JP5059400B2 - 平衡制限反応の実施方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平衡制限反応(equilibrium-limited reaction)、例えばエステル化反応及びアルコーリシス反応(又はエステル交換反応)により反応生成物を製造する方法に関するものであり、この方法は、2つの反応ゾーンを用いて実施し、平衡制限反応の所望の生成物は、蒸気相で、好ましくは第二段階の反応器から取り出す。
平衡制限反応には、一般に2種又はそれ以上の反応体の、少なくとも1種の生成物及び、典型的には共生成物(coproduct)を製造する反応が含まれる。所望の生成物へのより大きな転化率を達成するために、様々な技術、例えば共生成物及び/又は生成物を反応溶媒から取り出して生成物への駆動力を維持することが示唆されている。
平衡により制限される反応は、しばしば、生成物を反応溶媒から選択的に取り出す単一の反応器で実施するか、又はそれぞれの反応器段階で生成物を反応溶媒から分離する複数の反応器で実施する。多段階反応器法の1つのタイプが、特許文献1及び特許文献2に開示されているが、それらは(メタ)アクリル酸と炭素原子1〜8の一価アルカノールを、均一、液体、無溶媒相において、高温で且つ酸性エステル化反応触媒の存在下に反応させることによる、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの連続製造方法及び装置を開示する。この開示された方法では、(メタ)アクリル酸、そのアルカノール及び酸触媒は、直列に連結した少なくとも2つの反応ゾーンのカスケードからなる反応ゾーンに連続的に供給され、1つの反応ゾーンの排出流が下流の反応ゾーンの供給流を形成する。このカスケードは、互いに空間的に分離された2〜4の反応ゾーンを有することができる。これらの特許には、反応ゾーンの上に載置された精溜ゾーンの頂部を介して、反応ゾーンで生成した目的のアクリル酸アルキルエステルが、そのアクリル酸アルキルエステルに加え、更なる成分としての水又は、水と原料アルカノールからなる少なくとも1種の共沸混合物として、触媒及び原料酸から分離される水性共沸蒸溜方法が開示されている。得られた蒸溜物は、そのアクリル酸アルキルエステルを含む少なくとも1つの有機相と、少なくとも1つの水含有水性相とに分離される。アクリル酸アルキルエステルを含む有機相の一部は、精溜ゾーンの頂部を介して再循環する。残りの有機相は、もはや原料酸を含んでいないが、下流の装置に供給して、目的のアクリル酸アルキルエステルを、その目的エステルよりも低い沸点及び高い沸点を有する原料アルカノール及びその他の不純物から単離する。この方法は、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸の沸点が比較的接近しているので、アクリル酸n−ブチルの製造に好ましく用いられることもまた開示されている。更に、水/アクリル酸アルキルエステル又は水/アルカノール/アクリル酸アルキルエステル共沸混合物における水の含有量は、アクリル酸アルキルエステルの分子量の増加に伴って増加することも開示されている。もしこの共沸蒸溜方法がより大きな分子量のアクリル酸エステル類、例えばアクリル酸2−エチルヘキシルなどの製造に用いられるのであれば、エネルギーの使用はそれだけ多くなり且つ装置も大きくなる。
特許文献3には、反応ゾーン中で、(メタ)アクリル酸と炭素原子1〜8の一価アルカノールとを、酸性エステル化触媒の存在下に反応させることによる、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの連続製造方法が開示されている。その反応ゾーンは、直列に連結された少なくとも2つの反応ゾーンのカスケードからなり、1つの反応ゾーンの排出流が下流の反応ゾーンの供給流を形成する。このカスケードは、互いに空間的に分離された2〜4の反応ゾーンを有することができる。生成混合物は反応ゾーンから排出され、精溜装置(I)に供給され、そして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む少なくとも1つの生成物と、触媒を含む1つの生成物とに分離される。(メタ)アクリル酸アルキルエステル生成物は、次いで更なる精溜装置(II)に供給され、精溜により分離される。
前記のような方法の不利益は、酸触媒が反応ゾーンに留まることを可能にするのではなく、反応ゾーンから反応混合物と共に精溜装置(I)に送られることである。精溜装置(I)の下部及び底部において、酸触媒濃度が高いこと及び温度が高いことの組み合わせは、速い速度での腐食、装置の汚染及び望ましくない副反応、例えば酸触媒の分解などにつながる。
米国特許第5,811,574号明細書、 米国特許第5,900,125号明細書、 米国特許第5,883,288号明細書、
従って、平衡制限反応を実施すること並びに、未反応反応体及び生成物を回収することに伴う問題を最小にし及び/又は排除するような、平衡制限反応を実施するための改良された方法が探索されている。
本発明の方法は、少なくとも2つの反応ゾーンで、平衡制限反応を実施することに関するものであり、その方法では、第一の反応ゾーンで生成した生成物を含む液相反応溶媒の少なくとも一部を、第二の反応ゾーンに供給し、また第二の反応ゾーンでも第一の反応ゾーンで生成した生成物が生成し、そして第二の反応ゾーンから蒸気相で取り出される。第二の反応ゾーンにおける温度及び圧力は、第二の反応ゾーン中で生成したか、又はそこに導入された重質成分、例えばマイケル付加(Michael-Addition)重質成分などを分解し、そしてそれらの製造による、その少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるために十分なものである。そのような方法は、その反応系からの生成物の取り出しを可能にし、同時に、望ましいことには触媒はその反応系に留まる。本発明の方法は、目的のエステル生成物を原料の酸から分離するための、水の共沸蒸溜カラムを必要としない。典型的には、最終的にただ1種の生成物が探求されるが、本発明の方法は、2種又はそれ以上の生成物を同時に製造することもできる。例えばアクリル酸が2−エチルヘキサノール及びブタノールと反応して、対応するアクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸ブチルを製造することも可能である。
本発明の趣旨に関して、用語「重質成分(heavies)」は目的のエステル生成物の沸点よりも高い沸点を有する化合物を意味する。1種より多いエステル生成物を製造する方法に関しては、重質成分は、最も沸点の高いエステル生成物の沸点よりも高い沸点を有する化合物である。重質成分の実例には、オキシエステル、例えばプロピオン酸アルコキシエステル又はプロピオン酸アクリロキシエステルなどが含まれ、目的のエステルの原料アルカノール及び/又は原料酸とのマイケル付加反応により生成する。
本発明の方法は、1つには、少なくとも1種の生成物を製造するために、少なくとも1種の反応体の平衡制限反応を実施する方法であって、
a.前記少なくとも1種の生成物を製造するのに十分で、且つ前記少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及び前記少なくとも1種の生成物を液相に維持するのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第一の反応ゾーンで、少なくとも1種の反応体を反応させ;
b.(i)前記少なくとも1種の生成物を製造し、(ii)第二の反応ゾーン中で生成したか、又は前記第二の反応ゾーン中に導入された、重質成分を分解し、且つ(iii)それらの製造による、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第二の反応ゾーンに少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物を含む液体溜分を、第一の反応ゾーンから抜き出して、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、導入し;
c.前記第二の反応ゾーンからの、少なくとも1種の生成物を含む、頭頂部(オーバーヘッド)蒸気溜分を抜き出し、そして抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を液相で生成させ;
d.前記少なくとも1つの凝縮ゾーンから、少なくとも1種の生成物及び水を含む、液体溜分を抜き出すが、そして抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の生成物を含む有機液体溜分と、水を含む水性液体溜分とを与え;
