JP5279283B2 - 液体組成物、画像形成方法、カートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
前記変性シロキサン化合物が、下記式(1)で表される変性シロキサン化合物、下記式(2)で表される変性シロキサン化合物、及び下記式(3)で表される変性シロキサン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記樹脂が、酸価が90mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)が1.0cal0.5/cm1.5以上3.7cal0.5/cm1.5以下である樹脂A、及び、酸価が150mgKOH/gを超えて200mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)が1.0cal0.5/cm1.5以上1.5cal0.5/cm1.5以下である樹脂B、の少なくとも1種の樹脂であり、前記樹脂が、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方のモノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、及びn−へキシルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーと、を少なくとも用いて共重合された樹脂であることを特徴とする。
(式(1)で表される変性シロキサン化合物の重量平均分子量は8,000以上30,000以下であり、式(1)中、R1は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R2は水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、mは1以上250以下、nは1以上100以下、aは1以上100以下、bは0以上100以下である。)
(式(2)で表される変性シロキサン化合物の重量平均分子量は8,000以上50,000未満であり、式(2)中、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、R4は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、pは1以上450以下、cは1以上250以下、dは0以上100以下である。)
(式(3)で表される変性シロキサン化合物は、重量平均分子量が8,000以上50,000未満、かつHLBが1以上7未満であり、式(3)中、R5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、R6は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、qは1以上100以下、rは1以上100以下、eは1以上100以下、fは0以上100以下である。)
以下、本発明の液体組成物を構成する各成分について説明する。なお、本発明の液体組成物は、実質的に無色又は淡色であることが好ましい。ここで、「実質的に無色又は淡色であること」とは、インクで形成した画像を含む領域に液体組成物を付与した場合に、画像濃度が実質的に低下しないことを意味する。より具体的には、液体組成物が、400nm乃至700nmの可視領域に極大吸収波長を有さないことが好ましく、かかる条件を満たす液体組成物が多少濁ったような状態であってもよい。また、液体組成物を付与した画像の画像濃度と、付与していない画像の画像濃度の差が、0.3以下、さらには0.1以下となるようにすることが好ましい。本発明の液体組成物がこのような特性を有することは、例えば、液体組成物が色材を含有しないことで達成することができる。
本発明の液体組成物に用いる変性シロキサン化合物は、下記式(1)で表される変性シロキサン化合物、下記式(2)で表される変性シロキサン化合物、及び下記式(3)で表される変性シロキサン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
(式(1)で表される変性シロキサン化合物の重量平均分子量は8,000以上30,000以下である。式(1)中、R1は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R2は水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、mは1以上250以下、nは1以上100以下、aは1以上100以下、bは0以上100以下である。)
本発明で使用する上記式(1)で表される化合物は、下記式で表されるような2種の化合物の付加反応で得られる。すなわち、n個のSiに結合したn個の水素原子を有するポリシロキサンと、末端に1のアルケン基と、エチレンオキサイドユニット及び/又はプロピレンオキサイドユニットとをもつ構造の化合物との付加反応で得られる。具体的には、ポリシロキサンの水素原子に、アルケン基が付加することで得られる。これらの式中のmは1以上250以下、nは1以上100以下、aは1以上100以下、bは0以上100以下である。Rは、炭素数1以上20以下のアルケン基である。
(式(2)で表される変性シロキサン化合物の重量平均分子量は8,000以上50,000未満である。式(2)中、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、R4は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、pは1以上450以下、cは1以上250以下、dは0以上100以下である。)
本発明で使用する上記式(2)で表される化合物は、下記式で表されるような2種の化合物の付加反応で得られる。すなわち、両末端のSiに水素原子を有するポリシロキサンと、末端に1のアルケン基と、エチレンオキサイドユニット及び/又はプロピレンオキサイドユニットとをもつ構造の化合物との付加反応で得られる。具体的には、ポリシロキサンの水素原子に、アルケン基が付加することで得られる。これらの式中のpは1以上450以下、cは1以上250以下、dは0以上100以下である。Rは、炭素数1以上20以下のアルケン基である。
