JP5043717B2 - 車両用ブレーキ圧保持制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、坂道発進時等においてブレーキを保持する車両用ブレーキ保持制御装置に関する。
近年、坂道発進時において車両が後ずさりしてしまうのを抑制するために、ブレーキ力を補助する装置が知られている。このような装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に開示された技術では、坂道発進時において車両の後退力が前進力よりも大きくなったときにブレーキ力を付与することで、後ずさりを抑制している。そして、加速度センサの出力値をそのまま用いて車両の後退を防止するための保持圧を算出している。
特開平7−69102号公報
しかしながら、車両が急停止した場合など、ブレーキの掛け方によっては車両が停止した直後に車両が前後に振動することがある。そのため、加速度センサの出力値をそのまま用いて保持圧を算出すると、算出した保持力が安定しなかったり、小さくなりすぎたりするという問題がある。
そこで、本発明は、適切な保持圧で車両を停止状態に維持することができる車両用ブレーキ保持制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、車両の停止時に車両が停止状態を維持するためブレーキ圧を保持するブレーキ圧保持制御を実行可能な車両用ブレーキ圧保持制御装置であって、車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサの出力値を取得する加速度取得手段と、前記加速度取得手段で取得した加速度センサの出力値の、車両の前方に相当する向きへの変化を制限する第1のフィルタと、車両のギア位置が前進ギアか否かを判定するギア位置判定手段と、前記ギア位置判定手段で判定されたギア位置が前進ギアである場合には、前記第1のフィルタで処理され車両の前方に相当する向きへの加速度センサの出力値の変化が制限されるように出力された第1の加速度フィルタ値を保持圧に換算する換算手段と、前記保持圧に基づきブレーキ圧の保持を実行する保持実行手段とを備えることを特徴とする。
このような車両用ブレーキ圧保持制御装置によれば、加速度センサから出力された加速度の値は、第1のフィルタにより処理されて、車両の前方に相当する向きへの変化が制限され、第1の加速度フィルタ値として出力される。そして、ギア位置判定手段で判定されたギア位置が前進ギアである場合には第1の加速度フィルタ値が保持圧に換算される。すなわち、保持圧の算出は、加速度をフィルタ処理した第1の加速度フィルタ値に基づき算出されるので、加速度センサの出力値が急激に前方に相当する向きに変化しても、保持圧はゆっくりと変化し、車両が振動しても、保持圧が不必要に低下することはない。そして、保持圧実行手段がこの保持圧に基づいてブレーキ圧の保持を実行することで、ブレーキ圧が適切な保持圧で保持され、車両を停止状態に良好に維持することができる。
なお、加速度の値(センサの出力値)の、車両の前方に相当する向きへの変化とは、加速度の値の、車両が前方に引かれるような加速度の向きへの変化を意味する。例えば、車両が前後に振動している場合においては、この振動の過程のうち、車両が徐々に前のめりになるような状態は、前方へ引かれるような加速度が徐々に大きくなっており、加速度の値は、前方に相当する向きに変化している。上記の構成では、このような前のめりの程度が徐々に大きくなっている状況(加速度の値が徐々に前方側へ変化する状況)において、その変化を制限、言い換えれば変化を小さくする。
前記した車両用ブレーキ圧保持制御装置においては、前記加速度取得手段が取得した加速度センサの出力値の、車両の後方に相当する向きへの変化を制限する第2のフィルタを備え、前記ギア位置判定手段は、車両のギア位置が後退ギアか否かをも判定可能に構成されており、前記換算手段は、前記ギア位置判定手段で判定されたギア位置が後退ギアである場合には、前記第2のフィルタで処理され出力された第2の加速度フィルタ値を保持圧に換算することを特徴とする。
このような構成によれば、第2のフィルタによって、加速度の値は、車両の後方に相当する向きへの変化が制限され、第2の加速度フィルタ値として出力される。そして、ギア位置判定手段で判定されたギア位置が後退ギアである場合には第2の加速度フィルタ値が保持圧に換算される。すなわち、保持圧の算出は、加速度をフィルタ処理した第2の加速度フィルタ値に基づき算出されるので、加速度センサの出力値が急激に後方に相当する向きに変化しても、保持圧はゆっくりと変化し、車両が振動しても、保持圧が不必要に低下することはない。そして、保持圧実行手段がこの保持圧に基づいてブレーキ圧の保持を実行することで、ブレーキ圧が適切な保持圧で保持され、車両を停止状態に良好に維持することができる。
なお、ここで、加速度の値(センサの出力値)の、車両の後方に相当する向きへの変化とは、前方の場合と逆であり、加速度の値の、車両が後方に引かれるような加速度の向きへの変化を意味する。
前記した車両用ブレーキ圧保持制御装置においては、前記加速度センサの出力値の変化率が所定値未満である安定時間を計測するタイマと、前記安定時間が所定時間以上か否か判定し、所定時間以上と判定した場合には、前記換算手段が今回算出した保持圧に代えて、当該判定時の保持圧の値を前記保持実行手段に出力する安定時保持圧選択手段とを備えることが望ましい。
このような構成によれば、タイマにより、加速度センサの出力値の変化率が所定値未満、つまり、ある程度安定している安定時間が計測され、安定時保持圧選択手段は、安定時間が所定時間以上になった後には、その判定時の保持圧を保持実行手段に出力する。そのため、車両が安定した後に、仮に強風や地面の揺れなどの外乱により車両が振動したとしても、保持実行手段で保持するブレーキ圧は低下せず、車両を停止状態に良好に維持することができる。
