JP4923392B2 - プロピレン共重合体組成物およびそのフィルム - Google Patents

プロピレン共重合体組成物およびそのフィルム Download PDF

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Description

本発明は、プロピレン共重合体組成物およびそのフィルムに関するものである。さらに詳細には、フィルムに成形した場合に、低温ヒートシール性、ホットタック性および透明性に優れるフィルムを得ることができるプロピレン共重合体組成物およびそのフィルムに関するものである。
ポリプロピレンを成形して得られるフィルムやシート等は、透明性、耐熱性や食品衛生性等に優れているため、特に、食品等の包装分野において、幅広く利用されている。
例えば、特公昭61−40553号公報には、ヒートシール温度が低下し、ヒートシール強度も大であり、かつその他のフィルムに要求される諸特性を低下させないフィルムとして、ブテン−1含有量が10〜25重量%であるプロピレン−ブテン−1共重合体85〜97重量部とブテン−1含有量が80〜93重量%であるブテン−1共重合体15〜3重量部との混合物層を形成してなるポリプロピレン多層フィルムが記載されている。
また、特開昭61−108647号公報には、低温ヒートシール性に優れかつヒートシール強度に優れたポリプロピレン複合積層体を形成することのできる結晶性プロピレンランダム共重合体組成物として、プロピレン及びプロピレン以外のα−オレフィンからなりかつプロピレンを主成分とする結晶性プロピレンランダム共重合体、及び、エチレン及び1−ブテンからなる1−ブテン系ランダム共重合体を含有することを特徴とする結晶性プロピレンランダム共重合体組成物が記載されている。
しかし、近年、食品等の包装分野においては、製袋速度の高速化が進み、この製袋速度の高速化に対応できる材料が要望されており、上記の特公昭61−40553号公報や特開昭61−108647号公報に記載されているプロピレン共重合体組成物においても、フィルムの低温ヒートシール性、ホットタック性および透明性については、さらなる改良が求められていた。
特公昭61−40553号公報 特開昭61−108647号公報
本発明の目的は、フィルムに成形した場合に、低温ヒートシール性、ホットタック性および透明性に優れるフィルムを得ることができるプロピレン共重合体組成物およびそのフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の実情に鑑み、鋭意検討した結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
下記の要件(A−1)〜(A−3)を満足するプロピレン共重合体(A)70〜99重量%と、
下記の要件(B−1)および(B−2)を満足する1−ブテン重合体(B)1〜30重量%とを含有し、
下記の要件(1)および(2)を満足するプロピレン共重合体組成物に係るものである。(但し、プロピレン共重合体組成物の全量を100重量%とする。)
プロピレン共重合体組成物に関する要件:
要件(1)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部が5〜45重量%である。
要件(2)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部の極限粘度が1.3dl/g以上である。
プロピレン共重合体(A)に関する要件:
要件(A−1)プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である。
要件(A−2)プロピレン共重合体(A)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が3〜40重量%である。
要件(A−3)プロピレン共重合体(A)がプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、エチレン含有量が5重量%以下である。
(但し、プロピレン共重合体(A)におけるプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、またはプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとエチレンの合計量を100重量%とする。)
1−ブテン重合体(B)に関する要件:
要件(B−1)1−ブテン単独重合体、1−ブテンとエチレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンとプロピレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンとエチレンとプロピレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、または1−ブテンとエチレンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られる1−ブテン共重合体である。
要件(B−2)1−ブテン重合体(B)の融点が60℃以上125℃未満である。
また、本発明は、
下記の要件(A−1)〜(A−3)を満足するプロピレン共重合体(A)30〜98重量%と、
下記の要件(B−1)および(B−2)を満足する1−ブテン重合体(B)1〜30重量%と
下記の要件(C−1)〜(C−5)を満足するプロピレン共重合体(C)1〜50重量%とを含有し、
下記の要件(1)および(2)を満足するプロピレン共重合体組成物に係るものである。(但し、プロピレン共重合体組成物の全量を100重量%とする。)
プロピレン共重合体組成物に関する要件:
要件(1)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部が5〜45重量%である。
要件(2)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部の極限粘度が1.3dl/g以上である。
プロピレン共重合体(A)に関する要件:
要件(A−1)プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である。
要件(A−2)プロピレン共重合体(A)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が3〜40重量%である。
