JP4823316B2 - 不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法 - Google Patents

不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法 Download PDF

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Description

本発明は、抵抗値が異なる複数の抵抗状態を記憶する抵抗記憶素子を用いた不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法に関する。
近年、新たなメモリ素子として、ReRAM(Resistance Random Access Memory:抵抗変化メモリ)と呼ばれる不揮発性半導体記憶装置が注目されている。ReRAMは、抵抗値が異なる複数の抵抗状態を有し、外部から電気的刺激を与えることにより抵抗状態が変化する抵抗記憶素子を用い、抵抗記憶素子の高抵抗状態と低抵抗状態とを例えば情報の“0”と“1”とに対応づけることにより、メモリ素子として利用するものである。ReRAMは、高速性、大容量性、低消費電力性等、そのポテンシャルの高さから、その将来性が期待されている。
抵抗記憶素子は、電圧の印加により抵抗状態が変化する抵抗記憶材料を一対の電極間に挟持したものである。抵抗記憶材料としては、代表的なものとして遷移金属を含む酸化物材料が知られている。
図16に、抵抗記憶素子の電気特性を示す。図16に示すように、高抵抗状態にある抵抗記憶素子に電圧を徐々に印加していくと、電圧がある値(セット電圧Vset)を超えたところで急激に抵抗値が減少し、抵抗記憶素子は低抵抗状態に遷移する。この動作を、一般に「セット」と呼ぶ。一方、低抵抗状態にある抵抗記憶素子に電圧を徐々に印加していくと、電圧がある値(リセット電圧Vreset)を超えたところで急激に抵抗値が増加し、抵抗記憶素子は高抵抗状態に遷移する。この動作を、一般に「リセット」と呼ぶ。
これら動作により、抵抗記憶素子に単純に電圧を印加するだけで、抵抗記憶素子の抵抗状態を制御することができる。データの読み出しは、リセットを起こさない程度の電圧を印加したときに素子に流れる電流値を測定することにより可能である。
特開2005−025914号公報 I. G. Baek et al., "Highly scalable non-volatile resistive memory using simple binary oxide driven by asymmetric unipolar voltage pulses", Tech. Digest IEDM 2004, p.587
しかしながら、抵抗記憶素子に単純に電圧を印加して低抵抗状態から高抵抗状態に抵抗状態をリセットする手法では、低抵抗状態から高抵抗状態への抵抗状態の変化に伴う抵抗値の増大により、リセット直後の抵抗記憶素子には、リセット電圧を超える過大な電圧が印加されてしまう。この電圧がセット電圧よりも高いと、抵抗記憶素子は高抵抗状態から再び低抵抗状態に遷移してしまい、正常な書き込み動作を行うことができない。
また、抵抗記憶素子を高抵抗状態から低抵抗状態にセットする場合には、高抵抗状態から低抵抗状態への抵抗状態の変化に伴う抵抗値の急激な減少により、抵抗記憶素子には過大な電流が流れてしまう。このため、セットの動作にあたっては、選択トランジスタや抵抗記憶素子等の破壊を防止するために、電流制限を行うことが不可欠である。
また、一般に、抵抗記憶素子は素子特性のばらつきや変動が大きいため、書き込み動作マージンが狭い傾向がある。特に、書き込み電圧の低いリセット動作では、素子特性のばらつきや変動による書き込み動作への影響は大きい。このため、特にメモリセルアレイを構成した装置では、書き込み手順について、素子特性のばらつきや変動に対する何らかの対策や手法が必要である。
本発明の目的は、抵抗記憶素子を用いた不揮発性半導体記憶装置に関し、迅速且つ正常な書き込み動作を容易に実現することができる不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、高抵抗状態と低抵抗状態とを記憶し、電圧の印加によって前記高抵抗状態と前記低抵抗状態とを切り換える抵抗記憶素子と、ドレイン端子が前記抵抗記憶素子の一方の端部に接続され、ソース端子が基準電圧に接続された第1のトランジスタとをそれぞれ有し、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の抵抗記憶素子の他方の端部に接続された複数のビット線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1のトランジスタのゲート電極に接続された複数のワード線と、複数の前記ビット線のそれぞれに接続された複数のトランジスタであって、ソース端子が前記ビット線を介して前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の抵抗記憶素子の前記他方の端部に接続され、ドレイン端子に書き込み電圧が印加される複数の第2のトランジスタとを有する不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法であって、複数の前記ワード線のうちの一のワード線に接続された複数の前記メモリセルのうち、書き込み対象の複数の前記メモリセルの前記抵抗記憶素子に、一括して前記低抵抗状態を書き込む工程と、前記低抵抗状態を書き込んだ複数の前記メモリセルのうち、前記高抵抗状態を書き込むべき前記メモリセルの前記抵抗記憶素子に、選択的に前記高抵抗状態を書き込む工程とを有し、前記高抵抗状態を書き込む工程では、前記高抵抗状態を書き込むべき前記メモリセルに対応する前記ビット線に接続された前記第2のトランジスタのゲート端子に印加する電圧を、前記抵抗記憶素子のリセット電圧と前記第2のトランジスタの閾値電圧との合計以上、前記抵抗記憶素子のセット電圧と前記閾値電圧との合計未満の値に設定することにより、前記抵抗記憶素子に印加される電圧を、前記リセット電圧以上、前記セット電圧未満の値に制御する不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法が提供される。
本発明によれば、高抵抗状態と低抵抗状態とを記憶し、電圧の印加によって高抵抗状態と低抵抗状態とを切り換える抵抗記憶素子と、ドレイン端子が抵抗記憶素子の一方の端部に接続され、ソース端子が基準電圧に接続された第1のトランジスタとをそれぞれ有し、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、第1の方向に並ぶ前記メモリセルの抵抗記憶素子の他方の端部に接続された複数のビット線と、第1の方向と交差する第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、第2の方向に並ぶメモリセルの第1のトランジスタのゲート電極に接続された複数のワード線と、複数のビット線のそれぞれに接続された複数のトランジスタであって、ソース端子が前記ビット線を介して第1の方向に並ぶメモリセルの抵抗記憶素子の他方の端部に接続され、ドレイン端子に書き込み電圧が印加される複数の第2のトランジスタとを有する不揮発性半導体記憶装置において、複数のワード線のうちの一のワード線に接続された複数のメモリセルのうち、書き込み対象の複数のメモリセルの抵抗記憶素子に、一括して低抵抗状態を書き込む工程と、低抵抗状態を書き込んだ複数のメモリセルのうち、高抵抗状態を書き込むべきメモリセルの抵抗記憶素子に、選択的に高抵抗状態を書き込む工程とにより書き込みを行うので、複数のメモリセルに効率よく安定して情報を書き込むことができる。
また、低抵抗状態を書き込む工程において、第1のトランジスタのチャネル抵抗が、抵抗記憶素子が高抵抗状態のときの抵抗値よりも十分に小さく且つ抵抗記憶素子が低抵抗状態のときの抵抗値よりも十分に大きくなるように、第1のトランジスタのゲート端子に印加する駆動電圧を制御するので、抵抗記憶素子が低抵抗状態に切り換わった直後に書き込み電圧の殆どを第1のトランジスタに印加することができる。これにより、素子に流れる電流を制限することができる。
また、高抵抗状態を書き込む工程において、第2のトランジスタのゲート端子に印加する電圧を、抵抗記憶素子のリセット電圧と第2のトランジスタの閾値電圧との合計以上、抵抗記憶素子のセット電圧と前記閾値電圧との合計未満の値に設定することにより、抵抗記憶素子に印加される電圧を、リセット電圧以上、セット電圧未満の値に制御するので、抵抗記憶素子が高抵抗状態に切り換わった直後に抵抗記憶素子に印加される電圧をセット電圧未満に抑えることができる。これにより、抵抗記憶素子が再セットされるのを防止することができる。
