JP6112082B2 - インパネリインフォースメントの取付構造 - Google Patents

インパネリインフォースメントの取付構造 Download PDF

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Description

本発明は、インパネリインフォースメントの取付構造に関する。
下記特許文献1には、車両用インパネモジュールの組付け構造に関する発明が開示されている。この車両用インパネモジュールの組付け構造では、インパネメンバ(インパネリインフォースメント)の両端部にサイドブラケットが設けられており、このサイドブラケットには、係合凹部が形成されている。一方、車体骨格を構成するフロントピラーには、ガイド部及び係合ピンが設けられている。
このため、車両用インパネモジュールを組付ける際には、サイドブラケットをガイド部によってガイドしつつインパネメンバを車両後方側から車両前方側に移動させると共に、係合ピンに係合凹部を係合させることでインパネメンバの位置決めを行うことができる。
特開2013−035485号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術では、作業の簡易化については改善の余地がある。詳しく説明すると、上記特許文献1に記載された車両用インパネモジュールの組付け構造では、係合ピンが車両上下方向に離間して配置されており、サイドブラケットの係合凹部もこれに対応して形成されている。そして、車両上方側の係合ピンと車両上方側の係合部とを係合させた後に、当該係合ピンを支点にインパネメンバを回動させ、車両下方側の係合ピンと車両下方側の係合部とを係合させるようになっている。このため、上記特許文献1に記載された先行技術では、インパネメンバの位置決め作業が複雑なものとなる。
本発明は上記事実を考慮し、インパネリインフォースメントの車体への位置決め作業をより容易にすることができるインパネリインフォースメントの取付構造を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、車体の側部の一部を構成する車体骨格部材における車両後方側に面する取付面部と車両幅方向に延在するインパネリインフォースメントにおける当該取付面部に固定される端部の当該取付面部に対向する部分との何れか一方に形成された被挿入部と、前記取付面部と前記対向する部分との何れか他方に設けられ、前記被挿入部に挿入可能に形成されると共に、当該被挿入部に挿入されることで当該被挿入部への挿入方向と直交する二方向の前記インパネリインフォースメントの前記車体に対する変位及び当該インパネリインフォースメントの当該挿入方向回りの回転を規制する挿入片と、を有し、前記被挿入部及び前記挿入片は、車両幅方向一方側又は車両幅方向他方側に設けられており、前記挿入片が前記被挿入部に挿入されることで当該挿入片の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片の車両前後方向回りの回転とが規制され、前記被挿入部は、前記取付面部を切り抜くことにより形成され、前記挿入片の挿入方向から見て車両上下方向に沿った四角形状とされると共に、前記挿入片は、前記対向する部分から延出された板状に形成され、前記被挿入部に挿入された状態で当該挿入片の挿入方向から見て車両上下方向に対して傾いて配置されており、前記挿入片が前記被挿入部に挿入されるときに当該挿入片の車両上下方向の端部が前記被挿入部の周縁部に当接されることで当該挿入片の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片の車両前後方向回りの回転とが規制されている
請求項1記載の本発明によれば、車体の側部の一部が車体骨格部材によって構成されており、当該車体骨格部材の車両後方側に面する取付面部に車両幅方向に延在するインパネリインフォースメントの端部が固定されるようになっている。そして、車体骨格部材の取付面部とインパネリインフォースメントにおける端部の当該取付面部に対向する部分との何れか一方に被挿入部が形成されており、取付面部と当該対向する部分との何れか他方に被挿入部に挿入可能に形成された挿入片が設けられている。
このため、インパネリインフォースメントを車体に組み付ける際には、挿入片を被挿入部に挿入し、インパネリインフォースメントの端部が車体骨格部材の取付面部に位置決めされた状態で当該インパネリインフォースメントを車体に対して固定することができる。
