JP5994497B2 - インクジェット用記録インク、カートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法及び画像形成物 - Google Patents
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Description
このようなインクジェット記録装置は、記録ヘッド等の記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。インクジェット記録装置は、作像プロセスが単純なため装置が簡易化しやすく、加熱プロセスを経ないため省エネルギーで環境に優しく、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易である等の利点を有している。
前記水系インクを用いたインクジェット記録は、液体インクが記録紙(記録体)へ浸透することによって定着するため、吸収特性の向上、着色成分の紙面への定着機能、着色成分の保護機能を持つインクジェット専用紙が開発されている。
しかし、インクジェット専用紙は抄紙後の多段の塗布工程が経るためコストが高く、加工薬剤を多く使用しているため普通紙に比べてリサイクル性も劣っている。
そのため、普通紙上で充分な画質を得ることが望まれている。
(1)フェザリングの発生、(2)ブリーディングの発生、(3)濃度の低下、(4)発色性の低下、(5)耐水性の低下、(6)耐光性の低下、(7)耐ガス性の低下、(8)定着性の低下、(9)インクの裏抜けの発生
そこで、上記の問題点を解決することが普通紙に対するインクジェット記録にとって重要である。
顔料の分散性の改良として、従来のように界面活性剤や水溶性樹脂を用いた顔料分散だけでなく、顔料表面の酸化処理、スルホン化処理、グラフト重合処理などの表面修飾によって親水性を付与することが行われ、顔料の自己分散安定性を向上させることが行われている。
そのため、着色剤として顔料を用いる場合には、インクの濃度や発色性、信頼性を向上させることが問題となっている。
これらには着色剤を水に不溶で分散性の樹脂に内包した着色剤内包樹脂分散体を含有するインクが包含される。
また、着色剤としてカラー有機顔料を用いた場合、従来公知のインク処方では普通紙上での画像濃度、色再現性は水溶性分散剤を用いた顔料インクよりも優れることが知られている。
上市されているインクジェットインクはインクの表面張力を35mN/mより低く調整し、紙への浸透性を高めた超浸透性インクがある。
このようなインクではブリーディングの低減に効果が高く、普通紙印字での乾燥性がよいが、フェザリングが起りやすく印字濃度が低く、文字品位が悪化しやすいという欠点がある。
逆にインクの表面張力を35mN/mより高く調節し、紙への浸透を遅くすることでインクを印字面表層に留める緩浸透インクが上市されており、フェザリングの低下、印字濃度の向上、発色性の向上、裏抜けの低減に効果が高い。
しかし、紙への浸透性を落とした結果、普通紙に対する印字後の乾燥性が著しく悪くなり、定着性の悪化や、多色化した場合の色間のブリーディングを招いている。
しかし、緩浸透インクを用いて両面印字を行う場合、印字後にインクの乾燥を待つ時間が必要となり両面印字の生産性悪化を招いている。
しかし、これらの提案では、加熱を行う部位を付与するため、装置が大型化、複雑化しており、また、加熱のためにエネルギーを浪費してしまうのでインクジェット記録方式の利点が失われてしまっている。
多くのインクジェットインクがヘッドのノズル詰まりを防ぐため、粘度の上昇を極力押さえる方向で設計されている。
しかし、このインクでは依然として普通紙上で高画質を形成することは困難であった。
しかし、この提案のインクは、染料インクであり、信頼性は高いものの、やはり依然として普通紙での画質が劣るものであった。
しかし、この提案のインクも染料インクであり、水溶性高分子を添加することで、インクの信頼性と画像品質の耐久性とのバランスをとっているが、耐水性に問題が残る。
この提案では、信頼性確保のために初期の蒸発速度を調整し、かつ粘度を調整するための粘度調整剤として特定の化合物を添加するとよいと記載されており、顔料を用いたときの上記(3)及び(4)に対する1つの解決方法ともいえる。
しかし、この提案には、用いる顔料の粒径の安定性についてはなんら記載がなく、24時間放置後の信頼性があるとしているが、更に長期放置した場合には吐出させるヘッドの構成とノズル径の大きさなどによっては信頼性に劣るインク処方となる。このため、高品位な印字品質と信頼性(吐出安定性、保存安定性)に対する近年の要求の高まりに対して充分とは言えず、更なる改善が求められる。
さらに、特許文献9では、顔料と樹脂エマルジョンの比が1:0.1〜1:1の範囲であり、かつ着色成分の平均粒径が0.3〜1.2μmであるインクにより普通紙の高画質化を図る手法が示されている。
このように樹脂エマルジョンを添加したインクでは滲みは抑制されフェザリングの抑制が可能だが画像濃度としては不充分であり、インクジェットインクとしての信頼性は充分とはいえない。
しかし、このインクでは普通紙に対する浸透性が低く、色間でのフェザリングやブリーディングの発生、定着性の悪化、乾燥時間の遅さなどの問題点がある。
この提案によれば、耐水性は染料より改善されるが、普通紙ではよく利用されるマーカーペンに対する画像保持性能は充分とはいえない。
例えば、特許文献14及び特許文献15には、ミセル会合体を形成する樹脂をインクに添加することで固形分を増やしても粘度上昇が少ないインク処方について提案されている。
しかし、これらの提案では、普通紙上での浸透性が不足しており、記録画質に問題がある。
紙に対する浸透性はLucas−Washburn式で表される毛管吸収にて説明されるが、粘度が高いほど表面張力や、紙とインクとの接触角が低くしないと充分な浸透性が得られない。
例えば、特許文献18及び特許文献19には、フッ素系界面活性剤を添加したインクジェットインク、特許文献20及び特許文献21には、顔料分散体とフッ素系界面活性剤を含むインクがそれぞれ提案されている。