図1は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造を示す回路図である。 図2は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法(セット動作)を示す回路図である。 図3は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法(リセット動作)を示す回路図である。 図4は、メモリセルアレイにおけるセット電圧及びリセット電圧の分布を示すグラフである。 図5は、入出力が多ビットの不揮発性半導体記憶装置の構造を示す回路図である。 図6は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法を示すフローチャートである。 図7は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法(一括セット動作)を示す回路図である。 図8は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法(リセット動作)を示す回路図である。 図7は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法(ベリファイ動作)を示す回路図である。 図10は、本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法の一例を示す図である。 図11は、本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造を示す平面図である。 図12は、本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造を示す概略断面図である。 図13は、本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。 図14は、本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。 図15は、本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。 図16は、抵抗記憶素子の電気特性を示すグラフである。
符号の説明
10…メモリセル
12…選択トランジスタ
14…抵抗記憶素子
16…コラムセレクタ
18…P型トランジスタ
20…N型トランジスタ
22…電流源
24…センスアンプ
26…書き込み回路
28…読み出し回路
30…ロウデコーダ
32…コラム選択信号線
34…コラムデコーダ
36…書き込み制御回路
40…シリコン基板
42…素子分離膜
44…ゲート電極
46,48…ソース/ドレイン領域
50,64,78…層間絶縁膜
52,54,66,80…コンタクトホール
56,58,68,82…コンタクトプラグ
60…グラウンド線
62…中継配線
70…下部電極
72…抵抗記憶層
74…上部電極
76…抵抗記憶素子
84…ビット線
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置並びにその書き込み方法及び読み出しについて図1乃至図10を用いて説明する。
図1は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造を示す回路図、図2及び図3は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の基本的な書き込み方法を示す回路図、図4はメモリセルアレイにおけるセット電圧及びリセット電圧の分布を示すグラフ、図5は入出力が多ビットの不揮発性半導体記憶装置の構造を示す回路図、図6は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法を示すフローチャート、図7乃至図9は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法を示す回路図、図10は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法の一例を示す図である。
はじめに、本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の基本的な回路構成について図1を用いて説明する。
本実施形態による不揮発性半導体記憶装置は、1つの選択トランジスタ(第1のトランジスタ)12と1つの抵抗記憶素子14とからなるメモリセル10が、行方向(図面横方向)及び列方向(図面縦方向)に沿ってマトリクス状に配置されたものである。各メモリセル10は、選択トランジスタ12のドレイン端子に、抵抗記憶素子14の一方の端子を接続して構成されている。
行方向に並ぶメモリセル10には、これらメモリセル10に含まれる選択トランジスタ12のゲート端子を共通接続するワード線WLと、選択トランジスタ12のソース端子を共通接続するグラウンド線GNDとが設けられている。グラウンド線GNDは、基準電位(Vss)に接続されている。ワード線WL及びグランド線GNDは、メモリセル10の各行毎に設けられている。図1では、これら複数のワード線WL及びグラウンド線GNDを、WL,WL,WL…、GND,GND…と表している。
列方向に並ぶメモリセル10には、抵抗記憶素子14の端子のうち選択トランジスタ12が接続された側とは反対側の端子を共通接続するビット線BLが設けられている。ビット線BLは、メモリセル10の各列毎に設けられている。図1では、これら複数のビット線BLを、BL,BL,BLと表している。
各ビット線BLの一端には、N型トランジスタよりなるコラムセレクタ(第2のトランジスタ)16がそれぞれ設けられている。ビット線BLには、コラムセレクタ16のソース端子が接続されている。コラムセレクタ16のドレイン端子は、他のコラムセレクタ16のドレイン端子と共通接続され、P型トランジスタ18を介して電源線(Vdd)に接続されている。コラムセレクタ16のドレイン端子は、また、N型トランジスタ20を介して電流源22及びセンスアンプ24に接続されている。
次に、本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の基本的な書き込み方法について図2及び図3を用いて説明する。
はじめに、高抵抗状態から低抵抗状態への書き換え動作、すなわちセットの動作について図2を用いて説明する。ここでは、図1において、ワード線WL及びビット線BLに接続された右上のメモリセル10に書き込みを行うものとする。
まず、ワード線WLに所定の駆動電圧を印加し、選択トランジスタ12をオン状態にする。このとき、ワード線WLに印加する駆動電圧Vwlは、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrが、抵抗記憶素子14が高抵抗状態のときの抵抗値Rhighに対して十分に小さく、抵抗記憶素子14が低抵抗状態のときの抵抗値Rlowに対して十分に大きくなるように、設定する。駆動電圧Vwlは、例えば、電源電圧をVddとして、Vwl<Vddに設定することができる。
また、非選択のワード線WL,WL等には、例えば0Vを印加し、選択トランジスタ12をオフ状態にする。
次いで、コラムセレクタ16のゲート端子に所定の駆動電圧を印加し、コラムセレクタ16をオン状態にする。コラムセレクタ16のゲート端子には、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)以上の駆動電圧Vselを印加する。これにより、書き込み回路26とビット線BLとが接続され、ビット線BLが選択される。なお、書き込み回路26は、図1に示すP型トランジスタ18を含む書き込み電圧印加用の駆動回路である。
なお、駆動電圧Vselは、例えば、電源電圧Vddをコラムセレクタ16の閾値電圧Vth分だけ昇圧した電圧(Vdd+Vth)に設定することができる。コラムセレクタ16のゲート端子に印加する駆動電圧VselをVdd+Vthに設定しているのは、電源電圧Vddが低い世代(例えば、Vdd≦1.8V)の不揮発性半導体記憶装置を考慮したものである。すなわち、図2に示す回路においてコラムセレクタ16のゲート端子に印加する駆動電圧VselをVddに設定した場合、ビット線BLの電圧VblがVdd−Vthとなり、抵抗記憶素子14にセット電圧Vset以上の電圧を印加できない場合が想定されるからである。コラムセレクタ16のゲート端子に印加する駆動電圧Vselを昇圧しなくても抵抗記憶素子14にセット電圧Vset以上の電圧を印加できるような場合(例えば、電源電圧Vddが5Vの、5V系のトランジスタで回路が構成されている場合)には、コラムセレクタ16のゲート端子に昇圧した電圧を必ずしも印加する必要はない。
