JP4911296B2 - 金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法 - Google Patents

金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、錫メッキなどの金属メッキ性に優れ、異方導電性フィルム(以下ACF)やICチップをフィルムにはり合わせるエポキシ樹脂などの接着剤との接着性に優れる金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法及びこの方法より得られる金属配線耐熱性樹脂基板に関する。特に、高性能の電子機器、とりわけ小型軽量化に好適な、高密度に配線されたフレキシブル配線基板、ビルトアップ回路基板、ICキャリアテープなどに用いることができる金属配線耐熱性樹脂基板製造方法及びこの方法より得られる金属配線耐熱性樹脂基板に関する。
従来から、ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルムに、銅箔などの金属箔を積層した金属箔積層耐熱性樹脂フィルムは、薄くて軽量である特長を生かして、高性能の電子機器、とりわけ小型軽量化に好適な、高密度に配線されたフレキシブル配線基板やICキャリアテープに用いられてきた。
ポリイミドなどの樹脂フィルムに、銅箔などの金属箔をラミネート法において積層した金属箔積層耐熱性樹脂フィルムでは、金属配線の微細化にともない、ACFやICチップをフィルムにはり合わせる接着剤との接着性を改良する目的で、耐熱性樹脂フィルムを改良したものとして、特許文献1には、ジアミン成分の0〜50%にDA3EGを有し、酸主成分にBPDAあるいはODPAまたはBTDAを有する熱可塑性ポリイミド樹脂を用い、耐熱性ベースフィルムの少なくとも片面に該熱可塑性ポリイミド層を有する耐熱性ボンドプライおよび箔層金属を熱ラミネートしたフレキシブル金属箔積層体で、ACFとの密着性が5N/cm以上で、40℃、90RH%、96時間の吸湿後、260℃、10秒間のはんだディップ試験で、熱可塑性ポリイミド層に白濁がなく、熱可塑性ポリイミド層と金属箔との剥離がないことを特徴とする熱可塑性ポリイミド樹脂を用いた銅張積層板が開示され、また特許文献2には、ジアミン成分の5〜50%に水酸基あるいはカルボキシル基を有する熱可塑性ポリイミド樹脂を接着剤として用い、耐熱性ベースフィルムの少なくとも片面に該熱可塑性ポリイミド層を有する耐熱性ボンドプライと箔層金属を熱ラミネートしたフレキシブル金属箔積層体が開示されている。
さらに樹脂フィルムと銅箔とをはり合わせる接着剤の改良として、特許文献3にA:粘弾性樹脂組成物とB:ポリイミドフィルムとの複合体の片面もしくは両面に導電体層を有する、複合体の総厚が100μm以下の薄葉配線板材料であり、前記粘弾性樹脂組成物の貯蔵弾性率が20℃で300〜1700MPaであって、粘弾性樹脂組成物が重合体中に2〜10部のグリシジルアクリレートをもち、エポキシ価が2〜18であり、かつ重量平均分子量(Mw)が5万以上であるアクリル重合体を必要成分とする薄葉配線板材料が開示されている。
樹脂フィルムの表面粗度を改良する目的で、特許文献4には、算術平均粗さのカットオフ値0.002mmで測定した値Ra1が、0.05μm以上1μm以下であり、カットオフ値0.1mmで測定した値Ra2との比Ra1/Ra2が0.4以上1以下である表面形状を少なくと片面に有する樹脂フィルムが開示されている。
特開2002−322276号公報 特開平11−354901号公報 特開平11−68271号公報 特開2004−276401号公報
ポリイミドなどの耐熱性樹脂フィルムに、銅箔などの金属箔をラミネート法などで積層した金属箔積層耐熱性樹脂フィルムにおいて、金属箔をエッチングして微細配線を形成した場合、配線間の金属箔を除去した耐熱性樹脂フィルムの表面と、ACFやICチップをフィルムにはり合わせる接着剤との接着性が要求されている。
また金属箔積層耐熱性樹脂フィルムをメタライジングタイプで製造する場合、銅層の形成にコストがかかり銅箔の厚膜化が難しく、銅と耐熱性樹脂フィルムとの密着力が小さく、密着力信頼性も劣ることが知られている。
本発明は、ポリイミドなどの耐熱性樹脂基板と、銅箔などの金属箔をラミネート法などで積層した金属箔積層耐熱性樹脂フィルムにおいて、金属箔をエッチングして微細配線を形成し、配線間などの金属箔を除去した耐熱性樹脂フィルムの表面が、ACFやICチップをフィルムにはり合わせる接着剤との接着性に優れる金属箔積層耐熱性樹脂基板の製造方法を提供することを目的とした。
さらに本発明は、金属箔をエッチングして形成した金属配線の少なくとも一部を錫メッキなどの金属メッキした時に、金属配線間などの絶縁信頼性に優れる金属箔積層耐熱性樹脂基板の製造方法を提供することを目的とした。
本発明の第一は、耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に、Ni、Cr、Co、Zn、SnおよびMoから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を少なくとも1種含む合金で表面処理した金属箔(以下、表面処理に使用された金属を、表面処理金属という。)の表面処理された面を積層した金属箔耐熱性樹脂基板を用いて、耐熱性樹脂基板に金属配線を有する金属配線耐熱性樹脂基板を製造する方法において、
耐熱性樹脂基板に積層された金属箔より耐熱性樹脂基板に金属配線を形成する工程と、
表面処理金属の少なくとも1種を除去が可能なエッチング液により、耐熱性樹脂基板の金属配線を有する側の表面を洗浄して耐熱性樹脂基板の接着性を向上させる洗浄工程と
を有することを特徴とする金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法に関する。
本発明の第二は、本発明の第一の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法により製造された金属配線耐熱性樹脂基板に関する。
本発明の第一及び/又は第二の好ましい態様を以下に示し、これら態様は複数組み合わせることが出来る。
1)金属積層耐熱性樹脂基板の金属をエッチングにより除去して得られる耐熱性樹脂基板の表面に存在する金属箔の表面処理に起因するNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金をエッチングによって除去すること、さらに好ましくは金属積層耐熱性樹脂基板の金属をエッチングにより除去して得られる耐熱性樹脂基板の表面に存在する金属箔の表面処理に起因するNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を酸性のエッチング液によって除去すること。
2)エッチング液は、表面処理金属の少なくとも1種を、金属配線の材料よりも速い速度で除去できること、さらに酸性のエッチング液であること、さらにエッチング液は、Ni−Cr合金用エッチング剤(Ni−Crシード層除去剤)であること。
3)金属箔は、少なくとも片面がNi及びCrから選ばれる少なくとも1種の金属又はこれらの金属を少なくとも1種含む合金で表面処理されたものであり、
エッチング液が、金属箔の表面処理に用いられたNi及びCrから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液であること。
4)金属配線耐熱性樹脂基板は、耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に積層された金属箔を部分的にエッチングにより除去して耐熱性樹脂基板の表面に金属配線を形成したものであること。
5)金属箔は、銅箔であること。
6)金属箔は、粗化面Raが0.27μm以下の金属箔であること。
7)金属配線耐熱性樹脂基板は、耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に積層された金属箔を部分的にエッチングして耐熱性樹脂基板の表面に80μmピッチ以下の金属配線を形成したものであること。
8)耐熱性樹脂基板は、ポリイミドフィルムであること、さらに高耐熱性のポリイミド層の少なくとも片面に熱圧着性のポリイミド層を積層したものであること。
9)耐熱性樹脂基板は、高耐熱性のポリイミド層の少なくとも片面に熱圧着性のポリイミド層を積層したものであり、
金属積層耐熱性樹脂基板は、耐熱性樹脂基板の熱圧着性のポリイミド層に、金属箔の表面処理された面を積層したものであること、さらに耐熱性樹脂基板の熱圧着性のポリイミド層に、金属箔の表面処理された面を、加熱加圧により積層したものであること。
10)エッチング洗浄された金属配線耐熱性樹脂基板の用途が、フレキシブル配線回路用基板、ビルトアップ回路用基板、又はICキャリアテープ用基板であること。
11)耐熱性樹脂基板と金属箔との積層面において、耐熱性樹脂基板の表面または金属箔表面の少なくとも一方がシランカップリング剤で処理されており、
洗浄工程は、処理後の表面のシリコン原子濃度が処理前より高くなるように行われること。
12)金属配線を形成する工程は、
金属箔をエッチングによりパターニングして、耐熱性樹脂基板の表面に金属配線を形成する工程であること。
13)金属配線耐熱性樹脂基板は、金属配線を形成した耐熱性樹脂基板露出面の少なくとも一部に、接着性の有機材料の層が設けられる用途に使用されること。
14)接着性の有機材料の層は、導電層、絶縁層、保護層、接着層、封止層およびシール層のうちの少なくとも1つの機能を有する層であること。
15)洗浄工程の後に、金属メッキ工程をさらに有すること。
本発明の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法は、金属箔をエッチングして得られる金属配線間などの金属箔をエッチングにより除去した耐熱性樹脂フィルムの表面が、ACFやICチップをフィルムにはり合わせるエポキシ樹脂などの接着剤との接着性に優れる金属配線耐熱性樹脂基板を得ることができる。
