JP5503192B2 - 生理活性物質含有粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬の造粒法、すなわち生理活性物質含有粒子を製造する方法に関する。
生理活性物質によっては、水分、液性、温度や他の材料と配合・接触することで化学的に不安定となり、分解、失活等が生じる場合がある(このような生理活性物質を、以下「不安定物質」という。)。このように、ある条件下で不安定となる物質の粒子加工(造粒・コーティング、打錠等)に際し、その安定性に影響を及ぼさない条件の選定に多大の時間、労力、費用を要する。また、その加工粒子の品質を安定に保つためには、更に複雑な製造方法が要求され、その要求を満たすために造粒物の生産性は極めて悪くなり、加工費も高くなる。
従来技術の具体例としては、化学的不安定物質安定化剤を配合した核物質を定法により製造する方法が開示されている(特許文献1及び2)。
また、後の工程のコーティングに適した核物質の製造に当たり、不安定薬物の品質劣化を防止するために、他の粉粒体を配合しないで不安定物質のみ、又は安定化剤粉末を配合して流動させ、ここに当該不安定物質を溶解した水溶液をスプレー添加することが提案されている(特許文献3)。しかし、不安定物質が水に不安定な場合は、水に溶解すると物質の不安定化が進行するので不都合である。
また、原料中の生理活性物質の配合割合が少ない。例えば、200mg錠剤中の薬物含量5〜30mgで、添加剤を錠剤全重量の約65%を配合した造粒操作が行われている。しかし、添加剤を含む粒子の加工は、その処理量も多くなり膜剤、結合剤も多く必要であり、さらには処理装置も大型のものが必要となる。
安定化処理の必要な粒子は、主薬である生理活性物質であり、高含量で処理を行った後、その後工程において、他の添加剤を配合して最終処理した方が合理的である。
特許文献4では、アセトアミノフェン800gに対して、HPC−Lを固形分で約52g(約6.5重量%)使用して一次造粒し、得られた造粒物の一部(300g)に対して、HPC−L溶液371.3gでアセトアミノフェン造粒物の表面を湿潤させ、ここにアセトアミノフェン粉末300gを略定量的に供給して一次造粒品の表面に付着させている。しかし、核粒子(一次造粒品)の湿潤状態の制御はやや困難で、乾燥気味では付着効率が悪く、過剰湿潤は核粒子(一次造粒品)相互の付着・凝集による粗大粒子の生成につながる。
原料粉末によっては結合剤液に分散・懸濁しても良いと記述しているが、本発明者らが当該実施例の追試をしたところ、得られた造粒物は、核粒子(一次造粒品)と原料粒子の凝集体であり、幾何標準偏差(非特許文献1)[「D(84.1)/D(50)」:σg]は、1.4程度よりも大きいことが判った。すなわち、粒子径が75ミクロン以下の微粒子や、300ミクロンよりも大きい粒子もあり、さらに原料粒子由来の凹凸も認められた。
また、特許文献5には、噴流流動層の実施例等に記述されているが、被覆層の厚みは数ミクロンと薄く、苦味マスク(口腔内で苦味を感じないためには60sec程度の溶出遅延)では有効であるが、酸や水に極めて不安定な物質、例えばラベプラゾールナトリウムは、胃内での滞留中(一般的に2時間と云われている)に耐酸性を保持しなければ失活する。このために粒子表面に腸溶性膜剤を被覆するが、水系の腸溶性膜剤は酸性であるため、被覆操作中に浸透しラベプラゾールナトリウムが失活するので、腸溶性膜剤との中間に、緻密で均質なバリア層の形成が必須である。さらに、表面に凹凸があると被膜に薄い部分ができ耐酸性が不安定になるので、凹凸の少ない滑らかな表面の核粒子が求められる。
特公平7−68125号公報 特開2000−355540号公報 特開2006−131548号公報 特許第3354172号公報(高薬物含量粉体の重質造粒) 特許第3352059号公報
粉体工学概論、日本粉体工業技術協会編集、1995年4月10日発行、第3〜5頁(1.1.3粒度分布) 鈴木道隆、粉体工学会誌、第27巻、693−699頁(1990)
本発明の課題は、化学的に不安定な生理活性物質を、製剤操作上簡便な方法で、長期に亘り安定に保持できる粒状物を製造する方法を提供すること、さらには、その方法により、生理活性物質の溶出速度の制御が容易な固形製剤用造粒物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、噴流流動状態にある安定化剤もしく添加剤の粒子に、安定化剤の水溶液中に不安定物質を溶解して噴霧することにより、安定な造粒物を得ることができることを見い出した。
また、上記造粒物の製造方法により製造した造粒物の幾何標準偏差が1.0〜1.4の範囲にあり、フラクタル次元(非特許文献2)が1.0〜1.2の範囲にあるものを圧縮成型すると、溶出速度を制御しやすい錠剤が得られることを見出した。
そこで、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