要件(A−3)プロピレン共重合体(A)がプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、エチレン含有量が5重量%以下である。
(但し、プロピレン共重合体(A)におけるプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、またはプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとエチレンの合計量を100重量%とする。)
1−ブテン重合体(B)に関する要件:
要件(B−1)1−ブテン単独重合体、1−ブテンとエチレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンとプロピレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンとエチレンとプロピレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、または1−ブテンとエチレンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られる1−ブテン共重合体である。
要件(B−2)1−ブテン重合体(B)の融点が60℃以上125℃未満である。
プロピレン共重合体(C)に関する要件:
要件(C−1)プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である。
要件(C−2)プロピレン共重合体(C)が、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、エチレン含有量が10重量%以下である。
要件(C−3)プロピレン共重合体(C)が、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、プロピレン共重合体(C)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が10重量%以下である。
要件(C−4)プロピレン共重合体(C)が、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、プロピレン共重合体(C)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量は、プロピレン共重合体(A)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量より少ない。
要件(C−5)プロピレン共重合体(C)の融点が125℃以上150℃未満である。
(但し、プロピレン共重合体(C)におけるプロピレンとエチレンの合計量、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量を100重量%とする。)
また、本発明は、上記のプロピレン共重合体組成物からなる層を、少なくとも1つ有するフィルムに係るものである。
本発明によれば、フィルムに成形した場合に、低温ヒートシール性、ホットタック性および透明性に優れるフィルムを得ることができるプロピレン共重合体組成物およびそのフィルムを得ることができる。
本発明のプロピレン共重合体組成物は、プロピレン共重合体(A)70〜99重量%と、1−ブテン重合体(B)1〜30重量%とを含有し、下記の要件(1)および(2)を満足するプロピレン共重合体組成物(但し、プロピレン共重合体組成物の全量を100重量%とする。)である。
要件(1)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部(CXSと称する。)が5〜45重量%である。
要件(2)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部(CXS)の極限粘度([η]CXSと称する。)が1.3dl/g以上である。
また、本発明のプロピレン共重合体組成物は、プロピレン共重合体(A)30〜98重量%と、1−ブテン重合体(B)1〜30重量%と、プロピレン共重合体(C)1〜50重量%とを含有し、下記の要件(1)および(2)を満足するプロピレン共重合体組成物(但し、プロピレン共重合体組成物の全量を100重量%とする。)である。
要件(1)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部(CXS)が5〜45重量%である。
要件(2)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部の極限粘度([η]CXS)が1.3dl/g以上である。
本発明のプロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部(CXS)は、5〜45重量%であり(要件(1))、低温ヒートシール性や加工時のベタツキの観点から、好ましくは10〜40重量%である。
本発明のプロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部の極限粘度([η]CXS)は、1.3dl/g以上であり(要件(2))、ホットタック強度の観点から、好ましくは1.34〜7dl/gであり、より好ましくは1.38〜5dl/gである。
また、本発明のプロピレン共重合体組成物の230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)としては、流動性や製膜性の観点から、通常は0.1〜50g/10分であり、好ましくは1〜20g/10分、より好ましくは3〜15g/10分、さらに好ましくは4〜15g/10分である。
本発明のプロピレン共重合体組成物が、プロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)とを含有するプロピレン共重合体組成物である場合、プロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)のそれぞれの含有量は、70〜99重量%と1〜30重量%であり、製膜加工時のベタツキの観点から、好ましくは75〜99重量%と1〜25重量%であり、より好ましくは80〜97と3〜20重量%である。