ここで、本発明では、挿入片が被挿入部に挿入されることで、挿入片の被挿入部への挿入方向と直交する二方向のインパネリインフォースメントの車体に対する変位及び当該インパネリインフォースメントの当該挿入方向回りの回転が規制されるようになっている。このため、挿入片を被挿入部に挿入していくと、インパネリインフォースメントの端部が車体骨格部材の取付面部に当接されるまで、当該インパネリインフォースメントが挿入片の被挿入部への挿入方向に沿ってガイドされつつ移動すると同時に位置決めされる。
また、本発明によれば、被挿入部及び挿入片は、車両幅方向一方側又は車両幅方向他方側に設けられている。また、挿入片が被挿入部に挿入されることで当該挿入片の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片の車両前後方向回りの回転とを規制することができる。このため、一つの挿入片を被挿入部に挿入することで、インパネリインフォースメントを車体に位置決めすることができる。
さらに、本発明によれば、被挿入部は、車体骨格部材の取付面部を切り抜くことにより形成され、挿入片の挿入方向から見て車両上下方向に沿った四角形状とされている。一方、挿入片は、インパネリインフォースメントの端部における取付面部に対向する部分から延出された板状に形成され、被挿入部に挿入された状態で当該挿入片の挿入方向から見て車両上下方向に対して傾いて配置されている。そして、挿入片が被挿入部に挿入されるときに当該挿入片の車両上下方向の端部が被挿入部の周縁部に当接されることで当該挿入片の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片の車両前後方向回りの回転とが規制されるようになっている。
このため、挿入片が被挿入部に挿入されるときに、挿入片の車両上下方向の端部が被挿入部の車両上下方向の周縁部に当接されるとインパネリインフォースメントの車両上下方向の変位が規制される。また、挿入片の車両上下方向の端部が被挿入部の車両幅方向の周縁部に当接されるとインパネリインフォースメントの車両幅方向の変位が規制される。さらに、挿入片の車両上下方向の両端部が被挿入部の周縁部に当接されるとインパネリインフォースメントの車両前後方向回りの回転が規制される。
請求項に記載の本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、請求項1に記載の発明において、前記挿入片の先端部は、当該挿入片の先端に向かって縮幅されている。
請求項記載の本発明によれば、挿入片の先端部が当該挿入片の先端に向かって縮幅されているため、挿入片の先端部を被挿入部に差し込んだ後に、挿入片を被挿入部に押し込むことで、当該先端部がガイドとなって挿入片が被挿入部に挿入される。
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、インパネリインフォースメントの車体への位置決め作業をより容易にすることができるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、インパネリインフォースメントの組み付け作業にかかる時間を短縮することができるという優れた効果を有する。
さらに、請求項記載の本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、単純な構成によってインパネリインフォースメントを車体に位置決めをすることができるという優れた効果を有する。
請求項記載の本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、挿入片を被挿入部に容易に挿入することができるという優れた効果を有する。
第1実施形態に係るインパネリインフォースメントの取付構造の構成を示す拡大斜視図である。 第1実施形態に係り、インパネリインフォースメントの取付構造の構成を示す拡大断面図(図1の2−2線に沿って切断した状態を示す断面図)である。 第1実施形態に係り、インパネリインフォースメントの取付構造の構成を示す車両前方側から見た拡大正面図(図2の3方向矢視図)である。 本実施形態に係るインパネリインフォースメントの取付構造と車体との関係を示す斜視図である。 第2実施形態に係り、インパネリインフォースメントの取付構造の構成を示す車両前方側(図2の3方向に相当)から見た拡大正面図である。 第3実施形態に係り、(A)はインパネリインフォースメントの取付構造の車両幅方向左側の構成を示す拡大断面図(図4の6A−6A線に沿って切断した状態を示す断面図)であり、(B)はインパネリインフォースメントの取付構造の車両幅方向右側の構成を示す拡大断面図(図4の6B−6B線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
