JP5302737B2 - 凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラム - Google Patents

凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラム Download PDF

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本発明は、Al(アルミニウム)合金の鋳造品を鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムに関する。
Al合金の鋳塊などの鋳造品を鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れは、鋳造を経る工業製品の大きな欠点の一つである。この凝固割れは次のようにして発生すると考えられている。
Al合金はAlを主成分として、Fe、Si、Mn、Mg、Cu、Znなど様々な元素が添加されている。Al合金ではこれらの添加元素が溶質元素として共晶反応を伴うため、凝固過程で残留融液(液相)中に濃縮され易く、液相への元素の濃縮が進むにつれてAl合金の凝固温度が低下する。また、冷却過程では熱収縮に伴う熱応力が凝固過程の固相に発生するが、前記した元素が液相中に濃縮されて凝固温度が低下すると、冷却によって発生した熱収縮によるひずみによって割れが発生する。
なお、一般的に、凝固温度範囲が広いほど(凝固する際の温度変化量が大きいほど)凝固割れが生じ易いと考えられており、これが極力小さくなるような最適合金組成を定めることが望ましいとされているが、必ずしも凝固割れの発生を防止できるわけではない。
凝固割れが発生した鋳造品は、後工程への転用は極めて困難であることから、基本的にはスクラップとして再溶解せざるを得ず、甚大なロスを生むこととなる。従って、合金成分による凝固割れへの影響や、その鋳造工程の凝固割れ安全率の定量的な把握は、非常に重要であるため、凝固割れの難易を予測する方法の開発が望まれている。理想的には、製品開発時などに予め凝固割れの難易を予測することができ、凝固割れを未然に防止し得る最適な合金組成を予め見出したり、既存の合金組成からなる鋳造品の凝固割れの安全率を予め把握できたりする方法の開発が望まれている。
Al合金の鋳造品を鋳造するメーカーでは、凝固割れを防止すべく、連続鋳造の場合は鋳造速度を低下させたり、主にTiを含む微細化剤を添加させたりするなどしている。
例えば、特許文献1のように、連鋳条件、特に冷却方法の最適化を行ったり、特許文献2のように、熱・熱ひずみ解析を実施して割れ易さを把握したりする方法が用いられている。
また例えば、特許文献3のように、割れ難い合金成分とその組成を限定的に規制して用いている。
特開2000−107842号公報 特開2004−82150号公報 特開平7−157840号公報
しかしながら、連続鋳造で鋳造速度を低下させると鋳造品の生産性を低下させるおそれがあり、また、微細化剤を添加するとリサイクル性を低下させるおそれがある。
特許文献1、2の技術には、合金成分毎にその条件は異なってくるため、基本的には合金組成を変更するときに同様の手法で凝固割れのし易さを確認することが必要となる。
また、特許文献3の技術には、成分組成が限定的に規定されているので、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造することができない。
そして、これらの技術のいずれにおいても、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができない。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固割れの難易を予測することのできる凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムを提供することにある。
(1)前記課題を解決した本発明に係る凝固割れ予測方法は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び前記鋳造品の断面積を入力する入力ステップと、前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出ステップと、算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測(判定)する予測ステップと、前記予測ステップによって予測された結果を出力する出力ステップとを含むことを特徴としている。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測方法は、(式1-1)及び(式1-2)に示される計算式を算出して得られた結果が(式1-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、そのAl合金の添加元素の種類と含有量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積の関係が適切であり、当該Al合金は凝固割れ感受性が低いと判断(判定)できることから凝固割れし難いと予測することが可能である。
(2)本発明に係る凝固割れ予測方法は、汎用熱力学データベースを利用して前記温度変化量ΔTを算出する場合であって、前記Al合金が2元系以上のAl合金である場合は、前記汎用熱力学データベースの液相完全混合モデルであるScheilモジュールを用いて前記固相率が前記FsLのときの温度TFsL 、前記固相率が前記FsHのときの温度TFsH 、を算出するのが好ましい。
このようにすれば、Al合金が2元系以上の場合において、当該Al合金が凝固することによって固相率が変化する場合における固相率と温度の関係をより適切に算出することができる。そのため、温度変化量ΔTをより適切に算出することが可能となる。
(3)本発明においては、前記凝固割れが、表面割れであるのが好ましい。このようにすれば、凝固割れとして表面割れを適切に予測することができる。
(4)本発明に係る鋳造方法は、(1)から(3)のうちのいずれか1つに記載の凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、前記鋳造品の断面積、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を入力する入力ステップと、前記入力ステップで入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を記憶しておく記憶ステップと、前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出ステップと、算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測ステップと、前記予測ステップで凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、前記鋳造速度、及び前記断面積を、前記記憶ステップで記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定ステップと、前記再設定ステップで再設定した内容で前記算出ステップから再実行させる再実行ステップと、を含み、前記予測ステップで凝固割れし難いと予測された場合は、当該凝固割れし難いと予測された添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び断面積で鋳造品の鋳造を行うことを特徴としている。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
このようにすれば、鋳造品を鋳造する前に(式1-1)に基づいて算出される温度変化量ΔTと、断面積Sと、鋳造速度vとが、(式1-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって凝固割れの難易を予測し、Al合金が凝固割れし難いと予測されるようになるまで前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と含有量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積の調整を行うことができるので、凝固割れの発生を未然に防ぐことができる。
(5)本発明に係る凝固割れ予測装置は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び前記鋳造品の断面積を入力する入力手段と、前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段と、算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段とを有することを特徴としている。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測装置は、(式1-1)及び(式1-2)に示される計算式を算出して得られた結果が(式1-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、そのAl合金の添加元素の種類と添加量、鋳造速度及び鋳造品の断面積の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測することが可能である。
(6)本発明に係る凝固割れ予測装置は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、前記鋳造品の断面積、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を記憶しておく記憶手段と、前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段と、算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が、下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が、下記 (式1-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段と、前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、前記鋳造速度、及び前記断面積を、前記記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定手段と、前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実行手段と、前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段とを有することを特徴としている。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測装置は、(式1-1)及び(式1-2)に示される計算式を算出して得られた結果が(式1-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、そのAl合金の成分、組成、鋳造速度及び鋳造品の断面積の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測することが可能である。他方、凝固割れし易いと予測された場合、本発明に係る凝固割れ予測装置は、予め入力して記憶させておいたAl合金への添加が許容できる添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲内、鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲内で、添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を再設定した後、算出手段から再実行し、(式1-1)及び(式1-2)を算出することを繰り返すので、凝固割れし難いAl合金の添加元素の種類と含有量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を予測することが可能である。
(7)本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、コンピュータを、前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段、及び算出した前記温度変化量ΔTと、入力した鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段として機能させることを特徴としている。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、コンピュータに(式1-1)及び(式1-2)に示される計算式を算出するように機能させることで算出された結果が(式1-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、当該コンピュータにそのAl合金の添加元素の種類と添加量、鋳造速度及び鋳造品の断面積の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測させることが可能である。
(8)本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、コンピュータを、前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段、算出した前記温度変化量ΔTと、鋳造速度v(mm/min)と前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が、下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が下記(式1-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段、前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、前記鋳造速度、及び前記断面積を、予め入力手段によって入力され、記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定手段、及び
