JP5349720B2 - ゴムを芯とする多層ペレット - Google Patents
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Description
このような軟質性合成樹脂や熱可塑性エラストマーは、例えば、種々の樹脂(硬質相)とゴム等の弾性を有する成分(軟質相、ソフトセグメント)とをブレンドする等の方法により得られるが、その硬質相の種類に基づいて、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、塩化ビニル樹脂系等に分類され、それぞれ市販されている。
ポリオレフィン系以外の軟質性合成樹脂や熱可塑性エラストマーでも、軟質相としてゴムが使用され、硬質相の樹脂等とブレンドすることにより得られる。
又、ゴムを粉砕して不定形にして使用する方法も考えられている。しかしゴムは、上述のように、通常の室温以上の温度領域で流動性が高く粘着性が極めて強い。そのためにペレット化或いは粉砕を一旦行っても、フレコンや紙袋に包装してから短時間の内に再び付着し合い、大きな塊の状態又は多数連結した粒やペレットの状態に変わり、押出機や射出成型機等の加工機械での使用ができなくなる。従って、粒状やペレット状の形態での供給は、極めて低い温度での保管・輸送を行うケースを除いて実際上不可能であった。
1.合成ゴムの場合は、それを構成するモノマーの組成比を偏らせ、粘着性を低下させる、
2.合成樹脂や各種無機フィラー類を練り込み、粘着性を低下させる、
3.一旦粉砕やペレット化したものの表面を、金属石鹸や樹脂パウダー等粉末性物質で覆い、粘着性を低下させ互着を防止する、
4.一旦粉砕やペレット化したものの表面に離型性物質を塗布して、粘着性を低下させ互着を防止する、
などの対策が考えられている。しかし、合成ゴムを構成するモノマーの組成比を偏らせれば、その物性も変化する。粉末性物質や離型性物質を使用する方法では、互着の防止をより完全にするには粉末性物質等の量を多くしなければならず、物性面や経済性の点で好ましくない。
しかも、このような方法によっても、長期保管などの条件下では不安定で、粒やペレット同士が互着し易く、使用できなくなるのが実態である。
芯層は、ゴムを主成分とする。芯層に用いられるゴムは、常温でゴム弾性を有するものであれば特に限定されないが、芯層のムーニー粘度(ML1+4 100℃)が5〜200の範囲となるゴムについて、本発明がその効果を特に奏する。ここで、ムーニー粘度とは、ゴムの流動性の指標であり、ムーニー粘度値が小さいことは流動性が大きいことを表す。又、(ML1+4 100℃)とは、ムーニー粘度の測定条件を表し、測定時に仕様するローターのサイズが大型「L」サイズであり、サンプルセット後1分間静置予熱し、測定温度(供試サンプルの保持温度)が100℃であって、測定(ローター回転)開始後4分時点での数値であることを示す。
本発明においてポリマーとは、一つ以上の異なるモノマーに由来する繰り返し単位を有するもの、すなわちホモポリマー、コポリマーのいずれをも含む意味で用いる。
多不飽和オレフィンは、直鎖、分岐鎖、環状、架橋環、二環式、融合環二環式化合物などで有り得、好ましくは非共役ジエンである。非共役多不飽和オレフィンに由来する繰り返し単位は、好ましくは、ポリマーの約0.4〜約20重量%である。
好ましくは、一つ以上の共役ジエンに由来する合成ポリマーは、4〜8の炭素原子を有する少なくとも一つ以上の共役ジエンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも50重量%有する。
この共役ジエンモノマーと共重合するモノマーとしては、好ましくは、不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられ、又8〜12の炭素原子を有するビニル芳香族モノマー(類)及び3〜8の炭素原子を有するアクリロニトリル又はアルキル置換されたアクリロニトリル(類)等も含まれる。さらに、ジビニルベンゼン、アルキルアクリレート、及び3〜20の炭素原子を有する他のモノマーも含まれる。
なお、オレフィン系熱可塑性エラストマーの物性面からは、すなわち機械的特性が大きく、引張破断強度や破断伸びが飛躍的に向上し、圧縮永久歪みの向上した熱可塑性エラストマーを得るためには、油展前のゴムとして、ML1+4 100℃が80〜350のオレフィン系共重合体ゴムを用いることが好ましい。より好ましくは、ML1+4 100℃は120〜350、さらに好ましくは140〜300である。従って、ML1+4 100℃が80〜350のオレフィン系共重合体ゴムを用い、それに鉱物油系軟化剤を添加して油展オレフィン系共重合体ゴムとして、それをオレフィン系樹脂等と混合してオレフィン系熱可塑性エラストマーを作る方法が好ましい。
鉱物油系軟化剤とは、加工性の改良や機械的特性を改良する目的で配合される高沸点の石油留分であり、パラフィン系、ナフテン系又は芳香族系等があるが、パラフィン系が好ましく用いられる。芳香族成分が多くなると汚染性が強くなり、透明製品或いは明色製品を目的とする用途に限界を生じることがある。
本発明は、ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が5〜200の範囲のゴムについて、その効果を特に奏するが、油展ゴムのムーニー粘度も、ML1+4 100℃ 5〜200が好ましい。
しかし、親和性の無いあるいは乏しいもの同士を敢えて混合して、特異な性質を発現させる場合もあるので、芯材と鞘材の化学的親和性のよい組合せのみに限定されない。