<第1実施形態>
以下、図1〜図4を用いて本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造の第1実施形態について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印RHは車両幅方向右側を示している。
まず、図4を用いて本実施形態に係る車両10の前部構造について説明する。図4に示されるように、車体12の車体前部14には、図示しないパワーユニットが収容されるパワーユニット室16が設けられている。このパワーユニット室16の車両後方側には、車両幅方向及び車両上下方向に延在すると共に車体12の一部を構成するダッシュパネル18が設けられており、当該ダッシュパネル18によってパワーユニット室16とキャビン20とが隔てられている。なお、ダッシュパネル18の上端部には、図示しないカウルトップパネルが接合されている。
また、車体12における車両前方側の両側部には、車体骨格部材としての左右一対のフロントピラー22が配置されている。このフロントピラー22は、フロントピラー22の車両幅方向内側を構成するピラーインナパネル24と、フロントピラー22の車両幅方向外側を構成するピラーアウタパネル26と、を含んで構成されている。また、図1にも示されるように、フロントピラー22は、一例として屈曲された構成とされている。より詳しくは、ピラー下部28が車両下方側から車両上方側へ立ち上がっており、ピラー下部28の上端部から屈曲された屈曲部30が車両前方側へ延設されると共に、屈曲部30の上端部から屈曲されたピラー上部32が車両上方側へ延設されている。
そして、左右一対のフロントピラー22の間には、インパネリインフォースメント34(以下、「インパネR/F34」と称す)が架け渡されており、当該インパネR/F34は、ステアリングコラム36等を支持する支持部材として機能している。このインパネR/F34は、車両幅方向に延在する本体部38と、当該本体部38の端部に設けられた後述する固定ブラケット52、54とを含んで構成されている。
本体部38は、助手席側に配置された小径部40と、運転席側に配置された大径部42と、小径部40と大径部42とを連結する連結部44と、を含んで構成されている。小径部40は、車両幅方向に延在する筒状に形成されている。一方、大径部42も小径部40と同様に、車両幅方向に延在する筒状、より詳細には、その内径及び外径が小径部40の内径及び外形よりも大きく設定された筒状に形成されている。また、連結部44は、大径部42における小径部40側(助手席側)の端部に大径部42と一体に形成されており、小径部40側に向かって縮径すると共に小径部40の外形に合うように絞られている。そして、連結部44の助手席側の端部と小径部40の運転席側の端部とが溶接等の接合手段によって接合されている。
また、大径部42には、ステアリングコラム36を固定するステアリングサポート46が設けられており、当該ステアリングサポート46は、運転席側ブレース部材48によってダッシュパネル18又はカウルトップパネルと連結されている。一方、小径部40は、車両前後方向に延在する助手席側ブレース部材50によってダッシュパネル18又はカウルトップパネルと連結されている。
ここで、本実施形態では、固定ブラケット52、54と、被挿入部56と、カラー58と、を含んで構成されたインパネリインフォースメントの取付構造によって、インパネR/F34がフロントピラー22に取り付けられている点に特徴がある。以下、本発明の要部であるインパネリインフォースメントの取付構造の構成について詳細に説明する。
図1〜図3に示されるように、被挿入部56は、車両幅方向左側のフロントピラー22の屈曲部30における車両後方側に面する取付面部としての後壁部30Aに形成されている。この被挿入部56は、後壁部30Aの中央部を切り抜くことにより形成されており、本実施形態では、一例として、車両後方側から見て車両上下方向に沿った四角形状、より具体的には正方形状とされている。