本発明のプロピレン共重合体組成物が、プロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)とプロピレン共重合体(C)とを含有するプロピレン共重合体組成物である場合、プロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)とプロピレン共重合体(C)のそれぞれの含有量は、30〜98重量%と1〜30重量%と1〜50重量%であり、ヒートシール温度、加工時のべたつきの観点から、好ましくは40〜98重量%と1〜25重量%と1〜45重量%であり、より好ましくは50〜96と3〜20重量%と1〜40重量%である。
本発明で用いられるプロピレン共重合体(A)は、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である(要件(A−1))。
プロピレン共重合体(A)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量は、3〜40重量%である(要件(A−2))。フィルムの低温ヒートシール性や製膜加工時のベタツキの観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。
プロピレン共重合体(A)がプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、エチレン含有量は、5重量%以下である(要件(A−3))。フィルムの経時白化や製膜加工時のベタツキの観点から、好ましくは0.1重量%以上3重量%以下である。
なお、上記の要件(A−2)および要件(A−3)において、プロピレン共重合体(A)におけるプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、またはプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとエチレンの合計量を100重量%とする。
プロピレン共重合体(A)の230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)としては、通常、0.1〜50g/10分であり、流動性の観点から、好ましくは1〜20g/10分、より好ましくは3〜15g/10分、さらに好ましくは4〜15g/10分である。
プロピレン共重合体(A)のMFRを、溶融混練時に公知の方法によって、変化させて、プロピレン共重合体(A)の流動性を調節することができる。例えば、有機過酸化物を添加する方法等によって、調節することができる。
プロピレン共重合体(A)に用いられる炭素数4以上のα−オレフィンとして、好ましくは炭素数4〜20のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素数4〜12のα−オレフィンである。
例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ブテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン、1−オクテン、5−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3ジメチル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−メチル−3−エチル−1−ヘプテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。
好ましくは、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、より好ましくは、共重合性や経済性等の観点から、1−ブテン、1−ヘキセンである。
プロピレン共重合体(A)としては、例えば、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体などが挙げられ、好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体である。
プロピレン共重合体(A)として、好ましくは下記の成分(a−1)1〜30重量%および成分(a−2)70〜99重量%を含有するプロピレン共重合体である。
成分(a−1)1−ブテン含量が、1重量%以上15重量%未満である成分。
成分(a−2)1−ブテン含量が、15重量%以上40重量%以下である成分。
(但し、プロピレン共重合体(A)の全量を100重量%とする。)
重合時のパウダー性状の観点から、成分(a−1)の含有量として、好ましくは1〜20重量%であり、成分(a−2)の含有量として、好ましくは80〜99重量%である。また成分(a−1)に含まれる1−ブテンの含有量として、好ましくは1〜10重量%であり、成分(a−2)に含まれる1−ブテンの含有量として、好ましくは15〜30重量%である。
プロピレン共重合体(A)における成分(a−1)または成分(a−2)としては、例えば、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分等が挙げられ、好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体成分である。成分(a−1)および成分(a−2)は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記の成分(a−1)および成分(a−2)を含有するプロピレン共重合体(A)としては、例えば、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−エチレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)共重合体等が挙げられ、好ましくは(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体、(プロピレン−1−ヘキセン)−(プロピレン−1−ヘキセン)共重合体であり、さらに好ましくは(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)共重合体である。
本発明で用いられる1−ブテン重合体(B)は、1−ブテン単独重合体、1−ブテンとエチレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンとプロピレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、1−ブテンとエチレンとプロピレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体、または1−ブテンとエチレンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られる1−ブテン共重合体である(要件(B−1))。
