JP5538854B2 - 液体現像剤の製造方法及び液体現像剤 - Google Patents
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また、コアセルベーション法とは、着色剤と、樹脂を溶解する溶剤と、樹脂を溶解しない電気絶縁性分散媒体との混合液から、溶剤を除去することにより、混合液中に溶解状態で含まれていた樹脂を着色剤を内包する様に析出させてなる着色樹脂粒子を、電気絶縁性分散媒体中に分散させる方法である。この様な方法から得られる液体現像剤は、湿式粉砕法により得られるものより着色樹脂粒子の形状が球形に近く、粒子径も均一となるため、電気泳動性も良好になると考えられている。
その中で、トナー粒子の泳動性向上のために以下の方法が知られている。
しかしながら、末端に極性基を有する分散剤を用いた場合は、極性基成分に由来する分散媒体の絶縁性の低下やトナー粒子の帯電特性の悪化をまねき、良好な画像品質が得られないという新たな問題を生じさせる。
このように、従来の製造方法により得られる液体現像剤においては、液体現像剤の絶縁性や泳動性の維持と顔料やトナー粒子の分散性を両立する方法は未だ見出されていないというのが現状である。
(1)少なくとも、顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂からなる着色樹脂粒子を絶縁性炭化水素有機溶媒中に分散させて着色樹脂粒子分散物を製造する第一の工程、及び、第一の工程で得られた着色樹脂粒子分散物100質量部と、ケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体1質量部以上とを接触させる第二の工程を有することを特徴とする液体現像剤の製造方法に関する。
さらに、(2)上記第二の工程は、着色樹脂粒子分散物中に粒子状のケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウムを添加撹拌する工程である(1)記載の液体現像剤の製造方法に関する。
さらに、(3)上記第二の工程の後、さらに着色樹脂粒子分散物と、ケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体とを分離する第三の工程を有する(1)又は(2)記載の液体現像剤の製造方法に関する。
さらに、(4)第二の工程において、着色樹脂粒子分散物100質量部中に、粒子状のケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体1質量部以上を添加撹拌して接触させ、第三の工程において、濾過により着色樹脂粒子分散物とケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体とを分離する(3)に記載の液体現像剤の製造方法に関する。
さらに、(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする液体現像剤に関する。
本発明の液体現像剤の製造方法は、少なくとも顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂からなる着色樹脂粒子を絶縁性炭化水素有機溶媒(電気絶縁性分散媒体)中に分散させて着色樹脂粒子分散物を製造する第一の工程を有する。
上記顔料としては、無機顔料、有機顔料が使用できる。
上記無機顔料としては、例えば、アセチレンブラック、黒鉛、ベンガラ、黄鉛、群青、カーボンブラックなどが好適である。
また、上記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料などが好適である。
本発明において、これら顔料の含有量は特に限定されるものではないが、画像濃度の点から、最終的な液体現像剤中に2〜20質量%となることが好ましい。
上記顔料分散剤の具体例としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤などの界面活性剤およびその誘導体、ポリウレタン系樹脂、(ポリ)アミン化合物のアミノ基及び/又はイミノ基にポリエステルが導入された(ポリ)アミン誘導体、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、またはポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO03/07652号)、塩基性窒素含有基を有し、かつ側鎖にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、またはポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/000950号)、顔料吸着部を有する側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/003085号)等の高分子型の顔料分散樹脂等を挙げることができる。
また、上記顔料分散剤として市販されているものとしては、例えば、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製)、EFKA−47(EFKA社製)、アジスパーPB−821、817(味の素社製)、ソルスパーズ24000(ゼネカ社製)などが挙げられる。
本発明では、必要に応じてこれら顔料分散剤を単独又は2種以上を併用することができる。