本発明の製造方法より製造される金属配線耐熱性樹脂基板は、金属箔をエッチングして得られる金属配線の少なくとも一部に錫メッキなどの金属メッキを行った時に、配線間などの金属箔を除去した耐熱性樹脂フィルムの表面にメッキ金属による異常析出を防止又は抑制することができ、金属配線間などの絶縁信頼性が向上し、メッキ後に得られる配線基板の見栄えがよく、特に高密度に配線されたフレキシブル配線基板、ビルトアップ回路基板、ICキャリアテープに用いることができる。
本発明の製造方法より製造される金属配線耐熱性樹脂基板は、金属箔をエッチングして40μmピッチ以下や50μmピッチ以下の微細配線を形成することができ、高密度なフレキシブル配線基板、ビルトアップ回路基板、ICキャリアテープを得ることができる。
本発明の製造方法より、金属箔をエッチングして金属配線を形成し、金属配線の少なくとも一部に錫メッキなどの金属メッキを行い、高密度に配線されたフレキシブル配線基板、ビルトアップ回路基板、ICキャリアテープに用いることができるメッキされた金属配線耐熱性樹脂基板を得ることができる、特に金属箔を40μmピッチ以下や50μmピッチ以下にエッチングして微細配線を形成し、金属配線の少なくとも一部に錫メッキなどの金属メッキを行い、高密度に配線されたフレキシブル配線基板、ビルトアップ回路基板、ICキャリアテープに用いることができるメッキされた金属配線耐熱性樹脂基板を得ることができる。
金属箔は、少なくとも片面がNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属又はこれらの金属を少なくとも1種含む合金で、粗化処理、防錆処理、耐熱処理、耐薬品処理などの表面処理されたものであり、さらにシランカップリング処理されたものを用いることができる。
金属箔としては、特に限定されないが、電解銅箔や圧延銅箔などの銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、ステンレス鋼及びその合金、ニッケル及びニッケル合金(42合金も含む)、などの100μm以下、好ましくは0.1〜100μm、特に1〜100μm厚みの金属を用いることができる。
金属箔は、耐熱性樹脂基板とはり合せる金属箔の表面の粗度は特に限定されないが、耐熱性樹脂基板と接合する側の金属箔の粗化面Raが好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、特に好ましくは0.27μm以下の平滑なものを用いることができる。
Ni、Cr、Co、Zn、SnおよびMoから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を少なくとも1種含む合金で表面処理した金属を、表面処理金属という。
厚みの薄い金属箔を用いる場合(例えば0.1〜8μm厚みのもの)には、金属箔を補強し保護する役割を有する保護箔(例えばキャリア箔など)を積層したものを用いることができる。
保護箔(キャリア箔)は、特に材質は限定していないが、極薄銅箔などの金属箔とはり合わすことができ、極薄銅箔などの金属箔を補強し、保護する役割を有するものであればよく、例えばアルミニウム箔、銅箔、表面をメタルコーティングした樹脂箔などを用いることができる。
保護箔(キャリア箔)の厚さは、特に限定していないが、厚みの薄い金属箔を補強できるものであればよく、一般に10〜200μm厚、さらに12〜100μm厚、特に15〜75μm厚のものを用いることが好ましい。
保護箔(キャリア箔)は、極薄銅箔などの極薄金属箔と平面的に貼り合わされたような形態で用いられるものであればよい。
保護箔(キャリア箔)は、連続した製造工程を流れ、少なくとも金属積層耐熱性樹脂基板の製造終了時までは、金属箔層と接合した状態を維持し、ハンドリングを容易にしているものを用いることができる。
保護箔(キャリア箔)を、銅箔などの金属箔より除去する方法としては、耐熱性樹脂基板に保護箔(キャリア箔)付金属箔を積層後に、保護箔(キャリア箔)を引き剥がして除去するもの、耐熱性樹脂基板に保護箔(キャリア箔)付金属箔を積層前又は後に保護箔(キャリア箔)をエッチング法にて除去するものなどを用いることができる。
キャリア箔付電解銅箔では、キャリア箔の表面上に電解銅箔となる銅成分を電析させるので、キャリア箔には少なくとも導電性を有することが必要となる。
キャリア付き極薄銅箔としては、日本電解社製(YSNAP−3B:キャリア厚18μm/薄銅箔3μm)オーリン社製の極薄銅箔(XTF:銅箔厚さ5μm/キャリア厚さ35μm、銅箔厚さ3μm/キャリア厚さ35μmなど)、古河電気工業社製の極薄銅箔(F−CP:厚さ5μm/35μm、厚さ3μm/35μm、いずれも極薄銅箔/キャリア銅箔)を挙げることができる。
金属箔は、粗化処理、防錆処理等が終了した後に、耐熱性樹脂基板や接着剤層との密着性を化学的に向上させるためシランカップリング剤処理を行うことが出来る。
シランカップリング剤としては、特に限定を要するものではなく、使用する耐熱性樹脂基板や接着剤層などを考慮して、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤等から任意に選択使用することが可能となる。たとえばビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)プトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等などをあげることができる。これらのシランカップリング剤は、通常0.001〜5%の水溶液にし、これを銅箔などの金属箔の表面に塗布したのち、そのまま加熱乾燥すればよい。なお、シランカップリング剤に代えて、チタネート系、ジルコネート系などのカップリング剤を用いても、同様の効果を得ることができる。
耐熱性樹脂基板の物性としては、特に限定されないが、金属箔との積層が問題なく行え、製造や取扱が行いやすく、銅箔などの金属箔のエッチングを行なえ、耐熱性や電気絶縁性に優れるものであればよく、必要に応じて金属箔を充分に支持でき、必要に応じて金属配線を形成させる時に使用するフォトレジスト層を除去させる現像液や剥離液に大きな影響を受けないものであれば良い。
特に耐熱性樹脂基板の物性としては、熱収縮率が0.05%以下、線膨張係数(50〜200℃)が耐熱性樹脂基板に積層する銅箔などの金属箔の線膨張係数に近いことが好ましく、金属箔として銅箔を用いる場合耐熱性樹脂基板の線膨張係数(50〜200℃)は0.5×10−5〜2.8×10−5cm/cm/℃であることが好ましい。
耐熱性樹脂基板としては、ポリイミド、ポリアミド、アラミド、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンザゾール、BT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、などが挙げられ、これらの樹脂をフィルム状、シート状、板状にした基板を用いることができる。
特に耐熱性樹脂基板としては、ポリイミドが、耐熱性及び難燃性に優れ、剛性が高く、電気絶縁性に優れることから好ましく用いることができる。
耐熱性樹脂基板としては、宇部興産社製「ユーピレックス(S、R)」(商品名)、東レ・デュポン社製「カプトン(H、EN、K)」(商品名)、鐘淵化学工業社製「アピカル(AH、NPI、HP)」(商品名)、新日鐵化学社製「エスパネックス(S、M)」(商品名)、東レ社製「ミクトロン」(商品名)などのビフェニルテトラカルボン酸骨格及びピロメリット酸骨格から選ばれる酸成分と、フェニレンジアミン骨格、ジアミノジフェニルエーテル骨格及びビフェニル骨格から選ばれるジアミン成分とを主成分とする市販のポリイミドフィルム、クラレ社製「ベクスター」商品名、新日鐵化学社製「エスパネックス(L)」(商品名)など市販の液晶ポリマー、などが挙げられるが、これらに限定されない。
耐熱性樹脂基板としては、無機充填剤、有機充填剤などの充填剤、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維などの繊維材料などと共に形成されたもの、繊維は短繊維、繊維を織り、編み、組み又は不織布の形状として用いることができる。
耐熱性樹脂基板としては、単層、2層以上を積層した複層のフィルム、シート、板の形状として用いることができる。
耐熱性樹脂基板の厚みは、特に限定されないが、金属箔との積層が問題なく行え、製造や取扱が行なえ、金属箔を充分に支持できる厚みであれば良く、好ましくは1〜500μm、より好ましくは2〜300μm、さらに好ましくは5〜200μm、より好ましくは7〜175μm、特に好ましくは8〜100μmのものを用いることが好ましい。
耐熱性樹脂基板としては、基板の少なくとも片面がコロナ放電処理、プラズマ処理、化学的粗面化処理、物理的粗面化処理などの表面処理された基板を用いることができる。
耐熱性樹脂基板としては、基板の剛性が小さいなど取扱い性が困難な場合には、基板の裏面に後工程で剥離可能な剛性のあるフィルムや基板をはり付けて用いることができる。
耐熱性樹脂基板の表面がシランカップリング剤などの表面処理剤で処理されていることが極めて好ましい。
表面処理剤としては、特に限定を要するものではなく、使用する耐熱性樹脂基板、接着剤層、金属箔などを考慮して、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシランカップリング剤、或いはチタネート系の表面処理剤を用いることが出来る。
アミノシラン系表面処理剤としてはγ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−〔β−(フェニルアミノ)−エチル〕−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどの化合物、エポキシシラン系表面処理剤としてはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチル−トリメトキシラン、γ−グリシリドキシプロピル−トリメトキシシランなどの化合物、チタネート系表面処理剤としてはイソプロピル−トリクミルフェニル−チタネート、ジクミルフェニル−オキシアセテート−チタネートなどの化合物が挙げられる。