(式(3)で表される変性シロキサン化合物は、重量平均分子量が8,000以上50,000未満、かつHLBが1以上7未満である。式(3)中、R5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、R6は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、qは1以上100以下、rは1以上100以下、eは1以上100以下、fは0以上100以下である。)
本発明で使用する上記式(3)で表される化合物は、下記式で表されるような2種の化合物の付加反応で得られる。すなわち、両末端のSiに水素原子を有するポリシロキサンと、両末端のアルケン基と、エチレンオキサイドユニット及び/又はプロピレンオキサイドユニットとをもつ構造の化合物との付加反応で得られる。具体的には、ポリシロキサンの水素原子に、アルケン基が付加することで得られる。これらの式中のqは1以上100以下、rは1以上100以下、eは1以上100以下、fは0以上100以下である。Rは、炭素数1以上20以下のアルケン基である。
本発明の液体組成物に用いる樹脂は、先に述べたように、液体組成物を記録媒体に付与した後に記録媒体上に残り、ある程度の強度を有する膜を形成することができる樹脂であれば、いずれのものも用いることができる。しかし、本発明者らの検討の結果、インクジェット用とした場合に特に問題となる樹脂に起因する吐出口の濡れ現象を抑制するためには、以下のような特性を有する樹脂A及び樹脂Bの少なくとも1種の樹脂を用いることが最適であることがわかった。
本発明の液体組成物には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。液体組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
本発明の液体組成物には、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。液体組成物中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
以下、本発明の画像形成方法などにおいて、上記本発明の液体組成物と共に用いる顔料インクを構成する各成分について説明する。
<顔料>
インクには、分散剤を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合した顔料(樹脂結合型自己分散顔料)、顔料の分散性を高めて分散剤などを用いることなく分散可能としたマイクロカプセル型顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
インクには、樹脂を用いてもよい。樹脂としては、顔料を水性媒体中に分散するための分散剤として用いても、又はインクに添加するだけでもよい。このときの樹脂は、いずれのものも用いることができるが、本発明の目的である耐擦過性を得るためには、以下に示すような特性を有する樹脂を用いることが好ましい。すなわち、本発明にかかる液体組成物に用いる樹脂、つまり、液体組成物を記録媒体に付与した後に記録媒体上に残り、ある程度の強度を有する膜を形成することができる樹脂を用いることが好ましい。さらには、液体組成物とインクとを組み合わせて用いる場合に、これらの液体組成物とインクとに用いる樹脂を揃えることが特に好ましい。特に、液体組成物とインクとに用いる樹脂が同じものである、つまり樹脂の特性(酸価や樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh))が同じであることが好ましい。これらのような場合、インクに用いる樹脂は、上記で説明した本発明の液体組成物に用いることができる樹脂と同様の特性を有するものとすることができる。
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
インクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの保湿性固形分を含有してもよい。インク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明の液体組成物は、インクと組み合わせて液体組成物とインクとのセットとしても用いることができる。
本発明の画像形成方法は、(i)液体組成物を記録媒体に付与する工程、及び、(ii)顔料インクを記録媒体に付与する工程、を有することを特徴とする。特には、上記工程(i)及び(ii)を記録媒体上で前記液体組成物及び前記顔料インクが互いに接触するように行うことが好ましい。かかる構成により、インクで形成した画像の耐擦過性が、記録媒体の非記録部に傷が付く程の強い圧力で画像を引っ掻いた場合でも色材が削れ落ちることがない、高いレベルの優れた耐擦過性を実現したものとなる。
本発明の液体組成物は、インク及び液体組成物をインクジェット方法で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に適用することが特に好ましい。インクジェット記録方法は、インク及び液体組成物に力学的エネルギーを作用させることによりインク及び液体組成物を吐出する記録方法や、インク及び液体組成物に熱エネルギーを作用させることによりインク及び液体組成物を吐出する記録方法などがある。特に、本発明の液体組成物は、熱エネルギーを利用したインクジェット記録方法に特に好ましく適用することができる。
本発明のカートリッジは、液体組成物を収容する液体組成物収容部を備えてなるものであり、前記液体組成物収容部に収容されている液体組成物が、上記本発明の液体組成物であることを特徴とする。
本発明の記録ユニットは、液体組成物を収容する液体組成物収容部と、液体組成物を吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、前記液体組成物収容部に収容されている液体組成物が、上記本発明の液体組成物であることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、液体組成物に熱エネルギーを作用させることにより液体組成物を吐出する記録ユニットであることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録装置は、液体組成物を収容する液体組成物収容部と、液体組成物を吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、前記収容部に収容されている液体組成物が、上記本発明の液体組成物であることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、液体組成物に熱エネルギーを作用させることにより液体組成物を吐出するインクジェット記録装置であることがより好ましい。
