JP5732729B2 - 配線板用樹脂組成物、および配線板用樹脂シート - Google Patents
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[1]無機充填材と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記無機充填材は、2μm超過の粗粒が500ppm以下であり、前記熱硬化性樹脂は、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂及びノボラック型シアネート樹脂の組み合わせ、
ナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂、および
ベンゾシクロブテン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂を含むことを特徴とする、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂組成物。
[2]前記無機充填材の平均粒径が、0.05μm以上、1.0μm以下である[1]項に記載の配線板用樹脂組成物。
[3]前記無機充填材の含有量が樹脂組成物中の10〜80重量%である[1]または[2]項に記載の配線板用樹脂組成物。
[4]前記無機充填材は、球状のシリカである[1]ないし[3]項のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
[5]樹脂組成物中に5〜12重量%の熱可塑性樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である、[1]ないし[4]項のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
[6][1]ないし[5]項のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物からなる樹脂層を基材上に形成してなる、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂シート。
本発明の配線板用樹脂組成物は、無機充填材を含むことにより、多層プリント配線板やメタルコア配線板等の配線板の絶縁層に用いた場合に、低熱膨張、高弾性、低吸水となり、実装信頼性、反り量が向上する。そして、このような機能を果たす無機充填材について、2μm超過の粗粒が500ppm以下としたことから、当該樹脂組成物からなる絶縁層は、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線形成するための溝を加工する際に、加工性が優れ、溝内部の側壁面の凹凸が大きくなりすぎるのを抑制できるようになる。一方で、無機充填材を含みながら凹凸に悪影響を与える粗粒含有量を規定したことから、レーザー加工後の溝内部の側壁面の凹凸が適切になり、当該絶縁層と形成された導体回路との密着性が高い絶縁層を形成することができる。
また、導体回路と接する溝内部の絶縁層側壁面の凹凸は、溝内部の導体回路表面の凹凸に反映される。本発明によれば、溝内部に形成される導体回路の表面凹凸が小さくなり、1GHzを超える高周波数領域において、その表皮効果による伝送損失を低減でき、高周波対応の微細配線を形成できる。高周波信号になると導体回路の表面の信号伝播となるが、導体回路の表面凹凸が大きすぎると、伝送距離が伸びるため、伝達が遅くなったり、伝播中の損失が大きくなってしまう。
以上のことから、本発明の配線板用樹脂組成物を絶縁層に用いると、微細配線において導体回路と絶縁層の密着性を確保しながら、導体回路の表面凹凸が小さくなり、1GHzを超える高周波数領域において、その表皮効果による伝送損失を低減できる。
上記無機充填材は、2μm超過の粗粒が500ppm以下である。これにより、配線板の絶縁層に用いた場合に、レーザー加工により、回路幅/回路間幅(L/S)が10μm/10μm以下の微細配線形成のための溝加工性や、微細なビアの加工性に優れ、形成された絶縁層と形成された導体回路との密着性に優れる。上記無機充填材は、更に、2μm超過の粗粒が300ppm以下、特に2μm超過の粗粒が5ppm以下であることが好ましい。
なお、2μm超過の粗粒が500ppm以下の無機充填材を得る方法は特に限定されない。例えば、2μm超過の粗粒を除去する方法として、有機溶剤、および/または水中のスラリー状態で、平均粒径の10倍以上の細孔径フィルターで粗粒を数回除去し、次いで2μmの細孔径フィルターで2μm超過の粗粒除去を繰り返して実施することにより得ることができる。
シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると熱硬化性樹脂組成物の反応性、および低熱膨張性が低下したり、得られる製品の耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると、耐湿性が低下したりする場合がある。
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用したり、前記エポキシ樹脂を2種類以上と、それらのプレポリマーを併用したりすることもできる。
上記熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂層形成用樹脂組成物中の20〜90重量%、更に30〜80重量%が好ましく、特に40〜70重量%が好ましい。含有量が下限値未満であると樹脂層を形成するのが困難となる場合があり、上限値を超えると樹脂層の強度が低下する場合がある。
本発明の樹脂組成物に製膜性樹脂を用いる場合の含有量は、樹脂組成物中に1〜20重量%、更に5〜15重量%であることが、低熱膨張、および耐熱性の点から好ましい。
本発明の樹脂組成物にカップリング剤を用いる場合の含有量は、樹脂組成物中に0.1〜5重量%、更に0.25〜2.5重量%であることが、電気特性、および耐熱性の点から好ましい。
本発明に係る配線板用樹脂シートは、前記本発明に係る配線板用樹脂組成物よりなる樹脂層を基材に形成することにより得ることができる。