前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実手段として機能させることを特徴としている。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、コンピュータに(式1-1)及び(式1-2)に示される計算式を算出させることで算出された結果が(式1-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、当該コンピュータにそのAl合金の添加元素の種類と添加量、鋳造速度及び鋳造品の断面積の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測させることが可能である。他方、当該コンピュータによって凝固割れし易いと予測された場合、本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、予め入力して記憶させておいたAl合金への添加が許容できる添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲内、鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲内で添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を再設定した後、再度コンピュータに算出手段から再実行させ(式1-1)及び(式1-2)を算出することを繰り返させるので、凝固割れし難いAl合金の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を予測することが可能である。
(9)本発明に係る凝固割れ予測方法は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を入力する入力ステップと、前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出ステップと、算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測(判定)する予測ステップと、前記予測ステップによって予測された結果を出力する出力ステップを含むことを特徴としている。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測方法は、(式2-1)及び(式2-2)に示される計算式を算出して得られた結果が(式2-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、そのAl合金の添加元素の種類と含有量、及び鋳造速度の関係が適切であり、当該Al合金は凝固割れ感受性が低いと判断(判定)できることから凝固割れし難いと予測することが可能である。
(10)本発明に係る凝固割れ予測方法は、汎用熱力学データベースを利用して前記温度変化量を算出する場合であって、前記Al合金が2元系以上のAl合金である場合は、前記汎用熱力学データベースの液相完全混合モデルであるScheilモジュールを用いて前記固相率fsが前記FsLのときの∂T/∂fsと、前記固相率fsが前記FsHのときの∂T/∂fsと、を算出するのが好ましい。
このようにすれば、Al合金が2元系以上の場合において、当該Al合金が凝固することによって固相率が変化する場合における固相率と温度の関係をより適切に算出することができる。そのため、比Aをより適切に算出することが可能となる。
(11)本発明においては、前記凝固割れが、表面割れであるのが好ましい。このようにすれば、凝固割れとして表面割れを適切に予測することができる。
(12)本発明に係る鋳造方法は、(9)から(11)のうちのいずれか1つに記載の凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を入力する入力ステップと、前記入力ステップで入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を記憶しておく記憶ステップと、前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出ステップと、算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測ステップと、前記予測ステップで凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、及び前記鋳造速度を、前記記憶ステップで記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定ステップと、前記再設定ステップで再設定した内容で前記算出ステップから再実行させる再実行ステップと、を含み、前記予測ステップで凝固割れし難いと予測された場合は、当該凝固割れし難いと予測された添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度で鋳造品の鋳造を行うことを特徴としている。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
このようにすれば、鋳造品を鋳造する前に(式2-1)に基づいて算出される比Aと、鋳造速度vとの関係が(式2-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって凝固割れの難易を予測し、Al合金が凝固割れし難いと予測されるようになるまで前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と含有量、及び鋳造速度の調整を行うので、凝固割れの発生を未然に防ぐことができる。
(13)本発明に係る凝固割れ予測装置は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を入力する入力手段、前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段、算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段、前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段とを有することを特徴としている。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測装置は、(式2-1)及び(式2-2)に示される計算式を算出して得られた結果が(式2-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、そのAl合金の添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測することが可能である。
(14)本発明に係る凝固割れ予測装置は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を記憶しておく記憶手段と、前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段と、算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が、下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が下記(式2-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段と、前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、及び前記鋳造速度を、前記記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定手段と、前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実行手段と、前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段とを有することを特徴としている。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測装置は、(式2-1)及び(式2-2)に示される計算式を算出して得られた結果が(式2-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、そのAl合金の添加元素の種類と含有量、及び鋳造速度の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測することが可能である。他方、凝固割れし易いと予測された場合、本発明に係る凝固割れ予測装置は、予め入力して記憶させておいたAl合金への添加が許容できる添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲内で、添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を再設定した後、算出手段から再実行し、(式2-1)及び(式2-2)を算出することを繰り返すので、凝固割れし難いAl合金の添加元素の種類と含有量、及び鋳造速度を予測することが可能である。
(15)本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、コンピュータを、前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段、及び算出した前記比Aと入力した鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段として機能させることを特徴としている。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、コンピュータに(式2-1)及び(式2-2)に示される計算式を算出するように機能させることで算出された結果が(式2-2)に示される特定の関係式を満たす場合は、当該コンピュータにそのAl合金の添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測させることが可能である。
(16)本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、コンピュータを、前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段、算出した前記比Aと入力した鋳造速度v(mm/min)の関係が、下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が下記(式2-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段、前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、及び前記鋳造速度を、予め入力手段によって入力され、記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定手段、及び前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実行手段として機能させることを特徴としている。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
このように、本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、コンピュータに(式2-1)及び(式2-2)に示される計算式を算出させることで算出された結果が(式2-1)に示される特定の関係式を満たす場合は、当該コンピュータにそのAl合金の添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度の関係が適切であるため凝固割れし難いと予測させることが可能である。他方、当該コンピュータによって凝固割れし易いと予測された場合、本発明に係る凝固割れ予測プログラムは、予め入力して記憶させておいたAl合金への添加が許容できる添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲内で添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を再設定した後、再度コンピュータに算出手段から再実行させて(式2-1)及び(式2-2)を算出することを繰り返させるので、凝固割れし難いAl合金の添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を予測することが可能である。
本発明に係る凝固割れ予測方法によれば、(式1-1)に基づいて算出される温度変化量ΔTが(式1-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができる。
本発明に係る鋳造方法によれば、鋳造前に(式1-1)に基づいて算出される温度変化量ΔTが(式1-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって凝固割れの難易を予測し、かかる凝固割れが起こり難いと予測されるまでAl合金の添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積の調整を行うので、鋳造品を鋳造するにあたって凝固割れが発生するのを防ぐことができる。そのため、凝固割れの生じた鋳造品を再溶解して利用するというようなロスをなくすことができる。そのため、生産性を向上させることができる。
