JP5900293B2 - 衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両と物体の衝突回避支援を行う衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法に関する。
従来、衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法としては、例えば特開2008−132867号公報に記載されるように、前方障害物が自車の推定進路内を塞ぐ大きさによって介入予定タイミングを補正して介入開始タイミングを決定し、前方障害物が自車の推定進路内を僅かしか塞がない場合には、介入開始タイミングを遅くするようにする装置及び方法が知られている。
特開2008−132867号公報
ところで、このような装置及び方法では、多くの状況において、車両の幅方向における物体の移動方向への旋回回避支援、例えば、車両前方を物体が左方向へ移動する場合には左方向への旋回回避支援を促進することで、運転者の感覚に合った旋回回避支援を行うことができると考えられる。しかし、特定の状況においては、このように物体の移動方向への旋回回避支援を促進することで、旋回回避支援が運転者の感覚に合わなくなってしまうことが想定される。
そこで、本発明は、運転者の感覚に合わない旋回回避支援を抑制できる、衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法を提供しようとするものである。
本発明に係る衝突回避支援装置は、車両と物体の衝突回避支援を行う衝突回避支援装置であって、車両前方の物体の移動状態を示す物体情報を取得する物体情報取得部と、車両前方の走行路の形状を示す走行路情報を取得する走行路情報取得部と、物体情報及び走行路情報に基づいて、車両の幅方向における物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止する支援制御部とを備える。
これにより、車両前方を移動する物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が大きい状況において、物体の移動方向への旋回回避支援を抑制することで、走行路の湾曲方向と逆方向への旋回回避が抑制され、運転者の感覚に合わない旋回回避支援を抑制できる。
また、本発明に係る衝突回避支援装置において、前記車両の運転者の意識低下度を示す運転者情報を取得する運転者情報取得部をさらに備え、 前記支援制御部は前記車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定し、かつ、前記運転者の意識低下度が該意識低下度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止してもよい。
また、本発明に係る衝突回避支援装置において、前記支援制御部は、前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向と逆方向への旋回回避支援を行ってもよい。
また、本発明に係る衝突回避支援装置において、前記閾値は、前記車両の走行状態、前記物体の移動状態、及び前記車両前方の走行路の状態のうち少なくともいずれかに応じて可変に設定されてもよい。
本発明に係る衝突回避支援方法は、車両と物体の衝突回避支援を行う衝突回避支援装置によって実行される衝突回避支援方法であって、車両前方の前記物体の移動状態を示す物体情報を取得し、車両前方の走行路の形状を示す走行路情報を取得し、物体情報及び走行路情報に基づいて、車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止することを含む。
また、本発明に係る衝突回避支援方法において、前記車両の運転者の意識低下度を示す運転者情報を取得することをさらに含み、前記車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定し、かつ、前記運転者の意識低下度が該意識低下度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止してもよい。また、この場合、前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向と逆方向への旋回回避支援を行ってもよい。