表面処理剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシランカップリング剤を好ましく用いることができる。
表面処理剤は、表面処理剤をそのままの状態で存在してもよく、さらに加熱による熱変化や化学変化などの変化を受けた状態で存在してもよい。
耐熱性樹脂基板としては、耐熱性、電気絶縁性などに優れるポリイミドフィルムを好適に用いることができる。
ポリイミドフィルムとしては、熱収縮率が0.05%以下、線膨張係数(50〜200℃)が耐熱性樹脂基板に積層する銅箔などの金属箔の線膨張係数に近いことが好ましく、金属箔として銅箔を用いる場合耐熱性樹脂基板の線膨張係数(50〜200℃)は0.5×10−5〜2.8×10−5cm/cm/℃のものを用いることができる。
ポリイミドフィルムとしては、単独のポリイミドフィルム、2層以上のポリイミドが積層された2層以上の積層ポリイミドフィルムを用いることができ、ポリイミドの種類も特に限定されるものではない。
ポリイミドフィルムは、公知の方法で製造することができ、例えば単層のポリイミドフィルムでは、
(1)ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を支持体に流延又は塗布し、イミド化する方法、
(2)ポリイミド溶液を支持体に流延、塗布し、必要に応じて加熱する方法、などを用いることが出来、
2層以上のポリイミドフィルムでは、
(3)ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を支持体に流延又は塗布し、さらに2層目以上のポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を逐次前に支持体に流延又は塗布したポリアミック酸層の上面に流延又は塗布し、イミド化する方法、
(4)2層以上のポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を同時に支持体に流延又は塗布し、イミド化する方法、
(5)ポリイミド溶液を支持体に流延又は塗布し、さらに2層目以上のポリイミド溶液を逐次前に支持体に流延又は塗布したポリイミド層の上面に流延又は塗布し、必要に応じて加熱する方法、
(6)2層以上のポリイミド溶液を同時に支持体に流延又は塗布し、必要に応じて加熱する方法、
(5)上記(1)から(6)で得られた2枚以上のポリイミドフィルムを直接、又は接着剤を介して積層する方法、などにより得ることができる。
耐熱性樹脂基板として、耐熱性ポリイミド層(S1)の少なくとも片面に熱圧着性ポリイミド層(S2)を有する2層以上の熱圧着性を有するポリイミドフィルムを用いることができる。
多層ポリイミドフィルムの層構成の一例としては、S2/S1、S2/S1/S2、S2/S1/S2/S1、S2/S1/S2/S1/S2、
熱圧着性を有するポリイミドフィルムにおいて、耐熱性ポリイミド層(S1)と熱圧着性ポリイミド層(S2)の厚みは適宜選択して用いることができ、
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの最外層の熱圧着性ポリイミド層(S2)の厚みは、0.5〜10μm、好ましくは1〜7μm、さらに好ましくは2〜5μmの範囲であり、耐熱性ポリイミド層(S1)の両面に厚みの略等しい熱圧着性ポリイミド層(S2)を設けることにより、カールが抑制することができる。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムにおいて、耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドとしては、下記の特徴を少なくとも1つ有するもの、下記の特徴を少なくとも2つ有するもの[1]と2)、1)と3)、2)と3)の組合せ]、特に下記の特徴を全て有するものを用いることができる。
1)単独のポリイミドフィルムの場合に、ガラス転移温度が300℃以上、好ましくはガラス転移温度が330℃以上、さらに好ましくは確認不可能であるもの。
2)単独のポリイミドフィルムの場合に、線膨張係数(50〜200℃)(MD)が、耐熱性樹脂基板に積層する銅箔などの金属箔の熱膨張係数に近いことが好ましく、金属箔として銅箔を用いる場合耐熱性樹脂基板の熱膨張係数は5×10−6〜28×10−6cm/cm/℃であることが好ましく、9×10−6〜20×10−6cm/cm/℃であることが好ましく、さらに12×10−6〜18×10−6cm/cm/℃であることが好ましい。
3)単独のポリイミドフィルムの場合に、引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上、好ましくは500kg/mm以上、さらに700kg/mm以上であるもの。
4)好ましくは熱収縮率が0.05%以下のもの。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの耐熱性ポリイミド層(S1)は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)とから選ばれる成分を主たる酸成分と、パラフェニレンジアミン(PPD)及び4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(DADE)とから選ばれる成分を主たるジアミン成分とから合成されるポリイミドを用いることが出来、
好適には
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とパラフェニレンジアミン(PPD)と場合によりさらに4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(DADE)とから製造され、この場合PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましく、
(2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとから製造され、この場合BPDA/PMDAは15/85〜85/15で、PPD/DADEは90/10〜10/90であることが好ましく、
(3)ピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとから製造され、この場合DADE/PPDは90/10〜10/90であることが好ましく、
(4)3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)およびピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとから製造される。この場合、酸二無水物中BTDA/PMDAが20/80〜90/10、ジアミン中PPD/DADEが30/70〜90/10であることが好ましい。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドの合成は、最終的に各成分の割合が前記範囲内であればランダム重合、ブロック重合、あるいはあらかじめ2種類のポリアミック酸を合成しておき両ポリアミック酸溶液を混合後反応条件下で混合して均一溶液とする、いずれの方法によっても達成される。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドの合成において、前記の各成分を使用し、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の略等モル量を、有機溶媒中で反応させてポリアミック酸の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)とする。
耐熱性ポリイミド層(S1層)の耐熱性ポリイミドの物性を損なわない種類と量の他のテトラカルボン酸二無水物やジアミンを使用してもよい。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドは、
1)金属箔と熱圧着性を有するポリイミドであり、好ましくは熱圧着性ポリイミド(S2)のガラス転移温度以上から400℃以下の温度で金属箔と積層して熱圧着性を有するポリイミドである。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドは、さらに、以下の特徴を少なくとも1つ有することが好ましい。
2)熱圧着性ポリイミド(S2)は、金属箔とポリイミド(S2)とのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上、さらに95%以上、特に100%以上であるポリイミドであること。
2)ガラス転移温度が130〜330℃であること。
3)引張弾性率が100〜700Kg/mm2であること。
4)線膨張係数(50〜200℃)(MD)が13〜30×10−6cm/cm/℃であること。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドは、種々の公知の熱可塑性ポリイミドから選択することができ、例えば、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物などから選ばれる酸成分を含む、好ましくは主成分として含む酸成分と、
1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンなどから選ばれる少なくとも主鎖にベンゼン環を3個有するジアミン成分を含み、好ましくは主成分として含み、必要に応じて主鎖にベンゼン環を1個又は2個有するジアミン成分をさらに含む、ジアミン成分とから合成されるポリイミドを用いることができる。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドは、好適には、