本発明に係る凝固割れ予測装置によれば、(式1-1)に基づいて算出される温度変化量ΔTが(式1-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができる。
また、本発明に係る凝固割れ予測装置によれば、予め入力したAl合金に添加する添加元素の種類と許容添加量の数値範囲内、鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲内で、添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を再設定し、再設定した内容で算出手段から再実行し、凝固割れし難いと予測されるまでこれを繰り返すため、凝固割れし難い添加元素の種類と添加量、及び凝固速度を予測することができる。
本発明に係る凝固割れ予測プログラムによれば、コンピュータを用いて、(式1-1)に基づいて算出される温度変化量ΔTが(式1-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができる。
また、本発明に係る凝固割れ予測プログラムによれば、コンピュータに、予め入力したAl合金に添加する添加元素の種類と許容添加量の数値範囲内、鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲内で、添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を再設定し、再設定した内容で算出手段から再実行し、凝固割れし難いと予測されるまでこれを繰り返させるため、凝固割れし難い添加元素の種類と添加量、凝固速度、及び鋳造品の断面積を予測させることができる。
本発明に係る凝固割れ予測方法によれば、(式2-1)に基づいて算出される比Aが(式2-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができる。
本発明に係る鋳造方法によれば、鋳造前に(式2-1)に基づいて算出される比Aが(式2-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって凝固割れの難易を予測し、かかる凝固割れが起こり難いと予測されるまでAl合金の添加元素と添加量、及び鋳造速度の調整を行うので、凝固割れの生じた鋳造品を再溶解して利用するというようなロスをなくすことができる。そのため、生産性を向上させることができる。
本発明に係る凝固割れ予測装置によれば、(式2-1)に基づいて算出される比Aが(式2-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断することによって、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができる。
また、本発明に係る凝固割れ予測装置によれば、予め入力したAl合金に添加する添加元素の種類と許容添加量の数値範囲内、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲内で、添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を再設定し、再設定した内容で算出手段から再実行し、凝固割れし難いと予測されるまでこれを繰り返すため、凝固割れし難い添加元素の種類と添加量、及び凝固速度を予測することができる。
本発明に係る凝固割れ予測プログラムによれば、コンピュータを用いて、(式2-1)に基づいて算出される比Aが(式2-2)に基づいて算出される特定の関係式を満たすか否かを判断させ、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測させることができる。
また、本発明に係る凝固割れ予測プログラムによれば、コンピュータに、予め入力したAl合金に添加する添加元素の種類と許容添加量の数値範囲内、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲内で、添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を再設定し、再設定した内容で算出手段から再実行し、凝固割れし難いと予測されるまでこれを繰り返させるため、凝固割れし難い添加元素の種類と添加量、及び凝固速度を予測させることができる。
Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にてDC鋳造する様子を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法のフローを示すフローチャートである。 図1の要部拡大部であって、DC鋳造で凝固割れが発生する様子を説明する説明図である。 第1実施形態における固相率と温度の関係を示すグラフである。 図3及び図4で示した領域I、領域II及び領域IIIにおける凝固割れの発生機序を説明する概念図である。 本発明の第1実施形態に係る鋳造方法のフローを示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測装置及び凝固割れ予測プログラムの一実施形態を説明するブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測装置及び凝固割れ予測プログラムの他の実施形態を説明するブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る凝固割れ予測方法のフローを示すフローチャートである。 第2実施形態における固相率と温度の関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る鋳造方法のフローを示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る凝固割れ予測装置及び凝固割れ予測プログラムの一実施形態を説明するブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る凝固割れ予測装置及び凝固割れ予測プログラムの他の実施形態を説明するブロック図である。 No.1〜18における凝固割れの有無をプロットしたグラフである。 No.19〜41における凝固割れの有無をプロットしたグラフである。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムについて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法は、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法である。
ここで、本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法の詳細について説明する前に、縦型直接水冷方式のDC鋳造について説明する。
図1に示すように、DC鋳造を行うDC鋳造装置1は、Al合金の溶湯2の入ったローンダー3と、ローンダー3の下に設けられ、Al合金の溶湯2を横方向に流すフロートシステムなどの湯面制御システム4と、湯面制御システム4を囲むようにして設けられた鋳型5と、鋳型5の下方に設けられ、図示しない油圧シリンダーによって下方に引き下げられるボトムブロック6とを含んで構成されている。前記した鋳型5内には冷却水7が満たされており、溶湯2を冷却することで鋳造品8が所定の形状を呈するようにしている。また、当該鋳型5の底部には、ボトムブロック6によって引き下げられたAl合金の鋳造品8に向けて冷却水7を吐出し、鋳造品8を冷却するための吐出部9が備えられている。鋳造品8が所定の長さになると、鋳型5への溶湯2の注入とボトムブロック6の引き下げを停止することで所定の形状、大きさを有する鋳造品8を製造している。なお、湯面制御システム4としては、図1に例示したフロートシステムだけではなく、湯面高さを検知して溶湯供給量を調整するノズルストッパシステム(図示せず)などを用いても構わない。
本発明に係る凝固割れ予測方法は、このようなDC鋳造をするにあたり、例えば、新規或いは所望する組成成分を有するAl合金を用いて鋳造品8を鋳造するのに先立って、当該Al合金からなる鋳造品8が凝固割れし難いものであるか否かを予測するための方法を提供するものである。
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法は、入力ステップS1と、算出ステップS2と、予測ステップS3と、出力ステップS4とを含み、この手順により行われる。
入力ステップS1では、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び前記鋳造品の断面積を入力する。なお、各温度におけるAl合金の固相率は、添加元素の種類と添加量によって決まる(より詳しくは、Al合金の固相率は、各温度において液相に残存している添加元素の残存量によって決まる。)。
そして、算出ステップS2で、Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する。
ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
但し、前記(式1-1)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、TFsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、TFsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表す。
なお、前記したように算出ステップS2では、Al合金の固相率が0.75±0.05のときの温度TFsLから固相率が0.95±0.03のときの温度TFsHまで変化するときの温度変化量ΔTを算出することとしている。
その理由としては、図3、図4及び図5に示すように、Al合金の固相率が0から0.75±0.05未満の領域Iでは、ひずみが発生して隙間が生じても未凝固の液相が多いため、生じた隙間に液相が容易に補給されるので凝固割れに至らないことによる。また、固相率が0.95±0.03を超えた領域IIIでは、ひずみが発生して隙間が生じた場合、生じた隙間に液相は補給されないものの、固相どうしが強固且つ複雑に絡み合うため、材料強度以下であれば熱収縮によるひずみが生じても容易に離れず、拘束点となり凝固割れし難くなることによる。ここで、図4における右肩下がりの曲線は液相線を表す。なお、液相線とは、液相部での平衡状態の液相線温度を結んだ線をいい、液相線温度とは液相部での平衡状態を保つことのできる温度をいう。液相線と固相率fs1.00とが交わる部分でAl合金が完全に固相状態となり、そのときの温度を固相線温度という。
そのため本発明においては、図4に示すように、Al合金の固相率が0.75±0.05から0.95±0.03の間の領域IIにおいて、固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから、固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔT(ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2})を評価指標とすることとした。固相率がこの範囲にあるときが凝固割れし易いので、当該範囲における鋳造品8の挙動を把握することで凝固割れの発生の難易を予測することが可能となるからである。
かかる温度変化量ΔTは、その値が大きいほど凝固割れし易く、小さいほど凝固割れし難くなる。それは、温度変化量ΔTが大きいと、添加された元素が液相中に濃縮されて凝固温度が低下し、凝固過程の固相に発生した熱応力によるひずみにより凝固割れが発生するからである。従って、温度変化量ΔT(式1-1)で算出し、これを評価指標とすることとした。
ここで、固相率FsLは0.75であるのが好ましく、固相率FsHは0.95であるのが好ましいが、これらの固相率をこのような数値調度にすることが困難となる場合も想定されるため、固相率FsLについては±0.05、固相率FsHについては±0.03というように幅を持たせることにしている。なお、固相率自体にこのような数値範囲で幅を持たせたことによって固相率FsLと固相率FsHの幅が0.2と異なった場合であっても、固相率FsLと固相率FsHの幅が1となるように(式1-1)の右辺の右項の分母により補正することで、適切な温度変化量ΔTを算出できるようにしている。
続く予測ステップS3では、算出した前記温度変化量ΔTと、入力した鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する。
ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
但し、前記(式1-2)において、Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、vは鋳造速度(mm/min)を表す。
ここで、(式1-1)及び(式1-2)について補足すると、液相から固相に変化するまでの凝固温度範囲が広い合金、すなわち、温度変化量ΔTが大きいFe、Si、Mn、Mg、Cu、Znなどの共晶の溶質元素が多く含まれる合金では、凝固時に溶質元素が残留融液に濃縮し易く、熱応力によるひずみに非常に弱い液相が低温まで残ることになる。そして、Al合金は広い温度域を経ることによって固相がより大きく収縮し、弱い液相にひずみが集中して凝固割れが生じ易くなる。そのため、前記したように温度変化量ΔTが大きければ凝固割れし易く、この温度変化量ΔTが小さければ凝固割れし難いことが予測される。
また、鋳造品8の凝固割れの難易は、鋳造速度vによっても影響を受ける。鋳造速度が速くなることにより、単位時間あたりに凝固させるAlの量が増加するため、凝固進行が遅く、凝固殻といわれる表面の凝固層が薄くなり、割れ易くなる。
この表面の凝固層の厚さは一般に凝固時間の平方根に比例し、また、凝固時間は速度の逆数に比例するため、凝固割れのし易さは鋳造速度の逆数に比例する。