一方、固定ブラケット52は、インパネR/F34の車両幅方向左側(助手席側)の端部34Aを構成すると共に、固定部60と挿入片70とを含んで構成されている。固定部60は、車両幅方向に面する一対の側壁部62、車両前方側に面する前壁部64、車両後方側に面する上側後壁部66及び同じく車両後方側に面する下側後壁部68を含んで、車両上下方向を長手方向とする角筒状に形成されている。なお、図2は、図1の2−2線に沿って切断した状態を示す断面図であるが、固定ブラケット52の構成を理解しやすいように、挿入片70を断面で表示していない。
固定部60の構成についてより詳しく説明する。前壁部64は、上側当接部64Aと傾斜部64Bと下側当接部64Cとを含んで、屈曲されたフロントピラー22の車両後方側に当接可能に屈曲して形成されている。そして、上側当接部64Aはピラー上部32に当接されており、傾斜部64Bは屈曲部30に当接されており、下側当接部64Cはピラー下部28に当接されている。つまり、前壁部64において傾斜部64Bが、屈曲部30の後壁部30Aに対向する部分となっている。また、前壁部64には、上側当接部64Aの中央部及び下側当接部64Cの中央部を円形に切り抜くことにより円筒状のカラー58が挿通可能な被挿通部72が形成されている。
側壁部62は、その車両前方側の縁部62Aが前壁部64に沿うように形成されて配置されると共に、当該前壁部64は、一対の側壁部62に挟持された状態で溶接等の接合手段によって側壁部62に接合されている。一方、側壁部62の車両後方側の縁部62Bは縁部62Aと同様の構成とされているが、側壁部62の長手方向中央部が車両後方側へ向けて半円状に突出されて半円部62Cが形成されている点で異なっている。また、側壁部62の長手方向中央部における縁部62B側が、半円部62Cの中心を中心とする円形に切り抜かれてインパネR/F34の小径部40が嵌合可能な被嵌合部74が形成されている。
上側後壁部66は、側壁部62の縁部62Bにおける車両上方側の部分に沿って配置され、前壁部64の上側当接部64Aに対向すると共に、一対の側壁部62に挟持された状態で溶接等の接合手段によって側壁部62に接合されている。また、上側後壁部66の形状は、矩形板状とされると共に、側壁部62の被嵌合部74に小径部40が嵌合されたときに、上側後壁部66の車両下方側の端部66Aが当該小径部40に当接されるように設定されている。
下側後壁部68は、側壁部62の縁部62Bにおける車両下方側の部分に沿って配置され、前壁部64の下側当接部64Cに対向すると共に、一対の側壁部62に挟持された状態で溶接等の接合手段によって側壁部62に接合されている。また、下側後壁部68の形状は、矩形板状とされると共に、側壁部62の被嵌合部74に小径部40が嵌合されたときに、下側後壁部68の車両上方側の端部68Aが当該小径部40に当接されるように設定されている。
そして、小径部40の端部が側壁部62の被嵌合部74に嵌合されると共に、当該端部が側壁部62、上側後壁部66及び下側後壁部68に溶接等の接合手段によって接合されている。なお、小径部40の端部は、車両後方側(図2の矢印T方向)から見て、上側後壁部66と下側後壁部68との間に所定長さ露出された状態となっている。
また、上側後壁部66及び下側後壁部68には、前壁部64の被挿通部72に対応する被挿通部76が形成されている。さらに、フロントピラー22には、被挿通部72、76に対応するウエルドナット78が設けられている。そして、被挿通部72、76にカラー58が挿通されると共に、ボルト80がカラー58に挿通された状態でウエルドナット78に螺合されることにより、インパネR/F34の端部34Aがフロントピラー22に固定されている。
一方、挿入片70は、前側壁部62における傾斜部64Bの中央部から、その長手方向が被挿通部72、76の軸線方向と平行になるように延出された板状に形成されており、その先端部70Aは、当該挿入片70の先端に向かって縮幅された先細り形状とされている。なお、挿入片70は、一例として、板材(鋼材)等がプレス加工されることにより形成されて、その基端部70Bが前側壁部62における傾斜部64Bの中央部に溶接等の接合手段によって接合されている。
より詳しくは、挿入片70は、その長手方向の長さ及び短手方向の長さが、フロントピラー22の被挿入部56に挿入方向(図2の矢印S方向)を車両前後方向として挿入可能な長さに設定されている。具体的には、図3に示されるように、挿入片70は、一例として、被挿入部56に挿入された状態で車両前後方向から見て車両上下方向に対して45度傾いた状態となるように、固定部60の前壁部64に配置されている。また、挿入片70の短手方向の長さは、被挿通部72の一辺の長さよりも長くかつ対角線の長さよりも短く設定されている。そして、挿入片70は、被挿入部56に挿入された状態で、その車両上方側の端部が被挿入部56の周縁部57における車両上方側に当接されており、その車両下方側の端部が被挿入部56の周縁部57における車両下方側に当接された状態となっている。
