JP5239562B2 - 加工性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、厳しい形状にプレス成形されることが要求される自動車部品などに用いて好適な加工性、特に伸びフランジ性に優れる引張強度(TS)が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。
なお、本発明における溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を施した、いわゆる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を含むものである。
自動車部品などに用いられる高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、その用途の特性上、高強度に加えて加工性に優れていることが要求される。近年、車体軽量化による燃費向上および衝突安全性確保の観点から高強度の鋼板が自動車車体に求められ適用が拡大している。また、従来は軽加工主体であったが、複雑形状への適用も検討され始めている。
しかしながら、鋼板の高強度化に伴い加工性は一般に低下する傾向にあり、高強度鋼板を適用する際の最大の課題として、プレス成形時における割れが挙げられる。従って、部品形状に応じて伸びフランジ性などの加工性を向上させることが要求されている。
上記の要請に応えるべく、例えば特許文献1〜6には、鋼成分や組織の限定、熱延条件や焼鈍条件の最適化などにより、加工性が高く高強度の溶融亜鉛めっき鋼板を得る方法が提案されている。
特開平6−93340号公報 特開平9−25537号公報 特開2002−317245号公報 特許第3296599号公報 特許第3812279号公報 特開2004−211138号公報
また、特許文献7には、連続鋳造後のスラブの冷却速度を制御することによりMnのミクロ偏析を小さくし、耐食性、伸びおよび穴拡げ性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る方法が提案されている。
特開2007−70659号公報
上掲した特許文献のうち、特許文献1には、伸びフランジ性に優れるCrおよびCaを添加した鋼について開示されているが、マルテンサイト相を焼戻すための特別な熱処理設備を必要とする。
特許文献2にはCrおよびCaを、特許文献3および5にはCrを添加した鋼が開示されているが、伸びフランジ性については何ら記載がない。
特許文献4には、Crを添加した鋼について開示されているが、引張強度TSが590MPa達していない。
特許文献6には、CrおよびCaを添加した鋼について開示されているが、結晶粒径を超微細化することによって疲労特性を改善するものであり、伸びフランジ性については何ら記載がない。
特許文献7には、連続鋳造後のスラブの平均冷却速度を100℃/分以上とすることが開示されているが、スラブ厚を薄くすることや、通常のスラブのうち冷却速度の速い表層部を切り出して用いる等が必要であり、生産性が低く、高コストとなるなどの問題があった。
本発明は、上記の課題を有利に解決するもので、加工性、特に伸びフランジ性に優れる引張強度(TS)が590MPa以上の溶融亜鉛めっき鋼板を、その有利な製造方法とともに提供することを目的とする。
なお、本発明において、伸びフランジ性に優れるとは、TS×λ≧44000MPa・%を満足することであるものとする。
発明者らは、上記の課題を解決すべく鋼板の成分組成および組織について鋭意検討を重ねた。その結果、鋼板中のC、Si、PおよびSの含有量を低減し、CrおよびCaを含有させることにより、フェライト粒径を最適化するとともに、MnSの大きさと個数を制限することによって、優れた加工性、特に伸びフランジ性に優れる引張強度(TS)が590MPa以上の溶融亜鉛めっき鋼板が得られることを見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.06〜0.09%、
Si:0.1%以下、
Mn:1.5〜2.0%、
P:0.020%以下、
S:0.0020%以下、
Al:0.005〜0.050%、
N:0.0050%以下、
Cr:0.05〜0.4%、
Ti:0.005〜0.020%、
Nb:0.005〜0.050%および
Ca:0.0001〜0.0020%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、鋼板組織が、体積分率で、80〜90%のフェライト相、10%以上のマルテンサイト相および5%以下(0%を含む)の残部組織からなり、該フェライト相の平均結晶粒径が5〜10μmであり、さらに該鋼板組織中に存在するMnSの個数が500個/mm2以下、かつ該MnSの大きさが長径で50μm以下であることを特徴とする加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