e.前記少なくとも1つの分離ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、有機液体溜分を抜き出し、そして抜き出された有機液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の反応体を含む頭頂部溜分と、少なくとも1種の生成物を含む底部液体溜分とを与え;
f.前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記底部液体溜分を抜き出し、そして前記抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を含む頭頂部溜分と、重質成分を含む底部液体溜分とを与え;そして
g.前記抜き出された頭頂部溜分から、少なくとも1種の生成物を回収すること:
を含んでなる方法である。
この態様において、純度が低めの供給流、例えば粗2−エチルヘキサノール流又は、高濃度でアクリル酸二量体もしくはその他のマイケル付加重質成分を含む粗アクリル酸流が、本発明の方法で利用できる。1つの態様において、同様の平衡制限反応、例えば平衡により制限される統合反応を採用するその他の方法から生じた重質残渣含有流を、原料として使用することができる。またこの態様において、その生成物は反応ゾーンから効率的に取り出され、同時に、望ましいことには触媒はその反応系に留まる。
本発明の方法は、また1つには、少なくとも1種の生成物を製造するために、少なくとも1種の反応体の平衡制限反応を実施する方法であって、
a.前記少なくとも1種の生成物を製造するのに十分で、且つ前記少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及び前記少なくとも1種の生成物を液体相に維持するのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第一の反応ゾーンで、少なくとも1種の反応体を反応させ;
b.(i)前記少なくとも1種の生成物を製造し、(ii)前記第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された、重質成分を分解し、且つ(iii)それらの製造による、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第二の反応ゾーンに少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物を含む液体溜分を、第一の反応ゾーンから抜き出して、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、導入し;
c.前記第二の反応ゾーンからの、少なくとも1種の生成物を含む、頭頂部蒸気溜分を抜き出し、抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を液相で生成させ、そして少なくとも1種の重合阻害剤を少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入し;
d.前記少なくとも1つの凝縮ゾーンから、少なくとも1種の生成物及び水を含む、液体溜分を抜き出し、そして抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の生成物を含む有機液体溜分と、水を含む水性液体溜分とを与え;
e.前記少なくとも1つの分離ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記有機液体溜分を抜き出し、抜き出された有機液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の反応体を含む頭頂部溜分と、少なくとも1種の生成物を含む底部液体溜分とを与え、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入し;
f.前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記底部液体溜分を抜き出し、前記抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を含む頭頂部溜分と、重質成分を含む底部液体溜分とを与え、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入し;
g.前記少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の重合阻害剤を含む前記底部溜分を抜き出し、抜き出された底部溜分の少なくとも一部を、前記少なくとも1種の反応体及び前記少なくとも1種の生成物の重合を最小にするか、又は排除するのに十分な量で、少なくとも1つの凝縮ゾーン、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーン、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーン及び水除去蒸溜ゾーンに導入し;そして
h.前記抜き出された頭頂部溜分から、少なくとも1種の生成物を回収すること:
を含む方法である。
この態様においては、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンからの重合阻害剤を含む抜き出された底部流を、少なくとも1つの凝縮ゾーン、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーン、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーン及び水除去蒸溜ゾーンに再循環することにより、その工程中で重合阻害剤が再使用される。コスト効率がよいことに加えて、重合阻害剤を色々な蒸溜ゾーンに再循環することが、望ましくない重合を制御する。例えば反応性のモノマー、例えばアクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルなどは、十分に防止されないと遊離ラジカル重合によって、容易にポリマーを生成する。本方法は、再循環流れが重質成分を分解のための第二の反応ゾーンに戻るので、さらにコスト効率がよい。
別の態様において、上記の方法はまた、第一の反応ゾーンで、且つ第一の反応ゾーンの反応条件下で、水、その1種の反応体の少なくとも一部及びその1種の生成物の少なくとも一部を含む蒸気溜分を発生させ、その蒸気溜分を第一の反応ゾーンから抜き出して、蒸気溜分を少なくとも1つの水除去蒸溜ゾーンに導入し、その少なくとも1つの水除去蒸溜ゾーンから頭頂部蒸気溜分を抜き出し、抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して液体溜分を生成させ、その液体溜分を少なくとも1つの凝縮ゾーンから抜き出すが、この液体溜分は水、その1種の反応体の少なくとも一部及びその1種の生成物の少なくとも一部を含み、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及び、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を含む有機液体溜分並びに水を含む水性液体溜分を与え、有機液体溜分をその少なくとも1つの分離ゾーンから抜き出すが、その有機液体溜分は、その少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及びその少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を含み、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を少なくとも1つの水除去蒸溜ゾーンに再循環する。この態様において、一番目の反応ゾーンで発生した水は、第一の反応ゾーンから効率的に取り除かれる。
第一及び第二の反応ゾーン、凝縮ゾーン、分離ゾーン並びに反応体回収蒸溜ゾーンからなる新規な配列が、高濃度、例えば少なくとも50.0重量%のアクリル酸2−エチルヘキシルを有し、本質的にアクリル酸を有しない底部液体溜分(反応体回収蒸溜ゾーンからの)の生成を可能にするためには有利である。本方法は反応ゾーンからの生成物の取り出しを可能にし、同時に、望ましいことには触媒はその反応系に留まる。本発明の方法は、所望のエステル生成物を原料酸から分離するための、水の共沸蒸溜カラムを必要としない。
本発明の方法は、エステル類、特にエチレン系不飽和又は、望ましくない副反応に導きうるその他の基を含むエステル類の製造に適している。有利な方法には、炭素原子4〜約12のアルカノール及びアクリル酸又はメタクリル酸からの、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの製造が含まれる。本発明の好ましい側面は、2−エチルヘキサノールとアクリル酸からアクリル酸2−エチルヘキシルを製造する方法に関する。