表1に記載のモノマー組成で共重合して得た樹脂1〜28の各樹脂(各樹脂の重量平均分子量は表1に記載)にイオン交換水を加え、各樹脂の固形分濃度が10質量%である樹脂水溶液1〜28を調製した。なお、各樹脂は、共重合体を10質量%の水酸化カリウム水溶液で中和して得られたものを用いた。表中のモノマーは略記したが、それぞれ下記のものを示す。
St:スチレン
α−MSt:α−メチルスチレン
BZMA:ベンジルメタクリレート
nBA:n−ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
「樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)」は、下記のようにして求めた。先ず、対象とする樹脂を構成する各モノマーについて、モノマー固有の溶解度パラメーターより、樹脂を構成する各モノマーの水素結合項(δh)を算出する。次に、上記で得られた樹脂を構成する各モノマーの水素結合項(δh)に、樹脂を構成する各モノマーの組成(質量)比(合計を1とした組成比)をかけた値を求める。次に、これらの値を足し合わせることにより、樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項を求めることができる。表2に、樹脂水溶液の調製で用いた各樹脂について、樹脂を構成するモノマー固有の溶解度パラメーターより算出された各モノマーの水素結合項(δh)の値を示した。
(*2)樹脂における、スチレンを基準としたn−ブチルアクリレートの質量比率
(*3)樹脂における、スチレンを基準としたα−メチルスチレンの質量比率
(顔料分散液1の調製)
顔料:10部、表1に記載のモノマーで構成される樹脂11:5部、及びイオン交換水:85部を混合し、バッチ式縦型サンドミルで3時間分散して、顔料分散液1を調製した。なお、顔料には、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた。また、樹脂11は、共重合体を10質量%水酸化カリウム水溶液で中和して得られたものを用いた。得られた分散液は、ポアサイズ2.5μmのフィルター(製品名:HDCII;日本ポール製)にて加圧ろ過した。この分散液に水を加え、顔料濃度10質量%、樹脂濃度5質量%の顔料分散液1を調製した。
樹脂11の代わりに、表1に記載のモノマーで構成される樹脂13を用いること以外は顔料分散液1と同様にして、顔料濃度10質量%、樹脂濃度5質量%の顔料分散液2を調製した。
樹脂11の代わりに、表1に記載のモノマーで構成される樹脂18を用いること以外は顔料分散液1と同様にして、顔料濃度10質量%、樹脂濃度5質量%の顔料分散液3を調製した。
下記の合成例にしたがって、変性シロキサン化合物である化合物1〜12をそれぞれ合成した。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物1を合成した。前記容器中で、下記式(A)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(B)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物1を合成した。得られた化合物1は、式(1)で表される変性シロキサン化合物に該当し、重量平均分子量8,500、HLB5(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物1は、式(1)中の、m=73、n=6、R1=プロピレン基、a=8、b=0、R2=水素原子である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物2を合成した。前記容器中で、下記式(C)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(D)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物2を合成した。得られた化合物2は式(1)で表される変性シロキサン化合物に該当し、重量平均分子量29,400、HLB5(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物2は、式(1)中の、m=245、n=28、R1=プロピレン基、a=6、b=0、R2=水素原子である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物3を合成した。前記容器中で、下記式(E)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(B)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物3を合成した。得られた化合物3は式(1)で表される変性シロキサン化合物の比較化合物であり、重量平均分子量7,400、HLB5(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物3は、式(1)中の、m=65、n=5、R1=プロピレン基、a=8、b=0、R2=水素原子である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物4を合成した。前記容器中で、下記式(F)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(G)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物4を合成した。得られた化合物4は式(2)で表される変性シロキサン化合物に該当し、重量平均分子量47,000、HLB9(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物4は、式(2)中の、p=349、R3=水素原子、R4=プロピレン基、c=240、d=0である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物5を合成した。