(1)添加剤からなるシード粒子を噴流流動層造粒装置に仕込み、流動状態を保ちながら、化学的に不安定な生理活性物質を安定化剤の水溶液に溶解もしくは懸濁させた液を噴霧する造粒物の製造法において、噴流流動層装置に仕込まれたシード粒子の1重量部に対して、生理活性物質及び安定化剤を2〜18重量部含有する液を、噴流流動層造粒装置のノズル先端の圧縮ガス体の吐出速度が300m/秒以上、かつ吐出液速が1m/秒以下の均質で微小な液滴として噴霧する、平均粒子径が150ミクロン以下で幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.5である造粒物の製造方法。
(2)(1)の方法により得られた造粒物の表面に、水系の結合剤もしくは高分子膜剤液中に微粒子を配合した液を用い、噴流流動層造粒装置で単層もしくは複数層のバリア層被膜を施すことにより、幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.5の粒子とする造粒物の製造方法。
(3)(1)又は(2)に記載の方法により得られた造粒物の表面に、可塑剤を配合しない溶出制御膜剤液に一種もしくは複数種の水系高分子膜剤を配合した液を噴霧添加することにより、平均粒子径が200ミクロン以下で、かつ、幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.4であり、フラクタル次元が1.0〜1.2の表面が滑らかな粒子とする造粒物の製造方法。
(4)安定化剤がアルカリ性物質であり、化学的に不安定な生理活性物質が中性又は酸性下で不安定な物質である(1)〜()のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(5)安定化剤がアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物又は炭酸塩であり、化学的に不安定な生理活性物質がプロトン・ポンプ阻害剤である(1)〜()のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(6)安定化剤が水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は水酸化カリウムであり、化学的に不安定な生理活性物質が、ラベプラゾールナトリウムである(1)〜()のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(7)安定化剤の水溶液中の安定化剤量が造粒物に対して0.01〜10重量%である(1)〜()のいずれかに記載の造粒物の製造法。
(8)安定化剤の水溶液中の安定化剤の濃度が0.1〜33重量%である(1)〜(7)のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(9)シード粒子がその表面を安定化剤によって安定化処理を施されたものである(1)〜()のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(10)シード粒子が、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、部分アルファー化澱粉、D−マンニトール、白糖、ショ糖、ブドウ糖、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、カルボシキメチルスターチナトリウム、クロスポビドン(cr−PVP)または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)の粒子である(1)〜()のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(11)水系高分子膜剤の高分子化合物がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、アミノアルキルメタクリレーマー(E,RL、RS)、メタクリル酸コポリマー(L,LD、S)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メトローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びエチルセルロース化合物からなる群から選ばれた一種又は二種以上である()〜(10)のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載の造粒物の製造方法により得られた造粒物を他の添加剤と混合して打錠する通常の錠剤もしくは口腔内崩壊錠の製造方法。
本発明によれば、たとえば平均粒子径200ミクロン以下の化学的に不安定な生理活性物質を、製剤操作上簡便な方法で、長期に亘り安定に保持できる粒状物を製造する方法を提供することができる。また、本発明の方法により、生理活性物質の溶出速度の制御が容易な固形製剤用造粒物を提供することができる。