2.前記鋼板がさらに、質量%で、
B:0.0001〜0.0030%
を含有することを特徴とする上記1に記載の加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
3.質量%で、
C:0.06〜0.09%、
Si:0.1%以下
Mn:1.5〜2.0%、
P:0.020%以下、
S:0.0020%以下、
Al:0.005〜0.050%、
N:0.0050%以下、
Cr:0.05〜0.4%、
Ti:0.005〜0.020%、
Nb:0.005〜0.050%および
Ca:0.0001〜0.0020%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを鋳造した後、該鋼スラブを熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延し、ついで溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、
該鋼スラブの鋳造速度を1.0mpm以下とし、該鋼スラブを1150〜1300℃に加熱し、熱間仕上げ圧延温度を850〜950℃、熱間仕上げ圧延の最終1パスの圧下率を20%以下として熱延板とし、引き続き該熱延板を[A変態点−150℃]〜[A変態点+50℃](ただし、熱間仕上げ圧延温度以下)の温度域における平均冷却速度:5〜200℃/秒で冷却し、巻取り温度:600℃以下でコイルに巻取り、酸洗後、冷間圧延して冷延板とし、該冷延板を200℃から焼鈍温度までの平均昇温速度:1℃/秒以上で加熱し、800〜900℃の焼鈍温度に10〜500秒保持した後、450〜650℃の温度域の冷却停止温度まで2〜50℃/秒の平均冷却速度にて冷却し、ついで10〜50秒の間空冷した後、溶融亜鉛めっきを施し、あるいはさらに合金化処理を施した後、1〜50℃/秒の平均冷却速度で200℃以下まで冷却することを特徴とする加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
4.上記鋼スラブがさらに、質量%で、
B:0.0001〜0.0030%
を含有することを特徴とする上記3に記載の加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、加工性、特に伸びフランジ性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼板の成分組成を上記のように限定した理由について述べる。なお、以下の成分組成を表す%は質量%を意味するものとする。
C:0.06〜0.09%
オーステナイト相から変態生成するマルテンサイト相の強度は、鋼中の元素の中で主としてC量に比例する傾向がある。C量が0.06%未満の場合、590MPa以上の引張強度(TS)を得ることができない。一方、C量が0.09%を超えると、マルテンサイト相が過度に硬質化する、あるいはマルテンサイト相以外に、一層硬質な残留オーステナイトが生成することにより、伸びフランジ性をはじめとする加工性を著しく低下させる。従って、C量は0.06〜0.09%の範囲とする。好ましくは0.065〜0.085%の範囲である。
Si:0.1%以下
Si量が0.1%を超えると、鋼板表面にSiとMnの複合酸化物またはSi酸化物を生成して鋼板表面に存在することにより、めっき不良の原因となる。従って、Si量は0.1%以下とする。好ましくは0.05%以下である。なお、本発明において、Siを含有させる必要は特になく、Si量は0%であっても良いが、固溶強化により強度向上に寄与する元素であり、0.01%以上含有していることが好ましい。
Mn:1.5〜2.0%
Mn量が1.5%未満では、焼入れ性が低下し、一方、2.0%を超えるとMnの偏析などに起因する不均一な組織を生じ加工性の低下を招き、また、SiとMnで複合酸化物を生成して鋼板表面に存在することによりめっき不良の原因となる。従って、Mn量は1.5〜2.0%の範囲とする。好ましくは1.7〜2.0%の範囲である。
P:0.020%以下
P量が0.020%を超えると著しく溶接性が低下するため、P量の上限は0.020%とする。一方、P量を0.001%未満に過度に低減させることは製鋼工程における製造コストの増加を招く。また、Pは強度向上に寄与する元素でもあるため、0.001%以上含有させることが好ましい。
S:0.0020%以下
Sは、MnSを生成して介在物となり伸びフランジ性をはじめとする加工性を低下させるが、S量が0.0020%までは許容するため、0.0020%を上限とする。加工性の観点からはS量は少ないほど好ましいが、過度の低減は製鋼工程における生産効率の低下および脱硫コストの増加を招くため、S量の下限は0.0001%程度とすることが好ましい。