本発明は平衡制限反応を実施する方法に関する。本発明は、広い意味では、いずれかの平衡制限反応方法に関するものである。しかしながら、その方法は有機平衡生成物、特にエステル類を製造するために最も有用である。その方法は回分式でも実施することができるが、好ましくは、反応体及び補助剤、例えば触媒、阻害剤及び溶媒などをその反応ゾーンに、周期的に又は連続的に添加し、且つ生成物が周期的に又は連続的に取り出されるような連続法を採用する。以下の説明には、便宜上、少なくとも2種の反応体の使用について引用する。単一の反応体が、平衡制限反応に用いられる本発明の局面においても、この記載が等しく適用されるということは理解されるべきである。同様に、便宜上、共生成物の引用も行われる。共生成物のない平衡により制限される反応もまた、本発明の範囲内である。
典型的な平衡により制限される反応には、エステル化反応及びアルコーリシス反応が含まれる。エステル化反応には、アルコールのカルボン酸との反応によるエステルの生成が含まれる。共生成物の水もまた生成する。アルコーリシス(エステル交換)反応においては、エステルがアルコールと反応して交換が起こる。
本発明の方法で用いられるカルボン酸は、しばしば式R’C(O)OHで表されるが、ここでR’は炭素原子1〜約8、好ましくは1〜約4のヒドロカルビル含有基であって、飽和もしくは不飽和の脂肪族もしくは脂環族(飽和されていてもよく、またエチレン系不飽和を含んでいてもよい、分枝鎖もしくは非分枝鎖の脂肪族及び脂環族を含む)、アリール、アルカリール(環式、直鎖及び分枝鎖アルキル)、アラルキル(環式、直鎖及び分枝鎖アルキル)又は、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、窒素及びリンなどを含むこれらいずれかの基であり、またR’は1つ又はそれ以上のヘテロ原子含有置換基、例えばハライドで置換されていてもよい。アルコーリシス工程においては、エステル類は、一般に、式R’C(O)OR”で表されるが、ここでR’は上記で定義したとおりであり、またR”は、炭素原子4〜約12、好ましくは4〜約8のヒドロカルビル含有基であって、飽和もしくは不飽和の脂肪族もしくは脂環族(飽和されていてもよく、またエチレン系不飽和を含んでいてもよい分枝鎖もしくは非分枝鎖の脂肪族及び脂環族を含む)、アリール、アルカリール(環式、直鎖及び分枝鎖アルキル)、アラルキル(環式、直鎖及び分枝鎖アルキル)又は、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、窒素及びリンなどを含むこれらいずれかの基である。アルコールは、式R’’’OHで表されるが、ここでR’’’は炭素原子4〜約12のヒドロカルビル含有基であって、飽和もしくは不飽和の脂肪族もしくは脂環族、アリール、アルカリール、アラルキル又はヘテロ原子、例えば酸素、硫黄、窒素及びリンなどを含むこれらいずれかの基であり、またアルコーリシス反応において、R’’’がR”以外であるとき、R’’’は1つ又はそれ以上のヘテロ原子含有置換基、例えばハライドで置換されていてもよい。
本発明の方法は、1種より多い平衡生成物を同時に製造するために用いることもできる。例えば、エステルの混合物を生成させるために、1種より多い酸もしくはエステルを用いることができ、又は1種より多いアルコールを用いることができる。異なる条件で稼動する2つの反応ゾーンの使用により、1種のエステル生成物を含む生成物流を第1の反応ゾーンから回収することができ、それより高沸点のエステル生成物は第2の反応ゾーンから回収することができる。あるいは、両方の生成物は、両方とも蒸気流として、又は一方は蒸気流、他方は液体生成物流としてのいずれかで、第2の反応ゾーンから回収することもできる。
本発明方法の特に魅力的な利用は、酢酸エステル類、アクリル酸エステル類、プロピオン酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類の製造においてであり、そこでは、R’’’は炭素4〜約12、好ましくは炭素原子4〜11、より好ましくは4〜8、そして最も好ましくは5〜8である。適当なアルコールの例には、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、メトキシプロパノール、エトキシエタノール、メトキシブタノール、エトキシプロパノール、エトキシブタノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール及びメトキシエトキシエタノールが含まれる。カルボン酸供給物には好ましくは炭素2〜4が含まれる。好ましいカルボン酸の例には、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸及びメタクリル酸が含まれる。
本方法は、約0℃〜約200℃の範囲、好ましくは約40℃〜約150℃の範囲であって、反応体、所望の生成物又は使用される任意の触媒の、不都合な分解の原因となる温度より低い温度で都合よく実施できる。低すぎる温度では反応速度が低くなり、高すぎる温度では副生物(by-product)が多くなり、腐食の速度が速くなる。第二の反応ゾーンの温度(圧力と共に)は、その第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された重質成分、例えばマイケル付加重質成分を分解し、且つその製造によるエステル生成物の少なくとも一部を蒸発させるために十分なものであるべきである。しかしながら、第二の反応ゾーンの温度は、反応体、所望の生成物又は使用する任意の触媒の、不都合な分解の原因となるべきではない。反応体が別の反応基、例えばアクリル酸及びメタクリル酸残基の場合における不飽和などを含むときには、その温度は望ましくない副反応の原因となる温度より低くすべきである。ある程度までは、重合反応は阻害剤の使用により制御することができ、従ってその反応ゾーンの温度もまた阻害剤の濃度で影響されることになる。
平衡により制限される反応が実施されうる圧力もまた、広汎に変えることができる。典型的には、圧力は減圧から過圧までの範囲であり、例えば絶対圧で約0.01〜約100バール、より頻繁には約0.02〜約10又は約15バールの範囲である。上記のように、第二の反応ゾーンの温度及び圧力は、その第二の反応ゾーン中で生成したか、又はその第二の反応ゾーン中に導入された重質成分、例えばマイケル付加重質成分を分解し、且つその製造によるエステル生成物の少なくとも一部を蒸発させるために十分なものであるべきである。
本反応は液体媒体の存在下に実施する。反応体、生成物、共生成物及び副反応生成物の1種又はそれ以上が、本反応の液体媒体を構成することができる。液体媒体は、必要に応じて、溶媒を含むことができる。第一の反応ゾーンにおける液体媒体は、好ましくは第二の反応ゾーンにおけるそれとは異なるのがよい。溶媒を用いるとき、好ましくは、それは反応条件下で実質的に不活性であるのがよい。
多くの平衡制限反応では触媒が使用される。平衡制限反応で適当な触媒が、本発明方法においても使用されることができる。エステル化では、触媒は、しばしば、酸類、例えば硫酸、スルホン酸及び酸性イオン交換樹脂であり、そしてアルコーリシス反応では、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び希土類金属、鉛、ビスマス及び錫等の金属の酸化物及びアルコキシドである。触媒は触媒量で使用され、触媒の量は広汎に変えることができる。均一触媒は、しばしば、液体媒体の約0.001〜約10又は約20重量%の範囲で用いられ、不均一触媒は、典型的には反応ゾーンの容積の約10〜約60%を構成する。触媒濃度が低ければ低いほど、エステル化反応及び分解の速度が低くなり、そして第一及び/又は第二の反応ゾーンからの排出が多くなる。触媒濃度が高ければ高いほど、一般に、副生物が多くなり、腐食速度が高くなる。スルホン酸触媒、例えばドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)を採用するときは、スルホン酸エステルの生成を最小限にするため、少量の水、例えば約0.01重量%又はそれ以下から約1重量%又はそれ以上まで、好ましくは約1重量%より少ないの水が、その第一及び/又は第二の反応ゾーンには存在すべきである。
