JP5871165B2 - インクジェット記録装置用洗浄液兼充填液、該洗浄液兼充填液を収容したカートリッジ及びインクジェット記録装置の洗浄方法 - Google Patents
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Description
HOR1R3C−[CH2]n−CR2R4OH ・・・一般式(1)
(式中、R1およびR2は、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、R3およびR4は独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である。)
(2)前記一般式(1)で表される化合物が、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール又は、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールであることを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(3)前記フッ素系界面活性剤が、下記一般式(2)乃至(5)のいずれかで表される化合物から選択される少なくとも1種である(1)又は(2)に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y ・・・一般式(2)
(式中nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CbH2b+1(bは11〜19の整数を示す)または−CH2CH(OH)CH2−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す))
CF3CF2(CF2CF2)j−CH2CH2O(CH2CH2O)kH ・・・一般式(3)
(式中、前記一般式(3)中、jは0〜10を表し、kは0〜40の整数を表す。jとkは同時に0にはならない)
(4)前記一般式(2)で表される化合物が、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)21−C12H25、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)25−C12H25、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)23−CH2CH(OH)CH2−C4F9、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)35−CH2CH(OH)CH2−C4F9、
又は
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)45−CH2CH(OH)CH2−C4F9
であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(5)前記水溶性有機溶剤が、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の水溶性有機溶剤を少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
(6)前記水溶性有機溶剤がグリセリンであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録用洗浄液兼充填液を容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
(8)インク供給路にインクが充填されたインクジェット記録装置に対し、(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液を通液して洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法。
HOR1R3C−[CH2]n−CR2R4OH ・・・一般式(1)
(式中、R1およびR2は、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、R3およびR4は独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である。)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y ・・・一般式(2)
(式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CbH2b+1(bは11〜19の整数を示す)または−CH2CH(OH)CH2−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す))
CF3CF2(CF2CF2)j−CH2CH2O(CH2CH2O)kH ・・・一般式(3)
(式中、jおよびkは整数を表す。jとkは同時に0にはならない)
濡れ性の向上:洗浄液の表面張力が低下し、インク流路部材への洗浄液の濡れ性が向上して洗浄性が向上する。
低起泡性・抑泡性:洗浄液が泡立たないことによって洗浄効率が向上する。
再充填効率向上:再充填効率が向上することにより、再充填後の吐出安定性が向上する。
色材成分との相溶性向上:色材成分との相溶性向上することによって再充填後の吐出安定性が向上する。
洗浄液は少なくとも水、水溶性有機溶剤、フッ素系界面活性剤及び抑泡剤からなり、これらの各成分を混合することによって調製することができる。
以下に洗浄液を構成する各成分について説明する。
抑泡剤としては下記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種類が用いられる。
HOR1R3C−[CH2]n−CR2R4OH ・・・一般式(1)
(式中、R1およびR2は、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、R3およびR4は独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である)
前記一般式(1)で表される化合物の好ましい例としては、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール及び2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールを挙げることができ、より好ましい例は2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールである。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が用いられ、特に一般式(2)乃至(5)で表される化合物から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y ・・・一般式(2)
[式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CbH2b+1(bは11〜19の整数を示す)又は−CH2CH(OH)CH2−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す)を示す]
a) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)21−C12H25
b) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)25−C12H25
c) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)30−C12H25
d) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)20−C14H29
e) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)30−C14H29
f) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)23−C16H33
g) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)20−C16H33
h) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)25−C16H33
i) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)30−C16H33
j) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)40−C16H33
k) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)20−C18H37
l) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)30−C18H37
m) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)40−C18H37
n) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)23−CH2CH(OH)CH2−C4F9
o) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)35CH2CH(OH)CH2−C4F9
p) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)45−CH2CH(OH)CH2−C4F9
また、より好ましいのは以下の化合物である。
a) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)21−C12H25
b) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)25−C12H25
n) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)23−CH2CH(OH)CH2−C4F9、
o) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)35CH2CH(OH)CH2−C4F9
p) C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)45−CH2CH(OH)CH2−C4F9
CF3CF2(CF2CF2)j−CH2CH2O(CH2CH2O)kH ・・・一般式(3)
(式中、前記一般式(3)のj及びkは整数を表し、jは0〜10が好ましく、kは0〜40が好ましい。jとkは同時に0にはならない)
前記一般式(3)で表されるフッ素系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(いずれも住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも大日本インク化学工業株式会社製);ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製);エフトップEF−351、EF−352、EF−801、EF−802(いずれもジェムコ社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製)が特に好適である。これら市販品は、数種類の分子量を持つ化合物の混合物であり前記一般式(3)において、j及びkが分布を有しているということである場合が多いが、本発明の効果は問題なく認められる。
前記パーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、例えば、−CnF2n−1(ただし、nは1〜10の整数を表す。)などが挙げられ、例えば、−CF3、−CF2CF3、−C3F7、−C4F9、などが挙げられ、これらの中でも、−CF3、−CF2CF3が特に好ましい。
m、n、及びpは、整数を表し、nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4が好ましい。
Xはカチオン基を表し、例えば、第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられ、これらの中でも第4級アンモニウム基が特に好ましい。
Yはアニオン基を表し、例えば、−COO−、−SO3 −、−SO4 −、−PO4 −、などが挙げられる。
qは、整数を表し、例えば、1〜6が好ましい。
本発明における水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンが挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は、洗浄液兼充填液の水分が蒸発して平衡状態に達した場合にも、水溶性有機溶剤が多量の水分を保持することにより、洗浄液、充填液に流動性を付与する。中でも平衡水分量の高い水溶性有機溶剤が好ましく、洗浄液兼充填液中の水分が蒸発して平衡状態に達した場合にも、水溶性有機溶剤が多量の水分を保持し、極端な粘度上昇を抑えることができる。ここで、平衡水分量の高い水溶性有機溶剤とは、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上であるものを言う(以後、水溶性有機溶剤Aと言う)。平衡水分量の上限は特にないが、汎用される溶剤の中ではグリセリンが最も高く、実測値で46質量%前後である。
なお、平衡水分量とは、水溶性有機溶剤と水との混合物を一定温度、湿度の空気中に開放して、溶液中の水の蒸発と空気中の水のインクへの吸収が平衡状態になったときの水分量を言う。具体的には、平衡水分量は、塩化カリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度を温度23±1℃、湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを質量変化がなくなるまでの期間保管し、次の式により求めることができる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199−201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176−177℃)などが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N−メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N−メチルエタノールアミン(bp159℃)、N−フェニルエタノールアミン(bp282−287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
また洗浄後の状態を完全に洗浄液に置換されている状態にするには、多量の液と時間を要するため効率が悪い。そこで一定の濃度までインクが混合してもインクジェット記録装置の記録品質を保つようにする必要がある。洗浄液がインクと合っていないと洗浄液中に残存したインクが凝集してインクジェットヘッドのノズルやフィルターに吸着し、吐出不良や抵抗の増加を引き起こす。そのためインクと洗浄液が混合した状態でも液物性が安定することが求められる。
