚さ斑を求めた。
フィルムの厚さ斑(%)=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
測定対象とする高分子フィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を測定した。なお連続長尺ロールのようにフィルムに方向性が有る場合はMD方向(フィルム長さ方向)の物性値とした。
測定対象とする高分子フィルムの流さ方向(MD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定をガラス転移温度まで、ガラス転移温度が300℃以上の場合には300℃まで行って、MD方向の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
DSC示差熱分析装置を用いて、室温から500℃までの範囲での構造変化に起因する吸放熱の有無から高分子フィルムのガラス転移温度を求めた。
品位については、積層体全体の目視検査での結果である。
<異物密度>
30mm×30mmの領域をサンプリングし、100倍拡大の測長機能付き顕微鏡にてサンプリング領域を観察し、100倍観察にて確認された異物については、さらに拡大率を400倍として長径長さを測定し、10μm以上のものの個数を係数し、観察面積で除して異物密度とした。
積層体上にて高分子フィルム層に10mm間隔となるようにカミソリ刃で切り込みを入れ、JIS C6471に記載の180度剥離法に従い、下記条件で測定した。
装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400質量部およびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9質量部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0質量部を加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630質量部に達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、さらに約10分間、系内を減圧してメタノール約80質量部を除去した。このようにして、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(A1)を得た。
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物43.20質量部、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン45.00質量部、N−メチルピロリドン248.82質量部、キシレン62.20質量部を仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂溶液(A2)を得た。
得られた有機溶剤可溶ポリイミド溶液(A2)を90℃に加熱し、先に得られたエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(A1)7.21質量部を加え、90℃で8時間反応させ、室温まで冷却し、硬化残分26%のメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂溶液(A3)を得た。
重合性リン酸エステルモノマーとしてアシッド・ホスホキシ・メタアクリレート、ユニケミカル社製ホスマーPP、375質量部、および2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェートとして共栄社化学製ライトエステルP−2M、1125質量部を用い、これらをアセトン1500質量部に均一に溶解させた。これを有機化処理液(B1)とする。
川研ファインケミカル社製アルミナゾル10A(アルミナ濃度10質量%の水溶液、平均粒子径15nmの棒状アルミナ、アスペクト比20)10000質量部を攪拌容器に仕込み、撹拌しながら、先に得られた有機化処理液(B1)を静かに添加し、添加完了後24時間撹拌を継続した後、遠心分離機にて上澄み液と沈殿物を分離した。
得られた沈殿物を蒸留水中で撹拌し均一に分散させた後、再び遠心分離機にて上澄み液と沈殿物を分離した。同様な操作をさらに2回行うことにより、沈殿物を洗浄濾過して白色のケーキ状物を得て、真空乾燥機にて乾燥し、有機化アルミナ粒子(B2)を得た。
得られた有機化アルミナ粒子(B2)(アルミナとリン酸エステルの質量比=10:15)1000質量部をテトラヒドロフラン1500質量部、メチルエチルケトン500質量部の混合溶媒に溶解分散させ、熱開始剤として日本油脂社製パーオクタO、3質量部を添加し均一な混合液(B3)を得た。
得られた混合液(B3)を、コンマコーターを用いて厚さ125μm、幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が75μmとなるように塗布し、90℃にて45分間乾燥し、ロール状に巻きとり、高分子前駆体フィルムのロール(B4)を得た。
積層体(B5)の高分子前駆体フィルム層の厚さは、 平均124.5μm、最大127.7μm、最小121.1μm 厚さ斑 5.30% であった。
得られた積層体(B5)を防爆仕様のオーブンに入れ、まず90℃にて15分、次いで130℃にて60分間加熱して硬化膜とし、室温まで冷却して白板ガラスと アルミナハイブリッドポリイミドフィルム層からなる高分子フィルム層/無機基板積層体(B6)を得た。
積層体(B6)から、シリカハイブリッドポリイミドフィルム層を剥離し、膜厚分布を測定した。
結果、 平均74.6μm、最大76.0μm、最小73.9μm、標準偏差 0.24μm 厚さ斑 2.82%であった。
弾性率は8.5GPa、線膨張係数16ppm/℃であった。