前記した各構成においては、前記車両のブレーキ圧を取得するブレーキ圧取得手段と、車両が停止したか否かを判定する停車判定手段と、前記停車判定手段が前記車両の停止を判定したときに前記ブレーキ圧取得手段が取得したブレーキ圧と、前記換算手段が今回算出した保持圧とを比較して、小さい方を選択し、前記保持実行手段に出力するローセレクト手段とを備えることができる。
このような構成によれば、ローセレクト手段は、車両が停止したときのブレーキ圧と、換算手段が今回算出した保持圧とのうち、小さい方を選択して保持実行手段に出力する。車両が停止したときのブレーキ圧は、その停止した状況、例えば車両が登坂路で停止したその状況において車両を停止させるのに十分な大きさであったはずである。したがって、換算手段が算出した保持圧が仮にこの停止時のブレーキ圧よりも大きかったとしても、停止時のブレーキ圧で保持制御を実行すれば車両の停止状態は十分に維持することができる。したがって、換算手段が算出した保持圧と、車両停止時のブレーキ圧のうち小さい方のブレーキ圧を保持圧として出力することで、極力小さなブレーキ圧にすることができる。
本発明によれば、車両の停止時に何らかの不安定な要素があったとしても、適切な保持圧でブレーキ圧を保持し、車両を停止状態に良好に維持することができる。
[第1実施形態]
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は本発明の第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図であり、図2は車両用ブレーキ液圧制御装置の構成を示す構成図である。
図1に示すように、車両用ブレーキ圧保持制御装置の一例としての車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力を適宜制御する装置である。車両用ブレーキ液圧制御装置100は、油路や各種部品が設けられる液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御部20とを主に備えている。
各車輪Tには、それぞれ車輪ブレーキFL,RR,RL,FRが備えられ、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRには、液圧源としてのマスタシリンダMから供給される液圧により制動力を発生するホイールシリンダWが備えられている。マスタシリンダMとホイールシリンダWとは、それぞれ液圧ユニット10に接続されている。そして、ブレーキペダルPの踏力(運転者の制動操作)に応じてマスタシリンダMで発生したブレーキ液圧が、制御部20および液圧ユニット10で制御された上でホイールシリンダWに供給されている。
制御部20には、マスタシリンダ圧(マスタシリンダM内の液圧)を検出する圧力センサ91と、各車輪Tの車輪速度を検出する車輪速センサ92と、車両CRに加わる加速度を検出する加速度センサ93と、シフトポジションセンサ94とが接続されている。そして、この制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、各センサ91〜94からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。なお、制御部20の詳細は、後述することとする。
図2に示すように、液圧ユニット10は、運転者がブレーキペダルPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生する液圧源であるマスタシリンダMと、車輪ブレーキFR,FL,RR,RLとの間に配置されている。液圧ユニット10は、ブレーキ液が流通する油路(液圧路)を有する基体であるポンプボディ10a、油路上に複数配置された入口弁1、出口弁2などから構成されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、ポンプボディ10aの入口ポート121に接続され、ポンプボディ10aの出口ポート122が、各車輪ブレーキFR,FL,RR,RLに接続されている。そして、通常時はポンプボディ10a内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
ここで、出力ポートM1から始まる油路は、前輪左側の車輪ブレーキFLと後輪右側の車輪ブレーキRRに通じており、出力ポートM2から始まる油路は、前輪右側の車輪ブレーキFRと後輪左側の車輪ブレーキRLに通じている。なお、以下では、出力ポートM1から始まる油路を「第一系統」と称し、出力ポートM2から始まる油路を「第二系統」と称する。
液圧ユニット10には、その第一系統に各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられており、同様に、その第二系統に各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられている。また、この液圧ユニット10には、第一系統および第二系統のそれぞれに、リザーバ3、ポンプ4、ダンパ5、オリフィス5a、調圧弁(レギュレータ)R、吸入弁7、貯留室7aが設けられている。また、液圧ユニット10には、第一系統のポンプ4と第二系統のポンプ4とを駆動するための共通のモータ9が設けられている。なお、本実施形態では、第二系統にのみ圧力センサ91が設けられている。
なお、以下では、マスタシリンダMの出力ポートM1,M2から各調圧弁Rに至る油路を「出力液圧路A1」と称し、第一系統の調圧弁Rから車輪ブレーキFL,RRに至る油路および第二系統の調圧弁Rから車輪ブレーキRL,FRに至る油路をそれぞれ「車輪液圧路B」と称する。また、出力液圧路A1からポンプ4に至る油路を「吸入液圧路C」と称し、ポンプ4から車輪液圧路Bに至る油路を「吐出液圧路D」と称し、さらに、車輪液圧路Bから吸入液圧路Cに至る油路を「開放路E」と称する。