本発明によれば、運転者の感覚に合わない旋回回避支援を抑制できる、衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る衝突回避支援装置を示すブロック図である。 第1実施形態に係る衝突回避支援方法を示すフローチャートである。 図2に示す衝突回避支援方法を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る衝突回避支援装置を示すブロック図である。 第2実施形態に係る衝突回避支援方法を示すフローチャートである。 図5に示す衝突回避支援方法を説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る衝突回避支援装置及び衝突回避支援方法を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
以下では、図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る衝突回避支援装置10及び衝突回避支援方法について説明する。第1実施形態は、車両前方の走行路の湾曲の程度に応じて特定の旋回回避支援を抑制するものである。
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る衝突回避支援装置10について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る衝突回避支援装置10を示すブロック図である。
衝突回避支援装置10は、車両に搭載され、車両と物体の衝突回避支援を行う装置である。図1に示すように、衝突回避支援装置10は、車両情報取得部11、物体情報取得部12、走行路情報取得部13、支援実行部14及びECU15(Electronic Control Unit)を備える。
車両情報取得部11は、車両の位置及び走行状態を示す車両情報を取得する。車両情報取得部11には、例えば、GPS(Global Positioning System)センサ、車輪速センサ、加速度センサ、舵角センサ、操舵トルクセンサ及びヨーレートセンサなどのうち少なくともいずれかが用いられる。車両情報取得部11は、例えば、車両の位置、速度、加速度、舵角、操舵トルク、ヨーレートなどを取得してECU15に供給する。
物体情報取得部12は、車両前方の物体の移動状態を示す物体情報を取得する。物体とは、例えば、歩行者、自転車、他の車両など車両の走行を妨げ得る障害物であり、特に車両前方の走行路を横断する障害物である。物体情報取得部12には、例えば、ミリ波レーダ、レーザレーダなどのレーダセンサ、及びステレオカメラ、ビデオカメラ、近赤外線カメラなどの画像センサなどのうち少なくともいずれかが用いられる。物体情報取得部12は、例えば、物体の位置、移動方向、移動速度などを取得してECU15に供給する。
走行路情報取得部13は、車両前方の走行路の形状等を示す走行路情報を取得する。走行路情報取得部13には、例えば、ステレオカメラ、ビデオカメラ、近赤外線カメラなどの画像センサ、カーナビゲーション装置、路車間通信装置及び車々間通信装置などのうち少なくともいずれかが用いられる。走行路情報取得部13は、例えば、走行路の湾曲の程度、路幅、傾斜、交差状況、路面状況、混雑度などを取得してECU15に供給する。
走行路の湾曲の程度は、車両前方において旋回回避が可能な距離範囲内の走行路の曲率又は曲率半径として表され、曲率が大きいほど又は曲率半径が小さいほど湾曲の程度が大きくなる。また、走行路は、その平面形状に応じて、直線路、車両の進行方向に対して右方向に湾曲する右カーブ、左方向に湾曲する左カーブのいずれかに区分される。
支援実行部14は、車両と物体の衝突を回避するための衝突回避支援を実行する。支援実行部14は、ECU15により制御されて報知支援及び制御支援のうち少なくとも一方を実行する。報知支援では、例えば、ディスプレイ、スピーカ、バイブレータなどを用いて、衝突に対する注意喚起、衝突回避操作への誘導などのための情報が運転者に報知される。制御支援では、例えば、ブレーキアクチュエータ、ステアリングアクチュエータ、シートベルトアクチュエータなどを用いて、制動回避支援、旋回回避支援、衝突安全支援などを目的とする制御介入が行われる。
制動回避支援では、例えば、自動制動支援、運転者による制動操作の補助支援、物理的刺激を用いた制動操作の継続支援などが行われる。旋回回避支援では、例えば、自動操舵支援、運転者による操舵の補助支援、物理的刺激を用いた操舵の継続支援などが行われる。旋回回避支援では、これら以外にも、例えば、自動操舵支援と自動制動支援の連携による旋回回避支援、自動制動により生じるヨーモーメントを利用した旋回回避支援などが行われてもよい。
ECU15は、CPU、ROM、RAMを主体として構成されており、CPUによるプログラムの実行を通じて支援制御部としての機能を実現する。なお、ECU15は、車両情報取得部11、物体情報取得部12及び走行路情報取得部13の機能を部分的に実現してもよい。
