JP5871165B2 - インクジェット記録装置用洗浄液兼充填液、該洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ及びインクジェット記録装置の洗浄方法 - Google Patents

インクジェット記録装置用洗浄液兼充填液、該洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ及びインクジェット記録装置の洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録装置に用いるインクカートリッジの液体流路の洗浄液兼充填液、この洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ及びこの洗浄液兼充填液を用いるインクジェット記録装置の洗浄方法に関する。
インクジェット記録装置は、通常、検査インク等での印字確認(吐出確認)を行った上で出荷されるため、印字検査後の洗浄に使用される洗浄液としては、インク経路への濡れ性・洗浄力が必要とされる。所望の濡れ性・洗浄性を確保する目的で、従来から界面活性剤を添加した洗浄液が用いられてきた。
しかし、従来の洗浄液では、界面活性剤を含有するために泡立ちやすく、洗浄時に泡によるトラブルが発生したり、出荷後の装置内に微量に残る洗浄液により、インクの初期充填不良が発生するという問題があった。また界面活性剤の種類によっては、インク流路中の部材を劣化させたり、金属部材を腐食させたり、更には、装置内に微量に残る印字検査インクとの相溶性が悪く、吐出不良を起こすこともあった。またインクを吐出するヘッドには通常撥インク処理がほどこされているが、これらの撥インク性を低下させる不具合もあった。
泡によるトラブルに関しては、起泡性の低い界面活性剤を使用する洗浄液も提案されたが、それらは濡れ性が不十分であったり、特に印字検査に顔料インクを使用する場合には、洗浄性が不十分なものが多かった。
特許文献1では特定の構造の構造を有するポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを界面活性剤として含有する洗浄液を用いることで、かなり起泡性を抑えることができ、検査インク等との相溶性も確保できるという点では優れたものであるが、洗浄効率という点ではまだ十分でなく、また再充填されるインクによっては、抑泡性が不十分である場合があるため、再充填性という観点では問題は解消できていない。またこの洗浄液組成では金属部に微小な腐食が進行する可能性があり、ヘッドなどの耐久性の低下という問題が発生する可能性がある。
特許文献2には、液体の液滴を吐出する液体吐出装置用ヘッド装置の液体流路内に充填する充填液にベンゾトリアゾール、またはベンゾトリアゾール誘導体を腐食溶出防止剤として含有させることにより、流体流路内の金属の腐食、溶出を抑制することが記載されている。しかしながら、前記腐食溶出防止剤は固体であり、水分が蒸発した際には、析出してくる可能性があるため、再充填後の吐出安定性に問題が発生する場合がある。
本発明は、泡立ちが少なく、濡れ性と洗浄性に優れる洗浄液兼充填液(以下単に「洗浄液」いう場合がある)を提供することを目的とする。また本発明は印字検査に顔料インクが使用された場合にも、高い洗浄効率を確保でき、また装置内に洗浄液及び印字検査インクが微量に残った場合にも、インクを再充填した際に吐出不良を起こさないインクジェット記録装置用洗浄液を提供することを目的とする。
(1)少なくとも水溶性有機溶剤および水を含むインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液であって、フッ素系界面活性剤と下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
HORC−[CH−CROH ・・・一般式(1)
(式中、RおよびRは、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、RおよびRは独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である。)
(2)前記一般式(1)で表される化合物が、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール又は、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールであることを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(3)前記フッ素系界面活性剤が、下記一般式(2)乃至(5)のいずれかで表される化合物から選択される少なくとも1種である(1)又は(2)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y ・・・一般式(2)
(式中nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CH2b+1(bは11〜19の整数を示す)または−CHCH(OH)CH−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す))
CFCF(CFCF−CHCHO(CHCHO)H ・・・一般式(3)
(式中、前記一般式(3)中、jは0〜10を表し、kは0〜40の整数を表す。jとkは同時に0にはならない)
Figure 0005871165
(式中、前記一般式(4)のRfはパーフルオロアルキル基を表す。mは6〜25の整数を表し、n及びpは1〜4の整数を表す。)
Figure 0005871165
(式中、前記一般式(5)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表す。X第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;トリエチルアミン、トリエタノールアミンを表し、Yは−COO、−SO 、−SO 、−PO を表す。qは1〜6の整数を表す。)
(4)前記一般式(2)で表される化合物が、
−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)21−C1225
−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
又は