また、特許文献22では、フッ素系界面活性剤とポリマー微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを含有する粘度5mPa・s以上のインクにより画質改善が提案されている。
しかし、これらの提案では、インク中の顔料固形分が増加することにより色相が変化してしまうことが知られており、高濃度顔料では好ましい色相が得られにくく、また自己分散顔料では耐水性、定着性が充分とは言い難いという問題がある。
即ち、本発明は、顔料の分散性が良く、保存安定性が良好で、平滑紙及び非平滑紙(普通紙)に対する画像品質、特に、高画像濃度が実現でき、ノズルからの吐出安定性が良好なインクジェット用記録インク、並びに該インクジェット用記録インクを用いたカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法及び画像形成物を提供することを目的とする。
前記水分散性樹脂は前記共重合体を含まず、
前記カルボキシル基を有するモノマーは、無水マレイン酸、アクリル酸又はメタクリル酸であり、
前記共重合体全体に占める前記カルボキシル基を有するモノマーの量比は50%〜70%である、
ことを特徴とする。
一般に非平滑紙は平滑度が500(秒)未満で、表面コート等の処理を行なわない紙である。一方、平滑紙は表面コート処理をしたものが多く、平滑度は500(秒)以上であり、アート紙、キャストコート紙等が挙げられる。
平滑度は、紙面に中空のヘッドを置き、内部を減圧にして、ヘッドと紙面の間隙から一定量の空気が流入する時間(秒)によって測定される値であり、測定は王研式計測器で測定する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
前記一般式(1)で表されるα−オレフィンダイマーとしては、R中のnは4〜30の整数であることが好ましく、より好ましくは6〜10である。特に、1−デセンモノマー、1−ヘキセンモノマーが良い。
また、無水マレイン酸や無水コハク酸、無水フタル酸のように酸無水物の形で用いてもよい。
またカルボキシル基を有するモノマーとして、特に好ましくはカルボキシル基を2個有する無水マレイン酸モノマーが挙げられる。
これらはモノマー塩として使用しても良いし、各モノマーを重合した後、中和し化合物塩の状態にしてもよい。
例えば、水を媒体にして前述のモノマーに必要に応じて、重合開始剤、連鎖移動剤を加え、常温から100℃にて重合させるが、特にこれに限定されない。
モノマーについては、カルボキシル基を有するモノマー比が50%〜70%が好ましく、より好ましくは50%〜64%である。
また平均分子量で500〜20000(GPC法、プルラン換算)の範囲のものが好ましく、インク粘度や顔料の吸着の面からより好ましくは1000〜10000である。
0.5〜500重量部の範囲であると、顔料の分散性が向上すると共にインクの経時安定性が向上する傾向にあり、1〜200重量部の範囲であるとこれらがより向上する。特に2〜50重量部の範囲では、インクの経時安定性が最も向上する。
また上記効果を損なわない範囲で、前記共重合体と分散剤(詳細は後述する)との併用も可能である。
本発明で使用される顔料として黒色顔料としては、カーボンブラックを好ましく用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。また、カーボンブラック表面を酸化処理やアルカリ処理したものや、各種の界面活性剤や樹脂で被覆したカーボンブラックや、グラフト処理やカプセル化処理したカーボンブラックも使用可能である。
特にカーボンブラック表面を酸化処理した酸性を示す酸性カーボンを使用すると特に乾燥性が向上すると共に画像濃度の向上効果が大きい。
またスルホン酸基やカルボキシ基を有する樹脂でコーティングしたり、該記官能基をグラフト処理したりすることで付与させたカーボンブラックも使用可能である。
その中でもとりわけpHが5以下のカーボンブラックで揮発分が3.5質量%〜8.0質量%のカーボンブラックを用いることが好ましく、また乾燥性や画像濃度の面でガスブラックが望ましい。
なお、前記共重合体はカーボンブラックを使用した場合に画像濃度効果が最も顕著に現れる。
本発明のインクは水を液媒体として使用するものであるが、インクの乾燥を防止する湿潤剤として、また、分散安定性の向上や、普通紙におけるカール防止の目的で下記の水溶性溶剤が使用される。これら水溶性溶剤は複数混合して使用してもよい。
グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピリデングリセロール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ酸などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどがあげられる。
水溶性溶剤の配合量はインク全体に対して、10〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜50質量%である。この範囲にあるインクは、乾燥性や吐出信頼性が非常に良好となる。
水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えることで、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録において有用な成分である。
前記水分散性樹脂の具体例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
この中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
インクが過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上であることが好ましい。
ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出安定性を悪化させる。