従って、1/√v(v:鋳造速度(mm/min))に凝固割れ感度は比例することになる。
一方、鋳造品の断面積が大きくなるほど、ひずみ量が大きくなり凝固割れし易くなる。実験から凝固割れのし易さは鋳造品の断面積の対数値と良い相関関係を示すことが分かり、凝固割れの難易を予測するために1/logS(S:鋳造品の断面積(mm2))が重要となる。なお、かかる断面積は、鋳型への鋳湯の注入方向に対して垂直な方向の断面積とするのがよい。
従って、かかる温度変化量ΔTが(式1-2)に示す特定の関係式を満たすか否かを判断することにより、所望の合金成分からなるAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することができる。
なお、第1実施形態においては低い固相率と高い固相率の幅を0.2としており、通常、温度変化量ΔTは、単に低い固相率における温度と、高い固相率における温度との差を求めるだけで算出することができる。しかし、低い固相率と高い固相率における各温度を厳密に測定することが困難であることから、低い固相率については±0.05、高い固相率については±0.03という幅で許容できる範囲を設けている。
なお、このような所定の許容できる範囲を設けると、固相率の変化幅が温度変化量ΔTに与える影響が大きくなり、温度変化量ΔTを適切に算出することができなくなる。そのため、前記した(式1-1)の右辺のようにして適切な温度変化量ΔTを算出することとしている。
そして、前記したように本発明では、温度変化量ΔTが前記した(式1-2)を満たす場合、当該Al合金は鋳造条件の変化に伴う鋳造割れに対する感受性が低いと考えられるため、凝固割れし難いと予測することができる。これに対し、これらの関係が前記(式1-2)を満たさない場合、当該Al合金は鋳造条件の変化に伴う鋳造割れに対する感受性が高いと考えられるため、凝固割れし易いと予測することができる。
なお、(式1-2)における定数1660は実験的に求められたものであるので、これについては後述する。
そして、出力ステップS4では、予測ステップS3によって予測された結果、つまり、入力された添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積でAl合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造した場合の凝固過程で凝固割れし難いか否かをモニターやプリンターなどに出力する。
本発明の対象となるAl合金の鋳造品8としては、例えば、鋳造工程によって製造されるビレットやスラブ、インゴットなどの連続鋳造鋳塊が該当する。
用いられるAl合金としては、例えば、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Si−Cu系合金などを挙げることができる。
凝固する際の凝固過程は、自然放冷等の徐冷によるものや、水冷等の急冷によるもののいずれでもよい。
また、対象とする凝固割れとしては、鋳造品の表面で生じる表面割れを挙げることができる。
固相率と温度の関係は、熱分析などによって測定して求めてもよいが、前記したように固相率が0.75であるときの温度及び固相率が0.95であるときの温度を厳密に測定することは困難であるので、サーモカルクなどの汎用熱力学データベースを活用するのが好ましい。但し、凝固を伴う固相率の変化を考慮する必要があるため、液相完全混合モデル(固相内無拡散モデル)であるScheilの式又はScheilモジュールを活用することが好ましい。
Scheilの式は、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金などの2元系以下のAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測する場合に好適である。また、Scheilモジュールは、Al−Si−Mg系合金、Al−Si−Cu系合金などの3元系以上のAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測する場合に好適である。もちろんScheilモジュールは、2元系以下のAl合金の鋳造品を鋳造する際の凝固割れの難易を予測することもできる。
Scheilの式を下記(式4)及び(式5)に示す。
k=CS/CL ・・・(式4)
(但し、前記(式4)において、kは固液分配係数、CSは固相中の溶質濃度、CLは液相中の溶質濃度を示す。)
これを下記(式5)に代入することによって液相中の溶質濃度を求める。
L=C0×(1−fs)(k-1) ・・・(式5)
(但し、前記(式5)において、CLは液相中の溶質濃度、C0は初期液相中の溶質濃度、fsは固相率、kは固液分配係数を示す。)
そして、前記(式5)で求めた液相中の溶質濃度CLにおける液相線温度を、サーモカルクなどの汎用熱力学データベースから求める。このようにすれば、前記(式5)で求めた液相中の溶質濃度CLにおける液相線温度から、図4に示すグラフを参照するなどして、固相率fsと温度の関係を求めることが可能である。かかる算出手法は、急速凝固のように拡散が無視できる場合に好適に適用することができる。また、例えば、特開2005−62108号公報に記載の差分法によって固相率と温度の関係を求めることができれば更に好ましい。
また、Scheilモジュールは、前記した汎用熱力学データベースに記録されているデータをもとに、1℃温度を下げたときに液相が一部固相に変化した分を固相として加え、新たな濃度の液相を形成させ、そしてまた温度を下げていくということを繰り返していくことによって固相率がFsL近傍(例えば、固相率FsL±0.01の範囲)のときの温度TFsLの変化と、固相率がFsH近傍(例えば、固相率FsH±0.01の範囲)のときの温度TFsHの変化とを算出する手法である。
本発明に係る凝固割れ予測方法は以上に説明したとおりであるが、本発明を実施するにあたり、前記した各ステップに悪影響を与えない範囲において他のステップを含むようにすることもできる。例えば、算出ステップS2から予測ステップS3の間に、各ステップにおける算出結果を後記する記憶手段13(図7及び図8参照)に記憶させたり、記憶させた算出結果や前記した必要な情報を読み出したりする記憶読出しステップを含ませることができる。さらに、算出ステップS2から予測ステップS3を実施している途中で任意に算出を中止させたり一時停止させたりするキー入力を受け付けて各ステップにおける算出を中止させる中止ステップや、一時停止させる一時停止ステップなどを含ませることができる。
以上に説明した本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法は、Al合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法に好適に適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法は、図6に示すように、入力ステップS11と、記憶ステップS15と、算出ステップS2と、予測ステップS3と、再設定ステップS5と、再実行ステップS6とを含み、予測ステップS3で凝固割れし難いと予測された場合は、当該凝固割れし難いと予測された添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積で鋳造品の鋳造を行うというものである。
ここで、鋳造品を鋳造する鋳造条件自体は、通常行われる条件であれば問題なく適用することができる。
なお、本発明の鋳造方法における、算出ステップS2、及び予測ステップS3は、既に詳述した本発明に係る凝固割れ予測方法の算出ステップS2、及び予測ステップS3と同様であるため、これらについては重複する説明を省略することとする。
入力ステップS11は、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と所望の添加量、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲、鋳造品の断面積、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲を入力するステップである。なお、入力される内容が前記したものである点で、入力される内容がAl合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を入力する、凝固割れ予測方法に係る入力ステップS1と異なる。なお、添加元素の許容添加量とは、Al合金に添加することを許容できる添加量をいい、鋳造速度の許容速度とは、鋳造品を鋳造する速度として許容できる速度をいい、鋳造品の許容断面積とは、鋳造品について許容できる断面積をいう。
記憶ステップS15は、入力ステップS11で入力されたAl合金への添加を許容できる添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度の許容速度の数値範囲、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲を記憶するステップである。
再設定ステップS5は、予測ステップS3で凝固割れし易いと予測された場合に、添加元素の種類、添加元素の添加量の数値、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を、記憶ステップS15で記憶した添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲内、鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定するステップである。
これらの再設定は、鋳造速度の再設定と後記する再実行ステップS6の実行、鋳造品の断面積の再設定と後記する再実行ステップS6の実行、添加元素の添加量の再設定と後記する再実行ステップS6の実行、添加元素の種類の再設定と後記する再実行ステップS6の実行という順序で行うのが好ましい。このようにすれば所望の合金成分からの変更内容及びその程度を少なくすることができる。
鋳造速度の再設定は、記憶ステップS15で記憶した鋳造速度の許容速度の数値範囲内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS2、及び予測ステップS3を繰返し実行させるとよい。
鋳造品の断面積の再設定は、記憶ステップS15で記憶した鋳造品の許容断面積の数値範囲内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS2、及び予測ステップS3を繰返し実行させるとよい。
添加元素の添加量の再設定は、記憶ステップS15で記憶したAl合金への添加を許容できる添加元素の許容添加量の数値範囲内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS2、及び予測ステップS3を繰返し実行させるとよい。
添加元素の種類の再設定は、記憶ステップS15で記憶したAl合金への添加を許容できる添加元素の種類内で再設定し、当該再設定した元素について設定された許容添加量の数値内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS2、及び予測ステップS3を繰返し実行させるとよい。
なお、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類は、例えば、第1候補、第2候補…というように順位付けしておき、当該順位に従って添加元素を置換又は付加等して再設定するのが好ましい。ここで、添加元素の置換と付加は任意に設定できるようにするのが好ましい。このようにすれば、例えば、Al−Mn系合金からAl−Mg系合金へ、或いはAl−Mg系合金からAl−Mn系合金へ、又は、Al−Si−Mg系合金からAl−Si−Cu系合金へ、或いはAl−Si−Cu系合金からAl−Si−Mg系合金へというように添加元素を置換することができる。また、例えば、Al−Mg系合金からAl−Si−Mg系合金へというように添加元素を付加することができる。
なお、予測ステップS3で凝固割れし難いという予測結果が得られたら、その結果を出力して、本発明に係る鋳造方法を中止するようにしてもよい。
また、変更可能な最小数値単位は、算出に用いる装置や当該装置にインストールされているソフトウェアによって任意に設定し得るが、例えば、前記した許容添加量であれば0.0001質量%や0.001質量%、0.01質量%などとすることができ、前記した鋳造速度の許容速度であれば、1mm/minや0.1mm/minなどとすることができ、前記した鋳造品の許容断面積であれば、100mm2や10mm2などとすることができる。
なお、前記した再設定ステップS5における再設定の順序は、再設定するパラメータが添加元素の種類、添加元素の添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積の4つである場合に、添加元素の種類と添加元素の添加量及び鋳造品の断面積を固定して鋳造速度を再設定するものであるが、再設定ステップS5における再設定の順序はこれに限定されるものではない。例えば、添加元素の種類と鋳造速度及び鋳造品の断面積を固定して添加元素の添加量を再設定するようにしてもよく、添加元素の添加量と鋳造速度及び鋳造品の断面積を固定して添加元素の種類を再設定するようにしてもよい。また、添加元素の種類と添加量及び鋳造速度を固定して鋳造品の断面積を再設定するようにしてもよい。再設定の順序は、任意に決定することができる。
このようにすれば好適に再設定ステップS5を行うことができ、凝固割れ、特に表面割れの発生した鋳造品を鋳造するのを防止することが可能となる。これにより、生産性の低下やロスをなくすことができる。
続く再実行ステップS6は、再設定ステップS5で再設定した内容で前記した算出ステップS2から再実行させるステップである。