−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(5)前記水溶性有機溶剤が、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の水溶性有機溶剤を少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
(6)前記水溶性有機溶剤がグリセリンであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録用洗浄液兼充填液を容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
(8)インク供給路にインクが充填されたインクジェット記録装置に対し、(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液を通液して洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法。
インクジェット記録装置用洗浄液として特定の構造を有する抑泡剤と、特定の構造を持つフッ素系界面活性剤を併用することで、起泡性・抑泡性に優れた、高い洗浄効率と再充填性を両立できる洗浄液を提供することができる。
本発明においては、インクジェット記録用洗浄液中にフッ素系界面活性剤と抑泡剤としての下記一般式(1)で表される化合物とを含有させることが必要である。
HORC−[CH−CROH ・・・一般式(1)
(式中、RおよびRは、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、RおよびRは独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である。)
フッ素系界面活性剤としては下記一般式(2)〜(5)で表される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y ・・・一般式(2)
(式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CH2b+1(bは11〜19の整数を示す)または−CHCH(OH)CH−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す))
CFCF(CFCF−CHCHO(CHCHO)H ・・・一般式(3)
(式中、jおよびkは整数を表す。jとkは同時に0にはならない)
Figure 0005871165
(式中、Rfはフッ素含有基を表す。m、n及びpは整数を表す。)
Figure 0005871165
(式中、Rfはフッ素含有基を表す。Xはカチオン基、Yはアニオン基を表す。qは整数を表す。)
洗浄液中に前記一般式(1)で表される化合物を単独で用いた場合には、洗浄性が不十分であり、また、洗浄液中に前記一般式(2)、(3)、(4)、(5)で表される化合物のようなフッ素系界面活性剤をそれぞれ単独で使用した場合には、泡の問題や検査インクあるいは再充填インク等との相溶性に問題が生じる場合がある。またインク流路の金属部材を腐食させる可能性がある。一般式(1)で表される化合物(以下「抑泡剤」ともいう)とフッ素系界面活性剤とを同時に含有させることで、両者の欠点を補うことができるだけでなく、各々単独で使用していた場合には不十分であった装置内に残る微量のインク中の色材成分との相溶性が確保される効果が生まれる。
抑泡剤とフッ素系界面活性剤とを併用することにより次のような効果が奏される。
濡れ性の向上:洗浄液の表面張力が低下し、インク流路部材への洗浄液の濡れ性が向上して洗浄性が向上する。
低起泡性・抑泡性:洗浄液が泡立たないことによって洗浄効率が向上する。
再充填効率向上:再充填効率が向上することにより、再充填後の吐出安定性が向上する。
色材成分との相溶性向上:色材成分との相溶性向上することによって再充填後の吐出安定性が向上する。
<洗浄液の組成>
洗浄液は少なくとも水、水溶性有機溶剤、フッ素系界面活性剤及び抑泡剤からなり、これらの各成分を混合することによって調製することができる。
以下に洗浄液を構成する各成分について説明する。
<抑泡剤>
抑泡剤としては下記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種類が用いられる。
HORC−[CH−CROH ・・・一般式(1)
(式中、RおよびRは、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、RおよびRは独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である)
前記一般式(1)で表される化合物の好ましい例としては、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール及び2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールを挙げることができ、より好ましい例は2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールである。
抑泡剤の洗浄液における含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。抑泡剤の含有量が0.01質量%以上であることにより、泡を抑える効果を充分に得ることができ、また、10質量%以下であることにより粘度が増加しすぎず吐出等に悪影響を及ぼすことがない。
<フッ素系界面活性剤>
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が用いられ、特に一般式(2)乃至(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
[一般式(2)で表される化合物]
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y ・・・一般式(2)
[式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−C2b+1(bは11〜19の整数を示す)又は−CHCH(OH)CH−C2d+1(dは2〜6の整数を示す)を示す]
前記一般式(2)で表される化合物の好ましい例としては以下の化合物を挙げることができる。
a) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)21−C1225
b) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
c) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)30−C1225
d) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)20−C1429
e) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)30−C1429
f) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−C1633
g) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)20−C1633
h) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1633
i) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)30−C1633
j) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)40−C1633
k) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)20−C1837
l) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)30−C1837
m) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)40−C1837
n) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
o) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35CHCH(OH)CH−C
p) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
また、より好ましいのは以下の化合物である。
a) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)21−C1225
b) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
n) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
o) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35CHCH(OH)CH−C
p) C−CHCH(OH)CHO−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
[一般式(3)で表される化合物]
CFCF(CFCF)−CHCHO(CHCHO)H ・・・一般式(3)
(式中、前記一般式(3)のj及びkは整数を表し、jは0〜10が好ましく、kは0〜40が好ましい。jとkは同時に0にはならない)
前記一般式(3)で表されるフッ素系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(いずれも住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも大日本インク化学工業株式会社製);ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製);エフトップEF−351、EF−352、EF−801、EF−802(いずれもジェムコ社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製)が特に好適である。これら市販品は、数種類の分子量を持つ化合物の混合物であり前記一般式(3)において、j及びkが分布を有しているということである場合が多いが、本発明の効果は問題なく認められる。
[一般式(4)で表される化合物]
Figure 0005871165
[式中、前記一般式(4)のRfはフッ素含有基を表す。mは6〜25の整数を表し、n及びpは1〜4の整数を表す。]
前記一般式(4)において、Rfは特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記パーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、例えば、−C2n−1(ただし、nは1〜10の整数を表す。)などが挙げられ、例えば、−CF、−CFCF、−C、−C、などが挙げられ、これらの中でも、−CF、−CFCFが特に好ましい。
m、n、及びpは、整数を表し、nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4が好ましい。
[一般式(5)で表される化合物]
Figure 0005871165
[式中、前記一般式(5)のRfはパーフルオロアルキル基を表す。Xは第4級アンモニウム基:ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属:トリエチルアミン、トリエタノールアミンを表し、Yは−COO、−SO 、−SO 、−PO を表す。qは1〜6の整数を表す。]
前記一般式(5)において、Rfは上記一般式(4)について示したと同様のパーフルオロアルキル基が好ましく、例えば、−CF、−CFCF、−C、−Cなどが好適に挙げられる。
Xはカチオン基を表し、例えば、第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられ、これらの中でも第4級アンモニウム基が特に好ましい。
Yはアニオン基を表し、例えば、−COO、−SO 、−SO 、−PO 、などが挙げられる。
qは、整数を表し、例えば、1〜6が好ましい。
前記一般式(4)及び前記一般式(5)から選択される少なくとも1種のフッ素系界面活性剤としては、特に下記一般式(4−1)及び下記一般式(5−1)で表される化合物は、環境に対する安全性が米国環境保護庁から認可を受けており、安全性の面からも好適なものである。また、これらの中でも、特に前記一般式(4−1)で表されるフッ素系界面活性剤は、起泡性が非常に低く泡立ちにくいという特徴を有している。
Figure 0005871165
(一般式(4−1)中、Rf′は−CF、−CFCFを表す。nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4である。)
