JP5732729B2 - 配線板用樹脂組成物、および配線板用樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、配線板用樹脂組成物、および配線板用樹脂シートに関するものである。
近年、電子機器の高機能化、軽量化、小型化、薄型化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化が進んでいる。これらの電子機器に使用されるプリント配線板の回路配線は高密度化する傾向にあり、多層配線構造が採用されている。
これまで、多層プリント配線板の製造に一般的に適用されている工法にセミアディティブ法が用いられてきた。この工法では、樹脂表面をデスミア処理して表面を粗化し、パラジウム触媒を利用した無電解銅めっき層を表面に形成し、さらに該銅めっき層上に感光性レジストを形成して、露光・現像などのプロセスを経由してパターニングを行った後、電解銅めっきで回路パターンを形成し、最後にレジストを剥離し無電解銅めっき層をフラッシュエッチングで除去して微細配線を形成する方法である。(例えば、特許文献1参照)。この方法で微細配線を形成する場合、レジストの露光・現像精度や配線間のパラジウム触媒残渣によるめっき異常析出などの問題があり、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下で微細配線を形成することは困難であった。
そこで、L/Sが、10μm/10μm以下で微細配線を形成すべく、新たなプロセスとして絶縁層の表面に、直接溝を掘って回路形成する手法が考案された。これは、絶縁層との密着する面は、導体層の3面となり、良好な密着を得ることができる。例えば、スクライブ、プラズマ、またはレーザーなどによって絶縁層に溝を形成し、樹脂表面をデスミア処理して表面を粗化し、パラジウム触媒を利用した無電解銅めっき層を表面に形成後、電解銅めっきで導体を形成し、最後に溝部分以外の導体めっきをエッチングで除去して回路を形成する方法がある(例えば、特許文献2、3に記載)。しかしながら、絶縁層の溝側壁面の凹凸が大きくなると溝を形成する際の精度が低下し、L/Sが10μm/10μm以下の微細配線の形成が困難になるという、新たな問題があった。
特開平8−64930号公報 特開平10−4253号公報 特開2006−41029号公報
本発明は、プリント配線板の絶縁層に用いた場合に、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線形成するための溝加工性が優れ、当該絶縁層と形成された導体回路との密着性が高い絶縁層を形成する樹脂組成物、及び樹脂シートを提供する。
このような目的は、下記の本発明[1]〜[6]項により達成される。
[1]無機充填材と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記無機充填材は、2μm超過の粗粒が500ppm以下であり、前記熱硬化性樹脂は、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂及びノボラック型シアネート樹脂の組み合わせ、
ナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂および
ベンゾシクロブテン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂を含むことを特徴とする、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂組成物。
[2]前記無機充填材の平均粒径が、0.05μm以上、1.0μm以下である[1]項に記載の配線板用樹脂組成物。
[3]前記無機充填材の含有量が樹脂組成物中の10〜80重量%である[1]または[2]項に記載の配線板用樹脂組成物。
[4]前記無機充填材は、球状のシリカである[1]ないし[3]項のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
[5]樹脂組成物中に5〜12重量%の熱可塑性樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である、[1]ないし[4]項のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
[6][1]ないし[5]項のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物からなる樹脂層を基材上に形成してなる、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂シート。

本発明の配線板用樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いてなる配線板用樹脂シートは、プリント配線板の絶縁層に用いた場合に、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線を形成でき、形成された絶縁層と導体回路との密着性が高い。
本発明の配線板用樹脂シートである。 本発明の配線板用樹脂組成物からなる絶縁層と導体層とを含むプリント配線板を製造する方法の一例について示した模式図である。 実施例2において、レーザーにより絶縁層に溝を形成し、無電解めっき・電解めっきで導体形成した段階での断面形状写真である。 比較例1において、レーザーにより絶縁層に溝を形成し、無電解めっき・電解めっきで導体形成した段階での断面形状写真である。