1−ブテン重合体(B)が1−ブテン共重合体である場合、1−ブテン共重合体に用いられる1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、1−ペンテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
1−ブテン重合体(B)が1−ブテン共重合体である場合、1−ブテン共重合体としては、例えば、1−ブテン−プロピレン共重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン−エチレン共重合体等が挙げられ、好ましくは1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体である。
1−ブテン重合体(B)が1−ブテン共重合体である場合、1−ブテンの含有量は、通常、55〜99.9重量%である。加工時のベタツキの観点から、好ましくは60〜99.9重量%、より好ましくは65〜99.9重量%である。なお、1−ブテン重合体(B)が1−ブテン共重合体である場合、1−ブテンとエチレンの合計量、1−ブテンとプロピレンの合計量、1−ブテンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、1−ブテンとエチレンとプロピレンの合計量、または1−ブテンとエチレンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンの合計量を100重量%とする。
1−ブテン重合体(B)が1−ブテン共重合体である場合、エチレンの含有量、プロピレンの含有量、1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンの含有量、エチレンとプロピレンの含有量、またはエチレンと1−ブテン以外の炭素数4以上のα−オレフィンの含有量は、通常、0.1〜45重量%であり、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.1〜35重量%である。
1−ブテン重合体(B)の融点(Tm)は、60℃以上125℃未満である(要件(B−2))。フィルムの低温ヒートシール性や製膜加工時のベタツキの観点から、好ましくは65〜120℃、より好ましくは65℃〜115℃である。
1−ブテン重合体(B)の極限粘度([η])は、フィルムのホットタック強度や組成物を造粒する時の分散性の観点から、好ましくは1.4〜7dl/gであり、より好ましくは1.5〜6dl/gであり、さらに好ましくは1.6〜5dl/gである。
本発明で用いられるプロピレン共重合体(C)は、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である(要件(C−1))。
プロピレン共重合体(C)が、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、エチレン含有量は、10重量%以下であり(要件(C−2))、好ましくは0.1〜8重量%であり、より好ましくは1〜7重量%である。
プロピレン共重合体(C)を重合するときに得られるパウダー性状の観点から、プロピレン共重合体(C)が、プロピレンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、上記の要件(C−2)を満足する必要がある。
プロピレン共重合体(C)が、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、プロピレン共重合体(C)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量は、10重量%以下であり(要件(C−3))、好ましくは0.1重量%以上8重量%以下である。
プロピレン共重合体(C)が、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、プロピレン共重合体(C)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量は、プロピレン共重合体(A)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量より少ない(要件(C−4))。
プロピレン共重合体(C)を重合するときに得られるパウダー性状の観点から、プロピレン共重合体(C)が、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、上記の要件(C−3)および要件(C−4)を満足する必要がある。
上記の要件(C−2)、(C−3)および(C−4)において、プロピレン共重合体(C)におけるプロピレンとエチレンの合計量、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、またはプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量を100重量%とする。
プロピレン共重合体(C)の融点が125℃以上150℃未満である(要件(C−5))。プロピレン共重合体(C)を重合するときに得られるパウダー性状やフィルムの低温ヒートシール性の観点から、好ましくは125℃以上145℃以下である。
プロピレン共重合体(C)の230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)は、通常、0.1〜200g/10分であり、流動性または製膜性の観点から、好ましくは1〜150g/10分である。
プロピレン共重合体(C)のMFRを、溶融混練時に、公知の方法によって、変化させて、プロピレン共重合体(C)の流動性を調節することができる。例えば、有機過酸化物を添加する方法によって、調節することができる。
本発明で用いられるプロピレン共重合体(A)およびプロピレン重合体(C)の製造は、プロピレン、エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンを共重合させることができる重合用触媒を用いて、プロピレン、エチレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンを共重合させる重合方法によって行うことができる。