Figure 0005871165
(一般式(5−1)中、Rf′は−CF、−CFCFを表す。qは1〜6である。)
フッ素系界面活性剤の添加量は0.01〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜5質量%である。0.01質量%以上であることにより、充分な濡れ性を確保することができ、また色材成分との相溶性も良好となる。また10質量%以下であることにより、溶解安定性が良好であり、また泡による問題を生じることがない。
本発明のインクジェット用洗浄液および充填液には、前記一般式(2)、前記一般式(3)、一般式(4)及び前記一般式(5)から選択される少なくとも1種のフッ素系界面活性剤の1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用することもできる。更に、その他のフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤などを併用することもできる。
<水溶性有機溶剤>
本発明における水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンが挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は、洗浄液兼充填液の水分が蒸発して平衡状態に達した場合にも、水溶性有機溶剤が多量の水分を保持することにより、洗浄液、充填液に流動性を付与する。中でも平衡水分量の高い水溶性有機溶剤が好ましく、洗浄液兼充填液中の水分が蒸発して平衡状態に達した場合にも、水溶性有機溶剤が多量の水分を保持し、極端な粘度上昇を抑えることができる。ここで、平衡水分量の高い水溶性有機溶剤とは、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上であるものを言う(以後、水溶性有機溶剤Aと言う)。平衡水分量の上限は特にないが、汎用される溶剤の中ではグリセリンが最も高く、実測値で46質量%前後である。
このような水溶性有機溶剤Aを用いることで、インクの水分が蒸発して水分平衡に達した場合においても、水溶性有機溶剤Aが多量の水分を保持して粘度上昇を防ぐことができる。
なお、平衡水分量とは、水溶性有機溶剤と水との混合物を一定温度、湿度の空気中に開放して、溶液中の水の蒸発と空気中の水のインクへの吸収が平衡状態になったときの水分量を言う。具体的には、平衡水分量は、塩化カリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度を温度23±1℃、湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを質量変化がなくなるまでの期間保管し、次の式により求めることができる。
Figure 0005871165
以上の点から本実施形態で好適に用いられる水溶性有機溶剤Aとしては、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の多価アルコール類が挙げられる。このような水溶性有機溶剤Aの具体例としては、1,2,3−ブタントリオール(bp175℃/33hPa、38wt%)、1,2,4−ブタントリオール(bp190−191℃/24hPa、41wt%)、グリセリン(bp290℃、49wt%)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa、38wt%)、トリエチレングリコール(bp285℃、39wt%)、テトラエチレングリコール(bp324−330℃、37wt%)、ジエチレングリコール(bp245℃、43wt%)、1,3−ブタンジオール(bp203−204℃、35wt%)等が挙げられる。この中でもグリセリン、1,3−ブタンジオールは水分を含んだ場合に低粘度化することや顔料分散体が凝集せず安定に保てるなどの理由により特に好適に用いられる。上記水溶性有機溶剤Aを水溶性有機溶剤剤全体の50wt%以上用いた場合、吐出安定性確保やインク吐出装置の維持装置での廃インク固着防止に優れるため好ましい。
本発明の洗浄液兼充填液は、水溶性有機溶剤A以外にも、必要に応じて前記の水溶性有機溶剤Aの一部に代えて、または前記の水溶性有機溶剤Aに加えて、23℃、80%での平衡水分量が30wt%未満の水溶性有機溶剤(以後水溶性有機溶剤Bと言う)を併用することができる。このような水溶性有機溶剤Bとしては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の湿潤剤、などが挙げられる。
水溶性有機溶剤Bの多価アルコール類の具体例としては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196−198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体〜固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253−260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199−201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp197℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)などが挙げられる。前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(bp237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン(bp250℃、mp25.5℃、47−48wt%)、N−メチル−2−ピロリドン(bp202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(bp226℃)、ε−カプロラクタム(bp270℃)、γ−ブチロラクトン(bp204−205℃)などが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199−201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176−177℃)などが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N−メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N−メチルエタノールアミン(bp159℃)、N−フェニルエタノールアミン(bp282−287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