その中でも特に、上記絶縁性炭化水素有機溶媒としては、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系化合物、イソパラフィン系化合物、シクロパラフィン系化合物、および、これらの2種またはそれ以上の混合物等の高沸点(沸点が150℃以上)パラフィン系溶剤が好ましい。
具体的に、これらの市販品としては、例えば、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD130、エクソールD140(以上いずれもエクソン化学(株)製)、シェルゾール71(シェル石油化学(株)製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(以上いずれも出光石油化学(株)製)、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55、モレスコホワイトP−80(以上いずれも(株)松村石油研究所製の流動パラフィン)、流動パラフィンNo.40−S、流動パラフィンNo.55−S(以上いずれも中央化成(株)製の流動パラフィン)などが挙げられる。
上記バインダー樹脂可溶化有機溶媒としては、使用するバインダー樹脂に合わせて適宜選択されるが、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類を挙げることができ、更に、樹脂の溶解能力がある場合には、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類であっても良い。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このタイプの荷電制御剤としては、例えば、アマニ油、大豆油などの油脂;アルキッド樹脂、ハロゲン化重合体、芳香族ポリカルボン酸、酸性基含有水溶性染料、芳香族ポリアミンの酸化縮合物などが好適である。
このタイプの荷電制御剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸亜鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸ニッケル、ドデシル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸コバルトなどの金属石鹸類;石油系スルホン酸金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩などのスルホン酸金属塩類;レシチンなどの燐脂質;t−ブチルサリチル酸金属錯体などのサリチル酸金属塩類;ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミド樹脂、スルホン酸含有樹脂、ヒドロキシ安息香酸誘導体などが好適である。
また、その他にも、上記着色樹脂分散物は、必要に応じて他の添加剤を配合することができる。
上記粒子分散剤は、絶縁性炭化水素有機溶媒中に着色樹脂粒子を分散させるものであり、例えば、ポリアミン化合物とヒドロキシカルボン酸自己縮合物との反応物が挙げられる。
コアセルベーション法を用いて液体現像剤を製造する際に、この特定の粒子分散剤と後述する酸基含有樹脂とを併用した存在下で着色樹脂粒子を絶縁性炭化水素有機溶媒中に分散させることにより、媒体中での着色樹脂粒子の分散安定性を高めることが可能となる。また、着色樹脂粒子の帯電特性や泳動性を向上させることもできる。
また、上記ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、シクロペンタンジアミン等の脂環式ポリアミン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン、キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン、ヒドラジン及びその誘導体等も挙げられる。なかでも、ポリアリルアミン等のポリアリルアミン系重合物が好ましい。
本発明において、これら粒子分散剤は1種又は2種以上使用することができ、その含有量は液体現像剤中に0.5〜3.0質量%であることが好ましい。
上記コアセルベーション法については、例えば、特開2003−241439号公報、再公表公報(WO2007/000974号、WO2007/000975号)に詳細が記載されている。また、上記湿式粉砕法については、例えば、再公表公報(WO2006/126566号、WO2007/108485号)に詳細が記載されている。本発明においては、この様な公知の方法が利用可能である。
上記着色樹脂粒子分散物と接触させるために利用するケイ酸アルミニウムは、一般的な構造式としてAl2(SiO3)3、Al2O3・nSiO2・mH2Oで表わされるような化合物である。
このようなケイ酸アルミニウムは、天然物でも合成物でも使用することができる。上記ケイ酸アルミニウムの市販品としては、例えば、キョーワード700シリーズ(協和化学工業(株)製)等を使用することができる。
上記着色樹脂粒子分散物と接触させるために利用する酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体は、MgxAlyOzで表わされるような化合物である。上記酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固容体の市販品としては、例えば、キョーワード2000シリーズ(協和化学工業(株)製)等を使用することができる。