Al:0.005〜0.050%
Alは、製鋼工程において脱酸剤として添加して有用な元素である。脱酸後のAlの含有量が0.005%未満の場合、所望の脱酸効果が得られず、一方、0.050%を超えると溶接性が低下する。従って、脱酸後のAlの含有量は0.005〜0.050%とする。好ましくは0.030〜0.050%の範囲である。
N:0.0050%以下
組織強化鋼において材料特性に及ぼすNの影響はあまり大きくないが、N量が0.0050%以下であれば本発明の効果を損なわないため、N量の上限は0.0050%とする。なお、Nは、炭窒化物形成元素と結合して析出固定される以外に固溶Nとして存在する場合があり、固溶Nが存在すると延性への寄与が大きいフェライト相の変形能が低下する。フェライト相は、C、Nなどの固溶元素、Si、Mn、Pなどの固溶強化に寄与する元素やTi、Nbなどの析出強化に寄与する元素が存在しない場合、すなわちフェライト相が清浄であるほど高い延性を示す。特に伸びフランジ性などの局部延性が重要な場合、固溶元素であるNは少ないほど好ましい。フェライトの清浄化による延性向上の観点からはN量は少ない方が良いが、製鋼コストの増大を招くため、N量の下限は0.0001%程度とすることが好ましい。
Cr:0.05〜0.4%
詳細なメカニズムは不明であるが、Cr量を0.05%以上とすると、Crが結晶の3重点などの結晶粒界に存在することにより粒界界面の性質が変化、強化され、鋼板表面のめっき層側からの亀裂進展が抑制されることから高い伸びフランジ性が得られる。また、フェライト相を固溶強化してマルテンサイト相とフェライト相の硬度差を減少させ伸びフランジ性向上に寄与する。また、Crを含有しない鋼における清浄なフェライト相と硬質なマルテンサイト相から構成される複合組織鋼板と比較すると、Crによってフェライト相が固溶強化されているため、降伏比が高くなる傾向にある。さらに、Crは、Mnの鋼板表面への濃化を抑制し、良好なめっき性の確保に寄与する。Crを含有しないMn含有鋼では、Mn酸化物が鋼板表面全体を被覆するように存在するのに対して、CrとMnを適用含有する鋼板では、CrがMnと複合酸化物を形成して鋼板表面で点状に局在するため、地鉄と溶融亜鉛が反応することが容易となり、良好なめっき性を確保することができる。また、Cr量を0.05%以上とすることにより、鋼の焼入れ性も向上する。一方、Cr量が0.4%を超えても上記した効果は飽和し、鋼板表面品質の著しい低下を招く。従って、Cr量は0.05〜0.4%の範囲とする。好ましくは0.05〜0.3%の範囲である。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、高温から析出を開始し適正な大きさの炭窒化物を形成することから、鋼スラブ加熱時に結晶粒が過度に粗大化することを抑制するのに有用な元素である。この効果を得るためには、Ti量を0.005%以上とする必要がある。一方、Ti量が0.020%を超えると、フェライト相中に過度のTi析出物を生成し、フェライト相の延性を低下させる。また、Tiは析出物の他に固溶Tiとして存在する場合があり、固溶Tiが過剰に存在すると延性への寄与が大きいフェライト相の変形能を低下させる。従って、Ti量は0.005〜0.020%の範囲とする。好ましくは0.010〜0.020%の範囲とする。
Nb:0.005〜0.050%
Nbは、固溶強化または析出強化により強度向上に有用な元素である。また、フェライト相を強化することによりマルテンサイト相との硬度差を低減することにより伸びフランジ性が向上する。このような効果はNb量が0.005%以上で得られる。一方、Nb量が0.050%を超えて過度に含有すると、フェライト相の延性が劣化し加工性が低下する。また、Nbは熱間圧延終了温度近傍で析出を開始し熱延板を硬化させることにより、熱間圧延および冷間圧延における圧延荷重の増大を招く。従って、Nb量は0.005〜0.050%の範囲とする。好ましくは0.025〜0.045%の範囲である。
Ca:0.0001〜0.0020%
Ca量を0.0001%以上とすることにより、硫化物の形態を制御することができる。すなわちMnSなどの板状硫化物をCaSなどの球状硫化物に硫化物の形態を変化させることにより、延性および伸びフランジ性を向上させる。一方、Ca量が0.0020%を超えても、この効果は飽和する。従って、Ca量は0.0001〜0.0020%の範囲とする。好ましくは0.0005〜0.0015%の範囲である。
本発明の鋼板において、所望の特性を得るために上記した成分の含有は必須であり、上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。