次いで、書き込み回路26から、抵抗記憶素子14のセット電圧Vset以上の書き込みパルス電圧を出力する。このとき、コラムセレクタ16のゲート端子には、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)以上の駆動電圧Vselが印加されているため、ビット線BLの電圧VblはVsel−Vthにクランプされる。
なお、書き込み回路26から出力する書き込みパルス電圧は、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。この場合、駆動電圧VselをVdd+Vthに設定する上記の例では、ビット線BLの電圧Vblは電源電圧Vddにクランプされる。
これにより、抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12には、ビット線BLの電圧Vblが、抵抗記憶素子14の抵抗値及び選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrに応じた比率で分配されて印加される。
このとき、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrは、抵抗記憶素子14が高抵抗状態のときの抵抗値Rhighに対して十分に小さくなるように制御されているため、ビット線BLの電圧Vblの殆どが高抵抗状態の抵抗記憶素子14に印加される。また、ビット線BLの電圧Vblは抵抗記憶素子14のセット電圧Vset以上の値に設定されているため、抵抗記憶素子14は高抵抗状態から低抵抗状態にセットされる。
セット動作の際の選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrを高めに制御しておくことにより、抵抗記憶素子14が高抵抗状態から低抵抗状態にセットした直後に、ビット線BLの電圧Vblの電圧の殆どが選択トランジスタ12に印加されることとなり、抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12を流れる電流は、選択トランジスタ12の素子抵抗によって制限される。すなわち、選択トランジスタ12を、電流制限素子として用いることができる。
この後、コラムセレクタ16及び選択トランジスタ14を順次オフ状態に戻し、セットの動作を完了する。
次に、低抵抗状態から高抵抗状態への書き換え動作、すなわちリセットの動作について図3を用いて説明する。ここでは、図1において、ワード線WL及びビット線BLに接続された右上のメモリセル10に書き込みを行うものとする。
まず、ワード線WLに所定の駆動電圧を印加し、選択トランジスタ12をオン状態にする。ワード線WLに印加する駆動電圧Vwlは、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrが、抵抗記憶素子14が低抵抗状態のときの抵抗値Rlowに対して十分に小さい値になるように、設定する。駆動電圧Vwlは、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。
また、非選択のワード線WL,WL等には、例えば0Vを印加し、選択トランジスタ12をオフ状態にする。
次いで、コラムセレクタ16のゲート端子に所定の駆動電圧を印加し、コラムセレクタ16をオン状態にする。コラムセレクタ16のゲート端子には、抵抗記憶素子14のリセット電圧Vresetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vreset+Vth)以上であり、且つ、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)未満の駆動電圧Vsel(Vset+Vth>Vsel≧Vreset+Vth)を印加する。これにより、書き込み回路26とビット線BLとが接続され、ビット線BLが選択される。
なお、駆動電圧Vselは、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。
次いで、書き込み回路26から、抵抗記憶素子14のリセット電圧Vresetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vreset+Vth)以上の書き込みパルス電圧を出力する。このとき、コラムセレクタ16のゲート端子には、抵抗記憶素子14のリセット電圧Vresetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vreset+Vth)以上であり、且つ、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)未満の駆動電圧Vselが印加されているため、ビット線BLの電圧Vblは、Vsel−Vth(Vset>Vbl≧Vreset)にクランプされる。
なお、書き込みパルス電圧は、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。この場合、駆動電圧Vselを電源電圧Vddに設定する上記の例では、ビット線BLの電圧Vblは、Vdd−Vthにクランプされる。
これにより、抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12には、ビット線BLの電圧Vbl(Vset>Vbl≧Vreset)が、抵抗記憶素子14の抵抗値及び選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrに応じた比率で分配されて印加される。
このとき、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrは、抵抗記憶素子14が低抵抗状態のときの抵抗値Rlowに対して十分に小さくなるように制御されているため、ビット線BLの電圧Vblの殆どが低抵抗状態の抵抗記憶素子14に印加される。また、ビット線BLの電圧Vblは抵抗記憶素子14のリセット電圧Vreset以上の値に設定されているため、抵抗記憶素子14は低抵抗状態から高抵抗状態にリセットされる。
抵抗記憶素子14が高抵抗状態にリセットされた直後、抵抗記憶素子14に印加される電圧が増加することが懸念される。しかしながら、ビット線BLの電圧VblはVsel−Vth(Vset>Vbl≧Vreset)にクランプされているため、抵抗記憶素子14に印加される電圧がセット電圧Vsetを超えることはなく、抵抗記憶素子14が再セットされることはない。
なお、駆動電圧Vsel及び書き込みパルス電圧を電源電圧Vddに設定する上記の例では、ビット線BLの電圧VblはVdd−Vthにクランプされることになるが、この電圧は通常は抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetよりも低くなるため、再セットが生じるなどの問題はない。ビット線BLの電圧Vbl(=Vdd−Vth)が抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetよりも高くなる場合には、セット動作の場合と同様、ワード線WLに印加する駆動電圧Vwlを低く設定し、選択トランジスタ12のチャネル抵抗を増加すればよい。これにより、選択トランジスタ12に分圧される電圧を増やし、抵抗記憶素子14に印加される電圧がセット電圧Vset以下になるように制御することができる。このときにワード線WLに印加する駆動電圧Vwlは、抵抗記憶素子14に印加される電圧がVreset以上、Vset未満になるように、適宜制御する。
この後、コラムセレクタ16及び選択トランジスタ12を順次オフ状態に戻し、リセットの動作を完了する。
次に、本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の読み出し方法について図1を用いて説明する。ここでは、図1において、ワード線WL及びビット線BLに接続された右上のメモリセル10に記憶された情報を読み出すものとする。
まず、N型トランジスタ20及びビット線BLに接続されるコラムセレクタ16をオンにし、ビット線BLをプリチャージする。
次いで、ワード線WLに所定の駆動電圧(Vdd)を印加し、選択トランジスタ12をオンにする。
これにより、電流源22から供給される読み出し電流は、N型トランジスタ20、コラムセレクタ16、抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12を介してグラウンド線GNDに向かって流れる。これに伴い、ビット線BLには、抵抗記憶素子14の抵抗状態に応じた電圧Vreadが出力される。