1)2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)及び3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)から選ばれる酸成分と、
2)1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンから選ばれるジアミン成分とから合成されるポリイミドを用いることができ、必要に応じて主鎖にベンゼン環を1個又は2個有するジアミン成分や上記以外のジアミン、酸成分を含むことができ、
特にジアミン成分として1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)を80モル%以上含み、(以下、TPERと略記することもある)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記することもある。)とから製造される。この場合s−BPDA/a−BPDAは100/0〜5/95であることが好ましく、熱圧着性ポリイミドの物性を損なわない範囲で他のテトラカルボン酸二無水物、例えば2,2−ビス(3、4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物あるいは2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などで置き換えられてもよい。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドは、前記各成分と、さらに場合により他のテトラカルボン酸二無水物および他のジアミンとを、有機溶媒中、約100℃以下、特に20〜60℃の温度で反応させてポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液をドープ液として使用し、そのドープ液の薄膜を形成し、その薄膜から溶媒を蒸発させ除去すると共にポリアミック酸をイミド環化することにより製造することができる。
また、前述のようにして製造したポリアミック酸の溶液を150〜250℃に加熱するか、またはイミド化剤を添加して150℃以下、特に15〜50℃の温度で反応させて、イミド環化した後溶媒を蒸発させる、もしくは貧溶媒中に析出させて粉末とした後、該粉末を有機溶液に溶解して熱圧着性ポリイミドの有機溶媒溶液を得ることができる。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドを得るためには、前記の有機溶媒中、ジアミン(アミノ基のモル数として)の使用量が酸無水物の全モル数(テトラ酸二無水物とジカルボン酸無水物の酸無水物基としての総モルとして)に対する比として、0.95〜1.0、特に0.98〜1.0、そのなかでも特に0.99〜1.0であることが好ましい。ジカルボン酸無水物を使用する場合の使用量は、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基モル量に対する比として、0.05以下であるような割合の各成分を反応させることができる。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムの熱圧着性ポリイミド層(S2)の熱圧着性ポリイミドにおいて、得られるポリアミック酸の分子量が小さい場合、金属箔との積層体の接着強度の低下をもたらす場合がある。
また、ポリアミック酸のゲル化を制限する目的でリン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマ−)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。
また、イミド化促進の目的で、ドープ液中に塩基性有機化合物を添加することができる。例えば、イミダゾール、2−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸に対して0.05〜10重量%、特に0.1〜2重量%の割合で使用することができる。これらは比較的低温でポリイミドフィルムを形成するため、イミド化が不十分となることを避けるために使用することができる。
また、接着強度の安定化の目的で、熱圧着性ポリイミド用ポリアミック酸溶液に有機アルミニウム化合物、無機アルミニウム化合物または有機錫化合物を添加してもよい。例えば水酸化アルミニウム、アルミニウムトリアセチルアセトナ−トなどをポリアミック酸に対してアルミニウム金属として1ppm以上、特に1〜1000ppmの割合で添加することができる。
酸成分及びジアミン成分よりポリアミック酸製造に使用する有機溶媒は、耐熱性ポリイミドおよび熱圧着性ポリイミドのいずれに対しても、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、クレゾール類などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
耐熱性ポリイミドおよび熱圧着性ポリイミドは、アミン末端を封止するためにジカルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体など、特に、無水フタル酸を使用することができる。
熱圧着性を有するポリイミドフィルムは、好適には共押出し−流延製膜法(単に、多層押出法ともいう。)によって、耐熱性ポリイミド(S1)のドープ液と熱圧着性ポリイミド(S2)のドープ液とを積層、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法、
或いは耐熱性ポリイミド(S1)のドープ液を支持体上に流延塗布し、乾燥した自己支持性フィルム(ゲルフィルム)の片面或いは両面に熱圧着性ポリイミド(S2)のドープ液を塗布し、乾燥、イミド化して多層ポリイミドフィルムを得る方法によって得ることができる。
共押出法は、特開平3−180343号公報(特公平7−102661号公報)に記載されている方法を用いることができる。
熱圧着性を両面に有する3層のポリイミドフィルムの製造の一例を示す。
ポリイミド(S1)のポリアミック酸溶液とポリイミド(S2)のポリアミック酸溶液とを三層共押出法によって、耐熱性ポリイミド層(S1層)の厚みが4〜45μmで両側の熱圧着性ポリイミド層(S2層)の厚みの合計が3〜10μmとなるように三層押出し成形用ダイスに供給し、支持体上にキャストしてこれをステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、100〜200℃で半硬化状態またはそれ以前の乾燥状態とする自己支持性フィルムのポリイミドフィルムAを得ることができる。
自己支持性フィルムのポリイミドフィルムAは、200℃を越えた高い温度で流延フィルムを処理すると、熱圧着性を有するポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などの欠陥を来す傾向にある。この半硬化状態またはそれ以前の状態とは、加熱および/または化学イミド化によって自己支持性の状態にあることを意味する。
得られた自己支持性フィルムのポリイミドフィルムAは、ポリイミド(S2)のガラス転移温度(Tg)以上で劣化が生じる温度以下の温度、好適には250〜420℃の温度(表面温度計で測定した表面温度)まで加熱して(好適にはこの温度で0.1〜60分間加熱して)、乾燥及びイミド化して、耐熱性ポリイミド層(S1層)の両面に熱圧着性ポリイミド層(S2層)を有するポリイミドフィルムを製造することができる。
得られた自己支持性フィルムのポリイミドフィルムAは、溶媒及び生成水分が好ましくは約25〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%残存しており、この自己支持性フィルムを乾燥温度に昇温する際には、比較的短時間内に昇温することが好ましく、例えば、10℃/分以上の昇温速度であることが好適である。乾燥する際に自己支持性フィルムに対して加えられる張力を増大することによって、最終的に得られるポリイミドフィルムAの線膨張係数を小さくすることができる。
そして、前述の乾燥工程に続いて、連続的または断続的に前記自己支持性フィルムの少なくとも一対の両端縁を連続的または断続的に前記自己支持性フィルムと共に移動可能な固定装置などで固定した状態で、前記の乾燥温度より高く、しかも好ましくは200〜550℃の範囲内、特に好ましくは300〜500℃の範囲内の高温度で、好ましくは1〜100分間、特に1〜10分間、前記自己支持性フィルムを乾燥および熱処理して、好ましくは最終的に得られるポリイミドフィルム中の有機溶媒および生成水等からなる揮発物の含有量が1重量%以下になるように、自己支持性フィルムから溶媒などを充分に除去するとともに前記フィルムを構成しているポリマーのイミド化を充分に行って、両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを形成することができる。
前記の自己支持性フィルムの固定装置としては、例えば、多数のピンまたは把持具などを等間隔で備えたベルト状またはチェーン状のものを、連続的または断続的に供給される前記固化フィルムの長手方向の両側縁に沿って一対設置し、そのフィルムの移動と共に連続的または断続的に移動させながら前記フィルムを固定できる装置が好適である。また、前記の固化フィルムの固定装置は、熱処理中のフィルムを幅方向または長手方向に適当な伸び率または収縮率(特に好ましくは0.5〜5%程度の伸縮倍率)で伸縮することができる装置であってもよい。
なお、前記の工程において製造された両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを、再び好ましくは4N以下、特に好ましくは3N以下の低張力下あるいは無張力下に、100〜400℃の温度で、好ましくは0.1〜30分間熱処理すると、特に寸法安定性が優れた両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムとすることができる。また、製造された長尺の両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムは、適当な公知の方法でロール状に巻き取ることができる。
