JP5305697B2 - α−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法 - Google Patents

α−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なα−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法に関する。
ピラノシド化合物に代表される糖類は、多糖類の合成、天然物の全合成あるいは生理活性物質の合成さらにはコンビナトリアルライブラリー構築の鍵となる重要な化合物である。
これらの糖類は分子内に多くの水酸基を有するため、糖類を出発物質として天然物あるいは生理活性物質を合成するためには、一般に、反応に関与して欲しくない水酸基をアシル基等の保護基によって保護した後、所望の反応操作を行う必要がある。
このような糖類を出発物質として天然物あるいは生理活性物質を合成する場合、ピラノシド化合物の複数の水酸基を各々異なる保護基で保護した化合物を出発物質とすれば、反応条件を変えることで所望の保護された水酸基のみを別の置換基に変換したり、保護基を脱離させることができるため、より目的とする最終化合物を高選択的に高収率で取得できる。
従来、ピラノシド化合物の複数の水酸基を各々異なる保護基で保護した化合物は、以下の方法により製造できることが知られている。具体的には、メチル−α−D−グルコピラノシドをジブチル錫オキサイド化合物および塩基存在下、ベンゾイルクロライドと反応させて2位の水酸基を選択的にアシル化した後、次いで、塩基存在下、トリチルクロライドと反応させて6位の水酸基を選択的にトリチル化する方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。この方法に従えば、2位と6位の水酸基を異なる保護基で保護した化合物を得ることができ、該化合物は有効な出発物質として使用することができる。
Wai Ming Hoら、「D−(+)−グルコース由来の光学活性液晶化合物(Chiral Liquid Crystalline Compounds From D−(+)−Glucose)」、テトラへドロン(Tetrahedron)、1995、Vol.51、No.27、p.7373−7388
しかしながら、上記方法では、2位と6位の水酸基を異なる保護基で保護することが示されているだけで、その他の水酸基を保護することは示されていない。そのため、上記方法により得られる化合物を出発物質(原料)とした場合には、やはり限られた物質しか合成することができず、より多くの様々な物質を合成するためには、2位と6位以外の水酸基においても、各々異なる保護基で保護した化合物を合成することが望まれていた。具体的には、3位と6位の水酸基を異なる保護基で保護した化合物を合成することができれば、さらに多くの物質を高選択的に高収率で取得することができるため、その開発が強く望まれていた。
したがって、本発明の目的は、様々な物質の原料として使用することができる、3位と6位の水酸基が異なる保護基で保護されたピラノシド化合物およびその化合物の製造方法を提供することにある。
かかる事実に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、3位の水酸基がアシル基又はスルホニル基で保護されたピラノシドエステル化合物を、ジアルキル錫化合物および塩基存在下、酸ハライドと反応させることで、6位の水酸基が保護された新規なピラノシドジエステル化合物が合成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、下記一般式(II)
Figure 0005305697
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、アシル基、又はスルホニル基である。)
で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物と、上記一般式(II)のXがアシル基の場合にはスルホン酸ハライドとを反応させ、上記一般式(II)のXがスルホニル基の場合にはカルボン酸ハライドとを反応させることを特徴とする、下記一般式(I)
Figure 0005305697
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、アシル基、又はスルホニル基であり、Yは、Xがアシル基の時はスルホニル基であり、Xがスルホニル基の時はアシル基である。)で示される、α−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法である。
本発明によれば、有機合成上極めて有用なα−D−マンノピラノシド誘導体を容易に得ることができるため、工業的利用価値は高い。
α−D−マンノピラノシド誘導体
本発明のα−D−マンノピラノシド誘導体は、下記一般式(I)で示される。
Figure 0005305697
ここで上記一般式(I)のRは、炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル機、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
上記一般式(I)のXおよびYは、アシル基およびスルホニル基である。アシル基を具体的に例示すると、ベンゾイル基、p−トルオイル基、p−クロロベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基、p−tert−ブチルベンゾイル基、α−ナフトイル基、β−ナフトイル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基を挙げることができる。また、スルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、p−クロロベンゼンスルホニル基、p−ニトロベンゼンスルホニル基等を挙げることができる。このとき、Xがアシル基の場合は、Yがスルホニル基となり、Xがスルホニル基の場合には、Yがアシル基となり、XとYが同じ置換基となることはない。このようにXとYが異なる置換基であることにより、反応条件を変えることで一方の保護された水酸基のみを別の置換基に変換したり、一方の保護基のみを脱離させることができるため、本発明のα−D−マンノピラノシド誘導体は、様々な物質の原料として有効に使用することができる。
上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体を例示すると、具体的には、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゼンスルニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−ベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−ベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−ベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、
1−エチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホネート−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−エチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−プロピル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド、1−オクチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド等を挙げることができる。
これらのピラノシドジエステル化合物の中でも、合成が容易という観点から、メチル−α−マンノピラノシド誘導体具体的には、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−トルオイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−O−p−クロロベンゾイル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−ベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−トルオイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド1−メチル−O−p−クロロベンゾイル−O−p−クロロベンゼンスルホニル−α−D−マンノピラノシド等であることが好ましい。