なお、本発明に係る鋳造方法は、合金組成以外にも鋳造速度によって制御することができるため、Al合金を用いた鋳造品の鋳造が、半連続鋳造(DC鋳造)で行われるものに適用することができる。つまり、(式1-2)の1660といった定数を変えることで、双ロール、双ベルト、プロペルチ等の連続鋳造や、金型、砂型などの鋳物にも(式1-2)の関係式を適用することができ、本発明に係る鋳造方法を適用することができる。連続鋳造における定数や、金型、砂型などの鋳物における定数は、実験により求めておけばよい。
次に、図7及び図8を参照して本発明に係る凝固割れ予測装置及び凝固割れ予測プログラムについて説明する。なお、(式1-1)及び(式1-2)など、既に詳述した内容については重複する説明を避けるためその詳細な説明を省略する。
図7に示すように、一実施形態に係る凝固割れ予測装置10は、所謂コンピュータであり、主として入力手段11と、制御部12と、記憶手段13と、出力手段14とを備えている。
入力手段11は、例えば、文字や数字を入力するキーボードなどであり、これによってAl合金への添加を許容できる添加元素の種類(つまり、Al合金の成分)と添加量、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲、鋳造品の断面積、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲といった情報をコンピュータに入力することができる。
制御部12は、所謂CPU(中央演算処理装置)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されており、プログラムによって様々な数値計算や情報処理、機器制御などを行うことができる。
従って、プログラムによってこの制御部12は、Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを前記した(式1-1)に基づいて算出する算出手段121、算出した温度変化量ΔTと、入力した鋳造速度v(mm/min)と入力した鋳造品の断面積S(mm2)の関係が前記した(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段122としてコンピュータを機能させることができ、当該コンピュータを凝固割れ予測装置10とすることができる。
記憶手段13は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)などの情報記録媒体であり、前記した(式1-1)及び(式1-2)を算出するためのプログラムや、算出手段121、予測手段122の実行に必要な、例えば、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と所望の添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積などの各種の情報、これらによって得られた算出結果などを必要に応じて記憶させたり読み出したりすることができる。
出力手段14は、例えば、モニターやプリンターなどであり、画面上又は紙面上に凝固割れの難易についての結果や、(式1-1)及び(式1-2)における算出結果、凝固割れし難い添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積などを必要に応じて表示することができる。
また、図8に示すように、他の実施形態に係る凝固割れ予測装置20も所謂コンピュータであり、主として入力手段11と、制御部22と、記憶手段13と、出力手段14とを備えている。
なお、入力手段11と、出力手段14は、一実施形態に係る凝固割れ予測装置10と同様であるので説明を省略し、主に制御部22について説明する。
なお、凝固割れ予測装置20における記憶手段13には、前記した(式1-1)及び(式1-2)を算出するためのプログラムや、後記する算出手段221、予測手段222、再設定手段223の実行に必要な、例えば、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と所望の添加量、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、鋳造速度の許容速度の数値範囲、鋳造品の断面積、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲などの各種の情報を当該プログラム実行前に予め記憶させておくことでこれらを任意に読み出すことができる。また、当該プログラムを実行することによって得られた算出結果などを必要に応じて記憶させたり読み出したりすることができる他、後記する再設定手段223で再設定した添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を記憶させたり読み出したりすることが可能である。
そして、制御部22は、前記した制御部12と同様、所謂CPUやRAM、ROMなどで構成されている。従って、プログラムによってこの制御部22は、Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを前記(式1-1)に基づいて算出する算出手段221、算出した前記温度変化量ΔTと、鋳造速度v(mm/min)と前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が、前記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が、前記(式1-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段222、この予測手段222で凝固割れし易いと予測された場合は、添加元素の種類、添加元素の添加量の数値、鋳造速度、及び鋳造品の断面積を、前記したように予め記憶手段13に記憶しておいたAl合金への添加を許容できる添加元素の種類内、添加元素の許容添加量の数値範囲内、鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定手段223、及びこの再設定手段223で再設定した内容で前記した算出手段221から予測手段222までを再実行させる再実行手段224としてコンピュータを機能させることができ、当該コンピュータを凝固割れ予測装置20とすることができる。
なお、再設定手段223で行う再設定は、本発明に係る凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法で述べた再設定ステップS5と同様の順序及び内容で行えばよいので詳細な説明を省略する。
<第2実施形態>
次いで、本発明の第2実施形態に係る凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムについて詳細に説明する。
本発明の第2実施形態に係る凝固割れ予測方法も、Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法である。なお、縦型直接水冷方式のDC鋳造装置1については、図1を参照して第1実施形態で詳述しているので説明を省略する。
第2実施形態に係る凝固割れ予測方法は図9に示すように、入力ステップS21と、算出ステップS22と、予測ステップS23と、出力ステップS24とを含み、この手順により行われる。
入力ステップS21では、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を入力する。
そして、算出ステップS22で、Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する。
A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
但し、前記(式2-1)において、FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、[∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表す。
なお、この第2実施形態でも低い固相率と高い固相率の幅を0.2としており、低い固相率と高い固相率における各温度を厳密に測定することが困難であることから、低い固相率については±0.05、高い固相率については±0.03という幅で許容できる範囲を設けており、固相率FsLは0.75であるのが好ましく、固相率FsHは0.95であるのが好ましい点は、第1実施形態と同じである。
ここで、図10における右肩下がりの曲線は液相線を表す。なお、液相線とは、液相部での平衡状態の液相線温度を結んだ線をいい、液相線温度とは液相部での平衡状態を保つことのできる温度をいう。液相線と固相率fs1.00とが交わる部分でAl合金が完全に固相状態となり、そのときの温度を固相線温度という。
固相率がこの範囲にあるときが凝固割れし易いので、当該範囲における鋳造品8の挙動を把握することで凝固割れの発生の難易を予測することが可能となる。
かかる比Aは、その値が大きいほど凝固割れし易く、小さいほど凝固割れし難くなる。それは、固相率の高い凝固した部分よりも少し内側の、固相率が低く温度の高い部分が拘束部となって、内側が凝固する際に、固相率の高い凝固した部分がその熱収縮を妨げることになるため、かかる熱収縮によって固相率の高い凝固した部分に凝固割れが生じるからである。
図5に示して既に説明したように、固相率が0.75以上となると凝固の際に生じた隙間に液相が供給され難くなる。これはすなわち、これ以上の固相率では温度変化に伴う熱収縮による体積変化しか生じないことを意味している。凝固する際は図3の左図に示すように、鋳造品の表面の近くにある、領域II内の固相率が0.95近傍である固相率の高い部分と、鋳造品の内側にある、領域II内の固相率が0.75近傍である部分とが隣り合うことになる。
この隣り合った部分では、凝固時の熱流束の差がないことから、両領域II,IIIの単位時間、単位質量当たりの熱量の減量は同等と考えられる。
一方で、液相から固相へ変化するときの温度変化は主に凝固潜熱に支配され、その凝固潜熱量は固相率変化に比例するため、鋳造品の表面の近くにある、領域II内の固相率が0.95近傍である部分と、鋳造品の内側にある、領域II内の固相率が0.75近傍である部分との固相率変化は同じ速度と考えられる。
同じ量の固相率変化が起こったとしても、領域II内の固相率が0.75近傍である部分よりも領域II内の固相率が0.95近傍である部分の方が、温度降下量が大きくなる。すなわち、図3の右図の最下段図に示すように、領域II内の固相率が0.95近傍である部分の方が、熱収縮が大きくなり凝固割れし易くなるということである。
また、領域II内の固相率が0.75近傍である部分と領域II内の固相率が0.95近傍である部分が隣り合う部分における熱収縮量差が大きくなる程、熱収縮が大きい領域II内の固相率が0.95近傍である部分の方(鋳造品の表面に近い方)が凝固割れし易くなる。
従って、第2実施形態においては、図10に示すように、Al合金の固相率fsがFsLであるとき、つまり、前記した固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点であるときの温度変化量と、Al合金の固相率fsがFsHであるとき、つまり、前記した固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点であるときの温度変化量との比Aの値が大きくなるほど凝固割れし易く、小さいほど凝固割れし難くなる。従って、かかる比A(A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL)を評価指標とすることとした。
また、鋳造速度が速くなるほど凝固層の厚さが薄くなり、隣り合う領域II内の固相率が0.75近傍である部分と領域II内の固相率が0.95近傍である固相率の高い部分が近づくことから、より固相率の高い部分の方(鋳造品の表面に近い方)に歪みがたまり、凝固割れし易くなる。
従って、凝固層の厚さは一般に凝固時間の平方根に比例し、また、凝固時間は速度の逆数に比例するため、凝固割れのし易さは鋳造速度の逆数に比例する。つまり、凝固割れの難易は、凝固層の厚さを表す1/√vに比例することになる。しかし、局所的な歪み現象であるため、鋳造品の断面積との相関を得ることはできない。
続く予測ステップS23では、算出した比Aと入力した鋳造速度v(mm/min)の関係が下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する。
A≦121/√v ・・・(式2-2)
但し、前記(式2-2)において、vは、鋳造速度(mm/min)を表す。
よって、前記した比Aが(式2-2)を満たす場合、当該Al合金は鋳造条件の変化に伴う鋳造割れに対する感受性が低いと考えられるため、凝固割れし難いと予測することができる。これに対し、これらの関係が前記(式2-2)を満たさない場合、当該Al合金は鋳造条件の変化に伴う鋳造割れに対する感受性が高いと考えられるため、凝固割れし易いと予測することができる。
なお、(式2-2)における定数121は実験的に求められたものであるので、これについては後述する。
そして、出力ステップS24では、予測ステップS23によって予測された結果、つまり、入力された添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度でAl合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造した場合の凝固過程で凝固割れし難いか否かをモニターやプリンターなどに出力する。
本発明の対象となるAl合金の鋳造品8としては、例えば、鋳造工程によって製造されるビレットやスラブ、インゴットなどの連続鋳造鋳塊が該当する。
用いられるAl合金としては、例えば、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Si−Cu系合金などを挙げることができる。