上記のように構成された挿入片70は、挿入片70の車両上下方向の端部が被挿入部56の周縁部57に当接されることで挿入片70の車両幅方向及び車両上下方向の変位が規制されるようになっている。また、挿入片70の車両上下方向の両端部が被挿入部56の周縁部57に当接されることで挿入片70の車両前後方向回りの回転が規制されるようになっている。つまり、挿入片70が被挿入部56に挿入されることで、挿入片70の被挿入部56への挿入方向と直交する二方向のインパネR/F34の車体12に対する変位が規制されるようになっている。さらに、挿入片70が被挿入部56に挿入されることで、インパネR/F34の挿入片70の被挿入部56への挿入方向回りの回転が規制されるようになっている。
一方、インパネR/F34の車両幅方向右側(運転席側)の端部34Bを構成する固定ブラケット54は、挿入片70が設けられていない点で固定ブラケット52と異なっている。また、インパネR/F34の本体部38における大径部42に取り付けられるため、被嵌合部74の大きさ、上側後壁部66の形状及び下側後壁部68の形状が固定ブラケット54と異なっている。しかしながら、固定ブラケット52と固定ブラケット54とは、基本的に同様の構成とされているため、インパネR/F34の端部34Bも端部34Aと同様にフロントピラー22に固定されている。なお、固定ブラケット52の固定部60を大径部42の形状に合わせて構成し、小径部40を固定ブラケット52に取り付ける際にスペーサーを用いることで、固定部60を固定ブラケット52、54の共通部材とすることも可能である。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
本実施形態では、図1に示されるように、車体12の側部の一部がフロントピラー22によって構成されている。また、フロントピラー22の車両後方側に面する後壁部30Aに車両幅方向に延在するインパネR/F34の端部34A、34Bが固定されるようになっている。そして、フロントピラー22の後壁部30Aに被挿入部56が形成されており、インパネR/F34の端部34Aに設けられた固定ブラケット52の傾斜部64Bに被挿入部56に挿入可能に形成された挿入片70が設けられている。
ここで、本実施形態では、挿入片70が被挿入部56に挿入されることで、挿入片70の被挿入部56への挿入方向と直交する二方向のインパネR/F34の車体12に対する変位が規制されている。また、挿入片70が被挿入部56に挿入されることで、インパネR/F34の挿入片70の被挿入部56への挿入方向回りの回転が規制されている。
このため、インパネR/F34を車体12に組み付ける際に、挿入片70を被挿入部56に挿入していくと、インパネR/F34が挿入片70の被挿入部56への挿入方向に沿ってガイドされつつ移動すると同時に位置決めされる。そして、インパネR/F34の端部34Aがフロントピラー22の後壁部30Aに当接されたところで、インパネR/F34の端部34Aがフロントピラー22の後壁部30Aに取り付けられる。このように、本実施形態では、一操作でインパネR/F34を車体12に位置決めした上で、インパネR/F34を車体12に固定することができ、その結果、インパネR/F34の車体12への位置決め作業をより容易にすることができる。
また、本実施形態では、被挿入部56及び挿入片70が車両幅方向左側に設けられている。さらに、挿入片70が被挿入部56に挿入されることで当該挿入片70の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片70の車両前後方向回りの回転とを規制することができる。このため、一つの挿入片70を被挿入部56に挿入することで、インパネR/F34を車体12に位置決めすることができ、その結果、インパネR/F34の組み付け作業にかかる時間を短縮することができる。
さらに、本実施形態では、被挿入部56は、フロントピラー22の後壁部30Aを切り抜くことにより形成され、挿入片70の挿入方向から見て車両上下方向に沿った四角形状とされている。一方、挿入片70は、インパネR/F34の端部34Aに設けられた固定ブラケット52の傾斜部64Bから延出された板状に形成されている。また、挿入片70は、被挿入部56に挿入された状態で挿入片70の挿入方向から見て車両上下方向に対して傾いて配置されている。そして、挿入片70が被挿入部56に挿入されるときに当該挿入片70の車両上下方向の端部が被挿入部56の周縁部57に当接されることで挿入片70の車両幅方向及び車両上下方向の変位が規制されるようになっている。また、挿入片70の車両上下方向の端部が被挿入部56の周縁部57に当接されることで挿入片70の車両前後方向回りの回転が規制されるようになっている。