そこで、インク吐出安定性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましい。
そのため、前記水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。
また、前記水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−30℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。
インクには必要に応じて、分散剤、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤等の各種添加剤を配合することができる。
前述のとおり前記共重合体とは別に分散剤として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤や高分子型の分散剤を画像濃度効果を損なわない範囲で併用して使用することが可能である。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系;等
前記界面活性剤としては、顔料の種類や湿潤剤との組み合わせに応じて、分散安定性を損なわず、表面張力が低く、レベリング性の高いものを用いる。例えばフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が挙げられるが、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを用いても市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社などから容易に入手できる。
界面活性剤のインク中の含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録媒体(記録材)への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
炭素数8〜11のポリオール化合物及び炭素数8〜11のグリコールエーテル化合物のいずれかを含有することが好ましい。
前記浸透剤は、前記水溶性溶剤と別のものであり、前記水溶性溶剤よりも湿潤性が比較的少ないので、非湿潤剤性ものということができるが、ここで、非湿潤剤性とはこのような意味である。これらは、25℃の水中において0.2質量%〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。
調合されるインクジェット用インクに悪影響を及ぼさずにpHを8.5〜11、好ましくはpHを9〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記pHは、例えばpHメータHM−30R(TOA-DKK社製)により測定することができる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
又、前記分散機の前工程においてホモジナイザー等で粗大粒子を前処理することにより、より一層粒度分布をシャープにすることが出来、画像濃度、吐出安定性等の改善に繋がる。
印字する方法としては連続噴射型やオンデマンド型があり、オンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
以下において本発明の画像形成方法、及びそれを実施するインクジェット記録装置の一例について、図面を用いて説明する。
以下、実施例でも用いたインクジェット記録装置について概要を説明する。
キャリッジ(133)には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド(134)の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。サブタンク(135)には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部(104)に装填された本発明のインクカートリッジ(200)から、本発明のインクが供給されて補充される。
本発明のインクインクは、容器に収容してインクカートリッジとして用いることができ、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を付設してもよい。
容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを有するものなどが好適に挙げられる。
なお、実施例及び比較例では、顔料分散体を作成し、これを用いてインクを作成した。ここで、例中の「部」及び「%」は重量基準である。
三つ口のフラスコに1−デセン1リットルを投入し、窒素バブリングにて充分脱水した後、メチルアルモキサン10ミリモルとジシクロペンタジエニルジルコニウムジクリド(二塩化ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム)292mg(1ミリモル)とを事前混合した触媒を加えた。
室温で24時間撹拌した後、少量のメタノールにて失活処理を行い、蒸留にて目的物である1−デセンダイマーを単離した。
次に1リットルの三つ口フラスコに、上記1−デセンダイマー347mlを入れ、約160℃まで昇温した。
これに加熱溶融した無水マレイン酸98g、及び過酸化ジ−t−ブチル(ジ−t−ブチルパーオキシド)7.4mlを1時間かけて滴下した。
さらに1時間加熱撹拌後、その後4時間反応させた後、冷却し中和アルカリとしてNaOHを使用し中和し蒸留水を加え固形分を20%に調整することで1−デセンダイマーと無水マレイン酸の共重合体(20%水溶液)を得た。
調整例1において、1−デセンを1−ヘキセンに変更した以外は、調整例1と同じ条件で実施し、1−ヘキセンダイマーを得た。
次に、調整例1と同様にして1−ヘキセンダイマーと無水マレイン酸の共重合体(20%水溶液)を得た。
次に下記処方により実施例1の顔料分散体(A)を得た。
<実施例1の顔料分散体(A)の作成>