洗浄液としては、インクジェット記録装置のインク流路を洗浄し、インクを押し流す機能が必要とされる。インク流路の洗浄にはインクと混合置換しながらインク成分をインク流路から剥離させることが求められる。このとき洗浄液によってインク流路部材を劣化させないことが求められている。
また洗浄後の状態を完全に洗浄液に置換されている状態にするには、多量の液と時間を要するため効率が悪い。そこで一定の濃度までインクが混合してもインクジェット記録装置の記録品質を保つようにする必要がある。洗浄液がインクと合っていないと洗浄液中に残存したインクが凝集してインクジェットヘッドのノズルやフィルターに吸着し、吐出不良や抵抗の増加を引き起こす。そのためインクと洗浄液が混合した状態でも液物性が安定することが求められる。
さらに洗浄性やインクとの混合性を満たすことで、新たにインクを充填するときに再充填性を確保することが可能となる。
洗浄液兼充填液における前記フッ素系界面活性剤の含有量は、固形分で0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。0.01質量%未満では、泡を抑える効果が得られないことがあり、5質量%を超えると、粘度が増加し、発泡性の抑制効果低下によるヘッド内での気泡による吐出性等に悪影響がある。
一般に、洗浄液兼充填液全体に占める水溶性有機溶剤の割合は20〜60質量%が好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。水溶性有機溶剤量が少ないと洗浄液の水分保持力が低下し保管時の乾燥が進みやすい。また水溶性有機溶剤が多すぎると、インクの粘度が高くなり、ヘッドへの充填性の低下やインクの可燃性が向上する。
しかし水溶性有機溶剤の特性によっては保湿力や有機性などが大きく変わる。特にグリセリンは保湿性が高く親水性の高い溶剤として知られている。そのため乾燥による顔料分散体の分散破壊を抑制する面で効果がある。しかし樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させた着色樹脂微粒子を用いた場合、グリセリンの比率が高くなりすぎると分散安定状態が悪化する。
このような分散安定状態の悪化の明確な理由は判っていないが、分散溶媒の有機性によって樹脂が膨潤することに起因すると推測される。樹脂微粒子は色材と分散溶媒との両方に親和性を持っているが、インクに用いられる有機溶剤に対する耐性を高めるように設計されている。インクに用いられる水溶性有機溶剤は浸透性機能を付与する点から若干親油性が高い溶剤が用いられるため、これらの溶剤に耐え得るように樹脂設計を行っている。グリセリンの比率が上昇すると親水性が向上し、分散溶媒の親水性が上昇する。そのため樹脂の耐性と異なる分散溶媒となり、樹脂への親和性が向上し樹脂が分散媒に対して膨潤しやすくなり、分散安定性が低下すると考えられる。
樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させた着色樹脂微粒子を色材とするインクとグリセリンとを併用する場合には、その添加量は20質量%未満であることが望ましい。20質量%以上であると洗浄液兼充填液の有機性が低下しすぎるため好ましくない。
洗浄液兼充填液に加えることができるその他の添加剤としては、防腐防黴剤、キレート剤、防錆剤、pH調整剤、浸透剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合される洗浄液兼充填液に悪影響を及ぼさず、さらにインクジェット記録装置のインク流路にダメージを与えないものであり、pHを所望の値に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
例えば、塩基性に調整するときにはアミン類、アルカリ金属水酸化物、第四級化合物水酸化物、アルカリ金属炭酸塩が、酸性に調整するときは無機酸、有機酸が挙げられる。
具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
また、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸及び硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの一価の弱カチオンと形成する塩、酢酸、蓚酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アルギニン酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、カルボラン酸、又はこれらの化合物の誘導体などの有機酸が挙げられる。
これらのpH調整剤は上記の化合物に限定されるものではない。また、インクのpH変動に応じた特性に合わせて最適のpKaのものを適宜用いればよく、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても、バッファー剤を併用してもよい。
浸透剤は界面活性剤や有機溶剤による浸透性を補うために必要に応じて添加する。
浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオールの少なくとも1種を含有することが望ましい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
これらの中でも望ましいのは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
その他の併用できる浸透剤として、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられるが、洗浄液中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば、これらに限らない。
浸透剤の添加量は4.0質量%以下とすることが望ましい。添加量が4.0質量%よりも多いと被洗浄対象のインクの顔料分散体の分散安定性が損なわれ、分散体の凝集が引き起こされたり、またインク流路部材への浸透性が必要以上に高くなり、部材への浸食や接着剤の膨潤、溶出などの接液問題を引き起こす。