凝固する際の凝固過程は、自然放冷等の徐冷によるものや、水冷等の急冷によるもののいずれでもよい点、及び、対象とする凝固割れとしては、鋳造品の表面で生じる表面割れを挙げることができる点は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態に係る凝固割れ予測方法においても、Al合金が2元系以上のAl合金である場合は、比Aを液相完全混合モデルであるScheilの式又はScheilモジュールを用いて算出するのが好ましい。
液相完全混合モデルであるScheilの式又はScheilモジュールを用いて比Aを算出すると、固相率がFsL近傍(例えば、固相率FsL±0.01の範囲)のときの∂T/∂fsと、固相率がFsH近傍(例えば、固相率FsH±0.01の範囲)のときの∂T/∂fsとを好適に算出することができる。なお、比Aを液相完全混合モデルであるScheilの式又はScheilモジュールを用いて算出することが好ましいことは、第1実施形態に係る凝固割れ予測方法で説明したのと同様であるのでその説明を省略する。
以上に説明した本発明の第2実施形態に係る凝固割れ予測方法は、Al合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法に好適に適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法は、図11に示すように、入力ステップS211と、記憶ステップS215と、算出ステップS22と、予測ステップS23と、再設定ステップS25と、再実行ステップS26とを含み、予測ステップS23で凝固割れし難いと予測された場合は、当該凝固割れし難いと予測された添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度で鋳造品の鋳造を行うというものである。
ここで、鋳造品を鋳造する鋳造条件自体は、通常行われる条件であれば問題なく適用することができることは第1実施形態と同様である。
なお、本発明の鋳造方法における、算出ステップS22、及び予測ステップS23は、既に詳述した本発明に係る凝固割れ予測方法の算出ステップS22、及び予測ステップS23と同様であるため、これらについては重複する説明を省略することとする。
入力ステップS211は、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲を入力するステップである。なお、入力される内容が前記したものである点で、入力される内容がAl合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度である入力ステップS21と異なる。なお、添加元素の許容添加量とは、Al合金に添加することを許容できる添加量をいい、鋳造速度の許容速度とは、鋳造品を鋳造する速度として許容できる速度をいう。
記憶ステップS215は、入力ステップS211で入力されたAl合金への添加を許容できる添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲を記憶するステップである。
再設定ステップS25は、予測ステップS23で凝固割れし易いと予測された場合に、添加元素の種類、添加元素の添加量の数値、及び鋳造速度を、記憶ステップS215で記憶した添加元素の種類、添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定するステップである。
これらの再設定は、鋳造速度の再設定と後記する再実行ステップS26の実行、添加元素の添加量の再設定と後記する再実行ステップS26の実行、添加元素の種類の再設定と後記する再実行ステップS26の実行という順序で行うのが好ましい。このようにすれば所望の合金成分からの変更内容及びその程度を少なくすることができる。
鋳造速度の再設定は、記憶ステップS215で記憶した鋳造速度の許容速度の数値範囲内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS22、及び予測ステップS23を繰返し実行させるとよい。
添加元素の添加量の再設定は、記憶ステップS215で記憶したAl合金への添加を許容できる添加元素の許容添加量の数値範囲内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS22、及び予測ステップS23を繰返し実行させるとよい。
添加元素の種類の再設定は、記憶ステップS215で記憶したAl合金への添加を許容できる添加元素の種類内で再設定し、当該再設定した元素について設定された許容添加量の数値内における最大値又は最小値から、変更可能な最小数値単位でもって順次数値を減少又は増加させ、その内容で逐次前記した算出ステップS22、及び予測ステップS23を繰返し実行させるとよい。
なお、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類は、例えば、第1候補、第2候補…というように順位付けしておき、当該順位に従って添加元素を置換又は付加等して再設定するのが好ましい。ここで、添加元素の置換と付加は任意に設定できるようにするのが好ましい。このようにすれば、例えば、Al−Mn系合金からAl−Mg系合金へ、或いはAl−Mg系合金からAl−Mn系合金へ、又は、Al−Si−Mg系合金からAl−Si−Cu系合金へ、或いはAl−Si−Cu系合金からAl−Si−Mg系合金へというように添加元素を置換することができる。また、例えば、Al−Mg系合金からAl−Si−Mg系合金へというように添加元素を付加することができる。
なお、予測ステップS23で凝固割れし難いという予測結果が得られたら、その結果を出力して、本発明に係る鋳造方法を中止するようにしてもよい。
また、変更可能な最小数値単位は、算出に用いる装置や当該装置にインストールされているソフトウェアによって任意に設定し得るが、例えば、許容添加量であれば0.0001質量%や0.001質量%、0.01質量%などとすることができ、鋳造速度の許容速度であれば、1mm/minや0.1mm/minなどとすることができる。
なお、前記した再設定ステップS25における再設定の順序は、再設定するパラメータが添加元素の種類、添加元素の添加量、及び鋳造速度の3つである場合に、添加元素の種類と添加元素の添加量を固定して鋳造速度を再設定するものであるが、再設定ステップS25における再設定の順序はこれに限定されるものではない。例えば、添加元素の種類と鋳造速度を固定して添加元素の添加量を再設定するようにしてもよく、添加元素の添加量と鋳造速度を固定して添加元素の種類を再設定するようにしてもよい。再設定の順序は、任意に決定することができる。
このようにすれば好適に再設定ステップS25を行うことができ、凝固割れ、特に表面割れの発生した鋳造品を鋳造するのを防止することが可能となる。これにより、生産性の低下やロスをなくすことができる。
続く再実行ステップS26は、再設定ステップS25で再設定した内容で前記した算出ステップS22から再実行させるステップである。
なお、本発明に係る鋳造方法は、合金組成以外にも鋳造速度によって制御することができるため、Al合金を用いた鋳造品の鋳造が、半連続鋳造(DC鋳造)で行われるものに適用することができる。つまり、(式2-2)の121といった定数を変えることで、双ロール、双ベルト、プロペルチ等の連続鋳造や金型、砂型などの鋳物にも(式2-2)の関係式を適用することができ、本発明に係る鋳造方法を適用することができる。連続鋳造における定数や、金型、砂型などの鋳物における定数は、実験により求めておけばよい。
次に、図12及び図13を参照して本発明に係る凝固割れ予測装置及び凝固割れ予測プログラムについて説明する。なお、(式2-1)及び(式2-2)など、既に詳述した内容については重複する説明を避けるためその詳細な説明を省略する。
図12に示すように、一実施形態に係る凝固割れ予測装置30は、所謂コンピュータであり、主として入力手段11と、制御部32と、記憶手段13と、出力手段14とを備えている。
入力手段11は、例えば、文字や数字を入力するキーボードなどであり、これによってAl合金への添加を許容できる添加元素の種類(つまり、Al合金の成分)と添加量、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲といった情報をコンピュータに入力することができる。
制御部12は、所謂CPU(中央演算処理装置)やRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されており、プログラムによって様々な数値計算や情報処理、機器制御などを行うことができる。
従って、プログラムによってこの制御部32は、Al合金の固相率がFsL(0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率)のときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率がFsH(0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率)のときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を前記した(式2-1)に基づいて算出する算出手段321、算出した前記比Aと入力した鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段322としてコンピュータを機能させることができ、当該コンピュータを凝固割れ予測装置30とすることができる。
記憶手段13は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)などの情報記録媒体であり、前記した(式2-1)及び(式2-2)を算出するためのプログラムや、算出手段321、予測手段322の実行に必要な、例えば、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と所望の添加量、及び鋳造速度などの各種の情報、これらによって得られた算出結果などを必要に応じて記憶させたり読み出したりすることができる。
出力手段14は、例えば、モニターやプリンターなどであり、画面上又は紙面上に凝固割れの難易についての結果や、(式2-1)及び(式2-2)における算出結果、凝固割れし難い添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度などを必要に応じて表示することができる。
また、図13に示すように、他の実施形態に係る凝固割れ予測装置40も所謂コンピュータであり、主として入力手段11と、制御部42と、記憶手段13と、出力手段14とを備えている。
なお、入力手段11と、出力手段14は、一実施形態に係る凝固割れ予測装置30と同様であるので説明を省略し、主に制御部42について説明する。
なお、凝固割れ予測装置40における記憶手段13には、前記した(式2-1)及び(式2-2)を算出するためのプログラムや、後記する算出手段421、予測手段422、再設定手段423の実行に必要な、例えば、Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と所望の添加量、添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲などの各種の情報を当該プログラム実行前に予め記憶させておくことでこれらを任意に読み出すことができる。また、当該プログラムを実行することによって得られた算出結果などを必要に応じて記憶させたり読み出したりすることができる他、後記する再設定手段423で再設定した添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を記憶させたり読み出したりすることが可能である。
そして、制御部42は、前記した制御部32と同様、所謂CPUやRAM、ROMなどで構成されている。従って、プログラムによってこの制御部42は、Al合金の固相率がFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率がFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を前記した(式2-1)に基づいて算出する算出手段221、算出した前記温度変化量ΔTと、鋳造速度v(mm/min)と前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が、前記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が、前記した(式2-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段422、この予測手段422で凝固割れし易いと予測された場合は、添加元素の種類、添加元素の添加量の数値、及び鋳造速度を、前記したように予め記憶手段13に記憶しておいたAl合金への添加を許容できる添加元素の種類内、添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定手段423、及びこの再設定手段423で再設定した内容で前記した算出手段421から予測手段422までを再実行させる再実行手段424としてコンピュータを機能させることができ、当該コンピュータを凝固割れ予測装置40とすることができる。
なお、再設定手段423で行う再設定は、本発明に係る凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法で述べた再設定ステップS25と同様の順序及び内容で行えばよいので詳細な説明を省略する。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
Al合金の鋳造品を鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れを検証するため、表1に示す合金組成からなる(1)〜(18)の合金番号のAl合金を用意した。
Figure 0005302737
〔1〕第1実施例
第1実施例では、表1に示す(1)〜(18)のAl合金のいずれかと、下記表2に示すA〜Eの鋳造条件と、下記《鋳造条件》に記載した共通する鋳造条件とにより、下記表3に示すNo.1〜18に係る試験片を作製した。なお、下記表2には、A〜Eの鋳造条件とともに、鋳造速度とこれの平方根及び鋳造品の断面積とこれの対数(log)、及びlogS・√vを併せて記載している。