重合用触媒としては、チーグラー・ナッタ型触媒、メタロセン系触媒等が挙げられ、好ましくはTi、Mg、ハロゲンを必須成分として含有する触媒である。例えば、マグネシウム化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、この固体触媒成分と有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分からなる触媒系であり、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、好ましくはトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサンである。
電子供与性化合物としては、好ましくはシクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランである。
重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法等が挙げられ、好ましくは後処理等が容易な塊状重合法または気相重合法である。これらの重合法は、バッチ式であってもよく、連続式であってもよい。
プロピレン共重合体(A)が、前述の成分(a−1)および成分(a−2)を含有するプロピレン共重合体である場合、その製造は、前述の重合用触媒を用いて、第一工程と第二工程以降の工程からなる多段階の重合により行うことができる。
第一工程の重合方法と第二工程以降の工程の重合方法は、同じであってもよく、異なっていてもよく、重合活性および後処理が容易であるという観点から、好ましくは、第一工程が不活性溶剤の不存在下で重合を行う工程であり、第二工程以降の工程が気相で重合を行う工程である。また、第一工程の重合と第二工程以降の工程の重合は、同一の重合槽(反応器)で行ってもよく、異なる重合槽(反応器)で行ってもよい。
第一工程と第二工程以降の工程からなる多段階の重合方法としては、例えば、溶剤−溶剤重合法、塊状−塊状重合法、気相−気相重合法、溶剤−気相重合法、塊状−気相−気相重合法、溶剤−気相−気相重合法、塊状−気相−気相重合法等が挙げられ、好ましくは塊状−気相重合法、気相−気相重合法、塊状−気相−気相重合法が挙げられる。
第一工程の重合温度は、通常、20〜150℃であり、生産性および共重合体成分(a−1)と共重合体成分(a−2)の含有量の制御の観点から、好ましくは35〜95℃である。
第二工程以降の重合温度は第一工程の重合温度と同一でもよく、異なっていてもよいが、通常、20〜150℃であり、好ましくは35〜95℃である。
本発明で用いられる1−ブテン重合体(B)の製造は、通常工業的に広く一般に使用されている方法で重合により行うことができる。
本発明のプロピレン共重合体組成物の製造は、プロピレン共重合体(A)および1−ブテン重合体(B)、またはプロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)およびプロピレン共重合体(C)を、均一に分散させる方法によって行うことができる。例えば、押出溶融ブレンド法、バンバリーブレンド法等が挙げられる。
本発明のプロピレン共重合体組成物のメルトフローレート(MFR)を変化させ、プロピレン共重合体組成物の分子量を調節するために、有機過酸化物を用いて溶融混練する場合、プロピレン共重合体(A)および/またはプロピレン共重合体(C)と有機過酸化物を溶融混練することが好ましく、1−ブテン重合体(B)と有機過酸化物を溶融混練することは行わない方が好ましい。
本発明のプロピレン共重合体組成物には、必要に応じて、添加剤や、本発明で用いられるプロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)およびプロピレン共重合体(C)以外の樹脂を添加しても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
プロピレン共重合体(A)と1−ブテン重合体(B)およびプロピレン共重合体(C)以外の樹脂としては、ポリエチレン等が挙げられる。
本発明のフィルムは、本発明のプロピレン共重合体組成物からなる層を少なくとも1つ有するフィルムである。本発明のフィルムは、単独の層のフィルムであっても良く、本発明のプロピレン共重合体組成物からなる層を少なくとも1層有する多層フィルムであっても良い。
本発明のフィルムの製造方法としては、通常用いられるインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等が挙げられる。多層フィルムの製造方法としては、通常用いられる共押出成形法、押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。
また、本発明のフィルムは、延伸フィルムであっても良い。延伸フィルムの製造方法としては、本発明のプロピレン共重合体組成物を事前に成形して得られたフィルムまたはシートを延伸してフィルムを製造する方法が挙げられる。延伸方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等によって、一軸または二軸に延伸する方法等が挙げられる。
本発明のフィルムとして、好ましくは、フィルムの低温ヒートシール性、透明性、剛性等の物性のバランスの観点から、未延伸の共押出成形法によって製造されたフィルム、または二軸延伸法によって製造されたフィルムである。
本発明のフィルムの用途は、例えば、包装用フィルムである。包装用フィルムとしては、例えば、食品包装用フィルム、衣類包装用フィルム等が挙げられ、好ましくは食品包装用フィルムである。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で用いた試料の調整方法および物性の測定方法を下記に示した。
(1)1−ブテン含量(単位:重量%)
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第619頁に記載されているIRスペクトル測定を行い、1−ブテン含量を求めた。
(2)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃のテトラリン中で測定を行った。
(3)20℃キシレン可溶部(CXS、単位:重量%)