以下、実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1〜9]
表1に示す各成分を下記の洗浄液の調製方法により調製して実施例1〜9の洗浄液を得た。
<洗浄液の調製>
表1の実施例1〜9、及び表2の比較例1〜3の各欄に示す各成分を用い、まずpH調整剤、界面活性剤、及び水を混合し均一に溶解させ、次いで水溶性有機溶剤を混合し一時間攪拌を行って均一に混合した。この混合液を0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して各洗浄液兼充填液を得た。なお、表中の成分割合を示す数値は質量%である。また、用いた界面活性剤の種類を表3に示す。
表中の成分割合を示す数値は質量%である。
[比較例1〜3]
実施例と同様にして、表2に示す各成分を用いて比較例1〜3の洗浄液を調製した。
表中の成分割合を示す数値は質量%である。
<顔料インクの調製>
上記で調製した実施例及び比較例の洗浄液を評価するための洗浄液評価用インクを以下のようにして調製した。
−ポリマー溶液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4g、メチルエチルケトン40gを混合し、65℃に昇温した。
次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。 反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
−イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
前記ポリマー溶液28gとC.I.ピグメントイエロー74を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のイエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−イエロー顔料インクの調製−
イエロー顔料インクの調製は以下の手順で行った。
まず1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
−マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
前記ポリマー溶液17.5gとC.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−マゼンタ顔料インクの調製−
マゼンタ顔料インクの調製は以下の手順で行った。
まず3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、Dupont製Zonyl FSO−100 0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
−シアン顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
色材をC.I.ピグメントブルー15:3に変えたほかはイエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調整と同様にして、シアン顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
−シアン顔料インクの調製−
シアン顔料インクの調製は以下の手順で行った。まず1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
―ブラック顔料インクの調製−
KM−9036(東洋インキ、自己分散型顔料) 50質量%
グリセリン 10質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2質量%
2−ピロリドン 2質量%
日信化学工業社製 オルフィン1010 1質量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学) 0.1質量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、評価インクとした。
[評価]
実施例及び比較例の洗浄液及び上記で調製したインクを用いて以下の評価を行った。
なお、4色全てのインクについて評価を行い、評価結果が一番悪い色の評価結果に基づいて評価した。
<評価1:洗浄液の起泡性・消泡性評価>
作製した洗浄液を100mlのメスシリンダーに10ml入れ、10℃の環境下で該洗浄液に空気を注入した。そして、該洗浄液と起泡の体積合計が100mlになった時点、もしくは60秒経過した時点で空気の注入を停止した。
空気の注入から空気の注入停止までの時間を起泡時間とし、空気の注入を停止した時点から該洗浄液と気泡の合計体積が20mlになるまでの時間を計測して、消泡時間として以下の基準で気泡性及び消泡性を評価した。
起泡性・消泡性の結果の悪い方を泡立ちの評価結果とした。
(起泡性評価基準)
◎:起泡時間が60秒以上(泡がたたない場合も含む)
○:起泡時間が40秒以上、60秒未満
△:起泡時間が20秒以上、40秒未満
×:起泡時間が20秒未満
(消泡性評価基準)
◎:消泡時間が100秒未満
○:消泡時間が100秒以上、200秒未満
△:消泡時間が200秒以上、400秒未満
×:消泡時間が400秒以上
<評価2:洗浄液の洗浄性評価>
インクジェットプリンター(IPSIO GX3000、株式会社リコー製)に上記各色評価インクを充填したカートリッジを取り付け、上記充填を行い、ノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが無いことを確認した。
その後、洗浄液を充填したカートリッジを全カートリッジの代わりに取り付け、ヘッドリフレッシング動作を6回実施した。その後プリンターの維持ユニットを動作させ、各ヘッドから4.5cc吸引しては再び充填する動作を3回繰り返して実施し、最後に各ヘッドから吸引した液について、吸光度の測定を行った。各色のλMaxの波長における吸光度から顔料濃度を算出し、それを下記基準にしたがって洗浄性を判断した。
(洗浄性評価基準)
◎:インクの吸光度の0.5%未満
○:インクの吸光度の0.5%以上、1%未満
△:インクの吸光度の1%以上、2%未満
×:インクの吸光度の2%以上
<評価3:相溶性評価>
洗浄液97gとインク3gをそれぞれ混合し、90℃の恒温槽中に8時間放置した。
その後取り出し、2時間静置し、液の状態を目視で観察して、洗浄液とインクとの相溶性を評価した。判断は下記基準にて行った。