撹拌機、滴下ロート、及び温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール4000質量部、塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)310質量部を仕込み、滴下ロートに2−プロパノール 1500質量部と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1270質量部を入れ、反応容器内を撹拌しながら、室温で3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの2−プロパノール溶液を60分かけて滴下した。反応容器の内温は反応により上昇したが、40℃を越えないように外部から冷却して温度制御を行い、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン滴下終了後、120分間攪拌を続け、最終的には室温にもどした。得られた反応溶液から減圧により2−プロパノールを除去し、籠型シルセスキオキサン樹脂(C1)を得た。
得られた籠型シルセスキオキサン樹脂(C1):2000質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート:2500質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:5500質量部、及び光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:250質量部を混合し、液状の籠型シルセスキオキサン構造を含有する硬化性樹脂組成物(C2)を得た。
積層体(C6)から、シリカハイブリッドポリイミドフィルム層を剥離し、膜厚分布を測定した。
結果、 平均25.3μm、最大25.9μm、最小24.7μm、標準偏差 0.12μm、厚さ斑 4.74%であった。
得られたフィルムの弾性率は5.7GPa、線膨張係数は28.4ppm/Kであった。
温度計、攪拌装置及び原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、脱水N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略す)1410質量部を入れ、更に1,4−フェニレンジアミン54.34質量部及び1,3−フェニレンジアミン9.588質量部を加え溶解するまで攪拌した。その後、氷浴にて3℃まで冷却し、この冷却した芳香族ジアミン化合物DMAc溶液に無水ピロメリット酸128.5質量部を3等分に分けて添加し3時間かけて反応溶液の温度は30℃まで上げつつ攪拌を継続し、さらに10分間にて該反応液を60℃まで加温し、3分間保持した後に水浴にて25℃まで冷却し、粘稠溶液として12wt%ポリアミド酸DMAc溶液(D1)を得た。得られたポリアミド酸の還元粘度は4.95dl/gであった。
積層体(D6)から、ポリイミドフィルムを剥離し、膜厚分布を測定した。
結果、 平均37.6μm、最大38.0μm、最小37.1μm、最大標準偏差 0.27μm 厚さ斑 2.39%であった。
またフィルムの弾性率は9.3GPa、線膨張係数は1.2ppm/Kであった。
(シランカップリング剤塗布ガラス板)
換気口と吸気口を備えた密閉チャンバーの中に置いた加熱バットに、シラン系カップリング剤、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(商品名KBM−503、信越シリコーン社製)を満たし、75℃に加温した。次いで、一辺250mmの正方形とした白板硝子を、加熱バット上100mmに保持し、シランカップリング剤蒸気が均一に当たるように水平方向にガラス板の位置を揺らし、5分間暴露した後に取りだし、100℃に加温したホットプレート上に置いて、10分間加熱し、シランカップリング剤塗布ガラス板を得た。
(パターン化処理)
得られたシランカップリング剤塗布ガラス板を、200mm四方の窓が開けられた厚さ0.5mmのステンレススチール製のマスクにて被い、ガラス板の周辺25mmを光遮蔽し、LANテクニカルサービス社製のUV/オゾン照射装置を用いて、300秒間のUV/オゾン照射を行い、パターン化ガラス板とした。
積層体(E6)は外観品位良好であり、高分子フィルム層表面に、ブリスター、突起、異物等は観察されなかった。
結果 平均25.1μm、最大25.6μm、最小24.5μm、標準偏差 0.11μm、厚さ斑 4.30%であった。
得られたフィルムの弾性率は5.7GPa、線膨張係数は28.2ppm/Kであった。
実施例1にて得られたメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂溶液(A3)をスリットダイコーターに仕込み、実施例1にて用いた白板ガラスに、硬化後の膜厚が10μm程度となるように吐出量を調整して直接塗布を行った。塗布後の白板ガラスを、120℃にて15分間乾燥し、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体とした。積層中間体における高分子前駆体フィルム層の厚さを測定した結果、 平均14.6μm、最大18.5μm、最小10.3μm、厚さ斑 56.16%であった。
積層体(A6C)から、高分子フィルム層を剥離し、膜厚分布を測定した。なお測定においては塗布開始箇所、塗布終了箇所、塗布両端部などは、膜厚の異常点が出やすい。本例においてはかかる点を排除するために塗布領域の端から15mmは避けて膜厚を測定した。結果。
結果 平均9.8μm、最大15.34μm、最小6.75μm、標準偏差 1.35μm 厚さ斑 87.7%であった。
得られたフィルムの弾性率は4.2GPa、線膨張係数は7.2ppm/Kであった。
大型スピンコータの回転ステージに、実施例2で用いたガラス板を吸着固定した。次いで実施例2にて得られた混合液(B3)を、スピンコートが可能な粘度までメチルエチルケトンを用いて希釈し、1500rpmで塗布し90℃にて45分間乾燥し、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体(B5C)を得た。積層体における高分子前駆体フィルム層の厚さを測定した結果、 平均8.6μm、最大10.2μm、最小5.8μm、厚さ斑 51.16%であった。
積層体(B6)から、シリカハイブリッドポリイミドフィルムを剥離し、膜厚分布を測定した。本例においても塗布領域の端から15mmは避けて膜厚を測定した。
結果、 平均5.7μm、最大6.9μm、最小3.6μm、標準偏差 2.6μm 厚さ斑 57.9%であった。