前記容器中で、下記式(H)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(I)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物5を合成した。得られた化合物5は式(2)で表される変性シロキサン化合物の比較化合物であり、重量平均分子量7,700、HLB7(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物5は、式(2)中の、p=64、R3=水素原子、R4=プロピレン基、c=30、d=0である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物6を合成した。前記容器中で、下記式(J)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(K)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物6を合成した。得られた化合物6は式(2)で表される変性シロキサン化合物の比較化合物であり、重量平均分子量50,400、HLB7(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物6は、式(2)中の、p=439、R3=水素原子、R4=プロピレン基、c=200、d=0である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物7を合成した。前記容器中で、下記式(L)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(M)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物7を合成した。得られた化合物7は式(3)で表される変性シロキサン化合物に該当し、重量平均分子量49,000、HLB6(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物7は、式(3)中の、q=7、R5=プロピレン基、R6=プロピレン基、e=6、f=0、r=52である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物8を合成した。前記容器中で、下記式(N)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(O)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物8を合成した。得られた化合物8は式(3)で表される変性シロキサン化合物に該当し、重量平均分子量8,800、HLB6(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物8は、式(3)中の、q=23、R5=プロピレン基、R6=プロピレン基、e=18、f=0、r=3である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物9を合成した。前記容器中で、下記式(P)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(O)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物9を合成した。得られた化合物9は式(3)で表される変性シロキサン化合物の比較化合物であり、重量平均分子量49,000、HLB7(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物9は、式(3)中の、q=18、R5=プロピレン基、R6=プロピレン基、e=18、f=0、r=21である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物10を合成した。前記容器中で、下記式(Q)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(O)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物10を合成した。得られた化合物10は式(3)で表される変性シロキサン化合物の比較化合物であり、重量平均分子量55,000、HLB6(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物10は、式(3)中の、q=24、R5=プロピレン基、R6=プロピレン基、e=18、f=0、r=20である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物11を合成した。前記容器中で、下記式(R)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(S)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物11を合成した。得られた化合物11は式(3)で表される変性シロキサン化合物に該当し、重量平均分子量8,800、HLB1(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物11は、式(3)中の、q=16、R5=プロピレン基、R6=プロピレン基、e=2、f=0、r=6である構造をもつ。
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器を用いて、下記のようにして化合物12を合成した。前記容器中で、下記式(T)で表されるポリシロキサン化合物及び下記式(U)で表されるポリオキシエチレン化合物を主原料として、白金触媒の存在下で付加反応して、化合物12を合成した。得られた化合物12は式(3)で表される変性シロキサン化合物の比較化合物であり、重量平均分子量7,800、HLB6(理論値)、水に対する溶解度が1%以下であった。化合物12は、式(3)中の、q=8、R5=プロピレン基、R6=プロピレン基、e=7、f=0、r=7である構造をもつ。
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:テトラヒドロフラン(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製)