その他の補助剤が液体反応媒体中に含まれていてもよく、それらは酸化阻害剤、安定剤、緩衝剤、重合阻害剤等である。フェノチアジン(PZ)は好ましい阻害剤である。PZは水に溶けないので、ヒドロキノン(HQ)が、水性流での阻害剤として好ましく用いられる。ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)は好ましい製品輸送用阻害剤であり、生成物回収蒸溜カラムで用いられる。空気又は酸素が阻害剤効率を高めるために用いられる。カラム基準で約0.05〜約1.0mmHg、好ましくは約0.1〜約0.8mmHgの酸素分圧が、全てのカラムについて好ましい。
本発明の方法は、少なくとも1つの第一の反応ゾーン及び、少なくとも1つの第二の反応ゾーンで実施される。少なくとも1つの第一の反応ゾーンは、好ましくは、少なくとも2種の反応体及び少なくとも1種の生成物の少なくとも一部が、液相で保持されるような反応条件に保持する。好ましくは、その第一の反応ゾーンの、いずれかの共沸混合物生成を含む条件下での、少なくとも1種の生成物についての気−液平衡は、その第一の反応ゾーンにおけるその生成物の、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%が液相であるような状態である。好ましくは、第一の反応ゾーンの、いずれかの共沸混合物生成を含む条件下での、少なくとも2種の反応体についての気−液平衡は、その第一の反応ゾーンにおけるそれぞれの反応体の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%が液相であるような状態であるのがよい。
第一の反応ゾーンは単一の容器であってもよく、また2つ又はそれ以上の別々の容器であって、その1つ又はそれ以上が攪拌される、即ちかき混ぜられるタンクであってもよい。第一の反応ゾーンは、特にその第一の反応ゾーンでは分解が起こらないような条件で運転される。1つの態様においては、頭頂部流が、共生成物(例えばアルコールとカルボン酸とのエステル化反応からの水)を除去するために取り出され、そのようにしてその反応を更に所望の生成物への転換に向けて駆り立てる。一般に、頭頂部流は、反応体を回収して反応ゾーンに再循環するために、精溜又はその他の分離装置の操作、例えば液化、凝縮及び液相分離、吸着及び隔膜分離などを受ける。別の態様では、第一の反応ゾーンからは全く頭頂部流は取り出されず、従って栓流(プラグフロー)反応器の使用が可能となる。頭頂部流れの取り出しが必要とされないので、装備とエネルギーの節約を達成することができる。
一般に、第一の反応ゾーンでの液体溶媒の滞留時間は、その反応条件下(所定の反応体濃度について)、その反応溶媒中における理論平衡濃度の50%以内、典型的には約70%以内、そして時には少なくとも約90又は95%の濃度で生成物を生産するために十分なものである。有利には、本方法で製造される生成物の合計量の少なくとも約50%以内、好ましくは少なくとも約70%以内、そして最も好ましくは約75〜95%がその一番目の反応ゾーンで生成する。
第一の反応ゾーンに供給される反応体の相対的な量もまた広汎に変えることができ、しばしば経済的要因に基づいて選択される。多くの平衡により制限される反応の工業的な工程においては、反応体は、所望の生成物を製造するためのほぼ化学量論的な比率プラス、副反応による浪費を補うために必要ないくらかの追加の量で供給されている。エステル化反応及びアルコーリシス反応については、しばしば、アルコール:酸又はエステルのモル比が、約0.9:1〜約1.1:1である。好ましくは、第一の反応ゾーンは、少なくとも1種の反応体の新しい供給量の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは約75〜95%が消費されるように運転される。第一の反応ゾーンにおける反応体類の量及びそれらの相対的な濃度は、未反応の反応体の再循環により、新しい供給のそれとは異なるということは理解されるべきである。一般に、所望の生成物への駆動力を高めるために、反応体のいくらかの再循環が第一の反応ゾーンに対して存在する。
第一の反応ゾーンからは液体が抜き出されるが、その液体には生成物と反応体が含まれている。この液体の少なくとも一部は、第二の反応ゾーンに導入される。多くの例では、第一の反応ゾーンから抜き出された本質的に全ての液体は、第二の反応ゾーンに受け渡されるが、本発明の広い概念では、例えば、生成物及び/又は共生物を液体から取り出すための中間の分離工程が考慮されている。その分離は、例えばエステル化反応、瞬間蒸発もしくは蒸溜装置の稼動、又は隔膜分離もしくは吸着工程を介しての生成物又は共生成物から、水を取り除くための簡単な液相分離であってもよい。また、液体流れの一部は他の処理に用いられてもよい。追加の反応体は、その二番目の反応ゾーンに、新しい供給として又は再循環によって供給することができる。
第一の反応ゾーンのように、第二の反応ゾーンも単一の容器であってもよく、また2つ又はそれ以上の別々の容器からなっていてもよい。その第二の反応ゾーンの条件は、生成物が、好ましくは液相で製造され、次いで蒸発するように保持される。生成物の沸点を低下させて、高温又は高価な高減圧の悪影響を避けるため、好ましくは沸点低下剤、好ましくは水が存在するのがよい。
好ましくは、第二の反応ゾーンの条件の下で、少なくとも1種の生成物についての気−液平衡が、第二の反応ゾーンにおける生成物の約50%より少なく、好ましくは約30%より少なくしか液相で存在しないような状態にあるのがよい。多くの例では、第二の反応ゾーンの条件の下で、少なくとも2種の反応体についての気−液平衡が、少なくとも1種の生成物は蒸発し、第二の反応ゾーンにおける少なくとも1種、時には両方の反応体の約50%より少なく、好ましくは約30%より少なくしか液相に存在しないようにするのがよい。一般に、第二の反応ゾーンでは、反応系に供給され、その反応系で消費される新しい反応体の少なくとも約5%、典型的には少なくとも約10%、多くとも約50%が消費される。
しばしば第二の反応ゾーンにおける反応は、約0〜約200℃、より典型的には約40〜約170℃の範囲内であるが、反応体、所望の生成物、触媒又は所望の副反応の不都合な分解を引き起こす温度より低い温度で実施する。第二の反応ゾーンの温度は(圧力と共に)、その第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された重質成分、例えばマイケル付加重質成分を分解し、且つその製造によるエステル生成物の少なくとも一部を蒸発させるために十分なものであるべきである。反応体が別の反応基、例えばアクリル酸やメタクリル酸残基の場合における不飽和などを含むときには、その温度は、望ましくない重合などの副反応の原因となる温度より低くすべきである。その反応についての所望の温度範囲を広げるため、重合阻害剤を用いることができる。第二の反応ゾーンにおける圧力もまた広汎に変えることができる。典型的には、圧力は減圧から過圧までの範囲であり、例えば絶対圧で約0.01〜約100バール、より頻繁には約0.02〜約10又は約15バールの範囲である。
第二の反応ゾーンにおける反応は:(A)反応体の少なくとも1種;(B)1種以上の生成物が生成されることが意図されているときには、実質的に蒸発している生成物以外の生成物;(C)実質的に蒸発している共生物以外の共生物;及び(D)少なくとも1種のその他の成分、例えば溶媒:の少なくとも1種を含む液体の存在下に実施される。蒸気は二番目の反応ゾーンから抜き出されるが、それには(i)反応体の少なくとも1種、(ii)生成物及び(iii)あるとすれば共生物が含まれる。
平衡により制限される反応がエステル化反応及びアルコーリシス反応である場合には、酸又はエステルが二量化し、又はその他の重質成分を生じさせる可能性がある。アクリル酸と2−エチルヘキサノールの、アクリル酸2−エチルヘキシルを生成するエステル化反応については、重質成分がマイケル付加反応により生成する。二量体又は重質生成物は、典型的に平衡生成物である。本発明の方法は二量体又はその他の重質成分の分解を促進する。特に、第二の反応ゾーンはその二量体又は重質成分を分解するために十分な高い温度で運転されることができるが、その二量体及び重質成分には、液体溶媒の実質的な部分、例えばその溶媒の少なくとも約10重量%、より典型的には約20重量%から約90重量%又はそれ以上までが含まれる。分解されえない重質成分、重合阻害剤、触媒及びポリマーを含む重質残渣は、二番目の反応ゾーンの尾部(tails)から排出される。
1つの態様において、本発明の方法には、更に、底部液体溜分を二番目の反応ゾーンから抜き出し、前記底部液体溜分には重質成分、重合阻害剤及び触媒が含まれ、前記抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、一番目及び/又は二番目の反応ゾーンの少なくとも一方に再循環することが含まれる。