本発明の実施例1−Cで製造した造粒物の走査型電子顕微鏡写真(倍率200倍)である。 本発明の実施例1−Dで製造した造粒物の走査型電子顕微鏡写真(倍率200倍)である。 本発明の比較例1−Aで製造した造粒物の走査型電子顕微鏡写真(倍率200倍)である。 本発明の比較例1−Bで製造した造粒物の走査型電子顕微鏡写真(倍率200倍)である。
本発明の実施に当たり、噴流流動層装置に仕込まれた粒子の粒子径や粒子物性に応じた適正な流動状態(特に過大風量は避ける)を確認しながら、シードとなる粉体物性(粒子径・形状・溶解度等)に応じたスプレーミスト径・液の粘度等を選定する。ノズル先端のガス体(一般的に圧縮空気)の吐出速度が300m/秒以上で、なおかつ、吐出液速が1m/秒以下とすることで大きめの粒子の付着凝集は抑制しながら、微粒域粒子の付着凝集を促進させる操作(主な要因はミスト径の調節)することで、造粒物の幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.0〜1.5、より好ましくは1.1〜1.5の範囲となるようにする。
すなわち、噴流流動する粒子サイズに対して、付着した結合剤液滴径が大きいと、近傍にある粒子と付着するが、このことは、粒子の運動エネルギーに起因する分離力とスプレー液滴による結合力とのバランスで決まる。すなわち、分離力結合力より大きいと、粒子の付着・凝集は抑制され、分離力結合力より小さいと、粒子は付着・凝集する。しかし、同じ液滴径であっても、初期の粒子サイズが小さい時には、付着・凝集に寄与しても、粒子径が有る大きさまで成長すると、質量の増加に伴い分離力が大きくなるので、粒子成長は抑制され、この結果粒度分布のシャープな造粒物が得られる。
このようにスプレーする液の粘度や付着力にもよるが、液滴径を制御することで、幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]を制御することができることを初めて見いだした。
本発明において、バリア層を構成する液に配合する微粒子の平均粒子径は、造粒物の平均粒子径の約1/10程度が好ましい。微粒子を配合することにより、造粒物表面の凹凸が少なくなり滑らかな粒子が得られる。これをフラクタル次元で表すと、1.0〜1.2の滑らかな粒子表面の造粒物が得られる。
粒子の表面に凹凸があると、バリア性や溶出制御に必要な膜剤が多く必要となる。これは、凸部の膜厚は薄くなるので溶出が早くなる、凸部の膜厚を確保するためには、凹部では過剰に添加することになる。このためには表面状態の滑らかな核粒子が重要となる。
そして、本発明のより好ましい造粒物は、幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.5の範囲内であり、かつ、フラクタル次元が1.0〜1.2の範囲内のものである。
本発明における安定化剤とは、化学的に一定の条件下では不安定な物質を安定な状態に保持しうる物質で、例えば中性又は酸性領域では不安定な物質に対してアルカリ性物質、アルカリに不安定な物質に対しては酸性物質を挙げることができる。
アルカリ性物質としては、たとえばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物又は炭酸塩が挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は水酸化カリウム等が挙げられる。好ましいものは、水酸化ナトリウムである。
安定化剤の水溶液又は水懸濁液における安定化剤の使用量は、造粒物の全重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは、0.05〜7.5重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。安定化剤の水溶液又は水懸濁液中の安定化剤の濃度は、0.1〜33重量%、好ましくは0.5〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%である。
化学的不安定物質が中性又は酸性下で不安定である場合、その中性又は酸性領域で不安定な物質としては、例えばプロトン・ポンプ阻害剤が挙げられ、その代表的なものとしては、ラベプラゾールナトリウムが挙げられる。
安定化剤の水溶液又は水懸濁液に不安定物質を溶解又は懸濁した液における化学的不安定物質の量は、添加剤粒子に、安定化剤の水溶液又は水懸濁液に不安定物質を溶解又は懸濁させた液を噴霧し得られた造粒物の全重量に対して0.5〜95重量%、好ましくは、1〜90重量%、より好ましくは5〜85重量%である。
噴流流動層造粒装置は流動層本体、整流板、送風機、吸気フィルター、熱交換機、スプレー装置、集塵装置、排風機等から構成されている。送風ファンから供給される空気は吸気フィルターで清浄化され、熱交換機で加温されて整流板を通じて装置本体に送入されるが、この熱風は、装置に仕込まれた添加剤からなるシード粒子を懸濁状態、つまり流動状態に保ち、安定化剤の水溶液に不安定物質を溶解した溶液を結合剤として噴霧することにより、ミストはシード粒子の表面に付着し、その表面を改質しながら、この結合剤ミストを介して付着・凝集を繰り返し次第に粒子成長(造粒・コーティング)が進行する。