α−D−マンノピラノシド誘導体の同定方法)
上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体の構造は、下記(i)〜(iii)のいずれか二つ以上の方法により確認することができる。
(i)H−核磁気共鳴スペクトルを測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。例えば、7.0〜8.0ppm付近にベンゼン環の水素のスペクトルを示す。
(ii)赤外吸収スペクトルを測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、3500−3600cm−1付近にO−Hの吸収スペクトルを、1720cm−1付近にC=Oの吸収スペクトルを示す。
(iii)MSスペクトルを測定し、上記一般式(I)で示されるピラノシドジエステル化合物の分子量を決定することができる。
α−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法)
次に、上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法について説明する。上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体は、下記一般式(II)
Figure 0005305697
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、アシル基、又はスルホニル基である。)
で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物に、ジアルキル錫化合物および塩基存在下、上記一般式(II)のXがアシル基の場合にはスルホン酸ハライドとを反応させ、上記一般式(II)のXがスルホニル基の場合にはカルボン酸ハライドとを反応させることによって製造することができる。なお、上記一般式(II)におけるRおよびXは、上記一般式(I)におけるRおよびXと同義であり、所望とする上記一般式(I)で示されるピラノシドジエステル化合物に応じて、適宜決定してやればよい。
(上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物)
本発明において、上記一般式(II)で示されるピラノシドエステル化合物は、特に制限されるものではないが、より具体的には、下記一般式(III)
Figure 0005305697
(式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基である。)
で示されるα−D−マンノピラノシド化合物を、テトラハイドロフラン中、ジメチルジクロロ錫、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下、ベンゾイルクロライドもしくはp−トルエンスルホニルクロライドのような酸ハライド化合物を反応させることによって製造することができる。なお、上記一般式(III)におけるRは、上記一般式(I)におけるRと同義であり、所望とする上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体に応じて、適宜選定すればよい。また、上記一般式(III)で示されるα−D−マンノピラノシド化合物は、試薬として入手することができる。
(ジアルキル錫化合物)
本発明において、上記ジアルキル錫化合物としては、二つのアルキル基が直接錫と結合している化合物であれば、特に限定されないが、選択性の観点から、該二つのアルキル基は炭素数1〜6のアルキル基であるのが好適である。ジアルキル錫化合物の中でも、ジメチルジクロロ錫、ジメチルジブロモ錫、ジブチルジブロモ錫、ジブチル酸化錫は、高い反応収率を示すため特に好適に使用される。
本発明において、ジアルキル錫化合物の使用量は、上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物に対して触媒量であれば特に制限はないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となり、あまり量が少ないと反応速度が著しく低下する傾向にある。そのため、通常、ジアルキル錫化合物の使用量は、ピラノシドエステル化合物1モルに対して、好ましくは0.0001〜0.3モル、より好ましくは0.001〜0.2モルである。
(塩基)
本発明において、上記塩基としては、有機塩基及び無機塩基を何ら制限なく用いることができる。これらを具体的に例示すると、無機塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物を挙げることができる。有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン等の脂肪族三級アミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルピリジン、2−N,N−ジメチルピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルイミダゾール等を挙げることができる。
これらの塩基の中でも特に、無機塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩、有機塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、メチルピロリジン、エチルピロリジン等の脂肪族三級アミン等が高い選択性と収率を示すため、好適に採用される。これらの塩基は、単独に用いてもよいし、混合して使用することもできる。
本発明において、塩基の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いと後処理工程が煩雑となる上に、生成物の分解反応に寄与する可能性が高くなり、あまり量が少ないと反応の転化率が低くなる傾向にある。そのため、通常、塩基の使用量は、上記式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物に対して、好ましくは0.1〜4モル、より好ましくは1〜3モルである。
(スルホン酸ハライド、又はカルボン酸ハライド)
本発明において、スルホン酸ハライド、又はカルボン酸ハライド(以下、これらをまとめて単に「酸ハライド化合物」とする場合もある)は、上記一般式(II)の置換基Xの種類に応じて、両者の何れかを使用すればよい。即ち、Xがアシル基の場合にはスルホン酸ハライドを使用し、Xがスルホニル基の場合にはカルボン酸ハライドを使用すればよい。このように使い分けることにより、複数の水酸基に異なる置換基を有する上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体を製造することができる。
これら酸ハライド化合物は、特に限定されないが、選択性の観点から炭素数1〜12のカルボン酸ハライド、又は炭素数1〜12のスルホン酸ハライドを使用するのが好適である。好適に使用できる酸ハライド化合物を具体的に例示すると、カルボン酸ハライドとしては、ベンゾイルクロライド、p−トルオイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−tert−ブチルベンゾイルクロライド、α−ナフトイルクロライド、β−ナフトイルクロライド、ペンタノイルクロライド、ベンゾイルブロマイド等を挙げることができる。また、スルホン酸ハライドとしては、ベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−クロロベンゼンスルホン酸クロライド、p−ニトロベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸フルオライド等を挙げることができる。これらの中でも、特にベンゾイルクロライド、p−トルオイルクロライド、p−クロロベンゾイルクロライド、p−ニトロベンゾイルクロライド、p−tert−ブチルベンゾイルクロライド、α−ナフトイルクロライド、β−ナフトイルクロライド等のカルボン酸ハライド、ベンゼンスルホン酸クロライド、p−トルエンスルホン酸クロライド、p−クロロベンゼンスルホン酸クロライド等のスルホン酸ハライドが高い反応率を示すため、特に採用できる。