なお、本発明の樹脂シート30を製造するにあたっては、絶縁層と接する基材面の凹凸は極力小さいものであることが好ましい。これにより、絶縁層の表面に均一な粗化を形成することができ、微細配線加工が容易となる。
プリント配線板の製造方法について、溝加工を施して導体回路を作製する以外は、特に限定されない。
前記レーザー光6がエキシマレーザー又はYAGレーザーであることが好ましい。これらのレーザーを使用することにより、精度・形状よく微細配線形成が可能となる。特に限定はされないが、エキシマレーザーのレーザー波長は、193nm、308nm、248nmであることがより好ましく、193nm、248nmであることが特に好ましい。これにより、精度良く、また形状よく微細配線形成できる作用を効果的に発現させることができる。YAGレーザーの波長は355nmであることが好ましい。他の波長では絶縁層20を構成する樹脂組成物がレーザー光6を吸収せず、微細配線が形成できない可能性がある。尚、溝7を形成後に、密着性向上のため、デスミア工程を適宜追加しても良い。
(1)ワニス作製
熱硬化性樹脂として、多官能エポキシ樹脂(ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂、DIC社製、HP−5000)13.4重量部、2官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828EL)13.4量部、フェノール樹脂(明和化成株式会社、MEH7851−4L)22.7重量部、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YX−8100BH30、固形分30%)8.8重量部(固形分)、無機充填材として2μm超過の粗粒が5ppmの球状シリカ(トクヤマ社製、NSS−3N、平均粒径0.12μm)40.8重量部、イミダゾール化合物(四国化成工業社製、キュアゾール2E4MZ)0.3重量部、シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、A−187)0.6重量部、をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。尚、樹脂組成物の無機充填材の比率は、約41重量%であり、無機充填材の粗粒は予めメチルエチルケトン中に分散させた状態で、2μmの細孔径フィルターで積層型カートリッジフィルター(住友スリーエム株式会社製)を用いて最大粒子径2.0μmを上回る粒子を濾過分離し、上記粗粒量及び平均粒径となった球状シリカを用いた。粗粒量は粒子画像解析装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて確認した。
上記で得られた樹脂ワニスを、厚さ37μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚さが40μmとなるように塗工し、これを160℃の乾燥装置で10分間乾燥して、樹脂シートを作製した。
(3)−1 評価基板1
この樹脂シートをガラスエポキシ基材の両面回路が形成された内層回路基板に重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形し、PET基材剥離後、熱風乾燥装置にて180℃で45分間加熱硬化行い絶縁層を有する基板を得た。
なお、内層回路基板としては、下記のものを使用した。
・ガラスエポキシ基材:住友ベークライト社製 ELC−4585GS−B、厚さ0.4mm
・導体層:銅箔厚み18μm、L/S=120/180μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm
次に前記積層体の絶縁層表面を脱脂し、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき層約0.2μmを形成させ、無電解銅めっき層を電極として電解銅めっき(奥野製薬工業株式会社製、トップルチナα)を3A/dm2、30分行って、絶縁層表から厚さ約5μmの高さの導体層を形成した。
最後にクイックエッチング処理(荏原電産社製 SACプロセス)を行うことにより導体層高さを、絶縁層表面と揃え、L/S=10/10の微細配線加工を施した。次に絶縁樹脂層を温度200℃、60分間で完全硬化した。最後に、同じ樹脂シートを両面に重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置にて200℃で60分間加熱硬化行った。
上記で得られた評価基板3を用いて、半導体装置を製造した。
半導体素子(TEGチップ、サイズ15mm×15mm、厚み0.725mm)としては、半田バンプは直径120μm、150μmピッチ、Sn/Pb組成の共晶で形成され、回路保護膜はポジ型感光性樹脂(住友ベークライト社製CRC−8300)で形成されたものを使用した。半導体装置の組み立ては、まず、半田バンプにフラックス材を転写法により均一に塗布し、次にフリップチップボンダー装置を用い、上記評価基板3上に半導体素子を加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、評価基板3と半導体素子との間に液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP−4152S)を充填し、液状封止樹脂を硬化させることで半導体装置を得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。
実施例4、参考例2、3は、表1の配合表に従い、参考例1と同様にして、樹脂シート、及び評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
(1)ワニス作製
表1の配合表に従い、参考例1と同様に樹脂ワニスを作製した。
(2)樹脂シートの作製
ワニス作製後、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに代えて、極薄銅箔(三井金属鉱山社製、マイクロシンMT−Ex、3μm)を使用した以外は、参考例1と同様にして、極薄銅箔を有する樹脂シートを作製した。
(3)−1 評価基板1