以下に、本発明の配線板用樹脂組成物、及び当該樹脂組成物を用いた配線板用樹脂シートについて詳細に説明する。
本発明の配線板用樹脂組成物は、無機充填材と熱硬化性樹脂を含み、無機充填材が2μm超過の粗粒が500ppm以下である。
本発明の配線板用樹脂組成物は、無機充填材を含むことにより、多層プリント配線板やメタルコア配線板等の配線板の絶縁層に用いた場合に、低熱膨張、高弾性、低吸水となり、実装信頼性、反り量が向上する。そして、このような機能を果たす無機充填材について、2μm超過の粗粒が500ppm以下としたことから、当該樹脂組成物からなる絶縁層は、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線形成するための溝を加工する際に、加工性が優れ、溝内部の側壁面の凹凸が大きくなりすぎるのを抑制できるようになる。一方で、無機充填材を含みながら凹凸に悪影響を与える粗粒含有量を規定したことから、レーザー加工後の溝内部の側壁面の凹凸が適切になり、当該絶縁層と形成された導体回路との密着性が高い絶縁層を形成することができる。
また、導体回路と接する溝内部の絶縁層側壁面の凹凸は、溝内部の導体回路表面の凹凸に反映される。本発明によれば、溝内部に形成される導体回路の表面凹凸が小さくなり、1GHzを超える高周波数領域において、その表皮効果による伝送損失を低減でき、高周波対応の微細配線を形成できる。高周波信号になると導体回路の表面の信号伝播となるが、導体回路の表面凹凸が大きすぎると、伝送距離が伸びるため、伝達が遅くなったり、伝播中の損失が大きくなってしまう。
以上のことから、本発明の配線板用樹脂組成物を絶縁層に用いると、微細配線において導体回路と絶縁層の密着性を確保しながら、導体回路の表面凹凸が小さくなり、1GHzを超える高周波数領域において、その表皮効果による伝送損失を低減できる。
まず、本発明の樹脂組成物に用いられる無機充填材について、説明する。
上記無機充填材は、2μm超過の粗粒が500ppm以下である。これにより、配線板の絶縁層に用いた場合に、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線形成のための溝加工性や、微細なビアの加工性に優れ、形成された絶縁層と形成された導体回路との密着性に優れる。上記無機充填材は、更に、2μm超過の粗粒が300ppm以下、特に2μm超過の粗粒が5ppm以下であることが好ましい。
なお、2μm超過の粗粒が500ppm以下の無機充填材を得る方法は特に限定されない。例えば、2μm超過の粗粒を除去する方法として、有機溶剤、および/または水中のスラリー状態で、平均粒径の10倍以上の細孔径フィルターで粗粒を数回除去し、次いで2μmの細孔径フィルターで2μm超過の粗粒除去を繰り返して実施することにより得ることができる。
前記無機充填材の粗粒径、および含有量の測定は、粒子画像解析装置(シスメックス社製FPIA−3000S)により測定することができる。無機充填材を水中または有機溶剤中で超音波により分散させ、得られた画像から、2μm超過の無機充填材の個数を算出して測定することができる。具体的には、無機充填材の円相当径で2μm超過の粒子数と解析総粒子数で含有量は規定される。
中でも、上記無機充填材の最大粒径としては、2.0μm以下であることが好ましい。これにより、上記特定した樹脂層の表面粗さを実現しやすくなり、絶縁信頼性が高く、信号応答性に優れた微細配線形成が可能となる。また、特に限定はされないが、無機充填材の最大粒径は1.8μm以下がより好ましく、1.5μm以下が特に好ましい。これにより絶縁信頼性、信号応答性、ビアや溝内のめっき付き性や層間接続信頼性を高める作用を効果的に発現させることができる。
また、前記無機充填材の平均粒径は、0.05μm以上、1.0μm以下であることが好ましい。これにより、多層プリント配線板の絶縁信頼性が高くなり、信号応答性に優れた微細配線形成を実現しやすくなる。さらに好ましくは、無機充填材の平均粒径が、0.05μm以上、0.60μm以下であり、特に好ましくは0.05μm以上、0.40μm以下である。これにより絶縁信頼性、信号応答性、ビアや溝内のめっき付き性や層間接続信頼性を高める作用を効果的に発現させることができる。
前記無機充填材の平均粒径の測定は、レーザー回折散乱法により測定することができる。無機充填材を水中で超音波により分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA製、LA−500)により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。具体的には、無機充填材の平均粒子径はD50で規定される。
上記無機充填材の2μm超過の粗粒量が上記上限値を上回ると、無機充填材がレーザー加工を阻害し、絶縁層に溝を形成できない箇所が生じたり、ビア形状がいびつになったり樹脂にクラックが入るおそれがあり、粗粒フィラーの脱落による絶縁信頼性やめっき付き性が低下するおそれがある。さらにはレーザー光で溝を形成する時間が長くなるため、作業性が低下する可能性が生じる。また、レーザー加工後に溝側壁面に残留した無機充填材により、めっき後の導体層の表面凹凸が大きくなる。これにより、配線の精度が悪くなり、高密度プリント配線板においては絶縁信頼性を害する場合がある。さらには1GHzを超える高周波数領域においては表皮効果により信号応答性を害する場合がある。無機充填材の平均粒径が上記上限値を上回っても同様の恐れがある。
また、前記無機充填材の平均粒径が上記下限値未満となると、樹脂組成物を用いて形成された樹脂層の熱膨張係数・弾性率の物理的性質を低下させ、半導体素子搭載時の実装信頼性を害するおそれがあり、また樹脂組成物中の無機充填材の分散性の低下や、凝集の発生が生じたり、樹脂組成物のBステージ状態における柔軟性の低下による樹脂フィルム化が困難になるおそれがある。