このため、挿入片70が被挿入部56に挿入されるときに、挿入片70の車両上下方向の端部が被挿入部56の車両上下方向の周縁部に当接されるとインパネR/F34の車両上下方向の変位が規制される。また、挿入片70の車両上下方向の端部が被挿入部56の車両幅方向の周縁部に当接されるとインパネR/F34の車両幅方向の変位が規制される。さらに、挿入片70の車両上下方向の両端部が被挿入部56の周縁部57に当接されるとインパネR/F34の車両前後方向回りの回転が規制される。その結果、単純な構成によってインパネR/F34を車体12に位置決めをすることができる。
加えて、本実施形態では、挿入片70の先端部70Aが当該挿入片70の先端に向かって縮幅されている。このため、挿入片70の先端部70Aを被挿入部56に差し込んだ後に、挿入片70を被挿入部56に押し込むことで、先端部70Aがガイドとなって挿入片70が被挿入部56に挿入され、その結果、挿入片70を被挿入部56に容易に挿入することができる。
<第2実施形態>
次に、図5を用いて、本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造の第2実施形態の構成について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。また、この第2実施形態は、参考例とする。
上述した第1実施形態においては、挿入片70が一枚の鋼材で構成されていたが、本実施形態では、複数枚の鋼材によって挿入片90が構成されている点に特徴がある。
詳しく説明すると、挿入片90は、縦板部90Aと、一対の横板部90Bとを含んで、被挿入部56に挿入方向を車両前後方向として挿入可能な形状に設定されている。具体的には、縦板部90Aは、短手方向を車両上下方向とされると共に長手方向を車両前後方向とされて前側壁部62における傾斜部64Bの中央部に配置されている。一方、横板部90Bは、短手方向を車両幅方向とされると共に長手方向を車両上下方向とされて縦板部90Aの車両幅方向外側の面及び車両幅方向内側の面の車両上下方向中央部に溶接等の接合手段によって接合されている。また、縦板部90Aは、第1実施形態における挿入片70と同様の形状とされると共に、横板部90Bは、挿入片70を長手方向の中心線で分割したものと同形状とされている。さらに、挿入片90は、被挿入部56に挿入された状態で車両前後方向から見て十字状に構成されると共に、その車両上下方向両端部及び車両幅方向両端部が被挿入部56の周縁部57に当接されている。
このように構成されたインパネリインフォースメントの取付構造によっても、挿入片90が被挿入部56に挿入されるときに縦板部90Aの車両上下方向の端部が被挿入部56の周縁部57に当接される。これにより、挿入片90の車両上下方向の変位が規制されるようになっている。また、横板部90Bの車両幅方向の端部が被挿入部56の周縁部57に当接されることで挿入片90の車両幅方向の変位が規制されるようになっている。さらに、縦板部90Aの車両上下方向の両端部及び横板部90Bの車両幅方向の両端部のうち何れか二箇所が被挿入部56の周縁部57に当接されることで挿入片70の車両前後方向回りの回転が規制されている。
このため、本実施形態でも上述した実施形態と同様の作用及び効果を奏する。また、本実施形態では、挿入片90が複数枚の鋼材で構成されるので、挿入片90の剛性が向上する。また、縦板部90Aは車両上下方向を短手方向とされて、横板部90Bは車両幅方向を短手方向とされて、それぞれ固定ブラケット52、54の前側壁部62に配置されるので、挿入片90の前側壁部62に対する位置決めが容易になる。
<第3実施形態>
次に、図6を用いて、本発明に係るインパネリインフォースメントの取付構造の第3実施形態の構成について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。また、この第3実施形態は、参考例とする。
上述した第1実施形態においては、車両幅方向左側に挿入片70及び被挿入部56が設けられていたが、本実施形態では、車両幅方向両側に挿入片及び被挿入部が設けられている点に特徴がある。