(相溶性評価基準)
◎:分離が全く見られない
○:わずかに濃淡が観察される
△:色材の沈殿がわずかに認められる
×:色材が沈殿している
<評価4:再充填性評価>
評価2で洗浄した後のインクジェットプリンター(IPSIO GX3000、株式会社リコー製)を40℃の恒温槽中に24時間放置し、上記評価インクを充填したインクカートリッジを取り付け、初期充填動作を実施させた。その後ノズルチェックパターンを印字し、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を繰り返し、ノズルチェックにて吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)が無くなるまでのヘッドリフレッシング回数にて再充填性の評価を行った。(最大8回まで)
(再充填性評価基準)
◎:ヘッドリフレッシング1回以下
○:ヘッドリフレッシング2回〜3回
△:ヘッドリフレッシング3回〜4回
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、もしくは回復不能
上記の評価1〜4についての評価結果を表1に示す。
評価2〜4については、各色の評価結果で悪い方を評価結果とした。
また、実施例及び比較例で用いたフッ素系界面活性剤及び界面活性剤の説明を表3に記載した。
Figure 0005871165
Figure 0005871165
Figure 0005871165
表1に示されているように、実施例1〜6は抑泡剤および活性剤の添加量が最適な範囲内にあり、良好な結果が得られた。
実施例7と9は抑泡剤および活性剤の添加量が実施例1〜6に比べて多いか又は少ないため、泡立ち性、洗浄性、相溶性、再充填性が実施例1〜6に比べて若干劣る。
比較例1、2は界面活性剤を本願発明で規定するものとは異なるものを添加したもので、いずれも実施例のものと比べると評価結果が劣るものとなっている。
また、比較例3は抑泡剤を添加していないため、泡立ち、再充填性ともに実施例のものと比べると評価結果が劣るものとなっている。
特許4397220号公報 特開2009−012361号公報

Claims (8)

  1. 少なくとも水溶性有機溶剤および水を含むインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液であって、フッ素系界面活性剤と下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
    HORC−[CH−CROH ・・・一般式(1)
    (式中、RおよびRは、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、RおよびRは独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である。)
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール又は、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
  3. 前記フッ素系界面活性剤が、下記一般式(2)乃至(5)のいずれかで表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
    2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y ・・・一般式(2)
    (式中nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CH2b+1(bは11〜19の整数を示す)または−CHCH(OH)CH−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す))
    CFCF(CFCF−CHCHO(CHCHO)H ・・・一般式(3)
    (式中、前記一般式(3)中、jは0〜10を表し、kは0〜40の整数を表す。jとkは同時に0にはならない)
    Figure 0005871165

    (式中、前記一般式(4)のRfはパーフルオロアルキル基を表す。mは6〜25の整数を表し、n及びpは1〜4の整数を表す。)
    Figure 0005871165

    (式中、前記一般式(5)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表す。X第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;トリエチルアミン、トリエタノールアミンを表し、Yは−COO、−SO 、−SO 、−PO を表す。qは1〜6の整数を表す。)
  4. 前記一般式(2)で表される化合物が、
    −CHCH(OH)CHO−(CHCHO)21−C1225
    −CHCH(OH)CHO−(CHCHO)25−C1225
    −CHCH(OH)CHO−(CHCHO)23−CHCH(OH)CH−C
    −CHCH(OH)CHO−(CHCHO)35−CHCH(OH)CH−C
    又は
    −CHCH(OH)CHO−(CHCHO)45−CHCH(OH)CH−C
    であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
  5. 前記水溶性有機溶剤が、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の水溶性有機溶剤を少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
  6. 前記水溶性有機溶剤がグリセリンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録用洗浄液兼充填液を容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  8. インク供給路にインクが充填されたインクジェット記録装置に対し、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液を通液して洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法。
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