なお、必要に応じてBを適宜添加することができる。B量を0.0001%以上とすることにより、鋼板の焼入れ性を高め、焼鈍冷却過程におけるフェライト相の生成を抑制し、所望のマルテンサイト相を得ることができる。一方、B量が0.0030%を超えてもこの効果は飽和する。従って、Bを含有させる場合には、0.0001〜0.0030%の範囲とすることが好ましい。
次に、本発明のおいて、鋼板組織を上記のように限定した理由について述べる。
フェライト相の体積分率:80〜90%
複合組織鋼の場合、薄鋼板の延性は軟質なフェライト相の体積分率との相関が大きい。フェライト相の体積分率が80%未満の場合、良好な延性を得ることができず、また、マルテンサイト相の体積分率が過度に高くなることにより、伸びフランジ加工時において割れの起点、進展箇所となる硬質なマルテンサイト相と軟質なフェライト相の界面が多く存在することになり、伸びフランジ性が低下する。一方、フェライト相の体積分率が90%を超えると、鋼板が過度に軟質化し強度低下を招く。従って、フェライト相の体積分率は80〜90%の範囲とする。好ましくは82〜88%の範囲である。
フェライト相の平均結晶粒径:5〜10μm
フェライト相の平均結晶粒径が5μm未満の場合、マルテンサイト相も微細に分散して存在することとなり、マルテンサイト相へ変態する前のオーステナイト相中へCやMnなどの元素濃化が進み、最終的に得られるマルテンサイト相が硬質化し、フェライト相との界面硬度差が大きくなり、また、割れ起点および亀裂進展箇所となるフェライト相とマルテンサイト相との界面が多く存在することとなり、伸びフランジ性が低下する。一方、フェライト相の平均結晶粒径が10μmを超えると、プレス加工後に鋼板表面が荒れることがあり、また、変形能の異なる軟質な領域と硬質な領域が粗に存在することとなりやすく加工が不均一となり伸びフランジ性が低下する。従って、フェライト相の平均粒径は5〜10μmの範囲とする。好ましくは6.5〜8.5μmの範囲である。
マルテンサイト相の体積分率:10%以上
マルテンサイト相は硬質相であり、変態組織強化によって鋼板の強度を増加させる。また、マルテンサイト相の変態生成時に可動転位が発生するため、鋼板の降伏比を低下させる働きも有する。マルテンサイト相の体積分率が10%未満の場合、フェライト相の体積分率が高くなることとなり強度低下を招く。一方、マルテンサイト相の体積分率が大きくなると、伸びフランジ加工時の割れの起点、進展箇所となる硬質なマルテンサイト相と軟質なフェライト相の界面が多く存在することとなり、伸びフランジ性が低下する。従って、マルテンサイト相の体積分率は最大でも20%とする。好ましくは10〜18%の範囲である。
なお、本発明のマルテンサイト相は、オーステナイト相からの低温変態相である焼き戻しされていないマルテンサイト相とする。
残部組織:5%以下(0%を含む)
上記したフェライト相およびマルテンサイト相以外の残部組織としては、ベイナイト相、残留オーステナイト相、セメンタイト等が考えられるが、これらの合計が体積分率で5%以下であれば、本発明の効果を損ねるものではない。なお、残部組織は0%であっても良い。
鋼板中のMnS
大きさ:長径で50μm以下
個数:500個/mm2以下
MnSの長径が50μmを超えると、MnSとフェライト相との界面が、引張軸方向の割れによって分離し、加工が進行するにつれてボイドの合体が進み、最終的には破断につながることにより伸びフランジ性が低下する。また、一旦ボイドが生成するとボイド生成部の断面積が減少し、局所的なひずみが一層集中しやすくなり、伸びフランジ性はさらに低下する。従って、MnSの長径は50μm以下とする。好ましくは25μm以下である。
同様に、MnSの個数が500個/mm2を超えると、硬質なMnSと軟質なフェライト相の界面において、加工が進むにつれて変形能の差によってボイドが発生して亀裂が進展し、最終的な破断に至り伸びフランジ性が低下する。従って、MnSの個数は500個/mm2以下とする。好ましくは400個/mm2以下である。
なお、MnSの長径および個数は、以下のようにして求められる。
鋼板の圧延方向断面の板厚:1/4面位置を、エッチングしないまま400倍の光学顕微鏡で10視野観察する。MnSの長径は、観察した範囲で最も長いMnS径の値とする。また、観察した範囲でMnSの個数を数え、これをもとに単位面積当たりの個数を求めることとする。