ECU15は、車両と物体の衝突を回避するための衝突回避支援の実行を制御する。ECU15は、物体との衝突可能性に応じて報知支援及び制御支援のうち少なくとも一方を制御する。ECU15は、制御支援では、制動回避支援、旋回回避支援及び衝突安全支援のうち少なくともいずれかを制御する。
ここで、ECU15は、特に、物体情報及び走行路情報に基づいて、車両の幅方向における物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が大きいほど、移動方向への旋回回避支援を抑制する。物体の移動方向とは、車両の幅方向における物体の移動方向を意味し、物体の移動軌跡に基づいて求められる。物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度は、物体が右方向へ移動している場合には左カーブの湾曲の程度を表し、物体が左方向へ移動している場合には右カーブの湾曲の程度を表している。また、旋回回避支援を抑制するとは、例えば、旋回回避支援を終了(解除)したり、旋回回避による回避量を小さくしたりすることを意味する。
また、ECU15は、走行路の湾曲の程度が閾値を超えていると判定される場合、移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止してもよい。ここで、閾値は、車両の走行状態、物体の移動状態、及び車両前方の走行路の状態のうち少なくともいずれかに応じて可変に設定されてもよい。例えば、閾値は、旋回回避支援による衝突回避が容易な状況では大きく設定される一方、衝突回避が困難な状況では小さく設定されてもよい。これにより、旋回回避支援による衝突回避が行われる状況に応じて、移動方向への旋回回避支援を適切に抑制又は禁止できる。
つぎに、図2及び図3を参照して第1実施形態に係る衝突回避支援方法及び衝突回避支援装置10の動作について説明する。図2は、第1実施形態に係る衝突回避支援方法を示すフローチャートである。衝突回避支援装置10は、図2に示す処理を処理周期毎に繰り返し実行する。
車両情報取得部11は、車両の位置及び走行状態を示す車両情報を取得する(S11)。物体情報取得部12は、車両前方の物体の移動状態を示す物体情報を取得する(S12)。走行路情報取得部13は、車両前方の走行路の形状を示す走行路情報を取得する(S13)。
ECU15は、車両情報及び物体情報に基づいて物体との衝突可能性を求める(S14)。衝突可能性は、例えば、車速、車両と物体の相対速度、物体の横位置、衝突横位置、物体の存在確率、又はこれらの組合せに基づいて求められる。物体の横位置とは、現時点における物体までの横距離(車両の幅方向の距離)であり、衝突横位置とは、予測される衝突時点における物体までの横距離であり、車両の走行軌跡及び物体の移動軌跡に基づいて求められる。物体の存在確率とは、物体情報取得部12により取得された物体情報の確度を表し、物体情報の取得状況に基づいて求められる。なお、衝突可能性は、走行路情報を考慮して求められてもよい。
ECU15は、衝突可能性に基づいて旋回回避支援の実行の要否を判定する(S15)。例えば、衝突可能性の算出に用いた各種指標の条件が満たされた上で、衝突余裕時間(TTC)が閾値未満である場合、旋回回避支援の実行が必要であると判定される。衝突余裕時間とは、車両と物体が衝突するまでの余裕時間であり、物体までの縦距離(車両の進行方向の距離)を車両と物体の相対速度で除して求められる。
そして、旋回回避支援の実行が必要であると判定した場合、ECU15は、物体の移動方向と逆方向、つまり物体の出現方向への走行路の湾曲の程度が閾値を超えているか否かを判定する(S16)。一方、必要であると判定しなかった場合、処理がS11へ戻る。
そして、S16にて湾曲の程度が閾値を超えていると判定した場合、ECU15は、物体の移動方向と逆方向、つまり物体の出現方向への旋回回避支援を行うことを決定する(S17)。すなわち、物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が大きいほど、物体の移動方向への旋回回避支援が抑制される。一方、S16にて湾曲の程度が閾値を超えていると判定しなかった場合、ECU15は、物体の移動方向への旋回回避支援を行うことを決定する(S18)。
支援実行部14は、旋回回避支援の方向が決定されると、ECU15の制御に基づいて旋回回避支援を実行する(S19)。具体的には、ECU15は、車両情報、物体情報及び走行路情報に基づいて、旋回回避支援の方向に応じた回避経路を求めて、回避経路に即した旋回回避支援を実現するための車両の運動量を求める。また、ECU15は、車両の運動量に応じた旋回回避量(舵角、操舵トルク、ブレーキ油圧)に関する制御目標を求めて、制御目標と車両情報の差分に基づいてフィードバック制御を行う。