本発明において、酸ハライド化合物の使用量は、上記一般式(II)で示されるピラノシドエステル化合物のアシル化又はスルホニル化したい水酸基と酸ハライド化合物とは化学量論的に反応するため、あまり量が少ないと未反応物が多く残り収率の低下を招き、あまり量が多いと反応の選択率が低下する傾向にある。そのため、通常、酸ハライド化合物の使用量は、上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物1モルに対して、好ましくは0.8〜2モル、より好ましくは0.9〜1.5モルである。
(反応方法、反応条件、及び精製方法)
本発明の製造方法では、ジアルキル錫化合物および塩基の存在下に、上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物と酸ハライド化合物とを反応させるが、この時の反応方法は特に限定されず、例えば有機溶媒中でこれら化合物を混合・攪拌することにより好適に行うことができる。
本発明において、上記有機溶媒は、特に制限されるものではなく、試薬又は工業原料として入手可能な溶媒を使用することができる。具体的には、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル等のエーテル類、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。これらの有機溶媒の中でも、特に高い収率が期待できる、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン等のケトン類が好適に採用される。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いても一向に差し支えない。
上記有機溶媒は、乾燥処理等の精製を行い使用してもよいし、市販のものをそのまま使用することもできる。該有機溶媒中に含まれる水分量は、特に制限はないが、基本的に水と酸ハライド化合物は反応するため、あまり量が多いと本発明の収率が低下する傾向にある。そのため、有機溶媒中に含まれる水分量は、本発明に使用される酸ハライド化合物1モルに対して、100モル以下とすることが好ましい。該有機溶媒中の水分量の下限値は、乾燥した有機溶媒を使用することもできるため、酸ハライド化合物1モルに対して、0モルである。
本発明において、上記有機溶媒の使用量は、特に制限はないが、あまり量が多いとバッチあたりの収量が減少するため経済的ではなく、あまり量が少ないと攪拌等に支障をきたすため、通常、反応溶媒中の上記一般式(II)で示されるピラノシドエステル化合物の濃度が好ましくは0.1〜70質量%、より好ましくは1〜60質量%となる量である。
本発明において、ジアルキル錫化合物および塩基の存在下に、上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物と酸ハライド化合物とを反応させる際の各化合物の添加順序については、ジアルキル錫化合物を反応系に添加する前に、塩基と酸ハライド化合物が接触しないようにすれば特に制限されるものではない。中でも、一般的に高い選択性および反応収率を獲得するという観点から、予め有機溶媒中にジアルキル錫化合物、塩基およびα−D−マンノピラノシドエステル化合物を添加しておき、次いで酸ハロゲン化物を徐々に該溶媒に添加する方法が好適である。
本発明において、反応温度は、上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物、塩基および酸ハライド化合物の種類によって異なるため、一概には言えないが、あまり温度が低いと反応速度が著しく小さくなり、あまり温度が高いと副反応を助長する傾向にあるため、通常、好ましくは−10〜50℃、より好ましくは0〜40℃である。
また、反応時間も、上記一般式(II)で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物、塩基および酸ハライド化合物の種類によって異なるため一概には言えないが、通常、好ましくは0.1〜100時間である。
また、反応時の圧力、および雰囲気は、常圧、減圧、加圧の何れの状態でも実施可能であり、また空気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性気体雰囲気下の何れの状態でも実施可能である。
上記のような反応条件により上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体を製造することができる。つまり、上記ジアルキル錫化合物、塩基の存在下、上記一般式(II)で示される特定のα−D−マンノピラノシドエステル化合物と酸ハライド化合物とを上記条件下で反応させることにより、高い選択率で6位の水酸基が保護された上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体を製造することができ、2位と3位、及び3位と4位の水酸基が保護された化合物の生成を抑制できる。
このようにして得られた上記一般式(I)で示されるα−D−マンノピラノシド誘導体は、以下の方法に従って単離精製できる。具体的には、反応終了後、希塩酸を加えて触媒を失活させた後、酢酸エチル等の水に相溶しない有機溶媒で抽出した後、有機溶媒を留去、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー等によって分離精製される。なお、上記一般式(I)で示されたα−D−マンノピラノシド誘導体は、上記の方法で同定することができる。特に、6位の水酸基が選択的にアシル化されたピラノシドジエステル化合物が得られたかどうかの確認は、H−NMR測定により確認することができる。
以下、実施例を掲げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例1
30mlの茄子型フラスコに1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシド174mg(0.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン174μl(1.0mmol)、ベンゾイルクロライド70μl(0.6mmol)、テトラハイドロフラン(以下、THFと称す。)2mlを加え、攪拌した。この混合溶液にジメチルジクロロ錫5.5mg(0.025mmol)を加え、室温下15時間攪拌した。反応終了後、3%塩酸水20mlを加え、酢酸エチル20mlで三回抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)したところ、アモルファス生成物を215mg取得した。
得られたアモルファス生成物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3500cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1721cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005305697
8.02ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し(m)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.84ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.55ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(o)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.41ppmに水素原子2個分トリプレットピークを観測し、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.33ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。4.73ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(b)のメチン基のプロトンに相当した。