別の態様において、本方法には、反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の反応体を含む、頭頂部蒸気溜分を抜き出すが、前記抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して前記少なくとも1種の反応体を液相で生成させ、そして液相の少なくとも1種の反応体の少なくとも一部を、一番目及び/又は二番目の反応ゾーンの少なくとも一方に再循環することが含まれる。
本方法は、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、底部液体溜分を抜き出すが、前記底部液体溜分は重質成分を含み、前記抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、第一及び/又は第二の反応ゾーンの少なくとも一方に再循環することを含むことができることも考慮されている。
本発明の方法は、一番目の反応ゾーンで水が生成し、且つ第一の反応ゾーンの反応条件下で、水、少なくとも1種の反応体の少なくとも一部、及び少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を含む蒸気溜分が産出され、そして第一の反応ゾーンから前記蒸気溜分が頭頂部で抜き出されて、少なくとも1つの水除去蒸溜ゾーンに導入されるように運転することができる。
本発明の方法はまた、少なくとも1種の反応体の少なくとも一部が水除去蒸溜カラムの上半分に導入されるような方式で運転されることもできる。
本発明の方法は、更にアクリル酸と2−エチルヘキサノールのエステル化反応に関して記載される。これはアクリル酸2−エチルヘキシルを製造するために好ましいやり方ではあるが、そのことは本発明のより広い分野を限定しようとするものではない。
簡単な概要として、アクリル酸2−エチルヘキシルはアクリル酸と2−エチルヘキサノールの酸触媒エステル化反応により製造する。その工程では、アクリル酸は、2つの反応器の直列での稼動で均一酸触媒によりエステル化される。第一の反応器では水が頭頂部から除去される。アクリル酸2−エチルヘキシル、未反応反応体及び副生物を含む尾部の流れは、転換率を高め、重質成分を分解するため、第二の反応器に送られる。アクリル酸2−エチルヘキシル、未反応反応体及び副生物は、第二の反応器の頭頂部成分(make)中に回収される。この頭頂部成分は精製されて本質的に純粋なアクリル酸2−エチルヘキシルを与える。
図1を参照すると、新しいアクリル酸は、管路10を介して第一の反応器100に供給される。新しい2−エチルヘキサノールは管路10を介して直接、並びに/又は、管路31及び/もしくは管路62と61を介して間接的に、反応器100に供給することができる。新しい2−エチルヘキサノール:新しいアクリル酸のモル比は、好ましくは約0.9:1〜約1.1:1である。反応器100に供給されたアクリル酸及び2−エチルヘキサノールは、典型的には標準純度のものである。しかしながら、本発明方法の結果としては、アクリル酸流れの典型的な不純物がそれより高くても、かなり許容される。例えば反応器100へのアクリル酸供給物には、通常、アクリル酸供給物中に存在する不純物であるアクリル酸二量体が2重量%、又はそれ以上含まれていてもよい。アクリル酸二量体は、ここで論じられるように、第二の反応器200での高温操作で容易に分解される。同様に、新規な精製経路の結果として、アルカノール誘導不純物を容易に除去することが可能であり、そのことが低品位アルカノール供給物の使用を可能にする。広汎な酸及びアルコールを使用できることは、大いなる経済的節約につながる。
その反応は、管路10を介して反応器100に導入される酸触媒の存在下で遂行される。実例となる酸触媒には、例えば硫酸、リン酸及び、酸官能基を含む樹脂が含まれる。好ましくは、その触媒は長鎖アルキルベンゼンスルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)である。DBSA触媒及びその変性物は、米国特許第5,231,222号明細書に記載されており、その開示は引用によりここに組み入れる。その他の触媒と比較して、DBSAは、アクリル酸と2−エチルヘキサノールとのエステル化反応の間に、有意に少しの不純物及び重質成分しか発生させない;それゆえDBSAでは、不純物及び重質成分生成が少ないことの結果として、より高い効率が達成される。DBSAは均一触媒である。それにもかかわらず、DBSAを使用する慣用の方法が触媒再生工程を必要とすることとは異なり、本方法においては、DBSAは反応器100及び200の間を管路21及び23を介して単に循環するだけなので、その反応はDBSAを用いて遂行される。反応器100及び200並びに、供給管路10,20,21及び23は、酸触媒による腐食に耐性のある材料で構成される。
反応器100におけるDBSAの量は、好ましくは液体媒体の約0.1〜約10重量%、より好ましくは約0.5〜約2重量%である。DBSAは、通常の操作の間にその工程から排出されるので、従って反応器100又は200への触媒の補充は純粋な触媒として、又はアクリル酸、2−エチルヘキサノール、再循環液体を含む触媒溶液、又はその他いずれかの工程流れであることができる。
アクリル酸及び/又はアクリル酸2−エチルヘキシルから誘導されるポリマーの生成を阻害するために、化学的阻害剤が使用されることは周知である。阻害剤は反応器100に水除去蒸溜カラム300を通して、好ましくはそのカラムの上半分への導入を介して供給される。阻害剤にはフェノチアジン(PZ)、ヒドロキノン(HQ)及びヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)が含まれる。ポリマーの生成は、温度が高い区域、例えば反応器及び蒸溜カラムなど、又は冷たい表面上で蒸気が凝縮するような区域で起こることが一般に認められている。PZは有機流れの中で、またHQ及び/又はMEHQは水の流れの中で利用される。使用される阻害剤の量はその工程に依存する。反応器100中の化学的阻害剤の濃度は、液体媒体の重量に基づいて約50〜約30,000ppm、例えば約10,000ppmである。
化学的阻害剤の他に、ポリマー生成阻害を促進するため、酸素が反応器100に加えられる。酸素の使用はこの技術分野では周知である。酸素は、純酸素として、不活性な気体との混合物として、又は好ましくは空気として供給される。酸素は、その反応器の底に準備された空気スパージャー(図示せず)により供給される。
反応器100は、アクリル酸と2−エチルヘキサノールとの反応のためのタンク型の反応器であり、反応平衡をアクリル酸エステルへと推し進めるために、水の除去を可能にするように設計されている。転化率約70〜約85%が望ましい。反応器100の中の液体の一部は、その液体の温度を高めるためにリボイラー(図示せず)に取り出される。そのリボイラーは慣用の外套容器内チューブ(tube in shell vessel)であることができる。リボイラーを通る容量循環速度は、その反応器の内容物が十分に攪拌され、均一に加熱されることを保証しなければならない。あるいは、必要な熱を生じさせるように設計され、機械攪拌機を、装備されたジャケット付き反応器がタンク反応器及びリボイラーの代わりに使用することができよう。
反応器100内の温度は約80〜約170℃の範囲であることができるが、約100〜約130℃の範囲内に保つことが最も好ましい。リボイラーからの戻りの流れは、従って、約5〜約15℃高い温度である。反応器100内の平均滞留時間は、好ましくは約1〜約6時間である。反応器100内の圧力は、好ましくは絶対圧で約100〜約1000mmHg(0.13〜1.33バール)に保たれる。反応器100内の液体には、好ましくは1重量%より少ない水しか含まれず、そして好ましくは単一相である。
エステル化反応は水を発生させ、その水は頭頂部から取り出されて、水除去蒸溜カラム300の底に供給される。上述の通り、水の除去は反応をアクリル酸2−エチルヘキシルの方へ駆り立てる。蒸溜カラム300はその反応器の上に取り付けることができる。蒸溜カラム300は標準技術設計であり、充填物とトレイを用いることができる。いくらかの同伴DBSA触媒を収容できるように、その底部トレイは高腐食性液体を取り扱うことができる金属で構成される必要があるかも知れない。蒸溜カラム300中での重合及びその他の妨害反応を防止するため、慣用の阻害剤、例えばヒドロキノン及びフェノチアジンなどが、2−エチルヘキサノール又はその他ある種の工程液で希釈され、管路31及び32を介してカラム300に導入される。アルカノール出発原料を直接、反応器100に供給する代わりに、アルカノール出発原料の少なくとも一部を蒸溜カラム300の頂部区画に導入することができる。