3つ口フラスコに、メタノール500質量部、次いでシランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン(商品名、KBM−1003、信越シリコーン社製)15質量部を仕込み、室温にて5分間攪拌を行い密閉容器に移し、コート液とした。次いで実施例4にて得られた高分子前駆体フィルムロール(D2)から、高分子前駆体フィルムを剥離し、縦横共に1.2倍まで延伸し、さらにテンターを用いて150℃に昇温して15分保持し、次いで260℃に10分、300℃にて10分、300℃5分、450℃5分間の熱処理を経て、室温まで冷却し、ポリイミドフィルム(D5c)を得た。得られたポリイミドフィルムを真空チャンバーに入れ、平行平板型の電極を使ったRIEモード、RFプラズマによるプラズマ処理を、真空チャンバー内に窒素ガスを導入し、13.54MHzの高周波電力にて3分間実施した。
積層体(D6C)には、フィルム/ガラス間に入った異物の影響であると推察される突起が多数見られた、また一部はブリスター化しており、ブリスター内には比較的大きな異物の残存が観察された。
実施例1〜5により得られた、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体を用い、各々の実施例に示された方法にて高分子前駆体フィルム層を最終生成物である高分子フィルム層にまで反応を進め、以下の工程により、ボトムゲート型の薄膜トランジスタアレイを試作した。
高分子フィルム層/無機基板積層体の高分子フィルム側全面に反応性スパッタリング法を用いてSiONからなる100nmのガスバリア膜を形成した。次いで、厚さ80nmのアルミニウム層をスパッタリング法にて形成し、フォトリソグラフ法によりゲート配線とゲート電極を形成した。次いで、スリットダイコーターを用いてエポキシ樹脂系のゲート絶縁膜(厚さ80nm)を形成した。さらにスパッタリング法にて5nmのクロム層、40nmの金層を形成し、フォトリソグラフ法にてソース電極とドレイン電極を形成した。次いでスリットダイコーターを用いて、絶縁層兼ダム層となるエポキシ樹脂を塗布し、UV−YAGレーザーによるアブレーションにて、ソース電極とドレイン電極を含む半導体層用の厚さ250nmのダム層を直径100μmの円形となるように形成し、また上部電極との接続点となるビア形成も同時に行った。次いで、インクジェット印刷法により有機半導体であるポリチオフェンをダム内に塗出、ビア部には銀ペーストを埋め込み、さらに上部電極としてアルミ配線を形成し640×480ピクセルを有する薄膜トランジスタアレイを形成した。
2 高分子前駆体溶液
3 基材
4 高分子前駆体層
5 無機基板(仮支持基板)
6 高分子フィルム層
7 電子デバイス
・ フレキシブル電子デバイス
Claims (4)
- 少なくともフィルム厚が5μm以上、500μm以下かつ、フィルム厚の厚さ斑が20%以下である高分子前駆体フィルム層と、厚さ5μm以上5000μm以下の無機基板が直接積層されてなることを特徴とする、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の製造方法において、
基材上に高分子前駆体フィルム層を形成する工程と、次いで基材と共にロール状に巻き上げて、高分子前駆体フィルム層/基材積層体ロールを得る工程と、得られた高分子前駆体フィルム層/基材積層体ロールの高分子前駆体フィルム層側を基材と共に無機基板にラミネートする工程を含む高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の製造方法。 - 無機基板の表面があらかじめ有機化処理されていることを特徴とする請求項1記載の、高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の製造方法。
- 請求項1〜2のいずれかに記載された高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体の製造方法により得られた高分子前駆体フィルム層に、加熱、冷却、活性エネルギー線照射、振動、触媒との接触からなる群より選択されてなる少なくとも1種以上の外部刺激を与え、高分子フィルム層に転化する事を特徴とする、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法にて得られる高分子フィルム層/無機基板積層体の、高分子フィルム層上に電子デバイスを形成し、次いで高分子フィルム層ごと無機基板から剥離することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014084442A JP6332616B2 (ja) | 2014-04-16 | 2014-04-16 | 高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014084442A JP6332616B2 (ja) | 2014-04-16 | 2014-04-16 | 高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015202674A JP2015202674A (ja) | 2015-11-16 |
JP6332616B2 true JP6332616B2 (ja) | 2018-05-30 |
Family
ID=54596426
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014084442A Active JP6332616B2 (ja) | 2014-04-16 | 2014-04-16 | 高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6332616B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6350163B2 (ja) * | 2014-09-18 | 2018-07-04 | 三菱ケミカル株式会社 | ガラス積層体 |
TW201806779A (zh) * | 2016-05-16 | 2018-03-01 | 道康寧公司 | 用於顯示裝置基板處理之包括矽倍半氧烷聚合物及矽烷中至少一者的黏合劑剝離層 |
US10736212B2 (en) | 2016-05-20 | 2020-08-04 | Ares Materials Inc. | Substrates for stretchable electronics and method of manufacture |
