JP5333839B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
前記モータ制御装置は、モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクを検出するためのトルク検出手段(1)と、前記駆動対象に加えられるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段(21)とをさらに含むものであってもよい。この場合に、前記加算角演算手段は、指示トルクと検出トルクとの偏差(トルク偏差)に応じて加算角を演算するものであってもよい。より具体的には、前記加算角演算手段は、前記検出トルクを前記指示トルクに近づけるように前記加算角を演算するフィードバック制御手段(22,23)を含むものであってもよい。
前記制限値は、たとえば、次式によって定められた値であってもよい。ただし、次式における「最大ロータ角速度」とは、電気角でのロータ角速度の最大値である。
たとえば、モータの回転を所定の減速比の減速機構を介して車両用操舵装置の操舵軸に伝達している場合には、最大ロータ角速度は、最大操舵角速度(操舵軸の最大回転角速度)×減速比×極対数で与えられる。「極対数」とは、ロータが有する磁極対(N極とS極との対)の数である。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、制御角補正部27と、偏角演算部28と、指示電流値生成部31と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36とが含まれている。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxとすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θCの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
指示電流値生成部31は、制御上の回転角である前記制御角θCに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ *およびδ軸指示電流値Iδ *(以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ *」という。)を生成する。指示電流値生成部31は、γ軸指示電流値Iγ *を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ *を零とする。より具体的には、指示電流値生成部31は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ *を設定する。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
偏角演算部28は、二相指示電流値Iγδ *の電流ベクトル(以下、「指示電流ベクトル」という。)I*と二相検出電流値Iγδの電流ベクトル(以下、「実電流ベクトル」という。)Iとの偏角θerrを演算する。図6に示すように、指示電流ベクトルI*とは、γδ座標平面において、γ軸指示電流値Iγ *をγ軸成分とし、δ軸指示電流値Iδ *をδ軸成分として表されるベクトルをいう。同様に、実電流ベクトルIとは、γδ座標平面において、γ軸検出電流値Iγをγ軸成分とし、δ軸検出電流値Iδをδ軸成分として表されるベクトルをいう。
θerr=Tan−1(Iδ/Iγ) ……(6)
一般には、指示電流ベクトルI*がγ軸に対してなす角θ*と、実電流ベクトルIがγ軸に対してなす角θとを用いて、次式(7)によって偏角θerrを求めることができる。δ軸指示電流値Iδ *を有意値とするときには、この式(7)を用いればよい。
=Tan−1(Iδ/Iγ)−Tan−1(Iδ */Iγ *) ……(7)
正常な制御状態では、δ軸指示電流値Iδ *が零であるため、それに応じてδ軸検出電流値Iδは零付近の値をとる。したがって、偏角θerrの絶対値は小さな値に保持される。これに対して、操舵速度が変化したり、路面からの大きな逆入力等のために大きな負荷がモータ3に加わったり、モータ印加電圧が変動したりすると、電流の制御性が悪くなり、δ軸検出電流値Iδが比較的大きな値をとる。これにより、偏角θerrの絶対値が大きな値となる。このとき、制御上の負荷角θL(狙いのアシストトルクに相当する値)と実際の負荷角θL+θerrとの間に大きな誤差が生じており、制御異常となるおそれがある。
したがって、今演算周期における補正後の制御角θC(n)は、次式(9)で与えられることになる。この補正後の制御角θC(n)を用いて、座標変換部34,36における座標変換演算が実行される。
θC(n)=θC(n-1)+α+C
=θC(n-1)+α+K・θerr ……(9)
補正前の制御角θCに従うγ軸は指示電流ベクトルI*に平行であるが、たとえば、ゲインK=1のとき、補正後の制御角θCに従うγ軸は実電流ベクトルIに平行となる。ゲインKが0よりも大きく1未満の値であれば、補正後の制御角θCに従うγ軸は実電流ベクトルIに近づくことになる。
指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)ΔTに対するPI制御(KPは比例係数、KIは積分係数、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に対して加算されることによって、制御角θCの今回値θC(n)=θC(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θCとロータ50の実際のロータ角θMとの偏差が負荷角θL=θC−θMとなる。
図7は、加算角リミッタ24の働きを説明するためのフローチャートである。加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αを上限値ULと比較し(ステップS1)、加算角αが上限値ULを超えている場合(ステップS1:YES)には、上限値ULを加算角αに代入する(ステップS2)。したがって、制御角θCに対して上限値UL(=+ωmax)が加算されることになる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限(換言すれば、加算角αの絶対値を制限値ωmax以下に制限)することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値生成部31において、操舵トルクおよび車速に応じて、所定のアシスト特性に従ってδ軸指示電流値Iδ *を発生させるようにすればよい。
Claims (2)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
前記制御角に加算すべき加算角を演算する加算角演算手段と、
所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
前記制御角に従う回転座標系における前記モータの実電流値を求める実電流値演算手段と、
前記軸電流値の電流ベクトルと前記実電流値演算手段によって求められる実電流値の電流ベクトルとの偏角を演算する偏角演算手段と、
前記偏角演算手段によって求められる偏角に基づいて前記制御角を補正する制御角補正手段と
を含む、モータ制御装置。 - 前記回転座標系は、第1座標軸およびこれに直交する第2座標軸で定義される直交座標系であり、
前記電流駆動手段は、前記第1座標軸の軸電流値を有意値に設定する一方で、前記第2座標軸の軸電流値を零に設定するものであり、
前記偏角演算手段は、前記第1座標軸の実電流値Iγと、前記第2座標軸の実電流値Iδとに基づいて、前記偏角θerrをθerr=Tan−1(Iδ/Iγ)により求めるものである、請求項1記載のモータ制御装置。
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