鞘層は、ゴムから構成される芯材を覆いゴム同士の互着を防止できる接着防止性能を発揮できる厚み以上であればよい。一方、芯材を構成するゴムと鞘材を構成する樹脂をブレンドして熱可塑性エラストマーを製造する場合等は、芯材と鞘材の比率をそのブレンド比率と同一にすることにより、熱可塑性エラストマーの製造を容易にすることができる。従って、鞘層の厚みもこのブレンド率に応じて変えることができその上限は特に限定されない。
通常の場合、芯層と鞘層の重量比率が10/90〜99/1の範囲であることが好ましく、50/50〜95/5の範囲であることがより好ましい。
冷却した芯鞘型のストランドを好ましくは長さ1〜5mm、より好ましくは2.5〜3.5mmに切断することにより、本発明の多層ペレットが得られる。本発明の多層ペレットはストランドと同様にゴムを含む芯層が接着性の少ない熱可塑性樹脂を含む鞘層により被覆された構造である。
ストランドの冷却、カッティングの方法としては、熔融押出後にストランドをカッティングした後それを水中に落として冷却する方法や、ストランドを冷却水槽に導入し冷却した後カッティングしペレットとする方法等が挙げられる。通常、ストランドを冷却水槽に導入する方法が一般的である。
ペレットの形状は、通常は、円柱状であるが、断面形状は任意であり、適当なダイスを選択することにより角柱状、楕円の断面等任意の形状にすることができる。
又、ペレットの生産性を向上するため、同心円状に配置された複数の押出口を有するストランド成型装置を使用して複数本のストランドを同時に製造する方法も採用できる。
EPDMゴム(住友化学工業製エスプレンE−201、ML1+4 100℃:43、エチレン49%、プロピレン51%、25kgのベール形状)を裁断機にてカットした後、粉砕機にて粉砕し不定形状のEPDMゴムを得た。この不定形状のEPDMゴムを二軸押出機にて180℃で熔融押出し、二層ストランドダイ装置に供給した。同時に鞘用単軸押出機からポリプロピレンを200℃にて熔融押出し二層ストランドダイ装置に供給した。EPDMゴムとポリプロピレンの供給比率は、85重量部:15重量部であった。
二層ストランドダイ装置から出てきたストランドを水槽にて冷却しペレタイザーにてカッティングし、ペレットを得た。
得られたペレット 25kgを紙袋に入れて1ヶ月間倉庫に保管しても、ブロッキングや互着は発生しない。
コールド重合スチレン・ブタジエンゴム(住友化学製 住友SBR1502、35kgベール形状)をバンバリーミキサーにて素練りを行い熔融させた後、フィーダールーダーを用いて二層ストランドダイ装置に供給した。同時に鞘用単軸押出機から200℃でポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン製 日本ポリスチ G590、MFR=3.5g/10分、d=1.04)を二層ストランドダイ装置に供給した。スチレン・ブタジエンゴムとポリスチレン樹脂の供給比率は、80重量部:20重量部であった。
二層ストランドダイ装置にて20本の二層ストランドに成形し、水槽にて冷却後、ペレタイザーにてカッティングし芯鞘構造のゴムペレットを得た。得られたゴムペレット 25kgを紙袋に入れて1ヶ月間倉庫に保管して保管状態を確認したところ、ブロッキングや互着の発生はなく良好な状態のままであった。
実施例1又は実施例2と同様な方法により、芯材が合成ゴムであり、鞘材が合成樹脂であり、芯層と鞘層の重量比が80:20である二層ペレットを作成する。
このようにして得られる二層ペレットの50kg(組成:合成ゴム40kgと合成樹脂10kg)に、鞘材と同じ合成樹脂を50kg追加・混練して熱可塑性エラストマーが得られる。その最終組成は、合成ゴム40kgと合成樹脂60kgである。
一方、実施例1又は実施例2と同様な方法により、芯材が合成ゴムであり、鞘材が合成樹脂であり、芯層と鞘層の重量比が40:60である二層ペレットを作成する。このようにして得られる二層ペレットの100kgを混練して、合成ゴム40kgと合成樹脂60kgの最終組成からなる熱可塑性エラストマーを、合成樹脂を追加することなしに得られる。この方法は、工程が短く合理的でコストダウンが可能である。
このゴムを芯材とするペレットは、ブロッキングや互着が起こらないので、このペレットを用いることにより軟質性合成樹脂や熱可塑性エラストマー製造等において、連続生産工程を採用でき、又小ロットの生産にも対応できる。
この多層ペレットを使用する本発明の軟質性合成樹脂や熱可塑性エラストマー製造方法では、連続生産工程を採用できるので、従来の方法より製造コストの削減が可能となる。
Claims (4)
- 芯鞘構造を持ち、当該芯がゴムからなり、鞘がゴムよりも粘着性の低いポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー製造用の多層ペレット。
- 芯材のムーニー粘度(ML1+4100℃)が、5〜200であることを特徴とする請求項1の多層ペレット。
- ゴムとポリプロピレン樹脂との混練により得られる熱可塑性エラストマーの製造方法であって、
芯鞘構造を持ち、当該芯がゴムからなり、鞘がゴムよりも粘着性の低いポリプロピレン樹脂からなる多層ペレットを混練することを特徴とする熱可塑性エラストマーの製造方法。
- ゴムとポリプロピレン樹脂との混練により得られる熱可塑性エラストマーの製造方法であって、
芯鞘構造を持ち、当該芯がゴムからなり、鞘がゴムよりも粘着性の低いポリプロピレン樹脂からなる多層ペレットと合成樹脂とをブレンドし混練する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
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