次に、本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、上記した成分組成になる鋼スラブを鋳造速度:1.0mpm以下で鋳造する。この鋼スラブを1150〜1300℃に加熱し、熱間仕上げ圧延温度を850〜950℃、熱間仕上げ圧延の最終1パスの圧下率を20%以下として熱延板とし、引き続き、この熱延板を[A変態点−150℃]〜[A変態点+50℃](ただし、熱間仕上げ圧延温度以下)の温度域において平均冷却速度を5〜200℃/秒として冷却し、巻取り温度:600℃以下でコイルに巻取る。次いで該熱延鋼板を酸洗後、冷間圧延して冷延板とする。この冷延板を200℃から焼鈍温度までの平均昇温速度を1℃/秒以上で加熱し、800〜900℃の焼鈍温度で10〜500秒保持した後、450〜650℃の温度域の冷却停止温度まで2〜50℃/秒の平均冷却速度にて冷却し、ついで10〜50秒の間空冷した後、溶融亜鉛めっきを施し、あるいはさらに合金化処理を施した後、1〜50℃/秒の平均冷却速度で200℃以下まで冷却する。
以下、各製造条件の限定理由について説明する。
鋼スラブの鋳造速度:1.0mpm以下
本発明において、鋼スラブの鋳造速度は極めて重要な因子であるが、伸びフランジ性の向上には、鋳造速度は遅い方が良い。鋳造速度が1.0mpmを超えると、鋼スラブ内にて例えばオーステナイト安定化元素であるMnなどが局在し、最終的に所望のフェライト相体積分率が得られず、また、マルテンサイト相がバンド状に存在し不均一な組織となるため伸びフランジ性が低下する。従って、鋳造速度は1.0mpm以下とする。一方、鋳造速度が0.5mpm未満の場合、優れた伸びフランジ性は確保することができるが、生産性が著しく低下し経済的に不利となる。従って、鋳造速度は0.5mpm以上とすることが好ましい。
鋼スラブ加熱温度:1150〜1300℃
鋼スラブ加熱温度が1150℃未満の場合、元素の拡散が不十分となることから最終的に不均一な組織となり伸びフランジ性が低下する。一方、スラブ加熱温度が1300℃を超えると、オーステナイト粒の粗大化を招き、その結果、最終組織も粗大化し伸びフランジ性が低下する。従って、スラブ加熱温度は1150〜1300℃の範囲とする。好ましくは1180〜1260℃の範囲である。
熱間仕上げ圧延温度:850〜950℃
熱間仕上げ圧延温度が850℃未満の場合、熱間仕上げ圧延後の回復・再結晶の発生が遅延し、最終組織が整粒ではなくなることから伸びフランジ性が低下する。一方、熱間仕上げ温度が950℃を超えると、熱延鋼板の結晶粒径が粗大化し、最終的に得られるめっき鋼板の結晶粒が過度に粗大となり、プレス加工後の鋼板表面に荒れを生じることがあり、また、熱間仕上げ圧延中における鋼板表面の酸化スケールの生成も著しく、酸洗後の鋼板表面が荒れることから伸びフランジ性が低下する。従って、熱間仕上げ圧延温度は850〜950℃の範囲とする。好ましくは880〜930℃の範囲である。
熱間仕上げ圧延の最終1パスの圧下率:20%以下
熱間仕上げ圧延の最終1パス(熱間仕上げ圧延の最終スタンド)の圧下率は、MnSの大きさ(長径)に大きな影響を与える。熱間仕上げ圧延においては、圧下パスを経るにしたがい、鋼板温度が低下する。MnSなどの生成物は熱間圧延中の鋼板の温度が低下することにより、析出が促進され生成物の個数は増加し、圧延により展伸される生成物の個数も増加する。従って、MnSの大きさは、熱間圧延パス中、最終1パスの影響を大きく受ける。このため、MnSの大きさを制御するには、該最終1パスの圧下率を制御する必要がある。
熱間仕上げ圧延の最終1パスの圧下率が20%を超えると、MnSなどの生成物が過度に展伸され、MnSの大きさを長径で50μm以下を満足することが困難となる。従って、熱間圧延の最終1パスの最終圧下率は20%以下とする。
なお、該圧下率が5%未満となると、熱間仕上げ圧延後の回復・再結晶に必要な歪量を鋼板に付与することができず、最終組織が不均一となり硬質なマルテンサイト相がバンド状に存在して、加工時の均一な変形を阻害する恐れがあるため、熱間仕上げ圧延の最終1パスの圧下率は5%以上とすることが好ましい。より好ましくは8〜18%の範囲である。
[A変態点−150℃]〜[A変態点+50℃](ただし、熱間仕上げ圧延温度以下)における平均冷却速度:5〜200℃/秒
熱間仕上げ圧延終了後の[A変態点−150℃]〜[A変態点+50℃]の温度域における平均冷却速度が5℃/秒未満の場合、熱間仕上げ圧延終了後に再結晶により粒成長し、熱延板組織が粗大化するとともに、フェライト相とパーライト相が層状に形成されたバンド組織となることにより、最終組織が不均一となり伸びフランジ性が低下する。一方、平均冷却速度が200℃/秒を超えても、再結晶による粒成長を抑制する効果は飽和する。従って、[A変態点−150℃]〜[A変態点+50℃]における平均冷却速度は5〜200℃/秒の範囲とする。好ましくは20〜160℃の範囲である。
また、[A変態点−150℃]未満の温度域は、既に変態が終了していることから冷却速度が熱延板組織に及ぼす影響は小さい。一方、熱間仕上げ圧延終了後、すなわち熱間仕上げ圧延終了温度以下の温度域であっても[A変態点+50℃]を超える温度域では、オーステナイト単相であることから不均一組織となることはなく、冷却速度の制御は必要ない。なお、A変態点は、簡易的に次式を用いて求める。