下記処方の材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型バッチ式)により、0.05mmジルコニアビーズを用いて周速10m/s、液温10℃で5分間分散した。次いで、遠心分離機(久保田商事社製Model−3600)により粗大粒子を分離し、平均粒子径約122nm、標準偏差50.2nmの顔料分散体(A)を得た。
・カーボンブラック(degussa社製:ガスブラック、NIPEX150) 20部
・1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液) 25部
・蒸留水 65部
実施例1において、1−デセンダイマーを調整例2で製造した1−ヘキセンダイマー168gに変更した以外は、実施例1と同じ条件で行ない、1−ヘキセンダイマー−無水マレイン酸の共重合体を得た。
次に実施例1の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)を1−へキセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)に変える以外は同様にして実施例2の分散体(B)を得た。
調整例1の無水マレイン酸をアクリル酸に変える以外同様にして1−デセンダイマーとアクリル酸の共重合体を得た。
次に実施例1の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)を1−デセンダイマーとアクリル酸(20%水溶液)に変える以外は同様にして実施例3の分散体(C)を得た。
調整例2の無水マレイン酸をアクリル酸に変える以外同様にして1−ヘキセンダイマーとアクリル酸の共重合体を得た。
次に実施例1の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)を1−ヘキセンダイマーとアクリル酸(20%水溶液)に変える以外は同様にして実施例4の分散体(D)を得た。
実施例1の分散体の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)をα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(星光PMC社製、T−YP112、オレフィン鎖:炭素数20〜24) に変える以外同様にして比較例1の分散体(E)を得た。
比較例1のα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(星光PMC社製、T−YP112、オレフィン鎖:炭素数16〜18)をα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(星光PMC社製、T−YP115、オレフィン鎖:炭素数16〜18)に変える以外同様にして比較例1の分散体(F)を得た。
比較例1のα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(星光PMC社製、T−YP112、オレフィン鎖:炭素数16〜18)をα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体(星光PMC社製、T−YP114、オレフィン鎖:炭素数12〜14)に変える以外同様にして比較例1の分散体(G)を得た。
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インク1を作成した。
・実施例1の顔料分散体(A)(顔料濃度20%) 40.0部
・グリセリン 5.5部
・1,3−ブタンジオール 16.5部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0部
・フッ素系界面活性剤(固形分40%) 2.5部
(DuPont社製:Zonyl FS−300)
・フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体(固形分50%) 6.0部
(旭硝子社製:ルミフロンFE4300、平均粒子径150nm、
MFT30℃以下)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール水溶液 1.5部
(固形分40%)
・蒸留水 26.0部
実施例1のインク(1)の顔料分散体(A)を顔料分散体(B)、(C)、(D)にする以外は同様にして実施例2〜4のインク(2)〜(4)を得た。
・カーボンブラック(degussa社製:ガスブラック、NIPEX150) 20部
・1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液) 12部
・蒸留水 65部
次に実施例5の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)を1−へキセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)に変える以外は同様にして実施例6の分散体(B2)を得た。
次に実施例5の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)を1−デセンダイマーとアクリル酸(20%水溶液)に変える以外は同様にして実施例7の分散体(C2)を得た。
次に実施例5の1−デセンダイマー−無水マレイン酸共重合体(20%水溶液)を1−ヘキセンダイマーとアクリル酸(20%水溶液)に変える以外は同様にして実施例8の分散体(D2)を得た。
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、インク8を作成した。
・実施例5の顔料分散体(A2)(顔料濃度20%) 40.0部
・グリセリン 5.5部
・1,3−ブタンジオール 16.5部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0部
・フッ素系界面活性剤(固形分40%) 2.5部
(DuPont社製:Zonyl FS−300)
・フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体(固形分50%) 6.0部
(旭硝子社製:ルミフロンFE4300、平均粒子径150nm、
MFT30℃以下)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール水溶液 1.5部
(固形分40%)
・蒸留水 26.0部
実施例5のインク(8)の顔料分散体(A2)を顔料分散体(B2)、(C2)、(D2)にする以外は同様にして実施例6〜8のインク(9)〜(11)を得た。
実施例1のインク(1)の顔料分散体(A)を顔料分散体(E)、(F)、(G)にする以外は同様にして比較例1〜3のインク(5)〜(7)を得た。
ゼロックス社製PPC用紙4024(非平滑紙)に図1のインクジェットプリンターで印字し画像サンプルのベタ画像の測色をXrite938濃度計にて測定を行う。
◎:1.31〜1.40
○:1.21〜1.30
△:1.11〜1.20
×:1.01〜1.10
インク液の初期粘度を測定した後、インク液50gを日電理化社性サンプル瓶SV−50に密閉し70℃環境下2週間保管し、下記式に従い変化率を計算しランク分けを行った。なお、粘度計は東洋精機 RE500を用いた。
◎:変化率が10%未満 (良好)
○:変化率が10〜15% (実用上問題ないレベル)
△:変化率が15〜20% (問題あるレベル)
×:変化率が20%以上 (問題あるレベル)
吐出安定性については、印刷物を印刷した後、プリンタヘッドにキャップした状態でプリンタを50℃の環境下で1ヶ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって評価した。
◎:クリーニング無しで印刷できた。
○:1回の動作により回復した。
△:2回〜3回の動作により回復した。
×:3回以上の動作によっても回復がみられなかった
本発明は、顔料の分散性が良く、インクジェット用記録インクに使用した場合保存安定性が良好で、平滑紙及び普通紙に対する画像品質、特に、高画像濃度が実現でき、ノズルからの吐出安定性が良好なインクジェット用記録インク、並びに該インクジェット用記録インクを用いたカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法及び画像形成物を提供することができる。
なお、本発明のインクジェット用記録インクは、普通紙に対する画像品質、特に、高画像濃度で画像のニジミもなく、インクの保存安定性にも優れ、ノズルからの吐出安定性が良好であり、高品位な画像形成が可能であり、インクカートリッジ、画像形成物(インク記録物)、インクジェット記録装置及び画像形成方法(インクジェット記録方法)に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置及び画像形成方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前カバーの前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
Claims (10)
- 顔料、水、水溶性溶剤、水分散性樹脂、及び下記一般式(1)で表されるα−オレフィンダイマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体を含有し、
前記水分散性樹脂は前記共重合体を含まず、
前記カルボキシル基を有するモノマーは、無水マレイン酸、アクリル酸又はメタクリル酸であり、
前記共重合体全体に占める前記カルボキシル基を有するモノマーの量比は50%〜70%である、
ことを特徴とするインクジェット用記録インク。
CH2=CR−CH2CH2−R ・・・一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、RはCnH2n+1(nは4〜8の整数)で表されるアルキル基である。 - 前記共重合体が、水溶性の共重合体であることを特徴とする請求項1のインクジェット用記録インク。
- 前記一般式(1)で表されるα−オレフィンダイマーが、1−デセンダイマー又は1−ヘキセンダイマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用記録インク。
- 前記カルボキシル基を有するモノマーが、無水マレイン酸又はアクリル酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用記録インク。
- 前記カルボキシル基を有するモノマーが、無水マレイン酸であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット用記録インク。
- 前記共重合体は、前記顔料100重量部に対して0.5〜500重量部含有され、
前記顔料は、当該インクジェット用記録インク中0.1〜20質量%含有され、
前記水分散性樹脂は、当該インクジェット用記録インク中1〜15質量%含有されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット用記録インク。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット用記録インクを容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
- 請求項7に記載のカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット用記録インクを吐出させるヘッドを備えたインクジェット記録装置を用いて、画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項8に記載のインクジェット記録装置で印字されたことを特徴とする画像形成物。
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2012
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