さらに洗浄性やインクとの混合性を満たすことで、新たにインクを充填するときに再充填性を確保することが可能となる。
しかし水溶性有機溶剤の特性によっては保湿力や有機性などが大きく変わる。特にグリセリンは保湿性が高く親水性の高い溶剤として知られている。そのため乾燥による顔料分散体の分散破壊を抑制する面で効果がある。しかし樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させた着色樹脂微粒子を用いた場合、グリセリンの比率が高くなりすぎると分散安定状態が悪化する。
樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させた着色樹脂微粒子を色材とするインクとグリセリンとを併用する場合には、その添加量は20質量%未満であることが望ましい。20質量%以上であると洗浄液兼充填液の有機性が低下しすぎるため好ましくない。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
例えば、塩基性に調整するときにはアミン類、アルカリ金属水酸化物、第四級化合物水酸化物、アルカリ金属炭酸塩が、酸性に調整するときは無機酸、有機酸が挙げられる。
具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
これらのpH調整剤は上記の化合物に限定されるものではない。また、インクのpH変動に応じた特性に合わせて最適のpKaのものを適宜用いればよく、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても、バッファー剤を併用してもよい。
浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオールの少なくとも1種を含有することが望ましい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
これらの中でも望ましいのは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
浸透剤の添加量は4.0質量%以下とすることが望ましい。添加量が4.0質量%よりも多いと被洗浄対象のインクの顔料分散体の分散安定性が損なわれ、分散体の凝集が引き起こされたり、またインク流路部材への浸透性が必要以上に高くなり、部材への浸食や接着剤の膨潤、溶出などの接液問題を引き起こす。
表1に示す各成分を下記の洗浄液の調製方法により調製して実施例1〜9の洗浄液を得た。
<洗浄液の調製>
表1の実施例1〜9、及び表2の比較例1〜3の各欄に示す各成分を用い、まずpH調整剤、界面活性剤、及び水を混合し均一に溶解させ、次いで水溶性有機溶剤を混合し一時間攪拌を行って均一に混合した。この混合液を0.8μmセルロースアセテートメンブランフィルターで加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して各洗浄液兼充填液を得た。なお、表中の成分割合を示す数値は質量%である。また、用いた界面活性剤の種類を表3に示す。
表中の成分割合を示す数値は質量%である。
実施例と同様にして、表2に示す各成分を用いて比較例1〜3の洗浄液を調製した。
表中の成分割合を示す数値は質量%である。
上記で調製した実施例及び比較例の洗浄液を評価するための洗浄液評価用インクを以下のようにして調製した。
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4g、メチルエチルケトン40gを混合し、65℃に昇温した。
次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン342gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。 反応終了後、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
前記ポリマー溶液28gとC.I.ピグメントイエロー74を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のイエロー顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
イエロー顔料インクの調製は以下の手順で行った。
まず1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
前記ポリマー溶液17.5gとC.I.ピグメントレッド122を32.5g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液8.5g、メチルエチルケトン13g及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
マゼンタ顔料インクの調製は以下の手順で行った。
まず3−メチル−1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、Dupont製Zonyl FSO−100 0.5質量%、1,2−ヘキサンジオール1質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
色材をC.I.ピグメントブルー15:3に変えたほかはイエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調整と同様にして、シアン顔料含有ポリマー微粒子の水分散体を得た。
シアン顔料インクの調製は以下の手順で行った。まず1,3−ブタンジオール15質量%、グリセリン15質量%、OMNOVA製ポリフォックスPF−151N 1質量%、オクタンジオール2質量%を混合し一時間攪拌を行い均一に混合する。この混合液に対して前記イエロー顔料含有ポリマー微粒子水分散体40質量%を添加し、合計100質量%となるように残量の水を添加し、一時間撹拌した。その後0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子を除去し評価インクとした。
KM−9036(東洋インキ、自己分散型顔料) 50質量%
グリセリン 10質量%
1,3−ブタンジオール 15質量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2質量%
2−ピロリドン 2質量%
日信化学工業社製 オルフィン1010 1質量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学) 0.1質量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.5μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、評価インクとした。
実施例及び比較例の洗浄液及び上記で調製したインクを用いて以下の評価を行った。
なお、4色全てのインクについて評価を行い、評価結果が一番悪い色の評価結果に基づいて評価した。
作製した洗浄液を100mlのメスシリンダーに10ml入れ、10℃の環境下で該洗浄液に空気を注入した。そして、該洗浄液と起泡の体積合計が100mlになった時点、もしくは60秒経過した時点で空気の注入を停止した。
空気の注入から空気の注入停止までの時間を起泡時間とし、空気の注入を停止した時点から該洗浄液と気泡の合計体積が20mlになるまでの時間を計測して、消泡時間として以下の基準で気泡性及び消泡性を評価した。