変態点(℃)=920−203×([C%])1/2+44.7×[Si%]−30×[Mn%]+700×[P%]+400×[Al%]+400×[Ti%]
ただし、[X%]は鋼板の成分元素Xの質量%
巻取り温度:600℃以下
巻取り温度が600℃を超えると、鋼板表面が荒れ、鋼板表面に凸凹が形成されるため伸びフランジ性が低下する。このため巻取り温度は600℃以下とする。好ましくは580℃以下である。なお、巻取り温度の下限に特に制限はないが、400℃未満の場合は熱延板強度が上昇することにより冷間圧延における圧延負荷が増大するため生産性が低下する。従って、巻取り温度は400℃以上とすることが好ましい。
酸洗および冷間圧延:
酸洗後、冷間圧延により、所望の板厚とする。ここで、酸洗条件や冷間圧延条件は常法に従えばよい。なお、冷間圧延率(冷間圧延の圧下率)は、フェライト相の再結晶促進により延性を向上させるために30%以上とすることが好ましい。また、圧延負荷が増大しすぎると生産性が低下するため、冷間圧延率の上限は70%程度とすることが好ましい。
200℃から焼鈍温度までの平均昇温速度:1℃/秒以上
200℃から焼鈍温度までの平均昇温速度が1℃/秒未満の場合、結晶粒が粗大化し、焼鈍冷却後に得られる鋼板の組織中に存在する変態生成相であるマルテンサイト相が粗に分布することにより不均一な組織となり伸びフランジ性が低下する。従って、200℃から焼鈍温度までの平均昇温速度は1℃/秒以上とする。好ましくは5℃/秒以上である。なお、平均昇温速度の上限値は特に限定されないが、50℃/秒を超えても鋼板組織に及ぼす影響は小さく、組織不均一化の抑制効果は飽和するため、50℃/秒以下とすることが好ましい。
焼鈍温度:800〜900℃
焼鈍温度が800℃未満の場合、冷間圧延により導入された歪みが未回復の加工組織に存在し、伸びフランジ性が低下する。一方、焼鈍温度が900℃を超えると、加熱中にオーステナイト相が粗大化し、その後の冷却過程で生成するフェライト相の体積分率が減少し、伸びおよび伸びフランジ性が低下する。従って、焼鈍温度は800〜900℃の範囲とする。好ましくは830〜880℃の範囲である。
焼鈍温度における保持時間:10〜500秒
上記した範囲の焼鈍温度における保持時間が10秒未満の場合、熱間圧延工程で生成されたフェライト相、パーライト相およびセメンタイトなどの影響を強く受け、保持時間中に炭化物が完全には溶解せず、未溶解炭化物が鋼板組織中に残存し、Cなどが局在して最終的に不均一な組織となり伸びフランジ性が低下する。また、保持時間中に平衡に達しないことから、保持中または冷却開始時におけるオーステナイト相の体積分率が低くなり、最終的に鋼板の強度低下を招く。一方、焼鈍温度における保持時間が500秒を超えると、最終的に得られる鋼板組織の結晶粒径が過度に粗大化し、最終組織中のマルテンサイト相が粗に存在することとなり伸びフランジ性が低下する。また、冷却過程におけるフェライト相の生成量も低下するため、伸びおよび伸びフランジ性ともに低下する。従って、焼鈍温度における保持時間は10〜500秒の範囲とする。好ましくは20〜150秒の範囲である。
焼鈍温度から450〜650℃の温度域の冷却停止温度までの平均冷却速度:2〜50℃/秒
焼鈍温度から冷却停止温度までの平均冷却速度が2℃/秒未満の場合、冷却過程中に生成するフェライト相の体積分率が高くなりすぎ、引張強度(TS):590MPa以上とすることが困難となる。一方、平均冷却速度が50℃/秒を超えると、冷却時におけるフェライト相の生成が抑制されすぎ、フェライト相の体積分率が低下し、伸びおよび伸びフランジ性が低下する。従って、焼鈍温度から冷却停止温度までの平均冷却速度は2〜50℃/秒の範囲とする。好ましくは5〜30℃/秒の範囲である。
また、冷却停止温度域は450〜650℃とする。冷却停止温度が650℃を超えると、パ−ライト相またはベイナイト相が生成し、引張強度(TS):590MPa以上の確保が困難となり、残留オーステナイトの生成により伸びフランジ性も低下する。冷却停止温度が450℃未満の場合、冷却停止温度が鋼組織に及ぼす影響は小さく、過度に冷却しても設備への冷却負荷が増加するだけである。また、鋼板を溶融亜鉛めっき浴へ浸入させた後、合金化処理を行った場合は再加熱に多くの入熱が必要となる。従って、冷却停止温度は450〜650℃の範囲とする。好ましくは480〜530℃の範囲である。
冷却停止後:10〜50秒の間空冷
冷却停止後は空冷、すなわち強制的な加熱、冷却を伴わない状態で10〜50秒の間滞留させる。空冷時間が10秒未満の場合、フェライト相が非平衡の状態で存在し、Mnなどの濃度が高くなることにより、最終的に十分なフェライト相を得ることができず、伸びおよび伸びフランジ性が低下する。一方、空冷時間が50秒を超えると、ベイナイト相や残留オーステナイト相が生成し、引張強度(TS)不足、伸びフランジ性の低下を招く。従って、空冷時間は10〜50秒の範囲とする。好ましくは15〜45秒の範囲である。なお、空冷終了後、亜鉛めっき浴へ浸入させる際の板温は、溶融亜鉛めっき浴の温度以上とすることが好ましい。