次いで、センスアンプ24により、ビット線BLの電圧Vreadとリファレンス電圧Vrefとを比較し、その大小関係に基づいて抵抗記憶素子14が低抵抗状態であるのか高抵抗状態であるのかを判定する。
こうして、メモリセル10に記録された記憶情報の読み出しを行うことができる。
コラムセレクタ16をソースフォロア動作させてビット線BLの電位を所定の値にクランプすることによりリセット動作の際の再書き込みを防止する本発明の上記方式は、読み出し動作との整合性が優れており、読み出しも容易である。
抵抗変化を利用した他のメモリとしてはPRAM(相変化メモリ)やMRAM(磁気抵抗メモリ)等がある。これらメモリのメモリセルは、選択トランジスタ(Tr)とメモリ素子(R)とからなる1T−1Rセルが一般的であり、その接続は選択トランジスタがグラウンド側、メモリ素子がビット線BL側になっている。この回路は、いわゆるソース接地回路であり選択トランジスタは定電流源として働くため、電流読み出しが容易である。
一方、仮に選択トランジスタとメモリ素子とを逆に接続した場合、読み出し電流を流すことにより選択トランジスタのソース電位が上がり、ゲート−ソース間電圧(Vgs)が小さくなって素子抵抗が非常に大きくなるため、メモリ素子の抵抗変化を読み出しにくくなる。このため、選択トランジスタを書き込み動作の際にビット線BLの電圧をクランプするためのクランプトランジスタとして用いるのは好ましくない。
また、書き込み動作の際にビット線BLの電圧をクランプするためのトランジスタとしてコラムセレクタ16を用いることは、不揮発性半導体記憶装置の集積度を維持するうえでも有効である。ビット線BLの電圧をクランプするためには、クランプトランジスタのゲート幅をある程度大きくすることが好ましい。また、セット動作の際には、書き込み回路26−コラムセレクタ16−ビット線BL−選択トランジスタ12−抵抗記憶素子14から構成される経路において、抵抗記憶素子14にセット電圧Vsetが印加されるようにコラムセレクタ16のゲート電圧を閾値電圧Vth分の昇圧を行っているが、コラムセレクタ16のオン抵抗を下げるためにも、コラムセレクタ16のゲート幅をある程度大きくする方が好ましい。コラムセレクタ16は、ビット線BL毎に設置されるものであるから、レイアウト上の余裕があり、トランジスタのゲート幅を容易に大きくすることが可能であり、不揮発性半導体記憶装置の集積度に与える影響も小さい。
本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の読み出し方法では、読み出し回路として電流源22を設け、この電流源22から供給される読み出し電流を流すビット線BLをコラムセレクタ16によって選択する構成としている。このため、書き込み動作の際にビット線BLの電圧をクランプするためのクランプトランジスタとして、コラムセレクタ16を利用することができる。但し、書き込み動作の際にビット線BLの電圧をクランプするためのクランプトランジスタは、必ずしもコラムセレクタ16である必要はない。書き込み動作の際にビット線BLの電圧をクランプするためのトランジスタを、別個独立して各ビット線BLに設けるようにしてもよい。
上述した不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法は、メモリセルを一つずつ書き換える場合には何ら支障はない。しかしながら、セットの動作とリセットの動作とでワード線WL及びコラムセレクタ16に印加する電圧が異なるため、1つのワード線WLに連なる複数のメモリセルについて、一部をセットし、他をリセットするということは不可能である。このため、入出力が多ビットのメモリの場合、書き込み手順について何らかの対策・手法が必要である。
また、一般に、抵抗記憶素子は素子特性のばらつきや変動が大きいため、書き込み動作の際に不具合が生じることがある。例えば図4に示すように、メモリセルアレイ全体のセット電圧及びリセット電圧には分布がある。また、この分布自体が変動し、セット電圧の分布の裾の部分とリセット電圧の分布の裾の部分とが重なることもある(図中、点線部分)。このような場合、総てのメモリセルに正常なデータを書き込むことができないことがある。特に、書き込み電圧の低いリセット動作では、素子特性のばらつきや変動による書き込み動作への影響は大きい。このため、素子特性のばらつきや変動の観点からも、書き込み手順について何らかの対策を施すことが望ましい。
図5は、メモリの入出力が多ビットの場合の不揮発性半導体記憶装置の回路構成例を示したものである。図5では、メモリの入出力が8ビットの場合を示しているが、ビット数は8ビットに限定されるものではない。
図5に示す回路は、図1に示す基本的なセルアレイブロックを、ワード線WLの延在方向に入出力データのビット数の数だけ並べたものである。すなわち、ビット線BL00,BL01,BL02,…,BL07で構成される第1のブロックから、ビット線BL70,BL71,BL72,…,BL77で構成される第8のブロックが、ワード線WLの延在方向に並んでいる。第1のブロックから第8のブロックは、8ビットのデータのそれぞれのビットに対応している。
各ブロックには、それぞれ8本ずつのビット線BLと、64本のワード線WL(ワード線WL,WL,WL,…,WL63)とが含まれる。ワード線WL,WL,WL,…,WL63は、各ブロックに共通である。ワード線WL,WL,WL,…,WL63は、ワード線ドライバWD_0,WD_1,WD_2,…,WD_63を介してロウデコーダ30にそれぞれ接続されている。
ビット線BL00,BL01,BL02,…,BL77の一端は、コラムセレクタ1600,1601,1602,…,1677にそれぞれ接続されている。コラムセレクタ1600,1601,1602,…,1677の他端は、ブロック毎に束ねられ、書き込み回路26及び読み出し回路28に接続されている。すなわち、第1ブロックのビット線BL00〜BL07には、コラムセレクタ1600〜1607を介して、書き込み回路26及び読み出し回路28が接続されている。同様に、第2ブロックのビット線BL00〜BL07には、コラムセレクタ1610〜1617を介して、書き込み回路26及び読み出し回路28が接続されている。また、第8ブロックのビット線BL70〜BL77には、コラムセレクタ1670〜1677を介して、書き込み回路26及び読み出し回路28が接続されている。図示しない第3ブロックから第7ブロックも同様である。
書き込み回路26,26,…,26は、書き込み制御回路36からの制御信号(W/D_0,W/D_1,…,W/D_7)に応じて書き込み電圧Vwriteを出力するためのP型トランジスタ18,18,…,18をそれぞれ有している。
コラムセレクタ1600〜1677のゲート端子は、コラム選択信号線32,32,32,…,32に接続されている。各コラム選択信号線32には、各ブロック1つずつのコラムセレクタ16が接続されている。すなわち、コラム選択信号線32にはコラムセレクタ1600,1610,…,1670のゲート端子が接続され、コラム選択信号線32にはコラムセレクタ1601,1611,…,1671のゲート端子が接続され、コラム選択信号線32にはコラムセレクタ1602,1612,…,1672のゲート端子が接続され、コラム選択信号線32にはコラムセレクタ1607,1617,…,1677のゲート端子が接続されている。図示しないコラム選択信号線32〜32についても同様である。コラム選択信号線32,32,32,…,32には、コラムデコーダ34が接続されている。
図5に示すような入出力が多ビットのメモリの場合、各ブロックが各ビットに対応する。そして、書き込み回路26には、8ビットのデータが入力され、このデータに応じた駆動電圧が、P型トランジスタ18〜18のそれぞれに印加される。
コラムデコーダ34によって例えばコラム選択信号線32を選択すると、コラムセレクタ1601,1611,…,1671がオン状態となり、コラムセレクタ1601,1611,…,1671に接続されるビット線BL01,BL11,…,BL71には、P型トランジスタ18〜18の駆動電圧に応じて、所定の書き込み電圧Vwriteが印加される。
このとき、ロウデコーダ30によって例えばワード線WLを選択すると、メモリセルMC101,MC111,…,MC171が選択状態となり、メモリセルMC101,MC111,…,MC171への書き込みが可能な状態となる。
しかしながら、上述したとおり、本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法では、セットの動作とリセットの動作とでワード線WL及びコラムセレクタ16に印加する電圧が異なるため(図2及び図3参照)、メモリセルMC101,MC111,…,MC171のうちの一部のメモリセルをセットし、他のメモリセルをリセットするということはできない。
次に、多ビットの入出力に対応した不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法について図6乃至図10を用いて説明する。
メモリセルアレイへの多ビットの同時書き込みは、図6に示すように、書き込み対象のビット(メモリセル)を一括してセットするステップ(ステップS11)と、データ“0”を書き込むべきビット(メモリセル)を選択的にリセットするステップ(ステップS12)と、データ“0”を書き込むべきメモリセルのベリファイを行うステップ(ステップS13〜S15)とにより行われる。
以下に、各ステップについて詳述する。なお、以下の説明では、書き込むべきデータが“01001010”の8ビットのデータであり、書き込み対象のビットが、上位ビットから順に、ワード線WLに連なるメモリセルMC101,MC111,…,MC171であるものと仮定する。
はじめに、書き込み対象のビット(メモリセル)に、セット状態を書き込む(ステップS11)。なお、ここでは、メモリセルがセット状態にあるときにデータ“1”が書き込まれた状態であり、メモリセルがリセット状態にあるときにデータ“0”が書き込まれた状態であるものと考える。ただし、データ“1”、“0”の定義は、適宜決定することができる。
まず、ワード線WLを選択するために、ロウデコーダ30及びワード線ドライバWD_1を介してワード線WLに所定の駆動電圧を印加し、ワード線WLに連なるメモリセルMC101,MC111,…,MC171の選択トランジスタ12をオン状態にする。このとき、ワード線WLに印加する駆動電圧Vwlは、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrが、抵抗記憶素子14が高抵抗状態のときの抵抗値Rhighに対して十分に小さく、抵抗記憶素子14が低抵抗状態のときの抵抗値Rlowに対して十分に大きくなるように、設定する。駆動電圧Vwlは、例えば、電源電圧をVddとして、Vwl<Vddに設定することができる。
また、非選択のワード線WL,WL,…,WL63には、例えば0Vを印加し、選択トランジスタ12をオフ状態にする。
次いで、ビット線BL01,BL11,…,BL71を選択するために、コラム選択信号線32に所定の駆動電圧を印加し、ビット線BL01,BL11,…,BL71に接続されるコラムセレクタ1601,1611,…,1671をオン状態にする。コラム選択信号線32には、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ1601,1611,…,1671の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)以上の駆動電圧Vselを印加する。駆動電圧Vselは、例えば、電源電圧Vddをコラムセレクタ16の閾値電圧Vth分だけ昇圧した電圧(Vdd+Vth)に設定することができる。これにより、ビット線BL01,BL11,…,BL71が選択される。
また、非選択のコラム選択信号線32,32,…,32には、例えば0Vを印加し、コラムセレクタ1600,1602,…,1607、コラムセレクタ1610,1612,…,1617、…、コラムセレクタ1670,1672,…,1677をオフ状態にする。
次いで、書き込み制御回路36から、総てのビットに対応する書き込み回路26,26,…,26に、P型トランジスタ18,18,…,18を駆動するための書き込み制御信号W/D_0,W/D_1,…,W/D_7を出力する(図10参照)。これにより、P型トランジスタ18,18,…,18はオン状態になり、ビット線BL01,BL11,…,BL71には、P型トランジスタ18,18,…,18及びコラムセレクタ1601,1611,…,1671を介して所定の書き込み電圧Vwriteが印加される。そして、ビット線BL01,BL11,…,BL71の電圧Vblは、Vsel−Vthにクランプされる。なお、書き込み電圧Vwriteは、例えば電源電圧Vddに設定することができる。
これにより、メモリセルMC101,MC111,…,MC171の抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12には、ビット線BL01,BL11,…,BL71の電圧Vblが、抵抗記憶素子14の抵抗値及び選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrに応じた比率で分配されて、それぞれ印加される。
このとき、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrは、抵抗記憶素子14が高抵抗状態のときの抵抗値Rhighに対して十分に小さくなるように制御されているため、ビット線BL01,BL11,…,BL71の電圧Vblの殆どが高抵抗状態の抵抗記憶素子14に印加される。また、ビット線BL01,BL11,…,BL71の電圧Vblは抵抗記憶素子14のセット電圧Vset以上の値に設定されているため、抵抗記憶素子14は高抵抗状態から低抵抗状態にセットされる。
こうして、メモリセルMC101,MC111,…,MC171に、セット状態(データ“1”)を書き込むことができる。すなわち、本ステップにより書き込まれた8ビットのデータは、“11111111”となる(図7及び図10参照)。
この後、書き込み制御回路36を介してP型トランジスタ18,18,…,18をオフ状態に戻し、コラム選択信号線32を介してコラムセレクタ1601,1611,…,1671を順次オフ状態に戻し、ワード線WLを介してメモリセルMC101,MC111,…,MC171の選択トランジスタ14をオフ状態に戻し、ステップS11の動作を完了する。
次に、データ“0”を書き込むべきビットをリセットする(ステップS12)。ここでは、書き込むデータが“01001010”であるので、リセットが必要なメモリセルMCは、MC101,MC121,MC131,MC151,MC171である。
まず、ワード線WLを選択するために、ワード線WLに所定の駆動電圧を印加し、ワード線WLに連なるメモリセルMC101,MC111,…,MC171の選択トランジスタ12をオン状態にする。このとき、ワード線WLに印加する駆動電圧Vwlは、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrが、抵抗記憶素子14が低抵抗状態のときの抵抗値Rlowに対して十分に小さい値になるように、設定する。駆動電圧Vwlは、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。
また、非選択のワード線WL,WL,…,WL63には、例えば0Vを印加し、選択トランジスタ12をオフ状態にする。
次いで、ビット線BL01,BL11,…,BL71を選択するために、コラム選択信号線32に所定の駆動電圧を印加し、ビット線BL01,BL11,…,BL71に接続されるコラムセレクタ1601,1611,…,1671をオン状態にする。コラム選択信号線32には、抵抗記憶素子14のリセット電圧Vresetとコラムセレクタ1601,1611,…,1671の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vreset+Vth)以上であり、且つ、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ1601,1611,…,1671の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)未満の駆動電圧Vsel(Vset+Vth>Vsel≧Vreset+Vth)を印加する。駆動電圧Vselは、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。これにより、ビット線BL01,BL11,…,BL71が選択される。
また、非選択のコラム選択信号線32,32,…,32には、例えば0Vを印加し、コラムセレクタ1600,1602,…,1607、コラムセレクタ1610,1612,…,1617、…、コラムセレクタ1670,1672,…,1677をオフ状態にする。
なお、コラム選択信号線32〜32及びワード線WL〜WL63への駆動電圧は、ステップS11の状態からそのまま印加しておいてもよい。
次いで、書き込み制御回路36から、データ“0”を書き込むべきビットに対応する書き込み回路26,26,26,26,26に、P型トランジスタ18,18,18,18,18を駆動するための書き込み制御信号W/D_0,W/D_2,W/D_3,W/D_5,W/D_7を出力する(図10参照)。これにより、P型トランジスタ18,18,18,18,18はオン状態になり、ビット線BL01,BL21,BL31,BL51,BL71には、P型トランジスタ18,18,18,18,18及びコラムセレクタ1601,1621,1631,1651,1671を介して所定の書き込み電圧Vwriteが印加される。書き込み電圧Vwriteは、抵抗記憶素子14のリセット電圧Vresetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vreset+Vth)以上の電圧とする。