前記無機充填材としては、特に限定されないが、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。これらの中でも特に、低熱膨張性、難燃性、及び弾性率に優れる点から、シリカが好ましく、溶融シリカがより好ましい。これらの中でもその形状は球状が好ましい。また、平均粒径が200nm以下のナノシリカを他の無機充填材と併用することも、レーザー加工により微細配線形成するための溝を加工する際に、加工性が優れ、溝内部の側壁面を微細に粗化できる点から好ましい。平均粒径が200nm以下のナノシリカを他の無機充填材と併用する場合には、平均粒径が200nm以下のナノシリカは、無機充填材中に、1.0〜25重量%とすることが好ましい。
本発明の樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、樹脂組成物中に10〜80重量%、更に20〜70重量%、特に30〜60重量%であることが、絶縁信頼性が高く、信号応答性に優れた微細配線形成が可能となる点から好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物に用いられる前記熱硬化性樹脂としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、トリアジン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびベンゾシクロブテン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂を含むことが、絶縁信頼性が高く、信号応答性に優れた微細配線を形成する点から好ましく、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂及び/又はシアネート樹脂とを含むことが好ましく、特にシアネート樹脂を含むことが好ましい。これにより、樹脂層の熱膨張係数を小さくすることができる。さらに、シアネート樹脂を含むと、樹脂層の電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機機械強度、レーザー加工性、特にエキシマレーザーやYAGレーザー加工性等にも優れる。
シアネート樹脂としては、具体的にはノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂、ビフェニルアラルキル型シアネート樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂が好ましい。ノボラック型シアネート樹脂は、樹脂層の熱膨張係数を小さくすることができ、樹脂層の機機械強度、電気特性(低誘電率、低誘電正接)にも優れる。また、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂、ビフェニルアラルキル型シアネート樹脂も低線膨張、低吸水性、機械強度に優れるため好ましく使うことができる。
前記シアネート樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量5.0×10〜4.5×10が好ましく、特に6.0×10〜3.0×10が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると多層プリント配線板の絶縁層の機械的強度が低下する場合があり、また、多層プリント配線板製造時に、絶縁層を形成する際、タック性が生じ、絶縁層の一部が欠ける場合がある。また、重量平均分子量が前記上現値を超えると硬化反応が速くなり、多層プリント配線板製造時に絶縁層成形不良が生じたり、絶縁層間ピール強度が低下したりする場合がある。尚、シアネート樹脂等の重量平均分子量は、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
また、特に限定されないが、シアネート樹脂はその誘導体も含め、1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると熱硬化性樹脂組成物の反応性、および低熱膨張性が低下したり、得られる製品の耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると、耐湿性が低下したりする場合がある。
前記熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)を用いる場合は、エポキシ樹脂(実質的にハロゲン原子を含まない)を併用することが好ましい。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えばビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、前記エポキシ樹脂を2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
これらエポキシ樹脂の中でも特にアリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、吸湿半田耐熱性および難燃性を向上させることができる。アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、ナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。また、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂も低線膨張、低吸水性、機械強度に優れるため好ましく使うことができる。
エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の1〜55重量%が好ましく、特に5〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であるとシアネート樹脂の反応性が低下したり、得られる製品の耐湿性が低下したりする場合があり、前記上限値を超えると低熱膨張性、耐熱性が低下する場合がある。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量5.0×10〜2.0×10が好ましく、特に8.0×10〜1.5×10が好ましい。重量平均分子量が前記下限値未満であると多層プリント配線板製造時に、絶縁層を形成する際、タック性が生じ、絶縁層の一部が欠ける場合があり、前記上限値を超えると多層プリント配線板の半田耐熱性が低下する場合がある。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
上記熱硬化性樹脂は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。通常は、硬化剤を組み合わせて熱硬化性樹脂として用いられる。
上記熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂層形成用樹脂組成物中の20〜90重量%、更に30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。含有量が下限値未満であると樹脂層を形成するのが困難となる場合があり、上限値を超えると樹脂層の強度が低下する場合がある。
前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、製膜性樹脂、硬化促進剤、カップリング剤、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の上記成分以外の添加物を添加しても良い。
前記樹脂組成物には、塗膜表面の均一性を向上し、デスミア処理時に均一に表面を粗化する点から、製膜性樹脂を含むことが好ましい。製膜性樹脂としては、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物に製膜性樹脂を用いる場合の含有量は、樹脂組成物中に1〜20重量%、更に5〜15重量%であることが、低熱膨張、および耐熱性の点から好ましい。
また、前記樹脂組成物には、上記無機充填材の均一分散性を向上し、レーザー加工により微細配線形成するための溝を加工する際に、溝内部の側壁面を均一に粗化できる点から、カップリング剤を含むことが好ましい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン化合物、その他として、3−メルカトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカトプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、及び3−メタクロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。熱硬化性樹脂との密着の点から、エポキシシラン、アミノシラン等が好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物にカップリング剤を用いる場合の含有量は、樹脂組成物中に0.1〜5重量%、更に0.25〜2.5重量%であることが、電気特性、および耐熱性の点から好ましい。
次に、本発明の配線板用樹脂シートについて説明する。
本発明に係る配線板用樹脂シートは、前記本発明に係る配線板用樹脂組成物よりなる樹脂層を基材に形成することにより得ることができる。
図1は、本発明の樹脂組成物を用いた樹脂シートの模式図である。
前記基材1は、特に限定されないが、高分子フィルム、または金属箔を用いることができる。高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅及び/又は銅系合金、アルミ及び/又はアルミ系合金、鉄及び/又は鉄系合金、銀及び/又は銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金等の金属箔などを用いることができる。
前記樹脂層2の厚さは、特に限定されないが、1〜60μmが好ましく、特に5〜40μmが好ましい。樹脂層の厚さは、絶縁信頼性を向上させる上で前記下限値以上が好ましく、多層プリント配線板の薄膜化を達成する上で前記上限値以下が好ましい。これより、プリント配線板を製造する際に、内層回路基板の導体層の凹凸を充填した絶縁層を成形することができるとともに、好適な絶縁層の厚みを確保することができる。
前記高分子フィルム、または金属箔の厚みとしては特に限定されないが、10〜70μmのものを用いると、樹脂シート30を製造する際の取り扱い性が良好であり好ましい。
なお、本発明の樹脂シート30を製造するにあたっては、絶縁層と接する基材面の凹凸は極力小さいものであることが好ましい。これにより、絶縁層の表面に均一な粗化を形成することができ、微細配線加工が容易となる。
