JP4712455B2 - 光学用フィルム - Google Patents
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Description
液晶表示装置には様々な高分子フィルムが用いられており、例えば液晶の色補償、視野角の拡大、コントラストの向上といった表示品位の改善のために用いられる位相差フィルム、偏光板、その保護フィルム、基板等である。その高分子素材としてはこれまでポリカーボネート、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース(以下、TAC)、ポリエーテルスルホン等がよく使われてきた。例えば位相差フィルムには、これまでポリカーボネート等がよく使われてきた。かかる位相差フィルムに関して、最近非晶性ポリオレフィンと呼ばれる樹脂が注目を浴びている。非晶性ポリオレフィンとは、脂環族構造を入れて耐熱性を高め非晶性にしたポリオレフィンであり、透明性が高くまた吸水率が低いため寸法安定性に優れるという特徴がある。さらに芳香族成分を含まないため光弾性定数が極めて低いという特徴があり、テレビ用など液晶表示装置の大型化に伴いその優れた物性が次第に注目されるようになってきているのが現状である。
[1]エチレン単位とノルボルネン単位からなる共重合体であり、ii)ガラス転移温度が100℃から180℃の範囲にあって、かつiii)ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が0.2≦[メソ型]/[ラセモ型]≦4の範囲にある、非晶性ポリオレフィンからなる光学用フィルムであって、当該非晶性ポリオレフィンが、下記(X)および(Y)を含む樹脂組成物であり、かつ(X)/(Y)=99/1〜1/99(重量比)であることを特徴とする光学用フィルム。
(X)i)エチレン単位とノルボルネン単位からなる共重合体であり、ii)ガラス転移温度が60℃から200℃の範囲にあって、かつiii)ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]>4である非晶性ポリオレフィン
(Y)i)エチレン単位とノルボルネン単位からなる共重合体であり、ii)ガラス転移温度が60℃から200℃の範囲にあって、iii)ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]<0.2である非晶性ポリオレフィン
[2]1/4λ板、1/2λ板またはλ板としての位相差フィルムとして用いられ、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)が下記式(1)
100nm<R(550)<800nm ・・・(1)
の範囲にあり、かつ厚みが30〜200μmである上記の光学用フィルム。
[3]垂直配向(VA)モード用の位相差フィルムとして用いられ、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)および厚み方向の位相差K(550)が下記式(2)かつ(3)
0nm<R(550)<100nm ・・・(2)
50nm<K(550)<400nm ・・・(3)
(式中、K(550)は波長550nmにおける厚み方向の位相差値であり、下記式(4)
K={(nx+ny)/2−nz}×d ・・・(4)
によって定義されるものであり、ここで、nx、nyはフィルム面内のx軸、y軸の、nzはx軸およびy軸に垂直な厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。)
の範囲にあり、かつ厚さが30〜200μmである上記の光学用フィルム。
[4]波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)、および厚み方向の位相差K(550)の絶対値がともに20nm以下であり、かつ厚みが10〜300μmである上記の光学用フィルム。
本発明で用いる非晶性ポリオレフィンとは、エチレンとノルボルネンとがビニル型重合した共重合体であり、下記式(A)および(B)で表されるエチレン繰り返し単位(A)およびノルボルネン繰り返し単位(B)から構成される。
プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜18のα−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン等のシクロオレフィン等を挙げることが出来る。この中で炭素数3〜18のα−オレフィンは共重合の際の分子量調節剤として用いることが出来、中でも1−ヘキセンが好適に用いられる。かかるその他のビニルモノマーは単独であるいは2種類以上組み合わせて用いてもよく、またその繰り返し単位が全体の10モル%以下が好ましく、より好ましくは5モル%以下である。
)から、(X)/(Y)=99/1〜1/99(重量比)の割合で配合された樹脂組成物を用いて形成される。(X)と(Y)の組成は、(X)と(Y)のガラス転移温度、分子量、NNダイアドの立体規則性により総合的に勘案して決められるが、フィルムが位相差フィルム用途の場合、より好ましくは(X)/(Y)=90/10〜40/60であり、光学用フィルムが光学等方性フィルム用途の場合は、より好ましくは(X)/(Y)=75/25〜10/90である。
これらの方法による光学用フィルムの製膜においては出来るだけ厚みむらを小さくすることが好ましい。厚みむらは膜厚に対して±8%以下であることが好ましく、より好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±2%以下である。フィルムの厚みは、10〜400μmの範囲であり、より好ましくは30〜300μmの範囲である。