試料1gを沸騰キシレン100mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間放置した。その後、これを析出物と溶液とに濾別し、濾液を乾固して減圧下70℃で乾燥した。その重量を測定して、20℃キシレン可溶部(CXS)を求めた。
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(5)融点(Tm、単位:℃)
ポリプロピレン共重合体組成物を熱プレス成形(230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却)して、厚さ0.5mmのシートを作成し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用い、そのシート10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理後、降温速度300℃/分で150℃まで冷却し、150℃において1分間保温し、さらに降温速度5℃/分で50℃まで冷却し、50℃において1分間保温した後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した際に得られる融解曲線において、最大吸熱ピークを示す温度(℃)を測定した。
(6)透明性(ヘイズ、単位:%)
JIS K7105に従い測定した。
(7)ヒートシール温度(HST、単位:℃)
フィルムの表面同士を重ね合わせ、所定の温度に加熱されたヒートシーラー(東洋精機製)で2kg/cm2の荷重で2秒間圧着してヒートシールを行った。このサンプルを一昼夜23℃、湿度50%で状態調整したのち、23℃、湿度50%で剥離速度200mm/分、剥離角度180度で剥離した時の剥離抵抗力が300g/25mmになるシール温度を求め、ヒートシール温度とした。
(8)ホットタック強度(g/75mm)
75mm巾のフィルムのシーラント面同士を重ね合わせ、所定の温度に加熱されたヒートシーラーで2kg/cm2の荷重で2秒間圧着してヒートシールした。荷重を除いた直後に、板状スプリングでシール部分に剥離力を加えて剥離長さを測定した。
ばね定数の異なる板状スプリングを使用して異なる剥離力で前記剥離試験を繰り返し、剥離長さが3.2mmを示す剥離力を求めた。なお、使用した板状スプリングのばね強度は、53g、77g、110g、154g、224g、250g、295gであった。
実施例1
〔プロピレン共重合体(A−1)〕
特開2002−069143の実施例1と同様に固体触媒を調整し、重合を行って、1−ブテン含有量が24.6重量%、MFRが2.2g/10分のプロピレン−1−ブテン共重合体の粉末(A)を得た。得られた粉末(A)100重量部に対して、ステアリン酸カルシム0.1重量部、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量部、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)社製、BHT)0.1重量部、トスパール120(GE東芝シリコーン(株)社製)0.4重量部、およびMFR調整剤を0.25重量部混合した後、溶融混練してMFRが10.3g/10分であるペレット(プロピレン共重合体(A−1))を得た。MFR調整剤には、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをポリプロピレン粉末に8%含浸させたマスターバッチを使用した。
〔1−ブテン重合体(B−1)〕
タフマーBL3080([η]=2.56dl/g、Tm=79℃、三井化学(株)社製)
〔プロピレン共重合体組成物(1)〕
上記で得られたMFRが10.3g/10分であるペレット(プロピレン共重合体(A−1))90重量%と、上記のタフマーBL3080(1−ブテン重合体(B−1))10重量%を混合した後、溶融混練してペレット(プロピレン共重合体組成物(1))を得た。得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(1))のMFRは7.9g/10分、CXSは28.3重量%、[η]CXSは1.65dl/gであった。得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(1))の組成と、CXSおよび[η]CXSを表1に示した。
〔延伸フィルムの作成〕
表層用に上記で得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(1))を用い、基材層用に住友化学工業(株)社製FS2011DG2(融点が159℃、MFRが2.5g/10分であるポリプロピレン)を用い、ペレット(プロピレン共重合体組成物(1))を230℃で、FS2011DG2を260℃で、各々を別の押出機で溶融混練した後、一機の共押出しTダイに供給した。このTダイから、表層/基材層である2種2層構成として押出された樹脂を、30℃の冷却ロールにて急冷、固化することにより、厚さ1mmのキャストシートを得た。
得られたキャストシートを、予熱後、延伸温度145℃で、縦延伸機のロール周速差によって、縦方向に5倍に延伸し、引き続いて加熱炉にて延伸温度157℃で、横方向に8倍に延伸した後、165℃で熱処理を行い、厚さ1μm/20μmである多層二軸延伸フィルムを得、巻取り機で巻き取った。得られた多層二軸延伸フィルムの物性の評価結果を表2に示した。
実施例2
〔プロピレン共重合体(A−2)〕
実施例1で得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の粉末(A)100重量部に対して、ステアリン酸カルシム0.1重量部、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量部、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)社製、BHT)0.1重量部、トスパール120(GE東芝シリコーン(株)社製)0.4重量部、およびMFR調整剤を0.22重量部混合した後、溶融混練してMFRが8.5g/10分のペレット(プロピレン共重合体(A−2))を得た。MFR調整剤には、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをポリプロピレン粉末に8%含浸させたマスターバッチを使用した。
〔1−ブテン重合体(B−2)〕