金属積層耐熱性樹脂基板は、耐熱性樹脂基板の片面又は両面に、金属箔の表面処理された面を積層したものであり、製造方法により限定されるものではない。
金属積層耐熱性樹脂基板は、
1)耐熱性樹脂基板の片面又は両面に、金属箔の表面処理された面を直接、又は接着剤を介して積層したもの、
2)耐熱性樹脂基板の片面又は両面に、金属箔の表面処理された面を直接、又は接着剤を介して加熱して積層したもの、
3)耐熱性樹脂基板の片面又は両面に、金属箔の表面処理された面を直接、又は接着剤を介して加圧して積層したもの、
4)耐熱性樹脂基板の片面又は両面に、金属箔の表面処理された面を直接、又は接着剤を介して加熱加圧により積層したもの、などを用いることができる。
特に耐熱性樹脂基板は、基板の表面と金属箔とが、加圧、加熱又は加圧加熱を行なっても、圧着性が低い場合には、接着剤を介して積層させることがこのましい。
接着剤の塗布、はロールコーター、スリットコーター、コンマコーターなど、一般的に用いられる方法で行うことができる。
接着剤層付き金属箔と耐熱性樹脂基板とを、又は金属箔と接着剤層付き耐熱性樹脂基板とを積層する場合、加熱装置、加圧装置又は加圧装置を用いることができ、加熱条件、加圧条件は用いる材料により適宜選択してい行うことが好ましく、連続又はバッチでラミネートできれば特に限定されないが、ロールラミネート或いはダブルベルトプレス等を用いて連続して行うことが好ましい。
金属積層耐熱性樹脂基板は、また上記の耐熱性ポリイミド(S1)の少なくとも片面に、接着剤を介して金属箔の表面処理された面を積層したものを用いることができる。
金属積層耐熱性樹脂基板において、接着剤を介して耐熱性ポリイミド(S1)と金属層とを積層する場合の接着剤は、熱硬化性でも熱可塑性でもよく、例えばエポキシ樹脂、NBR−フェノール系樹脂、フェノール−ブチラール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、エポキシ−フェノール系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、エポキシ−ポリエステル系樹脂、エポキシ−アクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド−エポキシ−フェノ−ル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリイミドシロキサン−エポキシ樹脂などの熱硬化性接着剤、またはポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系接着剤、ポリイミドシロキサン系接着剤などの熱可塑性接着剤が挙げられる。特に、ポリイミド接着剤、ポリイミドシロキサン−エポキシ接着剤、エポキシ樹脂接着剤を好適に用いることができる。
金属積層耐熱性樹脂基板は、上記の両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを用いて、熱圧着性を有するポリイミドフィルムの両面に金属箔の表面処理された面を積層したものを用いることができ、
金属積層耐熱性樹脂基板の製造方法の一例として、
1)長尺状の金属箔と、長尺状の熱圧着性を有するポリイミドフィルムと、長尺状の金属箔との順に3枚重ねて、
好ましくは導入する直前のインラインで150〜250℃程度、特に150℃より高く250℃以下の温度で2〜120秒間程度予熱できるように熱風供給装置や赤外線加熱機などの予熱器を用いて予熱して、
一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスを用いて、一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスの加熱圧着ゾーンの温度がポリイミド(S2)のガラス転移温度より20℃以上高い温度から400℃の温度範囲で、特にガラス転移温度より30℃以上高い温度から400℃の温度範囲で、加圧下に熱圧着し、特にダブルベルトプレスの場合には引き続いて冷却ゾ−ンで加圧下に冷却して、好適にはポリイミド(S2)のガラス転移温度より20℃以上低い温度、特に30℃以上低い温度まで冷却して、積層させ、ロール状に巻き取ることにより、ロール状の片面或いは両面金属箔積層ポリイミドフィルムを製造することができる。
金属積層耐熱性樹脂基板は、上記の両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムを用いて、熱圧着性を有するポリイミドフィルムの片面に金属箔の表面処理された面を積層したものを用いることができ、
片面金属箔積層ポリイミド基板の製造方法の一例として、
1)長尺状の金属箔と、長尺状の熱圧着性を有するポリイミドフィルムと、熱圧着性のポリイミドと熱圧着性を有しない長尺状のフィルム(宇部興産社製、ユ−ピレックスS、東レ・デュポン社製のカプトンHなど)との順に3枚重ねて、
好ましくは導入する直前のインラインで150〜250℃程度、特に150℃より高く250℃以下の温度で2〜120秒間程度予熱できるように熱風供給装置や赤外線加熱機などの予熱器を用いて予熱して、
一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスを用いて、一対の圧着ロール又はダブルベルトプレスの加熱圧着ゾーンの温度がポリイミド(S2)のガラス転移温度より20℃以上高い温度から400℃の温度範囲で、特にガラス転移温度より30℃以上高い温度から400℃の温度範囲で、加圧下に熱圧着し、特にダブルベルトプレスの場合には引き続いて冷却ゾ−ンで加圧下に冷却して、好適にはポリイミド(S2)のガラス転移温度より20℃以上低い温度、特に30℃以上低い温度まで冷却して、積層させ、ロール状に巻き取ることにより、ロール状の片面金属箔積層ポリイミドフィルムを製造することができる。
本発明の製造方法では、熱圧着前に予熱することにより、ポリイミドに含有されている水分等による、熱圧着後の積層体の発泡による外観不良の発生を防止したり、電子回路形成時の半田浴浸漬時の発泡を防止したりすることにより、製品収率の悪化を防ぐことができる。また、熱圧着装置全体を炉の中に設置する方法も考えられるが、熱圧着装置がコンパクトなものに実質限定され、両面金属箔積層ポリイミドフィルムの形状に制限を受け実用的ではなく、或いは、アウトラインで予熱処理しても、積層するまでに再度吸湿してしまい前記の発泡による外観不良や半田耐熱性の低下は避けることが困難となる。
ダブルベルトプレスは、加圧下に高温加熱−冷却を行うことができるものであって、熱媒を用いた液圧式のものが好ましい。
両面金属箔積層ポリイミドフィルムは、両面に熱圧着性を有するポリイミドフィルムと金属箔とを、ダブルベルトプレスを用いて加圧下に熱圧着−冷却して積層することによって、好適には引き取り速度1m/分以上とすることができ、得られる両面金属箔積層ポリイミドフィルムは、長尺で幅が約400mm以上、特に約500mm以上の幅広の、接着強度が大きく(金属箔とポリイミド層とのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上である)、金属箔表面に皺が実質的に認めれらないほど外観が良好な両面金属箔積層ポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明では、製品外観の良好な両面金属箔積層ポリイミドフィルムを量産するために、熱圧着性ポリイミドフィルムと金属箔との組合せを1組以上供給するとともに、最外層の両側とベルトとの間に保護材(つまり保護材2枚)を介在させ、加圧下に熱圧着‐冷却して張り合わせて積層される。保護材としては、非熱圧着性で表面平滑性が良いものであれば、特に材質を問わず使用でき、例えば金属箔、特に銅箔、ステンレス箔、アルミニウム箔や、高耐熱性ポリイミドフィルム(宇部興産社製、ユ−ピレックスS、東レ・デュポン社製のカプトンH)などの厚み5〜125μm程度のものが好適に挙げられる。
金属配線耐熱性樹脂基板は、耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に積層された金属箔を、エッチング液を用いて、又はレーザーなどを用いて部分的に除去することにより、耐熱性樹脂基板の表面に、金属配線を設けたものである。
金属配線耐熱性樹脂基板は、好ましくは80μmピッチ以下、50μmピッチ以下、40μmピッチ以下、30μmピッチ以下、20μmピッチ以下、又は15μmピッチ以下の金属配線を形成したものを用いることができる。
金属配線耐熱性樹脂基板は、金属積層耐熱性樹脂基板より製造することができ、製造の別の一例を示すと、
1)金属積層耐熱性樹脂基板の金属表面にフォトレジスト層を塗布又はフィルムをはり合わせることにより設け、
2)配線パターンのフォトマスクを介して露光し、
3)フォトレジストの未露光部分を専用現像液にて現像除去し、必要に応じて水洗し、乾燥し、金属箔上に配線パターンの露光したフォトレジスト層を形成させ、
4)露出する金属箔をエッチング液、又はレーザーなどを用いて除去し、必要に応じて水洗し、乾燥し
6)金属箔上の露光したフォトレジスト層を剥離等により除去し、必要に応じて水洗し、乾燥する、
方法を用いることができる。
銅箔積層ポリイミドフィルムを用いて、サブトラクティブ法により銅配線ポリイミドフィルムを製造する一例を示すと、
1)必要に応じて銅箔上に銅メッキを行い、
3)銅箔の上面にフォトレジスト層を設け、
4)フォトマスクなどを用いて配線パターンを露光し、
5)フォトレジスト層の配線パターンとなる部位以外を現像などで除去し、
6)配線パターンとなる部位以外の銅箔をエッチングなどにより除去し、
7)銅箔上のフォトレジスト層を剥離などにより除去し、
8)銅箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液によって洗浄する。
上記1)〜8)の各工程において、必要に応じて洗浄し、乾燥する。
銅箔積層ポリイミドフィルムを用いて、セミアディティブ法により銅配線ポリイミドフィルムを製造する一例を示すと、