図3は、図2に示す衝突回避支援方法を説明する図である。図3(a)に示す状況では、直線路Raを走行する車両Cの前方を歩行者Pが右から左へ横断しようとしている。衝突回避支援装置10は、旋回回避支援の実行に際して、歩行者Pの移動方向Dpと逆方向、つまり右方向への走行路の湾曲の程度が閾値未満(直線路であるので湾曲の程度が実質的に0となる。)であると判定する。すると、衝突回避支援装置10は、歩行者Pの移動方向Dp、つまり左方向への旋回回避支援を行うことを決定する。これにより、歩行者Pの移動方向Dpへの旋回回避Dcaによって、運転者の感覚に合った旋回回避支援を行うことができる。
一方、図3(b)に示す状況では、右カーブRbを走行する車両Cの前方を歩行者Pが右から左へ横断しようとしている。衝突回避支援装置10は、旋回回避支援の実行に際して、歩行者Pの移動方向Dpと逆方向、つまり右方向への走行路の湾曲の程度が閾値を超えていると判定する。すると、衝突回避支援装置10は、歩行者Pの移動方向Dpと逆方向、つまり右方向への旋回回避支援を行うことを決定する。これにより、歩行者Pの移動方向Dpと逆方向、つまり歩行者Pの出現方向への走行路の湾曲の程度が大きい場合には、出現方向への旋回回避Dcbによって、運転者の感覚に合った旋回回避支援を行うことができる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る衝突回避支援装置10及び衝突回避支援方法によれば、車両前方を移動する物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が大きい状況において、物体の移動方向への旋回回避支援を抑制することで、走行路の湾曲方向と逆方向への旋回回避が抑制され、運転者の感覚に合わない旋回回避支援を抑制できる。
なお、上記実施形態の説明では、物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が閾値を超えている場合に、移動方向と逆方向への旋回回避支援を行うことで、移動方向への旋回回避支援を抑制する場合について説明した。しかし、物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が大きいほど、移動方向への旋回回避支援に代えて制動回避支援を実行することで、移動方向への旋回回避支援を抑制してもよい。
以下では、図4から図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る衝突回避支援装置20及び衝突回避支援方法について説明する。第2実施形態は、車両の運転者の意識低下度に応じて特定の旋回回避支援を抑制するものである。なお、以下では、第1実施形態に係る説明と重複する説明を省略する。
まず、図4を参照して、第2実施形態に係る衝突回避支援装置20について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る衝突回避支援装置20を示すブロック図である。
衝突回避支援装置20は、車両に搭載され、車両と物体の衝突回避支援を行う装置である。図4に示すように、衝突回避支援装置20は、車両情報取得部11、物体情報取得部12、走行路情報取得部13、運転者情報取得部21、支援実行部14及びECU25(Electronic Control Unit)を備える。車両情報取得部11、物体情報取得部12、走行路情報取得部13及び支援実行部14の構成及び機能は、第1実施形態と同様である。
運転者情報取得部21は、運転者の状態、特に意識低下度を示す運転者情報を取得する。運転者情報取得部21には、例えば、監視カメラ、及び運転者の脈拍・心拍・発汗・脳波を検出する生体センサなどのうち少なくともいずれかが用いられる。運転者情報取得部21は、例えば、運転者の顔の向き、まぶたの開閉状態、脈拍値・心拍値・発汗量・脳波値などを取得してECU25に供給する。
ECU25は、衝突回避支援の実行を制御する支援制御部としての機能を実現する。なお、ECU25は、車両情報取得部11、物体情報取得部12、走行路情報取得部13及び運転者情報取得部21の機能を部分的に実現してもよい。
ECU25は、車両と物体の衝突を回避するための衝突回避支援の実行を制御する。ECU25は、物体との衝突可能性に応じて報知支援及び制御支援のうち少なくとも一方の実行を制御する。ECU25は、制御支援では、制動回避支援、旋回回避支援及び衝突安全支援のうち少なくともいずれかの実行を制御する。