4.71−4.65ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(e)のメチン基の水素原子1個分のプロトンと(l)のメチレン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.55ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(l)のメチレン基の水素原子1個分のプロトンに相当した。4.11ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(d)のメチン基のプロトンに相当した。4.08−4.00ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(i)のメチン基のプロトンに相当した。3.87−3.82ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(k)のメチン基のプロトンに相当した。3.37ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。2.96ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(j)の水酸基のプロトンに相当した。2.67ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(c)の水酸基のプロトンに相当した。2.44ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(EI−MS)を測定したところ、推定分子式C2124Sに相当する計算値452.1141に対して、測定値452.1124となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、アモルファス生成物が、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、95%であった。また、この化合物の17℃の旋光度は[α] 17=+45.6(C=1.0、クロロホルム)であった。
実施例2
1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシドに代え、1−メチル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシドを用い、ベンゾイルクロライドに代えてp−トルエンスルホニルクロライドを用い、ジイソプロピルエチルアミンと共に4−N,N−ジメチルアミノピリジン7mg(0.05ml)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、アモルファス生成物を161mg取得した。
得られたアモルファス生成物の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3509cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1721cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005305697
8.08ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.81ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(m)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.58ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(h)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.45ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.34ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.28ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(e)のメチン基のプロトンに相当した。4.72pmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(b)のメチン基のプロトンに相当した。4.42−4.29ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(l)のメチレン基のプロトンに相当した。4.19−4.02ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(i)および(d)のメチン基のプロトンに相当した。3.88−3.73ppmに水素原子1個分のマルチプレットピークを観測し、(k)のメチン基のプロトンに相当した。3.36ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。2.80ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(j)の水酸基のプロトンに相当した。2.44ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(o)のメチル基のプロトンに相当した。2.32ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(c)の水酸基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(EI−MS)を測定したところ、推定分子式C2124Sに相当する計算値452.1141に対して、測定値452.1124となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、アモルファス生成物が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、71%であった。また、この化合物の19℃の旋光度は[α] 19=+35.2(C=1.0、クロロホルム)であった。
参考例1
1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシドに代え、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−ガラクトピラノシドを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、白色個体を179mg取得した。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3602cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1721cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005305697
8.03ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(m)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.85ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.58ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(o)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.45ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.34ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。4.84ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(b)のメチン基のプロトンに相当した。4.69ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(e)のメチン基のプロトンに相当した。4.57ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(l)のメチレン基のプロトンに相当した。4.52ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、l)のメチレン基のプロトンに相当した。