制御弁手段Vは、マスタシリンダMまたはポンプ4側から車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側(詳細には、ホイールシリンダW側)への液圧の行き来を制御する弁であり、ホイールシリンダ圧(ホイールシリンダW内の圧力)を増加、保持または低下させることができる。そのため、制御弁手段Vは、入口弁1、出口弁2、チェック弁1aを備えて構成されている。
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMとの間、すなわち車輪液圧路Bに設けられた常開型の電磁弁である。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、制御部20により適宜閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRに伝達するブレーキ液圧を遮断する。
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間、すなわち車輪液圧路Bと開放路Eとの間に介設された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、制御部20により適宜開放されることで、各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRに作用するブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,FR,RL,RR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に、入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,FR,RL,RR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入を許容する。
リザーバ3は、開放路Eに設けられており、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液圧を貯留する機能を有している。また、リザーバ3とポンプ4との間には、リザーバ3側からポンプ4側へのブレーキ液の流れのみを許容するチェック弁3aが介設されている。
ポンプ4は、出力液圧路A1に通じる吸入液圧路Cと車輪液圧路Bに通じる吐出液圧路Dとの間に介設されており、リザーバ3で貯留されているブレーキ液を吸入して吐出液圧路Dに吐出する機能を有している。
ダンパ5およびオリフィス5aは、その協働作用によってポンプ4から吐出されたブレーキ液の圧力の脈動および後記する調圧弁Rが作動することにより発生する脈動を減衰させている。
調圧弁Rは、通常時に出力液圧路A1から車輪液圧路Bへのブレーキ液の流れを許容するとともに、ポンプ4が発生したブレーキ液圧によりホイールシリンダW側の圧力を増加するときには、この流れを遮断しつつ、吐出液圧路D、車輪液圧路Bおよび制御弁手段V(ホイールシリンダW)側の圧力を設定値以下に調節する機能を有し、切換弁6およびチェック弁6aを備えて構成されている。
切換弁6は、マスタシリンダMに通じる出力液圧路A1と各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRに通じる車輪液圧路Bとの間に介設された常開型のリニアソレノイド弁である。そして、後述する登坂路で車両が停止する場合においては、制御部20によって、切換弁6が閉状態にされることで、ホイールシリンダW内の圧力が保持されるようになっている。
チェック弁6aは、各切換弁6に並列に接続されている。このチェック弁6aは、出力液圧路A1から車輪液圧路Bへのブレーキ液の流れを許容する一方向弁である。
吸入弁7は、吸入液圧路Cに設けられた常閉型の電磁弁であり、吸入液圧路Cを開放する状態および遮断する状態を切り換えるものである。
貯留室7aは、吸入液圧路C上におけるポンプ4と吸入弁7の間に設けられている。この貯留室7aは、ブレーキ液を貯留するものであり、これにより、吸入液圧路Cに貯留されるブレーキ液の容量が実質的に増大する。
圧力センサ91は、出力液圧路A1のブレーキ液圧を検出するものであり、その検出結果は制御部20に入力される。
次に、制御部20の詳細について説明する。参照する図面において、図3は、制御部の構成を示すブロック図であり、図4(a)は、第1の加速度フィルタ値と保持圧との関係を示すマップであり、図4(b)は、第2の加速度フィルタ値と保持圧との関係を示すマップである。
図3に示すように、制御部20は、停車判定手段21、加速度取得手段22、第1のフィルタ23A、第2のフィルタ23B、ギア位置判定手段24、換算手段25、保持実行手段29および記憶装置31を備えて構成されている。
停車判定手段21は、車輪速センサ92からの車輪速情報を取得し、車輪速に基づいて車両が停車したか否かを判断する機能を有している。そして、停車の判定をした場合には、換算手段25および保持実行手段29に停車したことを示す信号を出力する。
加速度取得手段22は、加速度センサ93から、適時、加速度情報を取得する手段である。取得された今回の加速度の値(以下、単に「加速度G」という。)は、第1のフィルタ23Aおよび第2のフィルタ23Bへ出力される。また、取得された加速度Gは、適宜、記憶装置31に記憶される。
なお、本実施形態においては、車両CRが後方へ引かれるような加速度、すなわち、車両CRが前進して加速するときや上り坂で停止しているとき等に発生する加速度を正とし、車両が前方へ引かれるような加速度、すなわち、車両CRが後退して加速するときや下り坂で停止しているとき等に発生する加速度を負とする。もっとも、この正負の関係は、逆に設定されていてもよい。
また、本明細書および図面において、下付き文字nは、今回の計算値または取得値であることを示し、下付き文字n−1は、前回の計算値または取得値であることを示す。
第1のフィルタ23Aは、加速度取得手段22から加速度Gを取得し、加速度Gが車両の前方に相当する向きへの変化を制限するようにフィルタ処理して、第1の加速度フィルタ値Afを換算手段25に出力する機能を有する。本実施形態では、具体的には、加速度Gが小さい値に変化しにくいようにフィルタ処理する。