1)必要に応じて銅箔をエッチングなどにより銅箔を薄くし、
2)銅箔の上面にフォトレジスト層を設け、
4)フォトマスクなどを用いて配線パターンを露光し、
5)フォトレジスト層の配線パターンとなる部位を現像除去し、
6)露出する銅箔部分に銅メッキを行い、
7)銅箔上のフォトレジスト層を剥離などにより除去し、
8)フォトレジスト層を除去した銅箔をフラッシュエッチングなどにより除去し、ポリイミドを露出させ、
9)銅箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液によって洗浄する。
上記1)〜9)の各工程において、必要に応じて洗浄し、乾燥する。
金属配線耐熱性樹脂基板の別の製造例を示すと、
1)金属積層耐熱性樹脂基板の金属箔を部分的に、レーザーを用いて除去し、配線を形成する方法を用いることができる。
金属配線耐熱性樹脂基板の別の製造例を示すと、例えば、
1)金属箔として銅箔を用い、耐熱性樹脂基板として高耐熱性のポリイミド層の少なくとも片面に熱圧着性のポリイミド層を積層したものを用い、熱圧着性のポリイミド層と銅箔の表面処理された面とを加熱加圧できるラミネートロール、又はダブルベルトプレスなどの加圧加熱可能なプレス機を用いて銅箔積層ポリイミドを製造し、
2)銅箔積層ポリイミドの銅箔表面にフォトレジスト層を塗布又はフィルムのはり合わせにより設け、
3)配線パターンのフォトマスクを介して露光し、
4)フォトレジストの未露光部分を専用現像液にて現像除去し、必要に応じて水洗し、乾燥し、銅箔上に配線パターンに露光したフォトレジスト層を形成させ、
5)塩化鉄系、塩化銅系、又は過酸化水素系などの銅エッチング液、又はレーザーなどを用いて露出する銅を除去し、必要に応じて水洗し、乾燥し、
6)銅配線上の露光したフォトレジスト層を専用剥離液にて剥離除去し、必要に応じて水洗し、乾燥する、方法で、銅配線ポリイミドを製造することができる。
金属積層耐熱性樹脂基板より金属配線耐熱性樹脂基板を製造する場合、金属配線の形成に使用するフォトレジスト層は、ポジ型又はネガ型を用いることができ、製造方法により適宜選択して使用することができる。
金属積層耐熱性樹脂基板より金属配線耐熱性樹脂基板を製造する場合、金属配線の形成法として、サブトラクティブ法、又はセミアディティブ法により行なうことができる。
金属積層耐熱性樹脂基板の金属箔のエッチング液としては、公知のエッチング液を用いることができるが、例えば、フェリシアン化カリウム水溶液、塩化鉄水溶液、塩化銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、過硫酸ナトリウム水溶液、過酸化水素水、フッ酸水溶液、及びこれらの組み合わせなどを用いることができる。
エッチング洗浄された金属配線耐熱性樹脂基板は、金属配線耐熱性樹脂基板の金属を除去して得られる基板表面を、金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を、金属箔の主たる金属成分よりも早い速度で除去することができるエッチング液、例えばNi−Cr合金用エッチング剤(Ni−Crシード層除去剤)によって洗浄し、必要に応じて水洗、乾燥することにより得られる。
エッチング洗浄された金属配線耐熱性樹脂基板は、エッチング液で洗浄することにより、金属箔を除去して得られる基板表面が、エポキシ樹脂などのACF接着性が向上し、さらに金属配線の少なくとも一部に錫メッキなどのメッキを行なった場合に、金属箔を除去して得られる基板表面及び金属箔を除去して得られる基板表面と金属配線との接する部分で、メッキ金属の異常析出が起きないか又は抑制することができ、電気絶縁性が向上する。
特に金属箔として銅箔を用いた場合、銅配線に錫メッキなどのメッキを行なった場合に、銅箔を除去して得られる基板表面及び銅箔を除去して得られる基板表面と銅配線との接する部分で、錫メッキなどのメッキ金属の異常析出が起きないか又は抑制することができ、電気絶縁性が向上する。
金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液としては、公知の金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液であれば、公知のNiエッチング液、Crエッチング液、Coエッチング液、Znエッチング液、Snエッチング液、Moエッチング液、Ni−Cr合金エッチング液などエッチング液や酸性のエチング液を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液としては、金属配線耐熱性樹脂基板の金属配線の主たる金属成分よりも、Ni、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金の除去速度の速いエッチング液を用いることが好ましい。
エッチング液としては、Ni−Cr合金用エッチング剤(Ni−Crシード層除去剤)を用いることができ、例えば、Meltex社のメルストリップNC−3901など、旭電化工業社のアデカリムーバーNR−135など、日本化学産業社のFLICKER−MHなどの公知のエッチング液を用いることができる。
金属配線耐熱性樹脂基板の、金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液による洗浄条件としては、用いるエッチング液により適宜選択することができるが、好ましくは30〜60℃、さらに40〜60℃の温度で、好ましくは0.3〜20分、さらに好ましくは0.5〜10分、特に好ましくは1〜7分の時間で浸漬(ディップ)、又はスプレー処理することである。
金属配線耐熱性樹脂基板の金属を除去して現れる耐熱性樹脂基板の表面の元素分析を行い、本発明の効果を有するためには、金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液により洗浄前と洗浄後の金属の除去率(洗浄後/洗浄前×100)が、以下の1)から4)より選択される少なくとも1つの範囲であることが好ましく、特にCrの除去率が以下の範囲であることが好ましい。
1)Crの除去率は、15%〜100%であり、20%〜100%であり、25%〜100%であり、30%〜100%であり、40%〜100%であり、50%〜100%であることが好ましい。
2)Coの除去率は、20%〜100%であり、30%〜100%であり、40%〜100%であり、50%〜100%であり、60%〜100%であり、70%〜100%であり、80%〜100%であることが好ましい。
3)Znの除去率は、20%〜100%であり、30%〜100%であり、40%〜100%であり、50%〜100%であり、60%〜100%であり、70%〜100%であり、80%〜100%であることが好ましい。
4)Moの除去率は、20%〜100%であり、30%〜100%であり、40%〜100%であり、50%〜100%であり、60%〜100%であり、70%〜100%であり、80%〜100%であることが好ましい。
金属配線耐熱性樹脂基板の金属を除去して現れる耐熱性樹脂基板の表面の元素分析の測定法は、PHI社製Quantum−2000走査型X線光電子分光装置を用い、測定条件は、X線源・Al・Kα(モノクロ)、分析領域100μmφ、電子中和銃使用する。
金属配線耐熱性樹脂基板の金属を除去して現れる耐熱性樹脂基板の表面の元素分析を行い、本発明の効果を有するためには、金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液による洗浄後のCr原子濃度が、7.5以下、さらに7以下、さらに6.5以下であることが好ましい。7.5atomic%以下、さらに7atomic%以下、さらに6.5atomic%以下であることが好ましい。
金属配線耐熱性樹脂基板の金属を除去して現れる耐熱性樹脂基板の表面の元素分析を行い、本発明の効果を有するためには、金属箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液による洗浄後、耐熱性樹脂基板又は金属箔の表面処理に用いられたシランカップリング剤によるSi原子濃度が、増えることが好ましい。
エッチング洗浄された金属配線耐熱性樹脂基板は、金属配線の少なくとも一部にさらに金属メッキすることができ、メッキされた金属配線耐熱性樹脂基板を製造することができる。
エッチング洗浄された金属配線耐熱性樹脂基板の金属メッキの一例として、銅配線の場合、銅配線に錫メッキ、金メッキ、銀メッキなどを行い、メッキされた金属配線耐熱性樹脂基板を製造することができる。
エッチング洗浄された金属配線耐熱性樹脂基板及びメッキされた金属配線耐熱性樹脂基板は、フレキシブル配線回路用基板、ビルトアップ回路用基板、又はICキャリアテープ用基板として、電子計算機、端末機器、電話機、通信機器、計測制御機器、カメラ、時計、自動車、事務機器、家電製品、航空機計器、医療機器などのあらゆるエレクトロニクスの分野に活用することができる。
本発明では、ポリイミドと銅箔を積層し、銅箔の一部を除去して現れるポリイミド表面を、銅箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することができるエッチング液で洗浄するにより、ポリイミド表面又はポリイミド層の表面に存在する、銅箔の表面処理に用いられたNi、Cr、Co、Zn、Sn及びMoから選ばれる少なくとも1種の金属及びこれらの金属を少なくとも1種含む合金を主に除去することにより、メッキの析出異常を抑制でき、エポキシ接着剤やACFなどの接着剤との接着性が向上するものと考える。
本発明の製造方法は、耐熱性樹脂基板としてポリイミドフィルムを用いる場合、ポリイミドフィルムの金属箔と積層面は、酸性分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び/又はピロメリット酸二無水物を用いたポリイミドに有効である。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例により制限されるものでない。