このとき、コラムセレクタ1601,1621,1631,1651,1671のゲート端子には、抵抗記憶素子14のリセット電圧Vresetとコラムセレクタ16の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vreset+Vth)以上であり、且つ、抵抗記憶素子14のセット電圧Vsetとコラムセレクタ1601,1621,1631,1651,1671の閾値電圧Vthとの合計電圧(Vset+Vth)未満の駆動電圧Vselが印加されているため、ビット線BL01,BL21,BL31,BL51,BL71の電圧Vblは、Vsel−Vth(Vset>Vbl≧Vreset)にクランプされる。
なお、書き込みパルス電圧は、例えば、電源電圧Vddに設定することができる。この場合、駆動電圧Vselを電源電圧Vddに設定する上記の例では、ビット線BL01,BL21,BL31,BL51,BL71の電圧Vblは、Vdd−Vthにクランプされる。
これにより、メモリセルMC101,MC121,MC131,MC151,MC171の抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12には、ビット線BL01,BL21,BL31,BL51,BL71の電圧Vbl(Vset>Vbl≧Vreset)が、抵抗記憶素子14の抵抗値及び選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrに応じた比率で分配されて印加される。
このとき、選択トランジスタ12のチャネル抵抗Rtrは、抵抗記憶素子14が低抵抗状態のときの抵抗値Rlowに対して十分に小さくなるように制御されているため、ビット線BL01,BL21,BL31,BL51,BL71の電圧Vblの殆どが低抵抗状態の抵抗記憶素子14に印加される。また、ビット線BL01,BL21,BL31,BL51,BL71の電圧Vblは抵抗記憶素子14のリセット電圧Vreset以上の値に設定されているため、抵抗記憶素子14は低抵抗状態から高抵抗状態にリセットされる。
こうして、メモリセルMC101,MC121,MC131,MC151,MC171に、リセット状態を書き込むことができる。すなわち、本ステップにより書き込まれた後の8ビットのデータは、“01001010”となる(図8及び図10参照)。
この後、コラム選択信号線32及びワード線WLを介してコラムセレクタ1601,1611,…,1671及びメモリセルMC101,MC111,…,MC171の選択トランジスタ14を順次オフ状態に戻し、ステップS12の動作を完了する。
次に、必要に応じて、ベリファイを行う(ステップS13〜S15)。なお、本実施形態におけるベリファイは、データ“0”が正常に書き込まれたかどうかを検証することである。
ベリファイでは、まず、データ“0”を書き込んだメモリセルの読み出し動作を行う。
まず、コラム選択信号線32に所定の駆動電圧を印加してコラムセレクタ1601,1611,…,1671をオン状態にし、ビット線BL01,BL11,…,BL71をプリチャージする。
次いで、ワード線WLに所定の駆動電圧(Vdd)を印加し、メモリセルMC101,MC111,…,MC171の選択トランジスタ12をオンにする。
なお、コラム選択信号線32〜32及びワード線WL〜WL63への駆動電圧は、ステップS12の状態からそのまま印加しておいてもよい。
これにより、電流源22から供給される読み出し電流は、N型トランジスタ20、コラムセレクタ1601,1611,…,1671、抵抗記憶素子14及び選択トランジスタ12を介してグラウンド線GNDに向かって流れる。これに伴い、ビット線BL01,BL11,…,BL71には、メモリセルMC101,MC111,…,MC171の抵抗記憶素子14の抵抗状態に応じた電圧Vreadがそれぞれ出力される。
次いで、センスアンプ24により、ビット線BL01,BL11,…,BL71の電圧Vreadとリファレンス電圧Vrefとを比較し、その大小関係に基づいてメモリセルMC101,MC111,…,MC171の抵抗記憶素子14が低抵抗状態であるのか高抵抗状態であるのかを判定する。
こうして、メモリセルMC101,MC111,…,MC171に記録された記憶情報の読み出しを行うことができる。
ここで、読み出した8ビットのデータが、“11001010”であったものと仮定する。書き込むべきデータは“01001010”であるので、読み出したデータの最上位ビット(メモリセルMC101)が、ステップS12において正常にリセットされていないことが判る。
このような場合には、メモリセルMC101について、書き込み条件を調整して再度リセットの書き込みを行う(ステップS14)。この書き込み処理は、コラム選択信号線32の駆動電圧(Vsel)を増加してビット線BL01のクランプ電圧を微増するほかは、基本的にステップS12と同様である。書き込み制御回路36から出力する書き込み制御信号(書き込み制御信号W/D_0)は、データ“0”を再度書き込むべきビットに対応する書き込み回路(書き込み回路26)のみに出力する(図10参照)。
この後、再度ステップS13の読み出し動作を行い、メモリセルMC101の情報を読み出し、データ“0”が正常に書き込まれたかどうかを再度検証する。その結果、データ“0”が正常に書き込まれていなければ更にステップS14を繰り返し、データ“0”が正常に書き込まれていれば書き込み処理を終了する。
こうして、メモリセルMC101に、リセット状態を書き込むことができる。すなわち、本ステップにより書き込まれた後の8ビットのデータは、“01001010”となる(図9及び図10参照)。
この後、コラム及びロウを切り換えて順次書き込み処理を行い、メモリセルアレイ全体の書き込みを完了する。
このように、本実施形態によれば、抵抗記憶素子と、ドレイン端子が抵抗記憶素子の一方の端部に接続され、ソース端子が基準電圧に接続された選択トランジスタと、ソース端子が抵抗記憶素子の他方の端部に接続されたクランプトランジスタとを有する不揮発性半導体記憶装置を構成し、クランプトランジスタを介して抵抗記憶素子に書き込み電圧を印加して高抵抗状態から低抵抗状態に切り換える際に、選択トランジスタのチャネル抵抗が、抵抗記憶素子が高抵抗状態のときの抵抗値よりも十分に小さく且つ抵抗記憶素子が低抵抗状態のときの抵抗値よりも十分に大きくなるように、選択トランジスタのゲート端子に印加する駆動電圧を制御するので、抵抗記憶素子が低抵抗状態に切り換わった直後に書き込み電圧の殆どを選択トランジスタに印加することができる。これにより、素子に流れる電流を制限することができる。
また、クランプトランジスタを介して抵抗記憶素子に書き込み電圧を印加して低抵抗状態から高抵抗状態に切り換える際に、クランプトランジスタのゲート端子に印加する電圧を、抵抗記憶素子のリセット電圧とクランプトランジスタの閾値電圧との合計以上、抵抗記憶素子のセット電圧と前記閾値電圧との合計未満の値に設定することにより、抵抗記憶素子に印加される電圧を、リセット電圧以上、セット電圧未満の値に制御するので、抵抗記憶素子が高抵抗状態に切り換わった直後に抵抗記憶素子に印加される電圧をセット電圧未満に抑えることができる。これにより、抵抗記憶素子が再セットされるのを防止することができる。
また、書き込み対象のメモリセルを一括してセットした後、データ“0”を書き込むべきビットのメモリセルを選択的にリセットするので、上記の書き込み方法を適用した場合にも、一のワード線に連なる複数のメモリセルに効率よく安定して情報を書き込むことができる。また、データ“0”の書き込み後にそのベリファイを行うことで、抵抗記憶素子のばらつきや変動に起因する書き込み不良を防止することができる。これにより、不揮発性半導体記憶装置の書き込み動作の信頼性を向上することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法について図11乃至図15を用いて説明する。なお、図1に示す第1実施形態による不揮発性半導体記憶装置と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
図11は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造を示す平面図、図12は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造を示す概略断面図、図13乃至図15は本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法を示す工程断面図である。