シードとなる添加剤としては、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、部分アルファー化澱粉、D−マンニトール、白糖、ショ糖、ブドウ糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム又はカルボシキメチルスターチナトリウム等の賦形剤が挙げられる。これら添加剤はその一部、またはすべてを結合剤溶液中に溶解もしくは分散・懸濁しても良い。さらにこれら添加剤は、その表面に安定化剤溶液を噴霧するなどの処理方法で安定化処理(表面改質)した後使用するのが好ましい。
本発明の造粒法においては、安定化剤粉末や添加剤は造粒の際のシードとして用いられる。その場合の粒度は、平均粒子径が0.1〜50μm程度である。
本発明において使用される水系の高分子膜剤の高分子化合物としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー等を挙げることができ、なかでもヒドロキシプロピルメチルセルロースやポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーが好ましい。さらに、タルク等の添加剤を配合してもよい。
これらの水系高分子膜剤の使用量は、錠剤全重量の1〜50重量%が好ましく、より好ましくは、3〜30重量%である。
このバリア層被覆、すなわち中間層被覆に使用することができる製剤上の添加物としては、通常使用されている賦形剤、崩壊剤、結合剤、矯味矯臭剤、着色剤、等張化剤等その他の添加剤が適宜使用できる。

溶出制御のための膜剤としては、たとえばアミノアルキルメタクリレートコポリマー(E,RS)、メタクリル酸コポリマー(L,LD、S)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メトローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、及びエチルセルロース系水分散液等の公知の溶出制御膜剤を挙げることができる。これらの膜剤は1種もしくは複数配合してもよい。
崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化澱粉等を挙げることができる。
粒子表面を安定化剤水溶液ミストで被覆・隠蔽することで、他の添加剤などの添加剤と配合してもその分解・変質を防止することができる。より効果を高めるために安定化剤を配合した中間層被覆を施すことで、大気中の水分の吸着を抑制することができる。次に得られた粒子表面に溶出制御のための膜剤、たとえば腸溶性被膜を施すことで、腸溶性膜剤と薬物が直接に接触することによる不安定物質の変質・失活を防止することもできる。腸溶性膜剤としては、たとえばメタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル・セルロースフタレートなど、公知のものが挙げられる。
なお、腸溶性膜剤のpH調整のために安定化剤を添加することもある。
A)平均粒子径:31.0μmのケイ酸カルシウム56.0gを噴流流動層造粒機(パウレック社製:MP−01−SPC型)に投入し、水酸化ナトリウム80.0gを精製水2160gに溶解した液に、ラベプラゾールナトリウム800.0gを溶解した液(固形分濃度:28.9重量%)をスプレーし、造粒物を得た。
B:バリア層1)得られた造粒品468.0gを噴流流動層造粒機に投入し、水酸化ナトリウム0.24g及びHPC−L25.2gを精製水1430.0gに溶解した液にタルク75.52g酸化チタン151.04gを分散・懸濁させた液をスプレーし、造粒物を得た。
C:バリア層2)前記で得られた造粒物720.0gに、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(NE30D)853.3g(固形分:256.0g)、エチルセルロース水分散液426.7g(固形分:128.0g)を精製水1024.0gに加え混合撹拌し、さらに、軽質無水ケイ酸96.0gを加えて混合、撹拌、分散させた液(固形分濃度:20重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
D:溶出制御層)前記で得られた製品180.0gを噴流流動層に仕込み、メタクリル酸コポリマーLD(L30D−55)670.4g(固形分:201.12g)、及びアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(NE30D)670.4g(固形分:201.12g)を精製水861.44gに加え、緩やかに混合撹拌し、さらにグリセリンモノステアレート47.76gを加えた液(固形分濃度:20.1重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