当該アルミニウム含有化合物は、上記の成分を吸着する能力が極めて高いことを特徴とするもので、着色樹脂粒子分散物と接触することで十分な機能が果たされる。したがって、着色樹脂粒子分散物と当該アルミニウム含有化合物とを接触させる方法としては、上記着色樹脂粒子分散物の全体がアルミニウム含有化合物と接触できる方法であればいずれの方法でもよい。
また、板状や網状の二次元的な形状で特に比表面積の大きなアルミニウム含有化合物、あるいは、壁面や底面の少なくとも表面が当該アルミニウム含有化合物からなる容器を使用して、着色樹脂粒子分散物と接触させる方法でもよい。
このような場合、本発明の液体現像剤の製造方法は、上記第二の工程の後、さらに着色樹脂粒子分散物と、アルミニウム含有化合物とを分離する第三の工程を必ずしも設けなくてよいが、より完全に影響を排除するためには、第三の工程を設けた方が好ましい。
上記第三の工程を設けた場合、着色樹脂粒子分散物と、アルミニウム含有化合物との分離方法としては、例えば、メッシュタイプ、メンブランタイプ、ファイバータイプ等の各種フィルターによる濾過が簡単で好ましい。
なお、帯電特性などに悪影響を及ぼす成分をすべて吸着するには、その分の当該アルミニウム含有化合物の接触面積が必要である。そして、当該アルミニウム含有化合物粒子の接触面積は、粒子の表面積とトータル質量(厳密にいえば個数)に依存する。
そこで、着色樹脂粒子分散物と当該アルミニウム含有化合物とを分離する手段として、簡単な濾過が可能となるような当該アルミニウム含有化合物の粒子径としたとき、その添加量が上記範囲となることが特に好適となる。ちなみに、「当該アルミニウム含有化合物が1質量部以上となる量」とは、ケイ酸アルミニウムと酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体の、どちらか一方を単独で使用する場合は単独で1質量部以上となる量、両方を併用する場合は両方の合計で1質量部以上となる量を言う。
このような本発明の液体現像剤の製造方法によって得られた液体現像剤もまた、本発明の一つである。
ピグメントレッド57−1
<顔料分散剤>
アジスパーPB817(ポリアリルアミンと12−ヒドロキシステアリン酸自己縮合物との反応物、味の素社製)
<バインダー樹脂>
FC―1565(ポリエステル樹脂/三菱レーヨン社製)
<バインダー樹脂可溶性有機溶媒(溶媒A)>
テトラヒドロフラン(THF)
<絶縁性炭化水素有機溶媒>
モレスコホワイトP−40(松村石油化学研究所製)
<ケイ酸アルミニウム>
キョーワード700SN(協和化学工業社製)
<酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体>
キョーワード2000(協和化学工業社製)
<ハイドロタルサイト>
キョーワード500SN(協和化学工業社製)
<ケイ酸マグネシウム>
キョーワード600SN(協和化学工業社製)
<モンモリロナイト>
クニピアF(クニミネ工業社製)
上記顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂、溶媒Aおよび絶縁性炭化水素有機溶媒を使用しコアセルベーション法にて着色樹脂粒子分散物を製造した。
以下のような評価方法により実施例1〜6及び比較例1〜7の各液体現像剤を評価し、その結果を表1に示す。
各液体現像剤の体積抵抗率をアドバンス社製R834により測定し、その実測値を示した。
泳動セルを用いて粒子の帯電性及び泳動性を目視にて観察した。
(条件:電極間距離:80μm、印加電圧:300V)
(1)帯電性
泳動セルに電圧をかけた時に、
+:−電極側に90%以上のトナー粒子が泳動する
−:+電極側に90%以上のトナー粒子が泳動する
±:上記以外の現象が起こり、+か−かの帯電が一定しない。
(2)泳動性
○:粒子がスムーズに泳動する
△:粒子の泳動速度がやや遅い
×:粒子の泳動速度が遅い
Claims (5)
- 少なくとも、顔料、顔料分散剤、バインダー樹脂からなる着色樹脂粒子を絶縁性炭化水素有機溶媒中に分散させて着色樹脂粒子分散物を製造する第一の工程、及び、
前記第一の工程で得られた着色樹脂粒子分散物100質量部と、ケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体1質量部以上とを接触させる第二の工程を有する
ことを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 第二の工程は、着色樹脂粒子分散物中に粒子状のケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウムを添加撹拌する工程である請求項1記載の液体現像剤の製造方法。
- 第二の工程の後、さらに着色樹脂粒子分散物と、ケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体とを分離する第三の工程を有する請求項1又は2記載の液体現像剤の製造方法。
- 第二の工程において、着色樹脂粒子分散物100質量部中に、粒子状のケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体1質量部以上を添加撹拌して接触させ、
第三の工程において、濾過により着色樹脂粒子分散物と、ケイ酸アルミニウム及び/又は酸化マグネシウム・酸化アルミニウム固溶体とを分離する請求項3に記載の液体現像剤の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする液体現像剤。
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