起泡性・消泡性の結果の悪い方を泡立ちの評価結果とした。
(起泡性評価基準)
◎:起泡時間が60秒以上(泡がたたない場合も含む)
○:起泡時間が40秒以上、60秒未満
△:起泡時間が20秒以上、40秒未満
×:起泡時間が20秒未満
(消泡性評価基準)
◎:消泡時間が100秒未満
○:消泡時間が100秒以上、200秒未満
△:消泡時間が200秒以上、400秒未満
×:消泡時間が400秒以上
インクジェットプリンター(IPSIO GX3000、株式会社リコー製)に上記各色評価インクを充填したカートリッジを取り付け、上記充填を行い、ノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが無いことを確認した。
その後、洗浄液を充填したカートリッジを全カートリッジの代わりに取り付け、ヘッドリフレッシング動作を6回実施した。その後プリンターの維持ユニットを動作させ、各ヘッドから4.5cc吸引しては再び充填する動作を3回繰り返して実施し、最後に各ヘッドから吸引した液について、吸光度の測定を行った。各色のλMaxの波長における吸光度から顔料濃度を算出し、それを下記基準にしたがって洗浄性を判断した。
(洗浄性評価基準)
◎:インクの吸光度の0.5%未満
○:インクの吸光度の0.5%以上、1%未満
△:インクの吸光度の1%以上、2%未満
×:インクの吸光度の2%以上
洗浄液97gとインク3gをそれぞれ混合し、90℃の恒温槽中に8時間放置した。
その後取り出し、2時間静置し、液の状態を目視で観察して、洗浄液とインクとの相溶性を評価した。判断は下記基準にて行った。
(相溶性評価基準)
◎:分離が全く見られない
○:わずかに濃淡が観察される
△:色材の沈殿がわずかに認められる
×:色材が沈殿している
評価2で洗浄した後のインクジェットプリンター(IPSIO GX3000、株式会社リコー製)を40℃の恒温槽中に24時間放置し、上記評価インクを充填したインクカートリッジを取り付け、初期充填動作を実施させた。その後ノズルチェックパターンを印字し、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を繰り返し、ノズルチェックにて吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)が無くなるまでのヘッドリフレッシング回数にて再充填性の評価を行った。(最大8回まで)
(再充填性評価基準)
◎:ヘッドリフレッシング1回以下
○:ヘッドリフレッシング2回〜3回
△:ヘッドリフレッシング3回〜4回
×:ヘッドリフレッシング5回以上必要、もしくは回復不能
評価2〜4については、各色の評価結果で悪い方を評価結果とした。
また、実施例及び比較例で用いたフッ素系界面活性剤及び界面活性剤の説明を表3に記載した。
実施例7と9は抑泡剤および活性剤の添加量が実施例1〜6に比べて多いか又は少ないため、泡立ち性、洗浄性、相溶性、再充填性が実施例1〜6に比べて若干劣る。
比較例1、2は界面活性剤を本願発明で規定するものとは異なるものを添加したもので、いずれも実施例のものと比べると評価結果が劣るものとなっている。
また、比較例3は抑泡剤を添加していないため、泡立ち、再充填性ともに実施例のものと比べると評価結果が劣るものとなっている。
Claims (8)
- 少なくとも水溶性有機溶剤および水を含むインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液であって、フッ素系界面活性剤と下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とするインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
HOR1R3C−[CH2]n−CR2R4OH ・・・一般式(1)
(式中、R1およびR2は、独立に炭素原子3〜6個を有するアルキル基の群から選択され、R3およびR4は独立に、炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、そしてnは1〜6の整数である。) - 前記一般式(1)で表される化合物が、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール又は、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
- 前記フッ素系界面活性剤が、下記一般式(2)乃至(5)のいずれかで表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y ・・・一般式(2)
(式中nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。式中、Yは−CbH2b+1(bは11〜19の整数を示す)または−CH2CH(OH)CH2−CdF2d+1(dは2〜6の整数を示す))
CF3CF2(CF2CF2)j−CH2CH2O(CH2CH2O)kH ・・・一般式(3)
(式中、前記一般式(3)中、jは0〜10を表し、kは0〜40の整数を表す。jとkは同時に0にはならない)
(式中、前記一般式(4)のRfはパーフルオロアルキル基を表す。mは6〜25の整数を表し、n及びpは1〜4の整数を表す。)
(式中、前記一般式(5)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表す。X第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;トリエチルアミン、トリエタノールアミンを表し、Yは−COO−、−SO3 −、−SO4 −、−PO4 −を表す。qは1〜6の整数を表す。) - 前記一般式(2)で表される化合物が、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)21−C12H25、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)25−C12H25、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)23−CH2CH(OH)CH2−C4F9、
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)35−CH2CH(OH)CH2−C4F9、
又は
C4F9−CH2CH(OH)CH2O−(CH2CH2O)45−CH2CH(OH)CH2−C4F9
であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。 - 前記水溶性有機溶剤が、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30wt%以上の水溶性有機溶剤を少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液。
- 前記水溶性有機溶剤がグリセリンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録用洗浄液兼充填液を容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- インク供給路にインクが充填されたインクジェット記録装置に対し、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置用洗浄液兼充填液を通液して洗浄するインクジェット記録装置の洗浄方法。
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