本実施形態では、図1に示す回路構成を実現する不揮発性半導体記憶装置の具体的な構造の一例及びその製造方法について説明する。
はじめに、本実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造について図11及び図12を用いて説明する。なお、図12は図11のA−A′線断面図である。
シリコン基板40上には、素子領域を画定する素子分離膜42が形成されている。それぞれの素子領域は、X方向に長い矩形形状を有している。これら複数の活性領域は、互いに千鳥格子状に配置されている。
素子分離膜42が形成されたシリコン基板40上には、Y方向に延在する複数のワード線WLが形成されている。ワード線WLは、各素子領域に、それぞれ2本ずつが延在している。ワード線WLの両側の活性領域には、ソース/ドレイン領域46,48が形成されている。これにより、各素子領域には、ワード線WLを兼ねるゲート電極44とソース/ドレイン領域46,48とを有する選択トランジスタが、それぞれ2つずつ形成されている。一の素子領域に形成された2つの選択トランジスタは、ソース/ドレイン領域46を共用している。
選択トランジスタ12が形成されたシリコン基板40上には、層間絶縁膜50が形成されている。層間絶縁膜50には、ソース/ドレイン領域46に接続されたコンタクトプラグ56と、ソース/ドレイン領域48に接続されたコンタクトプラグ58とが埋め込まれている。
層間絶縁膜50上には、コンタクトプラグ56を介してソース/ドレイン領域46(ソース端子)に電気的に接続されたグラウンド線60と、コンタクトプラグ58を介してソース/ドレイン領域48(ドレイン端子)に電気的に接続された中継配線62とが形成されている。グラウンド線60(GND)は、図12に示すように、Y方向に延在して形成されている。
グラウンド線60及び中継配線62が形成された層間絶縁膜50上には、層間絶縁膜64が形成されている。層間絶縁膜64には、中継配線62に接続されたコンタクトプラグ68が埋め込まれている。
コンタクトプラグ68が埋め込まれた層間絶縁膜64上には、抵抗記憶素子76が形成されている。抵抗記憶素子76は、コンタクトプラグ68、中継配線62及びコンタクトプラグ58を介してソース/ドレイン領域48に電気的に接続された下部電極50と、下部電極70上に形成された抵抗記憶材料よりなる抵抗記憶層72と、抵抗記憶層72上に形成された上部電極74とを有している。
抵抗記憶素子76が形成された層間絶縁膜64上には、層間絶縁膜78が形成されている。層間絶縁膜78には、抵抗記憶素子76の上部電極74に接続されたコンタクトプラグ82が埋め込まれている。
コンタクトプラグ82が埋め込まれた層間絶縁膜78上には、コンタクトプラグ82を介して抵抗記憶素子76の上部電極74に電気的に接続されたビット線84が形成されている。ビット線84(BL)は、図12に示すように、X方向に延在して形成されている。
こうして、図1に示すメモリセルアレイを構成する不揮発性半導体記憶装置が形成されている。
次に、本実施形態による不揮発性半導体装置の製造方法について図13乃至図15を用いて説明する。
まず、シリコン基板40内に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子領域を画定する素子分離膜42を形成する。
次いで、シリコン基板40の素子領域上に、通常のMOSトランジスタの製造方法と同様にして、ゲート電極44及びソース/ドレイン領域46,48を有するセル選択トランジスタを形成する(図13(a))。
次いで、セル選択トランジスタが形成されたシリコン基板40上に例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積した後、このシリコン酸化膜の表面を例えばCMP法により研磨し、シリコン酸化膜よりなり表面が平坦化された層間絶縁膜50を形成する。
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、層間絶縁膜50に、ソース/ドレイン領域46,48に達するコンタクトホール52,54を形成する。
次いで、例えばCVD法によりバリアメタル及びタングステン膜を堆積後、これら導電膜をエッチバックし、コンタクトホール52,54内に、ソース/ドレイン領域46,48に電気的に接続されたコンタクトプラグ56,58を形成する(図13(b))。
次いで、コンタクトプラグ56,58が埋め込まれた層間絶縁膜50上に例えばCVD法により導電膜を堆積後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりこの導電膜をパターニングし、コンタクトプラグ56を介してソース/ドレイン領域46に電気的に接続されたグラウンド線60と、コンタクトプラグ58を介してソース/ドレイン領域48に電気的に接続された中継配線62とを形成する(図13(c))。
次いで、グラウンド線60及び中継配線62が形成された層間絶縁膜50上に例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積した後、このシリコン酸化膜の表面を例えばCMP法により研磨し、シリコン酸化膜よりなり表面が平坦化された層間絶縁膜64を形成する。
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、層間絶縁膜64に、中継配線62に達するコンタクトホール66を形成する。
次いで、例えばCVD法によりバリアメタル及びタングステン膜を堆積後、これら導電膜をエッチバックし、コンタクトホール66内に、中継配線62、コンタクトプラグ58を介してソース/ドレイン領域48に電気的に接続されたコンタクトプラグ68を形成する(図14(a))。
次いで、コンタクトプラグ68が埋め込まれた層間絶縁膜64上に、例えばスパッタ法により、例えばプラチナ膜を堆積する。
次いで、プラチナ膜上に、例えばレーザアブレーション、ゾルゲル、スパッタ、MOCVD等によりTiOを堆積し、TiO膜を形成する。
次いで、TiO膜上に、例えばスパッタ法により、例えばプラチナ膜を堆積する。
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、プラチナ膜/TiO膜/プラチナ膜よりなる積層膜をパターニングする。こうして、プラチナ膜よりなりコンタクトプラグ68、中継配線62及びコンタクトプラグ58を介してソース/ドレイン領域48に電気的に接続された下部電極70と、下部電極70上に形成されたTiO膜よりなる抵抗記憶層72と、抵抗記憶層72上に形成されたプラチナ膜よりなる上部電極74とを有する抵抗記憶素子76を形成する(図14(b))。
なお、抵抗記憶層72を構成する抵抗記憶材料としては、TiOのほか、例えば、NiO、YO、CeO、MgO、ZnO、ZrO、HfO、WO、NbO、TaO、CrO、MnO、AlO、VO、SiO等を適用することができる。また、Pr1−xCaMnO、La1−xCaMnO、SrTiO、YBaCu、LaNiO等の複数の金属や半導体原子を含む酸化物材料を適用することもできる。これら抵抗記憶材料は、単体で用いてもよいし積層構造としてもよい。
また、下部電極70及び上部電極74を構成する電極材料としては、プラチナのほか、例えば、Ir、W、Ni、Au、Cu、Ag、Pd、Zn、Cr、Al、Mn、Ta、Si、TaN、TiN、Ru、ITO、NiO、IrO、SrRuO、CoSi、WSi、NiSi、MoSi、TiSi、Al−Si、Al−Cu、Al−Si−Cu等を適用することができる。下部電極70を構成する電極材料と上部電極74を構成する電極材料とは、同じでも異なってもよい。
次いで、抵抗記憶素子76が形成された層間絶縁膜64上に例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積した後、このシリコン酸化膜の表面を例えばCMP法により研磨し、シリコン酸化膜よりなり表面が平坦化された層間絶縁膜78を形成する。
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、層間絶縁膜78に、抵抗記憶素子76の上部電極74に達するコンタクトホール80を形成する。
次いで、例えばCVD法によりバリアメタル及びタングステン膜を堆積後、これら導電膜をエッチバックし、コンタクトホール80内に、抵抗記憶素子76の上部電極74に接続されたコンタクトプラグ82を形成する(図15(a))。
次いで、コンタクトプラグ82が埋め込まれた層間絶縁膜78上に導電膜を堆積後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりこの導電膜をパターニングし、コンタクトプラグ82を介して抵抗記憶素子76の上部電極74に電気的に接続されたビット線84を形成する(図15(b))。