蒸溜カラム300からの頭頂部(流れ)は、蒸気として管路30を介して取り出され、凝縮器(図示せず)に供給され、次いで、好ましくはデカンターである分離器800に供給される。凝縮器中でその蒸気は凝縮され、得られた液体は分離器800で相分離されて、有機相の一部は管路81を介して蒸溜カラム300に戻され、有機相の残りは、いくらかの望ましくない低沸点不純物及び副生物を除去するために排出され、水性相は管路80を介して処理装置又はその他の分離装置(図示せず)に送られて、水性相から有機物が回収される。
反応器100からの液体反応媒体は、管路20を介して反応器200に供給される。反応器200は空気スパージャー(図示せず)を装備した標準のタンク型反応器である。反応器200内の液体の一部は、その液体の温度を高めるためリボイラー(図示せず)に取り出される。リボイラーを通る容量循環速度は、その反応器の内容物が十分に攪拌され、均一に加熱されることを保証しなければならない。
反応器200の稼動温度は、反応器100よりも高く、好ましい範囲は、約115℃又は約135℃から約150℃である。リボイラーからの戻り流れは、好ましい反応器温度より約5℃〜約15℃高い温度である。その高めの温度は、残りの2−エチルヘキサノール及びアクリル酸のその生成物への転換を促進するだけではなく、非常に重要なことであるが、このような条件は、重質成分を分解してアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸及び2−エチルヘキサノールに戻すことを可能にする。
反応器200内の稼動圧力は、好ましくは反応器100内の圧力より低く、その好ましい範囲は絶対圧で約10〜200mmHg(0.01〜0.26バール)である。反応器200内の滞留時間は、好ましくは約1〜約6時間である。反応器200には水が導入されるが、それは効果的な触媒作用のためにその液体溶媒中の約1重量%の濃度を維持するため、及びアクリル酸2−エチルヘキシルの蒸発を促進するためである。その二番目の反応器中のDBSA濃度は、液体媒体の重量に基づいて、約1〜約20重量%、好ましくは約5〜約15重量%、例えば約10重量%である。反応器100の場合と同様、重合を少なくするために、阻害剤は反応器200の全体に添加される。
反応器200からの液体底部流は、重質成分及び触媒を含んでおり、管路21及び23を介して反応器100に再循環される。反応器200からの底部流は、反応器100より触媒及び重質成分が多い。重質成分の反応器100と反応器200との循環によって、阻害剤の濃度もまた一番目の反応器よりも高いことにもまた留意すべきである。この再循環流からの排出物は管路21を介して取り出されることができる。本方法の新規な反応システムは、重質成分、触媒及び阻害剤の再循環を可能にする。慣用の方法では、触媒及び阻害剤を含む重質成分の全てが、典型的には廃棄される。従って本発明の方法は、より少ない触媒及び阻害剤の使用と、触媒及び阻害剤コストの削減を可能にする。
アクリル酸2−エチルヘキシル、水並びに未反応のアクリル酸及び2−エチルヘキサノールが、蒸気として反応器200から取り出され、管路22を介して凝縮器400に、次いで分離器500に供給される。分離器500は、好ましくはデカンターである。新しい阻害剤又は再循環の阻害剤のいずれかが、管路41を介して凝縮器400に導入される。凝縮器400中では蒸気が凝縮して、得られた液体は管路40を介して分離器500に供給され、そこで相分離されて、有機相は管路51を介して反応体回収蒸溜カラム600に供給され、水性相の少なくとも一部は管路50を介して反応器200に送られる。新しい阻害剤又は再循環の阻害剤のいずれかが、管路62を介して蒸溜カラム600に導入される。蒸溜カラム600の第一の目的は、分離器500からの有機液体流を、アクリル酸2−エチルヘキシル及び重質成分を含む尾部の溜分並びに2−エチルヘキサノール及びアクリル酸を含む頭頂部流に分離することである。尾部の溜分は本質的に2−エチルヘキサノール及びアクリル酸を含まない。そのカラムの設計は慣用の技術的な施工と矛盾しないものであり、充填物とトレイを用いることができる。この態様において、蒸溜カラム600の基部温度は約120〜約160℃で、圧力は約10〜約100mmHg(0.01〜0.13バール絶対圧)である。蒸溜カラム600からの頭頂部流れは、管路61を介して反応器100及び200のいずれか又は両方に再循環される。
蒸溜カラム600からの尾部溜分は、管路60を介して生成物回収蒸溜カラム700に供給される。新しい阻害剤は、管路72を介して蒸溜カラム700に導入される。カラム700はその尾部溜分をアクリル酸2−エチルヘキシルの頭頂部流れと、重質成分の尾部流れに分割する。その尾部流れは管路70及び73を介して反応器100及び200のいずれか又は両方に再循環される。その尾部流れはまた、前記のように阻害剤を含むが、それは望ましくは再循環される。そのカラムの設計は慣用の技術的な施工と矛盾しないものであり、充填物とトレイを用いることができる。そのカラムの基部温度は約120〜約160℃で、圧力は約10〜約100mmHg(0.01〜0.13バール絶対圧)である。あるいは、蒸気の流れがカラム600の底部、即ち基部から抜き出され、凝縮されてアクリル酸2−エチルヘキシルの流れを生成させることもでき、このように、蒸溜カラム700の必要性をなくすこともできる。
上述のように、本発明の方法は、平衡制限反応からのその他の製品を製造するために用いることができる。以下の実施例においては、本発明に従う方法によりアクリル酸2−エチルヘキシルが製造される。部及び百分率の全ては、別段の特定がない限り重量による。
実施例1
本実施例のプロセス経路は、図1に示す。新しい2−エチルヘキサノールの合計379g/時の、352g/時は管路31を介して、27g/時は管路62及び61を介して、新しいアクリル酸215g/時は管路10を介して、第一の反応器(100)に連続的に供給する。新しい2−エチルヘキサノール:新しいアクリル酸のモル比、は約1:1である。未反応2−エチルヘキサノール及びアクリル酸は、管路61を通して反応器100に172g/時で再循環し;この再循環流には、アクリル酸30%、2−エチルヘキサノール42%、アクリル酸2−エチルヘキシル19%、水4%及びその他の化合物5%が含まれる。再循環阻害剤溶液は、管路32を介して22g/時で供給する。新しいドデシルベンゼンスルホン酸触媒約1g/時は、管路23を通る第二の反応器(200)からの再循環触媒55g/時と共に、管路10を通して反応器100に供給する。反応器100は温度125℃、圧力310mmHg絶対圧で運転する。反応器100中の滞留時間は約4.5〜約5.5時間である。水の多い蒸気流を反応器100から取り出し、頂部圧力300mmHg絶対圧で運転する水除去蒸溜カラム(300)に送る。カラム300からの頭頂部蒸気は、凝縮器(図示せず)中で凝縮され、分離器(800)でデカントされる。水性相は管路80を通して55g/時で取り出される。有機相の一部は管路81を介してカラム300に戻され、その残りは、望ましくない低沸点不純物及び副生物を排出するために管路33を介して3g/時で取り出す。786g/時の反応液は、ドデシルベンゼンスルホン酸触媒約1%及び水約0.5%を含むが、反応器100から排出され、管路20を介して反応器200に供給する。
反応器200は、温度130℃、圧力40mmHg絶対圧及び滞留時間2.5〜3.5時間で運転する。反応器200中のドデシルベンゼンスルホン酸触媒濃度は約10%であり、反応器200中の水の濃度は約0.1%である。水は反応器200に管路50を通して255g/時で供給する。蒸気流が、反応器200から管路22を通って取り出され、凝縮器(400)で凝縮し、分離器(500)でデカントする。分離器500からの有機相は、管路51を介して762g/時で反応体回収カラム(600)に供給する。分離器500からの水性相は管路50を介して反応器200に戻す。新しい阻害剤溶液6g/時は管路41を通り、再循環阻害剤溶液33g/時と共に凝縮器400に供給する。残渣排出流は反応器200から管路21を介して速度8g/時で取り出される。
反応体回収カラム600は、頂部圧力75mmHg絶対圧、頂部温度約110℃及び基部温度約145℃で運転する。未反応反応体は蒸溜物として回収し、管路61を通して反応器100に再循環する。本質的に2−エチルヘキサノール及びアクリル酸を含まない液体流は、カラム600の基部から590g/時で回収され、生成物回収蒸溜カラム(700)に管路60を介して供給する。新しい阻害剤溶液は、阻害剤搬送剤として新しい2−エチルヘキサノールを用いて、管路62を通して27g/時でカラム600に供給する。
生成物回収蒸溜カラム700は、頂部圧力18mmHg絶対圧、頂部温度約120℃、及び基部温度約125℃で運転する。精製されたアクリル酸2−エチルヘキシルを、純度99.7%を有する蒸溜物として549g/時で回収する。液体流がその底部から55g/時で取り出され、カラム300及び凝縮基400への再循環阻害剤溶液として使用する。新しい阻害剤溶液は、阻害剤搬送剤として純アクリル酸2−エチルヘキシルを用いて、管路72を介して14g/時でカラム700に供給する。
