JP4959161B2 - 耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Download PDFInfo
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質量%にて、
C:0.01%以上、0.20%以下、Si:2.0%以下、Al:0.010%以上、2.0%以下、Mn:0.5%以上、3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.010%以下、N:0.010%以下、を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、
組織が、相分率が50%以上のフェライトと、残部を占めるマルテンサイトとからなるフェライト・マルテンサイト組織であり、
板厚tの1/8t〜3/8tの範囲でのMnミクロ偏析が、式(1)を満たす範囲にある鋼板に、溶融亜鉛めっきが施されたことを特徴とするものである。
0.10≧σ/Mn ・・・(1)
ここでMnは添加量、σはMnミクロ偏析測定における標準偏差である。
Nb:0.005%以上、0.10%以下、Ti:0.03%以上、0.20%以下、V:0.005%以上、0.10%以下、Mo:0.02%以上、0.5%以下、Cr:0.1%以上、5.0%以下、Co:0.01%以上、5.0%以下、W:0.01%以上、5.0%以下の1種または2種以上を含有することができ、
鋼組成中にさらに、
Ca、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を0.0005%以上、0.08%以下含有することができ、
鋼組成中にさらに、
Cu:0.04%以上、2.0%以下、Ni:0.02%以上、1.0%以下、B:0.0003%以上、0.007%以下の1種または2種以上を含有することができる。
また、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、上記した溶融亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施したものであるので、Mnバンドが小さく穴拡げ性に優れ、且つ耐食性に優れる。
0.10≧σ/Mn ・・・(1)
ここで、Mnは添加量、σはMnミクロ偏析測定における標準偏差である。標準偏差σは、EPMA(X線マイクロアナライザー)を用いて、板厚断面を研磨した試料を板厚方向に線分析することにより得られたMn濃度分布データから求めた。
0.05≧σ/Mn ・・・(2)
この条件は冷却の遅い板厚tの1/8t〜3/8tの範囲において満たされる必要がある。
Cは、マルテンサイト相を強化して鋼の強度を高めるのに重要な元素である。Cの含有量が0.01%未満では強度を十分高めることができない。一方、0.20%を超えると延性の低下が大きくなるので、Cの範囲は、0.01%以上、0.20%以下とする。なお、穴拡げ性の要求が高い場合にはCの上限は、0.05%とするのが望ましい。
本発明の高強度薄鋼板を製造するに際しては、鋳造スラブを、液相線温度から固相線温度の間を100℃/min以上の平均冷却速度で冷却する。ここでの平均冷却速度は、スラブの中間部(厚みtのスラブの1/4tの位置)における平均冷却速度を指す。本発明においては、凝固時の冷却速度が100℃/minより高くできれば、どのような手法で鋳造しても良い。例えば,連続鋳造において、スラブ厚を薄くすることや、インゴット鋳造において、インゴットのサイズを小さくすること、また、通常のスラブのうち、冷却速度の速い表層部分を切り出し、これを用いても良い。例えば、連鋳スラブの厚さを変化させる場合には、スラブの厚みを、100〜30mmとするのが望ましい。厚みが100を超えるとスラブを十分大きい冷却速度で冷却することができないからであり、30mm未満とすると鋳造速度が大きくなって湯面変動、ブレークアウトなどを引き起こし、スラブを安定して鋳造することが困難となるからである。
また、焼鈍の最高温度は、0.1×(Ac3−Ac1)+Ac1(℃)以上、Ar3+50℃以下とする必要がある。最高温度が、0.1×(Ac3−Ac1 )+Ac1 (℃)未満の場合には、焼鈍温度で得られるオーステナイト量が少ないので、鋼板中に所望の量のマルテンサイトを生成することができない。また、焼鈍温度の高温化は粒界酸化層の生成が促進されるうえ、製造コストの上昇をまねくために、焼鈍温度の上限をAr3+50℃とした。
表1に示す化学成分の鋼を転炉で溶製した後にスラブに鋳造した。このとき、スラブの1/4t部における液相線温度から固相線温度の冷却速度を表2に示すように変化させた。これらのスラブに熱延鋼板、冷間圧延、ならびに溶融亜鉛めっきと合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造して、種々の特性を調査した。製造条件、材料特性を表2に示す。なお、溶融亜鉛めっき鋼板表面の欠陥発生率に基づき耐食試験前の外観を不めっきや傷や模様の有無の程度により5段階評価した。また、耐食試験は、めっき後試料表面にカッターナイフで長さ1cmのキズをつけて、乾・湿繰り返しのサイクル試験を100サイクルまでおこない、再度外観を発錆の程度により5段階評価をした。評点1〜5はそれぞれ、めっきの外観は不めっきの発生状態および傷や模様の欠陥発生状態や腐食生成物形態を目視または拡大鏡や顕微鏡を用いて評価した。評価指標は以下の通りである。