具体的に説明すると、本実施形態では、車両幅方向左側の配置されたフロントピラー22に第1被挿入部100が形成されており、車両幅方向右側に配置されたフロントピラー22には、第2被挿入部102が形成されている。なお、第1被挿入部100及び第2被挿入部102は、第1実施形態における被挿入部56の構成と同様の構成とされている。
また、インパネR/F34の車両幅方向左側の端部34Aを構成する固定ブラケット52に第1挿入片104が設けられている。一方、インパネR/F34の車両幅方向右側の端部34Bを構成する固定ブラケット54に第2挿入片106が設けられている。そして、本実施形態では、一例として、車両幅方向左側に設けられた第1挿入片104は、図6(A)に示されるように、短手方向を車両幅方向とされて配置されている。一方、車両幅方向右側に設けられた第2挿入片106は、図6(B)に示されるように、短手方向を車両上下方向とされて配置されている。さらに、第1挿入片104及び第2挿入片106は、第1実施形態における挿入片70と同様の構成とされ、第1挿入片104は第1被挿入部100に、第2挿入片106は第2被挿入部102に、それぞれ挿入方向を車両前後方向として挿入可能とされている。
より詳しくは、第1挿入片104は、第1被挿入部100に挿入された状態で、その車両幅方向左側の端部が第1被挿入部100の周縁部101における車両幅方向左側に当接されている。一方、第1挿入片104の車両幅方向右側の端部は第1被挿入部100の周縁部101における車両幅方向右側に当接されている。また、第2挿入片106は、第2被挿入部102に挿入された状態で、その車両上方側の端部が第2被挿入部102の周縁部103における車両上方側に当接されている。一方、第2挿入片106の車両下方側の端部は第2被挿入部102の周縁部103における車両下方側に当接されている。
このように構成されたインパネリインフォースメントの取付構造では、第1挿入片104が第1被挿入部100に挿入されることによって、第1挿入片104の車両幅方向の端部が第1被挿入部100の周縁部101に当接される。これにより、インパネR/F34の車両幅方向方の変位が規制される。また、第2挿入片106が第2被挿入部102に挿入されることによって、第2挿入片106の車両上下方向の端部が第2被挿入部102の周縁部103に当接される。これにより、インパネR/F34の車両上下方向の変位が規制される。さらに、インパネR/F34の両端部がそれぞれ異なる方向の変位を規制されることでインパネR/F34の車両前後方向回りの回転が規制される。しかも、第1挿入片104、第2挿入片106、第1被挿入部100及び第2被挿入部102によって、インパネR/F34が複数箇所で支持される。このように本実施形態では、インパネR/F34を安定した状態で車体12に位置決めすることができる。
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した第1実施形態では、挿入片70が車両上下方向に対して45度傾いて配置されているが、45度に限らず適宜変更してもよい。
(2) 上述した第1実施形態及び第2実施形態では、挿入片70及び被挿入部56を車両幅方向左側に設けたが、車両幅方向右側に設ける構成としてもよい。また、被挿入部56の形状は、真円状でなければ、四角形状に限らず三角形状や楕円状等種々の形状とすることができる。
(3) 上述した第3実施形態では、車両幅方向左側に設けられた第1挿入片104がその短手方向を車両幅方向として配置され、車両幅方向右側に設けられた第2挿入片106がその短手方向を車両上下方向として配置されていたが、これに限らない。例えば、車両幅方向左側に設けられた第1挿入片104がその短手方向を車両上下方向として配置され、車両幅方向右側に設けられた第2挿入片106がその短手方向を車両幅方向として配置されていてもよい。さらに、第1被挿入部100及び第2被挿入部102がそれぞれ車両上下方向に対して傾いた方向に沿って形成されると共に、第1挿入片104及び第2挿入片106が第1挿入片104の短手方向と第2挿入片106の短手方向とが異なるように配置された構成としてもよい。これにより、車両上下方向及び車両幅方向と異なる二方向のインパネR/F34の車体12に対する変位を規制することが可能となる。
(4) 上述した実施形態では、挿入片の被挿入部への挿入方向が車両前後方向とされていたが、これに限らない。例えば、挿入片の被挿入部への挿入方向が車両前後方向に対して傾斜した方向となるように挿入片70、第1挿入片104、第2挿入片106、被挿入部56、第1被挿入部100及び第2被挿入部102を構成してもよい。