本発明は以上の実施例により詳説したが、これらに限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ本発明は前記で開示された全ての範囲を包含するものである。様々な修正や態様が、その精神及び範囲から乖離することなく行われうるものである。
以下に、本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.少なくとも1種の反応体の平衡制限反応を実施して少なくとも1種の生成物を製造する方法であって、
a.前記少なくとも1種の生成物を製造するのに十分で、且つ少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及び少なくとも1種の生成物を液相に維持するのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第一の反応ゾーンで、前記少なくとも1種の反応体を反応させ;
b.第一の反応ゾーンから少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物を含む液体溜分を抜き出して、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、(i)少なくとも1種の生成物を製造し、(ii)第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された、重質成分を分解し、且つ(iii)それらの製造による、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第二の反応ゾーンに導入し(ここで、第二の反応ゾーンには1重量%より少ない水しか存在しない);
c.前記第二の反応ゾーンからの、少なくとも1種の生成物を含む、頭頂部蒸気溜分を抜き出し、そして抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を液相で生成させ;
d.前記少なくとも1つの凝縮ゾーンから、少なくとも1種の生成物及び水を含む、液体溜分を抜き出し、そして抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の生成物を含む有機液体溜分と、水を含む水性液体溜分とを与え;
e.前記少なくとも1つの分離ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記有機液体溜分を抜き出し、そして前記抜き出された有機液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の反応体を含む頭頂部溜分と、前記少なくとも1種の生成物を含む底部液体溜分とを与え;
f.前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、底部液体溜分を抜き出し、そして抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を含む頭頂部溜分と、重質成分を含む底部液体溜分とを与え;そして
g.前記抜き出された頭頂部溜分から、少なくとも1種の生成物を回収すること:
を含んでなる方法。
態様2.工程(a)において、前記少なくとも1種の反応体が、アクリル酸二量体及び/又はその他のマイケル付加重質成分を含む粗アクリル酸流並びに粗2−エチルヘキサノール流を含むアルコール含有供給原料を含む態様1に記載の方法。
態様3.前記少なくとも1種の反応体が、カルボン酸含有供給原料及び/又は平衡制限反応を採用する別の工程からの重質残渣含有流から生じた、アルコール含有供給原料を含む態様1又は2に記載の方法。
態様4.前記生成物が、式R’C(O)OR’’’で表され、前記反応体が式R’C(O)OHで表され、且つ別の前記反応体が式R’’’OHで表される(ここで、R’は炭素原子1〜8のヒドロカルビル含有基であり、R’’’は炭素原子4〜12のヒドロカルビル含有基である)態様1〜3のいずれか1項に記載の方法。
態様5.アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが同時に製造される態様1〜4のいずれか1項に記載の方法。
態様6.触媒が硫酸、スルホン酸又は酸性イオン交換樹脂を含む態様1〜5のいずれか1項に記載の方法。
態様7.平衡制限反応が、炭素2〜4のカルボン酸と、炭素4〜12のアルコールとのエステル化反応である態様1に記載の方法。
態様8.カルボン酸がアクリル酸を含み、且つアルコールが2−エチルヘキサノールを含む態様7に記載の方法。
態様9.少なくとも1種の反応体の平衡制限反応を実施して少なくとも1種の生成物を製造する方法であって、
a.前記少なくとも1種の生成物を製造するのに十分で、且つ少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及び少なくとも1種の生成物を液相に維持するのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第一の反応ゾーンで、前記少なくとも1種の反応体を反応させ;
b.第一の反応ゾーンから少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物を含む液体溜分を抜き出して、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、(i)少なくとも1種の生成物を製造し、(ii)第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された、重質成分を分解し、且つ(iii)それらの製造による、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第二の反応ゾーンに導入し(ここで、第二の反応ゾーンには1重量%より少ない水しか存在しない);
c.前記第二の反応ゾーンからの、少なくとも1種の生成物を含む、頭頂部蒸気溜分を抜き出し、抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を液相で生成させ、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入し;
d.前記少なくとも1つの凝縮ゾーンから、少なくとも1種の生成物及び水を含む、液体溜分を抜き出し、そして抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の生成物を含む有機液体溜分と、水を含む水性液体溜分とを与え;
e.前記少なくとも1つの分離ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記有機液体溜分を抜き出し、前記抜き出された有機液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の反応体を含む頭頂部溜分と、前記少なくとも1種の生成物を含む底部液体溜分とを与え、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入し;
f.前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記底部液体溜分を抜き出し、抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を含む頭頂部溜分と、重質成分を含む底部液体溜分とを与え、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入し;そして
g.前記少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の重合阻害剤を含む前記底部溜分を抜き出し、抜き出された底部溜分の少なくとも一部を、前記少なくとも1種の反応体及び前記少なくとも1種の生成物の重合を最小にするか、又は排除するのに十分な量で、少なくとも1つの凝縮ゾーン、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーン、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーン及び水除去蒸溜ゾーンに導入し;そして
h.前記抜き出された頭頂部溜分から、少なくとも1種の生成物を回収すること:
を含んでなる方法。
図1は、本発明の一態様に従う、アクリル酸と2−エチルヘキサノールからアクリル酸2−エチルヘキシルを製造する方法の模式図である。

Claims (7)