100nm<R(550)<800nm ・・・(1)
かつ厚さが30〜200μmである位相差フィルムが挙げられる。ここで位相差Rとは下記式(5)で定義されるものであり、フィルムに垂直方向に透過する光の位相の遅れを表す特性である。
R=(nx−ny)×d ・・・(5)
ここで、nxはフィルム面内の遅相軸(最も屈折率が高い軸)の屈折率のことであり、nyはフィルム面内でnxと垂直方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。
0nm<R(550)<100nm ・・・(2)
50nm<K(550)<400nm ・・・(3)
の範囲にあり、かつ膜厚が30〜200μmである位相差フィルムも挙げられる。
K={(nx+ny)/2−nz}×d ・・・(4)
上記式中、nx、nyはフィルム面内のx軸、y軸の、nzはx軸およびy軸に垂直な厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。
トルエン(溶媒)、ノルボルネンはすべて蒸留精製を行い充分に乾燥したものを用いた。
メタロセンについて、エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドはAldrichより購入したものをそのまま用いた。イソプロピリデン−(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドは文献[J.A.Ewen et al, J.Am.Chem.Soc., 110,6255−6266(1988)]に従い合成した。
イオン性ホウ素化合物は、トリチルーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを東ソー・アクゾ(株)より購入し、そのまま使用した。
トリイソブチルアルミニウム[(iBu)3Al]は関東化学(株)より濃度1Mのn−ヘキサン溶液を購入し、そのまま使用した。
(1)ガラス転移温度(Tg):TAInstruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度は20℃/分で測定した。
(2)共重合体の分子量:濃度0.5g/dLのシクロヘキサン溶液での、30℃における還元粘度ηsp/c(dL/g)を測定した。
(3)共重合体の13C−NMR測定:日本電子製JNM−α400型のNMR装置を使用した。重オルトジクロロベンゼン溶媒に溶解し、温度100℃で測定した。化学シフトの基準としてテトラメチルシランを用いた。定量のため、150MHz 13C−NMRスペクトルを逆ゲーテッドデカップリングモードで測定した。
(4)フィルムの全光線透過率およびヘイズ値:日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000型を用いて測定した。
(5)フィルムの面内位相差値Rおよび膜厚方向の位相差値K:日本分光(株)製分光エリプソメーターM150を使用し、光線波長550nmで測定した。面内位相差値Rは、入射光線がフィルム面に垂直な状態で測定したものである。厚み方向位相差値Kは、入射光線とフィルム面との角度を少しずつ変えそれぞれの角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッティングすることにより三次元屈折率であるnx、ny、nzを求め、K={(nx+ny)/2−nz}×dに代入することにより求めた。なおその際、フィルムの平均屈折率が必要となるが、別にアッベ屈折計((株)アタゴ社製商品名「アッベ屈折計2−T」を用いて測定した。
(6)フィルムの膜厚:アンリツ社製の電子マイクロ膜厚計で測定した。
(7)フィルムの光弾性定数:日本分光(株)製分光エリプソメーターM150にて測定した。測定波長550nmにてフィルムに応力を与えたときの位相差値の変化から算出した。
重合装置として、撹拌翼を備えエチレンライン、窒素ラインがつながった容量3Lのオートクレーブを使用し、メタロセンにエチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを用い、以下のようにしてエチレンとノルボルネンとの共重合反応を行った。
参考例1で用いたメタロセンをイソプロピリデン−(9−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドに代えた他は実施例1と同様にして重合を行い、エチレン−ノルボルネン共重合体182gを得た。得られたエチレン−ノルボルネン共重合体は、その分子量が還元粘度ηsp/c=0.60dL/gであった。またTg=135℃であった。13C−NMR測定から [メソ型]/[ラセモ型]=0.04/0.50=0.08と求められ、全ノルボルネン成分量に対するNNダイアドの存在比率(モル分率)は0.38あった。またエチレン成分とノルボルネン成分のモル比は(A)/(B)=51/49であった。
参考例1および参考例2の合成を繰り返して溶融製膜の必要量を得た。参考例1の共重合体(X)と参考例2の共重合体(Y)を(X)/(Y)=75/25(重量比)の割合でドライブレンドして混合した後、2軸溶融押し出し機(日本製鋼所製TEX30SS−42BW−3V)を用いて、幅15cmのTダイから溶融押し出しし、冷却ローラーで連続的に巻き取ることにより製膜した。製膜条件としてシリンダー温度260℃、Tダイ温度270℃、冷却ローラー温度142℃、製膜速度2m/分で行ったが、フィルムは透明性、均質性に優れ表面性も良好であり、またダイ筋や異物もほとんど見られなかった。またロール巻取り時およびその後のハンドリングに問題はなく十分丈夫なフィルムであった。フィルム両端の幅2.5cmの部分を除いて、フィルムの厚みは平均170μmであった。Tgは141℃、全光線透過率は90.3%、ヘイズは0.6%であった。フィルムの還元粘度ηsp/c=0.80dL/gであった。またこのフィルムの光弾性定数を求めたところ−7.3×10−12Pa−1であった。フィルムの13C−NMR測定から [メソ型]/[ラセモ型]=3.2であった。またフィルムの位相差値R(550)、K(550)を求めた。結果を表1に示す。