第2のフィルタ23Bは、加速度取得手段22から加速度Gを取得し、加速度Gが車両の後方に相当する向きへの変化を制限するようにフィルタ処理して、第2の加速度フィルタ値Bfを換算手段25に出力する機能を有する。本実施形態では、具体的には、加速度Gが大きい値に変化しにくいようにフィルタ処理する。
フィルタ処理の例をさらに詳細に説明すると、本実施形態においては、車両CRが坂路に停止したときには、正または負の加速度が第1のフィルタ23Aおよび第2のフィルタ23Bに入力される。第1のフィルタ23Aは、車両CRが上り坂で停止し、前進して発進するまでの間に保持圧が不必要に低下することがないようにするためのものであって、前回算出した第1の加速度フィルタ値Afn−1と、今回計算した加速度Gとを比較する。そして、今回の加速度Gの方が小さい場合には、加速度Gが小さい方向に変化する傾向にあるので、加速度Gが小さい方向に変化しにくいようにフィルタ処理して今回の第1の加速度フィルタ値Afを決定する。例えば、前回の第1の加速度フィルタ値Afn−1と今回の加速度Gの差が所定の定数C1よりも大きい場合には、前回の第1の加速度フィルタ値Afn−1から定数C1を引いた値を今回の第1の加速度フィルタ値Afとして出力し、前回の第1の加速度フィルタ値Afn−1と今回の加速度Gの差が定数C1よりも大きくない場合には、今回の加速度Gを今回の第1の加速度フィルタ値Afとして出力する。第1のフィルタ23Aにより処理され、出力された第1の加速度フィルタ値Afは、適宜、記憶装置31に記憶される。
第2のフィルタ23Bは、車両CRが下り坂で停止し、後退して発進するまでの間に保持圧が不必要に低下することがないようにするためのもので、第1のフィルタ23Aと大小の向きが逆である他は、第1のフィルタ23Aと同様に機能する。すなわち、第2のフィルタ23Bは、前回算出した第2の加速度フィルタ値Bfn−1と、今回計算した加速度Gとを比較する。そして、今回の加速度Gの方が大きい場合には、加速度Gが大きい方向に変化する傾向にあるので、加速度Gが大きい方向に変化しにくいようにフィルタ処理して今回の第2の加速度フィルタ値Bfを決定する。例えば、今回の加速度Gと前回の第2の加速度フィルタ値Bfn−1との差が所定の定数C1よりも大きい場合には、前回の第2の加速度フィルタ値Bfn−1に定数C1を足した値を今回の第2の加速度フィルタ値Bfとして出力し、今回の加速度Gと前回の第2の加速度フィルタ値Bfn−1との差が定数C1よりも大きくない場合には、今回の加速度Gを今回の第2の加速度フィルタ値Bfとして出力する。第2のフィルタ23Bにより処理され、出力された第2の加速度フィルタ値Bfは、適宜、記憶装置31に記憶される。
なお、ここに示したフィルタ処理の方法は一例に過ぎず、第1の加速度フィルタ値Afが減少しにくくなる方法および第2の加速度フィルタ値Bfが増加しにくくなる方法であれば、他のフィルタ処理の方法を採用しても構わない。
ギア位置判定手段24は、シフトポジションセンサ94からギア位置(シフトポジション)の信号を受信し、前進ギアか後退ギアかを判定して換算手段25に出力する手段である。例えば、車両CRにオートマチック変速機が搭載されていた場合には、シフトポジションセンサ94が取得したギア位置がL(ロー)、2ND、D(ドライブ)等の車両CRが前進するポジションにあったなら前進ギアであると判定し、R(リバース)のポジションにあったなら後退ギアであると判定する。
換算手段25は、第1のフィルタ23Aから入力された第1の加速度フィルタ値Afまたは第2のフィルタ23Bから入力された第2の加速度フィルタ値Bfに基づいて、保持実行手段29が保持すべきブレーキ圧である保持圧PHを求めて保持実行手段29に出力する機能を有する。具体的には、換算手段25は、第1の加速度フィルタ値Afおよび第2の加速度フィルタ値Bfのいずれの値を用いるかをギア位置判定手段24の判定結果に基づいて決定する。換算手段25は、ギア位置判定手段24で判定されたギア位置が前進ギアである場合には、第1のフィルタ23Aで処理され出力された第1の加速度フィルタ値Afを保持圧PHに換算し、ギア位置判定手段24で判定されたギア位置が後退ギアである場合には、第2のフィルタ23Bで処理され出力された第2の加速度フィルタ値Bfを保持圧PHに換算する。第1の加速度フィルタ値Afまたは第2の加速度フィルタ値Bfを保持圧PHに換算する場合、例えば、記憶装置31に、図4(a)に示したような第1の加速度フィルタ値Afと保持圧PHの関係や図4(b)に示したような第2の加速度フィルタ値Bfと保持圧PHの関係をマップとして記憶させておき、換算手段25が、このマップを参照して、今回の第1の加速度フィルタ値Afまたは第2の加速度フィルタ値Bfを今回の保持圧PHに換算すればよい。なお、第1の加速度フィルタ値Afまたは第2の加速度フィルタ値Bfから保持圧PHへの換算は、このようなマップによることなく、例えば計算式を記憶装置31に記憶させておき、この計算式を用いて行ってもよい。
保持実行手段29は、入力された保持圧PHに基づき、ブレーキ圧の保持を実行する。すなわち、切換弁6に、保持圧PHに応じた電流を流す機能を有する。この保持動作により、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのブレーキ圧が、保持圧PHに保持される。
次に、車両用ブレーキ液圧制御装置100の動作について、図5から図8を参照しながら説明する。参照する図において、図5は、第1実施形態におけるブレーキ圧保持制御の処理全体を示すフローチャートであり、図6は、フィルタ処理を示すフローチャートであり、図7は、第1実施形態のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートであり、図8は、後退の場合のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。図5のフローは、車両CRが制動を始めた後、再度、運転者がアクセルペダルを踏んで保持制御の解除の条件が満たされるまでの間、繰り返し処理が行われる。なお、図7および図8において、最下段のグラフには、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧は同じグラフに重ねて示し、従来技術の場合の指示圧の変化とホイールシリンダ圧の変化をも重ねて示す。