得られた造粒物に他の添加剤を配合し打錠し、耐酸性、安定性に優れ、口腔内崩壊時間約50秒の口腔内崩壊錠を得た。
A)平均粒子径:31.0μmのケイ酸カルシウム56.0gを噴流流動層造粒機(パウレック社製:MP−01−SPC型)に投入し、水酸化ナトリウム80.0gを精製水2160gに溶解した液に、ラベプラゾールナトリウム800.0gを溶解した液(固形分濃度:28.9%)をスプレーし、造粒物を得た。
B:バリア層1)得られた造粒品468.0gを噴流流動層造粒機に投入し、水酸化ナトリウム0.48g及びHPC−L50.4gを精製水2788.0gに溶解した液にタルク110.28g、酸化チタン330.84gを分散、懸濁させた液をスプレーし、造粒物を得た。
C:バリア層2)前記で得られた製品480.0g、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(NE30D)720.0g(固形成分216.0g)、エチルセルロース水分散液720.0g(固形分:216.0g)を精製水912.0gに加え混合撹拌し、さらに、軽質無水ケイ酸48.0gを加えて混合、撹拌、分散させた液(固形分濃度:20重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
D:溶出制御層)前記で得られた製品240.0gを噴流流動層に仕込み、メタクリル酸コポリマーLD(L30D−55)700.0g(固形分:210.0g)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(NE30D)700.0g(固形分:210.0g)を精製水1420.0gに加え、緩やかに混合撹拌し、さらにタルク180.0gを加えた液(固形分濃度:20.0重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
得られた造粒物に他の添加剤を配合し打錠し、耐酸性、安定性に優れ、口腔内崩壊時間約50秒の口腔内崩壊錠を得た。
A)平均粒子径:44.9μmのカルボキシメチルスターチナトリウム160.0gを噴流流動層造粒機(パウレック社製:MP−01−SPC型)に投入し、水酸化ナトリウム80.0gを精製水2160gに溶解した液に、ラベプラゾールナトリウム800.0gを溶解した液(固形分濃度:28.9重量%)をスプレーし、造粒物を得た。
B:バリア層1)得られた造粒品520.0gを噴流流動層造粒機に投入し、水酸化ナトリウム0.24g及びHPC−L24.0gを精製水1733.36gに溶解した液にタルク127.88g、酸化チタン127.88gを分散、懸濁させた液をスプレーし、造粒物を得た。
C:バリア層2)前記で得られた製品400.0gに、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(NE30D)360.0g(固形分:180.0g)、エチルセルロース水分散液360.0g(固形分:108.0g)を精製水456.0gに加え混合撹拌し、さらに、軽質無水ケイ酸24.0gを加えて混合、撹拌、分散させた(固形分濃度:20重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
D:溶出制御層)前記で得られた製品320.0gを噴流流動層に仕込み、メタクリル酸コポリマー(L30D−55)1400.0g(固形分:420.0g)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(NE30D)1400.0g(固形分:420.0g)を精製水1880.0gに加え、緩やかに混合撹拌し、さらに軽質無水ケイ酸120.0gを加えた液(固形分濃度:20.0重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
得られた粒子に他の添加剤を配合し打錠し、耐酸性、安定性に優れ、口腔内崩壊時間約50秒の口腔内崩壊錠を得た。
比較例1
A)アセトアミノフェン(タイコヘルスケア社製)800gを転動流動層装置(パウレック社製:マルチプレックスMP−01型)に投入し、HPC−L51.2gを精製水588.8gに溶解した液をスプレー添加し、造粒物を得た。
B)得られた造粒物300gを転動流動層装置に投入し、アセトアミノフェン300g、及びHPC−L60.0gを精製水1640.0gに溶解、分散した液(固形分濃度:18重量%)をスプレー添加し、造粒物を得た。
前記実施例1−A、B、C、Dで製造した造粒物と比較例1−A、Bで製造した造粒物について粒子径及び形状に関する測定をし、平均粒子径、幾何標準偏差、フラクタル次元及び円形度係数を算出し、表1に示した。
Figure 0005503192
表1から、本発明に係る造粒物は、粒度分布がシャープであり、表面の凹凸が少なく、かつ球状に近いことが判る。
本発明によれば、化学的に不安定な生理活性物質を、製剤操作上簡便な方法で、長期に亘り安定に保持できる粒状物を製造する方法を提供することができる。また、本発明の方法は、生理活性物質の溶出速度の制御が容易な固形製剤用造粒物の製造に適しており、医薬の口腔内速崩壊錠の製造に利用することができる。