US10615191B2 (en) | 2016-05-20 | 2020-04-07 | Ares Materials Inc. | Polymer substrate for flexible electronics microfabrication and methods of use |
JP2018099801A (ja) * | 2016-12-20 | 2018-06-28 | 東洋紡株式会社 | 積層体、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法 |
JP2018099800A (ja) * | 2016-12-20 | 2018-06-28 | 東洋紡株式会社 | 積層体、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法 |
US20240153785A1 (en) * | 2021-04-28 | 2024-05-09 | Toyobo Co., Ltd. | Polymer film releasing method, method for manufacturing electronic device, and releasing device |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101319090B1 (ko) * | 2008-12-19 | 2013-10-17 | 도요보 가부시키가이샤 | 적층체 및 적층체 회로판 |
JP5444581B2 (ja) * | 2010-02-16 | 2014-03-19 | 共同技研化学株式会社 | 液晶ポリエステルフィルムの製造方法 |
TWI613089B (zh) * | 2012-09-14 | 2018-02-01 | 三井化學股份有限公司 | 透明聚醯亞胺積層體、其製造方法、光學膜、可撓性元件的製造方法、觸控面板顯示器、液晶顯示器及有機el顯示器 |
-
2014
- 2014-04-16 JP JP2014084442A patent/JP6332616B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015202674A (ja) | 2015-11-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6447135B2 (ja) | 積層体、積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP6332617B2 (ja) | ポリイミド前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、ポリイミドフィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
KR102034762B1 (ko) | 적층체의 제조방법, 적층체, 이 적층체를 이용한 디바이스 부가 적층체의 제조방법, 및 디바이스 부가 적층체 | |
JP6332616B2 (ja) | 高分子前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、高分子フィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP6733544B2 (ja) | シランカップリング剤層積層ポリイミドフィルム | |
US9604391B2 (en) | Laminate, production method for same, and method of creating device structure using laminate | |
JP6550752B2 (ja) | リジッド複合積層板とその製造方法、積層体および該積層体を用いたデバイスの製造方法 | |
JPWO2016031746A6 (ja) | シランカップリング剤層積層高分子フィルム | |
JP6181984B2 (ja) | 高分子フィルム積層基板 | |
JP7013875B2 (ja) | 積層体、積層体の製造方法、フレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP2015178237A (ja) | 積層無機基板、積層体、積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP6848496B2 (ja) | 積層体 | |
KR102476038B1 (ko) | 고분자 필름 적층 기판 및 플렉시블 전자 디바이스의 제조 방법 | |
JP2013226784A (ja) | 積層体とその製造方法及びそれを用いたデバイス構造体の製造方法 | |
JP2018130837A (ja) | 多層フィルムロール、および多層フィルムロールを製造する方法 | |
JP6981012B2 (ja) | デバイス形成用仮支持基板およびデバイスの製造方法 | |
JP6981011B2 (ja) | デバイス形成用仮支持基板およびデバイスの製造方法 | |
JP6981010B2 (ja) | デバイス形成用仮支持基板およびデバイスの製造方法 | |
JP2019119802A (ja) | 剥離層形成剤および、フレキシブル電子デバイスの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170308 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171226 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180404 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180417 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6332616 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |