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Description

本発明は、FAまたはOAなどの産業分野における駆動モータ、あるいは電気自動車の駆動モータとして使用されるブラシレスDCモータに関し、特に磁気的な突極(スロット)なしの円環状固定子コアに回転磁界形成用の電機子巻線を装着してなる平滑電機子巻線形モータ、いわゆるギャップワインディング形モータに関する。
従来、FAまたはOAなどの産業分野における駆動モータ、あるいは近年、電気自動車の駆動モータとして使用されるブラシレスDCモータであって、磁気的な突極(スロット)なしの円環状固定子コアに回転磁界形成用の複数の空芯形状コイルを巻装してなる電機子巻線を備えた平滑電機子巻線形モータ、いわゆるギャップワインディング形モータは、図5、図6のようになっている。なお、図5は従来のギャップワインディングモータの側断面図、図6は正断面図、図7は図5のギャップワインディングモータの電磁部を拡大した側断面図である。
図において、1は固定子コア、2はα巻き空芯コイル、5は結線用のプリント基板、7は永久磁石、13はフレームである。
円筒状のフレーム13の一端には負荷側ブラケット9、他端には反負荷側ブラケット10が固定されている。モータの固定子がこのフレーム13の内周に固定され、さらにその内周に一定の空隙を介して回転子が保持される。
上記固定子は、珪素鋼板を積層して円筒状に成形された固定子コア1と、該固定子コア1の内周面に所要の絶縁耐圧を確保するために設けた薄い絶縁層を介して、α巻きされた回転磁界形成用の複数の空芯形状コイル2を、15個等間隔に巻装してなる電機子巻線とより構成されている。この電機子巻線は樹脂でモールドまたは含浸され、固定子コア1と一体に固着されている。
また、上記回転子は、シャフト8と、前記固定子と磁気的空隙を介して同心円状に配置されて、シャフト8の外周面に設けられると共に交互に極性が異なる複数の磁極を有し、かつ、円弧状に分割された例えば希土類の永久磁石7とより構成されており、回転子は固定子との間で負荷側および反負荷側軸受11、12を介して回転自在に支承されている。これら負荷側軸受11と反負荷側軸受12は、それぞれ負荷側ブラケット9と反負荷側ブラケット10に保持されている。
前記固定子のα巻き空芯コイル2の結線は、図7のようにコイル端末4a、4bが反負荷側に配置されるようα巻き空芯コイル2とし、図5に示す反負荷側に配置した結線用のプリント基板5によって行われている。なおプリント基板5は、絶縁性シート6を介して固定されている。
また空芯コイルを集中巻き空芯コイル3とする場合には、コイル端末4a、4bのいずれか一方がコイルの空芯側に配置されるため、結線を行う場合には空芯側に配置されたコイル端末を図8に示すように反負荷側に引き出している
従来のギャップワインディングモータでは、空芯コイルの占積率を向上させるため、α巻としているが、一般的にα巻は集中巻に比べて製造時間が長くなるため、生産性、コスト共に悪くなるという課題があった。
また、モータの外径が大きくなると、必要とされる磁極数が多くなるため、永久磁石数、コイル数は増加することとなり、コイル数の増加に比例してプリント基板5に対する結線箇所が増加し、この結線箇所は一般的にはんだで固定されることから、作業時間を多く費やし生産性が悪かった。また結線不良等の信頼性に関わる問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、集中巻のコイルにしても占積率を向上させることができ、上記のような結線不良等の問題が少なく、プリント基板も使用することがないギャップワインディングモータを提供する。すなわち、作業性、信頼性、コストに優れた電磁部構造を有するギャップワインディングモータを提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、固定子コアと、該固定子コアの内周面または外周面の何れか一方に回転磁界形成用の複数の空芯形状コイルを配設してなる電機子巻線と、から構成される固定子と、前記固定子と磁気的空隙を介して対向し、前記回転磁界の作用によって回転する回転子と、を備えたギャップワインディング形モータにおいて、前記固定子コアが前記空芯形状コイルの空芯部長さの範囲内で軸方向に分割され、これら分割された前記固定子コアの間の空隙部に、前記複数の空芯形状コイルの端末処理部分が配置されているギャップワインディング形モータとするものである。
請求項2に記載の発明は、前記複数の空芯形状コイルの各々の端末が各相ごとに互いに渡り線によって接続されて前記電機子巻線が各相で一筆巻きの巻線を形成し、前記渡り線が前記空隙部に配置されている請求項1記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項3に記載の発明は、前記空隙部に、前記電機子巻線の中性点がさらに配置されている請求項2記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項4に記載の発明は、前記空隙部に、前記分割された固定子コアの間の距離を一定に保つスペーサが設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項5に記載の発明は、前記複数の空芯形状コイルの各々が集中巻きコイルで形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項6に記載の発明は、前記渡り線に絶縁性チューブが巻装されて、前記各相間の絶縁が保持されている請求項2または3に記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項7に記載の発明は、前記中性点に絶縁性チューブが巻装されて、前記中性点における絶縁が保持されている請求項3記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項8に記載の発明は、少なくとも前記空隙部および前記複数の空芯形状コイルには、絶縁性の樹脂モールドまたは含浸が施されて、前記分割された固定子コアと前記複数の空芯形状コイルとが一体的に固着されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のギャップワインディング形モータとするものである。
請求項1に記載の発明によると、固定子コアをモータ軸方向に2分割とし、円周状に空隙部を設けることでコギングの発生をなくすことができ、コイル端末を結線するためのスペースが得られる。
請求項2および請求項3に記載の発明によると、コイルの結線、中性点を前記空隙部に配置することで結線用のプリント基板を廃止するこができ、コストの削減が可能である。
請求項4に記載の発明によると、分割されたコアとコイルのとの位置ずれを生じることのない電磁部構造となるため、製品によるコイルとコアの相互位置のバラツキが抑えられるため信頼性が向上する。
請求項5に記載の発明によると、集中巻きコイルのように空芯側にコイルの端末の一端がきても、その一端を回転子側に這いまわすことなく、その端末処理のスペースが確保できる。
請求項6および7に記載の発明によると、コイル間の絶縁を各々のコイルで単独に得ることが可能のなるため、信頼性が向上する。
請求項8に記載の発明によると、分割したコアの固定強度が増すとともに、コイル絶縁の向上と電流によるコイルの振動を抑えることが可能となり、信頼性が向上する。
本発明の第1実施例を示すモータの側断面図 本発明の第1実施例を示すモータの正断面図 図1のギャップワインディングモータの電磁部を拡大した側面図 本発明の第1実施例を示す一筆巻きコイル側面展開図 従来の実施例1を示すモータの側断面図 従来の実施例1を示すモータの正断面図 図5のギャップワインディングモータの電磁部を拡大した側面図 従来の実施例2を示すギャップワインディングモータの電磁部を拡大した側面図
符号の説明
1 固定子コア
1a 分割コア
1b 分割コア
2 α巻き空芯コイル
3 集中巻き空芯コイル
4a コイル端末
4b コイル端末
5 プリント基板
6 絶縁性シート
7 永久磁石
8 シャフト
9 負荷側ブラケット
10 反負荷側ブラケット
11 負荷側軸受
12 反負荷側軸受
13 フレーム
14 一筆巻き空芯コイル
15 固定子コア間空隙
16 スペーサ
17 絶縁性チューブ
18 一筆巻き空芯コイル渡り線
19 コイル中性点
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例を示すギャップワインディング形モータの側断面図、図2は正断面図、図3は図1のギャップワインディングモータの電磁部を拡大した側断面図、図4は一筆巻きコイル側面図の展開図である。本実施例では、20極、15コイルのインナーロータ形ギャップワインディングモータの一例を示している。なお、本発明の構成要素が従来技術と同じ点についてはその説明を省略し、異なる点のみ説明する。
本発明が従来技術と異なる点は以下のとおりである。
すなわち、本発明では、固定子コア1をモータ軸方向に2分割にして構成する。固定子コア1は、コイル空芯部の範囲内で軸方向に分割する。そして、固定子コア1の両分割コア1a、1b間に、スペーサ16を配置し、一意の固定子コア間空隙15を設ける。スペーサ16は、両分割コア1a、1b間において固定子コア1の外周面側に配置される。つまり、固定子コア間空隙15は固定子コア1の内周面に形成される溝部となる。
また、本発明では、電機子コイルを一筆巻き空芯コイル14として構成する。一筆巻き空芯コイル14の構成は図4で示されている。図4の一筆巻き空芯コイル14は、複数の集中巻コイルを連続して接続したものである。図のように(1)×3コイル〜(5)×3コイルの計15コイルのうち、例えば各々の数字の最右端のコイル(1)〜(5)が連続して接続されるように、各相における各コイルの巻き始めと巻き終わりとが、一筆巻き空芯コイル渡り線18の部分で接続されている。なお、このように一筆巻きにすれば、電機子コイルはα巻のものを使用してもよい。
そして、以上の構成によって、上記固定子コア間空隙15に、コイル端末4aおよび一筆巻き空芯コイル渡り線18を配置し、同時に中性点結線を行う。中性点はコイル端末4aをハンダ等で結線するものである。図4はその結線例であるが、ここでは、3相コイルの結線を行っている。このとき前記渡り線18および中性点結線部には絶縁性チューブ17が挿入され、各コイル間の絶縁を得ている。
また前記固定子コア間空隙15に充填されるようモールドを施し、両分割コイル1a、1bの固定強度を向上させ、コイル絶縁の向上と電流によるコイルの振動を抑えている。
以上のように、固定子コア1をコイル空芯部の範囲内で軸方向に2分割し、分割コア1a、1b間にスペーサ16を配置することにより、一意の固定子コア間空隙15を設け、前記空隙15部に一筆巻き空芯コイル14の渡り線18と中性点19を配置することにより、コイルの集中巻が可能となり、占積率を向上させることができるためモータの小型化が可能となる。
また、一筆巻きコイルにして渡り線や中性点を空隙に配設すれば、コイル結線のためのプリント基板5を廃止することができるため、作業性、信頼性、コストに優れた電磁部構造を有するギャップワインディングモータを提供できる。

Claims (8)

  1. 固定子コアと、該固定子コアの内周面または外周面の何れか一方に回転磁界形成用の複数の空芯形状コイルを配設してなる電機子巻線と、から構成される固定子と、
    前記固定子と磁気的空隙を介して対向し、前記回転磁界の作用によって回転する回転子と、を備えたギャップワインディング形モータにおいて、
    前記固定子コアが前記空芯形状コイルの空芯部長さの範囲内で軸方向に分割され、これら分割された前記固定子コアの間の空隙部に、前記複数の空芯形状コイルの端末処理部分が配置されていることを特徴とするギャップワインディング形モータ。
  2. 前記複数の空芯形状コイルの各々の端末が各相ごとに互いに渡り線によって接続されて前記電機子巻線が各相で一筆巻きの巻線を形成し、前記渡り線が前記空隙部に配置されていることを特徴とする請求項1記載のギャップワインディング形モータ。
  3. 前記空隙部に、前記電機子巻線の中性点がさらに配置されていることを特徴とする請求項2記載のギャップワインディング形モータ。
  4. 前記空隙部に、前記分割された固定子コアの間の距離を一定に保つスペーサが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のギャップワインディング形モータ。
  5. 前記複数の空芯形状コイルの各々が集中巻きコイルで形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のギャップワインディング形モータ。
  6. 前記渡り線に絶縁性チューブが巻装されて、前記各相間の絶縁が保持されていることを特徴とする請求項2または3に記載のギャップワインディング形モータ。
  7. 前記中性点に絶縁性チューブが巻装されて、前記中性点における絶縁が保持されていることを特徴とする請求項3記載のギャップワインディング形モータ。
  8. 少なくとも前記空隙部および前記複数の空芯形状コイルには、絶縁性の樹脂モールドまたは含浸が施されて、前記分割された固定子コアと前記複数の空芯形状コイルとが一体的に固着されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のギャップワインディング形モータ。
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