  1. 少なくとも1種の反応体の平衡制限反応を実施して少なくとも1種の生成物を製造する方法であって、
    a.前記少なくとも1種の生成物を製造するのに十分で、且つ少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を液相に維持するのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第一の反応ゾーンで、前記少なくとも1種の反応体を反応させ;
    b.第一の反応ゾーンから少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物を含む液体溜分を抜き出して、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、(i)少なくとも1種の生成物を製造し、(ii)第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された、重質成分を分解し、且つ(iii)それらの製造による、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第二の反応ゾーンに導入し(ここで、第二の反応ゾーンには1重量%より少ない水しか存在しない);
    c.前記第二の反応ゾーンからの、少なくとも1種の生成物を含む、頭頂部蒸気溜分を抜き出し、そして抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を液相で生成させ;
    d.前記少なくとも1つの凝縮ゾーンから、少なくとも1種の生成物及び水を含む、液体溜分を抜き出し、そして抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の生成物を含む有機液体溜分と、水を含む水性液体溜分とを与え;
    e.前記少なくとも1つの分離ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記有機液体溜分を抜き出し、そして前記抜き出された有機液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の反応体を含む頭頂部溜分と、前記少なくとも1種の生成物を含む底部液体溜分とを与え;
    f.前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、底部液体溜分を抜き出し、そして抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を含む頭頂部溜分と、重質成分を含む底部液体溜分とを与え;そして
    g.前記抜き出された頭頂部溜分から、少なくとも1種の生成物を回収すること:
    を含んでなり、
    前記平衡制限反応がエステル化反応であり、そして前記少なくとも1種の反応体が少なくともアクリル酸から選ばれるカルボン酸及び少なくとも2−エチルヘキサノールから選ばれるアルコールを含み、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む生成物を生成する方法。
  2. 工程(a)において、前記少なくとも1種の反応体が、アクリル酸二量体及び/又はその他のマイケル付加重質成分を含む粗アクリル酸流並びに粗2−エチルヘキサノール流を含むアルコール含有供給原料を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1種の反応体が、カルボン酸含有供給原料及び/又は平衡制限反応を採用する別の工程からの重質残渣含有流から生じた、アルコール含有供給原料を含む請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記生成物が、式R’C(O)OR’’’で表され、前記反応体が式R’C(O)OHで表され、且つ別の前記反応体が式R’’’OHで表される(ここで、R’は炭素原子1〜8のヒドロカルビル含有基であり、R’’’は炭素原子4〜12のヒドロカルビル含有基である)請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルが同時に製造される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 触媒が硫酸、スルホン酸又は酸性イオン交換樹脂を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 少なくとも1種の反応体の平衡制限反応を実施して少なくとも1種の生成物を製造する方法であって、
    a.前記少なくとも1種の生成物を製造するのに十分で、且つ少なくとも1種の反応体の少なくとも一部及び少なくとも1種の生成物を液相に維持するのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第一の反応ゾーンで、前記少なくとも1種の反応体を反応させ;
    b.第一の反応ゾーンから少なくとも1種の反応体及び少なくとも1種の生成物を含む液体溜分を抜き出して、抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、(i)少なくとも1種の生成物を製造し、(ii)第二の反応ゾーン中で生成したか、又は第二の反応ゾーン中に導入された、重質成分を分解し、且つ(iii)それらの製造による、少なくとも1種の生成物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な、温度及び圧力を含む反応条件下に保持された第二の反応ゾーンに導入し(ここで、第二の反応ゾーンには1重量%より少ない水しか存在しない);
    c.前記第二の反応ゾーンからの、少なくとも1種の生成物を含む、頭頂部蒸気溜分を抜き出し、抜き出された頭頂部蒸気溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を液相で生成させ、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの凝縮ゾーンに導入し;
    d.前記少なくとも1つの凝縮ゾーンから、少なくとも1種の生成物及び水を含む、液体溜分を抜き出し、そして抜き出された液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの分離ゾーンに導入して、相分離により、少なくとも1種の生成物を含む有機液体溜分と、水を含む水性液体溜分とを与え;
    e.前記少なくとも1つの分離ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記有機液体溜分を抜き出し、前記抜き出された有機液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の反応体を含む頭頂部溜分と、前記少なくとも1種の生成物を含む底部液体溜分とを与え、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンに導入し;
    f.前記少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の生成物を含む、前記底部液体溜分を抜き出し、抜き出された底部液体溜分の少なくとも一部を、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入して、少なくとも1種の生成物を含む頭頂部溜分と、重質成分を含む底部液体溜分とを与え、そして少なくとも1種の重合阻害剤を前記少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンに導入し;そして
    g.前記少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーンから、少なくとも1種の重合阻害剤を含む前記底部溜分を抜き出し、抜き出された底部溜分の少なくとも一部を、前記少なくとも1種の反応体及び前記少なくとも1種の生成物の重合を最小にするか、又は排除するのに十分な量で、少なくとも1つの凝縮ゾーン、少なくとも1つの反応体回収蒸溜ゾーン、少なくとも1つの生成物回収蒸溜ゾーン及び水除去蒸溜ゾーンに導入し;そして
    h.前記抜き出された頭頂部溜分から、少なくとも1種の生成物を回収すること:
    を含んでなり、
    前記平衡制限反応がエステル化反応であり、そして前記少なくとも1種の反応体が少なくともアクリル酸から選ばれるカルボン酸及び少なくとも2−エチルヘキサノールから選ばれるアルコールを含み、アクリル酸2−エチルヘキシルを含む生成物を生成する方法。
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