本発明の樹脂シート30の製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶剤などに溶解、分散させて樹脂ワニスを調製して、各種コーター装置を用いて樹脂ワニスを基材上に塗工した後、これを乾燥する方法、スプレー装置を用いて、樹脂ワニスを基材上に噴霧塗工した後、これを乾燥する方法等が挙げられる。これらの中でも、コンマコーター、ダイコーターなどの各種コーター装置を用いて、樹脂ワニスを基材上に塗工した後、これを乾燥する方法が好ましい。これにより、ボイドがなく、均一な樹脂層の厚みを有する樹脂シートを効率よく製造することができる。
樹脂ワニスに用いられる溶媒は、樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。上記樹脂ワニス中の固形分含有量としては特に限定されないが、30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。
次に、本発明の樹脂シートを用いたプリント配線板の製造方法について説明する。
プリント配線板の製造方法について、溝加工を施して導体回路を作製する以外は、特に限定されない。
図2を用い、プリント配線板の製造方法の一例を示す。
ガラスエポキシ基材5上に導体層4を配した内層回路基板50に本発明の樹脂シート30を積層(図2(a))後、基材を剥離し絶縁層20を形成する(図2(b))。尚、基材が金属箔の場合は、エッチング除去、および続く溝加工前に加熱処理を適宜実施しても良い。
次に、レーザー光6を照射(図2(c))し、絶縁層20の表面に溝7を形成する(図2(d))。
前記レーザー光6がエキシマレーザー又はYAGレーザーであることが好ましい。これらのレーザーを使用することにより、精度・形状よく微細配線形成が可能となる。特に限定はされないが、エキシマレーザーのレーザー波長は、193nm、308nm、248nmであることがより好ましく、193nm、248nmであることが特に好ましい。これにより、精度良く、また形状よく微細配線形成できる作用を効果的に発現させることができる。YAGレーザーの波長は355nmであることが好ましい。他の波長では絶縁層20を構成する樹脂組成物がレーザー光6を吸収せず、微細配線が形成できない可能性がある。尚、溝7を形成後に、密着性向上のため、デスミア工程を適宜追加しても良い。
次に、無電解めっきによって絶縁層20の表面に無電解めっき層8を形成する工程(図2(e))、電解めっき層9を形成する工程(図2(f))、導体10の一部を除去することにより、樹脂層20の溝4の部分のみに導体層11を形成する工程(図2(g))、絶縁層20及び導体層11の上に別の絶縁層40を形成する工程(図2(h))によってプリント配線板を得ることができる。さらに、図2(c)から図2(h)を繰り返すことで多層プリント配線板を製造することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例1>
(1)ワニス作製
熱硬化性樹脂として、多官能エポキシ樹脂(ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂、DIC社製、HP−5000)13.4重量部、2官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828EL)13.4量部、フェノール樹脂(明和化成株式会社、MEH7851−4L)22.7重量部、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8100BH30、固形分30%)8.8重量部(固形分)、無機充填材として2μm超過の粗粒が5ppmの球状シリカ(トクヤマ社製、NSS−3N、平均粒径0.12μm)40.8重量部、イミダゾール化合物(四国化成工業社製、キュアゾール2E4MZ)0.3重量部、シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、A−187)0.6重量部、をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。尚、樹脂組成物の無機充填材の比率は、約41重量%であり、無機充填材の粗粒は予めメチルエチルケトン中に分散させた状態で、2μmの細孔径フィルターで積層型カートリッジフィルター(住友スリーエム株式会社製)を用いて最大粒子径2.0μmを上回る粒子を濾過分離し、上記粗粒量及び平均粒径となった球状シリカを用いた。粗粒量は粒子画像解析装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて確認した。
(2)樹脂シートの作製
上記で得られた樹脂ワニスを、厚さ37μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚さが40μmとなるように塗工し、これを160℃の乾燥装置で10分間乾燥して、樹脂シートを作製した。
(3)評価基板の作製
(3)−1 評価基板1
この樹脂シートをガラスエポキシ基材の両面回路が形成された内層回路基板に重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形し、PET基材剥離後、熱風乾燥装置にて180℃で45分間加熱硬化行い絶縁層を有する基板を得た。
なお、内層回路基板としては、下記のものを使用した。
・ガラスエポキシ基材:住友ベークライト社製 ELC−4585GS−B、厚さ0.4mm
・導体層:銅箔厚み18μm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm
次に、193nmの波長を有するエキシマレーザーにより絶縁層に狙い幅10μm、狙い深さ15μmの溝を形成し、得られた積層体を、60℃の膨潤液(アトテックジャパン株式会社製、スウェリングディップ セキュリガント P500)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン株式会社製、コンセントレート コンパクト CP)に20分浸漬後、中和してデスミア処理を行った。
(3)−2 評価基板2
次に前記積層体の絶縁層表面を脱脂し、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき層約0.2μmを形成させ、無電解銅めっき層を電極として電解銅めっき(奥野製薬工業株式会社製、トップルチナα)を3A/dm2、30分行って、絶縁層表から厚さ約5μmの高さの導体層を形成した。
(3)−3 評価基板3
最後にクイックエッチング処理(荏原電産社製 SACプロセス)を行うことにより導体層高さを、絶縁層表面と揃え、L/S=10/10の微細配線加工を施した。次に絶縁樹脂層を温度200℃、60分間で完全硬化した。最後に、同じ樹脂シートを両面に重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置にて200℃で60分間加熱硬化行った。
(3)−4 半導体装置
上記で得られた評価基板3を用いて、半導体装置を製造した。
半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.725mm)としては、半田バンプは直径120μm、150μmピッチ、Sn/Pb組成の共晶で形成され、回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、上記評価基板3上に半導体素子を加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、評価基板3と半導体素子との間に液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。
<実施例4、参考例2、3
実施例4、参考例2、3は、表1の配合表に従い、参考例1と同様にして、樹脂シート、及び評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
参考例5>
(1)ワニス作製
表1の配合表に従い、参考例1と同様に樹脂ワニスを作製した。
(2)樹脂シートの作製
ワニス作製後、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに代えて、極薄銅箔(三井金属鉱山社製、マイクロシンMT−Ex、3μm)を使用した以外は、参考例1と同様にして、極薄銅箔を有する樹脂シートを作製した。
(3)評価基板の作製
(3)−1 評価基板1
前記極薄銅箔を有する樹脂シートをガラスエポキシ基材の両面回路が形成された内層回路基板に重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形し、熱風乾燥装置にて180℃で45分間加熱硬化行った。
次に銅箔をエッチング除去し、評価基板1を得た。
(3)−2 評価基板2
参考例1と同様に前記評価基板1を用い、評価基板2を得た。
(3)−3 評価基板3
参考例1と同様に前記評価基板2を用い、評価基板3を得た。
(3)−4 半導体装置
参考例1と同様に前記評価基板3を用い、半導体装置を得た。
<実施例6>
実施例4で得られた樹脂シートを用いた絶縁層を有する基板に、355nmの波長を有するYAGレーザーにより絶縁層に幅10μm、深さ15μmの溝を形成した以外は実施例1と同様にして、評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
<実施例8、10〜15、17、参考例7、9、16
実施例8、10〜15、17、参考例7、9、16は、表1の配合表に従い、参考例1と同様に樹脂シート、及び評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
<比較例1>
汎用のエポキシ樹脂系樹脂シート(GX‐13、味の素株式会社製、無機充填材の最大粒径2.5μm、無機充填材の平均粒径0.5μm)を用いた以外は参考例1と同様にして、評価基板、並びに半導体装置を得た。尚、評価基板1では、170℃で60分、評価基板3では、180℃で60分の条件とした。また、無機充填材の粗粒量は、樹脂シートから樹脂を採り、溶剤に溶解した後、粒子画像解析装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて確認したところ、2μm超過の粗粒は8000ppmであった。
比較例2及び3は、表1の配合表に従い、参考例1と同様に樹脂シート、及び評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
前記実施例、参考例、並びに比較例で得られた樹脂シート、評価基板1、評価基板2、および評価基板3、並びに半導体装置を用い以下に示す評価を行った。得られた結果を表2に示す。
(1)デスミア後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)
算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601に準じて、Veeco社製WYKO NT1100を用いて測定を行った。尚、評価サンプルは評価基板1を用いた。
(2)導体層壁面の10点平均粗さ(Rz)
導体配線の断面から、JIS B0601に準じて、10点平均粗さ(Rz)を算出した。尚、評価サンプルは評価基板2を用いた。
(3)線間絶縁信頼性(HAST)