タフマーBL3110([η]=1.79dl/g、Tm=100.7℃、三井化学(株)社製)
〔プロピレン共重合体組成物(2)および延伸フィルムの作成〕
上記で得られたMFRが8.5g/10分であるペレット(プロピレン共重合体(A−2))90重量%と、上記のタフマーBL3110(1−ブテン重合体(B−2))10重量%を混合した後、溶融混練してペレット(プロピレン共重合体組成物(2))を得た。得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(2))のMFRは8.6g/10分、CXSは28.2重量%、[η]CXSは1.40dl/gであった。得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(2))の組成と、CXSおよび[η]CXSを表1に示した。
実施例1の延伸フィルムの作成において、表層用に用いられたペレット(プロピレン共重合体組成物(1))を、上記で得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(2))に替えた以外は、実施例1と同様の方法で、多層二軸延伸フィルムを作成した。得られた多層二軸延伸フィルムの物性の評価結果を表2に示した。
比較例1
〔プロピレン共重合体(A−3)〕
実施例1で得られたプロピレン−1−ブテン共重合体の粉末(A)100重量部に対して、ステアリン酸カルシム0.1重量部、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.05重量部、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール(住友化学工業(株)社製、BHT)0.1重量部、トスパール120(GE東芝シリコーン(株)社製)0.4重量部、およびMFR調整剤を0.21重量部混合した後、溶融混練してMFRが7.8g/10分であるペレット(プロピレン共重合体(A−3))を得た。MFR調整剤には、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをポリプロピレン粉末に8%含浸させたマスターバッチを使用した。
〔1−ブテン重合体(B−3)〕
タフマーBL3450([η]=1.35dl/g、Tm=94.7℃、三井化学(株)社製)
〔プロピレン共重合体組成物(3)および延伸フィルムの作成〕
上記で得られたMFRが7.8g/10分であるペレット(プロピレン共重合体(A−3))90重量%と、上記のタフマーBL3450(1−ブテン重合体(B−3))10重量%を混合した後、溶融混練してペレット(プロピレン共重合体組成物(3))を得た。得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(3))のMFRは8.3g/10分、CXSは28.2重量%、[η]CXSは1.28dl/gであった。得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(3))の組成と、CXSおよび[η]CXSを表1に示した。
実施例1の延伸フィルムの作成において、表層用に用いられたペレット(プロピレン共重合体組成物(1))を、上記で得られたペレット(プロピレン共重合体組成物(3))に替えた以外は、実施例1と同様の方法で、多層二軸延伸フィルムを作成した。得られた多層二軸延伸フィルムの物性の評価結果を表2に示した。
Figure 0004923392
Figure 0004923392
本発明の要件を満足する実施例1および2は、低温ヒートシール性、ホットタック性および透明性に優れるものであることが分かる。
これに対して、本発明の要件であるプロピレン共重合体組成物の20℃キシレンか頭部の極限粘度([η]CXS)の要件を満足しない比較例1は、ホットタック強度が不充分であることが分かる。

Claims (3)

  1. 下記の要件(A−1)〜(A−3)を満足するプロピレン共重合体(A)70〜99重量%と、
    下記の要件(B−1)および(B−2)を満足する1−ブテン重合体(B)1〜30重量%とを含有し、
    下記の要件(1)および(2)を満足するプロピレン共重合体組成物。(但し、プロピレン共重合体組成物の全量を100重量%とする。)
    プロピレン共重合体組成物に関する要件:
    要件(1)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部が5〜45重量%である。
    要件(2)プロピレン共重合体組成物の20℃キシレン可溶部の極限粘度が1.3dl/g以上である。
    プロピレン共重合体(A)に関する要件:
    要件(A−1)プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン共重合体、またはプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である。
    要件(A−2)プロピレン共重合体(A)の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が3〜40重量%である。
    要件(A−3)プロピレン共重合体(A)がプロピレンと炭素数4以上のα-オレフィンとエチレンを共重合して得られるプロピレン共重合体である場合、エチレン含有量が5重量%以下である。
    (但し、プロピレン共重合体(A)におけるプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの合計量、またはプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとエチレンの合計量を100重量%とする。)
    1−ブテン重合体(B)に関する要件:
    要件(B−1)1−ブテンとエチレンを共重合して得られる1−ブテン共重合体である。
    要件(B−2)1−ブテン重合体(B)の融点が60℃以上125℃未満である。
  2. プロピレン共重合体(A)が、プロピレンと1−ブテンを共重合して得られるプロピレン−1−ブテン共重合体であることを特徴とする請求項1記載のプロピレン共重合体組成物。
  3. 請求項1または2に記載のプロピレン共重合体組成物からなる層を、少なくとも1つ有するフィルム。
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