前記極薄銅箔を有する樹脂シートをガラスエポキシ基材の両面回路が形成された内層回路基板に重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度100℃、圧力1MPaにて真空加熱加圧成形し、熱風乾燥装置にて180℃で45分間加熱硬化行った。
次に銅箔をエッチング除去し、評価基板1を得た。
参考例1と同様に前記評価基板1を用い、評価基板2を得た。
参考例1と同様に前記評価基板2を用い、評価基板3を得た。
参考例1と同様に前記評価基板3を用い、半導体装置を得た。
実施例4で得られた樹脂シートを用いた絶縁層を有する基板に、355nmの波長を有するYAGレーザーにより絶縁層に幅10μm、深さ15μmの溝を形成した以外は実施例1と同様にして、評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
実施例8、10〜15、17、参考例7、9、16は、表1の配合表に従い、参考例1と同様に樹脂シート、及び評価基板1、2、および3、並びに半導体装置を得た。
汎用のエポキシ樹脂系樹脂シート(GX‐13、味の素株式会社製、無機充填材の最大粒径2.5μm、無機充填材の平均粒径0.5μm)を用いた以外は参考例1と同様にして、評価基板、並びに半導体装置を得た。尚、評価基板1では、170℃で60分、評価基板3では、180℃で60分の条件とした。また、無機充填材の粗粒量は、樹脂シートから樹脂を採り、溶剤に溶解した後、粒子画像解析装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて確認したところ、2μm超過の粗粒は8000ppmであった。
算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601に準じて、Veeco社製WYKO NT1100を用いて測定を行った。尚、評価サンプルは評価基板1を用いた。
導体配線の断面から、JIS B0601に準じて、10点平均粗さ(Rz)を算出した。尚、評価サンプルは評価基板2を用いた。
印加電圧3.3VDC、温度130℃、湿度85%の条件で、線間絶縁信頼性試験を行った。尚、評価サンプルは、評価基板3を用いた。
絶縁抵抗値が、1x108Ω未満となると不良と判断して試験を終了した。
各符号は、以下の通りである。
◎:良好 500時間以上
○:実質上問題なし 200時間以上500時間未満
×:使用不可 200時間未満
厚さ40μm、5mm×20mmのテストピースを切り出し、TMA装置(TAインスツルメント社製)を用いて5℃/分、5gの条件で、面方向(X方向)の線膨張係数を測定した。25℃から120℃までの平均線膨張係数をα1とした。尚、サンプルは得られた樹脂シートの両面に銅箔をラミネートし、200℃、1時間の条件で加熱硬化後、銅箔をエッチング除去したものを用いた。
前記で得られた半導体装置を、IPC/JEDECのJ−STD−20に準拠して、温度30℃、湿度60%、時間192時間の前処理を行い、その後、260℃に達するリフロー炉に3回通し、後処理として−50℃30分、125℃30分の温度サイクルを500サイクル実施した。評価は、前処理後、と温度サイクルを500サイクル後処理後の半導体素子の導通抵抗評価、および断面観察を実施した。評価結果は、表2に合わせて示す。
各符号は以下の通りである。
◎:500サイクル後処理後の導通抵抗異常なし、および断面観察での導体回路、ビアの異常なし。
○:500サイクル後処理後の導通抵抗が1〜10%未満の範囲で上がっているが、断面観察での導体回路、ビアの異常なし。
×:500サイクル後処理後の導通抵抗が、10%上がっている。または、導体回路と樹脂間、ビアと樹脂間のいずれかに、マイクロボイド、剥離クラック発生。
それに対して、比較例1、および2は無機充填材の粒径が大きいのに加えて粗粒除去が十分でないため、導体層壁面の10点平均荒さ(Rz)が大きく導体配線間の距離が非常に近なっているため微細配線の絶縁信頼性に劣る。また、絶縁層表面のRaが大きく微細配線形成には不適格である。比較例3は、平均粒径は実施例と同様であるが、粗粒除去が十分でないため、導体層壁面の10点平均荒さ(Rz)が大きく導体配線間の距離が非常に近なっているため微細配線の絶縁信頼性に劣る。また、絶縁層表面のRaが大きく微細配線形成には不適格である。
2 樹脂層
4 導体層
5 ガラスエポキシ基材
6 レーザー光
7 溝
8 無電解めっき層
9 電解めっき層
10 導体
11 導体層
20 絶縁層
30 樹脂シート
40 別の絶縁層
50 内層回路基板
Claims (6)
- 無機充填材と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記無機充填材は、2μm超過の粗粒が500ppm以下であり、前記熱硬化性樹脂は、ナフタレン変性クレゾールノボラックエポキシ樹脂及びノボラック型シアネート樹脂の組み合わせ、
ナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂、および
ベンゾシクロブテン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂を含むことを特徴とする、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂組成物。 - 前記無機充填材の平均粒径が、0.05μm以上、1.0μm以下である請求項1に記載の配線板用樹脂組成物。
- 前記無機充填材の含有量が樹脂組成物中の10〜80重量%である請求項1又は2に記載の配線板用樹脂組成物。
- 前記無機充填材は、球状のシリカである請求項1ないし3のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
- 樹脂組成物中に5〜12重量%の熱可塑性樹脂を含み、前記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である、請求項1ないし4のいずれかに記載の配線板用樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂層を基材上に形成してなる、表面にレーザー加工により直接溝を掘って回路形成する絶縁層に用いられる配線板用樹脂シート。
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