評点5:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆はほとんど無し。
評点4:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆は微小(面積率で数%以下)。
評点3:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆は小(面積率で数%超)。
評点2:不めっき、傷や模様、腐食試験後の発錆は多数(面積率で50%超)。
評点1:めっき濡れずまたは、腐食試験後、全面で錆発生。
Ac1 =723−10.7×Mn%―16.9×Ni%+29.1×Si%+16.9×Cr%+6.38×W%。
Ac3 =910−203×√(C%)−15.2×Ni%+44.7×Si%+104×V%+31.5×Mo%+13.1×W%−30×Mn%−11×Cr%+20×Cu%+700×P%+400×Al%。
鋼A〜Jは、化学成分が本発明の範囲内にある鋼である。これに対し、鋼kはC,Mnが本発明の範囲より高く、このため試験番号28に示すとおり、強度は高いが伸び、穴拡げ率が著しく低いものとなってしまった。
鋼lはNが本発明の範囲より高いので、結晶粒が微細化してフェライトの量が多くなってしまい、試験番号29に示すとおり強度,伸びの低いものであった。
鋼mはSi、Crが本発明の範囲より高いので、試験番号30に示すとおり、伸びが低い。
鋼nはNb、Tiが高いので、試験番号31に示すとおり、伸び、穴拡げ率が低いものとなってしまった。
鋼m、nはSiが高いので、試験番号30、31に示すように外観評点や塩水噴霧試験語の発錆の評点が低い。
試験番号10のものは、熱延前の加熱温度および冷延の圧下率が低い。このため、結晶粒が粗大なものとなって、伸びが低い。
なお、図1には本発明鋼の伸びを比較鋼と比較して、図2には本発明鋼の穴拡げ率を比較鋼と比較して示す。本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は比較鋼に対して優れた伸びと穴拡げ率を有することが分かる。
Claims (5)
- 質量%にて、
C:0.01%以上、0.20%以下、Si:2.0%以下、Al:0.010%以上、2.0%以下、Mn:0.5%以上、3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.010%以下、N:0.010%以下、を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する溶融亜鉛めっき鋼板であって、
組織が、相分率が50%以上のフェライトと、残部を占めるマルテンサイトとからなるフェライト・マルテンサイト組織であり、
板厚tの1/8t〜3/8tの範囲でのMnミクロ偏析が、式(1)を満たす範囲にある鋼板に、溶融亜鉛めっきが施されたことを特徴とする耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。
0.10≧σ/Mn ・・・(1)
ここでMnは添加量、σはMnミクロ偏析測定における標準偏差である。 - 鋼組成中にさらに、
Nb:0.005%以上、0.10%以下、Ti:0.03%以上、0.20%以下、V:0.005%以上、0.10%以下、Mo:0.02%以上、0.5%以下、Cr:0.1%以上、5.0%以下、Co:0.01%以上、5.0%以下、W:0.01%以上、5.0%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。 - 鋼組成中にさらに、
Ca、Mg、Zr、REMの1種または2種以上を0.0005%以上、0.05%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。 - 鋼組成中にさらに、
Cu:0.04%以上、2.0%以下、Ni:0.02%以上、1.0%以下、B:0.0003%以上、0.007%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板。 - 請求項1〜4の何れかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板に合金化処理を施こして、鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき層を形成したことを特徴とする耐食性と伸びと穴拡げ性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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