図5に示すように、制御部20は、加速度取得手段22により加速度センサ93から加速度Gを取得し、第1のフィルタ23Aおよび第2のフィルタ23Bへ出力する(S110)。第1のフィルタ23Aおよび第2のフィルタ23Bは、この取得した加速度Gに対しフィルタ処理(S200)を行う。フィルタ処理は、図6に示すように、第1のフィルタ23Aが、前回のフィルタ処理により得られた第1の加速度フィルタ値Afn−1を読み出し、今回の加速度Gとの差が定数C1より大きいか否か判断する(S201)。Afn−1−GがC1よりも大きい場合には(S201,Yes)、第1のフィルタ23Aは、今回の第1の加速度フィルタ値Afに、前回の第1の加速度フィルタ値Afn−1から定数C1を減じた値を代入する(S202)。この定数C1は、ステップS202でYesと判断されたときのAfn−1−Gよりも小さな正の値であり、前回の第1の加速度フィルタ値Afn−1から今回の第1の加速度フィルタ値Afへの変化量を小さく制限するように設定される。一方、Afn−1−GがC1よりも大きくない場合には(S201,No)、第1のフィルタ23Aは、今回の加速度Gをそのまま、今回の第1の加速度フィルタ値Afとして代入する(S203)。
次に、第2のフィルタ23Bは、前回のフィルタ処理により得られた第2の加速度フィルタ値Bfn−1を読み出し、今回の加速度Gとの差が定数C1より大きいか否か判断する(S204)。G−Bfn−1がC1よりも大きい場合には(S204,Yes)、第2のフィルタ23Bは、今回の第2の加速度フィルタ値Bfに、前回の第2の加速度フィルタ値Bfn−1に定数C1を足した値を代入する(S205)。この定数C1は、ステップS204でYesと判断されたときのG−Bfn−1よりも小さな正の値であり、前回の第2の加速度フィルタ値Bfn−1から今回の第2の加速度フィルタ値Bfへの変化量を小さく制限するように設定される。一方、G−Bfn−1がC1よりも大きくない場合には(S204,No)、第2のフィルタ23Bは、今回の加速度Gをそのまま、今回の第2の加速度フィルタ値Bfとして代入する(S206)。
図5に戻り、停車判定手段21は、車輪速センサ92から車輪速度Vを取得し、車両CRの停止を判断し、停車していないと判断した場合には(S120,No)、保持を実行せず、ステップS110からの処理を繰り返し、停車していると判断した場合には(S120,Yes)、換算手段25および保持実行手段29に停車の判定を出力する。
一方、ギア位置判定手段24は、シフトポジションセンサ94からギア位置を受信し、現在のギア位置が前進ギアか後退ギアかを判定して換算手段25に出力する。
換算手段25は、ギア位置判定手段24で判定されたギア位置が前進ギアであれば(S130,Yes)、第1の加速度フィルタ値Afを保持圧PHに換算する(S150)。一方、ギア位置判定手段24で判定されたギア位置が前進ギアでなく(S130,No)後退ギアであれば(S140,Yes)、第2の加速度フィルタ値Bfを保持圧PHに換算する(S160)。そして、換算手段25は、保持圧PHを保持実行手段29に出力する。なお、ギヤ位置が前進ギアでも後退ギアでもない場合には(S140,No)、ステップS110に戻って処理を繰り返す。
保持実行手段29は、停車判定手段21による停車の判定がなされた条件の下で、換算手段25から入力された保持圧PHに基づいて、ホイールシリンダ圧の保持を実行する(S170)。具体的には、切換弁6に、保持圧PHに応じた電流を流す。そして、制御部20は、アクセルペダルが踏まれて、保持制御の解除の条件が満たされるまで、ステップS110に戻って処理を繰り返す。この条件の具体例を挙げれば、例えば、アクセル開度から推定される運転者のエンジントルクの要求が所定値以上の場合であり、制御部20はこの条件が満たされたときに発進判定を行い、保持制御を解除する。以上の処理により、車両CRの停止中に、切換弁6で車輪液圧路Bの液圧が調整され、ホイールシリンダWの圧力が所望の値に保持される。
以上のような処理が行われると、車両CRは、例えば、図7のような挙動を示す。図7に示すように、車両CRは、登坂走行中に時刻t1で制動を開始し、例えば、時刻t2で急停止する。このとき、車両CRは、急制動で前のめりになった反動で、時刻t2〜t3のように前後に振動する(加速度のグラフを参照)。マスタシリンダ圧の変化に示すように、運転者が急停止後にすぐにブレーキペダルPを離したとすると、従来技術においては、加速度に基づいてブレーキ圧の保持をしていたため、最下段のグラフの細い破線のように、一旦指示圧が0付近になった後(ここまでは、指示圧は細い実線で示したホイールシリンダ圧と同じである)、再度、加速度に応じた圧力を指示する。しかし、一旦指示圧を0にしてマスタシリンダ圧が0になってしまうと、再度圧力を上げることは(別途加圧をしない限り)できないため、ホイールシリンダ圧を所望の値まで上げることができない。また、仮に別途ポンプなどにより加圧してホイールシリンダ圧を所望の値まで上げようとした場合、制御時間が長くなってしまい、その結果としてポンプを作動させることによる作動音が長く生じてしまうという問題がある。
一方、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100では、加速度Gをそのままブレーキ圧の保持に用いるのではなく、上り坂で前進して発進しようとしている車両CRにおいては第1のフィルタ23Aにより加速度Gが小さい方向に変化しにくいようにフィルタ処理している(第1の加速度フィルタ値のグラフの時刻t2〜t4を参照)。そして、フィルタ処理した第1の加速度フィルタ値Afに基づいて保持圧PHを決定し、この保持圧PHに基づいて保持を実行するので、ホイールシリンダ圧は、車両CRの前後の振動によっても下がりすぎることがなく、適切な保持圧に向かって徐々に変化する(ホイールシリンダ圧のグラフの時刻t3〜t4参照)。