《鋳造条件》
・鋳造方式:縦型DC鋳造
・冷却水:0.55リットル/min・cm
Figure 0005302737
Figure 0005302737
作製したNo.1〜18に係る試験片の鋳造結果(凝固割れの有無)を、表面をカラーチェックすることによって確認した。
カラーチェックは、KOHZAI社製のミクロチェック洗浄液、ミクロチェック浸透液(赤色液)、及びミクロチェック現像液(白)を使用した。具体的には、ミクロチェック洗浄液で表面を洗浄した後、ミクロチェック浸透液(赤色液)を吹きつけて浸透させ、ミクロチェック洗浄液で再洗浄した後、ミクロチェック現像液(白)を吹きつけて目視観察することにより行った。目視観察で浸透液が赤く染みしたところを凝固割れ(表面割れ)が生じていると判断した。かかる鋳造結果(凝固割れの有無)を合金組成及び条件ともに表3及び図14に示した。凝固割れが生じていないものを合格として「○」で表し、凝固割れが生じていたものを不合格として「×」で表した。
図14に示すように、ある境界線を境にして凝固割れし難くなることがわかる。なお、同図中、横軸は1660/(logS・√v)を算出した値であり、縦軸は温度変化量ΔTである。
凝固割れが生じていないNo.1〜3の試験片と、凝固割れが生じていたNo.4〜18の試験片との関係を、熱力学データベースThermo-calc(CRC総合研究所製)を用いて各Al合金の固相率が0.75(すなわち、固相率FsL)から固相率が0.95(すなわち、固相率FsH)まで変化するときの温度変化量ΔTと、鋳造速度vと入力した前記鋳造品の断面積Sの関係を算出した。そして、これらを解析したところ、ΔTと比較する1660/(logS・√v)の値に強い相関関係があることが分かった。下記表4にその結果を示す。なお、表4には、ΔT・logS・√vも併せて記載している。
Figure 0005302737
表4に示すように、No.1〜3については、温度変化量ΔT≦1660/(logS・√v)の関係が成り立つこと、及び予測結果として割れ難いといえることが分かった。
一方、No.4〜18については、温度変化量ΔT≦1660/(logS・√v)の関係が成り立たないこと、及び予測結果として割れる(割れ易い)といえることが分かった。
〔2〕第2実施例
次に、第2実施例では、前記表1に示した(1)〜(18)のAl合金のいずれかと、前記表2に示したA〜Eの鋳造条件と、前記《鋳造条件》に記載した共通する鋳造条件とにより、下記表5に示すNo.19〜41に係る試験片を作製した。なお、No.27〜41は、第1実施例のNo.12〜26と同じ合金成分及び鋳造条件で鋳造したものである。
作製したNo.19〜41に係る試験片の鋳造結果(凝固割れの有無)を、表面をカラーチェックすることによって確認した。カラーチェックは、前記した第1実施例に記載した手順で行った。また、合否の基準も第1実施例と同様とした。下記表5及び図15に鋳造結果(凝固割れの有無)として示した。
Figure 0005302737
図15に示すように、ある境界線を境にして凝固割れし難くなることがわかる。なお、同図中、横軸は121/√vを算出した値であり、縦軸は比Aである。
凝固割れが生じていないNo.19〜26の試験片と、凝固割れが生じていたNo.27〜41の試験片との関係を、熱力学データベースThermo-calc(CRC総合研究所製)を用いて各Al合金の固相率が0.75(すなわち、固相率FsL)のときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率が0.95(すなわち、固相率FsH)のときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aと、鋳造速度vとの関係を算出した。そして、これらを解析したところ、比Aと比較する121/√vの値に強い相関関係があることが分かった。下記表6にその結果を示す。なお、表6には、ΔT・logS・√vも併せて記載している。
Figure 0005302737
表6及び図15に示すように、No.19〜26については、A≦121/√vの関係が成り立つこと、及び予測結果として割れ難いといえることが分かった。
一方、No.27〜41については、A≦121/√vの関係が成り立たないこと、及び予測結果として割れ易いといえることが分かった。
以上、本発明の凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムについて、発明を実施するための形態および実施例を示して具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に何ら限定されるものではなく、その権利範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、当業者であれば、本明細書の発明を実施するための最良の形態および実施例の記載に基づいて容易に変更、改変して本発明の凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムと均等な方法を得ることができ、そのようなものも本発明の凝固割れ予測方法、これを用いた鋳造方法、凝固割れ予測装置、及び凝固割れ予測プログラムに含まれる。
S1 入力ステップ
S2 算出ステップ
S3 予測ステップ
S4 出力ステップ
I,II,III 領域
S11 入力ステップ
S15 記憶ステップ
S5 再設定ステップ
S6 再実行ステップ
1 DC鋳造装置
2 溶湯
3 ローンダー
4 湯面制御システム
5 鋳型
6 ボトムブロック
7 冷却水
8 鋳造品
9 吐出部
10 予測装置
11 入力手段
12 制御部
121 算出手段
122 予測手段
13 記憶手段
14 出力手段
20 予測装置
22 制御部
221 算出手段
222 予測手段
223 再設定手段
224 再実行手段
S21 入力ステップ
S22 算出ステップ
S23 予測ステップ
S24 出力ステップ
S25 再設定ステップ
S26 再実行ステップ
S211 入力ステップ
S215 記憶ステップ
30 予測装置
32 制御部
321 算出手段
322 予測手段
40 予測装置
42 制御部
421 算出手段
422 予測手段
423 再設定手段
424 再実行手段

Claims (16)

  1. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び前記鋳造品の断面積を入力する入力ステップと、
    前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出ステップと、
    算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測ステップと、
    前記予測ステップによって予測された結果を出力する出力ステップと、
    を含むことを特徴とする凝固割れ予測方法。
    ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
    ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
    (但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、
    FsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、
    Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、
    vは鋳造速度(mm/min)を表す。)
  2. 汎用熱力学データベースを利用して前記温度変化量ΔTを算出する場合であって、
    前記Al合金が2元系以上のAl合金である場合は、前記汎用熱力学データベースの液相完全混合モデルであるScheilモジュールを用いて前記固相率が前記FsLのときの温度TFsL 、前記固相率が前記FsHのときの温度TFsH 、を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の凝固割れ予測方法。
  3. 前記凝固割れが、表面割れであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の凝固割れ予測方法。
  4. 請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、前記鋳造品の断面積、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を入力する入力ステップと、
    前記入力ステップで入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を記憶しておく記憶ステップと、
    前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出ステップと、
    算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測ステップと、
    前記予測ステップで凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、前記鋳造速度、及び前記断面積を、前記記憶ステップで記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定ステップと、
    前記再設定ステップで再設定した内容で前記算出ステップから再実行させる再実行ステップと、を含み、
    前記予測ステップで凝固割れし難いと予測された場合は、当該凝固割れし難いと予測された添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び断面積で鋳造品の鋳造を行う
    ことを特徴とする鋳造方法。
    ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
    ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
    (但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、
    FsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、
    Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、
    vは鋳造速度(mm/min)を表す。)
  5. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、鋳造速度、及び前記鋳造品の断面積を入力する入力手段と、
    前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段と、
    算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段と、
    前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする凝固割れ予測装置。
    ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
    ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
    (但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、
    FsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、
    Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、
    vは鋳造速度(mm/min)を表す。)
  6. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、前記鋳造品の断面積、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を入力する入力手段と、
    前記入力手段で入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲を記憶しておく記憶手段と、
    前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段と、
    算出した前記温度変化量ΔTと、入力した前記鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が、下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が、下記(式1-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段と、
    前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、前記鋳造速度、及び前記断面積を、前記記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定手段と、
    前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実行手段と、
    前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする凝固割れ予測装置。
    ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
    ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