以上のような条件で製造された鋼板に、溶融亜鉛めっきまたは合金化溶融亜鉛めっきが施される。亜鉛めっき浴の温度(溶融亜鉛めっき処理温度)および合金化処理の好適温度範囲は、それぞれ430〜500℃、450〜550℃の範囲である。なお、亜鉛めっき付着量を制御する際にはガスワイピングが好適である。
溶融亜鉛めっきまたは合金化処理温度から200℃以下までの平均冷却速度:1〜50℃/秒
溶融亜鉛めっき、あるいはさらに合金化処理を施す場合は、合金化処理温度から200℃までの平均冷却速度が1℃/秒未満の場合、ベイナイト相やパーライト相が生成し、引張強度(TS):590MPa以上の確保が困難となる。一方、平均冷却速度が50℃/秒を超えても、所望の体積分率のマルテンサイト相を得る効果は飽和する。従って、溶融亜鉛めっきまたは合金化処理温度から200℃までの平均冷却速度は1〜50℃/秒の範囲とする。好ましくは5〜45℃/秒の範囲である。
なお、200℃より高い温度で冷却を停止すると、マルテンサイト相が軟質化し、引張強度(TS):590MPa以上を確保することが困難となるため、200℃以下までの冷却とした。
なお、上記焼鈍および溶融亜鉛めっき、あるいはさらに合金化処理は、連続溶融亜鉛めっきラインにて施すことが好ましい。また、上記のようにして得られた溶融亜鉛めっき鋼板または合金化溶融亜鉛めっき鋼板に、形状矯正や表面粗度調整を目的とした調質圧延(スキンパス圧延ともいう)を行っても良いが、過度にスキンパス圧延を行うと過度に歪が導入され結晶粒が展伸された圧延加工組織となり延性が低下することから、スキンパス圧延の圧延率(伸び率)は0.1〜1.5%程度とすることが好ましい。
表1に示す成分組成になる鋼を溶製し、表2に示す種々の条件でスラブ鋳造、熱
間圧延、酸洗、圧下率:50%の冷間圧延後、連続溶融亜鉛めっきラインにて連続焼鈍およびめっき処理を施し、板厚が1.4mmでめっき付着量が片面当たり45g/m2の溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。なお、亜鉛めっき浴温は460℃、合金化温度は500℃とした。また、亜鉛めっき浴への鋼板の浸入板温は、亜鉛めっき浴以上であった。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、以下に示す材料特性調査および材料試験を行った。得られた結果を表3に示す。
(1) 鋼板の組織
鋼板の圧延方向断面、板厚:1/4面位置を光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより調査した。フェライト相の結晶粒径は、JIS G 0551に規定の方法に準拠して結晶粒度を測定し、平均結晶粒径に換算した。また、フェライト相の体積分率は、倍率:1000倍の断面組織写真を用いて、画像解析により、任意に設定した100mm×100mm四方の正方形領域内に存在するフェライト相の占有面積を求め、これをフェライト相の体積分率とした。マルテンサイト相およびその他の相の体積分率も同様にして求めた。
また、MnSの長径、個数は、圧延方向断面、板厚1/4面位置をエッチングなしのまま光学顕微鏡で400倍、10視野観察することにより求めた。特に、MnSの長径は観察した範囲で最も長いMnS径の値とした。
(2) 引張特性
圧延方向と90°の方向を長手方向(引張方向)とするJIS Z 2201に記載の5号試験片を用い、JIS Z 2241に準拠した引張試験を行い、降伏点(YP)、引張強度(TS)および伸び(El)を測定し、これらの結果から、降伏比:YR(YP/TS)およびTS×Elを算出した。なお、引張特性の評価基準はTS×El値が18000MPa・%以上を良好とした。
(3) 穴拡げ率
日本鉄鋼連盟規格JFST1001に基づき実施した。初期直径d0=10mmの穴を打抜き、60°の円錐ポンチを上昇させて穴を拡げた際に、亀裂が板厚貫通したところでポンチの上昇を止め、亀裂貫通後の打抜き穴径dを測定し、穴拡げ率(%)=((d−d0)/d0)×100により穴拡げ率を算出した。この試験を同一番号の鋼板について3回実施し、穴拡げ率の平均値(λ)を求め、TS×λを算出した。なお、穴拡げ率の評価基準はTS×λ値が44000MPa・%以上を良好とした。
Figure 0005239562
Figure 0005239562
Figure 0005239562
表3に示したとおり、発明例では、TS×El≧18000MPa・%、TS×λ≧44000MPa・%を同時に満足する加工性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られていることが確認できた。