また、車両CRが下り坂で後退して発進しようとしている場合においては、第2のフィルタ23Bにより加速度Gが大きい方向に変化しにくいようにフィルタ処理している(図8に示す、加速度フィルタ値のグラフの時刻t2〜t4を参照)。そして、フィルタ処理した第2の加速度フィルタ値Bfに基づいて保持圧PHを決定し、この保持圧PHに基づいて保持を実行するので、ホイールシリンダ圧は、車両CRの前後の振動によっても下がりすぎることがなく、適切な保持圧に向かって徐々に変化する(図8に示す、ホイールシリンダ圧のグラフの時刻t3〜t4参照)。
なお、制御部20が保持制御を解除すると、ホイールシリンダ圧が低下し始め、このホイールシリンダ圧によって車両CRを停止させようとする力よりもエンジンの駆動力が大きくなったときに車両CRは発進することになる。
以上のように、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100によれば、車両CRが急停止するなどにより前後に振動したとしても、指示すべき保持圧PHが急に小さくなることがなく、適切な保持圧にブレーキ圧(ホイールシリンダ圧)を保持して、良好に保持制御を実現することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態においては、第1実施形態と同様の部分については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。参照する図において、図9は、第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の制御部のブロック図であり、図10は、第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の動作を示す全体のフローチャートであり、図11は、安定時保持選択処理のフローチャートであり、図12は、第2実施形態のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。
図9に示すように、第2実施形態の制御部20Aにおいては、第1実施形態の制御部20に対して、タイマTMRと安定時保持圧選択手段26をさらに有している。
タイマTMRは、加速度センサ93の出力値の変化率が所定値未満である安定時間TSを計測する機能を有する。タイマTMRが計測した安定時間TSは、安定時保持圧選択手段26に出力される。その具体的な処理の一例については、後述する。
安定時保持圧選択手段26は、安定時間TSが所定時間以上か否か判定し、所定時間以上と判定した場合には、換算手段25が今回算出した保持圧PHに代えて、当該判定時の保持圧PH1の値を保持圧PHとして保持実行手段29に出力する機能を有する。
制御部20Aの処理を図10を参照して説明する。なお、f1は、保持圧PHが安定したときの値を決定したか否かのフラグであり、保持制御に入る前(例えば、車両が動いたときや、前回アクセルペダルが踏まれた後など)に初期値0にリセットされている。
まず、第1実施形態と同様に、加速度取得手段22により加速度センサ93から加速度Gが取得され(S110)、記憶装置31に記憶される(S111)。そして、タイマTMRにより加速度Gの変化率RAが計算される(S112)。変化率RAは、一例として、今回の加速度Gと前回の加速度Gn−1の差の絶対値で得ることができる。なお、この値を所定の時間で割ってもよい。
そして、タイマTMRは、この変化率RAを、所定値RAthと比較して、変化率RAが所定値RAth未満だった場合(S113,Yes)、加速度Gの変化が小さく、車両CRが安定していると考えられるので安定時間TSをカウントアップする(S114)。一方、変化率RAが所定値RAth以上だった場合(S113,No)、車両CRは不安定であると考えられるので、安定時間TSを0にリセットする(S115)。
次に、第1実施形態と同様に、第1のフィルタ23Aおよび第2のフィルタ23Bが加速度Gのフィルタ処理を行い(S200)、停車判定手段21が車両CRの停止を判定する(S130)。車両CRが停止しているとき(S130,Yes)、第1の実施形態と同様に、換算手段25が、第1の加速度フィルタ値Afまたは第2の加速度フィルタ値Bfに基づき、保持圧PHを算出する(S500:図5のステップS130〜S160と同じ)。そして、安定時保持圧選択手段26は、安定時保持圧選択の処理を行う(S300)。
安定時保持圧選択処理は、図11に示すように、まず、フラグf1が1であるか否か判断し、f1が1でない場合は(S301,No)、まだ、車両CRが安定したことがないということなので、安定時間TSが所定時間TSth以上か否か判断する(S302)。安定時間TSが所定時間未満である場合には(S302,No)、現時点では車両CRが安定していないのでそのまま処理を終了する。一方、安定時間TSが所定時間TSth以上である場合には(S302,Yes)、初めて安定時間TSが所定時間TSth以上になったということなので、現在の保持圧PHを安定時の保持圧PH1として記憶装置31に記憶する(S303)。そして、フラグf1を1にする(S304)。そして、ステップS301でf1が1だった場合(S301,Yes)およびステップS304を処理した場合のいずれも、すでに車両CRが安定したことがあるということなので、今回の保持圧PHとして、記憶装置31に記憶していた安定時の保持圧PH1の値を代入する。これらの処理により、車両CRが一度安定した後は、安定時の保持圧PH1が保持圧PHとして保持実行手段29に出力される。
そして、その後は、第1実施形態と同様にして、車両CRが停止しているという条件の下、ブレーキ圧の保持が実行される(S170)。