ここで、ECU25は、特に、物体情報及び運転者情報に基づいて、運転者の意識低下度が高いほど、車両の幅方向における物体の移動方向への旋回回避支援を抑制する。物体の移動方向とは、車両の幅方向における物体の移動方向を意味し、物体の移動軌跡に基づいて求められる。運転者の意識低下度とは、よそ見、居眠り、体調不良などにより運転に対する運転者の意識が低下している度合を表す指標であり、例えば、わき見の頻度、まぶたの開き具合、まばたきの頻度、脈拍値・心拍値・発汗量・脳波値の変化などに基づいて求められる。
また、ECU25は、運転者の意識低下度が閾値を超えていると判定される場合、移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止してもよい。ここで、閾値は、車両の走行状態、物体の移動状態、及び車両前方の走行路の状態のうち少なくともいずれかに応じて可変に設定されてもよい。例えば、閾値は、旋回回避支援による衝突回避が容易な状況では大きく設定される一方、衝突回避が困難な状況では小さく設定されてもよい。これにより、旋回回避支援による衝突回避が行われる状況に応じて、移動方向への旋回回避支援を適切に抑制又は禁止できる。
つぎに、図5及び図6を参照して第2実施形態に係る衝突回避支援方法及び衝突回避支援装置20の動作について説明する。図5は、第2実施形態に係る衝突回避支援方法を示すフローチャートである。衝突回避支援装置20は、図5に示す処理を処理周期毎に繰り返し実行する。
車両情報取得部11は、車両の位置及び走行状態を示す車両情報を取得する(S21)。物体情報取得部12は、車両前方の物体の移動状態を示す物体情報を取得する(S22)。走行路情報取得部13は、車両前方の走行路の状態を示す走行路情報を取得する(S23)。運転者情報取得部21は、車両の運転者の状態、特に意識低下度を示す運転者情報を取得する(S24)。
ECU25は、車両情報及び物体情報に基づいて物体との衝突可能性を求める(S25)。ECU25は、衝突可能性に基づいて旋回回避支援の実行の要否を判定する(S26)。そして、旋回回避支援の実行が必要であると判定した場合、ECU25は、運転者の意識低下度が閾値を超えているか否かを判定する(S27)。一方、必要であると判定しなかった場合、処理がS21へ戻る。
そして、S27にて意識低下度が閾値を超えていると判定した場合、ECU25は、物体の移動方向と逆方向、つまり物体の出現方向への旋回回避支援を行うことを決定する(S28)。すなわち、運転者の意識低下度が高いほど、物体の移動方向への旋回回避支援が抑制される。一方、S27にて意識低下度が閾値を超えていると判定しなかった場合、ECU25は、物体の移動方向への旋回回避支援を行うことを決定する(S29)。支援実行部14は、旋回回避支援の方向が決定されると、ECU25の制御に基づいて旋回回避支援を実行する(S30)。
図6は、図5に示す衝突回避支援方法を説明する図である。図6(a)に示す状況では、直線路Raを走行する車両Cの前方を歩行者Pが右から左へ横断しようとしている。衝突回避支援装置20は、旋回回避支援の実行に際して、例えばまぶたの開き具合Eaに基づいて、運転者の意識低下度が閾値未満であると判定する。すると、衝突回避支援装置20は、歩行者Pの移動方向Dp、つまり左方向への旋回回避支援を行うことを決定する。これにより、歩行者Pの移動方向Dpへの旋回回避Dcaによって、運転者の感覚に合った旋回回避支援を行うことができる。
一方、図6(b)に示す状況では、直線路Raを走行する車両Cの前方を歩行者Pが右から左へ横断しようとしている。衝突回避支援装置20は、旋回回避支援の実行に際して、例えばまぶたの開き具合Ebに基づいて、運転者の意識低下度が閾値を超えていると判定する。すると、衝突回避支援装置20は、歩行者Pの移動方向Dpと逆方向、つまり右方向への旋回回避支援を行うことを決定する。これにより、運転者の感覚に合わせて旋回回避支援を行う必要性が低いにもかかわらず移動方向Dpへの旋回回避支援を促進すると、却って当該運転者の感覚に合わなくなることが想定される場合には、歩行者の移動方向Dpと逆方向、つまり、歩行者Pの出現方向への旋回回避Dcbによって、運転者の感覚に合わない旋回回避支援を抑制できる。
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る衝突回避支援装置20及び衝突回避支援方法によれば、運転者の意識低下度が大きく運転者の感覚に合わせて旋回回避支援を行う必要性が低い状況において、物体の移動方向への旋回回避支援を抑制することで、意識低下度が大きい運転者の感覚に合わない旋回回避が抑制され、運転者の感覚に合わない旋回回避支援を抑制できる。