(5) また、上述した実施形態では、フロントピラー22の後壁部30Aに被挿入部が形成され、インパネR/F34の端部34Aや当該インパネR/F34の端部34Bに挿入片が設けられていたが、これに限らない。例えば、フロントピラー22の後壁部30Aに挿入片を設け、インパネR/F34の端部34Aや当該インパネR/F34の端部34Bに被挿入部を形成してもよい。さらに、フロントピラー22以外の車体骨格部材に被挿入部又は挿入片を設ける構成としてもよい。
(6) さらに、上述した実施形態では、挿入片が被挿入部に挿入されると、挿入片が被挿入部の周縁部に当接される構成とされていたが、これに限らない。例えば、第1実施形態において被挿入部56を一回り大きくする構成としてもよい。より具体的には、第1実施形態における被挿入部56よりも各辺の長さが長い四角形状の被挿入部56を設ける構成としてもよい。このような構成とすると、挿入片70を被挿入部56の中心を通るように被挿入部56に挿入した場合、挿入片70は被挿入部56の周縁部57に当接することなく挿入される。しかしながら、挿入片70が車両上下方向又は車両幅方向に所定量移動すると、挿入片70は被挿入部56の周縁部57に当接される。また、挿入片70が被挿入部56への挿入方向回りに所定量回転しても挿入片70は被挿入部56の周縁部57に当接される。
つまり、第1実施形態において、被挿入部56を一回り大きくする構成としてもインパネR/F34の車体12に対する変位及びインパネR/F34の挿入片70の被挿入部56への挿入方向回りの回転を規制することが可能である。また、上記の例に限らず、上述した実施形態では、インパネR/F34の位置決めに必要な精度に応じて、被挿入部及び挿入片の形状を適宜変更することが可能である。
(7) なお、図4には、本実施形態に係る車両10が右ハンドル車として示されているが、上述した実施形態に係るインパネリインフォースメントの取付構造は、右ハンドル車だけでなく左ハンドル車にも適用可能である。
10 車両
12 車体
22 フロントピラー(車体骨格部材)
30A 後壁部(取付面部)
34 インパネリインフォースメント
34A 端部
34B 端部
56 被挿入部
57 周縁部
64B 傾斜部(対向する部分)
70 挿入片
70A 先端部
90 挿入片
100 第1被挿入部(被挿入部)
101 周縁部
102 第2被挿入部(被挿入部)
103 周縁部
104 第1挿入片(挿入片)
106 第2挿入片(挿入片)

Claims (2)

  1. 車体の側部の一部を構成する車体骨格部材における車両後方側に面する取付面部と車両幅方向に延在するインパネリインフォースメントにおける当該取付面部に固定される端部の当該取付面部に対向する部分との何れか一方に形成された被挿入部と、
    前記取付面部と前記対向する部分との何れか他方に設けられ、前記被挿入部に挿入可能に形成されると共に、当該被挿入部に挿入されることで当該被挿入部への挿入方向と直交する二方向の前記インパネリインフォースメントの前記車体に対する変位及び当該インパネリインフォースメントの当該挿入方向回りの回転を規制する挿入片と、
    を有し、
    前記被挿入部及び前記挿入片は、車両幅方向一方側又は車両幅方向他方側に設けられており、
    前記挿入片が前記被挿入部に挿入されることで当該挿入片の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片の車両前後方向回りの回転とが規制され、
    前記被挿入部は、前記取付面部を切り抜くことにより形成され、前記挿入片の挿入方向から見て車両上下方向に沿った四角形状とされると共に、
    前記挿入片は、前記対向する部分から延出された板状に形成され、前記被挿入部に挿入された状態で当該挿入片の挿入方向から見て車両上下方向に対して傾いて配置されており、
    前記挿入片が前記被挿入部に挿入されるときに当該挿入片の車両上下方向の端部が前記被挿入部の周縁部に当接されることで当該挿入片の車両幅方向及び車両上下方向の変位と当該挿入片の車両前後方向回りの回転とが規制されている、
    インパネリインフォースメントの取付構造。
  2. 前記挿入片の先端部は、当該挿入片の先端に向かって縮幅されている、
    請求項1に記載のインパネリインフォースメントの取付構造。
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