(分子量:7500000、2560000、841700、377400、320000、210500、148000、96000、59500、50400、28500、20650、10850、5460、2930、1300、580の17種。)
上記で調製した樹脂水溶液及び合成した変性シロキサン化合物又は市販の変性シロキサン化合物を含む下記表4−1〜4−16に示す各成分を用いて各液体組成物を調製した。具体的には、表4−1〜4−16に示す各成分を表に示した組成で混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのフィルター(製品名:HDCII;ポール製)にて加圧ろ過を行って各液体組成物を調製した。なお、表4−1〜4−16中、MWとあるのは、重量平均分子量のことである。
下記表5に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのフィルター(製品名:HDCII;ポール製)にて加圧ろ過を行い、インク1〜3を調製した。
(保存安定性)
上記で得られた各液体組成物をテフロン(登録商標)製の容器に入れ、温度60℃で1ヶ月保存した。その後、常温に戻した液体組成物の状態と、保存前の液体組成物の状態を目視で確認して、保存安定性の評価を行った。保存安定性の評価基準は下記の通りである。結果を表6−1〜6−4に示した。
A:液体組成物の透明度が、保存前後で変化しなかった。
B:液体組成物の透明度が、保存前後で変化しなかったが、保存後の液体組成物に浮遊物が多少あった。
C:保存後に、テフロン(登録商標)製の容器内に析出物が発生した。
上記で得られた各液体組成物を、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS850i;キヤノン製)用のインクカートリッジに充填し、前記インクジェット記録装置を改造したもののシアンインクの位置にセットした。そして、オフィスプランナー(キヤノン製)に、記録デューティが50%で、18cm×24cmの画像を、デフォルトモードで3枚記録した。この際、1枚記録するごとに1回の割合で、PIXUS850iのワイパーブレードを用いて、記録ヘッド表面のクリーニング操作を行った。その後、CF102(キヤノン製)に、PIXUS850iのノズルチェックパターンを記録した。この時の記録ヘッド表面の状態を目視で確認して、フェイス面の状態の評価を行った。フェイス面の状態の評価基準は下記の通りである。結果を表6−1〜6−4に示した。また、上記で得られたノズルチェックパターンを目視で確認して、吐出安定性の評価を行った。吐出安定性の評価基準は下記の通りである。評価結果を表6−1〜6−4に示した。
A:吐出口の周辺に液体組成物がほとんど存在しなかった。
B:吐出口の周辺に液体組成物の液滴が多少存在していた。
C:吐出口の周辺に帯状に液体組成物の液膜が存在していた。
A:ノズルチェックパターンに乱れがなく正常に記録できた。
B:ノズルチェックパターンに若干の乱れがあったが、不吐出はなかった。
C:ノズルチェックパターンにはっきりとした不吐出や乱れがあり、正常に記録できなかった。
上記で得られた各液体組成物と各インクとを下記表6−1〜6−4に示すように併用して、下記のようにして画像(基準評価画像)を形成した。液体組成物及びインクをそれぞれインクジェット記録装置(商品名:BJF900;キヤノン製)用のインクカートリッジに充填し、液体組成物を前記インクジェット記録装置のイエローインクの位置、また、インクをマゼンタインクの位置にセットした。そして、インクを用いて、吐出量4.5ng、解像度1,200dpi×1,200dpi、8パス片方向記録で記録デューティが100%である画像を形成した。また、上記のようにしてインクを記録媒体に付与した後に、インクで形成した画像の領域及びその周辺に、吐出量4.5ng、解像度1,200dpi×1,200dpi、8パス片方向記録で記録デューティを50%として液体組成物を付与した。得られた記録物を室温で1日放置した後、画像を、記録媒体の非記録部に傷が付く程の強い圧力を加えて爪で引っ掻いた。この記録物を目視で確認して、耐擦過性の評価を行った。耐擦過性の評価基準は下記の通りである。結果を表6−1〜6−4に示した。
A:画像の表面に爪跡が残らなかった。
B:画像の表面に爪跡が残るが、記録媒体から色材が削れ落ちなかった。
C:画像の表面に爪跡が残り、かつ、記録媒体から色材がわずかに削れ落ちた。
D:記録媒体の表面が露出することはないが、明らかに色材が削れ落ちた。
E:画像を軽く触れる程度では問題がないレベルであるが、記録媒体の非記録部に傷が付くほどの強い圧力で引っ掻くと、記録媒体の表面が見える程度に色材が削れ落ちた。
上記で得られた記録物(基準評価画像)の画像領域における動摩擦係数を、下記のようにして測定した。具体的には、この基準評価画像の画像領域における、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の樹脂ボールに対する動摩擦係数を、表面性試験機(製品名:ヘイドン トライボギア TYPE14DR;新東科学製)を用いて測定した。PMMA樹脂ボールに付加する垂直荷重を50g、移動速度を2mm/secとし、移動時にPMMA樹脂ボールの移動方向へ作用する水平力をロードセルにより計測し、垂直荷重力に対する水平力の比率を動摩擦係数として算出した。得られた動摩擦係数の値を表6−1〜6−4に示した。
2−2:サンプル
2−3:摩擦物
2−4:分銅
2−5:天秤機構
2−6:ロードセル
13:記録ヘッド
14:ノズル
15:発熱素子基板
16:保護層
17−1、17−2:電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出口
23:メニスカス
24:インク滴
25:記録媒体
26:マルチノズル
27:ガラス板
28:記録ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:記録ヘッド
72:大気連通口
80:インク流路
81:オリフィスプレート
82:振動板
83:圧電素子
84:基板
85:吐出口
Claims (15)
- 少なくとも、変性シロキサン化合物、及び樹脂を含有する液体組成物であって、
