JP4833464B2 - 難溶性薬物含有固形製剤の製造方法 - Google Patents

難溶性薬物含有固形製剤の製造方法

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難溶性薬物、特にソファルコンを高濃度で含有する製剤を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソファルコンは胃潰瘍、胃炎などの治療薬として広く使われている薬剤であるが、難溶性のため製品化のためには溶出性の改善が必要であった。
【0003】
従来、ソファルコンの溶出性を改善する技術として、界面活性剤を添加する方法(特開平11−335280)、ソファルコン粒子の微細化と溶解助剤を配合する方法(特開平4−112824)などが開示されている。
【0004】
また特開2000−86509号公報には、ソファルコンとヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリエチレングリコールを溶剤に懸濁、練合、溶解(溶剤留去)した後にラウリル硫酸ナトリウム等を添加することにより溶解性を改善する方法が開示されている。
【0005】
その様に難溶性薬物を製品化するためには溶出性の向上が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来知られている溶出性の改善方法は、難溶性薬物を微細に粉砕する工程が必要なため作業性の低下を招き、また、多量の添加剤が必要なことにより製剤のかさの増加、大量の界面活性剤による味の悪化などの欠点があった。
【0007】
また、一般的な製法で高含有製剤を製造すると、薬剤の溶出性が低下してしまうことから実施が困難であることがわかった。
【0008】
本発明は難溶性薬物を高含有率で配合しながらも、優れた溶出性を有する難溶性薬物配合製剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、課題を解決するために種々検討した結果、流動層造粒を行う際に、難溶性薬物を分散させた結合液を用いて流動層造粒を行うと、難溶性薬物を高含有率で配合することができ、さらに得られた造粒物は溶出性にも優れていることを見出し本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、流動層造粒法により難溶性薬物含有固形製剤を製造する方法において、難溶性薬物の一部または全部を結合液に配合し、流動層造粒したことを特徴とする、難溶性薬物含有固形製剤の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は難溶性薬物を流動層造粒する場合に適用可能であるが、薬剤にソファルコンを用いるときに特に有効である。
【0012】
本発明で行う流動層造粒で用いる結合液は界面活性剤、水溶性賦形剤などの配合成分を精製水などの溶媒に溶解し、その中に難溶性薬物を分散させることによって得ることができる。
【0013】
本発明で結合液に配合する難溶性薬物の量は、製剤全体に配合する薬物の5〜100%の割合であり、好ましくは10〜50%である。配合する難溶性薬物は結合液に配合する量が多いほど溶出性の向上が可能であるが、結合液量が増加してしまうことから作業性の低下を招いてしまうためである。
【0014】
ここで結合液に配合する難溶性薬物は、製剤に薬物を均一に添加するために、湿式粉砕により微細に粉砕したものが好ましく用いられる。
【0015】
本発明の結合液に配合する界面活性剤としてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリル酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロックコポリマー、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類、ショ糖脂肪酸エステルなどがあげられる。
【0016】
結合液に配合する界面活性剤の配合量は、製剤全体の難溶性薬物に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。
【0017】
本発明の結合液に配合する水溶性賦形剤としては乳糖、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトールなどがあげられ、結合液中に配合する量は製剤全体の難溶性薬物に対して5〜100質量%、好ましくは10〜50質量%である。
【0018】
本発明で行う流動層造粒法では、通常使用される添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤(流動化剤)などを配合することができる。具体的には賦形剤としては、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ぶどう糖、白糖、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、デキストリン、α−デキストリン、β−デキストリン、カルボキシビニルポリマー、軽質無水ケイ酸、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどがあげられる。
【0019】
崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプンなどがあげられる。
【0020】
結合剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、α化デンプン、寒天、タラガント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどがあげられる。
【0021】
滑沢剤(流動化剤)としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、サラシミツロウなどがあげられる。
【0022】
また、他の薬効成分(ケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、ロートエキスなど)も配合することができる。
【0023】
本発明の製造方法は難溶性薬物を配合した結合液にする他は通常の流動層造粒法と同様にして行うことができる。
【0024】
得られた造粒物はそのまま粒剤として、または通常の方法でカプセル剤などの固形製剤にすることもできる。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、ソファルコンなどの難溶性薬物を高濃度に含有しながらも溶出性に優れた製剤を製造する事が可能となった。これにより製剤の少量化、服用性の向上などがはかられたソファルコン配合製剤の提供が可能になった。
【0026】
【実施例】
以下、実施例および試験例により、本発明を詳細に説明する。
実施例1
ソファルコン85gにリン酸水素カルシウム100g、マンニトール260gを加え混合、篩過したものを粉体層とした。ヒドロキシプロピルメチルセルロース20gおよびポリソルベート80 5gを精製水400gに溶解した中に、さらにマンニトール15gを溶解後、ソファルコン15gを添加し湿式粉砕したものを結合液として用い、流動層造粒機で造粒、乾燥し細粒剤を得た。
【0027】
実施例2
ソファルコン75gにリン酸水素カルシウム100g、マンニトール250gを加え混合、篩過したものを粉体層とした。ヒドロキシプロピルメチルセルロース20g、ポリソルベート80 5gを精製水400gに溶解した中に、さらにマンニトール25gを溶解後、ソファルコン25gを添加し湿式粉砕したものを結合液として用い、流動層造粒機で造粒、乾燥し細粒剤を得た。
【0028】
比較例1
ソファルコン100gにリン酸水素カルシウム100g、マンニトール275gを加え混合、篩過したものを粉体層とした。ヒドロキシプロピルメチルセルロース20g、ポリソルベート80 5gを精製水400gに溶解したものを結合液として用い、流動層造粒機で造粒、乾燥し細粒剤を得た。
【0029】
比較例2
ソファルコン100gにリン酸水素カルシウム100g、マンニトール270g、シュガーエステル10gを加え混合したものを粉体層とした。ヒドロキシプロピルメチルセルロース20gを精製水400gに溶解したものを結合液として用い、流動層造粒機で造粒、乾燥し細粒剤を得た。
【0030】
試験例(ソファルコン含有製剤のパドル法100rpm、pH1.2の溶出試験)
実施例1、2および比較例1、2の製剤について溶出試験を実施した。各例のpH1.2での溶出試験結果を図1に示した。
【0031】
図1から明らかなように、本発明の製法により製造した製剤は、従来法で製造した高含有率のソファルコン製剤と比較して明らかに溶出性に優れることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パドル法(100rpm)によりpH1.2で行ったソファルコンの溶出試験の結果を示した図である。

Claims (1)

  1. 流動層造粒法によりソファルコン含有固形製剤を製造する方法において、結合液に製剤中に配合するソファルコンのうち10〜50%を分散配合し、さらに前記結合液中に製剤全体のソファルコンに対して1〜20質量%のポリソルベート80及び5〜100質量%のマンニトールを配合して流動層造粒したことを特徴としたことを特徴とする、ソファルコン含有固形製剤の製造方法。
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