これに対し、鋼成分が本発明の適正範囲外であるNo.5、6および7は、伸びフランジ性が劣っている。熱間圧延における最終1パス圧下率が本発明で規定する上限値を超えているNo.8は、MnSの長径が本発明で規定する上限値を超え、伸びフランジ性が劣っていた。
また、焼鈍温度が本発明で規定する上限値を超えているNo.9は、フェライト相の平均粒径が粗大であることから伸びフランジ性が低下した。
焼鈍温度から450〜650℃までの平均冷却速度が本発明で規定する下限値未満のNo.10は、フェライト相の体積分率が高く、引張強度(TS):590MPa以上を満足せず強度不足であった。
鋳造速度が本発明で規定する上限値を超えているNo.11は、フェライト分率が少なく、マルテンサイト相がバンド状に存在し不均一な組織であるため、伸びおよび伸びフランジが低下した。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車部品はもちろんのこと、建築および家電分野などの厳しい加工性、寸法精度が必要とされる用途にも好適である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.06〜0.09%、
    Si:0.1%以下、
    Mn:1.5〜2.0%、
    P:0.020%以下、
    S:0.0020%以下、
    Al:0.005〜0.050%、
    N:0.0050%以下、
    Cr:0.05〜0.4%、
    Ti:0.005〜0.020%、
    Nb:0.005〜0.050%および
    Ca:0.0001〜0.0020%
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、鋼板組織が、体積分率で、80〜90%のフェライト相、10%以上のマルテンサイト相および5%以下(0%を含む)の残部組織からなり、該フェライト相の平均結晶粒径が5〜10μmであり、さらに該鋼板組織中に存在するMnSの個数が500個/mm2以下、かつ該MnSの大きさが長径で50μm以下であることを特徴とする加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 前記鋼板がさらに、質量%で、
    B:0.0001〜0.0030%
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 質量%で、
    C:0.06〜0.09%、
    Si:0.1%以下
    Mn:1.5〜2.0%、
    P:0.020%以下、
    S:0.0020%以下、
    Al:0.005〜0.050%、
    N:0.0050%以下、
    Cr:0.05〜0.4%、
    Ti:0.005〜0.020%、
    Nb:0.005〜0.050%および
    Ca:0.0001〜0.0020%
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを鋳造した後、該鋼スラブを熱間圧延し、酸洗後、冷間圧延し、ついで溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに際し、
    該鋼スラブの鋳造速度を1.0mpm以下とし、該鋼スラブを1150〜1300℃に加熱し、熱間仕上げ圧延温度を850〜950℃、熱間仕上げ圧延の最終1パスの圧下率を20%以下として熱延板とし、引き続き該熱延板を[A変態点−150℃]〜[A変態点+50℃](ただし、熱間仕上げ圧延温度以下)の温度域における平均冷却速度:5〜200℃/秒で冷却し、巻取り温度:600℃以下でコイルに巻取り、酸洗後、冷間圧延して冷延板とし、該冷延板を200℃から焼鈍温度までの平均昇温速度:1℃/秒以上で加熱し、800〜900℃の焼鈍温度に10〜500秒保持した後、450〜650℃の温度域の冷却停止温度まで2〜50℃/秒の平均冷却速度にて冷却し、ついで10〜50秒の間空冷した後、溶融亜鉛めっきを施し、あるいはさらに合金化処理を施した後、1〜50℃/秒の平均冷却速度で200℃以下まで冷却することを特徴とする加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 上記鋼スラブがさらに、質量%で、
    B:0.0001〜0.0030%
    を含有することを特徴とする請求項3に記載の加工性に優れる引張強度が590MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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