前記変性シロキサン化合物が、下記式(1)で表される変性シロキサン化合物、下記式(2)で表される変性シロキサン化合物、及び下記式(3)で表される変性シロキサン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記樹脂が、酸価が90mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)が1.0cal0.5/cm1.5以上3.7cal0.5/cm1.5以下である樹脂A、及び、酸価が150mgKOH/gを超えて200mgKOH/g以下であり、かつ、樹脂を構成するモノマーの溶解度パラメーターより算出される樹脂の水素結合項(δh)が1.0cal0.5/cm1.5以上1.5cal0.5/cm1.5以下である樹脂B、の少なくとも1種の樹脂であり、
前記樹脂が、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方のモノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、及びn−へキシルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーと、を少なくとも用いて共重合された樹脂であることを特徴とする液体組成物。
(式(1)で表される変性シロキサン化合物の重量平均分子量は8,000以上30,000以下であり、式(1)中、R1は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R2は水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、mは1以上250以下、nは1以上100以下、aは1以上100以下、bは0以上100以下である。)
(式(2)で表される変性シロキサン化合物の重量平均分子量は8,000以上50,000未満であり、式(2)中、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、R4は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、pは1以上450以下、cは1以上250以下、dは0以上100以下である。)
(式(3)で表される変性シロキサン化合物は、重量平均分子量が8,000以上50,000未満、かつHLBが1以上7未満であり、式(3)中、R5はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、R6は炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、qは1以上100以下、rは1以上100以下、eは1以上100以下、fは0以上100以下である。) - 色材を含有しない請求項1に記載の液体組成物。
- 前記式(1)で表される変性シロキサン化合物のHLBが、5以上11以下である請求項1又は2に記載の液体組成物。
- 前記樹脂Aを構成するモノマーが、スチレン、n−ブチルアクリレート、及びベンジルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体組成物。
- 前記樹脂Bを構成するモノマーが、スチレン、及びα−メチルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体組成物。
- 前記樹脂の液体組成物中における含有量(質量%)が、液体組成物全質量を基準として、2.5質量%以上4.0質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体組成物。
- 前記変性シロキサン化合物の含有量(質量%)が、液体組成物全質量を基準として、0.5質量%以上3.0質量%未満である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体組成物。
- 前記液体組成物が、さらに水を含有し、前記水の液体組成物中における含有量(質量%)が液体組成物全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体組成物。
- 顔料インクを記録媒体に付与する工程、及び、液体組成物を記録媒体に付与する工程、を有する画像形成方法であって、
前記液体組成物として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体組成物を用いることを特徴とする画像形成方法。 - 顔料インクを記録媒体に付与する工程の後に、液体組成物を記録媒体に付与する工程を行う請求項9に記載の画像形成方法。
- 前記顔料インクとして、顔料、及び、酸価が90mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の樹脂を含有するインクを用いる請求項9又は10に記載の画像形成方法。
- 前記顔料インクと前記液体組成物とをインクジェット方法で記録媒体に付与する請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 液体組成物を収容する液体組成物収容部を備えてなるカートリッジであって、
前記液体組成物収容部に収容されている液体組成物が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体組成物であることを特徴とするカートリッジ。 - 液体組成物を収容する液体組成物収容部と、液体組成物を吐出する記録ヘッドとを備えてなる記録ユニットであって、
前記液体組成物収容部に収容されている液体組成物が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体組成物であることを特徴とする記録ユニット。 - 液体組成物を収容する液体組成物収容部と、液体組成物を吐出する記録ヘッドとを備えてなるインクジェット記録装置であって、
前記液体組成物収容部に収容されている液体組成物が、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体組成物であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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