4.25ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(j)のメチン基のプロトンに相当した。4.13−4.02ppmに水素原子2個分のマルチプレットピークを観測し、(c)と(k)のメチン基のプロトンに相当した。3.41ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。2.63ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(d)の水酸基のプロトンに相当した。2.43ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(h)のメチル基のプロトンに相当した。1.93ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(i)の水酸基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C2124Sに水素原子1個を加えた推定分子式C2125S相当する計算値453.1219に対して、測定値453.1221となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、白色固体が、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、79%であった。また、この化合物の22℃の旋光度は[α] 22=+136.2(C=1.0、クロロホルム)であり、融点は147−149℃であった。
参考例2
1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシドに代え、1−メチル−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシドを用い、ベンゾイルクロライドに代えてp−トルエンスルホニルクロライドを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、白色個体を147mg取得した。
得られた白色固体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、3650cm−1に水酸基に基づく吸収を得、1719cm−1にカルボニル基に基づく吸収を得た。さらに核磁気共鳴スペクトル(σ:ppm:テトラメチルシラン基準:重クロロホルム溶媒)を測定した結果は次の通りである。
Figure 0005305697
8.07ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(f)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.80ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(m)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.58ppmに水素原子1個分のトリプレットピークを観測し、(h)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.45ppmに水素原子2個分のトリプレットピークを観測し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。7.35ppmに水素原子2個分のダブレットピークを観測し、(n)のベンゼン環のプロトンに相当した。5.26ppmに水素原子1個分のダブルダブレットピークを観測し、(e)のメチン基のプロトンに相当した。4.82ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(b)のメチン基のプロトンに相当した。4.28−4.08ppmに水素原子5個分のマルチプレットピークを観測し、(c)(j)(k)のメチン基および(l)のメチレン基のプロトンに相当した。3.42ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(a)のメチル基のプロトンに相当した。2.44ppmに水素原子3個分のシングレットピークを観測し、(o)のメチル基のプロトンに相当した。2.29ppmに水素原子1個分のシングレットピークを観測し、(i)の水酸基のプロトンに相当した。2.09ppmに水素原子1個分のダブレットピークを観測し、(d)の水酸基のプロトンに相当した。また、マススペクトル(FAB−MS)を測定したところ、推定分子式C2124Sに水素原子1個を加えた推定分子式C2125S相当する計算値453.1219に対して、測定値453.1201となり、分子式の正当性を裏付けた。
上記の結果から、白色固体が、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−ガラクトピラノシドであることが明らかとなった。単離収率は、65%であった。また、この化合物の22℃の旋光度は[α] 22=+127.1(C=1.0、クロロホルム)であり、融点は66−68℃であった。
実施例
ジイソプロピルエチルアミンに代えてジイソプロピルメチルアミンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシドを210mg(収率93%)で取得した。
実施例
ジイソプロピルエチルアミンに代えてトリエチルアミンを用いた以外は実施例2と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシドを154mg(収率68%)で取得した。
参考例3
ジイソプロピルエチルアミンに代えてトリエチルアミンを用いた以外は参考例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシドを169mg(収率75%)で取得した。
参考例4
ジイソプロピルエチルアミンに代えてトリエチルアミンを用いた以外は参考例2と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−ガラクトピラノシドを138mg(収率61%)で取得した。
実施例
ジメチルジクロロ錫に代えてジブチル酸化錫を用いた以外は実施例2と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−マンノピラノシドを172mg(収率76%)で取得した。
参考例5
メチルジクロロ錫に代えてジブチル酸化錫を用いた以外は参考例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−ガラクトピラノシドを127mg(収率56%)で取得した。
参考例6
メチルジクロロ錫に代えてジブチル酸化錫を用いた以外は参考例2と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−ベンゾイル−O−p−トルエンスルホニル−α−D−ガラクトピラノシドを142mg(収率63%)で取得した。
比較例1
ジメチルジクロロ錫化合物を用いなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、1−メチル−O−p−トルエンスルホニル−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシドを取得することはできなかった。

Claims (1)

  1. ジアルキル錫化合物、及び塩基の存在下、下記一般式(II)
    Figure 0005305697
    (式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、アシル基、又はスルホニル基である。)
    で示されるα−D−マンノピラノシドエステル化合物と、上記一般式(II)のXがアシル基の場合にはスルホン酸ハライドとを反応させ、上記一般式(II)のXがスルホニル基の場合にはカルボン酸ハライドとを反応させることを特徴とする下記一般式(I)
    Figure 0005305697

    (式中、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、アシル基、又はスルホニル基であり、Yは、Xがアシル基の時はスルホニル基であり、Xがスルホニル基の時はアシル基である。)で示される、α−D−マンノピラノシド誘導体の製造方法。
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