このような処理によれば、図12に示すように、時刻t5の後、つまり、一度、車両CRが安定した後に、強風や地面の揺れなどの外乱により前後に振動したとしても(加速度の時刻t5以降を参照)、タイマTMRが測定した安定時間TSが所定時間TSth以上になった後は、第1の加速度フィルタ値Afの変動に影響されることなく、一定の保持圧PH1でホイールシリンダ圧が保持される。したがって、本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置100によれば、強風や地面の揺れなどの外乱が車両CRの安定後にあったとしても、それに影響されることなく、良好に車両CRのブレーキ圧を保持することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態においては、第2実施形態と同様の部分については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。参照する図において、図13は、第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の制御部のブロック図であり、図14は、第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の動作を示す全体のフローチャートであり、図15は、停車時マスタシリンダ圧の記憶処理のフローチャートであり、図16は、第3実施形態のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。
図13に示すように、第3実施形態の制御部20Bにおいては、第2実施形態の制御部20Aに対して、ブレーキ圧取得手段27とローセレクト手段28とをさらに有している。
ブレーキ圧取得手段27は、停車時のブレーキ圧(ホイールシリンダ圧)を取得する手段である。本実施形態では、停車時のブレーキ圧は、マスタシリンダ圧と同じであるので、ブレーキ圧取得手段27は、圧力センサ91の測定値を取得する。
ローセレクト手段28は、停車判定手段21が車両CRの停止を判定したときにブレーキ圧取得手段が取得したマスタシリンダ圧PM1と、換算手段25が今回算出した保持圧PHとを比較して、小さい方を選択し、保持実行手段29に出力する手段である。本実施形態においては、安定時保持圧選択手段26により、換算手段25が算出した保持圧PHと車両CRの安定時の保持圧PH1のうち一方が選択される形態であるので、安定時保持圧選択手段26が出力した保持圧PHと停車時のマスタシリンダ圧PM1とを比較する。
制御部20Bの処理を図14を参照して説明する。図14において、ステップS110〜S300までは、第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。なお、f2は、停車時のマスタシリンダ圧を記憶したか否かのフラグであり、保持制御に入る前(例えば、車両が動いたときや、前回アクセルペダルが踏まれた後など)にf1とともに初期値0にリセットされている。
ステップS121において、ブレーキ圧取得手段27は、圧力センサ91からマスタシリンダ圧PMを取得する。そして、停車判定手段21は、車輪速センサ92から車輪速度Vを取得する(S122)。
次に、停車時のマスタシリンダ圧PM1と保持圧PHのうち低い方を選択する処理(S400)が実行される。
図15に示すように、停車判定手段21は、車輪速度Vが、所定値V0より小さいか否かで停車を判定し、V<V0でない(停車していない)場合(S401,No)、処理を終了する。一方、V<V0の(停車している)場合(S401,Yes)、フラグf2が1か否か判定される(S402)。f2が1の場合(S402,Yes)、すでに停車時のマスタシリンダ圧PM1を記憶してあるので、ステップS405に進む。一方、f2が1でない場合(S402,No)、ローセレクト手段28は、現在のマスタシリンダ圧PMを停車時のマスタシリンダ圧PM1として記憶装置31に記憶し(S403)、f2に1を代入し(S404)、ステップS405に進む。
ステップS405において、ローセレクト手段28は、安定時保持圧選択手段26から入力された保持圧PHが停車時のマスタシリンダ圧PM1より大きいか否か判定し、大きいと判定した場合(S405,Yes)、保持圧PHを記憶装置31で記憶していた停車時のマスタシリンダ圧PM1に置き換え(S406)、保持実行手段29に出力する。一方、安定時保持圧選択手段26から入力された保持圧PHが停車時のマスタシリンダ圧PM1より大きくないと判定した場合には(S405,No)、安定時保持圧選択手段26から入力された保持圧PHをそのまま保持実行手段29に出力する。
そして、図14に戻り、その後は、第1実施形態と同様にして、車両CRが停止しているという条件の下、ブレーキ圧の保持が実行される(S170)。
このような処理によれば、図16に示すように、時刻t2〜t6の間において、傾斜角に基づく保持圧PH、つまり、第1の加速度フィルタ値Afに基づく保持圧PHが、マスタシリンダ圧より大きかったとしても、停車時、つまり時刻t2におけるマスタシリンダ圧PM1が優先的に選択されて、時刻t2以後は、保持圧PHが圧力PM1で維持される。
このように、停車時のマスタシリンダ圧(ブレーキ圧)PM1を保持圧PHとして選択しても、その登坂路において車両CRが停止できることは明らかであるから、第1の加速度フィルタ値Afに基づく保持圧PHより小さな保持圧PH(PM1)を使用し、ブレーキ圧を極力小さな値とすることができる。このため、発進時にブレーキ圧を速やかに0にすることができ、発進時の引っかかりを防止もしくは低減することができる。すなわち、発進する瞬間は、前記したようにエンジンの駆動力が多少車輪に伝わっている状態であり、同時に、保持制御により車輪Tを止めようとしているが、このブレーキ圧が速やかに0になることで、スムーズな発進を実現することができる。また、保持ブレーキ圧を極力小さくすることは、切換弁6に流す電流を少なくするので、切換弁6のコイルや、制御部20の負荷を軽くすることができる。