なお、上記実施形態の説明では、運転者の意識低下度が閾値を超えている場合に、物体の移動方向と逆方向への旋回回避支援を行うことで、移動方向への旋回回避支援を抑制する場合について説明した。しかし、運転者の意識低下度が大きいほど、物体の移動方向への旋回回避支援に代えて制動回避支援を実行することで、移動方向への旋回回避支援を抑制してもよい。
なお、前述した実施形態は、本発明に係る衝突回避支援装置10、20及び衝突回避支援方法の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る衝突回避支援装置10、20及び衝突回避支援方法は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る衝突回避支援装置10、20及び衝突回避支援方法は、各請求項に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で本実施形態に係る衝突回避支援装置10、20及び衝突回避支援方法を変形し、または他のものに適用したものであってもよい。
例えば、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて、物体の移動方向と逆方向への走行路の湾曲の程度が大きいほど、かつ、運転者の意識低下度が大きいほど、移動方向への旋回回避支援を抑制してもよい。
10、20…衝突回避支援装置、11…車両情報取得部、12…物体情報取得部、13…走行路情報取得部、14…支援実行部、15、25…ECU、21…運転者情報取得部。

Claims (7)

  1. 車両と物体の衝突回避支援を行う衝突回避支援装置において、
    前記車両前方の前記物体の移動状態を示す物体情報を取得する物体情報取得部と、
    前記車両前方の走行路の形状を示す走行路情報を取得する走行路情報取得部と、
    前記物体情報及び前記走行路情報に基づいて、前記車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止する支援制御部と、
    を備える衝突回避支援装置。
  2. 前記車両の運転者の意識低下度を示す運転者情報を取得する運転者情報取得部をさらに備え、
    前記支援制御部は、前記車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定し、かつ、前記運転者の意識低下度が該意識低下度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止する、
    請求項1に記載の衝突回避支援装置。
  3. 前記支援制御部は、前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向と逆方向への旋回回避支援を行う、
    請求項1に記載の衝突回避支援装置。
  4. 前記閾値は、前記車両の走行状態、前記物体の移動状態、及び前記車両前方の走行路の状態のうち少なくともいずれかに応じて可変に設定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝突回避支援装置。
  5. 車両と物体の衝突回避支援を行う衝突回避支援装置によって実行される衝突回避支援方法において、
    前記車両前方の前記物体の移動状態を示す物体情報を取得し、
    前記車両前方の走行路の形状を示す走行路情報を取得し、
    前記物体情報及び前記走行路情報に基づいて、前記車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止すること、
    を含む衝突回避支援方法。
  6. 前記車両の運転者の意識低下度を示す運転者情報を取得することをさらに含み、
    前記車両の幅方向における前記物体の移動方向と逆方向への前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定し、かつ、前記運転者の意識低下度が該意識低下度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向への旋回回避支援を抑制又は禁止する、
    請求項5に記載の衝突回避支援方法。
  7. 前記走行路の湾曲の程度が当該湾曲の程度に対する閾値を超えていると判定した場合、前記移動方向と逆方向への旋回回避支援を行う、
    請求項5に記載の衝突回避支援方法。
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