実施例1で得られた未延伸フィルムを、フィルム端をチャックで固定するバッチ式の二軸延伸装置を用いて延伸を行った。横方向は自由として縦一軸延伸を表1の条件にて延伸を行い、延伸後のフィルム中央部分の厚み、位相差R(550)、K(550)を測定した。結果を表1に示す。
TICONA社製の商品名「TOPAS」はメタロセン触媒でエチレンとノルボルネンを共重合したシクロオレフィンコポリマーである。そのグレード6013の13C−NMR測定を行ったところ、[メソ型]/[ラセモ型]=0.36/0.04=9と求められ、全ノルボルネン成分量に対するNNダイアドの存在比率(モル分率)は0.40であった。またエチレン成分とノルボルネン成分のモル比は(A)/(B)=50/50であった。Tgは139℃であった。また同様の測定により、「TOPAS」の別グレード5013は [メソ型]/[ラセモ型]=0.05/0.41=0.12、全ノルボルネン成分量に対するNNダイアドの存在比率(モル分率)は0.46、またエチレン成分とノルボルネン成分のモル比は(A)/(B)=50/50であった。Tgは138℃であった。このグレード6013とグレード5013を重量比6013/5013=50/50でペレット同士をドライブレンドで混合し、製膜速度を1m/分に代えた他は実施例1と同様の条件で溶融製膜を行い、未延伸フィルムを得た。フィルムは透明性、均質性に優れ表面性も良好であり、またダイ筋や異物もほとんど見られなかった。またロール巻取り時およびその後のハンドリングに問題はなく十分丈夫なフィルムであった。フィルム両端の幅2.5cmの部分を除いて、厚みは平均280μmであった。Tgは137℃、全光線透過率は90.7%、ヘイズは0.5%であった。フィルムの還元粘度ηsp/c=0.72dL/gであった。またこのフィルムの光弾性定数を求めたところ−8.5×10−12Pa−1であった。フィルムの13C−NMR測定から [メソ型]/[ラセモ型]=1.0であった。またフィルムの位相差値R(550)、K(550)を求めた。結果を表1に示す。
実施例3で得られた未延伸フィルムを、実施例2で使用したバッチ式の二軸延伸装置により縦1.5倍、横1.8倍の逐次二軸延伸を行った。延伸後のフィルム中央部分の厚み、R(550)、K(550)を測定した。結果を表1に示す。
Claims (4)
- エチレン単位とノルボルネン単位からなる共重合体であり、ii)ガラス転移温度が100℃から180℃の範囲にあって、かつiii)ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が0.2≦[メソ型]/[ラセモ型]≦4の範囲にある、非晶性ポリオレフィンからなる光学用フィルムであって、当該非晶性ポリオレフィンが、下記(X)および(Y)を含む樹脂組成物であり、かつ(X)/(Y)=99/1〜1/99(重量比)であることを特徴とする光学用フィルム。
(X)i)エチレン単位とノルボルネン単位からなる共重合体であり、ii)ガラス転移温度が60℃から200℃の範囲にあって、かつiii)ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]>4である非晶性ポリオレフィン
(Y)i)エチレン単位とノルボルネン単位からなる共重合体であり、ii)ガラス転移温度が60℃から200℃の範囲にあって、iii)ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]<0.2である非晶性ポリオレフィン - 1/4λ板、1/2λ板またはλ板としての位相差フィルムとして用いられ、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)が下記式(1)
100nm<R(550)<800nm ・・・(1)
の範囲にあり、かつ厚みが30〜200μmである請求項1に記載の光学用フィルム。 - 垂直配向(VA)モード用の位相差フィルムとして用いられ、波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)および厚み方向の位相差K(550)が下記式(2)かつ(3)
0nm<R(550)<100nm ・・・(2)
50nm<K(550)<400nm ・・・(3)
(式中、K(550)は波長550nmにおける厚み方向の位相差値であり、下記式(4)
K={(nx+ny)/2−nz}×d ・・・(4)
によって定義されるものであり、ここで、nx、nyはフィルム面内のx軸、y軸の、nzはx軸およびy軸に垂直な厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さである。)
の範囲にあり、かつ厚さが30〜200μmである請求項1に記載の光学用フィルム。 - 波長550nmにおけるフィルム面内の位相差R(550)、および厚み方向の位相差K(550)の絶対値がともに20nm以下であり、かつ厚みが10〜300μmである請求項1に記載の光学用フィルム。
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