印加電圧3.3VDC、温度130℃、湿度85%の条件で、線間絶縁信頼性試験を行った。尚、評価サンプルは、評価基板3を用いた。
絶縁抵抗値が、1x10Ω未満となると不良と判断して試験を終了した。
各符号は、以下の通りである。
◎:良好 500時間以上
○:実質上問題なし 200時間以上500時間未満
×:使用不可 200時間未満
(4)熱膨張率(α1)
厚さ40μm、5mm×20mmのテストピースを切り出し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて5℃/分、5gの条件で、面方向(X方向)の線膨張係数を測定した。25℃から120℃までの平均線膨張係数をα1とした。尚、サンプルは得られた樹脂シートの両面に銅箔をラミネートし、200℃、1時間の条件で加熱硬化後、銅箔をエッチング除去したものを用いた。
(5)半導体装置の評価
前記で得られた半導体装置を、IPC/JEDECのJ−STD−20に準拠して、温度30℃、湿度60%、時間192時間の前処理を行い、その後、260℃に達するリフロー炉に3回通し、後処理として−50℃30分、125℃30分の温度サイクルを500サイクル実施した。評価は、前処理後、と温度サイクルを500サイクル後処理後の半導体素子の導通抵抗評価、および断面観察を実施した。評価結果は、表2に合わせて示す。
各符号は以下の通りである。
◎:500サイクル後処理後の導通抵抗異常なし、および断面観察での導体回路、ビアの異常なし。
○:500サイクル後処理後の導通抵抗が1〜10%未満の範囲で上がっているが、断面観察での導体回路、ビアの異常なし。
×:500サイクル後処理後の導通抵抗が、10%上がっている。または、導体回路と樹脂間、ビアと樹脂間のいずれかに、マイクロボイド、剥離クラック発生。
また、参考例2、及び比較例1については、レーザーにより絶縁層に溝を形成し、無電解めっき、及び電解めっきで導体形成した段階での断面形状写真を、それぞれ図3、図4に示した。
表2から明らかなように、実施例4、6、8、10〜15、17、参考例1〜3、5、7、9、16は、絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以上、0.45μm以下の良好な低粗化であり、かつ導体層壁面の10点平均荒さ(Rz)が5.0μm以下であった。このように絶縁層表面の表面粗さが最適化されたため、微細配線の絶縁信頼性に優れる。また、信号応答性に優れる良好な微細配線が形成できた。
それに対して、比較例1、および2は無機充填材の粒径が大きいのに加えて粗粒除去が十分でないため、導体層壁面の10点平均荒さ(Rz)が大きく導体配線間の距離が非常に近なっているため微細配線の絶縁信頼性に劣る。また、絶縁層表面のRaが大きく微細配線形成には不適格である。比較例3は、平均粒径は実施例と同様であるが、粗粒除去が十分でないため、導体層壁面の10点平均荒さ(Rz)が大きく導体配線間の距離が非常に近なっているため微細配線の絶縁信頼性に劣る。また、絶縁層表面のRaが大きく微細配線形成には不適格である。
本発明に従うと、プリント配線板の樹脂層表面に形成された高密着、高信頼性、高周波対応の微細配線を有するプリント配線板を得ることができるため、とりわけ、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線を有するプリント配線板に好適に用いることができる。
1 基材
2 樹脂層
4 導体層
5 ガラスエポキシ基材
6 レーザー光
7 溝
8 無電解めっき層
9 電解めっき層
10 導体
11 導体層
20 絶縁層
30 樹脂シート
40 別の絶縁層
50 内層回路基板

Claims (6)

  1. 無機充填材と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記無機充填材は、2μm超過の粗粒が500ppm以下であり、前記熱硬化性樹脂は、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂及びノボラック型シアネート樹脂の組み合わせ、
    ナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂および
    ベンゾシクロブテン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂を含むことを特徴とする、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂組成物。
  2. 前記無機充填材の平均粒径が、0.05μm以上、1.0μm以下である請求項1に記載の配線板用樹脂組成物。
  3. 前記無機充填材の含有量が樹脂組成物中の10〜80重量%である請求項1又は2に記載の配線板用樹脂組成物。
  4. 前記無機充填材は、球状のシリカである請求項1ないし3のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
  5. 樹脂組成物中に5〜12重量%の熱可塑性樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である、請求項1ないし4のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂層を基材上に形成してなる、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂シート。
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