Claims (12)

  1. 添加剤からなるシード粒子を噴流流動層造粒装置に仕込み、流動状態を保ちながら、化学的に不安定な生理活性物質を安定化剤の水溶液に溶解もしくは懸濁させた液を噴霧する造粒物の製造法において、噴流流動層装置に仕込まれたシード粒子の1重量部に対して、生理活性物質及び安定化剤を2〜18重量部含有する液を、噴流流動層造粒装置のノズル先端の圧縮ガス体の吐出速度が300m/秒以上、かつ吐出液速が1m/秒以下の均質で微小な液滴として噴霧する、平均粒子径が150ミクロン以下で幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.5である造粒物の製造方法。
  2. 請求項1の方法により得られた造粒物の表面に、水系の結合剤もしくは高分子膜剤液中に微粒子を配合した液を用い、噴流流動層造粒装置で単層もしくは複数層のバリア層被膜を施すことにより、幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.5の粒子とする造粒物の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により得られた造粒物の表面に、可塑剤を配合しない溶出制御膜剤液に一種もしくは複数種の水系高分子膜剤を配合した液を噴霧添加することにより、平均粒子径が200ミクロン以下で、かつ、幾何標準偏差[「D(84.1)/D(50)」:σg]が1.1〜1.4であり、フラクタル次元が1.0〜1.2の表面が滑らかな粒子とする造粒物の製造方法。
  4. 安定化剤がアルカリ性物質であり、化学的に不安定な生理活性物質が中性又は酸性下で不安定な物質である請求項1〜のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  5. 安定化剤がアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物又は炭酸塩であり、化学的に不安定な生理活性物質がプロトン・ポンプ阻害剤である請求項1〜のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  6. 安定化剤が水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は水酸化カリウムであり、化学的に不安定な生理活性物質が、ラベプラゾールナトリウムである請求項1〜5のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  7. 安定化剤の水溶液中の安定化剤量が造粒物に対して0.01〜10重量%である請求項1〜のいずれかに記載の造粒物の製造法。
  8. 安定化剤の水溶液中の安定化剤の濃度が0.1〜33重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  9. シード粒子がその表面を安定化剤によって安定化処理を施されたものである請求項1〜のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  10. シード粒子が、乳糖、結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、バレイショ澱粉、部分アルファー化澱粉、D−マンニトール、白糖、ショ糖、ブドウ糖、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、カルボシキメチルスターチナトリウム、クロスポビドン(cr−PVP)または低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)の粒子である請求項1〜のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  11. 水系高分子膜剤の高分子化合物がヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、アミノアルキルメタクリレーマー(E,RL、RS)、メタクリル酸コポリマー(L,LD、S)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メトローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びエチルセルロース化合物からなる群から選ばれた一種又は二種以上である請求項10のいずれかに記載の造粒物の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の造粒物の製造方法により得られた造粒物を他の添加剤と混合して打錠する通常の錠剤もしくは口腔内崩壊錠の製造方法。
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