物性評価は以下の方法に従って行った。
1)ポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg):動的粘弾性法により、tanδのピーク値から求めた(引張り法、周波数6.28rad/秒、昇温速度10℃/分)。
2)ポリイミドフィルムの線膨張係数(50〜200℃):TMA法により、20〜200℃平均線膨張係数を測定した(引張り法、昇温速度5℃/分)。
3)金属箔積層ポリイミドフィルムのピール強度(常態)、ポリイミドフィルムと接着フィルムのピール強度:JIS・C6471に準拠し、同試験方法で規定された3mm幅リードを作製し、巻内側と、巻外側の金属それぞれ9点の試験片について、クロスヘッド速度50mm/分にて90°ピール強度を測定した。ポリイミドフィルム及び銅箔積層ポリイミドフィルムは、9点の平均値をピール強度とする。ポリイミドフィルムと接着シートとの積層物は、3点の平均値をピール強度とする。金属箔の厚さが5μmよりも薄い場合は、電気めっきにより20μmの厚さまでめっきして行う。
(但し、巻内とは、金属箔積層ポリイミドフィルム巻き取った内側のピール強度を意味し、巻外とは金属箔積層ポリイミドフィルム巻き取った外側のピール強度を意味する。)
4)金属箔積層ポリイミドフィルムのピール強度(150℃×168時間加熱後):JIS・C6471に準拠し、同試験方法で規定された3mm幅リードを作製し、3点の試験片について、150℃の空気循環式恒温槽内に168時間置いた後、クロスヘッド速度50mm/分にて、90°ピール強度を測定した。3点の平均値をピール強度とした。金属箔の厚さが5μmよりも薄い場合は、電気めっきにより20μmの厚さまでめっきして行なう。
150℃で168時間加熱処理後のピール強度の保持率は、以下の数式(1)に従い算出した。
(但し、巻内とは、金属箔積層ポリイミドフィルム巻き取った内側のピール強度を意味し、巻外とは金属箔積層ポリイミドフィルム巻き取った外側のピール強度を意味する。)
Figure 0004911296
5)ポリイミドフィルムの絶縁破壊電圧:ASTM・D149に準拠(電圧を1000V/秒の速度で上昇させ、絶縁破壊が起こった電圧を測定した)。ポリイミドの厚さが50μmまでは空中、50μmよりも厚い場合は油中で測定した。
6)金属箔積層ポリイミドフィルムの線間絶縁抵抗・体積抵抗:JIS・C6471に準拠して測定した。
7)ポリイミドフィルムの機械的特性
・引張強度:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・伸び率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・引張弾性率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度5mm/分)。
(参考例1:ポリイミドS1の製造)
N−メチル−2−ピロリドン中でパラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマ−濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加え、50℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。
(参考例2:ポリイミドS2の製造)
N−メチル−2−ピロリドン中で1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:200:800のモル比で加え、モノマ−濃度が18%になるように、またトリフェニルホスフェ−トをモノマ−重量に対して0.5重量%加え、40℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。
(参考例3:ポリイミドフィルムA1の製造)
三層押出し成形用ダイス(マルチマニホ−ルド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、参考例1及び参考例2で得たポリアミック酸溶液を三層押出ダイスの厚みを変えて金属製支持体上に流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥した後、剥離して自己支持性フィルムを形成した。この自己支持性フィルムを支持体から剥離した後加熱炉で150℃から450℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行って、長尺状の三層ポリイミドフィルムをロ−ルに巻き取った。
得られた三層ポリイミドフィルム(層構成:S2/S1/S2)の特性を評価した。
・厚み構成:4μm/17μm/4μm(合計25μm)
・S2層のガラス転移温度:240℃
・S1層のガラス転移温度:340℃以上で、明確な温度は確認できなかった。
・線膨張係数(50〜200℃):MD19ppm/℃,TD17ppm/℃
・機械的特性
1)引張強度:MD,TD 520MPa
2)伸び率:MD,TD 100%
3)引張弾性率:MD,TD 7100MPa
・電気的特性
1)絶縁破壊電圧:7.2kV
2)誘電率(1GHz):3.20
3)誘電正接(1GHz):0.0047
(実施例1)
ロ−ル巻きした電解銅箔(日本電解社製、USLP−R2、厚み12μm)と、ダブルベルトプレス直前のインラインで200℃の熱風で30秒間加熱して予熱した参考例3で製造のポリイミドフィルムA1(S2/S1/S2の3層構造)と、ロ−ル巻きした電解銅箔(日本電解社製、USLP−R2、厚み12μm)とを積層し、加熱ゾ−ンの温度(最高加熱温度:330℃、冷却ゾ−ンの温度(最低冷却温度:180℃)、連続的に圧着圧力:3.9MPa、圧着時間2分で、連続的に熱圧着−冷却して積層して、ロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルム(幅:540mm、長さ:1000m)を巻き取りロ−ルに巻き取った。
得られたロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルムの特性を評価した。
・厚み構成(銅箔/ポリイミド/銅箔):12μm/25μm/12μm。
・ピール強度(常態):巻内1.5N/mm、巻外2.1N/mm
・ピール強度(150℃×168時間加熱後):巻内1.6N/mm(ピール強度の保持率107%)、巻外2.1N/mm(ピール強度の保持率100%)
・半田耐熱性:異常なし。
・寸法変化率:(MD方向:−0.03%、TD方向:0.00%)。
・絶縁破壊電圧:12.0kV。
・線間絶縁抵抗:3.3×1013Ω・cm。
・体積抵抗:3.6×1016Ω・cm。
(Ni−Crシード層除去剤による洗浄)
ロ−ル巻状両面銅箔積層ポリイミドフィルムから、10×10cmの大きさの試料を切り出し、切り出した試料を銅のエッチング液である塩化第二鉄溶液(室温)中に20分間浸漬させ、銅箔を完全にエッチングにより除去した後に水洗し、その後Ni−Crシード層除去剤であるFLICKER−MH(日本化学産業社製)(温度30℃)溶液中に、20分間浸漬して、水洗を行い、さらに5重量%のNaOH水溶液(温度:50℃)に1分間浸漬し、3容量%塩酸水溶液(室温:約20℃)で30秒浸漬し、Ni−Crシード層除去剤により洗浄した銅エッチング除去したポリイミドフィルムを得た。
(接着シートの作製)
エピコート1009(ジャパンエポキシレジン社製)25gを、トルエン/メチルエチルケトンの混合溶媒(1容量部/1容量部)25gに溶解させ、潜在硬化剤HX3942HP(旭化成社製)25g及びシランカップリング剤KBM−403(信越化学社製)0.5gを加えて原料ドープを作製した。作製したドープを離型フィルムへ塗布し、80℃で5分乾燥させて、エポキシ系のボンディングシート(厚み:約30μm)を作製した。
(接着性の評価)
Ni−Crシード層除去剤により洗浄した銅エッチング除去したポリイミドフィルムとエポキシ系のボンディングシートとを直接重ね合わせ、温度170℃、圧力30kgf/cmの条件で熱プレス機(TOYO SEIKI社製、MP−WNH)を用いて、5分間圧着し、積層シートを作製した。得られた積層シート、及びこの積層シートの湿熱処理(温度:105℃、湿度:100%RH、処理時間:12時間)後の2試料について、90°ピールによる強度を測定し、結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において銅箔として、ロ−ル巻きした電解銅箔(日本電解社製、HLS、厚み9μm)を用いて、ロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを製造した以外は、実施例1と同様に(Ni−Crシード層除去剤による洗浄)、(接着シートの作製)及び(接着性の評価)を行い、90°ピールの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において銅箔として、ロ−ル巻きした電解銅箔(古川サーキットフォイル社製、F2−WS、厚み12μm)を用いて、ロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを製造した以外は、実施例1と同様に(Ni−Crシード層除去剤による洗浄)、(接着シートの作製)及び(接着性の評価)を行い、90°ピールの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、銅エッチング除去したポリイミドフィルムをNi−Crシード層除去剤による洗浄を行わなかった以外は、実施例1と同様に、ロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを製造し、銅エッチング除去したポリイミドフィルムを作製し、接着シートの作製を行い、接着性の評価を行い、得られた90°ピールの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2において、銅エッチング除去したポリイミドフィルムをNi−Crシード層除去剤による洗浄を行わなかった以外は、実施例1と同様に、ロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを製造し、銅エッチング除去したポリイミドフィルムを作製し、接着シートの作製を行い、接着性の評価を行い、得られた90°ピールの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3において、銅エッチング除去したポリイミドフィルムをNi−Crシード層除去剤による洗浄を行わなかった以外は、実施例1と同様に、ロ−ル巻状両面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを製造し、銅エッチング除去したポリイミドフィルムを作製し、接着シートの作製を行い、接着性の評価を行い、得られた90°ピールの評価結果を表1に示す。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の銅エッチング除去したポリイミドフィルムの表面の元素分析は、走査型X線光電子分光装置を用いて行い、測定結果を表2に示す。