    (但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、
    FsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、
    Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、
    vは鋳造速度(mm/min)を表す。)
  7. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段、及び
    算出した前記温度変化量ΔTと、入力した鋳造速度v(mm/min)と入力した前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段
    として機能させることを特徴とする凝固割れ予測プログラム。
    ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
    ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
    (但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、
    FsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、
    Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、
    vは鋳造速度(mm/min)を表す。)
  8. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記Al合金の固相率が0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率FsLから前記固相率が0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率FsHまで変化するときの温度変化量ΔTを下記(式1-1)に基づいて算出する算出手段、
    算出した前記温度変化量ΔTと、鋳造速度v(mm/min)と前記鋳造品の断面積S(mm2)の関係が、下記(式1-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が下記(式1-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段、
    前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、前記鋳造速度、及び前記断面積を、予め入力手段によって入力され、記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内、及び前記鋳造品の許容断面積の数値範囲内で再設定する再設定手段、及び
    前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実手段
    として機能させることを特徴とする凝固割れ予測プログラム。
    ΔT=(TFsL−TFsH)×{(FsH−FsL)/0.2} ・・・(式1-1)
    ΔT≦1660/(logS・√v) ・・・(式1-2)
    (但し、前記(式1-1)及び前記(式1-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsLは、固相率が前記FsLであるときの温度を表し、
    FsHは、固相率が前記FsHであるときの温度を表し、
    Sは鋳造品の断面積(mm2)を表し、
    vは鋳造速度(mm/min)を表す。)
  9. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測方法であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を入力する入力ステップと、
    前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出ステップと、
    算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測ステップと、
    前記予測ステップによって予測された結果を出力する出力ステップと、
    を含むことを特徴とする凝固割れ予測方法。
    A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
    A≦121/√v ・・・(式2-2)
    (但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    [∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、
    vは、鋳造速度(mm/min)を表す。)
  10. 汎用熱力学データベースを利用して前記温度変化量を算出する場合であって、
    前記Al合金が2元系以上のAl合金である場合は、前記汎用熱力学データベースの液相完全混合モデルであるScheilモジュールを用いて前記固相率fsが前記FsLのときの∂T/∂fsと、前記固相率fsが前記FsHのときの∂T/∂fsと、を算出する
    ことを特徴とする請求項9に記載の凝固割れ予測方法。
  11. 前記凝固割れが、表面割れであることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の凝固割れ予測方法。
  12. 請求項9から請求項11のうちのいずれか1項に記載の凝固割れ予測方法を用いてAl合金の鋳造品を鋳造する鋳造方法であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を入力する入力ステップと、
    前記入力ステップで入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を記憶しておく記憶ステップと、
    前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出ステップと、
    算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測ステップと、
    前記予測ステップで凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、及び前記鋳造速度を、前記記憶ステップで記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定ステップと、
    前記再設定ステップで再設定した内容で前記算出ステップから再実行させる再実行ステップと、を含み、
    前記予測ステップで凝固割れし難いと予測された場合は、当該凝固割れし難いと予測された添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度で鋳造品の鋳造を行う
    ことを特徴とする鋳造方法。
    A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
    A≦121/√v ・・・(式2-2)
    (但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    [∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、
    vは、鋳造速度(mm/min)を表す。)
  13. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、及び鋳造速度を入力する入力手段、
    前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段、
    算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段、
    前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする凝固割れ予測装置。
    A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
    A≦121/√v ・・・(式2-2)
    (但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    [∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、
    vは、鋳造速度(mm/min)を表す。)
  14. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測装置であって、
    前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類と添加量、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、鋳造速度、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を入力する入力手段と、
    前記入力手段で入力された前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲を記憶しておく記憶手段と、
    前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段と、
    算出した前記比Aと入力した前記鋳造速度v(mm/min)の関係が、下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が下記(式2-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段と、
    前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、及び前記鋳造速度を、前記記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定手段と、
    前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実行手段と、
    前記予測手段によって予測された結果を出力する出力手段と、
    を有することを特徴とする凝固割れ予測装置。
    A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
    A≦121/√v ・・・(式2-2)
    (但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    [∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、
    vは、鋳造速度(mm/min)を表す。)
  15. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段、及び
    算出した前記比Aと入力した鋳造速度v(mm/min)の関係が(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測する予測手段
    として機能させることを特徴とする凝固割れ予測プログラム。
    A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
    A≦121/√v ・・・(式2-2)
    (但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    [∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、
    vは、鋳造速度(mm/min)を表す。)
  16. Al合金の鋳造品を縦型直接水冷方式にて半連続鋳造する際の凝固過程でみられる凝固割れの難易を予測するための凝固割れ予測プログラムであって、
    コンピュータを、
    前記Al合金の固相率fsがFsLのときの単位固相率あたりの温度変化量と、固相率fsがFsHのときの単位固相率あたりの温度変化量との比Aの算出を下記(式2-1)に基づいて算出する算出手段、
    算出した前記比Aと入力した鋳造速度v(mm/min)の関係が、下記(式2-2)を満たす場合に凝固割れし難いと予測し、これらの関係が下記(式2-2)を満たさない場合に凝固割れし易いと予測する予測手段、
    前記予測手段で凝固割れし易いと予測された場合は、前記Al合金への添加を許容できる添加元素の種類、前記添加元素の添加量の数値、及び前記鋳造速度を、予め入力手段によって入力され、記憶手段で記憶した前記添加元素の種類、前記添加元素の許容添加量の数値範囲内、及び前記鋳造速度の許容速度の数値範囲内で再設定する再設定手段、及び
    前記再設定手段で再設定した内容で前記算出手段から再実行させる再実行手段
    として機能させることを特徴とする凝固割れ予測プログラム。
    A=[∂T/∂fs]fs=FsH/[∂T/∂fs]fs=FsL ・・・(式2-1)
    A≦121/√v ・・・(式2-2)
    (但し、前記(式2-1)及び前記(式2-2)において、
    FsLは、0.75±0.05の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    FsHは、0.95±0.03の間におけるいずれか一点の固相率を表し、
    [∂T/∂fs]は、fsによって与えられる単位固相率あたりの温度変化量を表し、
    vは、鋳造速度(mm/min)を表す。)
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