この後、必要に応じて更に上層の配線層等を形成し、不揮発性半導体装置を完成する。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
また、上記実施形態では、書き込み対象のビットを一括してセットした後、データ“0”を書き込むべきビットを選択的にリセットしたが、書き込み対象のビットを一括してリセットした後、データ“1”を書き込むべきビットを選択的にセットするようにしてもよい。但し、一般的にリセット動作はセット動作よりも不安定なため、書き込み動作の安定性の観点からは先に一括してセットを行う方が望ましい。
また、上記実施形態では、書き込み回路26から出力する書き込み電圧をパルス電圧とし、ワード線WLに印加する駆動電圧を定電圧としたが、書き込み回路26から出力する書き込み電圧を定電圧とし、ワード線WLに印加する駆動電圧をパルス電圧としてもよい。なお、本発明に適用可能なメモリセルの基本的な書き込み手順については、同一出願人による国際特許出願第PCT/JP2006/309743号明細書に詳述されている。
また、上記実施形態では、抵抗記憶層62がTiOよりなる抵抗記憶素子66を用いたが、抵抗記憶素子66の抵抗記憶層62はこれに限定されるものではない。本願発明に適用可能な抵抗記憶材料としては、TiO、NiO、YO、CeO、MgO、ZnO、ZrO、HfO、WO、NbO、TaO、CrO、MnO、AlO、VO、SiO等が挙げられる。或いは、Pr1−xCaMnO、La1−xCaMnO、SrTiO、YBaCu、LaNiO等の複数の金属や半導体原子を含む酸化物材料を用いることもできる。これら抵抗記憶材料は、単体で用いてもよいし積層構造としてもよい。
また、上記実施形態では、上部電極60及び下部電極64をプラチナにより構成したが、電極の構成材料はこれに限定されるものではない。本願発明に適用可能な電極材料としては、例えば、Ir、W、Ni、Au、Cu、Ag、Pd、Zn、Cr、Al、Mn、Ta、Si、TaN、TiN、Ru、ITO、NiO、IrO、SrRuO、CoSi、WSi、NiSi、MoSi、TiSi、Al−Si、Al−Cu、Al−Si−Cu等が挙げられる。
また、第2実施形態による不揮発性半導体記憶装置の構造は、図1に示す回路構成を実現する一例を示したものであり、不揮発性半導体記憶装置の構造はこれに限定されるものではない。
本発明による不揮発性半導体記憶装置及びその書き込み方法は、メモリセルの基本構成の変更や集積度の低下をもたらすことなく、セット動作の際の電流制限及びリセット動作の際の再セット防止を容易に実現するものである。また、複数のメモリセルに効率よく安定して書き込みを行うことができるものである。したがって、本発明による不揮発性半導体記憶装置及びその書き込み方法は、高集積且つ高性能の不揮発性半導体記憶装置の信頼性を向上するうえで極めて有用である。

Claims (9)

  1. 高抵抗状態と低抵抗状態とを記憶し、電圧の印加によって前記高抵抗状態と前記低抵抗状態とを切り換える抵抗記憶素子と、ドレイン端子が前記抵抗記憶素子の一方の端部に接続され、ソース端子が基準電圧に接続された第1のトランジスタとをそれぞれ有し、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の抵抗記憶素子の他方の端部に接続された複数のビット線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1のトランジスタのゲート電極に接続された複数のワード線と、複数の前記ビット線のそれぞれに接続された複数のトランジスタであって、ソース端子が前記ビット線を介して前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の抵抗記憶素子の前記他方の端部に接続され、ドレイン端子に書き込み電圧が印加される複数の第2のトランジスタとを有する不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法であって、
    複数の前記ワード線のうちの一のワード線に接続された複数の前記メモリセルのうち、書き込み対象の複数の前記メモリセルの前記抵抗記憶素子に、一括して前記低抵抗状態を書き込む工程と、
    前記低抵抗状態を書き込んだ複数の前記メモリセルのうち、前記高抵抗状態を書き込むべき前記メモリセルの前記抵抗記憶素子に、選択的に前記高抵抗状態を書き込む工程とを有し、
    前記高抵抗状態を書き込む工程では、前記高抵抗状態を書き込むべき前記メモリセルに対応する前記ビット線に接続された前記第2のトランジスタのゲート端子に印加する電圧を、前記抵抗記憶素子のリセット電圧と前記第2のトランジスタの閾値電圧との合計以上、前記抵抗記憶素子のセット電圧と前記閾値電圧との合計未満の値に設定することにより、前記抵抗記憶素子に印加される電圧を、前記リセット電圧以上、前記セット電圧未満の値に制御する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  2. 請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記高抵抗状態を書き込むべき前記メモリセルの前記抵抗記憶素子に前記高抵抗状態が書き込まれたかどうかを検証する工程と、
    前記高抵抗状態を書き込むべき前記メモリセルの前記抵抗記憶素子に前記高抵抗状態が書き込まれていない場合に、前記高抵抗状態を再度書き込む工程と
    を更に有することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  3. 請求項1又は2記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記低抵抗状態を書き込む工程では、書き込み対象の複数の前記メモリセルの前記第1のトランジスタのチャネル抵抗が、前記抵抗記憶素子が高抵抗状態のときの抵抗値よりも十分に小さく且つ前記抵抗記憶素子が低抵抗状態のときの抵抗値よりも十分に大きくなるように、前記一のワード線に印加する電圧を制御する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  4. 請求項3記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記低抵抗状態を書き込む工程では、前記第2のトランジスタのゲート端子に、前記書き込み電圧よりも前記第2のトランジスタの閾値電圧分だけ高い駆動電圧を印加する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  5. 請求項3又は4記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記低抵抗状態を書き込む工程では、前記書き込み電圧を電源電圧に設定し、前記第2のトランジスタの前記ゲート端子に印加する電圧を、前記電源電圧と前記第2のトランジスタの前記閾値電圧との合計の値に設定し、前記一のワード線に印加する電圧を、前記電源電圧よりも低い値に設定する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記高抵抗状態を書き込む工程では、前記書き込み電圧を、前記抵抗記憶素子のリセット電圧と前記閾値電圧との合計以上の値に設定する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記高抵抗状態を書き込む工程では、前記書き込み電圧、前記第2のトランジスタの前記ゲート端子に印加する電圧、及び前記一のワード線に印加する電圧を、電源電圧に設定する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記高抵抗状態を書き込む工程では、前記一のワード線に印加する電圧を、前記第1のトランジスタのチャネル抵抗が、前記抵抗記憶素子が前記低抵抗状態のときの抵抗値に対して十分に小さい値となるように設定する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法において、
    前記不揮発性半導体記憶装置は、入出力データが多ビットのメモリであり、
    前記書き込み対象の複数の前記メモリセルに、前記入出力データの各ビットに対応する情報を記憶する
    ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の書き込み方法。
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