以上に、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、車両停止時のブレーキ圧の保持制御についてのみ説明したが、車両用ブレーキ液圧制御装置100において、ABS制御やVSA制御等を行うように構成してもよい。もちろん、ABS制御等の他の機能を備えずにホイールシリンダ圧の保持だけを実行可能な装置であってもよい。
前記実施形態においては、登坂路でのブレーキ圧の保持制御を例示したが、平坦路において保持制御を行う場合にも同様に適用することができる。
前記実施形態においては、第1のフィルタ23Aと第2のフィルタ23Bにおいて加速度フィルタ値Af,Bfの変化を制限する値として同じ定数C1を用いたが、第1のフィルタ23Aにおいて加速度フィルタ値Afの変化を制限する値と、第2のフィルタ23Bにおいて加速度フィルタ値Bfの変化を制限する値は、異なる値であってもよい。
本発明の第1実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図である。 車両用ブレーキ液圧制御装置の構成を示す構成図である。 制御部の構成を示すブロック図である。 (a)は、第1の加速度フィルタ値と保持圧との関係を示すマップであり、(b)は、第2の加速度フィルタ値と保持圧との関係を示すマップである。 第1実施形態におけるブレーキ圧保持制御の処理全体を示すフローチャートである。 フィルタ処理を示すフローチャートである。 第1実施形態のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。 後退の場合のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。 第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の制御部のブロック図である。 第2実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の動作を示す全体のフローチャートである。 安定時保持選択処理のフローチャートである。 第2実施形態のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。 第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の制御部のブロック図である。 第3実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の動作を示す全体のフローチャートである。 停車時マスタシリンダ圧の記憶処理のフローチャートである。 第3実施形態のブレーキ圧保持制御を説明するタイムチャートである。
符号の説明
1 入口弁
2 出口弁
6 切換弁
10 液圧ユニット
20 制御部
21 停車判定手段
22 加速度取得手段
23A 第1のフィルタ
23B 第2のフィルタ
24 ギア位置判定手段
25 換算手段
26 安定時保持圧選択手段
27 ブレーキ圧取得手段
28 ローセレクト手段
29 保持実行手段
31 記憶装置
91 圧力センサ
92 車輪速センサ
93 加速度センサ
94 シフトポジションセンサ
100 車両用ブレーキ液圧制御装置
CR 車両
M マスタシリンダ
P ブレーキペダル
R 調圧弁
T 車輪
TMR タイマ
W ホイールシリンダ

Claims (4)

  1. 車両の停止時に車両が停止状態を維持するためブレーキ圧を保持するブレーキ圧保持制御を実行可能な車両用ブレーキ圧保持制御装置であって、
    車両の前後方向の加速度を検出する加速度センサの出力値を取得する加速度取得手段と、
    前記加速度取得手段で取得した加速度センサの出力値の、車両の前方に相当する向きへの変化を制限する第1のフィルタと、
    車両のギア位置が前進ギアか否かを判定するギア位置判定手段と、
    前記ギア位置判定手段で判定されたギア位置が前進ギアである場合には、前記第1のフィルタで処理され車両の前方に相当する向きへの加速度センサの出力値の変化が制限されるように出力された第1の加速度フィルタ値を保持圧に換算する換算手段と、
    前記保持圧に基づきブレーキ圧の保持を実行する保持実行手段とを備えることを特徴とする車両用ブレーキ圧保持制御装置。
  2. 前記加速度取得手段が取得した加速度センサの出力値の、車両の後方に相当する向きへの変化を制限する第2のフィルタを備え、
    前記ギア位置判定手段は、車両のギア位置が後退ギアか否かをも判定可能に構成されており、
    前記換算手段は、前記ギア位置判定手段で判定されたギア位置が後退ギアである場合には、前記第2のフィルタで処理され出力された第2の加速度フィルタ値を保持圧に換算することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ圧保持制御装置。
  3. 前記加速度センサの出力値の変化率が所定値未満である安定時間を計測するタイマと、
    前記安定時間が所定時間以上か否か判定し、所定時間以上と判定した場合には、前記換算手段が今回算出した保持圧に代えて、当該判定時の保持圧の値を前記保持実行手段に出力する安定時保持圧選択手段とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ圧保持制御装置。
  4. 前記車両のブレーキ圧を取得するブレーキ圧取得手段と、
    車両が停止したか否かを判定する停車判定手段と、
    前記停車判定手段が前記車両の停止を判定したときに前記ブレーキ圧取得手段が取得したブレーキ圧と、前記換算手段が今回算出した保持圧とを比較して、小さい方を選択し、前記保持実行手段に出力するローセレクト手段とを備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ圧保持制御装置。
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