ポリイミドフィルムの表面の元素分析の測定法は、PHI社製Quantum−2000走査型X線光電子分光装置を用い、測定条件は、X線源・Al・Kα(モノクロ)、分析領域100μmφ、電子中和銃使用とした。
ポリイミドフィルム表面の原子濃度を比較すると、
1)実施例1、実施例2及び比較例1、比較例2で、クロム、コバルト、亜鉛及びモリブデンの原子濃度が実施例1、実施例2の方が減少していた。
2)実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の全てで、ケイ素原子が存在しており、ポリイミドの表面にシランカップリング剤が存在していると考えられる。また、エッチング液洗浄前後のSi原子濃度は、洗浄前に比べ、洗浄後に増えている。
Figure 0004911296
Figure 0004911296
(実施例4)
ロ−ル巻きした電解銅箔(日本電解社製、HLS、厚み9μm)と、ダブルベルトプレス直前のインラインで200℃の熱風で30秒間加熱して予熱した参考例3で製造のポリイミドフィルムA1(S2/S1/S2の3層構造)と、ユーピレックスS(宇部興産社製、厚み25μm)とを積層し、加熱ゾ−ンの温度(最高加熱温度:330℃、冷却ゾ−ンの温度(最低冷却温度:180℃)、連続的に圧着圧力:3.9MPa、圧着時間2分で、連続的に熱圧着−冷却して積層して、ロ−ル巻状片面銅箔の銅張ポリイミドフィルム(幅:540mm、長さ:1000m)を巻き取りロ−ルに巻き取った。
ロ−ル巻状片面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを切り取り、銅張ポリイミドフィルムの銅箔上に、ドライフィルムタイプのネガ型フォトレジスト(旭化成製UFG−072)を110℃の熱ロールでラミネートした後、回路形成部位を露光し、1%炭酸ソーダ水溶液で30℃・20秒間スプレー現像して未露光部のレジストを除去し、銅箔の露出部を塩化第二鉄溶液によって50℃・15秒間スプレーエッチングし、44μmピッチの銅配線を形成した。続いて、2%苛性ソーダ水溶液を42℃で15秒間スプレー処理してレジストを剥離した後、Ni−Crエッチング液である日本化学産業製FLICKER−MHに45℃・5分間、浸漬し、SHIPLEY製ティンポジットLT−34Hを用いて80℃・4分間、銅の回路部に錫めっきを行なった。
得られた錫メッキした銅配線ポリイミドフィルムの錫メッキした銅配線と、配線間の銅箔を除去したポリイミドフィルム表面を、金属顕微鏡(レンズ倍率:1000倍、反射光)で、画像を撮影し、画像を図1に示す。図1より、配線間の銅箔を除去したポリイミドフィルムの表面はきれいで、銅配線と配線間の銅箔を除去したポリイミドフィルムとの接合部及び配線間の銅箔を除去したポリイミドフィルムの表面で、錫めっきによる金属の異常析出の発生が確認できなかった。
(比較例4)
実施例4で製造したロ−ル巻状片面銅箔の銅張ポリイミドフィルムを用いて、銅張ポリイミドフィルムを切り取り、銅張ポリイミドフィルムの銅箔上に、ドライフィルムタイプのネガ型フォトレジスト(旭化成製UFG−072)を110℃の熱ロールでラミネートした後、回路形成部位を露光し、1%炭酸ソーダ水溶液で30℃・20秒間スプレー現像して未露光部のレジストを除去し、銅箔の露出部を塩化第二鉄溶液によって50℃・15秒間スプレーエッチングし、44μmピッチの銅配線を形成した。続いて、2%苛性ソーダ水溶液を42℃で15秒間スプレー処理してレジストを剥離した後、SHIPLEY製ティンポジットLT−34Hを用いて80℃・4分間、銅の回路部に錫めっきを行なった。得られた錫メッキした銅配線ポリイミドフィルムを、実施例4と同様にして、金属顕微鏡を用いて画像を撮影し、画像を図2に示す。
図2より、銅配線と配線間の銅箔を除去したポリイミドフィルムとの接合部及び配線間の銅箔を除去したポリイミドフィルムの表面で、錫めっきによる金属の異常析出の発生が多数確認できた。
本発明の実施例4の錫メッキした銅配線ポリイミドフィルム表面の金属顕微鏡により得た画像である。 本発明の比較例4の錫メッキした銅配線ポリイミドフィルム表面の金属顕微鏡により得た画像である。
符号の説明
1:錫メッキされた銅配線、2:銅箔を除去したポリイミドフィルム表面、3:錫メッキの異常析出部。









Claims (13)

  1. 耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に、Ni、Cr、Co、Zn、SnおよびMoから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を少なくとも1種含む合金で表面処理した金属箔(以下、表面処理に使用された金属を、表面処理金属という。)の表面処理された面を直接積層した金属箔耐熱性樹脂基板を用いて、耐熱性樹脂基板に金属配線を有する金属配線耐熱性樹脂基板を製造する方法において、
    前記耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に金属箔が直接積層された積層基板を用意する工程と、
    前記金属箔をエッチングによりパターニングして、前記耐熱性樹脂基板の表面に金属配線を形成する工程と、
    表面処理金属の少なくとも1種を除去が可能なエッチング液により、耐熱性樹脂基板の金属配線を有する側の表面を洗浄して耐熱性樹脂基板の接着性を向上させる洗浄工程と
    ACF、接着剤、又はボンディングシートを前記洗浄工程後の耐熱性樹脂基板に圧着して積層する工程と、
    を有することを特徴とする金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  2. 前記耐熱性樹脂基板が、ポリイミド、ポリアミド、アラミド、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンザゾール、およびBT(ビスマレイミド−トリアジン)樹脂から選ばれることを特徴とする請求項1記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  3. 前記耐熱性樹脂基板が、ポリイミドであることを特徴とする請求項1記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  4. 前記ACF又はボンディングシートが、エポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  5. エッチング液は、表面処理金属の少なくとも1種を、金属配線の材料よりも速い速度で除去できることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  6. 耐熱性樹脂基板と金属箔との積層面において、耐熱性樹脂基板の表面または金属箔表面の少なくとも一方がシランカップリング剤で処理されており、
    洗浄工程は、処理後の表面のシリコン原子濃度が処理前より高くなるように行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  7. 耐熱性樹脂基板は、耐熱性のポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  8. エッチング液が、酸性のエッチング液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  9. エッチング液は、Ni−Cr合金用エッチング剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  10. 金属箔が、銅箔であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  11. 洗浄工程の後に、金属メッキ工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  12. 圧着ロール又はダブルベルトプレスを用いた熱圧着により前記耐熱性樹脂基板の少なくとも片面に金属箔が直接積層された積層基板を用意する請求項1〜11のいずれかに記載の金属配線耐熱性樹脂基板の製造方法。
  13. 耐熱性樹脂基板と、
    この基板に直接積層され、且つこの基板との積層面が、Ni、Cr、Co、Zn、SnおよびMoから選ばれる少なくとも1種の金属またはこれらの金属を少なくとも1種含む合金で表面処理(以下、表面処理に使用された金属を、表面処理金属という。)されている金属配線と
    ACF、接着剤、又はボンディングシートと
    を有する金属配線耐熱性樹脂基板であって、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法により製造された金属配線耐熱性樹脂基板。
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